説明

雨水貯留槽又は雨水滞水池を利用した仮設トイレ

【課題】 災害時には、社会的インフラの下水道施設が損傷を受け、トイレの使用が不可能となる。その為、多くの被災民が日常生活に支障をきたす。被災地には長期間多人数が使用できる仮設トイレが必要である。
【解決手段】 上記の課題を解決する為、本発明は、雨水貯留槽、雨水滞水池、の施設を、災害時に仮設トイレが設置できる構造とする事により、被災地に長期間、多人数が使用できる仮設トイレが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水貯留槽又は雨水滞水池を災害時に仮設トイレとして利用する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来の仮設トイレは排泄物の貯留部分が小さいので、長期間、多人数が使用できる仮設トイレとして使用することが出来なかった。
従来の雨水貯留槽の技術を図1に示す。雨水流入管(1)に流入した雨水は、雨水貯留槽に流入し水位(5)は上昇する。流入した雨水は、雨天が終了した後、排水ポンプ(4)により、開渠又は河川に排出する。この事により、雨天時に河川又は開渠に流出する雨水量の急激な増加が削減でき、流出する雨水の平準化が可能となるので浸水の防止ができる。
従来の雨水滞水池の技術を図2に示す。雨水流出管(1)に流入した合流式下水道の雨天時汚水は、雨水吐きで雨水堰を越流して、雨水滞水池に流入し水位(5)は上昇する。雨水滞水池に流入した雨水は、雨天が終了した後、排水ポンプ(4)により、下水処理場へ送水される。この事により、雨水中に含まれる汚染物質を河川に無処理で放流することが防止でき、環境汚染を防止することができる。又、河川への流出雨水量が削減でき、浸水の防止にも寄与できる。
しかし、雨水貯留槽、雨水滞水池、共に、晴天時は空で有り、災害時にトイレ汚水の貯留が可能な容量を有するが、現在の構造では仮設トイレを設置する事は出来ないので災害時に長期間、多人数が使用できる仮設トイレとして使用することが出来ない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
災害時には、社会的インフラの下水道施設が損傷を受け、下水道へ流出する水洗トイレの使用が不可能となる。その為、多くの被災民が日常生活に支障をきたす。被災地には長期間、多人数が使用できる仮設トイレが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
雨水貯留槽、雨水滞水池、は学校、公園、等の公共の場所に設置される場合が多い。これらの施設は、通常時、浸水の防止、環境汚染の防止に使用することができる社会的に有効な施設である。これらの施設を、災害時に仮設トイレが設置できる構造とする事により、被災地に長期間、多人数が使用できる仮設トイレが可能となる。
【発明の実施形態】
【0005】
本発明の雨水貯留槽における実施形態の例を図3に示す。雨水貯留槽の天井部に点検用のマンホール(2)とは別に仮設トイレ用穴(3)を設置し仮設トイレ(11)よりの排泄物が雨水貯留槽に落下させ貯留させる構造とする。図3は雨水貯留槽の天井部がGL部(地表部)に有る場合を示しているが、天井部が地下の場合でも、天井部に仮設トイレ用穴(3)を設置すれば、地下式の雨水貯留槽でも仮設トイレ(11)の設置が可能である。
仮設トイレ用穴(3)の詳細を図4に示す。仮設トイレ用穴(3)の上部には、仮設トイレ(11)を設置する。又、仮設トイレ用穴(3)の下部には人間の落下を防止する安全柵(9)と、雨水貯留槽の底を直視できる事を防止するガイド板(10)を設置する。
通常時、仮設トイレ用穴(3)に仮設トイレ(11)設置せず、蓋(12)を設置しておく。
通常時、仮設トイレ(11)雨水は雨水流入管(1)より雨水貯留槽に流入し水位(6)は上昇する。流入した雨水は、雨天が終了した後、排水ポンプ(4)により、開渠又は河川に排出する。災害時、雨水貯留槽を仮設トイレ用に使用する場合は、仕切弁(8)を閉とし、雨水流入管(1)より雨水貯留槽へ雨水が流入する事を防止する。
尚、災害時、雨水貯留槽を仮設トイレ用に使用している期間に発生した雨水は、雨水流入管(1)より越流させ、河川又は開渠に直接流出させる。
雨水貯留槽に貯留された排泄物は、汚水ポンプ(6)で槽外に搬出する。汚水ポンプ(6)の代わりに、バキュウム車で搬出することもできる。
雨水貯留槽内の空気は脱臭装置を経て大気に排出する事により仮設トイレ用穴(3)より悪臭の気散を防止する。
雨水滞水池の場合は、雨水が合流式下水となり、送水先が下水処理場となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、雨水貯留槽又は雨水滞水池の容量を有効利用することにより、多人数が長期間使用できる仮設トイレとして使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は従来の雨水貯留槽の技術例を示す。
【図2】は従来の雨水滞水池の技術例を示す。
【図3】は本発明の雨水貯留槽に関する実施例を示す。
【図4】は仮設トイレ用穴の設置例を示す。
【符号説明】
(1)は雨水流入管、(2)はマンホール、(3)は仮設トイレ用穴、(4)は排水ポンプ、(5)は水位、(6)は汚水ポンプ、(7)は脱臭装置、(9)は仕切弁、(10)はガイド板、(11)は仮設トイレ、(12)は蓋、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水貯留槽又は雨水滞水池に点検用マンホール(2)とは別に仮設トイレ用穴(3)を設置した雨水貯留槽又は雨水滞水池
【請求項2】
請求項1の雨水貯留槽又は雨水滞水池において、安全柵(9)、ガイド板(10)、蓋(12)を具備した仮設トイレ用穴(3)を設置した雨水貯留槽又は雨水滞水池

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−87618(P2013−87618A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244927(P2011−244927)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(599173583)
【出願人】(511197578)
【Fターム(参考)】