説明

隙間塞ぎ材および仮設足場

【課題】床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に設置されているか否かを確認することができる隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場の提供。
【解決手段】カバー材と、そのカバー材の上面の両端部近傍に取り付けられたロックプレートからなる隙間塞ぎ材であって、そのロックプレートはカバー材の長さ方向に上方に回転自在に設けられていることを特徴とする隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場や土木現場等の工事現場において、屋内外で用いられる仮設足場で作業床や作業員の通路などとして構築される足場板の隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場における仮設足場には、主としてビルの施工時などに用いられる枠組足場、主として住宅の施工時などに用いられる単管足場などがあり、また、支保工、ローリングタワーなども仮設足場の一態様である。
【0003】
例えば、枠組足場としては、コマと呼ばれる連結金具の複数個を側面に設けた支柱部材と水平材(腕木材ともいう。)を使用するタイプ(緊結型枠組足場)と、縦柱と横桟(横地材ともいう。)から構成されるH形状や鳥居形状の建枠を使用するタイプ(建枠型枠組足場)があり、いずれも対面する水平材の間又は横桟の間に床付き布枠(布板ともいう。)が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。また、支保工はコマと呼ばれる連結金具の複数個を側面に設けた支柱部材を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材のコマの間を長短2種の水平材(つなぎ材ともいう。)で水平2方向に連結することによって形成される緊結構造物であって、対向する水平材の間に床付き布枠を適宜架け渡すことで作業床や作業員の通路などとして使用することができる(以下、「支保工足場」という。)。なお、緊結型枠組足場や支保工足場で用いられる水平材は鋼製やアルミニウム製などの管の両端に端部金具を接合したものであって、この端部金具をコマに引っ掛けた後に、クサビによって緊結することで、支柱部材に固定して用いる。なお、支柱部材、水平材、建枠等は、鋼製やアルミニウム製などの管が用いられることが多い。
【0004】
このように、これらの仮設足場には、通常、床付き布枠が架け渡されて、作業床や作業員の通路などとして使用される。
【0005】
床付き布枠は、通常、長尺の主材の1本又は2本以上と、主材の長手方向の両端部に取り付けられる掴み金具と断面コの字形の梁材から構成されている。主材は水平面の床材部とその両縁側面を折り曲げてなる布材部とからなる。長尺の主材の両端部に断面コの字形の梁材が取り付けられ、そして、長尺の主材の両端部の四隅に掴み金具がリベット等で固定されて取り付けられる。なお、床付き布枠上を歩行する際に作業員が滑るのを防止するために、床材部の上面にはエンボス加工が施されることがある。また、床材部が幅方向に撓るのを防止するため、床材部の中央部の下側に桟木が設けられることがある。
【0006】
このようにして形成された床付き布枠は、対面する水平材の間又は横桟の間に架け渡されて、仮設足場の作業床や通路として使用される。このとき、仮設足場の作業床や通路の幅に応じて、床付き布枠を1枚又は2枚以上並べて架け渡すことによって、作業床又は通路が形成される。
【0007】
しかしながら、床付き布枠の両端部の掴み金具を水平材又は横桟に取り付けることによって床付き布枠を架け渡すと、床付き布枠の端面間には隙間が生じる。また、床付き布枠を架け渡した後に、その隣に支柱を挟む形で、その床付き布枠と平行して別の床付き布枠を並べて架け渡すことがあるが、この場合にも並行する床付き布枠の間には隙間が生じる。このような隙間があると、作業員が枠組み足場を組立若しくは解体する作業中に又は枠組み足場内を移動中に、その隙間から工具や建築資材等を落下させたり、作業員がその隙間につまづいたりするおそれがある。
【0008】
以下に、図面を用いて、床付き布枠の端面間および並行する床付き布枠間に生じる隙間について説明する。
【0009】
図1は、従来例にかかる支保工足場を示す平面図である。図1(a)が全体図、そして、図1(b)が中央部の拡大図である。
【0010】
この支保工式足場100は、コマ10と呼ばれる連結金具の複数個を周側面に設けた支柱部材3を縦方向に連結してなる支柱を行列状に配置し、これらの支柱部材のコマ10の間を長短2種の水平材(つなぎ材ともいう。)15で水平2方向に連結することによって形成される緊結構造物である。
【0011】
