説明

集草容器の刈り草量検出装置

【課題】草刈り装置からの刈り草を車体後方に搬送する搬送ダクトを備えた自走車に前記搬送ダクトからの刈り草を回収するよう装着される集草容器の刈り草量検出装置において、刈り草の絡み付きや詰まりとか飛散不良を伴わないで精度よい検出を行なわせられるようにする。
【解決手段】集草容器32の刈り草投入口32cの下方に、刈り草投入口32cの集草容器横方向での大きさに等しい又はそれに近い集草容器横方向での大きさを備えさせて設けた検出孔61と、集草容器32に回収された刈り草の重量を受けるよう検出孔61を介して刈り草に接触する揺動自在なセンサ板62と、センサ板62を基準姿勢Aに揺動付勢するスプリング65と、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動を検出する検出手段66とを備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り装置からの刈り草を車体後方に搬送する搬送ダクトを備えた自走車に前記搬送ダクトからの刈り草を回収するよう装着される集草容器の刈り草量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集草容器に回収された刈り草量を検出するよう構成された刈り草量検出装置として、従来、たとえば特許文献1に記載されたものがあった。
特許文献1に記載されたものでは、グラスバッグ11を覆う蓋体12の内部に設けた発光部17aと受光部17bとを有した光センサ17、この光センサ17の出力を入力する満杯検出部20を備えている。(各符号11,12,17a,17b,20は、公報に記載されたものである。)
【0003】
【特許文献1】特開平6−153653号公報(段落〔0027〕−〔0029〕、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の技術を採用すると、センサの取り付けや、センサによる検出情報の入力のために集草容器の内部に設ける支持構造や配線により、刈り草の絡み付きや詰まりが発生することがあった。刈り草の絡み付きや詰まりを回避するようカバーを設けると、カバーが刈り草飛散の障害物になりやすくなっていた。センサが集草容器内に位置する場合、カバーのために集草容器の収容量が減少することがある。
【0005】
本発明の目的は、上記した問題の発生を回避しながら精度よい刈り草量検出を行なうことができる集草容器の刈り草量検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、草刈り装置からの刈り草を車体後方に搬送する搬送ダクトを備えた自走車に前記搬送ダクトからの刈り草を回収するよう装着される集草容器の刈り草量検出装置において、
前記集草容器の前記搬送ダクトに連通される刈り草投入口の下方に、前記刈り草投入口の集草容器横方向での大きさに等しい又はそれに近い集草容器横方向での大きさを備えさせて設けた検出孔と、
前記集草容器に回収された刈り草の重量を受けるよう前記検出孔を介して刈り草に接触する揺動自在なセンサ板と、
前記センサ板を基準姿勢に揺動付勢するスプリングと、
前記センサ板の前記基準姿勢からの揺動を検出する検出手段とを備えてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、集草容器に刈り草が回収されると、貯留された刈り草が検出孔を介してセンサ板に接触して刈り草の重量がセンサ板に掛かって、センサ板が刈り草重量のためにスプリングに抗して基準姿勢から揺動し、センサ板の基準姿勢からの揺動を検出手段によって検出される。
検出孔は、刈り草投入口の下方に設け、かつ刈り草投入口の集草容器横方向での大きさに等しいまたはそれに近い集草容器横方向での大きさを備えたものだから、搬送ダクトから集草容器に流入した搬送風による圧力をセンサ板に受けにくくしながら、刈り草の重量による操作力をセンサ板に受けやすくして、センサ板の刈り草重量による揺動を刈り草の貯留量に精度よく反応させて行なわせることができる。
これにより、センサ板を検出孔に入り込ませたとしても、スプリングおよび検出手段も集草容器の内部に位置させないで、刈り草量検出を精度よく行なわせることができる。
【0008】
したがって、集草容器の満杯のみを検出する場合であっても、集草容器の貯留量を検出する場合であっても、回収刈り草量の検出を精度よく行なわせて集草容器の満杯報知などのための正確な検出情報を得ることができるものでありながら、従来の検出装置の如く集草容器の内部を設置スペースなどに使用する必要がなくて刈り草の絡み付きや詰まりとか飛散不良、あるいは集草容器の容量減少などを発生させないで済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、草刈機の全体側面図である。この図に示すように、この草刈機は、左右一対の操向操作自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走するよう構成され、かつ車体後部に設けた運転座席3が装備された運転部を有した乗用型の自走車を備え、この自走車の車体フレーム4の前後輪間にリンク機構10を介して連結された草刈装置20を備え、前記自走車の車体フレーム4の後部に支持フレーム31を介して支持される集草容器32が装備された刈草回収装置30を備えている。
