説明

電力管理装置及び電力管理プログラム

【課題】実際に削減した消費電力又は削減できたはずの消費電力を容易に把握することができる電力管理装置及び電力管理プログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置12は、各機能部の必要な機能部にのみ電力供給する部分節電モードでコピー処理等の画像形成処理を実行した場合の各機能部の部分節電電力を算出し、これらを合計した合計節電電力を算出する。また、各機能部の全てに電力供給する通常モードで前記画像形成処理を実行したと仮定した場合の予想節電電力を算出し、これと合計節電電力との差分電力を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理装置及び電力管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通常動作モードと、待機中にあらかじめ設定された条件が成立すると所定装置要素への供給電力を低下させる少なくとも1種類の省エネモードにその動作モードが相互に切り換え可能なファクシミリ装置において、装置の動作モードが切り換えられると少なくともその切換後の動作モードの種別と切換時刻情報からなる動作モード履歴情報を記憶する動作モード履歴情報記憶手段を備えたファクシミリ装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、コピーモードやプリントモードを備え、各動作モードの動作履歴を正確に計時し、計時された計時値に基づきコピーモードやプリントモードなどの様々なジョブを処理する複合機の電力に係るログ情報を作成する複合機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−130595号公報
【特許文献2】特開2003−309684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、単に実行した処理の消費電力を表示するだけの場合と比較して、実際に削減した消費電力又は削減できたはずの消費電力を容易に把握することができる電力管理装置及び電力管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、消費電力が異なる複数の動作モードのうちの何れかを設定する設定手段と、前記設定手段で設定された設定動作モードにおいて電子機器が実行する処理に応じて、前記電子機器を構成する複数の機能部への電力供給を各々制御する制御手段と、前記設定動作モードにおいて実行された前記処理により前記複数の機能部が節電した部分節電電力を各々算出する部分節電電力算出手段と、前記部分節電電力算出手段により算出された前記複数の機能部の部分節電電力を合計した合計節電電力を算出する合計節電電力算出手段と、予め定めた基準動作モードで前記処理を実行した場合における予想節電電力を算出する予想節電電力算出手段と、前記合計節電電力算出手段により算出された合計節電電力と、前記予想節電電力算出手段により算出された予想節電電力と、の差分電力に応じた差分電力情報を算出する差分電力算出手段と、前記差分電力算出手段により算出された差分電力情報を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記複数の機能部が前記処理における非動作時間を計測する計測手段と、前記複数の機能部毎に予め定めた単位時間当たりの消費電力に関する消費電力情報を記憶した記憶手段と、を備え、前記部分節電電力算出手段は、前記計測手段により計測された前記複数の機能部の非動作時間の各々と、前記記憶手段に記憶された前記消費電力情報と、に基づいて、前記複数の機能部が節電した部分節電電力を各々算出する。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記複数の機能部の各々は、複数の動作状態を有し、前記消費電力情報は、前記動作状態毎に予め定めた単位動作時間当たりの消費電力に関する情報である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記差分電力を累積した累積差分電力に関する累積差分電力情報を生成する累積差分電力情報生成手段を備える。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記累積差分電力情報生成手段は、前記電子機器の利用者毎に前記累積差分電力情報を生成する。
【0011】
請求項6記載の発明は、電力を浪費する予め定めた使用法で前記処理が実行された場合に、浪費した電力を算出する浪費電力算出手段を備える。
【0012】
