説明

除雪機

【課題】 ヒンジ半体からピン部材がずれる点を解決することで、除雪機のメンテナンスの簡素化を図ること可能にするとともに、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れる点を解決することで、除雪作業の作業性の向上を図ることを可能にする。
【解決手段】 第1のヒンジ部111を、シュータ43の先端に第1のシュータガイド61に向けて形成したシュータ側ヒンジ半体79と、第1のシュータガイド61のシュータ43側にシュータ43に向けて形成した背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88と、これらのシュータ側ヒンジ半体79及びシュータガイド側ヒンジ半体88を回転自在に結合するピン部材66と、シュータ側ヒンジ半体79及びシュータガイド側ヒンジ半体88からピン部材66の抜け止め作用をなす係止部材68と、から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュータにシュータガイドを折曲げ自在に取付けるためのヒンジ部を備える除雪機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
除雪機として、除雪した雪を遠方に排出するシュータの先端に、排出する雪の方向を決定するシュータガイドを設けたものが実用に供されている。
実用の除雪機は、シュータにシュータガイドを折曲げ自在に取付けるようにすれば実用上十分であった。
【0003】
このような除雪機として、シュータとシュータガイドとの間にヒンジ部を構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開昭63−76025号公報(第2頁、第3図)
【0004】
図10は従来の基本構成を説明する図であり、除雪機210は、ヒンジ部211を、シュータ212側から延ばした一方のヒンジ半体214と、シュータガイド213から延ばした他方のヒンジ半体215と、これらのヒンジ半体214,215を回転自在に結合するピン部材216と、から構成したものである。
【0005】
しかし、除雪機210では、シュータ212に対してシュータガイド213を繰り返し折曲げたときに、一方のヒンジ半体214及び他方のヒンジ半体215からピン部材216がずれるという問題があった。
また、除雪機210では、一方のヒンジ半体214及び他方のヒンジ半体215で構成する隙間から除雪した雪が漏れることもあった。
【0006】
すなわち、一方のヒンジ半体及び他方のヒンジ半体からピン部材がずれることを防止することができるとともに、一方のヒンジ半体及び他方の半体で構成する隙間から除雪した雪が漏れることを防止することができる除雪機が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ヒンジ半体からピン部材がずれる点を解決し、除雪機のメンテナンスの簡素化を図ることができる除雪機を提供するとともに、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れる点を解決し、除雪作業の作業性の向上を図ることができる除雪機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、除雪した雪を遠方に排出するシュータと、このシュータの先端にヒンジ部を介して折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定するシュータガイドと、を備えた除雪機において、ヒンジ部を、シュータの先端にシュータガイドに向けて形成したシュータ側ヒンジ半体と、シュータガイドのシュータ側にシュータに向けて形成したシュータガイド側ヒンジ半体と、これらのシュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体を回転自在に結合するピン部材と、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体からピン部材の抜け止め作用をなす係止部材と、から構成し、係止部材が、ばね性を有する線材にて形成した部材であり、シュータ側若しくはシュータガイド側に位置させる直線部と、この直線部の両端に形成したコイル部と、これらのコイル部から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成することで、ピン部材の両端部を押圧する押圧部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
例えば、ヒンジ半体からピン部材がずれることを防止することができるとすれば、除雪機のメンテナンスの簡素化を図ることができるので好ましいことである。
【0010】
そこで、ヒンジ部に、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体からピン部材の抜け止め作用をなす係止部材を設けることで、ヒンジ半体からピン部材がずれることを防止するようにした。この結果、除雪機のメンテナンスの簡素化を図ることができるという利点がある。
