説明

電動カーテン用先導ランナ機構

【課題】従動プーリ緊張機構が配設された電動カーテンにおいて、ループ状に周回する紐と先導ランナの間の略一定の摩擦牽引力により、カーテンを終端までしっかりと閉じることができ、時間停止制御時のスリップによる局部的な紐の磨耗による破損のない、そして、手引きで軽くカーテンの開閉を行える先導ランナ機構を提供する。
【解決手段】ループ状に周回する紐に外部から取付が可能な開口部6bと前記紐5に略一定の摩擦摺動抵抗を与えるための接触部6cおよび弾性部6dを有し、且つ、フレーム1の軸方向に伸びたレール1dに摺嵌するための複数の滑車15を有するランナ部6、並びに、該複数のランナ6を所定の間隔で固定し、そして、カーテンの一端を拘束する金具7からなる摩擦牽引型の先導ランナ機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はループ状に周回する紐と連動する先導ランナを備える電動カーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンの開閉に用いられる先導ランナとループ状に周回する紐とは一般的に拘束されており、連動して往復動する場合が多い。
カーテンの先導ランナ本体に、その前後に、ストッパを立設し、該ストッパ間にコイルスプリングを配し、その両端に紐の各一端を連結して、紐自体をコイルスプリングの伸張力で緊張状態を維持するとともに、紐と先導ランナを両端の結び目により拘束し、連動させている。
【特許文献1】特許公開平10−151064
【0003】
前述ような電動カーテンは、構造は簡単であるが先導ランナと紐が拘束されているために次の2つの欠点を有する。1つは、電動モータでカーテンを開閉する場合にカーテンの開閉の終端において先導ランナおよび紐の動きが止まっても電動モータはしばらく回転を継続し、駆動側プーリは回転を継続し、所定の時間後に停止する(時間停止制御)。この間、駆動プーリと紐の同じ終端2位置で常にスリップを生ずることとなる。そのため、不本意に紐が伸びたり、損傷するという欠点を生じる。
本来、先導ランナの動きを時間停止制御ではなく位置決め制御すれば、このような不本意なプーリと紐間のスリップを防止できるが、カーテンを開く動きの場合には、カーテンの綴じ込み厚さが一定せず、位置が決まらないことと、更に、カーテンの開閉時に、カーテンの裾が窓サッシに引っかかるとか、或いはカーテンの房で縛られていてカーテンが動かない開閉阻害時には、位置決め制御ではプーリと紐間のスリップが持続するという危険性があるため時間停止制御を採用するのが一般的となっている。
2つは、手でカーテンを開閉させる場合に先導ランナ、コイルスプリングおよび紐の終端部が強制的に引かれるため電動モータを強制的に手で回す結果となる。一般的にはこの種の電動モータはDCブラシ付モータが使用され、ドラッグトルクが大きく、且つ、プーリやタイミングベルトで減速しているため、減速比に比例してドラッグトルクが大きくなる。引き荷重では15〜25N程度になり、手によるカーテンの開閉がかなり重たくなるという欠点がある。
【0004】
一方、紐に緊張機構が付いていない従動プーリに緊張機構を備えた電動カーテンの場合には、紐に終端を設ける必要がないので、先導ランナを摩擦牽引させることにより、前述のように駆動プーリと紐の同じ終端2位置で常にスリップが生ずることはなくなる。
また、手引き時には、前記紐と先導ランナのわずかな摩擦に逆らって、引くこととなるため減速された電動モータのドラッグトルクに逆らって手引きする場合に比較してかなり引き荷重が軽減される。
【特許文献2】特願2006−075866
【0005】
前述の特許文献2の構成において、更に、紐やプーリがスリップでたるんだり、破損しなく、そして、手引でも軽く開閉することができる改良電動カーテンを提供することが目的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この様な問題解決のため、従動プーリ緊張機構が配設された電動カーテンにおいて、ループ状に周回する紐と先導ランナの間に与えた略一定の摩擦牽引力により、カーテンを終端までしっかりと閉じることのでき、時間停止制御時のスリップによる局部的な紐の磨耗による破損のない、そして、手でも軽くカーテンの開閉を行える先導ランナ機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ループ状に周回する紐に外部から取付が可能な開口部6bと前記紐5に略一定の摩擦摺動抵抗を与えるための接触部6cおよび弾性部6dを有し、且つ、フレーム1の軸方向に伸びたレール1dに摺嵌するための複数の滑車15を有するランナ部6、並びに、該複数のランナ6を所定の間隔で固定し、そして、カーテンの一端を拘束する金具7からなる摩擦牽引型の先導ランナ機構。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように従動プーリ緊張機構と組み合わされた本発明の先導ランナ機構は紐5と先導ランナ6間を略一定の摩擦、つまり、カーテン12の開閉に必要な最小牽引力に見合った荷重に設定できるため、カーテン12の開閉の終端部に於いて先導ランナ6の動きが拘束されても紐5は停止命令が出るまで連続的に周回し、先導ランナ6との間で摺動するのみで局部的な磨耗に繋がる駆動プーリ3と紐5間のスリップを生じない。
