説明

電力供給システム

【課題】電力負荷装置への安定した電力供給及び長期間にわたる電力供給を確実に行える電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システムSが、発電装置5と太陽電池装置6と蓄電装置7とインバータ14と開閉器15と電力負荷装置3、4と、電力変換器12A、12B、12C及び発電装置5及びインバータ14及び開閉器15の動作を制御する制御部11とを備え、制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、商用電源1からの受電電力が目標受電電力となるように発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御し、及び、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が最大となるように第2電力変換器12Bの動作を制御し、及び、直流線路17の電圧が正常時設定直流電圧となるようにインバータ14の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の電源装置を備える電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複数種の電源装置を備える電力供給システムが提案されている。例えば、特許文献1には、風力発電装置、太陽光発電装置、原動機発電装置、二次電池を電源装置として備える電力供給システムが記載されている。このように、複数種の電源装置を備えることで、電力の需要と供給のバランスが崩れると先ず二次電池が商用系統に対して放電もしくは商用系統からの充電を行い周波数変動を抑制し、ついて原動機発電装置が二次電池の放電量を減じるようにその負荷を調整するので、商用系統の周波数変動を許容値以下に抑制することができるという効果が得られる。
【0003】
但し、特許文献1に記載の電力供給システムでは、各電源装置が交流線路で互いに接続されている。従って、複数の電源装置を交流線路に対して各別に接続するために複数のインバータが必要になる。その結果、インバータでの電力変換時にはエネルギロスが発生するため、インバータの台数が多くなると、電力供給システム全体で見た場合、合計のエネルギロスが大きくなるという問題がある。
【0004】
特許文献2には、太陽電池及び蓄電池を電源装置として備える電力供給システムが記載されている。特許文献2の電力供給システムでは、太陽電池及び蓄電池は先ず直流線路で互いに接続されている。そして、直流線路と交流線路とを接続する1台のインバータが設けられている。そのため、特許文献1で問題視したインバータでのエネルギロスの発生を小さくできるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−69893号公報
【特許文献2】特開平6−178461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の段落0006には、停電時は開閉器を高速で開くことで、蓄電池及び太陽電池から無停電負荷に対して電力を供給し続けることができる旨の記載がある。しかし、蓄電池は容量に制限があり、太陽電池も日射量に応じて発電量が制限される。そのため、特許文献2に記載の電力供給システムにおいて、商用電源の停電時において、無停電負荷への安定した電力供給及び長期間にわたる電力供給を確実に行えるとは言い難い。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力負荷装置への安定した電力供給及び長期間にわたる電力供給を確実に行える電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、
第1電力変換器を介して直流線路に接続される、燃料を用いて発電する発電装置と、
第2電力変換器を介して前記直流線路に接続される太陽電池装置と、
第3電力変換器を介して前記直流線路に接続される蓄電装置と、
前記直流線路から供給される直流電力を交流電力に変換して交流側に出力するインバータと、
商用電源と前記インバータの交流側との間の接続を遮断可能な開閉器と、
前記インバータと前記開閉器との間の交流線路に接続され、前記インバータから出力される交流電力及び前記商用電源から受電する交流電力の供給を受けることができる電力負荷装置と、
前記第1電力変換器、前記第2電力変換器、前記第3電力変換器、前記発電装置、前記インバータ及び前記開閉器の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記商用電源からの受電電力が目標受電電力となるように前記発電装置及び前記第1電力変換器の動作を制御し、及び、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力が最大となるように前記第2電力変換器の動作を制御し、及び、
前記直流線路の電圧が正常時設定直流電圧となるように前記インバータの動作を制御する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、発電装置及び太陽電池装置及び蓄電装置という複数種の電源装置を備えているので、何れかの電源装置から電力供給できない状況になったとしても、残りの電源装置から電力供給できる。例えば、夜間に太陽電池装置から電力供給できなくなったとしても発電装置及び蓄電装置から電力供給でき、或いは、燃料供給が止まって発電装置から電力供給できなくなったとしても、太陽電池装置及び蓄電装置から電力供給できる。また、日中であれば太陽電池装置から長期間にわたって電力供給でき、燃料供給が継続されていれば発電装置から長期間にわたって電力供給できる。
加えて、制御部が、商用電源からの受電電力が目標受電電力となるように発電装置及び第1電力変換器の動作を制御することで、商用電源からの受電電力を安定させることができる。
従って、電力負荷装置への安定した電力供給及び長期間にわたる電力供給を確実に行える電力供給システムを提供できる。
【0010】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記商用電源からの受電電力が上昇して前記目標受電電力よりも大きい放電開始電力以上になると、前記蓄電装置から前記直流線路への放電を実施させるように前記第3電力変換器の動作を制御する受電電力抑制制御を実施し、
前記受電電力抑制制御を実施している状態において、前記商用電源からの受電電力が低下して前記放電開始電力未満である放電停止電力以下になると、前記受電電力抑制制御を停止する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、制御部は、商用電源からの受電電力が上昇して目標受電電力よりも大きい放電開始電力以上になった後から、その放電開始電力未満である放電停止電力以下になるまでの間、蓄電装置から直流線路への放電を実施させるように第3電力変換器の動作を制御する。その結果、商用電源からの受電電力が上記放電開始電力以上になることを抑制できる。従って、電力会社との間での契約により決定されている最大受電電力が低く抑えられていたとしても、その最大受電電力よりも小さい値に上記放電開始電力を設定しておけば、実際の受電電力がその最大受電電力を超えないようにできる。
