説明

除雪機

【課題】 アイシングを防止することで、エンジンの始動性を高めることができる除雪機を提供する。
【解決手段】 除雪機10は、エンジンカバー14内にエアクリーナ18の吸気口95を設けるとともに冷却ファン54を設け、冷却ファン54で冷却風をシリンダブロック52の後側52bから上側52cを経て前側52aまで導くことでエンジン13を冷却するものである。この除雪機10は、シリンダブロック52の前側52aまで導かれた冷却風を前側52aに沿わせて下向きに案内する案内流路86を設け、案内流路86の下端部86aに、シリンダブロック52を冷却して温風となった冷却風を、吸気口95に向けて排出する排出口91を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを冷却する冷却ファンや、エアクリーナに空気を吸い込む吸気口をエンジンカバー内に設けた除雪機に関する。
【背景技術】
【0002】
除雪機は、駆動用のエンジンを搭載するとともにエンジンやエアクリーナをカバーで覆い、このエンジンを駆動することで除雪作業をおこなう。
エンジンを駆動する際には、カバーの外部から外気(空気)を内部に導き、内部に導いた空気をエアクリーナに吸い込む。吸い込んだ空気をエアクリーナから気化器に導き、導いた空気と燃料とを混合して燃焼室に導く(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭64−21108号公報
【0003】
特許文献1の除雪機は、エアクリーナをカバーで覆うことで、カバー内の空気をエアクリーナに吸い込む。カバー内には雪が侵入しないので、エアクリーナに雪を吸い込むことを防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の除雪機では、カバーを通過した外気(空気)をエアクリーナで吸い込む。
除雪機は、通常、寒冷地の外気(空気)が冷たい環境下で駆動するため、この冷たい空気をエアクリーナに吸い込む。冷たい空気をエアクリーナから吸い込むと、吸い込んだ空気中の水分が氷結することが考えられる。この現象をアイシングという。
アイシングが発生するために、エンジンの始動性が損なわれることが考えられる。
【0005】
本発明は、アイシングを防止することで、エンジンの始動性を高めることができる除雪機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、機体にエンジンを搭載し、この機体の上方にエンジンを保護するエンジンカバーを設け、このエンジンカバー内にエアクリーナの吸気口を設けるとともに、エンジンカバー内で、かつエンジンの一方側に冷却風を送風する冷却ファンを設け、この冷却風をエンジンの一方側から上側を経て他方側まで導くことでエンジンを冷却風で冷却する除雪機において、前記エンジンの他方側まで導かれた冷却風を前記他方側に沿わせて下向きに案内する案内流路を設け、この案内流路の下端部に、エンジンを冷却して温風となった冷却風を、前記吸気口に向けて排出する排出口を設けたことを特徴とする。
【0007】
冷却風を案内流路でエンジンの他方側に沿わせて下向きに案内することで、エンジンを冷却風で冷却する。エンジンを冷却した冷却風は温風になる。
この温風を排出口から吸気口に向けて排出することで、排出された温風を吸気口近傍の空気と混合させて、吸気口近傍の空気温度を高めることができる。
温度を高めた空気をエアクリーナの吸気口から吸い込むことで、空気中の水分が氷結してアイシングが発生することを防止できる。
【0008】
請求項2は、前記排出口から前記温風を前記エンジンカバーの外側に排出するために、この排出口をエンジンカバーの外側に臨ませ、外側に排出された温風を、エンジンカバー内に導く導入口を設け、この導入口からエンジンカバー内に導いた外気を前記吸気口から吸い込むように構成したことを特徴とする。
【0009】
排出口から温風をエンジンカバーの外側に排出し、排出した温風を導入口からエンジンカバー内に導く。
よって、温風が導入口近傍の外気と混合して、導入口近傍の外気を温風で好適に高めることができる。
【0010】
温度を好適に高めた外気を導入口からエンジンカバー内に導いて吸気口からエアクリーナに吸い込む。
