説明

障害情報記憶装置および障害情報記憶方法

【課題】再生障害の障害情報を少ないメモリ容量で採取し、その少ない障害情報に基づいて当該再生障害の原因分析を容易に行うことが可能な「障害情報記憶装置および障害情報記憶方法」を提供する。
【解決手段】障害情報取得部560が取得した再生障害に関連する障害情報に基づいて、再生品質指標値演算部580が、ディスク120からオーディオデータを再生する際の再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求め、取得した障害情報が複数ある場合には、障害情報記憶部560が、各障害情報から求めた再生品質指標値の悪い順に、所定数の障害情報を内部記憶媒体500に記憶させることにより、障害情報を残すために多くのメモリ容量を必要とし、さらに、ユーザが、特に再生障害の原因究明に直結しやすい(再生品質の悪い)障害情報を容易に取得できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害情報記憶装置および障害情報記憶方法に関し、特に、記憶媒体から再生用のオーディオデータを読み出して再生する記憶媒体再生装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disk)に記憶されているオーディオデータを再生する記憶媒体再生装置では、再生時にこのオーディオデータを切れ目無く連続的に再生することにより、途切れの無い再生音を得ることができる。しかし、オーディオデータの再生中にCD表面上の傷、外部からの振動、再生装置の不具合などに基づく再生障害が発生すると、当該オーディオデータを切れ目無く再生することができず、音飛び、ノイズなどの不具合が発生してしまう。
【0003】
このような不具合の原因究明を行うために、オーディオデータの再生中に再生障害が発生した場合、当該オーディオデータが記憶されている記憶媒体を特定する情報と当該再生障害に関する障害情報とを対応付けて記憶部に記憶する技術(情報処理装置)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この技術によれば、再生障害発生時に使用していた記憶媒体と再生障害の発生状況を把握できることになり、あとで当該記憶媒体を用いた再生障害の再現試験にて不具合解析を行った際に、当該再生障害の原因を特定しやすくなる。
【特許文献1】特開2005−116028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、オーディオデータの再生中に再生障害が発生する度に、再生障害が発生した記憶媒体を特定する情報および当該再生障害に関する障害情報を記憶部に追加記憶していくため、当該記憶部は、当該障害情報を残すために多くのメモリ容量が必要であるという問題があった。また、記憶部には、特に再生障害の原因究明に直結しやすい障害情報と、それ以外の障害情報とが混在した状態で記憶されていたため、再生障害の原因究明を行うエンジニアは、再生障害の原因究明に直結しやすい障害情報の抽出に時間を費やしてしまい、早急に再生障害の原因に当たりをつけることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、再生障害の障害情報を少ないメモリ容量で採取し、かつ、その少ない障害情報に基づいて当該再生障害の原因分析を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明では、再生障害に関連する障害情報に基づいて、外部記憶媒体からオーディオデータを再生する際の再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求め、取得した障害情報が複数ある場合には、それぞれの障害情報から求めた再生品質指標値の悪い順に、所定数の障害情報を内部記憶媒体に記憶するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、再生品質指標値の悪い順に、所定数の障害情報に限って内部記憶媒体に記憶されるので、障害情報を残すために多くのメモリ容量を必要とせず、さらに、ユーザは、特に再生障害の原因究明に直結しやすい(再生品質の悪い)障害情報を容易に取得することができる。これにより、再生障害の障害情報を少ないメモリ容量で採取し、かつ、その採取した少ない障害情報に基づいて当該再生障害の原因分析を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による障害情報記憶装置を実施した記憶媒体再生装置100の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、記憶媒体再生装置100は、車両に搭載されている。
【0009】