各支柱の下端は、ジャッキベース(図示せず)によって地面上に支持されている。支保工式足場100を組み立てる際には、まず、作業者が地面上に複数の支柱部材3を立設し、各支柱部材3の上部と下部のそれぞれにおいて、隣接する支柱部材3の間を短尺の水平材15aおよび長尺の水平材15bによって、それぞれ支柱部材3に対して直角に連結する。なお、短尺の水平材15aのことを特に「腕木材」と呼ぶことがある。そして、対面する短尺の水平材15aの間に床付き布枠9を架け渡す。同様にして、他の個所にも床付き布枠9を架け渡すことで、適宜必要な個所に作業床や作業員の通路などとして使用する足場を形成することができる。ここでは、対面する短尺の水平材15aの間に幅の異なる2種の床付き布枠が1枚ずつ並べて架け渡されることによって1つの足場が形成されていて、作業床又は通路として使用される。
【0012】
次に、作業者はこのようにして形成した足場(床付き布枠)に登り、既に立設されている支柱部材3の上端に別の支柱部材3を上段に連結して、この上段の支柱部材3の上部において、隣接する支柱部材3のコマ10の間を、短尺の水平材15aおよび長尺の水平材15bによって連結する。これらの手順を繰り返すことにより、所望の高さの支保工を組み立てることができる。このようにして組み立てられた上段にも、適宜必要な個所に床付き布枠9を架け渡すことができる。なお、床付き布枠を架け渡した個所は、作業床や作業員の通路などとして使用する足場となるので、作業員の転落防止のための手摺を設けることができる。
【0013】
ここでは、4つのコマ10が支柱部材3の周囲に十字状に設けられている。そして、水平材15はその両端部に端部金具17が接合されており、この端部金具17をコマ10に引っ掛けた後に、クサビ19を打ち込むことによって、コマ10に緊結される。なお、水平材15に接合されている端部金具17をコマ10に緊結するために用いるクサビ19は、水平材15の運搬時や保管時には、水平材15の端部近傍に設けられたクサビ収納孔20に差し込まれている。
【0014】
しかしながら、この支保工足場には、床付き布枠の端面間および並行する床付き布枠の間には隙間が生じている。
【0015】
なお、床付き布枠の両端部の掴み金具を水平材(腕木材)に取り付けて床付き布枠を架け渡して足場を形成する緊結式枠組足場においても床付き布枠の端面間に隙間が生じている。また、緊結式枠組足場においても床付き布枠を架け渡した後に、その隣に支柱を挟む形で、その床付き布枠と平行して別の床付き布枠を並べて架け渡すことがあるが、この場合にも並行する床付き布枠の間には隙間が生じている。
【0016】
特許文献1〜4には、建枠型枠組足場に関して、床付き布枠の端面間の隙間の上に設置してその隙間をカバーすることができる隙間塞ぎ材が提案されている。これらの隙間塞ぎ材は、高分子材料などからなるフック(係合片、弾性係止部)をカバー材の下方に備えており、このフックを建枠の管状の横桟(横地材)に引っかけることで、カバー材を床付き布枠の端面間の隙間の上に設置しようとするものである。
【0017】
さらに、特許文献4には、建枠型枠組足場に関して、床付き布枠を2枚並べて対面する横架材(横桟)の間に架け渡した場合に並行する床付き布枠の間に生じる隙間をカバーすることができる隙間塞ぎ材も提案されている。この隙間塞ぎ材は、高分子材料からなるカバー材の下方に一体に形成された板バネを備えており、この板バネを並行する床付き布枠の並行する床付き布枠の両サイドの間に押し込むことで、カバー材を並行する床付き布枠の隙間の上に設置しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004−84261号公報
【特許文献2】特開平10−169187号公報
【特許文献3】特開2008−45398号公報
【特許文献4】特開2002−371706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、これらのカバー材を有する隙間塞ぎ材は、カバー材の下方に備えた高分子材料などからなるフック(係合片、弾性係止部)を建枠の横桟に引っかけることによって、または、カバー材の下方に備えた高分子材料などからなる板バネを並行する床付き布枠の両サイドの間に押し込むことによって、カバー材を床付き布枠の端面間または並行する床付き布枠の隙間の上に設置しようとするものであるから、下方から風が吹き上げた場合にカバー材が床付き布枠から大きく浮き上がって、足場から脱落するおそれがある。また、フック(係合片、弾性係止部)または板バネはカバー材の下方に設けられていることから、カバー材が確実に床付き布枠の隙間の上に設置されているか否かを作業員が足場上から目視によって確認できないという問題点がある。
【0020】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に設置されているか否かを確認することが可能な隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、上記のような問題点を解決するために種々の検討を重ねた。その結果、次の(a)〜(i)に示す知見を得た。