これにより、除雪機を、寒冷地の外気(空気)が冷たい環境下で駆動させる場合でも、温度を好適に高めた空気をエアクリーナの吸気口から吸い込むことが可能になり、アイシングが発生することを防止できる。
【0011】
請求項3は、前記排出口を前記導入口に向けて配置し、前記導入口を前記吸気口の下方に配置するとともに吸気口に臨ませたことを特徴とする。
【0012】
排出口を導入口に向けて配置することで、排出口から排出した温風を導入口に良好に導くことができる。よって、導入口近傍の外気に温風を一層良好に混合させて、導入口近傍の外気温度を一層好適に高めることができる。
さらに、導入口を吸気口の下方に配置するとともに吸気口に臨ませることで、導入口から外気を吸気口に良好に導くことができる。
これにより、温風で一層好適に高められた外気を、導入口から吸気口に良好に導いて、吸気口からエアクリーナに吸い込むことができる。
【0013】
請求項4は、前記案内流路を前記エンジンカバーで形成したことを特徴とする。
【0014】
案内流路をエンジンカバーで形成することで、案内流路を形成するために専用の部材を用意する必要がない。
このため、部品点数を減らして構成の簡素化を図るとともに、組立工程の簡素化を図ることができる。
【0015】
請求項5は、前記案内流路側の空間と前記吸気口側の空間とを仕切る仕切壁を備えたことを特徴とする。
【0016】
案内流路側の空間と吸気口側の空間と仕切壁で仕切ることで、温風をエンジンカバーから外部に排出する前に、温風が吸気口側に導かれることを防ぐことができる。
よって、全ての温風を、エンジンカバーの外部で外気と一層良好に混合させることが可能になる。
これにより、吸気口から吸い込む空気の温度をより一層好適な温度に保つことができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、アイシングの発生を防止することで、エンジンの始動性を高めることができるという利点がある。
【0018】
請求項2に係る発明では、寒冷地の外気(空気)が冷たい環境下で駆動させる場合でも、アイシングの発生を防止してエンジンの始動性を高めることができるという利点がある。
【0019】
請求項3に係る発明では、温風で一層好適に高められた外気を、導入口から吸気口に良好に導いて、吸気口からエアクリーナに吸い込むことで、エンジンの始動性を一層高めることができるという利点がある。
【0020】
請求項4に係る発明では、案内流路をエンジンカバーで形成することで、部品点数を減らして構成の簡素化を図るとともに、組立工程の簡素化を図ることができるという利点がある。
【0021】
請求項5に係る発明では、全ての温風を、エンジンカバーの外部で外気と一層良好に混合させることで、吸気口から吸い込む空気の温度をより一層好適な温度に保つことができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。
【0023】
図1は本発明に係る除雪機を示す側面図である。
除雪機10は、機体11の下方に走行ユニット12を設け、この走行ユニット12の駆動源となるエンジン13を機体11に搭載し、この機体11の上方にエンジン13を保護するエンジンカバー14を設け、このエンジンカバー14の前方に、雪を除去するロータリ除雪部15を配置するとともに、このロータリ除雪部15を機体11の前部に備える。
エンジン13は、本体16の上部に燃料タンク17、エアクリーナ18およびマフラー19を備える。
【0024】
走行ユニット12は、左右の走行部22,23を備え、左走行部22の回転速度を調整する左電動モータ24および左減速部25を備え、右走行部23の回転速度を調整する右電動モータ26および右減速部27を備える。
左右の電動モータ24,26を駆動する発電機28をエンジン13に備える。エンジン13で発電機28を駆動することにより電圧を発生し、発生した電圧で左右の電動モータ24,26を駆動する。
【0025】
左走行部22は、前部の遊動輪22aと後部の駆動輪22bとにクローラベルト22cを巻き掛け、駆動輪22bを左電動モータ24で正逆転させるクローラ式の走行部である。
右走行部23は、左走行部22と左右対称の部材であり、それぞれの構成部材に同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