図1において、120はCD、DVD等のディスク(外部記憶媒体)である。140はディスク120を乗せて回転させるターンテーブルである。160はディスク120を一定の速度で回転させるスピンドルモータである。180はスピンドルモータ160に対して速度制御を行うスピンドルサーボ回路である。200はディスク120にレーザビームを発射し反射ビームを検出する光ピックアップである。220は光ピックアップ200をディスク120の半径方向に送るスレッドモータである。
【0010】
240はスレッドサーボ回路であり、スレッドモータ220に対してディスク120のトラックを追跡するためのスレッドサーボ制御を行う。260はRFアンプであり、光ピックアップ200でディスク120から読み出したオーディオデータ信号を増幅する。280はディジタル信号処理回路であり、RFアンプ260により増幅されたオーディオデータ信号を入力して、当該オーディオデータ信号の復調を行う。
【0011】
300はフォーカスサーボ回路であり、光ピックアップ200に設けたフォーカスアクチュエータ(図示せず)を駆動し、フォーカスサーボ制御を行う。320はサーボドライバであり、フォーカスサーボ回路300からの制御信号を増幅してフォーカスアクチュエータを駆動する。340はトラッキングサーボ回路であり、光ピックアップ200に設けたトラッキングアクチュエータ(図示せず)を駆動し、トラッキングサーボ制御を行う。360はサーボドライバであり、トラッキングサーボ回路340からの制御信号を増幅してトラッキングアクチュエータを駆動する。380はサーボコントローラであり、後述するシステムコントローラ400の指令を受けて、ピックアップサーボ系の立ち上げ、当該ピックアップサーボ系に対する自動調整係数(フォーカスゲイン、トラッキングゲイン等)の調整や設定等を行う。
【0012】
420はACCオン・オフ検知部であり、エンジンキーの操作に伴うACCのオン・オフを検出する。440はディスク挿入検知部であり、記憶媒体再生装置100へのディスク120の挿入を検知する。460はローディング部であり、システムコントローラ400の制御にしたがいディスク120をターンテーブル140の上にローディングしたり、ターンテーブル140の上からアンローディングしたりする。
【0013】
480は操作部であり、ディスク120のイジェクト操作、ディスク120の切り替え操作などをユーザが行う。500は内部記憶媒体であり、ディスク120のTOC情報、再生障害に関連する障害情報等の各種データを記憶する。本実施形態では、内部記憶媒体500は、EEPROM(Erasable Programmable Read−Only Memory)であり、ACCオフ中にも上記各種データが保存されるようになっている。
【0014】
400はシステムコントローラであり、ディスク120に記憶されているオーディオデータを再生したり、再生障害に関連する障害情報を内部記憶媒体500に記憶させたりするために必要なシステムの全体的な制御を行う。本実施形態では、システムコントローラ400は、TOC情報取得部520、再生制御部540、障害情報取得部560、再生品質指標値演算部580、障害情報記憶部600、第2の障害情報記憶部620を備えて構成される。
【0015】
TOC情報取得部520は、ピックアップサーボ系の自動調整時に、ディスク120に記憶されているオーディオデータに関するTOC情報を取得する。具体的には、TOC情報取得部520は、光ピックアップ200、RFアンプ260、ディジタル信号処理回路280の経路でディスク120のリードイン(記憶の始まりを示すものとして付与されるデータ領域)に記憶されているTOC情報を取得し、RAM等の一時記憶メモリ(図示せず)に一時的に記憶させる。
【0016】
再生制御部540は、ディスク120に記憶されているオーディオデータを読み出し、その読み出したオーディオデータに基づいて楽曲を再生または停止する。具体的には、再生制御部540は、光ピックアップ200、RFアンプ260、ディジタル信号処理回路280の経路を経て復調されたオーディオデータに基づいて楽曲を再生しスピーカ(図示せず)から出力する。
【0017】
障害情報取得部560は、ディスク120から再生用のオーディオデータを読み出して再生している場合に発生した再生障害に関連する障害情報を取得する。再生品質指標値演算部580は、障害情報取得部560により取得された障害情報に基づいて、ディスク120からのオーディオデータを再生しているときにおける再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求める。
【0018】
障害情報記憶部600は、障害情報取得部560により取得された障害情報が複数ある場合には、再生品質指標値演算部580により演算された再生品質指標値の悪い順に、障害情報を含む障害履歴情報を内部記憶媒体500に所定数(本実施形態では、3つ)記憶させる。第2の障害情報取得部620は、障害情報取得部560により取得された障害情報が複数ある場合には、再生品質指標値の悪い順に記憶させた所定数(本実施形態では、3つ)の障害履歴情報とは別に、時間的に直近の障害履歴情報を内部記憶媒体500に所定数(本実施形態では、6つ)記憶させる。
【0019】