【0011】
さらに、係止部材を、ばね性を有する線材にて形成し、係止部材に、シュータ側若しくはシュータガイド側に位置させる直線部と、この直線部の両端に形成したコイル部と、これらのコイル部から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成した押圧部と、を備えることで、ピン部材の両端部を押圧するようにした。
【0012】
請求項2に係る発明は、係止部材に、押圧部からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部を設け、この当接部でシュータ及びシュータガイドの合わせ面に発生する隙間を覆ったことを特徴とする。
例えば、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れることを防止することができるとすれば、除雪作業の作業性の向上を図ることができるので好ましいことである。
【0013】
係止部材に、押圧部からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部を設け、この当接部でシュータ及びシュータガイドの合わせ面に発生する隙間を覆うことで、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れることを防止した。
【0014】
請求項3に係る発明は、当接部に、合わせ面を覆う隙間充填体を装着したことを特徴とする。
当接部に、合わせ面を覆う隙間充填体を装着することで、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れることを防止効果を増大させた。
【0015】
請求項4に係る発明は、ピン部材を、シュータ側ヒンジ半体にシュータガイド側ヒンジ半体を加えた長さよりも短く形成したことを特徴とする。
ピン部材を、シュータ側ヒンジ半体にシュータガイド側ヒンジ半体を加えた長さよりも短く形成することで、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体のどちらかに係止部材の押圧部を潜り込ませるようにした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、ヒンジ部に、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体からピン部材の抜け止め作用をなす係止部材を設けたので、ヒンジ半体からピン部材がずれることを防止することができる。この結果、除雪機のメンテナンスの簡素化を図ることができるという利点がある。
【0017】
さらに、係止部材を、ばね性を有する線材にて形成し、係止部材に、シュータ側若しくはシュータガイド側に位置させる直線部と、この直線部の両端に形成したコイル部と、これらのコイル部から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成した押圧部と、を備えたので、ピン部材の両端部を押圧することができる。この結果、ピン部材の両端部に簡単に取付けることができるという利点がある。
【0018】
請求項2に係る発明では、係止部材に、押圧部からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部を設け、この当接部でシュータ及びシュータガイドの合わせ面に発生する隙間を覆ったので、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れることを防止することができる。この結果、除雪作業の作業性の向上を図ることができるという利点がある。
【0019】
請求項3に係る発明では、当接部に、合わせ面を覆う隙間充填体を装着したので、ヒンジ半体同士形成する隙間から除雪した雪が漏れることを防止効果を増大させることができる。この結果、さらなる除雪作業の作業性の向上を図ることができるという利点がある。
【0020】
請求項4に係る発明では、ピン部材を、シュータ側ヒンジ半体にシュータガイド側ヒンジ半体を加えた長さよりも短く形成したので、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体のどちらかに係止部材の押圧部を潜り込ませることができる。この結果、係止部材をヒンジ半体に圧入することができ、ピン部材のずれの防止を図るとともに係止部材を強固にヒンジ半体側に支持させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る除雪機の斜視図であり、除雪機10は、機体11の下方に走行ユニット12を設け、この走行ユニット12の駆動源となるエンジン13を機体11に搭載し、この機体11の上方にエンジン13を保護するエンジンカバー14を設け、このエンジンカバー14の前方に、雪を除去するロータリ除雪部(除雪部)15を機体11に対して左右方向に傾動可能に配置し、ロータリ除雪部15で除雪した雪を排出するシュータ43を設け、機体11の上部から後上方へ左右の操作ハンドル35,36を延ばし、これら左右の操作ハンドル35,36間に操作盤37を取り付け、作業者が左右の操作ハンドル35,36のグリップ部47,48を握った状態で操作盤37の後から連れ歩く、自走式の歩行型除雪機である。