ロータリ除雪部15は、エンジン13の出力軸29を電磁クラッチ部32などを介して駆動軸34に連結し、駆動軸34をオーガハウジング38内に延ばしてブロア41およびオーガ42に連結し、オーガハウジング38の上部にシュータ43を旋回自在に備える。
【0027】
この除雪機10で除雪作業をおこなう際には、作業者が左右のグリップ部47,48をそれぞれ左右の手で握り、機体11を前進させる。
機体11を前進させながらオーガ42で雪を機体中央に掻き集め、掻き集めた雪をブロア41で跳ね上げ、跳ね上げた雪をシュータ43で投雪する。
【0028】
図2は本発明に係る除雪機のエンジンカバーを外した状態を示す分解斜視図、図3は本発明に係る除雪機を背面側から見た断面図である。
除雪機10は、機体11にエンジン13のベース部51を取り付けることで、エンジン13のシリンダブロック52を機体11の左側に配置し、シリンダブロック52の上後部にエアクリーナ18を設けるとともにシリンダブロック52の上前部にマフラー19を設け、エンジン13の後側(一方側)に冷却風を送風する冷却ファン54(図4参照)を設け、冷却ファン54を覆うファンカバー55を設け、エンジン13の周囲をエンジンカバー14で覆うものである。
【0029】
エンジン13は、シリンダブロック52内に傾斜シリンダ(図示せず)を備える。シリンダブロック52の上部とエアクリーナ18との間に、冷却風が通過する空間を備える。同様に、シリンダブロック52の上部とマフラー19との間に、冷却風が通過する空間を備える。
冷却ファン54およびファンカバー55は、エンジンカバー14内に配置される。ファンカバー55は、冷却ファン54に空気を導くための吸込口55a…を備える。
【0030】
エンジンカバー14は、エンジン13の周囲を上カバー61で覆うとともに、上カバー61の下部開口64を下カバー62で塞ぐことで、上下のカバー61,62でエンジン13を収納するエンジン収納空間65を形成する。
上カバー61は、略矩形状に形成した外周壁67と、外周壁67の頂部に設けた天井部68と、天井壁68の開口部69から下方に延ばした内周壁71とからなり、外周壁67および内周壁71で部分的に二重壁を構成するカバーである。
【0031】
外周壁67は、前後の壁部73,74および左右の壁部75,76で略矩形状に形成した壁体である。
外周壁67の頂部に天井部68が設けられ、天井部68の中央に開口部69が形成されている。開口部69は、燃料タンク17、エアクリーナ18およびマフラー19を上カバー61の上方に露出させるための開口である。
この開口部69の周縁から下方に向けて内周壁71が形成されている。
【0032】
図4は本発明に係る除雪機のエンジンとエンジンカバーとの関係を説明する図、図5は本発明に係る除雪機を側面側から見た断面図である。
なお、図4において、構成の理解を容易にするために上カバー61に収納された部材を実線で示した。
【0033】
上カバー61の天井部68に開口部69が設けられている。開口部69から燃料タンク17、エアクリーナ18およびマフラー19が上方に突出している。
燃料タンク17の後壁17aと開口部69との間に所定の間隔を形成することで、後壁17aと開口部69とでエア吸込口78を形成する。
エア吸込口78の下方にファンカバー55を配置し、ファンカバー55の吸込口55a…を外周壁67の後壁部74に臨ませる。ファンカバー55の吸込口55a…はエア吸込口78に連通する。
【0034】
マフラー19の前壁19aと開口部69との間に間隔を形成することで、前壁19aと開口部69とで冷却風導入口81を形成する。
冷却風導入口81から湾曲壁部83を下方に延ばす。湾曲壁部83は、内周壁71のうち、シリンダブロック52の前側(エンジンの他方側)52aに臨む部位で構成されている。
【0035】
この湾曲壁部83は、冷却風導入口81から下向き後方に湾曲状に延びる壁部である。
湾曲壁部83の右側に右ガイド壁部84(図2も参照)を形成するとともに、湾曲壁部83の左側に左ガイド壁部85を形成する。湾曲壁部83および左右のガイド壁部84,85で案内流路86を形成する。
【0036】
これにより、案内流路86は、エンジンカバー14に一体に形成される。
案内流路86をエンジンカバー14を利用して形成することで、案内流路86を形成するために専用の部材を用意する必要がない。