【0012】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の減少速度が大きくなって設定減少速度以上になると、前記インバータの交流出力電力の減少速度が設定インバータ出力減少速度となるように前記蓄電装置から前記直流線路への放電を実施させるように前記第3電力変換器の動作を制御する出力減少抑制制御を実施し、
前記出力減少抑制制御を実施している状態において、前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の減少速度が小さくなって前記設定減少速度未満になると、前記出力減少抑制制御を停止する点にある。
【0013】
太陽電池装置の発電電力が急激に低下すると、太陽電池装置から直流線路への出力電力も急激に減少し、結果的に、インバータの交流出力電力が急激に減少することにもなる。その結果、商用電源からの受電電力が急激に増加する。このような受電電力の急激な増加は、商用系統の安定性を乱すことにつながる。
ところが本特徴構成によれば、制御部は、太陽電池装置から直流線路への出力電力の減少速度が大きくなって設定減少速度以上になると、インバータの交流出力電力の減少速度が設定インバータ出力減少速度となるように蓄電装置から直流線路への放電を実施させるように第3電力変換器の動作を制御する出力減少抑制制御を実施する。つまり、太陽電池装置から直流線路への出力電力が急激に減少したとしても、上記出力減少抑制制御によって、インバータの交流出力電力の減少速度はある程度緩和される。その結果、商用電源からの受電電力が急激に増加することもなくなるので、商用系統の安定化に寄与できる。また、例えば、出力を急激に増大させることができない発電装置であっても、インバータの交流出力電力の減少速度がある程度緩やかになっていれば、その減少速度に追従した発電装置の出力増加(即ち、太陽電池装置の出力減少分を発電装置の出力増加分である程度相殺すること)も可能となる。
【0014】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の増加速度が大きくなって設定増加速度以上になると、前記インバータの交流出力電力の増加速度が設定インバータ出力増加速度となるように前記直流線路から前記蓄電装置への充電を実施させるように前記第3電力変換器の動作を制御する出力増加抑制制御を実施し、
前記出力増加抑制制御を実施している状態において、前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の増加速度が小さくなって前記設定増加速度未満になると、前記出力増加抑制制御を停止する点にある。
【0015】
太陽電池装置の発電電力が急激に増加すると、太陽電池装置から直流線路への出力電力も急激に増加し、結果的に、インバータの交流出力電力が急激に増加することにもなる。その結果、商用電源からの受電電力が急激に減少する。このような受電電力の急激な減少は、商用系統の安定性を乱すことにつながる。
ところが本特徴構成によれば、制御部は、太陽電池装置から直流線路への出力電力の増加速度が大きくなって設定増加速度以上になると、インバータの交流出力電力の増加速度が設定インバータ出力増加速度となるように直流線路から蓄電装置への充電を実施させるように第3電力変換器の動作を制御する出力増加抑制制御を実施する。つまり、太陽電池装置から直流線路への出力電力が急激に増加したとしても、上記出力増加抑制制御によって、インバータの交流出力電力の増加速度はある程度緩和される。その結果、商用電源からの受電電力が急激に減少することもなくなるので、商用系統の安定化に寄与できる。また、例えば、出力を急激に減少させることができない発電装置であっても、インバータの交流出力電力の増加速度がある程度緩やかになっていれば、その増加速度に追従した出力減少(即ち、太陽電池装置の出力増加分を発電装置の出力減少分である程度相殺すること)も可能となる。
【0016】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記蓄電装置の充放電を行っておらず且つ前記蓄電装置の蓄電量が最大値未満であり且つ前記発電装置に出力余裕があるときに前記蓄電装置に充電するように前記第3電力変換器の動作を制御する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、制御部は、適当なタイミングで蓄電装置に充電を行うことでその蓄電量を増大しておくことができる。つまり、蓄電装置から長期間の放電を行わせる体制を整えておくことができる。
【0018】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記開閉器は、半導体スイッチ回路で構成され、
前記制御部は、前記商用電源で停電が発生したと判定すると、前記開閉器を動作させて前記商用電源と前記インバータの交流側との間の接続を遮断する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、開閉器が半導体スイッチ回路で構成されるので、その開閉動作を非常に短時間で行うことができる。その結果、制御部が、商用電源で停電が発生したと判定したタイミングで商用電源とインバータの交流側との間の接続を開閉器で即座に遮断すれば、上記電力負荷装置(即ち、インバータと開閉器との間の交流線路に接続され、インバータから出力される交流電力及び商用電源から受電する交流電力の供給を受けることができる電力負荷装置)に対して、瞬停を発生させること無しにインバータから出力される交流電力を供給し続けることができる。
【0020】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源で停電が発生しているとき、
前記直流線路の電圧が停電時設定直流電圧となるように前記発電装置及び前記第1電力変換器の動作を制御し、及び、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力が最大となるように前記第2電力変換器の動作を制御し、及び、
前記交流線路の電圧が停電時設定交流電圧となるように前記インバータの動作を制御する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、制御部は、商用電源で停電が発生しているとき、太陽電池装置から直流線路へは最大の電力を供給させた上で、発電装置及び第1電力変換器によって直流線路の電圧を停電時設定直流電圧に維持する。つまり、制御部は、直流線路の電圧を停電時設定直流電圧に維持することで、電力の需給のバランスを取ることができる。
【0022】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源で停電が発生しているとき、
前記直流線路の電圧が前記停電時設定直流電圧となるように前記第3電力変換器の動作を制御する電圧維持制御を行い、