【0022】
(a) 上記の従来技術に係る隙間塞ぎ材は、いずれも大がかりなフック(係合片、弾性係止部)または板バネをカバー材の下方に備えているので、積み重ね性が悪く、輸送時には場所をとるのでトラックの荷台に少量しか積めないという問題がある。したがって、カバー材に取り付ける設置部材は、嵩張らないものがよい。
【0023】
(b) また、カバー材に取り付ける設置部材としては、床付き布枠の隙間の上にカバー材を確実に設置でき、下方から風が吹き上げた場合であっても床付き布枠からカバー材が大きく浮き上がることがなく、足場から脱落するおそれがないものがよい。また、隙間塞ぎ材が床付き布枠上に確実に設置されているか否かを作業員が足場上から目視によって確認できるようにするためには、この設置部材を床付き布枠の上方に取り付けるのがよく、また、積み重ね性をよくするには嵩張らない設置部材とするのがよい。
【0024】
(c) 本発明者等は、緊結式枠組足場や支保工式足場のように、コマと呼ばれる連結金具の複数個を側面に設けた支柱部材を用いる足場の場合には、隙間塞ぎ材の設置にはコマを利用することができることに思い至った。また、緊結式枠組足場においては、支柱部材と水平材(腕木材)からなる枠組を形成し、対面する水平材(腕木材)の間に床付き布枠を架け渡して仮設足場を形成するから床付き布枠の端面間の隙間には水平材が位置し、そして、支保工足場においては、支柱部材のコマの間を長短2種の水平材(つなぎ材)で水平2方向に連結するから、床付き布枠の端面間の隙間だけでなく並行する床付き布枠の間の隙間にも水平材が位置することに思い至った。
【0025】
(d) すなわち、緊結式枠組足場や支保工式足場のようにコマを設けた支柱部材を用いる足場においては、両端部に端部金具が接合された水平材をコマに引っ掛けた後にクサビを打ち込むことによって水平材が支柱部材に緊結されている。したがって、この水平材の上に、床付き布枠の端面間の隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材を設置することができる。また、水平材の上に設置した隙間塞ぎ材が、下方から吹き上げた風によって大きく浮き上がることを防止するために、水平材の両端に接合された端部金具をコマに緊結するために打ち込まれたクサビのヘッドを利用することができる。
【0026】
そのためには、隙間塞ぎ材としては、支柱部材間の水平距離(短い方)とほぼ同じ長さを有するカバー材の端部近傍の上面に、設置部材としてロックプレートをカバー材の長さ方向に回転自在に設けてなる構造とすればよい。ロックプレートは、風により容易に回転しないように、作業に支障がない程度に抵抗のある回転となるように調節するのがよい。また、ロックプレートは、カバー材の端部方向への回転時には打ち込まれたクサビのヘッドに当たらず、そして、カバー材の端部方向に回転し終わった状態でカバー材全体が下方から吹き上げる風によって直上に持ち上げられたときには、打ち込まれたクサビのヘッドに当たるのがよい。ただし、ロックプレートをカバー材の端部方向に回転し終わった状態では、ロックプレートが打ち込まれたクサビのヘッドに接触している必要はなく、少々の遊びがあってもよい。こうすれば、カバー材の浮き上がりは止まるから、隙間塞ぎ材が床付き布枠の上から脱落することはない。また、ロックプレートの直上にクサビのヘッドが位置していればよいのであるから、隙間塞ぎ材が床付き布枠上から外れないように設置されているか否かを作業員が足場上から目視によって確認することができる。
【0027】
(e) また、床付き布枠を架け渡した後に、その隣に支柱を挟む形で、その床付き布枠と平行して別の床付き布枠を並べて架け渡す場合に、並行する床付き布枠の間に生じる隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材を、同様にして、水平材の上に、設置することができる。また、隙間塞ぎ材としては、支柱部材間の水平距離(長い方)とほぼ同じ長さを有するカバー材の端部近傍の上面に、設置部材として、上記と同様のロックプレートをカバー材の長さ方向に回転自在に設けてなる構造とすればよい。
【0028】
なお、支保工式足場の場合には、長い方の支柱部材間にも水平材が設けられているが、通常、緊結式枠組足場には長い方の支柱部材間に水平材が設けられていない。したがって、緊結式枠組足場において、並行する床付き布枠の間に生じる隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材を設置する際には、予め長い方の支柱部材間にも水平材を設けておく。
【0029】