【0010】
この草刈機は、芝や草を刈り込む草刈り作業を行う。
すなわち、前記自走車は、車体前部に設けたエンジン5と、このエンジン5の下方に設けた動力取り出し機構40とを備えている。前記動力取り出し機構40は、前記エンジン5の出力を、伝動ベルト42を介して入力軸41に入力し、入力軸41の駆動力を油圧操作式の作業クラッチ45を介して動力取り出し軸43に伝達し、この動力取り出し軸43の駆動力を、回転軸46を介して前記草刈り装置20の刈り刃駆動機構22に伝達する。
【0011】
前記リンク機構10は、車体フレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対の前揺動リンク11,11と、車体フレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対の後揺動リンク12,12と、左右一対の連動リンク13,13とを備えている。
【0012】
前記左右一対の前揺動リンク11,11の先端部は、草刈装置20の前記刈り刃ハウジング21の前部に位置する前連結部材23に連結されている。前記左右一対の後揺動リンク12,12の先端部は、前記刈り刃ハウジング21の後部に位置する後連結部材24に連結されている。前記左側の連動リンク13は、前記左側の前揺動リンク11と後揺動リンク12とを連動させ、前記右側の連動リンク13は、前記右側の前揺動リンク11と後揺動リンク13とを連動させている。前記左右一対の前揺動リンク11,11の一方にリフトシリンダ15が連動されている。
【0013】
つまり、前記リンク機構10は、前記リフトシリンダ15によって一方の前揺動リンク11が揺動操作されると、左右一対の前揺動リンク11,11が回転支軸14による連動のために一体に揺動することによって車体フレーム4に対して上下に揺動操作され、草刈装置20を刈り刃ハウジング21の前後側に支持された接地ゲージ輪25が地面に接地した下降作業状態と、前記各接地ゲージ輪25が地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。
【0014】
前記草刈り装置20を下降作業状態にして自走車を走行させると、草刈り装置20は、前記刈り刃ハウジング21の内部に刈り刃ハウジング横方向に並んで位置する二枚の刈り刃26を前記刈り刃駆動機構22によって刈り刃ハウジング上下向きの軸芯まわりに回転駆動して前記各刈り刃26によって草刈りを行い、刈り草を前記刈り刃26の回転によって発生した風によって刈り刃ハウジング21の上部に位置する刈り草排出ダクト27から排出する。
【0015】
前記刈り草排出ダクト27から排出された刈り草は、前記刈り刃26からの風による搬送作用と、自走車に前記左右一対の後車輪2,2の間を車体前後方向に通して設けてある搬送ダクト6による案内作用とによって前記集草容器32に送り込まれ、この集草容器32によって回収されて貯留される。
【0016】
図1に示すように、前記刈草回収装置30は、前記支持フレーム31の左右側から車体後方向きに上下揺動自在に延出した上下一対の昇降リンク33a,33bと、各昇降リンク33a,33bの遊端側に連結された容器支持体33cとを有したリンク機構33によって支持フレーム31の上端部と集草容器32の後端部とを連結している。この刈草回収装置30は、前記集草容器32の両横側に設けた昇降シリンダ34と、前記集草容器32の後部の下方に設けた一つのダンプシリンダ35とを備えている。
【0017】
図2は、前記集草容器32の下降回収状態での側面図である。この図に示すように、前記刈草回収装置30は、前記左右一対の昇降シリンダ34,34によって前記リンク機構33を下降操作し、前記ダンプシリンダ35によって集草容器32を回転支軸36の軸芯まわりに下降揺動操作することにより、集草容器32を下降回収状態に操作する。
すると、集草容器32の前部に設けてある刈り草投入口32cが車体前方向きになって前記搬送ダクト6に連通し、搬送ダクト6からの刈り草が集草容器32に刈り草投入口32cから投入される。集草容器32の後部に設けてある刈り草排出口32bに対する蓋体32aの支持アーム39が、この支持アーム39と容器フレーム32fとを連結している連結ピン39aの軸芯まわりに、前記支持アーム39と前記容器支持体33cとに連結された開閉リンク37によって閉じ側に揺動操作され、前記蓋体32aが閉じ操作されて刈り草排出口32bを閉じ、刈り草と共に集草容器32に流入した搬送風は、集草容器32の壁体の網目から容器外に流出する。これにより、集草容器32は、搬送ダクト6からの刈り草を回収して貯留する。