前記電圧維持制御を行っておらず且つ前記蓄電装置の蓄電量が最大値未満であり且つ前記発電装置又は前記太陽電池装置或いはその双方に出力余裕があるときに前記蓄電装置に充電するように前記第3電力変換器の動作を制御する点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、制御部は、商用電源で停電が発生しているとき、直流線路の電圧を停電時設定直流電圧に維持するために、蓄電装置から直流線路への放電を行わせることができる。その結果、制御部は、直流線路の電圧を停電時設定直流電圧に維持することで、電力の需給のバランスを取ることができる。
また、制御部は、上記電圧維持制御を行っておらず且つ蓄電装置の蓄電量が最大値未満であり且つ発電装置又は太陽電池装置或いはその双方に出力余裕があるタイミングで蓄電装置に充電を行って、その蓄電量を増大しておくことができる。つまり、蓄電装置から長期間の放電を行わせる体制を整えておくことができる。ここで、発電装置に出力余裕があるとみなすことができる一例として、発電装置を定格出力で運転していない状態を挙げることができる。また、太陽電池装置に出力余裕があるとみなすことができる一例として、第2電力変換器が最大電力点以下の電力を直流線路に供給している状態を挙げることができる。
【0024】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御部は、前記商用電源で停電が発生しているとき、
前記発電装置を運転させている場合、前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力が最大となるように前記第2電力変換器の動作を制御し、及び、
前記発電装置を運転させていない場合、前記直流線路の電圧が停電時設定直流電圧となるように前記第2電力変換器の動作を制御する点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、制御部は、発電装置を運転させている場合、太陽電池装置から直流線路への出力電力が最大となるように第2電力変換器の動作を制御することで、より大きな電力を電力負荷装置へ供給できる。また、制御部は、発電装置を運転させていない場合、直流線路の電圧が停電時設定直流電圧となるように第2電力変換器の動作を制御することで、電力の需給のバランスを取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】電力供給システムの構成を示す図である。
【図2】受電電力に応じた充放電制御を説明するフローチャートである。
【図3】放電開始電力及び放電停止電力の大きさを、目標受電電力及び最大受電電力と比較して説明する図である。
【図4】太陽電池装置(第2電力変換器)の出力電力の減少に応じた充放電制御を説明するフローチャートである。
【図5】太陽電池装置(第2電力変換器)の出力電力の増加に応じた充放電制御を説明するフローチャートである。
【図6】太陽電池装置が接続される第2電力変換器の動作制御を説明するフローチャートである。
【図7】発電装置及び第1電力変換器の動作制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に図面を参照して本発明に係る電力供給システムについて説明する。
図1は、電力供給システムSの構成を示す図である。図示するように、電力供給システムSは、複数種の電源装置として、燃料を用いて発電する発電装置5と、太陽電池装置6と、蓄電装置7とを備える。電力供給システムSにおいて、発電装置5は第1電力変換器12Aを介して直流線路17に接続され、太陽電池装置6は第2電力変換器12Bを介して直流線路17に接続され、蓄電装置7は第3電力変換器12Cを介して直流線路17に接続される。加えて、電力供給システムSは、直流線路17から供給される直流電力を交流電力に変換して交流側に出力するインバータ14と、商用電源1とインバータ14の交流側との間の接続を遮断可能な開閉器15と、インバータ14と開閉器15との間の交流線路18に接続され、インバータ14から出力される交流電力及び商用電源1から受電する交流電力の供給を受けることができる重要電力負荷装置(例えば、サーバ装置など)としての電力負荷装置4とを備える。更に、電力供給システムSは、第1電力変換器12A、第2電力変換器12B、第3電力変換器12C、発電装置5、インバータ14及び開閉器15の動作を制御する制御部11を備える。商用電源1と開閉器15とを接続する商用系統2には一般電力負荷装置(例えば、空調装置など)としての電力負荷装置3が接続されている。
【0028】
本実施形態では、第1電力変換器12A、第2電力変換器12B、第3電力変換器12C、インバータ14、開閉器15及び制御部11は、マルチソース電力変換装置10として一体で構成されている。マルチソース電力変換装置10は、複数の電源側接続端子13A、13B、13Cと、系統側接続端子16と、負荷側接続端子22とを備える。第1電力変換器12Aに接続される第1電源側接続端子13Aには、発電装置5が電気的に連結されている。第2電力変換器12Bに接続される第2電源側接続端子13Bには、太陽電池装置6が電気的に連結されている。第3電力変換器12Cに接続される第3電源側接続端子13Cには、蓄電装置7が電気的に連結されている。開閉器15に接続される系統側接続端子16には、商用系統2が電気的に連結されている。負荷側接続端子22には、重要電力負荷装置としての電力負荷装置4が電気的に連結されている。
尚、各電源側接続端子13A、13B、13Cに接続される第1電力変換器12A、第2電力変換器12B、第3電力変換器12Cの制御を適宜変更すれば、各電源側接続端子13A、13B、13Cには様々な種類の電源装置を接続できる。
【0029】
発電装置5は、燃料を用いて発電する装置である。例えば、燃料を消費して稼動するエンジンとそのエンジンの駆動力を利用して発電作動する発電機とを備えるような発電装置や、燃料電池のような発電装置が利用可能である。よって、燃料が尽きなければ長期間にわたって確実に発電をし続けることができる。
太陽電池装置6は、太陽光を吸収して光電変換する発電装置である。太陽電池装置6の出力電力は太陽光の強度に応じて変化し、所望の出力電力を得ることができるとは限らない。
蓄電装置7は、蓄電池、電気二重層キャパシタ、フライホイールなどの蓄電機能を有する装置である。
【0030】
第1電力変換器12Aは、発電装置5から供給される電力を所定の直流電力に変換して直流線路17へ供給する。第2電力変換器12Bは、太陽電池装置6から供給される電力を所定の直流電力に変換して直流線路17へ供給する。第3電力変換器12Cは、直流線路17から蓄電装置7への充電と、蓄電装置7から直流線路17への放電とを制御できる。
インバータ14は、直流線路17から供給される直流電力を所定の交流電力に変換して交流側に出力する電力変換器である。
開閉器15は、半導体スイッチ回路で構成される。本実施形態において、開閉器15は、2つのサイリスタを逆並列接続して構成される回路構成としてあるが、他の回路構成としてもよい。
【0031】
電力供給システムSの受電電力は、電力計21で計測されて制御部11に入力される。蓄電装置7の蓄電量(電圧)は、電圧計19で計測されて制御部11に入力される。交流線路18の電圧は、電圧計20で計測されて制御部11に入力される。直流線路17の電圧は、電圧計23で計測されて制御部11に入力される。
【0032】