並行する床付き布枠の間に生じる隙間を塞ぐための隙間塞ぎ材も、同様にして、床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に設置されているか否かを確認することができる。
【0030】
(f) なお、このロックプレートは、カバー材の長尺方向の上面の両方の端部近傍にカバー材の長さ方向に回転自在に設けてもよい。ただし、カバー材の長尺方向の上面のいずれかの端部近傍にはロックプレートを設置せず、代わりに、カバー材に孔を空け、この孔にL型のフックを通してから溶接等で接合し、これを支柱部材間に設置した水平材に穿たれた長円孔に引っ掛けることによって、カバー材の長尺方向の一方の端部を水平材に固定することができる。なお、水平材に穿たれた長円孔としては、水平材を支柱部材のコマに緊結するためのクサビを取り付けておくクサビ収納孔を利用することができる。もちろん、クサビ収納孔とは別の孔を穿ってこれにL型のフックを引っ掛けても構わない。
【0031】
(g) 隙間塞ぎ材は、支柱部材と水平材と床付き布枠を用いて足場が形成された時点で、足場の床面上に搬入することができる。この時、ロックプレートはカバー材31の中央方向に回転させた状態にしておく。
【0032】
隙間塞ぎ材を設置する手順は、次のとおりである。作業員は、隙間塞ぎ材を斜めに持ち、一方の端部のカバー材の凹み部を水平材の一方の端部金具の巾に合わせて嵌め込み、他方の端部のカバー材の凹み部も水平材の他方の端部金具の巾に合わせて落とし込むことで、嵌め込みが終わった後、ロックプレートをカバー材の端部方向へ回転させることで、カバー材の水平材の上への設置が完了する。
【0033】
このように、隙間塞ぎ材の設置は、支保工足場の形成後の安全に作業できる環境の中で行うことができるため、安全である。
【0034】
一方、隙間塞ぎ材を水平材の上から取り外す際には、隙間塞ぎ材の端部に設置されているロックプレートをカバー材の中央方向に回転させることにより、隙間塞ぎ材の取り外しが可能となる。このとき、ロックプレートはカバー材の上面に水平に載置されるので、積み重ね性がよく場所をとらないから、輸送時にはトラックの荷台に大量に積載することができる。
【0035】
(h) 隙間塞ぎ材上を歩行する際に作業員が滑るのを防止するために、隙間塞ぎ材のカバー材の上面にはエンボス加工を施すのが好ましい。あるいは、滑り止めテープを貼り付けても良い。
【0036】
(i) なお、このようなロックプレートは金属材料で製作することができるから、屋外で使用しても紫外線等による劣化が生じないので、経年品であっても割れなどが発生するおそれは小さい。
【0037】
本発明は、上記の知見に基づいて完成したものであって、その要旨は下記の(1)〜(4)の隙間塞ぎ材および下記(5)のこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる枠組足場にある。以下、総称して、本発明という。
【0038】
(1)カバー材と、そのカバー材の上面の両端部近傍に取り付けられたロックプレートからなる隙間塞ぎ材であって、そのロックプレートはカバー材の長さ方向に上方に回転自在に設けられていることを特徴とする隙間塞ぎ材。
【0039】
(2)カバー材と、そのカバー材の一方の端部近傍には下面にL型のフックが取り付けられ、そのカバー材の他方の端部近傍の上面にはロックプレートが取り付けられてなる隙間塞ぎ材であって、そのロックプレートはカバー材の長さ方向に上方に回転自在に設けられていることを特徴とする隙間塞ぎ材。
【0040】
(3) カバー材の上面にはエンボス加工が施されていることを特徴とする、上記(1)または(2)の隙間塞ぎ材。
【0041】
(4) カバー材の上面には滑り止めテープが貼り付けられていることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかの隙間塞ぎ材。
【0042】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかの隙間塞ぎ材を備えることを特徴とする仮設足場。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に設置されているか否かを確認することができる隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】従来例にかかる支保工足場を示す平面図である。
【図2】本発明に係る隙間塞ぎ材の一例である。
【図3】図2に示す隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間に設置したときの支保工足場を示す平面図である。
【図4】図3における支柱材回りの隙間塞ぎ材の設置状況を示す縦断面の拡大図を示す。
【図5】本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。