図2は、障害履歴情報のデータ構造例を示す図である。ここで、障害履歴情報は、現在再生中のディスク120が変更されるタイミングで、障害情報記憶部600および第2の障害情報記憶部620により内部記憶媒体500に記憶される情報である。図2(a)に示すように、障害情報(Play Error Info)は、障害履歴情報のByte6〜12に格納される。本実施形態では、障害情報には、再生障害に関連する複数種類の事象の発生回数をそれぞれ数値化した複数種類の事象情報が含まれる。
【0020】
Byte6には、「Sub−Q Error」の発生回数(ディスク120のミラー面保護処理の起動回数)を示す項目「SubQ Err」が格納される。具体的に、項目「SubQ Err」には、ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生中に「subcode Q」が光ピックアップ200により読み取れなかった場合の回数が記憶される。
【0021】
Byte7には、SPMの強制つなぎ発生回数を示す項目「SPM Err」が格納される。具体的に、項目「SPM Err」には、ショックプルーフパラメータにて設定したリトライ回数後、ディスク120から読み取られるべきオーディオデータが当該ショックプルーフメモリに入力されなかった回数が記憶される。
【0022】
Byte8には、傷Loop回避処理の発生回数を示す項目「Loop」が格納される。具体的に、項目「Loop」には、上述の「SubQ Err」が多く発生することにより、次の「subcode Q」がタイムアウトで読めなかった回数が記憶される。
【0023】
Byte9、10には、C2訂正不能の発生回数を示す項目「C2 Err」が格納される。具体的に、項目「C2 Err」には、ディスク120で使用されている誤り訂正符号で発生するエラーの一つであり、当該誤り訂正符号を用いてもフレーム内のエラー訂正に失敗した回数が記憶される。
【0024】
Byte11には、DRMファイル検出の発生回数を示す項目「DRM」が格納される。具体的に、項目「DRM」には、著作権保護が行なわれたファイル(例えば、WMAファイル、MP3ファイル)がディスク120に記憶されている場合に当該ファイルの再生を試みた回数が記憶される。
【0025】
Byte12には、「Impossible Decode File」検出の発生回数を示す項目「Impossible Decode」が格納される。具体的に、項目「Impossible Decode」には、例えば、ディスク120上の傷により、ディスク120に記憶されている圧縮済みのオーディオデータを再生できなかった回数が記憶される。
【0026】
次に、障害履歴情報に含まれる障害情報以外の項目について説明する。Byte0、1には、記憶媒体再生装置100の電源をオンにしてからディスク120から読み出されたオーディオデータの再生中に、10分置きに更新されるタイマー値を示す項目「Time Stamp」が格納される。Byte2〜5には、TOC情報取得部520により取得されたディスク120のTOC情報を示す項目「TOC」が格納される。項目「TOC」には、ディスク120においてオーディオデータが記憶されている先頭トラック番号を示す項目「A0」と、ディスク120においてオーディオデータが記憶されている最終トラック番号を示す項目「A1」と、オーディオデータの時間長(分、秒、フレーム)を示す項目「A2」とが格納される。
【0027】
図2(b)には、項目「TOC」のデータ構造例を示している。図2(b)に示すように、項目「TOC」には、Bit7に項目「A0」が格納され、Bit6〜0に項目「A1」が格納される。より具体的に説明すると、項目「A0」には、先頭トラック番号が1の場合には1が記憶され、先頭トラック番号が1以外の場合は0が記憶される。項目「A1」には、最終トラック番号として、1〜99のいずれかの2進値が記憶される。
【0028】
Byte13には、ディスク120から読み出されたオーディオデータの再生開始から5分毎にカウントされる時間を示す「Play Time」が格納される。具体的に、項目「Play Time」には、項目「Play Error Info」に記憶される各事象の発生回数のサンプリング時間が記憶される。
【0029】
Byte14には、ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生品質の指標値を示す項目「Play Quality Level」が格納される。具体的に、項目「Play Quality Level」には、上述の各事象の発生回数を重み付けして加算し、その加算値を再生時間(項目「Play Time」に記憶される値)で除算した値が記憶される。より詳細な再生品質指標値の演算方法については後述する。Byte15には、障害履歴情報の誤り検出符号として、障害履歴情報のByte0〜14のXOR値を示す項目「Check Sum」が格納される。
【0030】
