説明

集塵機

【課題】集塵機の温度保護手段が作動してモータが停止した直後であっても集塵袋の交換等により直ちにモータを起動させることができるようにする。
【解決手段】所定箇所の温度が設定温度に到達するとモータ127を強制的に停止させる温度保護手段130を備えた集塵機において、温度保護手段の作動によるモータの停止後、所定箇所の温度が設定温度以上であっても、モータ起動直後の一定時間は、上記温度保護手段の作動を抑止する抑止手段123によって、モータを強制的に作動させるようにする。集塵袋を交換した後、ゴミを取り除いた後等において、所定箇所の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータを起動し集塵作業を行うことができる。設定温度以上に昇温したモータ等は、ファンが吸引する空気によって、急速に冷却され直ちに通常使用できる状態に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度保護機能を備えた集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集塵機には、モータの近傍等の所定箇所の温度が危険温度等の所定の設定温度に達したことを検知するとモータの電源を切り、その後所定箇所の温度が設定温度よりも低下すると再び電源を入れてモータを起動することができるようにする温度保護装置が設けられている。
【0003】
ところが、従来の温度保護装置によれば、所定箇所の温度が設定温度に到達するとモータを停止させることができるのであるが、モータの停止後集塵袋を交換し或いはゴミを取り除いたにもかかわらず、モータ周辺の温度が下がっていないためにモータがすぐに作動せず、作業を行うことができない事態が生じ、作業性がすこぶる低下するという欠点がある。
【0004】
この欠点を解消するため、温度保護装置における温度検知部の先端部を温度検知位置である送風機室内に配置し、後端部を温度が上昇しにくい位置である送風機室外の送風路に配置することが提案されている。これにより、送風機室内の温度が復帰温度に到達しなくても温度検知部が冷却風によって復帰温度に早く達し、速やかにモータを作動させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平4−156811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来における温度検知部の先端部を温度検知位置である送風機室内に配置し、後端部を温度が上昇しにくい位置である送風機室外の送風路に配置する方法によれば、温度検知部の設置位置が限定されるという問題がある。また、温度検知部の位置調整が面倒であり、温度検知部の構造も複雑化するという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は上記問題点を解消する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、所定箇所(131)の温度が設定温度に到達するとモータ(127)を強制的に停止させる温度保護手段(130)を備えた集塵機において、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、上記所定箇所(131)の温度が設定温度以上であっても、モータ起動直後の一定時間は、上記温度保護手段(130)の作動を抑止する抑止手段(123)によって、モータ(127)を強制的に作動させるようにした集塵機を採用する。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、所定箇所(131)の温度が設定温度に到達するとモータ(127)を強制的に停止させる温度保護手段(130)を備えた集塵機において、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、上記所定箇所(131)の温度が設定温度以上であっても、電源スイッチ(116)が操作されている間は、上記温度保護手段(130)の作動を抑止する抑止手段(123)によって、モータ(127)を作動させるようにした集塵機を採用する。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、所定箇所(131)の温度が設定温度に到達するとモータ(127)を強制的に停止させる温度保護手段(130)を備えた集塵機において、モータ(127)を作動させる第1の電源スイッチ(116)とは別に、単独でモータ(127)を作動させる第2のスイッチ(132)が設けられ、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、上記所定箇所(131)の温度が設定温度以上であっても、上記第2のスイッチ(132)が操作されている間は、上記温度保護手段(130)が働かないようにした集塵機を採用する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、所定箇所(131)の温度が設定温度に到達するとモータ(127)を強制的に停止させる温度保護手段(130)を備えた集塵機において、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、上記所定箇所(131)の温度が設定温度以上であっても、モータ起動直後の一定時間は、上記温度保護手段(130)の作動を抑止する抑止手段(123)によって、モータ(127)を強制的に作動させるようにした集塵機であるから、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、抑止手段(123)により一定時間内は温度検出が行われないようにする等して、温度保護手段(130)の作動を抑止する。