【図6】図5に示す隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間に設置したときの支保工足場を示す平面図である。
【図7】図6における支柱材回りの隙間塞ぎ材の設置状況を示す縦断面の拡大図を示す。
【図8】本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。
【図9】図8に示すこの隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間に設置したときの支保工足場を示す平面図である。
【図10】図9における支柱材回りの隙間塞ぎ材の設置状況を示す縦断面の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態に係る隙間塞ぎ材および仮設足場について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
図2は、本発明に係る隙間塞ぎ材の一例である。図2(a)が平面図、図2(b)がA部の拡大平面図、図2(c)はB―B矢視断面の拡大図、図2(d)がC−C矢視断面の拡大図、そして、図2(e)がD−D矢視断面の拡大図である。
【0047】
この隙間塞ぎ材30を構成するカバー材31は、両端に凹部32が形成されている。この凹部は、支柱部材に設けられたコマに連結される水平材の端部金具を収納できる形状である。カバー材31の断面形状は、図2(d)に示す断面形状を有している。カバー材31の一部には滑り止め防止のためにエンボス加工33が施されている(図2(e)参照)。そして、カバー材31の両端部近傍の上面には、平型蝶番34によってカバー材31の長さ方向に回転自在のロックプレート35が、ブラインドリベット36によってカバー材31に固定されている。ロックプレート35は、隙間塞ぎ材30の保管時や運搬時には、カバー材31の中心方向に折り畳まれている(図2(c)参照)。ここでは、ロックプレート35を回転自在にするための平型蝶番34は、ロックプレート35を手では容易に回転できるが、風により容易に回転しない程度に調整されている。
【0048】
図3は、この隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間に設置したときの支保工足場を示す平面図である。図3(a)が全体図、そして、図3(b)が中央部の拡大図である。
【0049】
図4に、中央部の支柱材回りの隙間塞ぎ材の設置状況を示す縦断面の拡大図を示す。図4(a)が図3(b)のA−A矢視断面の拡大図、そして図4(b)が図3(b)のB−B矢視断面の拡大図を示す。なお、図4(c)はロックプレートを端部金具から外した状態での図3(b)のB−B矢視断面の拡大図を示す。
【0050】
この隙間塞ぎ材は、図4(a)にみるごとく、カバー材31の中央部が、支柱部材間に位置する長尺の水平材15bの上に載置され、そして、カバー材31の側部が短幅の床付き布枠9aと長幅の床付き布枠9bの両縁側面の布材部の上に載置される。そして、図4(b)にみるごとく、ロックプレート35を外向けに回転させてロックプレート35を水平材の端部金具17に載せることによって、隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間の上に設置することができる。
【0051】
このようにして、平行する床付き布枠間の隙間が隙間塞ぎ材によって塞がれているので、作業員が支保工足場を組立若しくは解体する作業中に又は支保工足場上を移動中に、その隙間から工具や建築資材等を落下させたり、作業員がその隙間につまづいたりするおそれはなくなる。また、下方から風が吹き上げた場合にも隙間塞ぎ材の床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に隙間塞ぎ材が床付き布枠上に設置されているか否かを確認することができる。
【0052】
以上は、平行する床付き布枠間の隙間を隙間塞ぎ材によって塞ぐ手順を説明したが、床付き布枠の端面間の隙間も同様にして塞ぐことができることは言うまでもない。
【0053】
なお、隙間塞ぎ材を水平材15の上から取り外す際には、図4(c)にみるごとく、隙間塞ぎ材の両端部に設置されているロックプレート35をカバー材の内向けに回転させることにより隙間塞ぎ材の取り外しが可能となる。
【実施例2】
【0054】
図5は、本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。図5(a)が平面図、図5(b)がA部の拡大平面図、図5(c)はB―B矢視断面の拡大図、そして、図5(d)がC−C矢視断面の拡大図である。
【0055】
この隙間塞ぎ材30を構成するカバー材31の一部には滑り止め防止のために、エンボス加工の代わりに、滑り止めテープ38が貼付されている点を除いて、実施例1と同じである。
【0056】