次に、障害履歴情報のByte14に格納される再生品質指標値の演算方法について図3を参照しながら説明する。図3には、再生品質指標値の演算方法の例を示している。再生品質指標値演算部580は、図2のByte6〜10、12に示されている複数種類の事象情報の数値に対して重み付けを行い、その重み付けした値をそれぞれ加算し、その加算した値をディスク120の再生時間で除算した値を再生品質指標値として出力する。
【0031】
具体的には、図3(a)に示すように、再生品質指標値演算部580は、項目「Loop」(傷Loop回避処理起動回数)に記憶されている値を7ビット左シフト演算した値と、項目「Impossible Decode」(Impossible Decode発生回数)に記憶されている値を6ビット左シフト演算した値と、項目「SPM Err」(SPMエラー発生回数)に記憶されている値を5ビット左シフト演算した値と、項目「SubQ Err」(SubQエラー発生回数)に記憶されている値を4ビット左シフト演算した値と、項目「C2 Err」(C2エラー訂正不能回数)に記憶されている値を8ビット右シフト演算した値(下位1バイトは切り捨てる)とを加算して、その加算値(Play Quality Sum)を求める。本実施形態では、ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生における音飛び、音切れの原因につながる可能性が高い事象ほど、重い重み付けを行っている。
【0032】
次に、再生品質指標値演算部580は、当該加算値(Play Quality Sum)を項目「Play Time」(再生時間)に記憶されている値で除算することにより、単位時間あたりの再生品質指標値(Play Quality Level)を求める。図3(b)に示すように、再生品質指標値(Play Quality Level)が小さいことは、再生品質が高いことを示し、当該再生品質指標値が大きいことは、再生品質が低いことを示している。
【0033】
次に、障害情報が含まれる障害履歴情報の記憶方法について、具体的に説明する。図4は、障害履歴情報の記憶方法例を示した図である。障害情報記憶部600および第2の障害情報記憶部620は、現在再生中のディスク120が変更されるタイミング、例えば、ユーザが操作部480でディスク切り替え操作、ディスクイジェクト操作、または強制イジェクト操作を行ったタイミングで、そのディスク120の再生開始から今までに発生した再生障害に関連する障害情報が含まれる障害履歴情報を内部記憶媒体500に記憶させる。なお、障害情報記憶部600および第2の障害情報記憶部620は、ディスク120に記憶されているオーディオデータが少なくとも一度再生状態に至った場合のみに、障害履歴情報を内部記憶媒体500に記憶させる。
【0034】
図4(a)には、障害情報を含む障害履歴情報が記憶される内部記憶媒体500の記憶領域を示している。記憶領域「Play Condition Information」は、第1の記憶領域「Latest Condition Area」と、第2の記憶領域「Worst Condition Area」とから構成される。
【0035】
図4(a)に示すように、第1の記憶領域「Latest Condition Area」は、6個の障害履歴情報を記憶可能な容量を持ち、オーバーフロー時には最も古い障害履歴情報からサイクリックに上書き記憶される。すなわち、第2の障害情報記憶部620は、通番1に対応する記憶領域から順に、障害履歴情報を記憶させ、もし、通番6に対応する記憶領域まで障害履歴情報を記憶させた後、障害情報取得部560により障害情報がさらに取得された場合、障害履歴情報の記憶対象位置は、通番1に対応する記憶領域に戻り、当該障害情報が含まれる障害履歴情報を上書き記憶させる。
【0036】
第2の記憶領域「Worst Condition Area」は、3個の障害履歴情報を記憶可能な容量を持つ。障害情報記憶部580は、障害情報取得部560により今回取得された障害情報から求められた再生品質指標値が、第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている各障害履歴情報に対応する再生品質指標値と比較して、いずれかの再生品質指標値以上になる場合、今回取得された障害情報を含む障害履歴情報を第2の記憶領域に記憶されている過去の障害履歴情報の1つ(再生品質指標値が悪い方から数えて3位に該当する障害履歴情報)に代えて記憶させる(上書き記憶させる)。
【0037】
次に、障害履歴情報の記憶方法について具体例を示しながら説明する。図4(b)(c)には、障害情報取得部560により今回取得された障害情報に対応する再生品質指標値が、第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている各障害履歴情報に対応する再生品質指標値と比較して、いずれかの再生品質指標値を上回った場合の動作を示している。
【0038】
