説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 診断により通信異常が発生した機器の保守を行った際に、予め設定された順ではなく、通信異常が発生した機器を優先して診断させることで、復旧確認の時間を短縮できる集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】 制御装置4は、伝送線を介して接続された各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する制御装置制御部44と、診断結果を記憶する診断結果記憶部42とを備える一方、管理室親機3は制御装置4に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段31aと、診断結果記憶部42の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段31bとを備え、制御装置制御部44は特定診断実施手段31bが操作されたら、診断結果記憶部42に通信異常と記憶された機器の診断を最初に実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、詳しくは集合玄関機や住戸親機等のシステムを構成する各機器に対して制御装置から通信状態の診断を行う機能を備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅インターホンシステムでは、制御装置から定期的に或いは管理室親機の所定の操作により、接続機器の通信状態の診断を行い機器が故障していないかチェックするよう構成されたものがある。例えば特許文献1では、接続機器の診断リストを予め作成し、例えば機器のID順に順次通信状態の診断が行われ、故障や異常が発生した機器や伝送路がある場合はそれを検出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−279792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の集合住宅インターホンシステムでは、診断により通信異常が発生した機器を復旧操作した後、確認をするために通信状態の診断を開始した場合、改めて全ての機器に対して順次診断が実施される。そのため、通信異常と判定された機器の診断順が後方に設定されている場合は、復旧確認までに時間を要していた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、診断により通信異常が発生した機器の保守を行った際に、予め設定された順ではなく、通信異常が発生した機器を優先して診断させることで、復旧確認の時間を短縮できる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、集合住宅の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、集合住宅の各住戸内に設置されて集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、集合玄関機及び住戸親機と通話路を形成する機能を備えた管理室親機と、住戸親機、管理室親機、集合玄関機と伝送線で接続され、これらの機器の間の通信を制御する制御装置とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて、制御装置は、伝送線を介して接続された各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する通信診断部と、診断結果を記憶する診断結果記憶部とを備える一方、管理室親機は、制御装置に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段と、診断結果記憶部の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段とを備え、通信診断部は、特定診断実施手段が操作されたら、診断結果記憶部に通信異常と記憶された機器の診断を最初に実施することを特徴とする。
この構成によれば、特定診断実施手段が操作されると、通信異常と診断された機器が最初に診断されるので、確認したい情報を速やかに得ることができ、保守作業者はスムーズに保守作業を行うことができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、通信診断部は、特定診断実施手段の操作を受けて、診断結果記憶部に通信異常と記憶された機器に対して通信状態の診断を実施した後、全ての機器に対して順次通信状態の診断を実施することを特徴とする。
この構成によれば、通信異常と診断された機器に対して診断を実施した後、引き続き全ての機器に対して診断を行うので、確認したい情報を速やかに得ることができるし、復旧操作したことで新たに伝送路や他の機器に異常が発生してもそれを検出でき、確実に復旧作業を行うことが可能となる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構成において、伝送線は制御装置に接続された複数の幹線を備えて、何れかの幹線を介して機器は制御装置に接続されて成り、制御装置は各機器が接続される幹線の系統を記憶する幹線情報記憶部を備え、通信診断部は、特定診断実施手段の操作を受けたら、通信異常と記憶された機器に続いて、幹線情報記憶部の情報を基に通信異常と診断された機器が接続されている幹線に属する機器に対して順次通信状態の診断を行うことを特徴とする。