次に、制御部11の動作について、商用電源1からの電力供給が正常に行われているときと、及び、商用電源1で停電が発生しているときとで場合分けして説明する。
【0033】
<商用電源の正常時>
制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、商用電源1からの受電電力が目標受電電力となるように発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御し、及び、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が最大となるように(即ち、最大電力点追従(MPPT)制御を行うように)第2電力変換器12Bの動作を制御し、及び、直流線路17の電圧が正常時設定直流電圧となるようにインバータ14の動作を制御する。
【0034】
具体的には、発電装置5から第1電力変換器12Aを介して直流線路17に供給される電力が一定であったとしても、太陽電池装置6の出力が刻々と変化すれば、電力計21で計測される受電電力も刻々と変化してしまう。そこで、制御部11は、太陽電池装置6の出力変化があったとしても受電電力が目標受電電力で一定となるように、電力計21の計測結果を参照して、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御する。
【0035】
更に、制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、第3電力変換器12Cに対して、受電電力に応じた充放電制御、太陽電池装置6の出力電力に応じた充放電制御、及び、蓄電装置7の蓄電量に応じた充放電制御という3つの充放電制御を並行して実施する。以下に、それら充放電制御について説明する。
【0036】
〔受電電力に応じた充放電制御〕
図2は、受電電力に応じた充放電制御を説明するフローチャートである。図3は、図2のフローチャートで記載する放電開始電力及び放電停止電力の大きさを、目標受電電力及び最大受電電力と比較して説明する図である。図3に示すように、本実施形態では、最大受電電力>放電開始電力>放電停止電力>目標受電電力、である。
【0037】
図2に示す充放電制御は、電力供給システムSにおける受電電力が最大受電電力に近づいたとき、蓄電装置7から放電させて受電電力を低下させることを目的として行われるものである。よって、制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、商用電源1からの受電電力が上昇して放電開始電力以上になると、蓄電装置7から直流線路17への放電を実施させるように第3電力変換器12Cの動作を制御する受電電力抑制制御を実施し、受電電力抑制制御を実施している状態において、商用電源1からの受電電力が低下して放電開始電力未満である放電停止電力以下になると、受電電力抑制制御を停止する。
【0038】
具体的には、工程100において制御部11は、電力計21で計測される受電電力が放電開始電力以上か否かを判定する。上述したように、制御部11は、商用電源1からの受電電力が目標受電電力となるように発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作(即ち、発電装置5から直流線路17への出力電力)を制御している。ところが、電力負荷装置3、4の電力負荷が増大した場合、又は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が減少した場合、又は、発電装置5に出力余裕が無くなった場合(例えば、発電装置5を定格出力で運転している場合)などには、電力計21で計測される受電電力が目標受電電力を超えてしまうことがある。本実施形態では、単に受電電力が目標受電電力を超えることは許容されるが、受電電力が図3に例示する最大受電電力を超えることは許容しない。そのため、制御部11は、工程100において受電電力が最大受電電力に近づいて放電開始電力以上になったと判定すると、工程102に移行して蓄電装置7から直流線路17への放電を行わせることで受電電力の抑制を試みる。
尚、制御部11は、工程100において受電電力が放電開始電力未満であると判定した場合、このフローチャートの最初にリターンする。
【0039】
制御部11が、工程102において蓄電装置7から直流線路17への放電を行わせると、電力計21で計測される受電電力は低下する。また、時間経過とともに電力負荷装置3、4の電力負荷が減少した場合や、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が上昇に転じた場合には、それらの要因でも受電電力は低下する。
そこで、工程104において制御部11は、電力計21で計測される受電電力が図3に例示する放電停止電力以下にまで低下したか否かを判定する。受電電力が放電停止電力以下にまで低下していれば、もはや蓄電装置7からの放電は不要だからである。
【0040】
制御部11は、工程104において受電電力が放電停止電力以下にまで低下したと判定したとき、工程106に移行して蓄電装置7から直流線路17への放電を停止させる。
これに対して、制御部11は、工程104において受電電力が放電停止電力以下にまで低下していないと判定したとき、例えば所定時間を空けて工程104の判定処理を再度行う。
【0041】
以上のように、図2に示す充放電制御を行うことで、電力供給システムSにおける受電電力が最大受電電力に近づいたとしても、受電電力が最大受電電力を超えないようにできる。
【0042】
〔太陽電池装置の出力電力に応じた充放電制御〕
図4は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力減少に応じた充放電制御を説明するフローチャートである。例えば、発電装置5の応答性が悪い場合(即ち、発電装置5及び第1電力変換器12Aから直流線路17への供給電力の最大増加速度が小さい場合)、最大電力点追従制御で制御されている太陽電池装置6及び第2電力変換器12Bから直流線路17への出力電力が急激に減少すると、その急激な出力電力の減少分を発電装置5から直流線路17への出力電力の増加分で相殺できず、受電電力の急激な増加に至るような状況が発生する可能性がある。図4に示す出力電力減少に応じた充放電制御は、そのような受電電力の急激な増加に至るような状況を避けることを目的として行われるものである。
【0043】
つまり、制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、太陽電池装置6の出力電力(即ち、第2電力変換器12Bから直流線路17への出力電力)の減少速度が大きくなって設定減少速度以上になると、インバータ14の交流出力電力の減少速度が設定インバータ出力減少速度となるように蓄電装置7から直流線路17への放電を実施させるように第3電力変換器12Cの動作を制御する出力減少抑制制御を実施し、その出力減少抑制制御を実施している状態において、太陽電池装置6の出力電力の減少速度が小さくなって設定減少速度未満になると、出力減少抑制制御を停止する。
【0044】