図4(b)には、障害情報取得部560により今回取得された障害情報が内部記憶媒体500に記憶される前の内部RAM(図示せず)と、内部記憶媒体500における第1の記憶領域「Latest Condition Area」および第2の記憶領域「Worst Condition Area」との状態を示している。
【0039】
内部RAMには、障害情報取得部560により前回取得された障害情報が記憶された第1の記憶領域「Latest Condition Area」における記憶位置(Play Condition Pointer)として0x02(通番2を表す。第1の記憶領域「Latest Condition Area」における矢印位置を参照)が記憶されている。
【0040】
また、内部RAMには、第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている障害履歴情報に対応する再生品質指標値のうち、悪い方から数えて3位に該当する再生品質指標値(Worst Condition Quality Level)として0x8Fが記憶されている。
【0041】
また、内部RAMには、第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている障害履歴情報に対応する再生品質指標値のうち、悪い方から数えて3位の再生品質指標値(Worst Condition Quality Level)に対応する障害履歴情報が記憶された第2の記憶領域「Worst Condition Area」における記憶位置として0x03(第2の記憶領域の先頭から3番目で通番9を表す。第2の記憶領域「Worst Condition Area」における矢印位置を参照)が記憶されている。また、内部RAMには、障害情報取得部560により今回取得された障害情報から求められた再生品質指標値(Current Play Quality Level)として0xA0が記憶されている。
【0042】
ここで、今回取得された障害情報を含む障害履歴情報は、第1の記憶領域において、前回取得された障害情報を含む障害履歴情報が記憶された位置(0x02)の次の記憶位置(0x03)に上書き記憶される。また、今回取得された障害情報に対応する再生品質指標値(0xA0)は、今まで第2の記憶領域に記憶されている障害履歴情報に対応する再生品質指標値のうち、悪い方から数えて3位に該当する再生品質指標値(0x8F)より大きいので、今回取得された障害情報に対応する再生品質指標値(0xA0)は、通番9の位置に記憶されている再生品質指標値(0x8F)に代えて記憶される。
【0043】
図4(c)には、障害情報取得部560により今回取得された障害情報を含む障害履歴情報が内部記憶媒体500に記憶された後の内部RAM、第1の記憶領域「Latest Condition Area」、第2の記憶領域「Worst Condition Area」の状態を示している。
【0044】
内部RAMには、障害情報取得部560により今回取得された障害情報が記憶された第1の記憶領域「Latest Condition Area」における記憶位置(Play Condition Pointer)として0x03(通番3を表す。第1の記憶領域「Latest Condition Area」における矢印位置を参照)が記憶されている。
【0045】
また、内部RAMには、第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている障害履歴情報に対応する再生品質指標値のうち、悪い方から数えて3位に該当する再生品質指標値(Worst Condition Quality Level)として0x95が記憶されている。すなわち、今まで悪い方から数えて3位であった再生品質指標値(0x8F)に代えて今回の再生品質指標値(0xA0)が記憶された結果、悪い方から数えて2位であった再生品質指標値(0x95)が、悪い方から数えて3位に繰り下がったことを示している。
【0046】
また、内部RAMには、第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている障害履歴情報に対応する再生品質指標値のうち、悪い方から数えて3位に該当する再生品質指標値(Worst Condition Quality Level)に対応する障害履歴情報が記憶された第2の記憶領域「Worst Condition Area」における記憶位置として0x02(第2の記憶領域の先頭から2番目で、通番8を表す。第2の記憶領域「Worst Condition Area」における矢印位置を参照)が記憶されている。
【0047】
また、障害情報取得部560により今回取得された障害情報から求められた再生品質指標値(Current Play Quality Level)が内部記憶媒体500に記憶された後は、内部RAMに再生品質指標値(Current Play Quality Level)としてその直前まで記憶されていた値(0xA0)は消去される。
【0048】
