説明

電動チャック

【課題】工作機械用の電動チャックの長手方向軸(5)に対し、被加工物の正確な中心位置決めを可能とし、また機械加工プロセスを通して永続的な心出し調整を可能にする。
【解決手段】基礎本体(4)上に支持されている少なくとも1つの心出し装置(11)が、クランプジョーのうちの1つ(6、7または8)に、または2つ以上のクランプジョー(6、7、8)に対し、横方向にずらして設けられ、各心出し装置(11)が、クランプされる被加工物(2、2’)上に直接作用する、調整可能な軸方向のベクトルの力(F)を加え、それにより、作動要素(21)と基礎本体(4)の間の遊び(23)を補償し、心出し装置(11)を、合わせて同期して、あるいは互いに独立しておよび/またはクランプジョー(6、7、8)とは独立して作動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提節(プリアンブル部分、所謂おいて部分)による電動チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動チャックは、たとえば、特許文献1または特許文献2に開示されている。これら電動チャックは、本出願人によって開発され、数十年間、本出願人は販売実績を上げてきた。これら電動チャックは、実際に有効であることを証明してきた。
【0003】
特許文献2は、特に、クランプジョーの各々が、形状が平坦でない被加工物をクランプするのに好適であり、かつ実際のクランプジョーセットから独立して半径方向に前進させることができる、補償クランプジョーセットを有することを示している。クランプジョーセットおよび心出しクランプジョーの両方を、くさび棒によって作動させることができる。
【0004】
本特許出願人によって開発されかつ販売されているチャックには、1つの技術的欠点がある。すなわち、固有重量が大きくかつ外径が0.5メートルを上回る被加工物を確実に固定する必要がある場合、この種の被加工物を正確に心出しすることができないため、従来技術のチャックを使用することができない。このタイプの被加工物は、たとえば、大型電動機の回転子として使用されるものである。これら回転子および他の回転対称被加工物は、精密部品として製造されなければならない。したがって、この種の被加工物の広範な金属切削加工中であっても、それらをチャックに関して可能な限り同軸状にまたは中心にクランプすることが必要である。これは、クランプするべき被加工物の長手方向軸を、チャックの長手方向軸と同一平面に位置合せしなければならないことを意味する。
【0005】
従来技術のチャックでは、小さい被加工物に関して、一方ではチャックの基礎本体に軸方向に可動な配置で取り付けられているピストンとして構成された作動要素と、他方では基礎本体との間に遊びを存在させることが可能である。しかしながら、作動要素の外周が大きいほど、作動要素、特にピストンと基礎本体の内径との間に存在する遊びの量が大きくなる。この種の誤差許容度(error tolerances)は、製造要件の理由から、排除することができない。
【0006】
これら支持遊び値は、被加工物のクランプの不正確さとして補償することができず、むしろこの不正確さは、被加工物のクランプ状態に伝達される。したがって、被加工物の位置とチャックの中心との間に不正確さがある。被加工物の後続する機械加工においてこれら既存の不正確さを補償することは不可能であり、その結果、機械加工された被加工物の最終状態に誤差許容度があることになるが、これらは高精度部品では回避すべきである。
【0007】
開示されているチャックには、時間がかかりかつ複雑であることが多い機械加工プロセス中に、クランプエラーが発生するというさらなる不都合があることが証明されており、それは、機械加工プロセス中に材料がそこから除去された結果として、機械加工された被加工物がより軽量となるためである。そして、材料除去を含むこうした加工手順により、被加工物の元の位置が、チャックに関して、したがって工作機械に関して変化する結果となる。
【0008】
機械加工するためにクランプされた被加工物を工作機械によって回転させるが、したがって、互いに120°の角度でずれている3つのクランプジョーを備えたチャックの場合、特に、たとえば固有重量が20トンの非常に重い被加工物では、時としてチャックの一定角度位置に配置されるクランプジョーのうちの1つが、被加工物の重量を単独で支持しなければならないことが観察されており、その結果、個々のクランプジョーが被加工物の重量によって発生するクランプ力を吸収しなければならないため、この種のチャックを極めて頑丈であるようにまたは適切な寸法で構成しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0069917号明細書
