階段マット

【目的】衝撃吸収性・吸音性に富み、滑りにくく、取り外しが容易な階段マットを提供することである。
【構成】弾性を有する合成樹脂で形成された最上層２と、密着性を有する合成樹脂で形成された最下層３とを有する積層構造とする。踏板の踏面上に載置すると、最下層３は踏板の踏面に密着する。階段昇降時には、最上層２が弾力的に圧縮され、滑りを防止し、衝撃や音を吸収する。

【考案の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】
この考案は、階段の踏板に敷く階段マットに関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、住宅内部の階段の踏板には木材を使用し、踏板の踏面は木材のままとするか、木材の上にリノリウムやカーペットなどを敷いて仕上げ、踏板の先端部には帯状の滑り止めを取り付ける。また、踏板自体に溝を彫ってこれに代えることもある。
【０００３】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、踏板の踏面を木材のままにしておくと、弾性に乏しいため、昇降時の衝撃が脚に伝わり、足音が響くという問題があった。また、踏面が平滑に仕上げられていることから、帯状の滑り止めや溝を設けても滑り止め効果が十分に得られないという問題もあった。
【０００４】
比較的大きい弾性を有するリノリウムやカーペットなどを敷くと、上記のような問題は解決されるが、これらは踏板に接着して固定されるため、汚れたときや磨耗したときの交換に大変手間を要した。
【０００５】
そこで、この考案の課題は、衝撃吸収性・吸音性に富み、滑りにくく、取り外しが容易な階段マットを提供することである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この考案は、弾性を有する合成樹脂で形成された最上層と、密着性を有する合成樹脂で形成された最下層とを有する積層構造を採用したのである。
【０００７】
弾性を有する合成樹脂としては、エチレン酢酸ビニル共重合体を発泡させた素材があり、密着性を有する合成樹脂としては、ポリエチレンがある。
【０００８】
【作用】
階段の踏板の踏面上に載置すると、最下層は踏面に密着する。階段昇降時には、最上層が弾力的に圧縮される。
【０００９】
【実施例】
以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【００１０】
図１に示すように、この考案に係る階段マット１は、異種の合成樹脂の積層体から成り、最上層２は弾性を有し、最下層３は密着性を有する。
【００１１】
前記最上層２はエチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ樹脂）を発泡させた素材から成り、最下層３はポリエチレンから成る。最上層２と最下層３とは、接着力を高めるため、布４を介して貼り合わされている。
【００１２】
上記のような階段マット１を敷設するには、図２に示すように、階段の踏板の形状に応じて裁断し、踏板の踏面５上に載置すればよい。踏面５が平滑に仕上げられていれば、最下層３は踏板の踏面５に密着し、ずれることはない。
【００１３】
階段昇降時の衝撃や音は、最上層２が弾力的に圧縮されることにより吸収される。
【００１４】
また、最上層２の表面は摩擦が大きく、体重により足が最上層２に沈み込むので、滑りにくい。
【００１５】
さらに、最上層２は、内部に多数の気泡を有するので、保温性に優れ、冬季でも表面が極端に低温になることはなく、スリッパ等を履かずに昇降しても足が冷えない。
【００１６】
そのほか、敷設に際して接着剤を使用しないので、最上層２の表面が汚れた場合などには、簡単に取り外して交換することができる。
【００１７】
なお、ＥＶＡ樹脂を発泡させた素材は耐磨耗性にも優れるので、洗浄して反復使用することもできる。
【００１８】
【効果】
この考案によれば、以上のように、弾性を有する合成樹脂で形成された最上層と、密着性を有する合成樹脂で形成された最下層とを有する積層構造を採用したので、踏板の踏面上に載置すると、最下層が踏板の踏面に密着し、ずれることはなく、階段昇降時には最上層が弾力的に圧縮され、滑りを防止し、衝撃や音を吸収する。
【００１９】
また、敷設する際に接着する必要がないので、容易に取り外すことができる。
【００２０】
さらに、前記最上層にＥＶＡ樹脂を発泡させた素材を用いると、大きな弾性が得られ、最下層にポリエチレンを使用すると、優れた密着性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例の断面図
【図２】同上の使用状態を示す斜視図
【符号の説明】
１階段マット
２最上層
３最下層

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項１】弾性を有する合成樹脂で形成された最上層と、密着性を有する合成樹脂で形成された最下層とを有する積層構造の階段マット。
【請求項２】前記最上層がエチレン酢酸ビニル共重合体を発泡させた素材から成り、最下層がポリエチレンから成る請求項１に記載の階段マット。

【図１】