説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】地震情報を集合住宅インターホンシステムで報知させるにあたり、映像用伝送路を用いて高速に送信し可能とする。
【解決手段】集合住宅インターホンシステムにおいて、制御機と居室親機とは、データ用伝送路と、音声用伝送路と、映像用伝送路とで接続され、制御機は、地震情報を受信したとき、地震情報データを映像伝送路を介して居室親機に送信する制御をおこなう制御機CPUを有し、居室親機は、地震情報受信信号を受信すると、地震情報データを映像用伝送路から受信するために高速伝送切替部を制御して当該映像用伝送路と接続される居室親機CPUを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅インターホンシステムに係わり、特に地震が発生した場合にインターホンシステムを用いて迅速に報知させることができる集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緊急地震速報をおこなう集合住宅インターホンシステムとして、地震が発生しその情報を地震情報受信機で受信して、集合住宅のある地域での震度及び地震到達(S波到達)までの時間を計算し、その情報を集合住宅インターホンシステムに送信して、集合住宅インターホンシステムの音声ラインを用いて放送することができるものがあった(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-174542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような集合住宅インターホンシステムでは、音声の放送のみであるため居室親機のモニタにピクト表示する場合、メッセージを表示する場合、または避難情報等の案内図等を表示させる場合には、居室親機自身にその情報を備え、音声放送と同時にその情報を読み出して表示させるものであり、情報の自由度に欠けるものであった。これに対して制御機で居室親機のモニタに表示する地震情報データを所持している場合や制御機で当該地震情報データを作成する場合には、制御機内のデータを追加変更したり、制御機地震でデータを作成できるので表示させる自由度は向上するが、それらをデータ用伝送路を用いて送信する必要場合には、一般的にインターホンシステムで使用されるデータ用伝送路の伝送速度は1200bps程度と低速であるため情報を送信するのに大きな遅延時間が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の難点を解決するため、地震情報を集合住宅インターホンシステムで報知させるにあたり、データ用伝送路の伝送速度よりも高速である映像用伝送路(インターホンシステムで使用される映像用伝送路の伝送速度は一般的に1Mbps以上)を用いることにより、高速に送信可能で、且つ自由度の高い情報の送信をおこなうことが可能な集合住宅インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である集合住宅インターホンシステムは、来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機と、来訪者の呼び出しに応答して通話するための居室親機と、地震発生により震度、震源地等の地震情報を認識して送信するための地震情報受信機と、集合玄関機、居室親機及び地震情報受信機を制御するための制御機と、から構成される集合住宅インターホンシステムであって、制御機と居室親機とは、呼出信号、通話路や映像路を形成するための制御信号等の各種データ信号を送受信するためのデータ用伝送路と、集合玄関機と通話するための音声用伝送路と、集合玄関機で撮像した映像を居室親機で表示させるための映像用伝送路とで接続され、映像用伝送路は、データ量の大きな映像信号を送信するため、データ用伝送路に比べて伝送速度が高速であって、地震情報を受信したとき、データ用伝送路を介して居室親機に当該地震情報を受信した旨の地震情報受信信号を送信するとともに、地震情報を報知する対象となる居室親機と映像用伝送路により映像路を形成し、居室親機で報知するために地震情報データを作成し、映像伝送路を介して居室親機に送信する制御をおこなう制御機CPUを有し、居室親機は、地震情報受信信号を受信すると、地震情報データを映像用伝送路から受信するために高速伝送切替部を制御して当該映像用伝送路と接続される居室親機CPUを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様である集合住宅インターホンシステムは、請求項1において、制御機は、地震情報を受信したとき映像用伝送路が使用中であるかを確認するための信号センサを備え、制御機CPUは、信号センサから映像用伝送路が使用中であることを通知されると、集合玄関機及び当該集合玄関機の映像を表示している居室親機間の映像用伝送路を遮断するとともに、地震情報を受信する対象の居室親機と映像用伝送路により映像路を形成して当該地震情報を送信する制御をおこなうものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様である集合住宅インターホンシステムは、請求項1又は請求項2において、制御機CPUは、前記地震情報を受信したとき、前記データ用伝送路を介して前記居室親機に当該地震情報を受信した旨の地震情報受信信号を送信し、地震情報を報知する対象となる居室親機と通話用伝送路により通話路を形成して前記地震情報受信機から送信される音声データを送信する制御をおこなうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、地震情報を伝送速度が高速である映像用伝送路を用いて送信するため利用者はタイムラグが少ない地震情報を確認することができ、迅速な対応をおこなうことが可能となる。