請求項7記載の発明は、消費電力が異なる複数の動作モードのうちの何れかを設定するステップと、前記設定手段で設定された設定動作モードにおいて電子機器が実行する処理に応じて、前記電子機器を構成する複数の機能部への電力供給を各々制御するステップと、前記設定動作モードにおいて実行された前記処理により前記複数の機能部が節電した部分節電電力を各々算出するステップと、前記部分節電電力算出手段により算出された前記複数の機能部の部分節電電力を合計した合計節電電力を算出するステップと、予め定めた基準動作モードで前記処理を実行した場合における予想節電電力を算出するステップと、前記合計節電電力算出手段により算出された合計節電電力と、前記予想節電電力算出手段により算出された予想節電電力と、の差分電力を算出するステップと、前記差分電力算出手段により算出された差分電力を出力するステップと、を含む処理をコンピュータに実行させるための電力管理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、単に実行した処理の消費電力を表示するだけの場合と比較して、実際に削減した消費電力又は削減できたはずの消費電力を容易に把握することができる、という効果を有する。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、部分節電電力を実測する場合と比較して、簡単な構成で部分節電電力を得ることができる、という効果を有する。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、動作状態毎に部分節電電力を算出しない場合と比較して、精度良く部分節電電力を算出することができる、という効果を有する。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、累積差分電力を算出しない場合と比較して、過去に実行した処理の電力削減量の累積を容易に把握することができる、という効果を有する。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、利用者毎に累積差分電力を算出しない場合と比較して、各利用者が過去に実行した処理の電力削減量の累積を容易に把握することができるという効果を有する。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、浪費した電力を算出しない場合と比較して、実際に浪費した電力を容易に把握することができる、という効果を有する。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、単に実行した処理の消費電力を表示するだけの場合と比較して、実際に削減した消費電力又は削減できたはずの消費電力を容易に把握することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係る画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【図2】画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】省電力制御装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図4】省電力制御装置で実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】コピー処理の場合における各機能部の電力供給について説明するためのタイミングチャートである。
【図6】消費電力情報の一例を示す図である。
【図7】電力削減量を表示する画面の一例を示す図である。
【図8】消費電力情報の一例を示す図である。
【図9】省電力制御装置をコンピュータを含んで構成した場合のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1には、本実施形態に係る画像形成システム10の概略構成を例示した。同図に示すように、画像形成システム10は、画像形成装置12及び複数のホストコンピュータ14A、14B、・・・がネットワーク16を介して相互に接続された構成となっている。
【0023】
図2には、画像形成装置12の概略構成を例示した。同図に示すように、画像形成装置12は、メインコントローラ18を含んで構成されている。
【0024】
メインコントローラ18は、CPU(Central Processing Unit)18A、ROM(Read Only Memory)18B、RAM(Random Access Memory)18C、不揮発性メモリ18D、及び入出力インターフェース(I/O)18Eがバス18Fを介して各々接続された構成となっている。
【0025】
I/O18Eには、操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、電話回線インターフェース(I/F)30、ネットワークインターフェース(I/F)31、ハードディスク32、及び省電力制御装置34の各機能部が接続されている。また、省電力制御装置34には、電力供給部36が接続されている。メインコントローラ18は、これらの各機能部を統括制御する。
【0026】
操作表示部20は、例えばコピー開始等を指示するためのスタートボタンやテンキー等の各種ボタン、コピー濃度等の各種の画像形成条件を設定するための設定画面や装置の状態等の各種画面を表示するためのタッチパネル等を含んで構成される。