これにより、集塵袋(7)を交換した後、ゴミを取り除いた後等において、所定箇所(131)の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータ(127)を起動し集塵作業を行うことができる。また、設定温度以上に昇温したモータ(127)、ベアリングハウス部(131)等は、モータ(127)とともに作動するファン(1)が吸引する空気によって、急速に冷却され直ちに通常使用できる状態に復帰する。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、所定箇所(131)の温度が設定温度に到達するとモータ(127)を強制的に停止させる温度保護手段(130)を備えた集塵機において、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、上記所定箇所(131)の温度が設定温度以上であっても、電源スイッチ(116)が操作されている間は、上記温度保護手段(130)の作動を抑止する抑止手段(123)によって、モータ(127)を作動させるようにした集塵機であるから、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後において、作業者が電源スイッチ(116)を押したり引いたりして操作する間は、抑止手段(123)が温度保護手段(130)の作動を抑止する。これにより、集塵袋(7)を交換した後、ゴミを取り除いた後等において、所定箇所(131)の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータ(127)を起動し集塵作業を行うことができる。また、設定温度以上に昇温したモータ(127)、ベアリングハウス部(131)等は、モータ(127)とともに作動するファン(1)が吸引する空気によって、急速に冷却され直ちに通常使用できる状態に復帰する。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、所定箇所(131)の温度が設定温度に到達するとモータ(127)を強制的に停止させる温度保護手段(130)を備えた集塵機において、モータ(127)を作動させる第1の電源スイッチ(116)とは別に、単独でモータ(127)を作動させる第2のスイッチ(132)が設けられ、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後、上記所定箇所(131)の温度が設定温度以上であっても、上記第2のスイッチ(132)が操作されている間は、上記温度保護手段(130)が働かないようにした集塵機であるから、温度保護手段(130)の作動によるモータ(127)の停止後において、作業者が第2のスイッチ(132)を操作する場合は、抑止手段(123)が温度保護手段(130)の作動を抑止する。これにより、集塵袋(7)を交換した後、ゴミを取り除いた後等において、所定箇所(131)の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータ(127)を起動し集塵作業を行うことができる。また、設定温度以上に昇温したモータ(127)、ベアリングハウス部(131)等は、モータ(127)とともに作動するファン(1)が吸引する空気によって、急速に冷却され直ちに通常使用できる状態に復帰する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0015】
<実施の形態1>
この集塵機は、丸鋸、ディスクグラインダ等の図示しない工具に連動する工具連動式集塵機であり、図1及び図2に示すように、ファン1と、ファン1を駆動するモータ127と、ファン1及びモータ127を覆うハウジング3とを具備している。
【0016】
ハウジング3のファン1を覆う箇所には吸入口部4と排出口部5とが設けられ、吸入口部4には集塵ホース6が着脱自在に連結され、排出口部5には集塵袋7が着脱自在に連結される。また、ハウジング3には冷却風取入口8が形成される。
【0017】
モータ127の起動によりファン1が回転すると、集塵ホース6の図示しない先端から空気とともに吸い込まれた切粉等のゴミは、吸入口部4からハウジング3内に入り、排出口部5からハウジング3外の集塵袋7内に吐き出され、集塵袋7内に溜められる。また、ファン1により冷却風取入口8から冷却風がハウジング3内に取り入れられ、取り入れられた冷却風がモータ127、ベアリングハウス部131等に向って矢印a方向に流れ、モータ127の収納部とファン1の収納部との仕切り壁3aに形成された導通口8aを通ってファン1に向って矢印b方向に流れる。
【0018】