【0022】
左の操作ハンドル35は、握ることで走行準備を完了し、且つ離すことで走行を停止させる走行準備レバー39と、左電動モータ24を操作する左の旋回レバー51と、を備え、右の操作ハンドル36は、右電動モータ26(図2参照)を操作する右の旋回レバー52を備える。
【0023】
図2は本発明に係る除雪機の側面図である。
エンジン13は、本体13aの上部に燃料タンク18a、エアクリーナ18bおよびマフラー18cを備える。このエンジン13は、エンジンカバー14で保護される。
エンジンカバー14は、機体11の上方に設けられ、前端部14aが機体11の前部まで延び、中央部に開口14bが形成されている。
開口14bから燃料タンク18a、エアクリーナ18bおよびマフラー18cを突出する。
このエンジンカバー14は、前端部14aでロータリ除雪部15の傾きを検知する傾動検知手段20を覆う。
【0024】
走行ユニット12は、左右の走行部22,23を備え、左の走行部22の回転速度を調整する左電動モータ24および左減速部25を備え、右の走行部23の回転速度を調整する右電動モータ26および右減速部27を備える。
左・右電動モータ24,26を駆動する発電機28をエンジン13に備える。エンジン13で発電機28を駆動することにより電圧を発生し、発生した電圧で左・右電動モータ24,26を駆動する。
すなわち、エンジン13は、左右の走行部22,23の駆動源となるものである。
【0025】
左の走行部22は、前部の遊動輪22aと後部の駆動輪22bとにクローラベルト22cを巻き掛け、駆動輪22bを左電動モータ24で正逆転させるクローラ式の走行部である。
右の走行部23は、左の走行部22と左右対称の部材であり、それぞれの構成部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
ロータリ除雪部15は、エンジン13の出力軸29を電磁クラッチ部32などを介して駆動軸34に連結し、駆動軸34をオーガハウジング38内に延ばしてブロア41およびオーガ42に連結し、オーガハウジング38の上部にシュータ43を旋回自在に備える。
【0027】
また、除雪機10は、オーガ42の高さを調整するために高さ調整シリンダ44を備え、ロータリ除雪部15を傾動するために傾動シリンダ46を備える。
高さ調整シリンダ44を作動することで、機体11を支持軸45を中心にして上下方向にスイング移動する。機体11の前部にロータリ除雪部15が設けられているので、機体11を上下方向にスイング移動することで、ロータリ除雪部15の高さを調整することが可能になる。
さらに、傾動シリンダ46を作動することで、ロータリ除雪部15を、機体11に対して左右方向に傾動する。
高さ調整シリンダ44や傾動シリンダ46は、一例として、電動油圧シリンダが用いられる。
【0028】
この除雪機10で除雪作業をおこなう際には、作業者が左右のグリップ部47,48をそれぞれ左右の手で握り、機体11を前進させる。
機体11を前進させながらオーガ42で雪を機体中央に掻き集め、掻き集めた雪をブロア41で跳ね上げ、跳ね上げた雪をシュータ43で投雪する。
【0029】
図3は本発明に係る除雪機のシュータ装置の側面図であり、シュータ装置60は、オーガハウジング38(図2参照)左方上面にシュータ43を取付け、このシュータ43に投雪の方向を変化させるシュータガイドとしての第1のシュータガイド61を折畳み自在に取付け、この第1のシュータガイド61にシュータガイドとしての第2のシュータガイド62折畳み自在に取付け、この第2のシュータガイド62とシュータ43との間に板状部材の連結アーム(連結部材)63を渡し、この連結アーム63と第1のシュータガイド61との間に復帰手段としての捩りばね64を介在させ、第1・第2のシュータガイド61,62を操作する操作ワイヤ65を第1のシュータガイドから延出した装置である。
【0030】
図4は本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面図であり、シュータ装置60は、シュータ43の背面側方にブラケット77を設け、連結アーム63をシュータ43及び第1・第2のシュータガイド61,62の側方に設け、このブラケット77及び連結アーム63介在させる捩りばね64をシュータの側方に寄せて配置し、操作ワイヤ65をシュータ43及び第1のシュータガイド61の側方に設けたことを示す。
【0031】
すなわち、除雪機10(図1参照)は、連結アーム63を、板状部材で構成し、シュータ43及び第1のシュータガイド61の側面に配置したものと言える。
連結アーム63を、板状部材で構成し、シュータ43及び第1のシュータガイド61の側面に配置することで、シュータ43廻りを簡便に構成することができる。この結果、シュータ43廻りの意匠性の向上を図ることができる。
次図にてシュータ装置60の詳細を説明する。
【0032】
図5は本発明に係る除雪機のシュータ装置の分解斜視図である。