【0018】
図3は、前記集草容器32の上昇排出状態での側面図である。この図に示すように、前記刈り草回収装置30は、前記左右一対の昇降シリンダ34,34によって前記リンク機構33を上昇操作し、前記ダンプシリンダ35によって集草容器32を回転支軸36の軸芯まわりに上昇操作することにより、集草容器32を上昇排出状態に操作する。
すると、集草容器32の前記刈り草投入口32cが車体上方向きになり、前記刈り草排出口32bが車体下方向きになる。前記開閉リンク37が集草容器32の回転支軸36のまわりでの揺動によって前記支持アーム39を開き側に揺動操作し、前記蓋体32aが開き操作されて刈り草排出口32bを開く。これにより、集草容器32は、貯留していた刈り草を刈り草排出口32bからの自然落下によって排出する。
【0019】
前記自走車は、運転パネル50に設けた満杯警報装置51を備えている。前記満杯警報装置51は、前記集草容器32の前部に設けた本発明の実施例に係る刈り草量検出装置60によって集草容器32の満杯状態を検出されると、この検出情報を基に作動操作される。この満杯警報装置51は、警報ランプの点灯によって警報する。
【0020】
図4は、前記集草容器32の前記刈り草量検出装置60を設けた部位での縦断側面図である。図7は、前記集草容器32の前記刈り草量検出装置60を設けた部位での正面図である。図8は、前記刈り草量検出装置60の斜視図である。これらの図に示すように、前記集草容器32の前記刈り草投入口32cは、集草容器32の左右一対の前容器フレーム32d、32dにわたって取り付けた板金材52の左右一対の横板部52a,52aと底板部52bとによって形成されている。
【0021】
前記刈り草量検出装置60は、集草容器32の前部に前記刈り草投入口32cの下方に位置させて設けた検出孔61と、この検出孔61のセンサ配置口側に位置したセンサ板62と、このセンサ板62の横一端側の下端部に設けたスプリング連結アーム63に調節ネジ形の連結具64を介して一端側が連結されたスプリング65と、屈曲板金67の左右一対の横板部67b,67bの一方に支持された検出手段66とを備えて構成してある。
【0022】
前記屈曲板金67は、前記左右一対の横板部67b,67bと、左右一対の横板部67b,67bの前端側に連なった前板部67aとを備えた状態で前記板金材52の下方に位置している。この屈曲板金67は、これの左右側で前記横板部67bと前記前容器フレーム32dとを連結している連結部材68を介して集草容器32に支持されている。
【0023】
前記検出孔61は、前記屈曲板金67の前板部67aに設けた矩形の貫通孔で成るセンサ配置口61aと、このセンサ配置口61aから前記左右一対の前容器フレーム32d、32dの間に至る検出孔本体61bとによって構成してある。前記検出孔本体61bは、前記屈曲板金67の前記左右の横板部67bと、前記板金材52の底板部52bと、前記左右一対の連結部材68,68とによって形成してある。
【0024】
前記検出孔61の集草容器横方向での大きさW1は、集草容器32の前記刈り草投入口32cの集草容器横方向での大きさW2に近い大きさになっている。この検出孔61は、前記センサ板62の裏面側に膨出した感圧部62aを入り込ませ、集草容器32に貯留された刈り草の重量がセンサ板62に掛かるようにセンサ板62の前記感圧部62aを集草容器内の刈り草に接触させる。検出孔61の集草容器横方向での大きさW1は、集草容器32の刈り草投入口32cの集草容器横方向での大きさW2に等しくしてもよい。この場合も、検出孔61の大きさW1が刈り草投入口32cの大きさW2に近い場合と同様に、センサ板62の刈り草に接触する面積が大になってセンサ板62が刈り草重量を精度よく受けやすくなる。
【0025】
前記センサ板62は、このセンサ板62の下端側に設けた左右一対の連結板部70,70と、前記屈曲板金67の下端部に設けた左右一対の支持部67c,67cとにわたって装着された枢支軸71を介して前記左右一対の支持部67c,67cに支持されており、前記枢支軸71の集草容器横向きの軸芯まわりに揺動する。
【0026】
前記スプリング65の前記スプリング連結アーム63に連結している側と反対側の端部は、前記板金材52の底板部52bに設けたスプリング掛け体72に連結されており、前記スプリング65は、前記スプリング掛け体72を反力部材にして前記スプリング連結アーム63を前記枢支軸71の軸芯まわりに上昇揺動付勢することにより、センサ板62をセンサ板62の上端部に位置する左右一対の位置決め片62b,62bが前記屈曲板金67の前板部67aに当接して受け止め支持された基準姿勢Aに揺動付勢している。