【0027】
画像読取部22は、ラインCCD等の画像読取センサや当該画像読取センサを走査するための走査機構等を含んで構成され、装置にセットされた原稿の画像を読み取る。
【0028】
画像形成部24は、例えば所謂電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものである。具体的には、画像形成部24は、感光体ドラムを帯電するための帯電装置、帯電された感光体ドラム上を画像に応じた光で露光することにより感光体ドラム上に画像に応じた静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー現像する現像装置、感光体ドラム上に形成された画像に応じたトナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された画像に応じたトナー像を定着する定着装置等を含んで構成される。
【0029】
なお、露光装置としては、半導体レーザや回転多面鏡、コリメータレンズやシリンドリカルレンズ、fθレンズ等の光学系を含んで構成された光走査装置、複数のLEDから成るLEDヘッド等がある。
【0030】
また、画像形成部24は、電子写真方式に限らず、インクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成するものであってもよい。
【0031】
用紙供給部26は、記録用紙が収容される用紙収容部や、用紙収容部から画像形成部24へ記録用紙を供給する供給機構等を含んで構成される。
【0032】
用紙排出部28は、記録用紙に対して、ステープル処理や穴あけ処理等の後処理を行うフィニッシャー、記録用紙が排出される排出部、画像形成部24で画像が形成された記録用紙を排出部上に排出させるための排出機構等を含んで構成される。
【0033】
電話回線通信I/F30は、図示しない電話回線を介して接続された他の画像形成装置とファクシミリ通信を行うためのインターフェースである。
【0034】
ネットワークI/F31は、ネットワーク16を介してホストコンピュータ14等の他の装置とデータ通信するためのインターフェースである。
【0035】
ハードディスク32は、例えば装置の各部の状態や稼働状況等のログデータ、コピーやファクシミリ通信、プリント等の処理結果のログデータ、各種の設定データ、制御プログラム等が記憶される。
【0036】
省電力制御装置34は、図3に示すように、制御部40、記憶部42、及びタイマ44を含んで構成されている。記憶部42には、後述する消費電力情報や制御部40で実行される制御ルーチンのプログラム等が記憶される。タイマ44は、各機能部に電力供給していた期間を計測する。制御部40は、記憶部42に記憶されたプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに応じてタイマ44や電力供給部36を制御する。
【0037】
電力供給部36は、省電力制御装置34の制御部40の指示に応じて、メインコントローラ18や操作表示部20、画像読取部22等の各機能部への電力供給をオンオフする。
【0038】
本実施形態に係る画像形成装置12は、複数の動作モードを有しており、これらの動作モードのうち何れかの動作モードで動作する。動作モードとしては、例えば装置の各機能部全てに電力供給して動作する通常モードや、画像形成処理の種類に応じて、必要な機能部のみに電力を供給し、その他の機能部への電力供給をオフする部分節電モード等を含むがこれに限られるものではない。
【0039】
例えば、プリント処理の場合、画像読取部22に電力を供給する必要はなく、その分電力が節約される。また、コピー処理の場合においても、例えば操作表示部20による操作でコピー開始を指示した後に操作表示部20への電力供給を停止すれば、その分の電力が節約される。
【0040】
このように、画像形成処理の種類によっては、全ての機能部に電力を供給する必要はなく、必要のない機能部への電力供給を停止することで部分的に節電される。
【0041】
そこで、部分節電モードでは、省電力制御装置34は、画像形成処理の種類に応じて、処理に必要な機能部に電力供給し、その他の機能部への電力供給を停止するように電力供給部36を制御する。
【0042】
メインコントローラ18は、部分節電モードにおいては、各機能部を統括制御すると共に、画像形成処理の種類に応じて、どの機能部に電力供給をオンし、どの機能部への電力供給をオフするか示す電力制御情報を、画像形成処理の開始時や画像形成処理の開始後、各機能部の動作状態に変化が生じた場合に省電力制御装置34に通知する。省電力制御装置34では、通知された電力制御情報に基づいて、動作開始させる機能部については電力供給がオンされるように、動作が終了した機能部については電力供給がオフされるように、電力供給部36を制御する。これにより、各機能部は処理に必要な期間だけ電力が供給される。
【0043】