シュータ装置60は、シュータ(シュータ本体)43と、シュータ43に回転自在に連結するシュータガイドとしての第1のシュータガイド61と、これらのシュータ43及び第1のシュータガイド61を連結するピン部材66と、このピン部材の両端にセットすることでピン部材66の抜け止め作用をなす係止部材68と、第1のシュータガイド61に回転自在に連結するシュータガイドとしての第2のシュータガイド62と、これらの第1・第2のシュータガイド61,62を連結するピン部材67と、このピン部材67の両端にセットすることでピン部材67の抜け止め作用をなす係止部材69と、シュータ43及び第2のシュータガイド62の間に渡す連結アーム63と、この連結アーム63及びシュータ43の間に掛渡した捩りばね64と、この捩りばね64の巻線部93に介在させた振動低減部材としてのカラー71,71と、これらのカラー71,71に貫通させるとともに、ワッシャ73及びスペーサ74を介して連結アーム63の一端を回転自在にシュータ43側に支持するボルト75と、このボルト75にねじ込むナット75aと、連結アーム63の他端を第2のシュータガイド62側に回転自在に支持するナット76と、第1のシュータガイド61に先端を止めるとともに、シュータ43を経由させて機体11(図2参照)側に延出することで第1・第2のシュータガイド61,62を操作する操作ワイヤ65と、からなる。
【0033】
シュータ43は、連結アーム63の一端を支持するとともに、捩りばね64の巻線部93を支持するブラケット77と、操作ワイヤ65を支持するために側方に形成したステー部78と、先端に且つ中央に第1のシュータガイド61に向けて形成したシュータ側ヒンジ半体79と、を備える。
【0034】
ブラケット77は、別ピースにて形成した略コ字形状のブラケットであって、シュータ43側にスポット溶接する底部81と、この底部81から両端を立ち上げた左右の側面部82,82と、これらの側面部82,82にそれぞれ形成することでボルト75を貫通させる貫通孔83,83と、からなる。
【0035】
シュータ側ヒンジ半体79は、別ピースにて制作した部材であって、シュータ43側にスポット溶接する接合板部85と、この接合板部85から上部両端をカール曲げ形成することで、ピン部材66を貫通させるとともに係止部材を保持する外側筒部86,86と、を形成した部材である。86aは外側筒部86のエッジを示す。
【0036】
第1のシュータガイド61は、シュータガイド側ヒンジ半体としての背板部88と、この背板部の側方を折曲げた左右の側板87a,87bと、から構成する断面視コ字状の部材である。
【0037】
背板部88は、シュータ43側に且つ中央にカール曲げ形成した中央筒部88aと、第2のシュータシュータガイド62側に、且つ両端にカール曲げ形成した外側筒部89,89と、を形成した部材である。
【0038】
左の側板87aは、操作ワイヤ65の先端を取付けるために側方に形成した取付部87cを備える。
連結アーム63は、シュータ43側に一端を回転自在に取付けるボルト貫通孔91を形成し、第2のシュータガイド62側に他端を回転自在に取付けるスタッド貫通孔92を形成した部材である。
【0039】
捩りばね64は、カラー71,71を介してボルト75で支持する巻線部(コイル部)93と、シュータ43のブラケット77に掛ける一方としてのブラケット側掛け部94と、連結アーム63の一端に掛ける他方としてのアーム側掛け部95と、を備える。
【0040】
第2のシュータガイド62は、断面視コ字状の部材であり、第1のシュータガイド側に且つ中央に溶接したカール曲げ部材96と、連結アームの他端を回転自在に支持するために側方に立てたスタッドボルト97、とを備える。なお、カール曲げ部材96は、第2のシュータガイド62にスポット溶接する接合板部98と、この接合板部98からカール曲げ形成した中央筒部99と、を形成した部材である。
【0041】
カラー71は、樹脂若しくはゴム系の材料にて形成した部材であり、巻線部93の端部を覆うフランジ部101と、巻線部93の内周を支持する筒体部102と、からなる。
ピン部材66及びピン部材67は、共通部材であり、66a,66aはピン部材66の端部、67a,67aはピン部材67の端部を示す。また、係止部材68及び係止部材69も共通部材である。
【0042】
なお、シュータ装置60は、シュータ側ヒンジ半体79、中央筒部88aを備える背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88、ピン部材66、係止部材68で、ヒンジ部としての第1のヒンジ部111を構成するとともに、外側筒部89,89を備える背面板88、カール曲げ部材96、ピン部材67及び係止部材69で、第2のヒンジ112を構成したものである。
【0043】