【0027】
前記スプリング65は、集草容器32における刈り草量が設定満杯量に達すると、センサ板62を介して作用する刈り草重量のために伸長してセンサ板62の前記基準姿勢Aから集草容器外側への揺動を許容し、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度を設定満杯揺動角度にする。
【0028】
前記検出手段66は、前記屈曲板金67の前記横板部67bに固定された検出スイッチによって構成してある。
【0029】
図5は、刈り草量検出装置60の非検出状態での側面図である。図6は、刈り草量検出装置60の満杯検出状態での側面図である。これらの図に示すように、前記検出スイッチの操作片66aは、センサ板62が前記基準姿勢Aにあると、センサ板62に設けてあるスイッチ操作部62cによって押圧操作されてオフ操作状態にあり、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が設定満杯揺動角度になると、前記スイッチ操作部62cによる押圧操作が解除されてオン操作状態に自己復元力によって切り換わる。
【0030】
前記センサ板62は、センサ板62が基準姿勢Aにある場合も、センサ板62が設定満杯揺動角度に揺動した場合も、前記感圧部62aが検出孔61の検出孔本体61bに入り込んだ取り付け姿勢に維持されて、検出孔61のセンサ配置孔61aとセンサ板62との間に刈り草が漏れ出る隙間を形成しない。
【0031】
つまり、集草容器32に刈り草が回収されると、貯留された刈り草が検出孔61を介してセンサ板62の感圧部62aに接触して刈り草の重量がセンサ板62に掛かり、センサ板62が刈り草重量のためにスプリング65に抗して基準姿勢Aから揺動する。回収された刈り草の量が多くなるほど、刈り草重量が増大してセンサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が増大し、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が設定満杯揺動角度に達するまでは検出手段69がオフ状態にあり、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が設定満杯揺動角度に達すると、検出手段69がオン状態に切り換わる。これにより、刈り草量検出装置60は、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度を検出手段66によって回収刈り草量として検出し、センサ板62の基準姿勢Aからの揺動角度が設定満杯揺動角度に達することにより、集草容器32の回収刈り草量が満杯量になったと検出してこの検出結果を検出手段66によって電気信号にして出力する。
【0032】
〔別実施例〕
上記した実施例に替え、センサ板62が検出孔61の内部に揺動自在に位置する構成を採用してよく、この場合も本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】草刈機の全体側面図
【図2】集草容器の下降回収状態での側面図
【図3】集草容器の上昇排出状態での側面図
【図4】集草容器の刈り草量検出装置配設部位での縦断側面図
【図5】刈り草量検出装置の非検出状態での側面図
【図6】刈り草量検出装置の満杯検出状態での側面図
【図7】集草容器の刈り草量検出装置配設部位での正面図
【図8】刈り草量検出装置の斜視図
【符号の説明】
【0034】
6 搬送ダクト
20 草刈り装置
32 集草容器
32c 集草容器の刈り草投入口
61 検出孔
62 センサ板
65 スプリング
66 検出手段
A 基準姿勢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈り装置からの刈り草を車体後方に搬送する搬送ダクトを備えた自走車に前記搬送ダクトからの刈り草を回収するよう装着される集草容器の刈り草量検出装置であって、
前記集草容器の前記搬送ダクトに連通される刈り草投入口の下方に、前記刈り草投入口の集草容器横方向での大きさに等しい又はそれに近い集草容器横方向での大きさを備えさせて設けた検出孔と、
前記集草容器に回収された刈り草の重量を受けるよう前記検出孔を介して刈り草に接触する揺動自在なセンサ板と、
前記センサ板を基準姿勢に揺動付勢するスプリングと、
前記センサ板の前記基準姿勢からの揺動を検出する検出手段とを備えてある集草容器の刈り草量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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