この構成によれば、通信異常と診断された機器に加えて幹線を共有する機器に対しても診断を行うので、確認したい情報を速やかに得ることができるし、復旧操作した際に幹線や他の機器に異常が発生した場合はそれも検出でき、確実に且つ短時間で復旧作業を行うことが可能となる。
【0009】
請求項4の発明は、集合住宅の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、集合住宅の各住戸内に設置されて集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、集合玄関機及び住戸親機と通話路を形成する機能を備えた管理室親機と、住戸親機、管理室親機、集合玄関機と伝送線で接続され、これらの機器の間の通信を制御する制御装置とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて、制御装置は、伝送線を介して接続された各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する通信診断部と、診断結果を記憶する診断結果記憶部とを備える一方、管理室親機は、制御装置に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段と、診断結果記憶部の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段とを備え、通信診断部は、特定診断実施手段が操作されたら、診断結果記憶部に通信異常と記憶された機器に対して診断を実施することを特徴とする。
この構成によれば、特定診断実施手段が操作されると、通信異常と診断された機器の診断が実施されるので、確認したい情報を速やかに得ることができ、保守作業者はスムーズに保守作業を行うことができる。
【0010】
請求項5の発明は、集合住宅の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、集合住宅の各住戸内に設置されて集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、集合玄関機及び住戸親機と通話路を形成する機能を備えた管理室親機と、住戸親機、管理室親機、集合玄関機と伝送線で接続され、これらの機器の間の通信を制御する制御装置とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて、伝送線は制御装置に接続された複数の幹線を備えて、機器は何れかの幹線を介して制御装置に接続されて成り、制御装置は、各機器が接続される幹線の系統を記憶する幹線情報記憶部と、伝送線を介して接続された各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する通信診断部と、診断結果を記憶する診断結果記憶部とを備える一方、管理室親機は、制御装置に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段と、診断結果記憶部の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段とを備え、通信診断部は、特定診断実施手段の操作を受けて、診断結果記憶部と幹線情報記憶部の情報を基に、通信異常と診断された機器が接続された幹線に属する機器に対して順次通信状態の診断を行うことを特徴とする。
この構成によれば、通信異常と診断された機器が接続された幹線に関連する機器に対して診断を行うので、通信異常と診断された機器の情報に加えて復旧作業に関連した機器や幹線に異常が発生した場合はその情報も得ることができ、確実且つ短時間に確認作業を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定診断実施手段が操作されると、通信異常と診断された機器が最初に診断されるので、確認したい情報を速やかに得ることができ、保守作業者はスムーズに保守作業を行うことができる。また、通信異常と診断された機器に対して診断を実施した後、引き続き全ての機器、或いは幹線が共通する他の機器を診断することで、復旧操作したことで新たに伝送路や他の機器に異常が発生してもそれを検出でき、確実な復旧作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】管理室親機の診断結果画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示すブロック図であり、1は集合住宅のエントランス等に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための集合玄関機、2は集合住宅の各住戸内に設置されて居住者が集合玄関機1からの呼び出しに応答するための住戸親機、3は集合住宅の管理室に設置されて管理人が居住者等と通話するための管理室親機、4は集合玄関機1、住戸親機2、管理室親機3の間の通信を制御する制御装置である。
制御装置4からは各機器と通信するための伝送線である複数の幹線M,M,・・が集合住宅内に配設され、各機器は例えばフロア別にこれらの幹線Mの何れかに接続されて通信を可能としている。