次に、本実施形態における障害情報記憶方法を実施した記憶媒体再生装置100の動作について説明する。図5、図6は、本実施形態による障害情報記憶方法を実施した記憶媒体再生装置100の動作例を示すフローチャートである。図5、図6における各処理は、ディスク120からオーディオデータを読み出して再生する場合における記憶媒体再生装置100の処理内容を示しており、ACCオンでスタートする。
【0049】
まず、ディスク挿入検知部440は、記憶媒体再生装置100へのディスク120の挿入の有無を判断する(ステップS100)。もし、記憶媒体再生装置100へディスク120が挿入されていないとディスク挿入検知部440にて判断した場合(ステップS100においてNO)、処理はステップS100に遷移し、ディスク挿入検知部440は、記憶媒体再生装置100へディスク120が挿入されるまでステップS100における判断処理を繰り返す。
【0050】
一方、記憶媒体再生装置100へディスク120が挿入がされたとディスク挿入検知部440にて判断した場合(ステップS100においてYES)、処理はステップS120に遷移する。ステップS120では、TOC情報取得部520は、光ピックアップ200、RFアンプ260、ディジタル信号処理回路280の経路でディスク120のリードインに記憶されているTOC情報を取得し、内部RAMに一時的に記憶させる。次に、再生制御部540は、内部RAMに一時的に記憶されているTOC情報を参照して1曲目の先頭をサーチし(ステップS140)、オーディオデータの再生を開始させる(ステップS160)。その後、再生制御部540は、再生障害に関する障害情報を取得し内部RAMに一時的に記憶させる(ステップS180)。
【0051】
ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生中、システムコントローラ400は、ユーザが操作部480でイジェクト操作または強制イジェクト操作を行ったか否かについて判定する(ステップS200)。もし、ユーザが操作部480でイジェクト操作または強制イジェクト操作を行ったとシステムコントローラ400にて判定した場合(ステップS200にてYES)、再生制御部540は、オーディオデータの再生を停止させる(ステップS220)。そして、処理はステップS240における障害情報記憶処理に遷移する。この障害情報記憶処理の詳細については後述する。障害情報記憶処理の終了後、処理はステップS100に遷移する。その後、ユーザが他のディスク120を挿入すると(ステップS100にてYES)、記憶媒体再生装置100は、再びステップS120以降の処理を行い、ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生を開始させる。
【0052】
一方、ユーザが操作部480でイジェクト操作または強制イジェクト操作を行っていないとシステムコントローラ400にて判定した場合(ステップS200にてNO)、システムコントローラ400は、ユーザがエンジンキーを回してACCをオフしたことを、ACCオン・オフ検出部240が検出したか否かについて判定する(ステップS260)。もし、ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生中に、ACCオン・オフ検出回路420がACCオフを検出したとシステムコントローラ400にて判定した場合(ステップS260にてYES)、再生制御部540は、オーディオデータの再生を停止させる(ステップS280)。その後、記憶媒体再生装置100における障害情報記憶処理は終了する。
【0053】
一方、ディスク120に記憶されているオーディオデータの再生中に、ACCオン・オフ検出回路420がACCオフを検出していないとシステムコントローラ400にて判定した場合(ステップS260にてNO)、システムコントローラ400は、ディスク120に記憶されているオーディオデータを再生中に、ユーザが操作部480でディスク切り替え操作を行ったか否かについて判定する(ステップS300)。もし、ディスク120に記憶されているオーディオデータを再生中に、ユーザが操作部480でディスク切り替え操作を行ったとシステムコントローラ400にて判定した場合(ステップS300にてYES)、再生制御部540は、オーディオデータの再生を停止させる(ステップS320)。そして、処理はステップS340における障害情報記憶処理に遷移する。障害情報記憶処理の終了後、ディスク切り替え操作が行われると(ステップS360)、記憶媒体再生装置100は、再びステップS120以降の処理を行い、切り替えられたディスク120に記憶されているオーディオデータの再生を開始させる。
【0054】