画像形成装置12は、本実施形態では、デフォルトの動作モードとしては通常モードが設定され、部分節電モードは、例えば利用者が操作表示部20を操作することにより設定されるが、これに限らず、デフォルトで部分節電モードが設定されていてもよい。
【0044】
次に、本実施形態の作用として、設定動作モードとして部分節電モードが設定された状態において、画像形成装置12の省電力制御装置34の制御部40で実行される処理について、フローチャートを参照して説明する。
【0045】
図4には、省電力制御装置34の制御部40で実行される制御ルーチンのフローチャートを示した。なお、この処理は、部分節電モードが設定されている状態において、例えばユーザーによりコピー処理等の画像形成処理の実行が指示され、メインコントローラ18から送信された電力制御情報を省電力制御装置34の制御部40が受信した場合に実行される。
【0046】
図4に示すように、ステップ100では、受信した電力制御情報に基づいて、電力供給を開始する機能部及び電力供給を停止させる機能部を電力供給部36に指示すると共に、タイマー44に、電力供給を停止させた機能部の動作時間、すなわち電力供給停止時間の計測を開始させる。
【0047】
ステップ102では、電力制御情報をメインコントローラ18から受信したか否かを判断し、受信した場合には、ステップ104へ移行し、受信していない場合には、ステップ106へ移行する。
【0048】
ステップ104では、受信した電力制御情報に基づいて、電力供給を開始させる機能部、電力供給を停止させる機能部を電力供給部36に指示する。これにより、電力供給部36は、省電力制御装置34からの指示に応じて各機能部の電力供給をオンオフする。
【0049】
ステップ106では、画像形成処理が終了したか否かを判断する。具体的には、メインコントローラ18から画像形成処理が終了した旨の通知があったか否かを判断する。
【0050】
そして、画像形成処理が終了した場合には、ステップ108へ移行し、画像形成処理が終了していない場合には、ステップ102へ戻って上記の処理を繰り返す。
【0051】
例えば、画像形成処理がコピー処理の場合、図5に示すように、t1の時点で画像読取部22のみに電力供給を開始し、セットされた原稿の読み取りを開始する。このとき、画像形成部24及び用紙排出部28への電力供給は開始させずに部分節電する。そして、t2の時点で例えば1枚目の原稿の読み取りが終了すると、画像形成部24への電力供給を開始し、読み取った原稿の画像形成処理を開始する。その後、t3の時点で全ての原稿の読み取りが終了すると、画像読取部22への電力供給を停止させる。そして、t4の時点で例えば1枚目の原稿の画像形成処理が終了すると、用紙排出部28への電力供給を開始する。その後、t5の時点で全ての原稿の画像形成処理が終了すると、画像形成部24への電力供給を停止させる。そして、t6の時点で用紙排出部28により例えば後処理が終了して全ての記録用紙が排出されると、用紙排出部28への電力供給を停止させる。
【0052】
このように、メインコントローラ18からの電力制御情報に基づいて、必要なタイミングで各機能部への電力供給を必要な期間だけ行うことにより、全ての機能部に電力供給する通常モードの場合と比較して、電力が削減される。
【0053】
ステップ108では、タイマ44による各機能部の非動作時間の計測を停止させ、各機能部の非動作時間を取得する。
【0054】
ステップ110では、記憶部42に記憶された消費電力情報と、各機能部の非動作時間とに基づいて、各機能部の部分節電電力、すなわち通常モードで処理した場合と比較して削減された電力を算出する。
【0055】
図6に示すように、記憶部42には、機能部毎に予め定めた単位時間当たりの消費電力を表わす消費電力情報50が予め記憶されている。
【0056】
従って、制御部40は、機能部毎に、その機能部に対応する単位時間当たりの消費電力を消費電力情報50から取得し、これと、その機能部の非動作時間とを乗算することにより、その処理で節電した部分節電電力を算出する。なお、消費電力情報50は書き換えが可能であり、例えばネットワーク16を介して接続されたホストコンピュータから必要に応じて書き換えるようにしてもよい。
【0057】
ステップ112では、ステップ110で算出した部分節電電力を合計した合計節電電力を算出する。
【0058】
例えば図5のようなコピー処理の場合、図6に示すように画像読取部22の単位時間当たりの消費電力をa1(W)、画像形成部24の単位時間当たりの消費電力をa2(W)、用紙排出部28の単位時間当たりの消費電力をa3(W)とすると、画像読取部22の部分節電電力P1、画像形成部24の部分節電電力P2、用紙排出部28の部分節電電力P3、合計節電電力Paは次式で算出される。
P1=a1×(t6−t3) ・・・(1)
P2=a2×(t2−t1)+a2×(t6−t5) ・・・(2)
P3=a3×(t4−t1) ・・・(3)
Pa=P1+P2+P3 ・・・(4)
ステップ114では、基準動作モードとしての通常モードで同じ画像形成処理を行ったと仮定した場合における予想節電電力を算出する。