【特許文献2】欧州特許第0085782号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、第1に、クランプするべき被加工物がチャックの長手方向軸に関して正確に心出しされ、第2に、機械加工プロセスを通して永久的に心出し調整が可能なように、上述した種類の電動チャックを構成することである。さらに、本発明によるチャックは、内径または外径が少なくとも0.5メートルである極めて重い被加工物でさえも確実にかつ持続して支持することができるべきである。さらに、チャックの数を、最小限、好ましくは2つまたは3つのチャックまで低減することが可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴部分に列挙されている特徴によって本発明により達成される。
【0012】
本発明の他の有利なさらなる実施形態については、従属請求項に開示している。
【0013】
被加工物の上に半径方向に心出し力を加える少なくとも1つの心出し装置が側面に設けられ、したがって、被加工物を一旦3つのクランプジョーにおいて心出しすると、正確に心出しすることができ、それは、対応する心出し装置が、クランプジョーに心出し力を作用させることなく、被加工物の長手方向軸をチャックの長手方向軸に関して同一平面に配置することができることを意味するためである。これは、クランプジョーが、作動装置、特にピストンに、くさび棒を介して力係止(force−locking)配置で接続されるためである。しかしながら、ピストンは、製造プロセスの特徴である遊びをもたせてチャックの基礎本体に取り付けられるため、この遊びを、対応する心出し装置によって補償することができる。その結果、対応する心出し装置の心出し力は、クランプジョーに、したがってくさび棒、作動装置およびチャックには作用せず、特に極めて大きい外径の場合約5μmの辺りである、既存の支持遊び及び/または誤差許容度を補償する。これらは、精密部品に対しては著しい誤差許容度であり、したがって、チャックの被加工物をチャックに正確に中心に取り付けることができるようにして、それらを、心出し装置によって補償することができる。
【0014】
したがって、チャックの既存の誤差許容度は、機械加工プロセス中に被加工物に伝達されることはなく、代りに補償される。
【0015】
機械加工プロセス中、既存の材料の半分、したがって固有重量の半分が、切削プロセスによって被加工物から除去される場合があり、したがって、機械加工プロセス中、被加工物の固有重量が低減し、その結果、幾何学的なクランプ状態も影響を受ける。心出し装置を、クランプジョーから独立して移動させることができ、したがって、クランプ状態のこうした変化を、機械加工プロセス中に心出し装置によって補償することができ、その結果、クランプされた被加工物を、クランプジョーによって加えられるクランプ力にいかなる変動もなしに、常にチャックに関して正確に中心に配置することができる。
【0016】
さらに、心出し装置は、クランプされた被加工物の表面に作用し、その結果、被加工物は、チャックの基礎本体に、クランプジョーによるのみでなく、心出し装置によっても支持される。
【0017】
3つのクランプジョーが互いに関して120°の角度でずらして配置されている場合、かつ心出し装置のうちの1つが2つの隣接するクランプジョーの間に配置されている場合、特に有利である。この構成により、60°の角度で互いに集まった6つのクランプジョーおよび心出し装置が被加工物に作用し、その結果、被加工物は、チャックの上に、クランプジョーによるのみでなく心出し装置によっても確実に支持される。
【0018】
心出し装置は、種々のデザイン構成を有することができる。たとえば、排他的にではないが、心出し装置は、くさびとして、または油圧駆動クランプピンとして、またはねじスピンドルとして構成される。これら心出し装置は、共通して、半径方向のベクトルの心出し力が被加工物の表面に加えられ、この心出し力により、被加工物を、およびそれにより被加工物の長手方向軸を、チャックの長手方向軸に関してシフトさせることが可能である。
【0019】
さらに、心出し装置を、合わせて同期して、または互いに独立して作動させることができ、その結果、被加工物の正確な位置合せが、クランプ状態に応じて1つまたは複数の心出し装置によって達成される。
【0020】