請求項2の発明によれば、集合玄関機と居室親機間で通話するなどの理由で映像伝送路が使用中であっても、強制的に映像用伝送路を地震情報送信のために使用することができる。請求項3の発明によれば、伝送障害により地震情報が映像用伝送路から送信できなかった場合であっても、音声用伝送路を用いて音声による放送をおこなうことが可能となるので、地震情報を必ず受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態である集合住宅インターホンシステムのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態である集合住宅インターホンシステムの制御機のブロック図である。
【図3】本発明に係る実施形態である集合住宅インターホンシステムの居室親機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による集合住宅インターホンシステムを適用した好ましい形態の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の集合住宅インターホンシステムのシステム構成図であり、来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機1と、来訪者の呼び出しに応答して通話するための居室親機3と、集合玄関機1又は居室親機3と通話するための管理室親機4と、地震発生により震度、震源地等の地震情報を認識して送信するための地震情報受信機5と、集合玄関機、居室親機及び地震情報受信機を制御するための制御機2と、地震情報受信機5に外部ネットワーク6を介して接続される気象庁等の外部機関7と、から構成されている。
【0012】
また、制御機2は、図2のブロック図に示すように、集合玄関機1とデータを送受信するための第1のデータIF21と、地震情報受信機5とデータを送受信するための第2のデータIF22と、居室親機3又は管理室親機4とデータを送受信するための第3のデータIF23と、音声用伝送路、映像用伝送路により通話路、映像路を形成するためのCH(チャンネル)切替部24と、音声用伝送路、映像用伝送路が使用中であるかを検出するための信号センサ25と、制御機2内の各部を制御するための制御機CPU26とから構成されている。
【0013】
さらに、居室親機3は、図3のブロック図に示すように、集合玄関機1で撮像した映像や制御機2から送信されるデータ(地震情報データ)からピクトや文字情報等をOSD(On-Screen Display)等で表示するためのモニタ31、復調回路32及び映像処理回路33と、集合玄関機1又は管理室親機4と通話するためのマイク34、スピーカ35及び通話回路36と、各種設定操作や通話操作等をおこなうための操作部37と、制御機2から映像用伝送路で送信される地震情報データを後述する居室親機CPU40で受信するための高速伝送切替部38と、制御機2と通信するための居室親機IF39と、居室親機3内の各部を制御するための居室親機CPU40とから構成されている。
【0014】
このように構成された集合住宅インターホンシステムについて、以下、動作を説明する。なお、集合玄関機1から居住者を呼び出すために居室番号を入力して居室親機3から呼出報知をおこない、それを確認した居住者が通話操作等をおこなって来訪者と通話し、必要に応じて、別途接続されたオートドア(図示せず)を解錠する動作等については従来と同様であるので説明を省略し、本実施例では、地震が発生し、その情報を居室親機において報知する場合動作について詳述するものとする。
【0015】
地震が発生すると、外部機関7は、外部ネットワーク6を介して地震情報受信機5に地震が発生したことを通知し、震源地、震度等の情報が送信される。地震情報受信機5では、送信された情報から当該地震情報受信機5のある地域の震度及び地震到達時間(S波の到達時間)を算出して、地震情報として集合住宅インターホンシステムの制御機2に送信する。
【0016】
制御機2では第2のデータIF22を介して制御機CPU26で受信される。このとき信号センサ25は映像用伝送路の使用状況を確認し、制御機CPU26に通知する。映像用伝送路を使用していない場合には、制御機CPU26の制御により制御機2と地震情報の報知対象である居室親機3とを映像用伝送路により映像路を形成するよう制御する。またこれと同時に、制御機CPU26から地震情報受信信号を第3のデータIF23を介して居室親機3に送信し、居室親機3では、居室親機IF39を介して居室親機CPU40で受信する。当該居室親機CPU40は、高速伝送切替部38を復調回路32側から居室親機CPU40側に切り替える制御をおこなう。
【0017】
一方、制御機2の制御機CPU26では、受信した地震情報から居室親機3で報知するためのピクトや文字情報、地図情報、その他避難経路情報等を作成して地震情報データを作成する。この作成した地震情報データは、CH切替部24、映像用伝送路を介して居室親機3へ送信され、送信された当該地震情報データは、居室親機3の居室親機IF39、地震情報受信信号により居室親機CPU40側に切り替わった高速伝送切替部38を介して居室親機CPU40にて受信される。居室親機CPU33では、受信した地震情報データからモニタ31に表示させるようなピクトや文字情報、地図情報、その他避難経路情報等の情報は、映像処理回路33を介してモニタ31に表示される。