このため、部品点数を減らして構成の簡素化を図るとともに、組立工程の簡素化を図ることができる。
【0037】
なお、図2に示すように、エンジンカバー14は、湾曲壁部83および左右のガイド壁部84,85からなる壁部と外周壁67とで二重壁を構成する。
【0038】
下カバー62は、シリンダブロック52の下方に底部プレート88を備え、底部プレート88から鉛直に立ち上げた仕切壁89を備える。
底部プレート88は、略5角形に形成されたプレートで、湾曲壁部83の下端部83aから機体後方に間隔L寸法離した状態で、湾曲壁部83の下端部83aと略同じ高さに配置されている。
【0039】
湾曲壁部83の下端部83a、左ガイド壁部85の下端部85a、底部プレート88の前辺88aおよびエンジン13で排出口91を形成する。
この排出口91は、案内流路86の下端部86aに設けられ、エンジンカバー14の下カバー62から外側に臨む開口である。
【0040】
底部プレート88には、仕切壁89の後方に導入口92が形成されている。この導入口92は、排出口91の後方に配置されている。
ここで、湾曲壁部83を、機体11の後方に向けて湾曲状に形成することで、排出口91が導入口92に向けて開口される。
【0041】
仕切壁89は、エアクリーナ18の吸気管94と、左ガイド壁部85との間に設けられている。仕切壁89で、案内流路86側の前空間(案内流路側の空間)101と吸気管94側の後空間(吸気管側の空間)102を仕切る。
後空間102に導入口92を臨ませる。これにより、後空間102は導入口92を介して外部に連通する。
【0042】
また、後空間102に、吸気管94の吸気口(すなわち、エアクリーナ18の吸気口)95を下向きに臨ませる。この吸気口95は、導入口92の上方に配置されるとともに、導入口92に臨むように配置されている。
換言すれば、導入口92は、吸気口95の下方に配置されるとともに、吸気口95に臨むように配置されている。
【0043】
エアクリーナ18の吸気口95は、吸気管94を介してエアクリーナ18に連通している。吸気管94は、エアクリーナ18の左壁18aに設けられ、下吸気管96および上吸気管97からなる。
下吸気管96は、外周壁67の左壁部75(図2も参照)に一体に形成され、下吸気管96の下端部に吸込口95を備える。
上吸気管97は、下端部が下吸気管96の上端部に連通され、上端部がエアクリーナ18に連通されている。
下吸気管96および上吸気管97の連通部に保護カバー98を取り付ける。
【0044】
除雪機10によれば、冷却ファン54を回転することで、エア吸込口78から空気(外気)をエンジン収納空間65に吸い込む。吸い込んだ空気を冷却ファン54から冷却風としてシリンダブロック52の後側(エンジンの一方側)52bに送風する。
この冷却風はシリンダブロック52の後側52bから上側(エンジンの上側)52cに導かれる。上側52cに導かれた冷却風は前側(エンジンの他方側)52aに到達する。
【0045】
シリンダブロック52の前側52aに到達した冷却風は、案内流路86を経て排出口91まで導かれる。
すなわち、案内流路86は、シリンダブロック52の前側52aまで導かれた冷却風を前側52aに沿わせて下向きに案内する流路である。
これにより、冷却風でシリンダブロック52を冷却し、冷却風は温風になる。
【0046】
案内流路86側の前空間101と吸気管94側の後空間102は、仕切壁89で仕切られている。
このため、案内流路86で案内された温風は、途中から後空間102に侵入しないで、排出口91に良好に導かれる。
【0047】
ここで、排出口91は導入口92に向けて形成されている。よって、排出口91から排出された温風は導入口92に導かれる。導入口92に導かれた温風は、導入口92を経て後空間102に導かれる。
案内流路86側の前空間101と吸気管94側の後空間102は、仕切壁89で仕切られている。
このため、後空間102に導かれた温風が、前空間101に侵入することを仕切壁89で防止する。
【0048】
この状態において、エンジン13が駆動されているので、エアクリーナ18の吸気口95には吸込力が作用している。
加えて、導入口92は吸気口95の下方に配置するとともに、吸気口95に臨ませて配置されている。
【0049】
よって、導入口92から後空間102に温風が導かれると、導かれた温風は吸気口95からエアクリーナ18内に吸い込まれる。