具体的には、工程200において制御部11は、電力計24で計測される太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度以上であるか否かを判定する。太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度以上になると、電力計20で計測されるインバータ14の交流出力電力も急激に減少して、電力計21で計測される受電電力が急激に増大することになる。商用系統2の安定性を大きく乱すこととなるこのような受電電力の急激な変動は好ましくない。よって、制御部11は、工程200において太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度以上であると判定すると、工程202に移行して、指標としてのインバータ14の交流出力電力の減少速度が設定インバータ出力減少速度となるように蓄電装置7からの放電を実施させる。
尚、制御部11は、工程200において太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度未満であると判定した場合、このフローチャートの最初にリターンする。
【0045】
制御部11が、工程202において蓄電装置7から直流線路17への放電を行わせると、インバータ14の交流出力電力の減少速度が低下して設定インバータ出力減少速度に近づくため、電力計21で計測される受電電力が急激に増大することを回避できる。しかし、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度未満となるまでは、蓄電装置7からの放電を継続する必要がある。そこで、工程204において制御部11は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度未満であるか否かを判定する。そして、工程204において制御部11は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度未満であると判定すると、工程206に移行して蓄電装置7からの放電を停止する。これに対して、工程204において制御部11は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の減少速度が設定減少速度以上であると判定すると、このフローチャートの最初にリターンする。
【0046】
以上のように、図4に示す太陽電池装置6の出力電力減少に応じた充放電制御を行うことで、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が急激に減少したとしても、インバータ14の交流出力電力の減少速度はある程度緩和される。その結果、商用電源1からの受電電力が急激に増加することもなくなる。また、例えば、出力を急激に増大させることができない発電装置5であっても、インバータ14の交流出力電力の減少速度がある程度緩やかになっていれば、その減少速度に追従した出力増加も可能となる。その結果、電力計21で計測される受電電力が急激に増大することを回避できる。
【0047】
図5は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力増加に応じた充放電制御を説明するフローチャートである。例えば、発電装置5の応答性が悪い場合(即ち、発電装置5及び第1電力変換器12Aから直流線路17への供給電力の最大減少速度が小さい場合)、最大電力点追従制御で制御されている太陽電池装置6及び第2電力変換器12Bから直流線路17への出力電力が急激に増加すると、その急激な出力電力の増加分を発電装置5から直流線路17への出力電力の減少分で相殺できず、受電電力の急激な減少に至るような状況が発生する可能性がある。図5に示す出力電力増加に応じた充放電制御は、そのような受電電力の急激な減少に至るような状況を避けることを目的として行われるものである。
【0048】
つまり、制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、太陽電池装置6の出力電力(即ち、第2電力変換器12Bから直流線路17への出力電力)の増加速度が大きくなって設定増加速度以上になると、インバータ14の交流出力電力の増加速度が設定インバータ出力増加速度となるように直流線路17から蓄電装置7への充電を実施させるように第3電力変換器12Cの動作を制御する出力増加抑制制御を実施し、その出力増加抑制制御を実施している状態において、太陽電池装置6の出力電力の増加速度が小さくなって設定増加速度未満になると、出力増加抑制制御を停止する。
【0049】
具体的には、工程500において制御部11は、電力計24で計測される太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度以上であるか否かを判定する。太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度以上になると、電力計20で計測されるインバータ14の交流出力電力も急激に増加して、電力計21で計測される受電電力が急激に減少することになる。商用系統2の安定性を大きく乱すこととなるこのような受電電力の急激な変動は好ましくない。よって、制御部11は、工程500において太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度以上であると判定すると工程502に移行し、他方で太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度未満であると判定した場合、このフローチャートの最初にリターンする。
【0050】
工程502において制御部11は、直流線路17から蓄電装置7への充電を行うことにより受電電力の急激な減少を抑制できる体制にあるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、工程502において、蓄電装置7の蓄電量が最大値であるか否かを判定する。そして、制御部11は、蓄電装置7の蓄電量が最大値ではない場合(即ち、充電余力が有る場合)、工程504に移行して、指標としてのインバータ14の交流出力電力の増加速度が設定インバータ出力増加速度となるように直流線路17から蓄電装置7への充電を実施させる。
これに対して、制御部11は、蓄電装置7の蓄電量が最大値である場合(即ち、充電余力が無い場合)、工程510に移行する。
【0051】
制御部11が、工程504において直流線路17から蓄電装置7への充電を行わせると、インバータ14の交流出力電力の増加速度が低下して設定インバータ出力増加速度に近づくため、電力計21で計測される受電電力が急激に減少することを回避できる。しかし、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度未満となるまでは、蓄電装置7による充電を継続する必要がある。そこで、工程506において制御部11は、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度未満であるか否かを判定する。そして、制御部11は、工程506において、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度未満であると判定すると、工程508に移行して蓄電装置7による充電を停止する。これに対して、制御部11は、工程506において、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の増加速度が設定増加速度以上であると判定すると、このフローチャートの最初にリターンする。