【0018】
なお、表示情報としては「震度5が約10秒後に発生します。火を消して避難してください。」等の情報表示がなされる。これとともにスピーカ34から警告音を報知させるようにしてもよい。
【0019】
また、地震発生時に集合玄関機1と居室親機3間での通信がおこなわれている場合のように映像用伝送路が使用されていることが通信センサ25から通知されていると、制御機CPU26の制御により、CH切替部24を制御して通話及び映像の送受信をおこなっている集合玄関機1、居室親機3間で形成されている映像路及び通話路を遮断する制御をおこなう。更に、地震情報を受信する対象の居室親機3と映像用伝送路により映像路を形成するよう制御する。このように、映像用伝送路が使用中であっても強制的に地震情報データを映像用伝送路を用いて送信できるように制御されるので、タイムラグの少ない地震情報を居室親機3側で受信することができる。
【0020】
なお、上記地震情報を受信したとき、通話用伝送路を用いて地震情報を音声信号として居室親機3に送信することも可能である。具体的には、地震情報を受信した制御機2では制御機CPU26の制御により、地震情報受信機5と地震情報の報知対象となっている居室親機3とを通話用伝送路により通話路形成させ、地震情報受信機から送信される音声を通話用伝送路により放送する。これにより、当該音声は居室親機3の居室親機IF39、通話回路36を介してスピーカ35から報知させることができる。
【0021】
なお、上記地震情報データに同じ音声データが含まれている場合には、放送を禁止するよう制御することで地震情報データの音声データを優先的にスピーカ35から報知させることができる。これにより、伝送障害により地震情報が映像用伝送路から送信できなかった場合や、居室親機側で受信できない場合であっても、音声用伝送路を用いて音声による放送をおこなうことが可能となるので、地震情報を必ず受信することが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
1・・・ 集合玄関機
2・・・ 制御機
22・・・ 第2のデータIF
23・・・ 第3のデータIF
24・・・ CH切替部
25・・・ 信号センサ
26・・・ 制御機CPU
3・・・ 居室親機
31・・・ モニタ
35・・・ スピーカ
38・・・ 高速伝送切替部
40・・・ 居室親機CPU
5・・・ 地震情報受信機
6・・・ 外部ネットワーク
7・・・ 外部機関


【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機と、前記来訪者の呼び出しに応答して通話するための居室親機と、地震発生により震度、震源地等の地震情報を認識して送信するための地震情報受信機と、前記集合玄関機、前記居室親機及び前記地震情報受信機を制御するための制御機と、から構成される集合住宅インターホンシステムであって、
前記制御機と前記居室親機とは、呼出信号、通話路や映像路を形成するための制御信号等の各種データ信号を送受信するためのデータ用伝送路と、前記集合玄関機と通話するための音声用伝送路と、前記集合玄関機で撮像した映像を前記居室親機で表示させるための映像用伝送路とで接続され、
前記映像用伝送路は、データ量の大きな映像信号を送信するため、前記データ用伝送路に比べて伝送速度が高速であって、
前記地震情報を受信したとき、前記データ用伝送路を介して前記居室親機に当該地震情報を受信した旨の地震情報受信信号を送信するとともに、地震情報を報知する対象となる居室親機と映像用伝送路により映像路を形成し、前記居室親機で報知するために地震情報データを作成し、前記映像伝送路を介して前記居室親機に送信する制御をおこなう制御機CPUを有し、
前記居室親機は、前記地震情報受信信号を受信すると、前記地震情報データを映像用伝送路から受信するために高速伝送切替部を制御して当該映像用伝送路と接続される居室親機CPUを備えたことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記制御機は、前記地震情報を受信したとき前記映像用伝送路が使用中であるかを確認するための信号センサを備え、
前記制御機CPUは、前記信号センサから前記映像用伝送路が使用中であることを通知されると、前記集合玄関機及び当該集合玄関機の映像を表示している居室親機間の映像用伝送路を遮断するとともに、前記地震情報を受信する対象の居室親機と映像用伝送路により映像路を形成して当該地震情報を送信する制御をおこなうものであることを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記制御機CPUは、前記地震情報を受信したとき、前記データ用伝送路を介して前記居室親機に当該地震情報を受信した旨の地震情報受信信号を送信し、地震情報を報知する対象となる居室親機と通話用伝送路により通話路を形成して前記地震情報受信機から送信される音声データを送信する制御をおこなうことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−160802(P2012−160802A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17501(P2011−17501)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】