これら設定の可能性は、被加工物の位置を、材料の低減に関して再調整することができ、したがって、重量の変化によってもたらされたチャックの中心点に関する被加工物の位置の変化を、心出し装置によって、位置を再調整することが可能であることを意味する。その結果、被加工物は、機械加工プロセス全体を通して、チャックに関して正確に中心に配置され、被加工物が機械加工プロセスを通してチャックのクランプジョーによって永久的に保持されるため、被加工物を取り除き再度クランプする必要がない。被加工物を正確に中心に再配置するために作動する必要があるのは、心出し装置のみである。
【0021】
図面は、3つの異なるように構成された心出し装置を備えた、本発明によって構成されたチャックの2つのサンプル実施形態を示し、その詳細を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】3つのクランプジョーと、概略的に示す、クランプジョーに関して横方向にずらして配置されている3つの心出し装置とを備えたチャックの第1サンプル実施形態を平面図で示す。
【図2】断面線II−IIに沿って、図1によるチャックを示す。
【図3】断面線III−IIIに沿って、図2によるチャックを示す。
【図4a】図1による心出し装置の第1サンプル実施形態を断面図で示す。
【図4b】図1による心出し装置の第2サンプル実施形態を断面図で示す。
【図4c】図1による心出し装置の第3サンプル実施形態を断面図で示す。
【図5】3つのクランプジョーと、クランプジョーに関して横方向にずらして配置されている概略的に示した3つの心出し装置とを備えたチャックの第2サンプル実施形態を断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1、図2および図3はチャック1を示し、それにより、回転対称の、好ましくは円形の被加工物2が、金属切削により被加工物2を機械加工する目的で、工作機械(図示せず)上に外側から保持される。チャック1は基礎本体4からなり、その長手方向軸を参照番号5によって識別する。3つのクランプジョー6、7および8が、長手方向軸5に位置合せされた案内溝18内に、半径方向可動配置で取り付けられている。クランプジョー6、7および8は、各々、通常の方法で基礎本体4内に移動可能に配置されているくさび棒9によって駆動される。くさび棒9の各々とクランプジョー6、7または8との間に歯車機構10が設けられており、その結果、クランプジョー6、7または8の各々と対応するくさび棒9との間に、力係止能動接続が提供される。くさび棒9の各々を、特に図3に示すように、作動要素21によって駆動することができる。作動要素21は、通常、長手方向軸5に関して基礎本体4に同軸状に取り付けられかつ軸方向に移動することができるピストンとして構成される。作動要素21に、基礎本体4の長手方向軸5の方向に作用している力が加えられるとすぐに、くさび棒9がその位置をシフトさせ、その結果、歯車機構10の傾斜した外形により、クランプジョー6、7および8が半径方向に同期して、案内溝18内を被加工物2に向かって近づくか、または被加工物2から離れる方向に移動する。これは、クランプジョー6、7および8が、被加工物2を、チャック1上に回転に対して固定された配置で保持することを意味する。
【0024】
回転対称の被加工物2は長手方向軸を有し、それは、被加工物2の機械加工プロセス全体を通して長手方向軸5に対して可能な限り同心状に配置されるべきである。しかしながら、図3に概略的に示す、基礎本体4と作動要素21との間の遊び23により、チャック1上において、被加工物2はこの所望の同心状のまたは同軸状のクランプを達成することが不可能であることが多い。特に、外形が0.5メートルを上回り固有重量が5トンを上回る極めて大型の被加工物2の場合、製造状態による誤差許容度を補償することが不可能であり、その結果、基礎本体4と作動要素21との間に遊び23が発生する。クランプジョー6、7および8が近づくと、この既存の遊び23により、被加工物2の長手方向軸は、基礎本体4の長手方向軸5と同一平面にまたは同軸状に配置されることができない状況になる。
【0025】
しかしながら、被加工物2を機械加工する場合、被加工物2のクランプのこの誤差により、被加工物2に機械加工誤差がもたらされる。しかしながら、特に、精密部品、たとえば電動機または他の高性能機械、システム等の回転子またはシャフトの場合、この種の誤差許容度を許容することができない。既知の誤差許容度によると、遊び23はたとえば少なくとも5μmとなる。5μmの既存の遊び23は、それに応じてチャック1上の被加工物2のクランプ状況に伝達され、その結果、これら誤差許容度が、一般的な取付け状況によって、被加工物2の機械加工中に同程度まで発生する。
【0026】