すなわち、排出口91は、シリンダブロック52を冷却して温風となった冷却風を、吸気口95に向けて排出するものである。
【0050】
次に、除雪機10のエンジンを冷却風で冷却する例を図6〜図7に基づいて説明する。
図6(a),(b)は本発明に係る除雪機のシリンダブロックに沿わせて冷却風を導く例を説明する図である。
(a)において、エンジン13を駆動することで、冷却ファン54を回転する。冷却ファン54を回転することで、エア吸込口78から空気を矢印Aの如くエンジン収納空間65に吸い込む。
吸い込んだ空気を、ファンカバー55の吸込口55a…からファンカバー55内に導く。
【0051】
(b)において、この空気を冷却ファン54から冷却風として矢印Bの如くシリンダブロック52の後側52bに送風する。
冷却風はシリンダブロック52の後側52bからシリンダブロックの上側52cに矢印Cの如く導かれる。上側52cに導かれた冷却風は前側52aに矢印Dの如く到達する。
シリンダブロック52の前側52aに到達した冷却風は、冷却風導入口81から案内流路86に導かれる。
【0052】
図7(a),(b)は本発明に係る除雪機のシリンダブロックを冷却した温風をエアクリーナに導く例を説明する図である。
(a)において、案内流路86に導かれた冷却風は、案内流路86を矢印Eの如く流れて排出口91まで導かれる。
【0053】
このように、冷却風を、シリンダブロック52の後側52bから上側52cを経て前側52aまで導く。
さらに、前側52aまで導いた冷却風を案内流路86で前側52aに沿わせて下向きに案内する。これにより、シリンダブロック52を冷却風で冷却する。
シリンダブロック52を冷却した冷却風は温風になる。この温風が排出口91から矢印Fの如くエンジンカバー14の外部に排出される。
【0054】
エンジンカバー14の内部は、案内流路86側の前空間101と吸気管94側の後空間102が仕切壁89で仕切られている。
よって、全ての温風を、エンジンカバー14の外部に排出口91から良好に排出することができる。
加えて、排出口91は導入口92に向けて配置されているので、排出口91から排出された温風を矢印Gの如く導入口92側に良好に導くことができる。
これにより、導入口92側に導かれた温風を、導入口92近傍の外気と良好に混合させて、導入口92近傍の外気を好適な温度に高めることができる。
【0055】
ここで、温風と混合した導入口92近傍の外気は、エアクリーナ18の吸気口95の近傍に位置する。よって、吸気口95から、温風と混合した導入口92近傍の外気に吸込力が働く。
加えて、導入口92は吸気口95の下方に配置され、かつ吸気口に臨ませている。よって、導入口92近傍の外気を好適な温度に高めることで、導入口92近傍の外気は吸気口95に向けて上昇する。
これにより、導入口92近傍の外気は、より一層良好に導入口92を経て矢印Hの如く後空間102に導かれる。
【0056】
(b)において、好適な温度に高められた空気が後空間102に導かれると、導かれた空気は吸気口95に矢印Iの如く良好に導かれる。
吸気口95に導かれた空気は、吸気口95を経てエアクリーナ18内に矢印Jの如く吸い込まれる。
これにより、好適な温度に高められた空気をエアクリーナ18に吸い込むことができる。
【0057】
したがって、除雪機10を、寒冷地の外気(空気)が冷たい環境下で駆動させる場合でも、温度を好適に高めた空気をエアクリーナ18の吸気口95から吸い込むことができる。
このように、温度を好適に高めた空気をエアクリーナ18に吸い込むことで、空気中の水分が氷結してアイシングが発生することを防止できる。
【0058】
なお、前記実施の形態では、エンジン13で発電機28を駆動し、発生した電圧で左右の電動モータ24,26を駆動し、左右の電動モータ24,26で左右の走行部22,23を駆動する構成について例示したが、これに限らないで、例えば、エンジン13の回転力を左右の走行部22,23に機械的に伝える構成とすることも可能である。
【0059】
また、前記実施の形態では、左右の走行部22,23としてクローラベルト22cを用いたクローラ式の走行部を例示したが、これに限らないで、左右の走行部を車輪式とすることも可能である。
【0060】
さらに、前記実施の形態では、除雪部としてロータリ除雪部15を例に説明したが、これに限らないで、例えば排雪板(排雪ブレード)を除雪部として用いてもよい。