集塵袋7へと空気が流れている時は、集塵機のモータ127、ハウジング3等は、吸引される空気の流れによって冷却されるが、集塵袋7がゴミにより満杯になると空気流が停止し、集塵機のモータ127、ハウジング3等が冷却されなくなり、モータ127、ハウジング3等の温度が急上昇する。これを防止するため、集塵機には温度保護手段が設けられ、集塵機のモータ127、ハウジング3等における所定箇所の温度が設定温度に到達すると、この温度保護手段がモータ127を強制的に停止させるようになっている。
【0019】
また、既述のごとく、モータ127の停止後に集塵袋7を交換し或いは詰まったゴミを取り除いたにもかかわらず、モータ127、ハウジング3等の温度が下がっていないためにモータ127がすぐに作動せず作業を行うことができない事態が生じるのを防止するため、この集塵機には温度保護手段の作動によるモータ127の停止後、上記所定箇所の温度が設定温度以上であっても、モータ127の起動直後の一定時間は、上記温度保護手段の作動を抑止する抑止手段が設けられ、モータ127を強制的に作動させることができるようになっている。
【0020】
この温度保護手段及び抑止手段は、図3に示すような電気回路からなる制御装置として構成される。以下にこの制御装置の構成を集塵機の作用とともに説明する。
【0021】
作業者により電源スイッチ116が投入されると、トランス120、ダイオードブリッジ121及び整流器122によりマイクロコンピュータ123に給電される。マイクロコンピュータ123に給電されると、電源灯117が点灯する。電源スイッチ116及び電源灯117は、図2に示すハウジング3の操作パネル9上に配置される。
【0022】
また、作業者により連動・非連動選択スイッチ112及び低消費電力選択スイッチ114が適宜操作され、各スイッチ112,114のON/OFF信号がマイクロコンピュータ123の入力ポートからマイクロコンピュータ123へ入力される。連動・非連動選択スイッチ112及び低消費電力選択スイッチ114は、図2に示すハウジング3の操作パネル9上に配置される。
【0023】
発光ダイオードからなる連動・非連動認識灯113及び低消費電力認識灯115がマイクロコンピュータ123の出力ポートへ接続されており、マイクロコンピュータ123のH(高)/L(低)信号で、これらの認識灯113,115が消灯/点灯する。また、これら認識灯113,115は、図2に示すハウジング3の操作パネル9に配置される。
【0024】
集塵機のコンセント102に図示しない電動工具が接続され、電流が流れると、電流変換機124に電圧が発生し、マイクロコンピュータ123のAD変換ポートAN1へ電動工具の起動信号が入力される。
【0025】
フォトカプラPT1の1次側125が、マイクロコンピュータ123の出力ポートRC3へ接続されており、フォトカプラPT1の2次側126が、トライアック128のゲートT1,T2間へ抵抗129を介し接続されている。マイクロコンピュータ123の出力ポートRC3がLレベルになると、トライアック128が導通する。
【0026】
マイクロコンピュータ123のINT端子には、0クロス信号が入力され、低消費電力モード時に0クロスを基準に位相制御を行い、集塵機のモータ127への電力を制限する。
【0027】
上記連動・非連動選択スイッチ112の押し動作により、連動モードに切り替えられた場合は、コンセント102に電動工具が接続され、電源スイッチ116が投入されていると電動工具のスイッチ(図示せず)が投入され電流が流れると、集塵機のモータ127が作動する。また、非連動モードに切り替えられた場合は、コンセント102に接続された電動工具の作動の有無に関わらず、電源スイッチ116が投入されると集塵機のモータ127が作動する。
【0028】
この制御装置は、温度センサであるサーミスタ130を含んでおり、このサーミスタ130が集塵機の所定箇所に取り付けられる。具体的には、図2に示すように、サーミスタ130は、モータ127の収納部とファン1の収納部との間の仕切り壁3aに一体に形成され、モータ主軸127aを軸支するベアリングを収納するベアリングハウス部131の近傍に設置される。なお、所定箇所はベアリングハウス部131の近傍に限定されるものでなく、モータ127等温度が上昇しやすい箇所であればよい。サーミスタ130は、その全体がハウジング3内であって冷却風通路上に収納される。サーミスタ130としては温度が上がると抵抗値が下がるタイプのNTCサーミスタを使用することができる。このサーミスタ130による所定箇所の温度情報は、マイクロコンピュータ123のADポートAN0からマイクロコンピュータ123に入力される。
【0029】
電源スイッチ116の投入によりモータ127が起動すると、丸鋸等の電動工具が図示しないワークを切削することにより発生する切粉等のゴミをファン1が回転しながら集塵袋7へと送り込む。電動工具による作業が進行し集塵袋7が一杯になったり、或いはハウジング3の通風路、排出口部5、吸入口部4等がゴミにより塞がれたりしてベアリングハウス部131近傍の温度が上昇し、サーミスタ130によって所定の設定温度(例えば、65°C)に到達したことが検知されると、温度保護手段が働きマイクロコンピュータ123のプログラムが強制的にモータ127の作動を停止する信号を出力する。
【0030】
この制御装置は、温度保護手段に対する抑止手段として、電源スイッチ116或いは電源スイッチ116と共に電動工具のスイッチ(図示せず)が投入され集塵機のモータ127が作動を開始した場合に作動開始直後の所定時間内(例えば、10秒間)は、温度を監視させないように構成されたマイクロコンピュータ123のプログラムを備える。