すなわち、この隙間塞ぎ材に用いるカバー材31は、両端に凹部32が形成されている。この凹部は、支柱部材に設けられたコマに連結される水平材の端部金具を収納できる形状である。カバー材31の断面形状は、図5(d)に示す断面形状を有している。カバー材31の一部には滑り止め防止のために滑り止めテープ38が貼付されている。そして、カバー材31の両端部近傍の上面には、平型蝶番34によってカバー材31の長さ方向に回転自在のロックプレート35が、ブラインドリベット36によってカバー材31に固定されている。ロックプレート35は、隙間塞ぎ材30の保管時や運搬時には、カバー材31の中心方向に折り畳まれている(図5(c)参照)。ここでは、ロックプレート35を回転自在にするための平型蝶番34は、ロックプレート35を手では容易に回転できるが、風により容易に回転しない程度に調整されている。
【0057】
図6は、この隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間に設置したときの支保工足場を示す平面図である。図6(a)が全体図、そして、図6(b)が中央部の拡大図である。
【0058】
図7に、中央部の支柱材回りの隙間塞ぎ材の設置状況を示す縦断面の拡大図を示す。図7(a)が図6(b)のA−A矢視断面の拡大図、そして図7(b)が図6(b)のB−B矢視断面の拡大図を示す。なお、図7(c)はロックプレートを端部金具から外した状態での図6(b)のB−B矢視断面の拡大図を示す。
【0059】
この隙間塞ぎ材は、図7(a)にみるごとく、カバー材31の中央部が、支柱部材間に位置する長尺の水平材15bの上に載置され、そして、カバー材31の側部が短幅の床付き布枠9aと長幅の床付き布枠9bの両縁側面の布材部の上に載置される。そして、図7(b)にみるごとく、ロックプレート35を外向けに回転させてロックプレート35を水平材の端部金具17に載せることによって、隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間の上に設置することができる。
【0060】
このようにして、平行する床付き布枠間の隙間が隙間塞ぎ材によって塞がれているので、作業員が支保工足場を組立若しくは解体する作業中に又は支保工足場上を移動中に、その隙間から工具や建築資材等を落下させたり、作業員がその隙間につまづいたりするおそれはなくなる。また、下方から風が吹き上げた場合にも隙間塞ぎ材の床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に隙間塞ぎ材が床付き布枠上に設置されているか否かを確認することができる。
【0061】
以上は、平行する床付き布枠間の隙間を隙間塞ぎ材によって塞ぐ手順を説明したが、床付き布枠の端面間の隙間も同様にして塞ぐことができることは言うまでもない。
【0062】
なお、隙間塞ぎ材を水平材15の上から取り外す際には、図7(c)にみるごとく、隙間塞ぎ材の両端部に設置されているロックプレート35をカバー材の内向けに回転させることにより隙間塞ぎ材の取り外しが可能となる。
【実施例3】
【0063】
図8は、本発明に係る隙間塞ぎ材の他の例である。図8(a)が平面図、図8(b)がA部の拡大平面図、図8(c)はB―B矢視断面の拡大図、図8(d)がC−C矢視断面の拡大図、図8(e)がD部の拡大平面図、そして、図8(f)はE―E矢視断面の拡大図である。
【0064】
この隙間塞ぎ材に用いるカバー材31は、両端に凹部32が形成されている。この凹部は、支柱部材に設けられたコマに連結される水平材の端部金具を収納できる形状である。カバー材31の断面形状は、図8(d)に示す断面形状を有している。カバー材31の一部には滑り止め防止のために滑り止めテープ38が貼付されている。
【0065】
そして、カバー材31の左端部近傍にはフック取付孔40が開けられ、このフック取付孔40にL型フック41が通されてから溶接で接合されている。このL型フック41を、支柱部材間に設置した水平材15に穿たれたクサビ収納孔20に引っ掛けることによって、カバー材31の長尺方向の一方の端部を水平材15に固定することができる。ここでは、水平材15に穿たれたクサビ収納孔20を利用してL型フック41を水平材15に固定したが、クサビ収納孔20とは別の孔を水平材15に穿ってこれにL型フック41を引っ掛けても構わない。
【0066】
また、カバー材31の右端部近傍の上面には、平型蝶番34によりカバー材31の長さ方向に回転自在のロックプレート35が、ブラインドリベット36によってカバー材31に固定されている。ロックプレート35は、隙間塞ぎ材30の保管時や運搬時には、カバー材31の中心方向に折り畳まれている(図8(e)参照)。ここでは、ロックプレート35を回転自在にするための平型蝶番34は、ロックプレート35を手では容易に回転できるが、風により容易に回転しない程度に調整されている。
【0067】