次に、障害情報記憶処理について説明する。図6は、本実施形態による記憶媒体再生装置100の障害情報記憶処理例を示すフローチャートである。まず、障害情報取得部560は、ディスク120から再生用のオーディオデータを読み出して再生している場合に発生した再生障害に関連する障害情報、すなわち、図5のメインフローの動作中(ステップS180)に内部RAMに記憶した障害情報を取得する(ステップS400)。同じく、障害情報取得部560は、図5のメインフローの動作中(ステップS120)に内部RAMに記憶されたTOC情報を取得する(ステップS420)。次に、再生品質指標値演算部580は、障害情報取得部560により取得された障害情報に基づいて、ディスク120からのオーディオデータを再生しているときにおける再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求める(ステップS440)。次に、障害情報記憶部600は、障害情報取得部560により求められた今回の再生品質指標値と、過去に求められて内部RAMに記憶されているWorst3位(悪い方から数えて3位に該当)の再生品質指標値とを比較する(ステップS460)。
【0055】
障害情報記憶部600は、今回の再生品質指標値が、過去に求められて内部RAMに記憶されているWorst3位の再生品質指標値より大きいか否かを判定する(ステップS480)。もし、今回の再生品質指標値が、過去に求められて内部RAMに記憶されているWorst3位の再生品質指標値より大きいと障害情報記憶部600にて判定された場合(ステップS480にてYES)、障害情報記憶部600は、今回取得した障害情報やTOC情報などを含む障害履歴情報を、内部記憶媒体500の第2の記憶領域「Worst Condition Area」に記憶されている過去のWorst3位の再生品質指標値に対応する履歴障害情報に代えて記憶する(ステップS500)。その後、処理はステップS520に遷移する。一方、今回の再生品質指標値が、過去に求められて内部RAMに記憶されているWorst3位の再生品質指標値以下であると障害情報記憶部600にて判定された場合(ステップS480にてNO)、処理はステップS520に遷移する。
【0056】
ステップS520では、第2の障害情報記憶部620は、内部記憶媒体500の第2の記憶領域に対する障害履歴情報の記憶とは別に、障害情報取得部560により今回取得した障害情報等を含む障害履歴情報を内部記憶媒体500の第1の記憶領域「Latest Condition Area」に記憶させる。その後、障害情報記憶処理は終了する。
【0057】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、障害情報取得部560により取得された障害情報に基づいて、再生品質指標値演算部580が、ディスク120からオーディオデータを再生する際の再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求め、取得した障害情報が複数ある場合には、障害情報記憶部600が、それぞれの障害情報から求めた再生品質指標値の悪い順に、3つの障害情報を内部記憶媒体500に記憶するようにしている。
【0058】
このようにすれば、再生品質指標値の悪い順に、3つの障害情報に限って内部記憶媒体500に記憶されるので、障害情報を残すために多くのメモリ容量を必要としない。さらに、ユーザは、特に再生障害の原因究明に直結しやすい(再生品質の悪い)障害情報を容易に取得することができる。これにより、再生障害の障害情報を少ないメモリ容量で採取し、かつ、その採取した少ない障害情報に基づいて当該再生障害の原因分析を容易に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態では、第2の障害情報記憶部620が、障害情報取得部560により取得された障害情報が複数ある場合には、再生品質指標値の悪い順に記憶させた3つの障害情報とは別に、時間的に直近の障害情報を内部記憶媒体500に6つ記憶させるようにしている。このようにすれば、時間的に直近の障害情報が内部記憶媒体500に6つ記憶されるので、その記憶された障害情報に基づいて、特に最近発生した障害の原因分析をより詳細に行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態では、障害情報記憶部600は、障害情報取得部560により取得された障害情報が複数ある場合、再生品質指標値演算部580により演算された再生品質指標値の悪い順に、3つの障害情報を内部記憶媒体500に記憶させているが、これに限定されない。例えば、内部記憶媒体500の比較的小さい記憶容量が許す範囲で、再生品質指標値の悪い順に4つ以上の障害情報を内部記憶媒体500に記憶させても良い。
【0061】
また、本実施形態では、第2の障害情報記憶部620は、障害情報取得部560により取得された障害情報が複数ある場合には、再生品質指標値の悪い順に記憶させた3つの障害情報とは別に、時間的に直近の障害情報を内部記憶媒体500に6つ記憶させているが、これに限定されない。例えば、時間的に直近の障害情報を全く記憶しなくても良い。逆に、内部記憶媒体500の比較的小さい記憶容量が許す範囲で、再生品質指標値の悪い順に記憶させた3つの障害情報とは別に、時間的に直近の障害情報を内部記憶媒体500に7つ以上記憶させても良い。
【0062】