【0059】
例えば図5のようなコピー処理の場合、画像読取部22、画像形成部24、及び用紙排出部28は、t1〜t6まで全ての期間で電力供給されるので、この場合の節電電力Pbはゼロとなる。
【0060】
なお、上記の例は、画像読取部22、画像形成部24、及び用紙排出部28の全てにt1〜t6まで全ての期間で電力供給する場合を通常モードとした場合であるが、例えば画像読取部22及び画像形成部24にはt1〜t6まで全ての期間で電力供給し、用紙排出部28のみt4〜t6まで電力供給する場合を通常モードとしてもよい。この場合、予想節電電力Pbは次式で算出される。
Pb=a3×(t4−t1) ・・・(5)
ステップ116では、ステップ112で求めた部分節電モードで実行した画像形成処理の合計節電電力と、ステップ114で求めた通常モードで同じ画像形成処理を実行したと仮定した場合における予想節電電力との差分電力Pcを算出する。この差分電力Pcは次式で算出される。
Pc=Pa−Pb ・・・(6)
ステップ118では、ステップ116で算出した差分電力を操作表示部20に出力して表示させる。例えば図7に示すように、部分節電モードで実行したことによる電力削減量、すなわち差分電力情報64を表示する。また、表示する場合に限らず、差分電力をハードディスク32に出力して記憶させてもよいし、画像形成部24に出力して記録用紙に印刷させてもよいし、ネットワークI/F31に出力してネットワーク16に接続された他の装置に送信させるようにしてもよいし、画像形成装置12が図示しない音声出力部を備えた構成とした場合には、当該音声出力部に差分電力Pcを出力して、音声で報知させるようにしてもよい。また、差分電力Pcに代えて、又は差分電力Pcに加えて、各機能部の部分節電電力P1〜P3を出力するようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、コピー処理終了時にトータルの差分電力を操作表示部20に表示させる場合について説明したが、例えばコピー処理が開始されてから終了までの間に、予め定めた時間毎にそれまでの差分電力を算出して途中経過として表示させるようにしてもよい。
【0062】
このように、本実施形態では、部分節電モードが設定されている場合におけるコピー処理の場合を例に説明したが、例えば通常モードが設定されている状態で、ユーザーが、部分節電が可能な設定操作をしてコピー処理等の実行を指示した場合には、省電力制御装置34は、その設定に応じて各機能部の電力供給を制御するようにしてもよい。
【0063】
例えば、用紙排出部28が、印刷された記録用紙を排出する排出部を複数備え、複数部の記録用紙をソートして複数の排出部に排出させるソータ機能を有するフィニッシャー装置を備えている場合において、複数部の印刷を行う場合に、印刷後の記録用紙を複数の排出部にソートして排出するのではなく、電子ソートを選択して予め定められた一つの排出部に複数部の記録用紙をソートして排出するように設定した場合には、フィニッシャー装置の電力供給を最初からオフしたままとしてもよい。この場合、電子ソートを選択したことによって削減された電力量を例えば操作表示部20に表示させる。
【0064】
また、例えばプリント処理において、印刷指示をしてもすぐに印刷を実行せずに、一旦印刷データを保存しておき、ある程度印刷データが貯まった時点で印刷を実行するプリント処理をユーザーが指示した場合にも、各機能部を例えばスリープ状態からむやみに復帰させる必要がないので、節電効果がある。従って、このような場合にも、一つずつ印刷処理を実行した場合の削減電力と比較して電力削減量を算出して例えばハードディスク32に履歴として記憶するようにしてもよい。
【0065】
また、無駄に電力を消費するような使用がされた場合に、その無駄となった電力量を算出するようにしてもよい。例えば、用紙供給部26に用紙がないのに気付かずにプリント処理を指示した場合や途中で用紙切れになった場合、用紙詰まりが発生した場合等において、用紙供給部26等に電力が供給されたまま長時間経過した場合には、その時間を計測して消費電力を算出し、これを無駄な電力として例えばハードディスク32に履歴として記憶するようにしてもよい。
【0066】
また、装置がスリープ状態のときに操作表示部20を操作して節電状態から復帰させたにも拘わらずそのまま長時間放置したような場合にも、その時間を計測して消費電力を算出し、これを無駄な電力として例えばハードディスク32に履歴として記憶するようにしてもよい。
【0067】
また、コピー処理、スキャン処理、コピー処理の順で処理を実行した場合には、コピー処理をまとめて実行するように処理順序を変えれば電力が削減される場合がある。また、ソータ機能使用、ソータ機能不使用、ソータ機能使用の順でコピー処理を実行したような場合にも、ソータ機能使用のコピー処理をまとめて実行するように処理順序を変えれば電力が削減される場合がある。さらに、1枚しかコピー処理をしないにも拘わらず、フィニッシャー装置を使用する設定となっていたような場合にも、フィニッシャー装置を使用しない設定にすれば電力が削減される場合がある。