【0014】
集合玄関機1は、居住者を呼出操作する操作部11、通話するための図示しないマイク及びスピーカを備えた通話部12、集合玄関機1を制御する集合玄関機制御部13、制御装置4と通信するための集合玄関機IF14等を備えている。
【0015】
住戸親機2は、呼び出しに対する応答操作や各種設定操作をする操作部21、来訪者等と通話するための図示しないマイク及びスピーカを備えた通話部22、住戸親機2を制御する親機制御部23、制御装置4と通信するための親機IF24等を備えている。
【0016】
管理室親機3は、居住者等を呼出操作したり各種設定操作するための操作部31、通話のための図示しないマイク及びスピーカを備えた通話部32、操作画面や後述する診断結果を表示する表示部33、管理室親機3を制御する管理室親機制御部34、制御装置4と通信するための管理室親機IF35等を備えている。操作部31はタッチパネルを備えて構成され、通常診断を行う通常診断実施手段31aと異常と診断された機器を優先させて診断する異常診断実施手段31bが設けられている。
【0017】
制御装置4は、各機器に割り当てられている機器IDと各機器が接続されている幹線Mの系統番号との関連付けを記憶する幹線情報記憶部41、診断結果を記憶する診断結果記憶部42、通信状態を診断する際に応答待ち時間をカウントする応答待ちタイマ43、機器間の通信や制御装置4を制御する制御装置制御部44、各機器と通信を実施する制御装置IF45等を備えている。
【0018】
このように構成された集合住宅インターホンシステムの動作を次に説明する。但し、集合玄関機1からの来訪者による居住者の呼び出し、呼び出しを受けた住戸親機2からの居住者による応答動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは通信診断操作、及びその動作について説明する。通信診断は、システムを管理するために全ての機器に対して定期的に実施され、この診断は管理室親機3の操作部31の所定の操作で実施される。
【0019】
図2は通信診断を実施する際に管理室親機3の表示部33に表示する画面を示し、この図2を参照して説明する。図2は診断結果画面でもあり、S1は制御装置4に接続された(正確には登録された)全機器に対して行われた最新の診断日時、通信異常と判断した機器の数等を表示し、S2は通信異常と診断した機器の具体的な情報を表示している。またS3は、通信診断を行うためのタッチボタンエリアであり、50,51は診断形態を選択する診断選択ボタン、52は診断開始ボタンである。
この診断選択ボタン51と診断開始ボタン52の組合せ操作により、管理室親機制御部34は制御装置4へ選択した種類に応じた診断コマンドを出力して診断が実施される。
【0020】
最初に全機器に対して定期的に実施される通常診断を説明する。この診断は、タッチボタンエリアS3において「全機器」の診断選択ボタン50がタッチされて選択された後、診断開始ボタン52が押下されると実施される。この操作で管理室親機制御部34は、全機器診断コマンドを制御装置4に対して出力し、このコマンドは管理室IF35、幹線Mを介して制御装置4に伝送される。また、管理室親機制御部34により表示部33に「診断中」(図示せず)のメッセージが表示される。このように、全機器を選択する診断選択ボタン50と診断開始ボタン52の組合せが通常診断実施手段31aとなる。
【0021】
制御装置IF45を介して全機器診断コマンドを受信した制御装置制御部44は、接続されている機器に対して所定の順番(例えばID順)で診断を開始する。例えば、機器が住戸親機2の場合、親機制御部23へ診断要求コマンドを出力すると同時に、応答待ちタイマ43をスタートさせる。この診断要求コマンドを受信した親機制御部23は、ID情報等の自身の機器情報を付加した診断応答コマンドを生成して制御装置4に対して返信する。
【0022】
診断応答コマンドを受信した制御装置制御部44は、応答待ちタイマ43を停止して診断応答コマンドに付加された機器情報から正常/異常を判断し、診断結果記憶部42に診断結果を記憶する。但し、診断応答コマンドを受信する前に応答待ちタイマ43がタイムアップしたら、制御装置制御部44は異常と判断して診断結果記憶部42に異常とする診断結果を記憶させる。
こうして全ての機器に対する診断が終了したら、制御装置制御部44は管理室親機3に診断終了コマンドを送信する。診断終了コマンドを受信した管理室親機制御部34は、表示部33に「診断終了」のメッセージを表示させる。
【0023】
診断終了を受けて、管理室親機3において所定の診断結果取得操作が行われると、診断結果要求コマンドが制御装置4に対して出力され、このコマンドを受信した制御装置制御部44は、診断対象機器数、正常機器数、異常機器数、診断結果、部屋番号や系統番号等の機器情報を含む診断結果コマンドを返信する。こうして診断結果コマンドを受信した管理室親機制御部44は、診断結果及び診断結果コマンドに含まれる機器情報を表示部33に表示する。上述した図2は、この診断結果を表示している。また、この図2において画面右上がメッセージ表示部S4であり、ここでは「診断終了」を表示している。
【0024】
このように、全機器を選択する診断選択ボタン50と診断開始ボタン52の組合せ操作により、全機器の診断が順次実施される。