更に、手引きでカーテンを開閉させる場合には、先導ランナ6と紐5の間で摺動するのみで減速機構を備えた電動モータ11を共回させることがないため、前記摩擦に抗して、軽く、カーテン12の開閉を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
電動モータ11で減速駆動される駆動プーリ3と緊張機構を備えた従動プーリ2間を弛みがない状態でループ状に紐5を連続的に周回させる構成とするとともに、先導ランナ6が前記紐5常に適度な摩擦で牽引される構成とした。
【実施例1】
【0010】
図1は電動カーテンの一般的な全体構成を示すものである。カバー13は電動モータ11、制御基板および減速機構を収納し、カーテン12を移動させるための機構を収納するフレーム1と取外し可能に結合されている。減速機構は電動モータ11と結合し回転する減速用駆動プーリ10とタイミングベルト9で駆動される減速用従動プーリ4で電動モータの回転の約1/5〜1/10に減速する。減速用従動プーリ4と駆動プーリ3は一体結合されており、該駆動プーリ3はフレーム1の終端に位置する従動プーリ2の間をループ状に周回する紐5を介して、先導ランナ6を適度な摩擦で牽引する。また、該先導ランナー6に具備された金具7はカーテン12の先頭部を拘束し、フレーム1に形成されたガイドレール1dを摺嵌する数個のランナ8の案内で電動モータ11の正逆回転に従ってカーテンを適時往復動せしめる構成となっている。
【0011】
図2は本発明による先導ランナ機構の実施例を斜視図で示したものである。同じ形状のランナ6が紐5の片側同一線上に2個配設され、それぞれ該ランナ6に形成された溝16で金具7と一体的に結合されている。該金具7の先端には取り付け穴17が設けられ、カーテンの終端を拘束するために利用される。また、夫々の前記ランナ6には軸14と両側に2個の滑車15が回転自由に取り付けられ、フレーム1に形成された2本の平行に走るレールに摺嵌する構成となっている。更に、前記ランナ6は上部に前記紐5に摩擦牽引されるべくクリップ部6aを有している。該クリップ部6aは水平方向から差込可能な末広がりの開口部6b、摩擦接触部6cおよび前記紐5を挟み込もうとする弾性部6dを有している。
【0012】
図3は本発明による先導ランナ機構の他の実施例を斜視図で示したものである。クリップ部6'aは垂直下方向から差込可能な末広がりの開口部6'b、摩擦接触部6'cおよび前記紐5を挟み込もうとする弾性部6'dを有している。
【0013】
図4は本発明による先導ランナ機構の他の実施例を斜視図で示したものである。クランプ部6"aは垂直下方向から差込可能な開口部6"bおよび前記紐5よりもサイズが大きい穴6"cを有している。前記2個のランナ6の間に挟まれた紐5には、適度な摩擦を与えるためのクリップ18が交換可能に付設されている。
【0014】
図5はクリップの詳細を斜視図で示したものである。前記クリップ18は前記紐5部に差込ができるように末広がりの開口部18a、摩擦接触部18bおよび前記紐5を挟み込もうとする弾性部18'cを有している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電動カーテンの一般的な全体構成を示すものである。
【図2】本発明の実施例を斜視図で示す。
【図3】本発明の他の実施例を斜視図で示す。
【図4】本発明の他の実施例を斜視図で示す。
【図5】図4のクリップの詳細を斜視図で示す。
【符号の説明】
【0016】
1 フレーム
2 従動プーリ
3 駆動プーリ
4 減速用従動プーリ
5 紐

6 先導ランナ
7 金具
8 ランナ

9 タイミングベルト

10 減速用駆動プーリ
11 電動モータ
12カーテン
13カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンの開閉に用いられる紐を常時緊張状態におくために従動プーリに緊張機構およびループ状に周回する紐と連動する先導ランナを備える電動カーテンにおいて、該紐との間に略一定の摩擦牽引力を与えるための開口部、接触部、および弾性部を有し、且つ、フレームの軸方向に伸びたレールに摺嵌するための複数の滑車を有するランナ部、並びに、該複数のランナを所定の間隔で固定し、そして、カーテンの一端を拘束する金具を備える摩擦牽引型の先導ランナ機構。
【請求項2】
請求項1の先導ランナ機構において、2個のランナ間に配設され、ループ状に周回する紐に軸方向に略一定の摩擦牽引力を与えるための開口部、接触部、および弾性部を有するクリップ手段を付加した先導ランナ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−252455(P2007−252455A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78050(P2006−78050)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(301010892)百瀬機械設計株式会社 (16)
【出願人】(592174154)和光技研工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】