【0068】
このように、電力を浪費する使用方法で使用された場合に、電力が削減されるような処理順序や設定を行ったと仮定した場合の予想節電電力を算出し、これと電力を浪費する使用方法で使用したときの節電電力とを比較して差分電力を算出し、これを例えばハードディスク32に履歴として記憶するようにしてもよい。また、電力が削減されるような処理順序や設定を操作表示部20に表示して、そのような使用を促すようにしてもよい。
【0069】
なお、本実施形態では、差分電力そのものを電力削減量として表示する場合について説明したが、これに限らず、例えば、電力削減量の割合を算出して表示するようにしてもよいし、部分節電モードで実行した合計節電電力と通常モードにおける予想節電電力との比を算出して表示するようにしてもよい。
【0070】
また、画像形成処理を実行した日時や画像形成処理の種類、実行したユーザーに関する情報、算出した差分電力等を履歴情報として例えばハードディスク32に記憶するようにしてもよい。この場合、予め定めた操作をすることにより、例えば設定された期間の差分電力を累積することにより算出した電力削減量を操作表示部20に表示したり、記録用紙に印刷したりするようにしてもよい。また、ユーザーを指定された場合には、そのユーザーに関する差分電力を累積することにより算出した電力削減量を操作表示部20に表示したり、記録用紙に印刷したりするようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、各機能部への電力供給を単純にオンまたはオフする場合について説明したが、電力供給を完全にオフする場合に限られるものではなく、通常よりも低い電力状態にする場合も含む。
【0072】
例えば、機能部毎に消費電力の異なる複数の状態を有する場合がある。例えば、画像形成部24では、実際に画像形成処理を実行している実行状態と、画像形成処理の発生に備えて待機する待機状態(スタンバイ状態)がある。また、画像形成部24は、待機状態が予め定められた時間継続されると消費電力を低減するために遷移するスリープ状態と、スリープ状態の時に画像形成処理が発生すると遷移するウォームアップ状態と、がある。
【0073】
このように、各機能部が複数の状態を有する場合には、図8に示すように、状態毎の単位時間当たりの消費電力を消費電力情報52として記憶部42に記憶しておき、ステップ116で状態毎に部分節電電力を算出するようにしてもよい。
【0074】
また、各機能部がさらに複数の部分機能部から構成される場合には、部分機能部毎に電力供給のオンオフを制御すると共に、部分機能部毎の単位時間当たりの消費電力を消費電力情報として記憶部42に記憶しておき、ステップ116で部分機能部毎に部分節電電力を算出するようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、部分節電モードとの比較対象として各機能部全てに電力供給する通常モードを基準動作モードとした場合について説明したが、基準動作モードは各機能部全てに電力供給する場合に限られるものではなく、例えば用紙排出部28の後処理部(フィニッシャー)に電力供給しないモードを基準動作モードとしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、部分節電モードで実行した処理の合計節電電力と、同じ処理を通常モードで実行したと仮定した場合の予想節電電力との差分電力を電力削減量として表示する場合について説明したが、これに限らず、通常モードで実行した処理の合計節電電力と、同じ処理を部分節電モードで実行したと仮定した場合の予想節電電力との差分電力を算出し、これを部分節電モードで実行していれば削減できたであろう電力量として表示するようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、部分節電する電子機器として画像形成装置の場合について説明したが、他の電子機器に本発明を適用してもよい。
【0078】
また、省電力制御装置34の制御部40及び記憶部42は、図9に示すようなコンピュータ80として構成してもよい。図9に示すコンピュータ80は、CPU(Central Processing Unit)80A、ROM(Read Only Memory)80B、RAM(Random Access Memory)80C、不揮発性メモリ80D、及び入出力インターフェース(I/O)80Eがバス80Fを介して各々接続された構成であり、I/O80Eにはタイマ44が接続されている。この場合、図4に示した処理をコンピュータ80に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ80Dに書き込んでおき、これをCPU80Aが読み込んで実行させる。これにより、コンピュータ80が省電力制御装置34の制御部40及び記憶部42として機能する。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0079】