尚、通信異常と判断した時点で、制御装置制御部44が管理室親機3に診断結果コマンドを送信し、管理室親機制御部34に診断結果コマンドに含まれる機器情報を取得させて、表示している診断結果をその都度更新させても良い。
【0025】
次に、全体の診断により異常が判明した機器を保守した後の診断について説明する。保守後の診断は、異常と診断された機器のみ診断を行う第1の診断形態、異常と診断した機器を診断した後、改めて全機器を診断する第2の診断形態、異常と診断した機器が接続されている幹線M上の機器に対して診断する第3の診断形態、異常と診断した機器を診断した後、同一の幹線Mに接続されている機器に対しても診断を実施する第4の診断形態の4つが選択でき、以下順に説明する。
【0026】
第1の診断形態は、図2に示す表示部33の診断結果画面の中で表示されている「異常機器のみ」の診断選択ボタン51aを選択して診断開始ボタン52を操作することで実施される。この操作で、管理室親機制御部34は制御装置4へ異常機器診断コマンドを出力し、管理室親機3の表示部33には「診断中」のメッセージが表示される。このように、「異常機器のみ」の診断選択ボタン51aと診断開始ボタン52の組合せが特定診断実施手段31bとなる。尚、図2はこの「異常機器のみ」51aが選択された状態を示している。
【0027】
異常機器診断コマンドを受信した制御装置制御部44は、診断結果記憶部42に保持されている診断結果が異常の機器に対してのみ、例えばID順に診断要求コマンドを出力する。こうして上述した場合と同様に、診断要求コマンドを受信した機器は、機器情報を付加した診断応答コマンドを制御装置4に出力する。また、応答待ちタイマ43がタイムアップしても診断応答コマンドの送信がなかったら、制御装置制御部44は通信異常と判断して、診断結果記憶部42に再び異常を記憶する。
【0028】
また、制御装置制御部44は、前回正常と判断した機器を今回通信異常と判断した場合、或いは前回通信異常と判断した機器を今回正常と判断した場合、即ち前回の診断と診断結果が異なる場合は、管理室親機3に診断結果コマンドを送信する。このコマンドを受信した管理室親機制御部34は、診断結果コマンドに含まれる機器情報を取得し、表示している診断結果を更新する。
【0029】
以降、制御装置制御部44は通信異常の機器に対して順次診断要求コマンドを出力し、異常機器に対する診断が全て終了したら管理室親機3へ診断終了コマンドを出力する。このコマンドを受信した管理室親機制御部34は、表示部33に「診断終了」のメッセージを表示させる。そして、診断が終了した時点で、表示部33には最新の診断結果が表示される。
【0030】
このように、診断選択ボタン51と診断開始ボタン52の組合せ操作により、通信異常と診断された機器の診断が実施されるので、確認したい情報を速やかに得ることができ、保守作業者はスムーズに保守作業を行うことができる。
【0031】
次に、第2の診断形態を説明する。管理室親機3の操作部31にて、「全機器(異常機器先行診断操作)」の診断選択ボタン51bが選択されて診断開始ボタン52が操作されると、異常と診断された機器を先行して診断した後、全機器の診断が行われる。具体的に、管理室親機制御部34は異常機器先行診断コマンドを制御装置4に出力し、表示部33には「診断中」のメッセージを表示する。このように、「異常機器のみ」の診断選択ボタン51aと診断開始ボタン52の組合せが特定診断実施手段31bとなる。
【0032】
このコマンドを受信した制御装置4は、制御装置制御部44により診断結果記憶部42に保持されている診断結果が異常の機器に対して例えばID順に診断要求コマンドを出力して通信状態を診断する。こうして異常機器の診断が全て終了したら、次に全ての機器に対して所定の順で診断要求コマンドを出力し通信状態の診断を実施する。診断要求コマンドを受信した機器は、機器情報を付加した診断応答コマンドを制御装置4に出力する。
【0033】
尚、上記診断の場合と同様に、応答待ちタイマ43は診断要求コマンドを出力する毎にリセットされるし、タイムアップしても診断応答コマンドが送信されなかったら、制御装置制御部44は通信異常と判断し、診断結果記憶部42に再び異常を記憶する。また、制御装置制御部44は、前回の診断と診断結果が異なる場合は、管理室親機3に診断結果コマンドを送信し、このコマンドを受信した管理室親機制御部34は、診断結果コマンドに含まれる機器情報を取得し、表示している診断結果を更新する。
【0034】
異常機器及び全ての機器に対する診断が終了したら、制御装置制御部44は、管理室親3へ診断終了コマンドを出力し、このコマンドを受信した管理室親機制御部34は表示部33に「診断終了」のメッセージを表示する。そして、診断が終了した時点で、表示部33には最新の診断結果が表示される。
【0035】
このように、通信異常と診断された機器に対して診断を実施した後、引き続き全ての機器に対して診断を行うことで、確認したい情報を速やかに得ることができるし、復旧操作したことで新たに伝送路や他の機器に異常が発生してもそれを検出でき、確実に復旧作業を行うことが可能となる。
【0036】
次に第3の診断形態を説明する。管理室親機3の操作部31において、「異常系統」の診断選択ボタン51cが選択されて診断開始ボタン52が操作されると、異常と診断された機器と幹線Mが共通している全機器に対して診断が実施される。具体的に、管理室親機制御部34は異常系統診断コマンドを制御装置4に出力し、表示部33には「診断中」のメッセージが表示される。このように、「異常系統」の診断選択ボタン51cと診断開始ボタン52の組合せが特定診断実施手段31bとなる。