さらに、金属切削を含む機械加工プロセス中に、被加工物2から材料が除去され、その結果、被加工物2の固有重量が、機械加工プロセス中に連続して低減する。したがって、材料を低減させるこの機械加工により、幾何学的なクランプ状況が変化することになる。
【0027】
被加工物の正確な位置を、すなわち中心であり、チャック1の長手方向軸5に関して同一平面にまたは同軸状であるように設定するために、3つの心出し装置11が設けられており、それにより、既存の遊び23を補償するために、被加工物2に半径方向に作用する心出し力Fが作用する。したがって、心出し力Fは、クランプジョー6、7または8に作用するべきではなく、既存の遊び23だけを補償し、被加工物2の長手方向軸がチャックの長手方向軸5に関して同一平面にまたは同軸状に伸びるように、被加工物2を長手方向軸5に関して位置合せするべきである。たとえば、電気センサまたは他の接触センサにより、心出し装置11が被加工物2を必要なクランプ状態で固定しており、対応する心出し装置11が固定されていることを確立することができる。
【0028】
心出し装置11は、チャックの基礎本体4に解放可能に取り付けることができるハウジング12からなる。この目的で、ハウジング12を基礎本体4上にねじ込むために、基礎本体4内に複数の孔13が加工されており、ハウジング12に貫通孔が設けられ、そこをねじ14が貫通している。さらに、ハウジング12には心出しピン15が挿入されており、その場合、心出しピン15は、ハウジング12から突出し心出し面16を有している。
【0029】
3つの心出し装置11のハウジング12を、基礎本体4の上に、対応する心出しピン15の心出し面16が、機械加工される被加工物2の外側半径より幾分か大きい共用の弧17に沿って伸びるように配置しなければならない。クランプジョー6、7および8は、最初は、被加工物2を収容しそれをチャック1上に固定するために設けられる。クランプジョー6、7および8による被加工物2のクランプがよく知られた方法で達成されるとすぐに、対応する心出し装置11の心出しピン15を、被加工物2に関して半径方向に設定しなければならない。
【0030】
図4a、図4bおよび図4cは、対応する心出し装置11の3つの種々にデザインされた実施形態を示す。
【0031】
図4aは、心出し装置11のハウジング12に挿入されたくさび31を示し、くさび31は、先細のクランプ面32を有している。心出しピン15は、くさび31のクランプ面32の上にあり、その結果、くさび31が押し込まれると、上述した半径方向に作用する心出し力Fが生成され、これにより、心出しピン15が被加工物2の方向に前進し、それによって、被加工物2に心出し力が加えられる。くさび31は、ハウジング12内にねじ込むことができるピン31’によって、ばね20の力に反して押圧される。ピン31’は、ハウジング12内に加工されたクランプねじ山19に保持され、その結果、ピン31’がねじって外されると、ばね20によりくさび31に戻り力が加えられ、それにより、くさび31がハウジング12から押し出される。ハウジング12と心出しピン15との間にもばねが設けられ、それにより、くさび31が解放されると、心出しピン15がその開始位置に戻るように移動する。
【0032】
図4bは、心出し装置11が、上に心出しピン15が形成されている油圧ピストン33から形成されていることを示す。油圧ピストン33によって分離される2つの空間に、2つの油圧接続34によって作動液が充填されるか、またはそれら空間は交互に空にされ、その結果、油圧ピストン33に半径方向に作用する心出し力Fが加えられ、それにより、心出しピン15が被加工物2に向かって近づくか、またはそこから離れる方向に移動することができる。
【0033】
図4cは、心出し装置11のデザイン実施形態が、ハウジング12内に加工された雌ねじ山35内にねじスピンドル36がねじ込まれ、心出しピン15がねじスピンドル36の上に形成されるようになされていることを示す。したがって、ねじスピンドル36がねじ込まれると、心出しピン15が被加工物2に向かって近づく。
【0034】
図4a、図4b、図4cに示すような心出し装置11の3つのデザイン実施形態は、心出しピン15に設けられる心出し面16が弧17に対応するその開始位置から出て被加工物2に向かって前進し、心出し装置16が、外側および内側から半径方向に作用する心出し力Fを被加工物2に加えるという共通の特徴を共有している。対応する心出しピン15の前進移動中、被加工物2は、3つのクランプジョー6、7および8によってチャック1上に、したがって図示していない工作機械上に保持される。したがって、基礎本体4と作動要素21との間の遊び23を、対応する心出しピン15の移動によって補償することができる。対応する心出し装置11の心出しピン15を、互いに独立して、または互いに同期して調整しかつ駆動することができる。