図9は、この隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間に設置したときの支保工足場を示す平面図である。図9(a)が全体図、そして、図9(b)が中央部の拡大図である。
【0068】
図10に、中央部の支柱材回りの隙間塞ぎ材の設置状況を示す縦断面の拡大図を示す。図10(a)が図9(b)のA−A矢視断面の拡大図、そして図10(b)が図9(b)のB−B矢視断面の拡大図を示す。なお、図9(c)はロックプレートを端部金具から外した状態での図9(b)のB−B矢視断面の拡大図を示す。
【0069】
この隙間塞ぎ材は、図10(a)にみるごとく、カバー材31の中央部が、支柱部材間に位置する長尺の水平材15bの上に載置され、そして、カバー材31の側部が短幅の床付き布枠9aと長幅の床付き布枠9bの両縁側面の布材部の上に載置される。
【0070】
カバー材31を水平材15bの上に載置する際には、図10(b)にみるごとく、カバー材31の左端部近傍に設けられたL型フック41を、支柱部材間に設置した水平材15に穿たれたクサビ収納孔20に引っ掛けることによって、カバー材31の長尺方向の一方の端部は水平材15に固定される。
【0071】
次に、図10(b)にみるごとく、ロックプレート35を外向けに回転させてロックプレート35を水平材の端部金具17に載せることによって、隙間塞ぎ材を平行する床付き布枠間の隙間の上に設置することができる。
【0072】
このようにして、平行する床付き布枠間の隙間が隙間塞ぎ材によって塞がれているので、作業員が支保工足場を組立若しくは解体する作業中に又は支保工足場上を移動中に、その隙間から工具や建築資材等を落下させたり、作業員がその隙間につまづいたりするおそれはなくなる。また、下方から風が吹き上げた場合にも隙間塞ぎ材の床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に隙間塞ぎ材が床付き布枠上に設置されているか否かを確認することができる。
【0073】
以上は、平行する床付き布枠間の隙間を隙間塞ぎ材によって塞ぐ手順を説明したが、床付き布枠の端面間の隙間も同様にして塞ぐことができることは言うまでもない。
【0074】
なお、隙間塞ぎ材を水平材15の上から取り外す際には、図7(c)にみるごとく、隙間塞ぎ材の両端部に設置されているロックプレート35をカバー材の内向けに回転させることにより隙間塞ぎ材の取り外しが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、床付き布枠からの浮き上がりを防止することができ、かつ目視によって確実に設置されているか否かを確認することができる隙間塞ぎ材並びにこの隙間塞ぎ材を組み込んでなる仮設足場を提供する。
【符号の説明】
【0076】
3 支柱部材
9 床付き布枠
9a 短幅の床付き布枠
9b 長幅の床付き布枠
10 コマ
15 水平材
15a 短尺の水平材(腕木材)
15b 長尺の水平材
17 端部金具
19 クサビ
20 クサビ収納孔
30 隙間塞ぎ材
31 カバー材
32 凹部
33 エンボス加工
34 平蝶番
35 ロックプレート
36 ブラインドリベット
38 滑り止めテープ
40 フック取付孔
41 L型フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー材と、そのカバー材の上面の両端部近傍に取り付けられたロックプレートからなる隙間塞ぎ材であって、そのロックプレートはカバー材の長さ方向に上方に回転自在に設けられていることを特徴とする隙間塞ぎ材。
【請求項2】
カバー材と、そのカバー材の一方の端部近傍には下面にL型のフックが取り付けられ、そのカバー材の他方の端部近傍の上面にはロックプレートが取り付けられてなる隙間塞ぎ材であって、そのロックプレートはカバー材の長さ方向に上方に回転自在に設けられていることを特徴とする隙間塞ぎ材。
【請求項3】
カバー材の上面にはエンボス加工が施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の隙間塞ぎ材。
【請求項4】
カバー材の上面には滑り止めテープが貼り付けられていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の隙間塞ぎ材。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の隙間塞ぎ材を備えることを特徴とする仮設足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−226220(P2011−226220A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99444(P2010−99444)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)