【0031】
これにより、集塵袋7を交換したり、ゴミを取り除いたりした後において、所定箇所の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータ127を起動し、ファン1の回転により冷却風取入口8より冷却風を取り入れ、モータ127を冷却するとともに、ベアリングハウス部131を冷却し、設定温度以下に下げるので、引き続き集塵作業を継続することができる。ゴミを取り除くことなくモータ127を起動した場合は、上記所定時間を経過した後、温度保護手段が機能してモータ127が停止し、ゴミを取り除いたうえで電源スイッチ116を投入すると、抑止手段が働いて所定箇所の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータ127を起動させ、前述同様に所定箇所の温度を設定温度以下に下げるので、引き続き通常の集塵作業を継続することができる。
【0032】
このように抑止手段の機能によりモータ127を強制的に回転させたとしても、設定温度以上に昇温したモータ127、ベアリングハウス部131等は、ファン1が冷却風取入口8からハウジング3内に吸引する冷却風によって、急速に冷却され直ちに設定温度以下に低下することとなる。そのため、温度保護手段が働くことなく引き続き通常の集塵作業を継続することができる。
【0033】
<実施の形態2>
この実施の形態2に係る集塵機は、電動工具に連動することなく単独で作動するもので、図4に示すような電気回路からなる制御装置を備える。
【0034】
以下にこの制御装置の構成を集塵機の作用とともに説明する。
【0035】
この制御装置の電源スイッチ116は、作業者が強く押し込むか又は強く引く操作を行っている時のみONになり、作業者が電源スイッチ116から手を放すとOFFになるモーメンタリースイッチとしての接点SWbと、作業者が押し込むか又は引く操作をするとONになり、作業者が手を放してもON状態を維持するオルタネートスイッチとしての接点SWaとから構成されている。そして、電源スイッチ116を操作すると、まず接点SWaがONになり、引き続きさらに押し込むか又は引く操作をすると接点SWbがONとなるように構成されている。
【0036】
通常の集塵作業では、作業者が電源スイッチ116を操作すると、接点SWaがONになってこの電気回路に給電され、作業者が電源スイッチ116から手を放してもSWaのON状態が維持される。
【0037】
電源スイッチ116の接点SWaのON操作によりこの電気回路に給電されると、マイクロコンピュータ123のRC3がLレベルになりモータを作動させる。これにより、ファン1(図2参照)が回転し通常の集塵を行う。
【0038】
温度センサであるサーミスタ130は実施の形態1と同様に配置され、このサーミスタ130からの温度の情報が、マイクロコンピュータ123にADポートAN0から入力される。
【0039】
モータ127が作動している間に、集塵袋7(図1及び図2参照)が一杯になる等して温度が上昇し、設定温度(例えば、65°C)に到達すると温度保護手段が働きマイクロコンピュータ123のプログラムにより、強制的にモータ127が停止せしめられる。
【0040】
この制御装置は、温度保護手段に対する抑止手段として、温度保護手段の作動によるモータ127の停止後、所定箇所であるベアリングハウス部131の近傍の温度が設定温度以上であっても、電源スイッチ116が操作され接点SWbがONになっている間は、温度を監視させないように作成されたマイクロコンピュータ123のプログラムを備える。
【0041】
すなわち、電源スイッチ116が操作されると、まず接点SWaがONになり、引き続きさらに電源スイッチ116が操作されると接点SWbがON状態となる。この状態の時は、マイクロコンピュータ123の入力端子RA1がLレベルになる。マイクロコンピュータ123はRA1がLレベルの時、サーミスタ130に温度を監視させないように指令を発し、これによりモータ127が作動しファン1(図2参照)を回転させる。
【0042】
かくて、集塵袋7を交換した後、ゴミを取り除いた後等において、ベアリングハウス部131(図2参照)近傍等の所定箇所の温度が設定温度より低下するのを待つことなく直ちにモータ127を起動し集塵作業を行うことができる。また、設定温度以上に昇温したモータ127、ベアリングハウス部131等は、モータ127とともに作動するファン1がハウジング3外部から吸引する冷却風によって、急速に冷却され直ちに通常使用できる状態に復帰する。そのため、温度保護手段が働くことなく引き続き通常の集塵作業を継続することができる。
【0043】
<実施の形態3>
この実施の形態3に係る集塵機は、電動工具に連動することなく単独で作動するもので、図5に示すような電気回路からなる制御装置を備える。
【0044】
以下にこの制御装置の構成を集塵機の作用とともに説明する。
【0045】
図5に示すように、この制御装置は、モータ127を作動させる第1の電源スイッチ116とは別に、単独でモータ127を作動させる第2のスイッチ132を備え、温度保護手段の作動によるモータ127の停止後、ハウジング3内のベアリングハウス部131近傍等の所定箇所の温度が設定温度以上であっても、第2のスイッチ132が操作されている間は、温度保護手段を働かせないようになっている。接点SW2は、第1の電源スイッチ116とは別に設けられた第2のスイッチ132の接点であり、第1の電源スイッチ116とは無関係に単独で作動する。