【0061】
また、前記実施の形態では、温風をエンジンカバー14の外部に排出し、排出した温風を、導入口92側に導くように構成した例について説明したが、これに限らないで、温風をエンジンカバー14内を通して導入口92側に導くように構成することも可能である。
【0062】
さらに、前記実施の形態では、案内流路86をエンジンカバー14に一体に形成したが、これに限らないで、エンジンカバー14とは別に、案内流路86用の専用部材を用意し、用意した専用部材で案内流路86を形成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、エンジンを冷却する冷却ファンや、エアクリーナに空気を吸い込む吸気口をエンジンカバー内に設けた除雪機への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る除雪機を示す側面図である。
【図2】本発明に係る除雪機のエンジンカバーを外した状態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係る除雪機を背面側から見た断面図である。
【図4】本発明に係る除雪機のエンジンとエンジンカバーとの関係を説明する図である。
【図5】本発明に係る除雪機を側面側から見た断面図である。
【図6】本発明に係る除雪機のシリンダブロックに沿わせて冷却風を導く例を説明する図である。
【図7】本発明に係る除雪機のシリンダブロックを冷却した温風をエアクリーナに導く例を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
10…除雪機、11…機体、13…エンジン、14…エンジンカバー、18…エアクリーナ、52a…シリンダブロックの前側(エンジンの他方側)、52b…シリンダブロックの後側(エンジンの一方側)、52c…シリンダブロックの上側(エンジンの上側)、54…冷却ファン、86…案内流路、86a…下端部、89…仕切壁、91…排出口、92…導入口、95…吸気口、101…前空間(案内流路側の空間)、102…後空間(吸気管側の空間)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体にエンジンを搭載し、この機体の上方にエンジンを保護するエンジンカバーを設け、このエンジンカバー内にエアクリーナの吸気口を設けるとともに、エンジンカバー内で、かつエンジンの一方側に冷却風を送風する冷却ファンを設け、この冷却風をエンジンの一方側から上側を経て他方側まで導くことでエンジンを冷却風で冷却する除雪機において、
前記エンジンの他方側まで導かれた冷却風を前記他方側に沿わせて下向きに案内する案内流路を設け、
この案内流路の下端部に、エンジンを冷却して温風となった冷却風を、前記吸気口に向けて排出する排出口を設けたことを特徴とする除雪機。
【請求項2】
前記排出口から前記温風を前記エンジンカバーの外側に排出するために、この排出口をエンジンカバーの外側に臨ませ、
外側に排出された温風を、エンジンカバー内に導く導入口を設け、
この導入口からエンジンカバー内に導いた外気を前記吸気口から吸い込むように構成したことを特徴とする請求項1記載の除雪機。
【請求項3】
前記排出口を前記導入口に向けて配置し、
前記導入口を前記吸気口の下方に配置するとともに吸気口に臨ませたことを特徴とする請求項2記載の除雪機。
【請求項4】
前記案内流路を前記エンジンカバーで形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の除雪機。
【請求項5】
前記案内流路側の空間と前記吸気口側の空間とを仕切る仕切壁を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の除雪機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−32233(P2007−32233A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221630(P2005−221630)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】