【0052】
尚、制御部11が、工程502において蓄電装置7の蓄電量が最大値である(即ち、充電余力が無い)と判定した場合、工程510において最大電力点への追従速度を通常よりも抑えるように第2電力変換器12Bの動作を制御する。例えば、制御部11は、商用電源1からの受電電力が目標受電電力となるように、発電装置5及び第1電力変換器12Aから直流線路17への出力電力を減少させる制御を行っているので、工程510において制御部11は、第1電力変換器12Aからの出力減少速度と第2電力変換器12Bからの出力増加速度とを同じにする(即ち、第1電力変換器12Aからの出力減少分と第2電力変換器12Bからの出力増加分とが相殺される)ことを目標にして、最大電力点への追従速度を調節するように第2電力変換器12Bの動作を制御する。そして、制御部11は、蓄電装置7へ充電できる状態になると第2電力変換器12Bからの出力増加速度の調節を終了する。
以上のように、制御部11は、蓄電装置7へ充電できる状態では工程504において直流線路17から蓄電装置7への充電を行わせ、蓄電装置7へ充電できない状態では工程510において最大電力点への追従速度を通常よりも抑えるように第2電力変換器12Bの動作を制御する。
【0053】
以上のように、図5に示す太陽電池装置6の出力電力増加に応じた充放電制御を行うことで、太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が急激に増加したとしても、インバータ14の交流出力電力の増加速度はある程度緩和される。その結果、商用電源1からの受電電力が急激に減少することもなくなる。また、例えば、出力を急激に減少させることができない発電装置5であっても、インバータ14の交流出力電力の増加速度がある程度緩やかになっていれば、その増加速度に追従した出力減少も可能となる。その結果、電力計21で計測される受電電力が急激に減少することを回避できる。
【0054】
〔蓄電装置の蓄電量に応じた充放電制御〕
蓄電装置7を用いて上述のような充放電制御を行うためには、蓄電装置7の蓄電量を適切な範囲内(好ましくは最大値)に維持しておくことが必要である。よって、制御部11は、商用電源1からの電力供給が正常に行われているとき、上述したような蓄電装置7の充放電を行っておらず且つ蓄電装置7の蓄電量が最大値未満であり且つ発電装置5に出力余裕があるときに蓄電装置7に充電するように第3電力変換器12Cの動作を制御する。その結果、適当なタイミングで蓄電装置7の蓄電量を増大させておくことができる。
【0055】
<商用電源の停電時>
制御部11は、商用電源1で停電が発生したと判定すると、開閉器15を動作させて商用電源1とインバータ14の交流側との間の接続を遮断する。具体的には、制御部11は、電圧計25で計測される電圧の変化から、商用電源1で停電が発生したことを検知できる。本実施形態では、開閉器15は半導体スイッチ回路(例えば、図1に示したようなサイリスタ)で構成されるため、商用電源1とインバータ14の交流側との間の接続は非常に短い時間で遮断できる。
【0056】
具体的には、制御部11は、商用電源1で停電が発生したと判定すると、開閉器15を動作させて商用電源1とインバータ14の交流側との間の接続を即座に遮断すると共に、以下に説明するように、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御と、第2電力変換器12Bの動作制御と、第3電力変換器12Cの動作制御とを並行して行う。
【0057】
〔第2電力変換器(太陽電池装置)の動作制御〕
図6は、太陽電池装置6が接続される第2電力変換器12Bの動作制御を説明するフローチャートである。図示するように、工程300において制御部11は、発電装置5は運転実施しているか否かを判定する。後述するように、制御部11は、重要電力負荷装置としての電力負荷装置4の電力負荷が非常に小さいとき、発電装置5を運転実施させない。そして、制御部11は、発電装置5を運転実施しているときと、運転実施していないときとで、第2電力変換器12Bの動作制御を切り替える。具体的には、制御部11は、発電装置5が運転実施しているとき、工程302に移行して太陽電池装置6から直流線路17への出力電力が最大となるように第2電力変換器12Bの動作制御(即ち、最大電力点追従制御)を行う。これに対して、制御部11は、発電装置5が運転実施していないとき、工程304に移行して、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧となるように太陽電池装置6から直流線路17への出力電力を第2電力変換器12Bの動作で制御する。
【0058】
以上のように、発電装置5が運転を実施していないとき、制御部11は、太陽電池装置6を直流線路17の電圧を一定に維持し、電力の需給のバランスを取るために働かせることができる。また、発電装置5が運転を実施しているとき、後述するように発電装置5が直流線路17の電圧を維持する役割を担うため、制御部11は、太陽電池装置6が最大電力を直流線路17に供給するように働かせることができる。
【0059】
〔第3電力変換器(蓄電装置)の動作制御〕
制御部11は、商用電源1で停電が発生しているとき、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧となるように第3電力変換器12Cの動作を制御する電圧維持制御を行う。つまり、制御部11は、蓄電装置7から直流線路17への放電又は直流線路17から蓄電装置7への充電によって、電力の需給のバランスを取ることができる。この電圧維持制御を行うことで、太陽電池装置6の出力が大きく変動したとしても、その変動分が蓄電装置7の充放電で補償される。
また、制御部11は、商用電源1で停電が発生しているとき、電圧維持制御を行っておらず且つ蓄電装置7の蓄電量が最大値未満であり且つ発電装置5又は太陽電池装置6或いはその双方に出力余裕があるときに蓄電装置7に充電するように第3電力変換器12Cの動作を制御する。つまり、制御部11は、適当なタイミングで蓄電装置7に充電を行うことでその蓄電量を増大しておくことができる。本実施形態において、「発電装置5に出力余裕がある」とは、発電装置5が定格出力で運転しておらず、出力を更に上昇できる状態を意味する。また、「太陽電池装置6に出力余裕がある」とは、第2電力変換器12Bが最大電力点以下の電力を直流線路17に供給して、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧となるように第2電力変換器12Bの動作を制御している状態を意味する。
【0060】
〔発電装置及び第1電力変換器の動作制御〕
図7は、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御を説明するフローチャートである。