【0046】
温度センサであるサーミスタ130が実施の形態1と同様に配置され、このサーミスタ130からの温度情報が、マイクロコンピュータ123にADポートAN0から入力される。
【0047】
モータ127が作動している間に、集塵袋7(図1及び図2参照)が一杯になる等して温度が上昇し、設定温度(例えば、65°C)に到達すると温度保護手段が働きマイクロコンピュータ123のプログラムにより、強制的にモータ127が停止せしめられる。
【0048】
作業者が、第1の電源スイッチ116をONにすると、電気回路に給電され、マイクロコンピュータ123のRC3がLレベルになって、モータ127が起動しファン1(図2参照)が回転して集塵を行う。
【0049】
モータ127が作動している時、集塵袋7が一杯になる等して温度が上昇し、ベアリングハウス部131近傍の温度が設定温度(例えば、65度)に到達すると、温度保護手段が働きマイクロコンピュータ123のプログラムにより、モータ127が強制的に停止せしめられる。
【0050】
この制御装置は、温度保護手段に対する抑止手段として、温度保護手段の作動によるモータ127の停止後、ベアリングハウス部131近傍等の所定箇所の温度が設定温度以上であっても、第2のスイッチ132が操作されている間は、温度を監視させないように作成されたマイクロコンピュータ123のプログラムを備える。
【0051】
すなわち、マイクロコンピュータ123のRA1がLレベルの時、換言すれば第2のスイッチ132の操作によりモータ127が作動するときは、温度を監視させないようにマイクロコンピュータ123がプログラミングされている。これにより、第2のスイッチ132が作業者により操作され、接点SW2がON状態になると、温度検出がキャンセルされ、マイクロコンピュータ123の入力端子RA1がLレベルになってモータ127が作動し、ベアリングハウス部131近傍の温度が設定温度以上であっても、集塵が行われることになる。
【0052】
従って、集塵袋7を交換した後、ゴミを取り除いた後等において、ベアリングハウス部131近傍等の所定箇所の温度が設定温度より低下するのを待つことなく第2のスイッチ132を押すことで直ちにモータ127を起動し集塵作業を続行することができる。また、設定温度以上に昇温したモータ127、ベアリングハウス部131等は、モータ127とともに作動するファン1がハウジング3の外部から吸引する冷却風によって、急速に冷却され直ちに通常使用できる状態に復帰する。そのため、温度保護手段が働くことなく引き続き通常の集塵作業を継続することができる。
【0053】
以上、本発明の望ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係る集塵機の正面図である。
【図2】図1に示す集塵機の部分切欠平面図である。
【図3】図1に示す集塵機の制御回路図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る集塵機の制御回路図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る集塵機の制御回路図である。
【符号の説明】
【0055】
1…ファン
7…集塵袋
116…電源スイッチ
123…マイクロコンピュータ
127…モータ
130…サーミスタ
131…ベアリングハウス部
132…第2のスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定箇所の温度が設定温度に到達するとモータを強制的に停止させる温度保護手段を備えた集塵機において、温度保護手段の作動によるモータの停止後、上記所定箇所の温度が設定温度以上であっても、モータ起動直後の一定時間は、上記温度保護手段の作動を抑止する抑止手段によって、モータを強制的に作動させるようにしたことを特徴とする集塵機。
【請求項2】
所定箇所の温度が設定温度に到達するとモータを強制的に停止させる温度保護手段を備えた集塵機において、温度保護手段の作動によるモータの停止後、上記所定箇所の温度が設定温度以上であっても、電源スイッチが操作されている間は、上記温度保護手段の作動を抑止する抑止手段によって、モータを作動させるようにしたことを特徴とする集塵機。
【請求項3】
所定箇所の温度が設定温度に到達するとモータを強制的に停止させる温度保護手段を備えた集塵機において、モータを作動させる第1の電源スイッチとは別に、単独でモータを作動させる第2のスイッチが設けられ、温度保護手段の作動によるモータの停止後、上記所定箇所の温度が設定温度以上であっても、上記第2のスイッチが操作されている間は、上記温度保護手段が働かないようにしたことを特徴とする集塵機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−50360(P2007−50360A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237868(P2005−237868)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】