図6は本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材の平面図であり、係止部材(ばね押え)68は、ばね性を有する線材にて形成した部材であり、シュータ43側若しくは第1のシュータガイド61側に位置させる直線部105と、この直線部105の両端に形成したコイル部106,106と、これらのコイル部106,106から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成することで、ピン部材66の両端部66a,66aを押圧する押圧部107,107と、これらの押圧部107,107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108,108と、これらの当接部108,108に装着した隙間充填体としてのチューブ109,109と、を備える。なお、押圧部107,107は、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係合させたことを示す。
【0044】
ピン部材66は、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の中央筒部88aを加えた長さよりも短く形成したものと言える。
【0045】
すなわち、ピン部材66を、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の中央筒部88aを加えた長さよりも短く形成することで、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係止部材68の押圧部107,107を潜り込ませるようにすることができる。この結果、係止部材68をシュータ側ヒンジ半体79に圧入することができ、ピン部材66のずれの防止を図るとともに係止部材68を強固にシュータ側ヒンジ半体79側に支持させることができる。
【0046】
図7は本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材部分の側面断面図であり、係止部材68は、押圧部107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108を設け、この当接部108でシュータ43及び第1のシュータガイド61の合わせ面113に発生する隙間Sを覆うようにしたものと言える。
【0047】
係止部材68は、押圧部107からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部108を設け、この当接部108でシュータ43及び第1のシュータガイド61の合わせ面113に発生する隙間Sを覆うことで、シュータ側ヒンジ半体79及び背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88の間に形成する隙間Sから除雪した雪が漏れることを防止することができる。この結果、除雪作業の作業性の向上を図ることができる。
【0048】
さらに、当接部108に、合わせ面113を覆うチューブ(隙間充填体)109を装着することで、ヒンジ半体同士(シュータ側ヒンジ半体79及び背板部88)形成する隙間Sから除雪した雪が漏れることの防止効果を増大させた。この結果、さらなる除雪作業の作業性の向上を図ることができる。
【0049】
図8は本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面拡大図であり、シュータ装置60は、除雪した雪を遠方に排出するシュータ43と、このシュータ43の先端に折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定する第1・第2のシュータガイド61,62と、これらのシュータガイド61,62を初期位置に復帰させる復帰手段と、を備えた除雪機10において、復帰手段が、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64であり、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けたものと言える。
【0050】
復帰手段に、一端をシュータ43側に掛渡すとともに他端を第1のシュータガイド61側に掛渡した捩りばね64を用い、この捩りばね64の巻線部93に、捩りばね64の振動を低減させるカラー(振動低減部材)71,71を設けることで、捩りばね64の振動を防止することができる。この結果、静粛性に優れた除雪機10(図1参照)の実現を図ることができる。
【0051】
また、シュータ装置60は、シュータガイドを第1・第2のシュータガイド61,62で構成し、シュータ43の先端にブラケット77を設け、このブラケット77に一端を回転自在に取付けるとともに他端を第2のシュータガイド61に回転可能に取付ける連結アーム63を設け、ブラケット77に捩りばね64のブラケット側掛け部(一方)94を掛渡すとともに連結アーム63に捩りばね64のアーム側掛け部(他方)95を掛渡したものと言える。
【0052】
シュータガイドを第1・第2のシュータガイド61,62で構成し、シュータ43の先端にブラケット77を設け、このブラケット77に一端を回転自在に取付けるとともに他端を第2のシュータガイド61に回転可能に取付ける連結アーム63を設け、ブラケット77に捩りばね64のブラケット側掛け部(一方)94を掛渡すとともに連結アーム63に捩りばね64のアーム側掛け部(他方)95を掛渡すことで、ブラケット77と連結アーム63との間に無負荷状態の捩りばね64を掛渡してから、連結アーム63を回転させて第2のシュータガイド62に取付けることができる。これにより、復帰手段(捩りばね)64の取付け性の改善をすることができる。この結果、除雪機10(図1参照)の組立性の向上を図ることができる。