図示するように、工程400において制御部11は、発電装置5の運転実施条件を満たしているか否かを判定する。例えば、制御部11は、太陽電池装置6の容量に対して電力負荷装置4の容量が十分に小さく、且つ、太陽電池装置6が発電を行っている場合、運転実施条件は満たされない(即ち、発電装置5を運転する必要はない)と判定する。そして、制御部11は、運転実施条件が満たされないと判定すると工程414に移行して発電装置5を運転実施させず、それ以外の場合(運転実施条件が満たされたと判定した場合)は工程402に移行して発電装置5を運転実施させる。
【0061】
発電装置5を運転実施させている場合、工程404〜工程412において制御部11は、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧となるように発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御する。具体的には、工程404において制御部11は、電圧計23で計測される直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧より高いか否かを判定し、工程408において制御部11は、電圧計23で計測される直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧より低いか否かを判定する。そして、制御部11は、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧より高い場合には工程406において発電装置5から直流線路17への出力電力を減少させる方向に発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御する。また、制御部11は、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧より低い場合には工程410において発電装置5から直流線路17への出力電力を増加させる方向に発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御する。また或いは、制御部11は、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧と同じである場合には工程412において発電装置5から直流線路17への出力電力を現状維持させるように発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御する。
【0062】
このとき、制御部11は、図6の工程302に示したように、太陽電池装置6からの出力電力が最大となるように第2電力変換器12Bの動作を制御している。また、制御部11は、交流線路18の電圧が停電時設定交流電圧となるようにインバータ14の動作を制御する。
【0063】
以上のように、制御部11は、電圧計23で計測される直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧から逸脱した場合、蓄電装置7の充放電制御(上記電圧維持制御)と、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御(発電制御)とを並行して行う。また、蓄電装置7の充放電の方が、発電装置5から直流線路17への出力電力の変化よりも応答性が良い。そのため、制御部11が、直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧から逸脱したことを検知して、蓄電装置7の充放電制御と、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御とを同時に開始した場合、応答性の良い蓄電装置7の充放電によって直流線路17の電圧が停電時設定直流電圧へ素早く調整されることもある。このように、直流線路17の電圧が既に停電時設定直流電圧に調整された場合であっても、制御部11は、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御を中止せずに続行する。つまり、制御部11は、発電装置5から直流線路17への出力電力と太陽電池装置6から直流線路17への出力電力の和が、電力負荷装置4の要求する電力となるように制御を続行していると言える。
【0064】
その結果、蓄電装置7の充放電制御と、発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御とが重複して実施されるため、直流線路17の電圧が必要以上に変化する。ところが、制御部11は、蓄電装置7の充放電制御を再度行って、直流線路17の電圧を停電時設定直流電圧へと戻すような調整(即ち、最初に行った蓄電装置7の充放電制御を取り消すような制御)を行う。結果的に、直流線路17の電圧が発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作制御のみによって行われることとなる。つまり、蓄電装置7の充放電制御は、発電装置5及び第1電力変換器12Aの出力変動の応答性の悪さを補うために行われる。
【0065】
以上のように、発電装置5及び太陽電池装置6及び蓄電装置7という複数種の電源装置を備えているので、何れかの電源装置から電力供給できない状況になったとしても、残りの電源装置から電力供給できる。例えば、夜間に太陽電池装置6から電力供給できなくなったとしても発電装置5及び蓄電装置7から電力供給でき、或いは、燃料供給が止まって発電装置5から電力供給できなくなったとしても、太陽電池装置6及び蓄電装置7から電力供給できる。また、日中であれば太陽電池装置6から長期間にわたって電力供給でき、燃料供給が継続されていれば発電装置5から長期間にわたって電力供給できる。加えて、制御部11が、商用電源1からの受電電力が目標受電電力となるように発電装置5及び第1電力変換器12Aの動作を制御することで、商用電源1からの受電電力を安定させることができる。従って、重要電力負荷装置である電力負荷装置4への安定した電力供給及び長期間にわたる電力供給を確実に行える電力供給システムSを提供できる。
【0066】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、電力供給システムSが、発電装置5及び太陽電池装置6及び蓄電装置7を1台ずつ備えた例を説明したが、それらの装置を複数台ずつ備えていてもよい。その場合に新たに設けられる発電装置5又は太陽電池装置6又は蓄電装置7も、電力変換器を介して直流線路17に接続すればよい。このとき、発電装置5として別種の装置を設けてもよい。例えば、燃料を消費して稼動するエンジンとそのエンジンの駆動力を利用して発電作動する発電機とで構成される発電装置と、燃料電池で構成される発電装置という2台の発電装置5を設けてもよい。同様に、蓄電装置7として、蓄電池と電気二重層コンデンサという別種の2台の装置を設けてもよい。
【0067】
このように、別種の装置を設けた場合、それぞれの装置の長所を生かすことができるという利点がある。例えば、蓄電池は、繰り返しの充放電には弱い(即ち、早期に劣化する)が、蓄電量が大きいので長時間の放電が可能であり、電気二重層コンデンサは、蓄電量が小さいので短時間しか放電できないが、繰り返しの充放電に強くメンテナンスフリーである。
【0068】
<2>