また、本実施形態では、障害情報記憶部560が図2(a)に示す障害履歴情報を内部記憶媒体500に記憶させる例について説明したが、必ずしも当該障害履歴情報に含まれる全項目の情報を記憶させなくても良い。すなわち、障害情報記憶部560は、再生障害に関する障害分析に特に役立つ項目のみを障害履歴情報に含めて内部記憶媒体500に記憶させるようにしても良い。
【0063】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による障害情報記憶装置を実施した記憶媒体再生装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態による障害情報を含む障害履歴情報のデータ構造例を示す図である。
【図3】本実施形態による再生品質指標値の演算方法例を示す図である。
【図4】本実施形態による障害情報を含む障害履歴情報の記憶方法例を示す図である。
【図5】本実施形態による記憶媒体再生装置の障害履歴情報記憶動作例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態による記憶媒体再生装置の障害履歴情報記憶動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
100 記憶媒体再生装置
120 ディスク
140 ターンテーブル
160 スピンドルモータ
180 スピンドルサーボ回路
200 光ピックアップ
220 スレッドモータ
240 スレッドサーボ回路
260 RFアンプ
280 ディジタル信号処理回路
300 フォーカスサーボ回路
320 フォーカスサーボドライバ
340 トラッキングサーボ回路
360 トラッキングサーボドライバ
380 サーボコントローラ
400 システムコントローラ
420 ACCオン・オフ検出部
440 ディスク挿入検知部
460 ローディング部
480 操作部
500 内部記憶媒体
520 TOC情報取得部
540 再生制御部
560 障害情報取得部
580 再生品質指標値演算部
600 障害情報記憶部
620 第2の障害情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置に挿入された外部記憶媒体から再生用のオーディオデータを読み出して再生している場合に発生した再生障害に関連する障害情報を取得する障害情報取得部と、
前記障害情報取得部により取得された前記障害情報に基づいて、前記外部記憶媒体からの前記オーディオデータを再生しているときにおける再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求める再生品質指標値演算部と、
前記障害情報取得部により取得された障害情報が複数ある場合には、前記再生品質指標値演算部により演算された再生品質指標値の悪い順に、所定数の前記障害情報を前記再生装置の内部記憶媒体に記憶させる障害情報記憶部とを備えることを特徴とする障害情報記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の障害情報記憶装置において、
前記障害情報取得部により取得された障害情報が複数ある場合には、前記再生品質指標値の悪い順に記憶させた所定数の前記障害情報とは別に、時間的に直近の障害情報を前記内部記憶媒体に所定数記憶させる第2の障害情報記憶部を備えることを特徴とする障害情報記憶装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の障害情報記憶装置において、
前記障害情報には、前記再生障害に関連する複数種類の事象の発生回数をそれぞれ数値化した複数種類の事象情報が含まれ、
前記再生品質指標値演算部は、前記複数種類の事象情報の数値に対して重み付けを行い、その重み付けした値をそれぞれ加算し、その加算した値を前記外部記憶媒体の再生時間で除算した値を前記再生品質指標値として出力することを特徴とする障害情報記憶装置。
【請求項4】
再生装置に挿入された外部記憶媒体から再生用のオーディオデータを読み出して再生している場合に発生した再生障害に関連する障害情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップにより取得された前記障害情報に基づいて、前記外部記憶媒体からの前記オーディオデータを再生しているときにおける再生品質の指標となる再生品質指標値を演算によって求める第2のステップと、
前記第2のステップにより求められた今回の再生品質指標値が、過去に求められて前記再生装置の内部記憶媒体に記憶されている所定数の再生品質指標値と比較して、悪い方から数えて所定順位以内に入る場合、前記今回の再生品質指標値に対応する障害情報を前記内部記憶媒体に記憶されている過去の障害情報の1つに代えて前記内部記憶媒体に記憶させる第3のステップとを備えることを特徴とする障害情報記憶方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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