【0037】
このコマンドを受信した制御装置4は、制御装置制御部44が診断結果記憶部42の情報と幹線情報記憶部41の情報を基に、診断結果から異常と判断された機器と共通する幹線Mに接続されている全ての機器を読み取り、それらの機器に対して例えばID順に順次診断を実施する。診断を受けた機器は、上述した診断と同様に機器情報を付加した診断応答コマンドを制御装置4に出力する。また、応答待ちタイマ43がタイムアップしても診断応答コマンドが送信されなかったら、制御装置制御部44は通信異常と判断し、診断結果記憶部42に再び異常を記憶する。
【0038】
そして制御装置制御部44は、前回の診断と診断結果が異なる場合は、管理室親機3に診断結果コマンドを送信し、このコマンドを受信した管理室親機制御部34は、診断結果コマンドに含まれる機器情報を取得し、表示している診断結果を更新する。
こうして関係する全ての機器の診断が終了したら、制御装置制御部44から管理室親機3へ診断終了コマンドが出力され、管理室親機3は表示部33に「診断終了」のメッセージが表示される。そして、診断が終了した時点で、表示部33には最新の診断結果が表示される。
【0039】
このように、通信異常と診断された機器の診断に引き続き、幹線を共有する機器に対しても診断を行うので、確認したい情報を速やかに得ることができるし、復旧操作した際に幹線や他の機器に異常が発生した場合はそれも検出でき、確実に且つ短時間で復旧作業を行うことが可能となる。
【0040】
第4の診断形態は以下のようである。管理室親機3の操作部において、「異常系統(異常機器先行)」の診断選択ボタン51dが選択されて診断開始ボタン52が操作されると、異常と診断された機器を最初に診断した後、共通する幹線Mに接続された全機器に対して診断が実施される。具体的に、管理室親機制御部34は異常機器先行系統診断コマンドを制御装置4に出力し、表示部33には「診断中」のメッセージが表示される。このように、「異常系統(異常機器先行)」の診断選択ボタン51dと診断開始ボタン52の組合せが特定診断実施手段31bとなる。
【0041】
異常機器先行系統診断コマンドを受信した制御装置4は、制御装置制御部44がまず診断結果記憶部42の情報に基づいて診断結果が異常の機器に対して診断要求コマンドを順に出力して診断を実施する。異常機器の診断が全て終了したら、次に幹線情報記憶部41の情報を基に、異常機器の幹線Mに属する全ての機器に対して診断要求コマンドを順に出力して診断を実施する。
【0042】
診断を受けた機器は、上述した診断と同様に機器情報を付加した診断応答コマンドを制御装置4に出力する。また、応答待ちタイマ43がタイムアップしても診断応答コマンドが送信されなかったら、制御装置制御部44は通信異常と判断し、診断結果記憶部42に再び異常を記憶する。
そして制御装置制御部44は、前回の診断と診断結果が異なる場合は管理室親機3に診断結果コマンドを送信し、このコマンドを受信した管理室親機制御部34は、診断結果コマンドに含まれる機器情報を取得し、表示している診断結果を更新する。
【0043】
こうして診断が全て終了したら、制御装置制御部44から管理室親機3へ診断終了コマンドが出力され、診断終了コマンドを受信した管理室親機制御部34は、表示部33に「診断終了」のメッセージを表示させる。そして、診断が終了した時点で、表示部33には最新の診断結果が表示される。
【0044】
このように、通信異常と診断された機器が接続された幹線Mに関連する機器に対して診断を行うので、通信異常と診断された機器の情報に加えて復旧作業に関連した機器や幹線に異常が発生した場合はその情報も得ることができ、確実且つ短時間に確認作業を行うことが可能となる。
【0045】
尚、上記実施形態では、保守後に実施する診断選択ボタン51を4個のボタンで構成し、4つの診断形態を選択可能としているが、4種類全て実施可能でなくとも良い。例えば、異常機器に対してのみ診断できるだけでも作業者にとって便利なものとなる。必要に応じて全機器を診断する診断選択ボタン50を後から操作することで、十分な診断が実施できる。そして、このように構成した場合、診断ボタンは通常診断実施手段31aとしての操作ボタンと特定診断実施手段31bとしての操作ボタンの2つのボタン構成となる。
また、診断の順序を機器のID順として説明したが、例えばフロア順としても良く、順番は任意であるし、集合玄関機1と管理室親機3を夫々1台として説明したが、複数台設けても良い。
【符号の説明】
【0046】
1・・集合玄関機、2・・住戸親機、3・・管理室親機、4・・制御装置、31・・操作部、31a・・通常診断実施手段、31b・・特定診断実施手段、33・・表示部、34・・管理室親機制御部、41・・幹線情報記憶部、42・・診断結果記憶部、43・・応答待ちタイマ、44・・制御装置制御部(通信診断部)、M・・幹線(伝送線)、50・・診断選択ボタン(通常診断実施手段)、51・・診断選択ボタン(特定診断実施手段)、52・・診断開始ボタン(通常診断実施手段、特定診断実施手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、集合住宅の各住戸内に設置されて前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、前記集合玄関機及び前記住戸親機と通話路を形成する機能を備えた管理室親機と、前記住戸親機、前記管理室親機、前記集合玄関機と伝送線で接続され、これらの機器の間の通信を制御する制御装置とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記伝送線を介して接続された前記各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する通信診断部と、診断結果を記憶する診断結果記憶部とを備える一方、