上記実施形態では、制御部11が各種制御を行うに当たって指標として用いる値を例示したが、それらの値は装置構成などに応じて適宜設定可能である。例えば、図2に例示した商用電源1からの受電電力に関する最大受電電力、放電開始電力、放電停止電力、目標受電電力や、太陽電池装置6の出力電力に関する設定減少速度及び設定増加速度や、インバータ14の交流出力電力に関する設定インバータ出力減少速度及び設定インバータ出力増加速度などは、適宜設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、電力負荷装置への安定した電力供給及び長期間にわたる電力供給を確実に行える電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 商用電源
4 電力負荷装置(重要電力負荷装置)
5 発電装置
6 太陽電池装置
7 蓄電装置
11 制御部
12A 第1電力変換器
12B 第2電力変換器
12C 第3電力変換器
14 インバータ
15 開閉器
17 直流線路
18 交流線路
S 電力供給システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電力変換器を介して直流線路に接続される、燃料を用いて発電する発電装置と、
第2電力変換器を介して前記直流線路に接続される太陽電池装置と、
第3電力変換器を介して前記直流線路に接続される蓄電装置と、
前記直流線路から供給される直流電力を交流電力に変換して交流側に出力するインバータと、
商用電源と前記インバータの交流側との間の接続を遮断可能な開閉器と、
前記インバータと前記開閉器との間の交流線路に接続され、前記インバータから出力される交流電力及び前記商用電源から受電する交流電力の供給を受けることができる電力負荷装置と、
前記第1電力変換器、前記第2電力変換器、前記第3電力変換器、前記発電装置、前記インバータ及び前記開閉器の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記商用電源からの受電電力が目標受電電力となるように前記発電装置及び前記第1電力変換器の動作を制御し、及び、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力が最大となるように前記第2電力変換器の動作を制御し、及び、
前記直流線路の電圧が正常時設定直流電圧となるように前記インバータの動作を制御する電力供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記商用電源からの受電電力が上昇して前記目標受電電力よりも大きい放電開始電力以上になると、前記蓄電装置から前記直流線路への放電を実施させるように前記第3電力変換器の動作を制御する受電電力抑制制御を実施し、
前記受電電力抑制制御を実施している状態において、前記商用電源からの受電電力が低下して前記放電開始電力未満である放電停止電力以下になると、前記受電電力抑制制御を停止する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の減少速度が大きくなって設定減少速度以上になると、前記インバータの交流出力電力の減少速度が設定インバータ出力減少速度となるように前記蓄電装置から前記直流線路への放電を実施させるように前記第3電力変換器の動作を制御する出力減少抑制制御を実施し、
前記出力減少抑制制御を実施している状態において、前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の減少速度が小さくなって前記設定減少速度未満になると、前記出力減少抑制制御を停止する請求項1又は2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の増加速度が大きくなって設定増加速度以上になると、前記インバータの交流出力電力の増加速度が設定インバータ出力増加速度となるように前記直流線路から前記蓄電装置への充電を実施させるように前記第3電力変換器の動作を制御する出力増加抑制制御を実施し、
前記出力増加抑制制御を実施している状態において、前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力の増加速度が小さくなって前記設定増加速度未満になると、前記出力増加抑制制御を停止する請求項1〜3の何れか一項に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記商用電源からの電力供給が正常に行われているとき、
前記蓄電装置の充放電を行っておらず且つ前記蓄電装置の蓄電量が最大値未満であり且つ前記発電装置に出力余裕があるときに前記蓄電装置に充電するように前記第3電力変換器の動作を制御する請求項1〜4の何れか一項に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記開閉器は、半導体スイッチ回路で構成され、
前記制御部は、前記商用電源で停電が発生したと判定すると、前記開閉器を動作させて前記商用電源と前記インバータの交流側との間の接続を遮断する請求項1〜5の何れか一項に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記商用電源で停電が発生しているとき、
前記直流線路の電圧が停電時設定直流電圧となるように前記発電装置及び前記第1電力変換器の動作を制御し、及び、
前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力が最大となるように前記第2電力変換器の動作を制御し、及び、
前記交流線路の電圧が停電時設定交流電圧となるように前記インバータの動作を制御する請求項6に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記商用電源で停電が発生しているとき、
前記直流線路の電圧が前記停電時設定直流電圧となるように前記第3電力変換器の動作を制御する電圧維持制御を行い、
前記電圧維持制御を行っておらず且つ前記蓄電装置の蓄電量が最大値未満であり且つ前記発電装置又は前記太陽電池装置或いはその双方に出力余裕があるときに前記蓄電装置に充電するように前記第3電力変換器の動作を制御する請求項6又は7に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記商用電源で停電が発生しているとき、
前記発電装置を運転させている場合、前記太陽電池装置から前記直流線路への出力電力が最大となるように前記第2電力変換器の動作を制御し、及び、
前記発電装置を運転させていない場合、前記直流線路の電圧が停電時設定直流電圧となるように前記第2電力変換器の動作を制御する請求項6に記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−100504(P2012−100504A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248499(P2010−248499)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(501246488)株式会社クリエイティブテクノソリューション (10)
【Fターム(参考)】