【0053】
シュータ装置60は、ブラケット77が、底部81及び左右の側面部82,82から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部82,82で捩りばね64の巻線部93を挟み込み、左右の側面部82,82にカラー(振動低減部材)71,71を貫通させて、捩りばね64をブラケット77に取付けたことを特徴とする。
【0054】
ブラケットを、底部81及び左右の側面部82,82から構成する略コ字形状のブラケットであり、左右の側面部82,82で捩りばね64の巻線部93を挟み込み、左右の側面部82,82にカラー(振動低減部材)71,71を貫通させ、捩りばね64をブラケット77に取付けることで、捩りばね64の巻線部93をシュータ43から浮かすことができ、捩りばね64の振動の防止を図ることができる。この結果、除雪機10(図1参照)のさらなる静粛性の向上を図ることができる。
【0055】
シュータ装置60は、除雪した雪を遠方に排出するシュータ43と、このシュータ43の先端に第1,第2のヒンジ部(ヒンジ部)111,112を介して折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定する第1・第2のシュータガイド(シュータガイド)と、を備えた除雪機10において、第1のヒンジ部111を、シュータ43の先端に第1のシュータガイド61に向けて形成したシュータ側ヒンジ半体79と、第1のシュータガイド61のシュータ43側に(シュータ43に向けて)形成した背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88と、これらのシュータ側ヒンジ半体79及びシュータガイド側ヒンジ半体88を回転自在に結合するピン部材66と、シュータ側ヒンジ半体79及びシュータガイド側ヒンジ半体88からピン部材66の抜け止め作用をなす係止部材68と、から構成し、係止部材68が、ばね性を有する線材にて形成した部材であり、シュータ43側に位置させる直線部105と、この直線部105の両端に形成したコイル部106,106と、これらのコイル部106,106から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成することで、ピン部材66の両端部66a,66aを押圧する押圧部107,107と、を備えたものとも言える。
【0056】
すなわち、シュータ側ヒンジ半体79及びシュータガイド側ヒンジ半体88からピン部材66の抜け止め作用をなす係止部材68を設けることで、シュータ側ヒンジ半体79及びシュータガイド側ヒンジ半体88からピン部材66がずれることを防止するようにした。この結果、除雪機10のメンテナンスの簡素化を図ることができる。
【0057】
さらに、係止部材68を、ばね性を有する線材にて形成し、係止部材68に、シュータ43側に位置させる直線部105と、この直線部105の両端に形成したコイル部106,106と、これらのコイル部106,106から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成した押圧部107,107と、を備えることで、ピン部材66の両端部66a,66aを押圧することができる。この結果、ピン部材66の両端部66a,66aに簡単に取付けることができる。
【0058】
以上に述べた除雪機10の作用を説明する。
図9(a),(b)は本発明に係る除雪機の係止部材の組付方法を示す作用説明図である。
(a)において、図面右の外側筒部86のエッジ86aから押圧部107を挿入し、図面右のピン部材66の端部66aに係止部材68の押圧部107を当て、図面左の外側筒部86のエッジ86aから押圧部107をコイル部106の弾発作用で外側筒部86に矢印b1の如く挿入する。
【0059】
(b)において、例えば、ピン部材66が矢印b2の如く移動した場合に、係止部材68はピン部材66に連れて矢印b2の如く移動するものであるが、外側筒部86にコイル部106が当たることで、ピン部材66の抜け止め効果を発揮させることができる。
【0060】
尚、本発明に係る除雪機は、図5に示すように、シュータ側ヒンジ半体79に外側筒部86,86を形成し、背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88に中央筒部88aを形成したが、これに限るものではなく、シュータ側ヒンジ半体に中央筒部を形成し、シュータガイド側ヒンジ半体に外側筒部を形成したものであってもよい。
【0061】
また、本発明に係る除雪機は、図5に示すように、シュータ側ヒンジ半体79に2個の外側筒部86,86を形成し、1個の背板部(シュータガイド側ヒンジ半体)88に中央筒部88aを形成したが、これに限るものではなく、外側筒部若しくは中央筒部の個数は適宜変更するものであってもよい。
【0062】