前記管理室親機は、前記制御装置に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段と、前記診断結果記憶部の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段とを備え、
前記通信診断部は、前記特定診断実施手段が操作されたら、前記診断結果記憶部に通信異常と記憶された機器の診断を最初に実施することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記通信診断部は、前記特定診断実施手段の操作を受けて、前記診断結果記憶部に通信異常と記憶された機器に対して通信状態の診断を実施した後、全ての機器に対して順次通信状態の診断を実施することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記伝送線は前記制御装置に接続された複数の幹線を備えて、何れかの幹線を介して前記機器は制御装置に接続されて成り、前記制御装置は各機器が接続される幹線の系統を記憶する幹線情報記憶部を備え、
前記通信診断部は、前記特定診断実施手段の操作を受けたら、通信異常と記憶された機器に続いて、前記幹線情報記憶部の情報を基に通信異常と診断された機器が接続されている幹線に属する機器に対して順次通信状態の診断を行うことを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
集合住宅の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、集合住宅の各住戸内に設置されて前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、前記集合玄関機及び前記住戸親機と通話路を形成する機能を備えた管理室親機と、前記住戸親機、前記管理室親機、前記集合玄関機と伝送線で接続され、これらの機器の間の通信を制御する制御装置とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記制御装置は、前記伝送線を介して接続された前記各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する通信診断部と、診断結果を記憶する診断結果記憶部とを備える一方、
前記管理室親機は、前記制御装置に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段と、前記診断結果記憶部の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段とを備え、
前記通信診断部は、前記特定診断実施手段が操作されたら、前記診断結果記憶部に通信異常と記憶された機器に対して診断を実施することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
集合住宅の玄関に設置されて居住者を呼び出して通話する機能を備えた集合玄関機と、集合住宅の各住戸内に設置されて前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた住戸親機と、前記集合玄関機及び前記住戸親機と通話路を形成する機能を備えた管理室親機と、前記住戸親機、前記管理室親機、前記集合玄関機と伝送線で接続され、これらの機器の間の通信を制御する制御装置とを有する集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記伝送線は前記制御装置に接続された複数の幹線を備えて、前記機器は何れかの幹線を介して前記制御装置に接続されて成り、
前記制御装置は、各機器が接続される幹線の系統を記憶する幹線情報記憶部と、前記伝送線を介して接続された前記各機器に対して診断コマンドを送信して通信状態を診断する通信診断部と、診断結果を記憶する診断結果記憶部とを備える一方、
前記管理室親機は、前記制御装置に対して予め設定した順序で通信状態の診断を行うための通常診断実施手段と、前記診断結果記憶部の情報に基づいて通信状態の診断を行うための特定診断実施手段とを備え、
前記通信診断部は、前記特定診断実施手段の操作を受けて、前記診断結果記憶部と前記幹線情報記憶部の情報を基に、通信異常と診断された機器が接続された幹線に属する機器に対して順次通信状態の診断を行うことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−178798(P2012−178798A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41860(P2011−41860)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】