また、本実施形態で説明した画像形成装置12の構成(図2参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0080】
また、本記実施形態で説明した制御プログラムの処理の流れ(図4参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
10 画像形成システム
12 画像形成装置
14A、14B ホストコンピュータ
16 ネットワーク
18 メインコントローラ
20 操作表示部
22 画像読取部
24 画像形成部
26 用紙供給部
28 用紙排出部
30 電話回線I/F
31 ネットワークI/F
32 ハードディスク
34 省電力制御装置
36 電力供給部
40 制御部
42 記憶部
44 タイマ
50、52 消費電力情報
80 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力が異なる複数の動作モードのうちの何れかを設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された設定動作モードにおいて電子機器が実行する処理に応じて、前記電子機器を構成する複数の機能部への電力供給を各々制御する制御手段と、
前記設定動作モードにおいて実行された前記処理により前記複数の機能部が節電した部分節電電力を各々算出する部分節電電力算出手段と、
前記部分節電電力算出手段により算出された前記複数の機能部の部分節電電力を合計した合計節電電力を算出する合計節電電力算出手段と、
予め定めた基準動作モードで前記処理を実行した場合における予想節電電力を算出する予想節電電力算出手段と、
前記合計節電電力算出手段により算出された合計節電電力と、前記予想節電電力算出手段により算出された予想節電電力と、の差分電力に応じた差分電力情報を算出する差分電力算出手段と、
前記差分電力算出手段により算出された差分電力情報を出力する出力手段と、
を備えた電力管理装置。
【請求項2】
前記複数の機能部が前記処理における非動作時間を計測する計測手段と、前記複数の機能部毎に予め定めた単位時間当たりの消費電力に関する消費電力情報を記憶した記憶手段と、を備え、
前記部分節電電力算出手段は、前記計測手段により計測された前記複数の機能部の非動作時間の各々と、前記記憶手段に記憶された前記消費電力情報と、に基づいて、前記複数の機能部が節電した部分節電電力を各々算出する
請求項1記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記複数の機能部の各々は、複数の動作状態を有し、前記消費電力情報は、前記動作状態毎に予め定めた単位動作時間当たりの消費電力に関する情報である
請求項2記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記差分電力を累積した累積差分電力に関する累積差分電力情報を生成する累積差分電力情報生成手段
を備えた請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記累積差分電力情報生成手段は、前記電子機器の利用者毎に前記累積差分電力情報を生成する
請求項4記載の電力管理装置。
【請求項6】
電力を浪費する予め定めた使用法で前記処理が実行された場合に、浪費した電力を算出する浪費電力算出手段
を備えた請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電力管理装置。
【請求項7】
消費電力が異なる複数の動作モードのうちの何れかを設定するステップと、
前記設定手段で設定された設定動作モードにおいて電子機器が実行する処理に応じて、前記電子機器を構成する複数の機能部への電力供給を各々制御するステップと、
前記設定動作モードにおいて実行された前記処理により前記複数の機能部が節電した部分節電電力を各々算出するステップと、
前記部分節電電力算出手段により算出された前記複数の機能部の部分節電電力を合計した合計節電電力を算出するステップと、
予め定めた基準動作モードで前記処理を実行した場合における予想節電電力を算出するステップと、
前記合計節電電力算出手段により算出された合計節電電力と、前記予想節電電力算出手段により算出された予想節電電力と、の差分電力を算出するステップと、
前記差分電力算出手段により算出された差分電力を出力するステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるための電力管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−166881(P2011−166881A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24325(P2010−24325)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】