さらに、本発明に係る除雪機は、図6に示すように、シュータ側ヒンジ半体79の外側筒部86,86に係止部材68の押圧部107,107を潜り込ませるようにしたが、これに限るものではなく、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体のどちらかに形成する外側筒部若しくは中央筒部の個数若しくは位置関係によって、シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体のどちらかに係止部材の押圧部を潜り込ませるようにしたものであればよい。
【0063】
本発明に係る除雪機は、図8に示すように、係止部材68の直線部105をシュータ43側に位置させたが、これに限るものではなく、係止部材の直線部をシュータガイド側に位置させるものであってもよい。
本発明に係る除雪機は、図8に示すように、ヒンジ部を第1のヒンジ部111として説明したが、これに限るものではなく、実施形態では第2のヒンジ部112においても略同一構造のヒンジ部を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る除雪機に採用したシュータ装置は、自走式の歩行型除雪機のシュータに採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る除雪機の斜視図である。
【図2】本発明に係る除雪機の側面図である。
【図3】本発明に係る除雪機のシュータ装置の側面図である。
【図4】本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面図である。
【図5】本発明に係る除雪機のシュータ装置の分解斜視図である。
【図6】本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材の平面図である。
【図7】本発明に係る除雪機のシュータ装置の係止部材部分の側面断面図である。
【図8】本発明に係る除雪機のシュータ装置の背面拡大図である。
【図9】本発明に係る除雪機の係止部材の組付方法を示す作用説明図である。
【図10】従来の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
10…除雪機、43…シュータ、61,62…シュータガイド(第1・第2のシュータガイド、66…ピン部材、68…係止部材、79…シュータ側ヒンジ半体、86…外側筒部、88…シュータガイド側ヒンジ半体(背板部)、88a…中央筒部、105…直線部、106…コイル部、107…押圧部、108…当接部、109…隙間充填体(チューブ)、111…ヒンジ部(第1のヒンジ部)、113…合わせ面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除雪した雪を遠方に排出するシュータと、このシュータの先端にヒンジ部を介して折曲げ自在に取付けることで排出する雪の方向を決定するシュータガイドと、を備えた除雪機において、
前記ヒンジ部は、前記シュータの先端に前記シュータガイドに向けて形成したシュータ側ヒンジ半体と、前記シュータガイドの前記シュータ側に前記シュータに向けて形成したシュータガイド側ヒンジ半体と、これらのシュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体を回転自在に結合するピン部材と、前記シュータ側ヒンジ半体及びシュータガイド側ヒンジ半体から前記ピン部材の抜け止め作用をなす係止部材と、からなり、
前記係止部材は、ばね性を有する線材にて形成した部材であり、前記シュータ側若しくは前記シュータガイド側に位置させる直線部と、この直線部の両端に形成したコイル部と、これらのコイル部から内方に向けて延出するとともに略U字形に折曲げ形成することで、前記ピン部材の両端部を押圧する押圧部と、を備えたことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記係止部材に、前記押圧部からそれぞれ内方に折曲げ形成した当接部を設け、この当接部で、前記シュータ及び前記シュータガイドの合わせ面に発生する隙間を覆ったことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項3】
前記当接部に、前記合わせ面を覆う隙間充填体を装着したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の除雪機。
【請求項4】
前記ピン部材は、前記シュータ側ヒンジ半体に前記シュータガイド側ヒンジ半体を加えた長さよりも短く形成したものであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の除雪機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−32193(P2007−32193A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220401(P2005−220401)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】