【0035】
図示するサンプル実施形態では、3つのクランプジョー6、7および8は、基礎本体4上に、互いに関して120°の角度の位置で配置される。心出し装置11の各1つが、2つの隣接するクランプジョー6、7または8の間の心出し位置に設けられ、その結果、これらもまた、互いに関して120°の角度位置を採用し、3つのクランプジョー6、7および8は、3つの心出し装置11に関して60°の角度で配置される。
【0036】
被加工物2に対して金属切削機械加工を行うことは、その固有重量が低減することを意味し、その結果、幾何学的なクランプ状態が変化する。3つのクランプジョー6、7および8は、この場合、チャック1の上に被加工物2を支持する。3つの心出し装置11が前進移動することは、チャック1の長手方向軸5に関して、被加工物2の永久的な再配置が可能であることを意味する。したがって、被加工物2の重量変化を、3つのクランプジョー6、7および8の位置を変更する必要なく、心出し装置11によって補償することができる。
【0037】
図5は、それにより被加工物2’がクランプされているチャック1’を示す。この場合の被加工物2’は、回転対称の中空体として構成されている。3つのクランプジョー6、7および8は、クランプ位置の間は被加工物2’の内側に配置され、被加工物2’に半径方向外側に向けたクランプ力を加える。
【0038】
3つの心出し装置11は、被加工物2’の内側でチャック1’に取り付けられており、その結果、それらは、被加工物2’に半径方向外側に向けた心出し力Fを加える。
【0039】
3つの心出しピン15の心出し面16は共用の弧17にあり、その弧17の半径は、被加工物2’の内側半径より小さい。
【0040】
対応する心出し装置11を、外側から、たとえば被加工物2’を貫通することができる工具によって、対応する心出し装置11の位置を手動で設定するために作動させることができる。対応する心出し装置11に、図4a、図4bおよび図4cで説明したデザイン実施形態を設けることも考えられる。対応する心出し装置11を、たとえば、被加工物2’内を通って達する必要なく、図4bに示す油圧駆動ユニットを使用して作動させることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 チャック
1’ チャック
2 被加工物
2’ 被加工物
4 基礎本体
5 長手方向軸
6 クランプジョー
7 クランプジョー
8 クランプジョー
9 くさび棒
10 歯車機構
11 心出し装置
12 ハウジング
13 孔
14 ねじ
15 心出しピン
16 心出し面
17 弧
18 案内溝
19 クランプねじ山
20 ばね
21 作動要素
23 遊び
31 くさび
31’ ピン
32 クランプ面
33 油圧ピストン
34 油圧接続
35 雌ねじ山
36 ねじスピンドル
心出し力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削を含む、回転対称の被加工物(2、2’)を機械加工する工作機械用の電動チャック(1、1’)であって、
− 前記工作機械に取り付けることができる基礎本体(4)と、
− 前記基礎本体(4)に可動配置で保持された少なくとも2つのクランプジョー(6、7、8)であって、同期して制御され、かつ、各々1つのくさび棒(9)によって、クランプされるべき前記被加工物(2、2’)上に半径方向に移動することができる、クランプジョー(6、7、8)と、
− 前記基礎本体(4)に軸方向可動配置で保持された作動要素(21)であって、前記くさび棒(9)の各々に力係止配置で接続され、かつ前記基礎本体(4)にその長手方向軸(5)に関して同軸に保持され、それにより前記作動要素(21)と前記基礎本体(4)との間に所与の遊び(23)がある、作動要素(21)と、
を備えた電動チャック(1、1’)において、
− 前記基礎本体(4)上に支持された少なくとも1つの心出し装置(11)が、前記クランプジョーのうちの1つ(6、7または8)に対して、または2つ以上のクランプジョー(6、7、8)に対して、横方向にずれて設けられていること、
− 各心出し装置(11)が、クランプされるべき前記被加工物(2、2’)上に直接作用する、調整可能な軸方向のベクトルの力(F)を加え、それにより、前記作動要素(21)と前記基礎本体(4)との間の前記遊び(23)が補償されること、および
− 前記心出し装置(11)を、合わせて同期して、あるいは互いに独立しおよび/または前記クランプジョー(6、7、8)とは独立して作動させることができることを特徴とする電動チャック。
【請求項2】
前記心出し装置(11)の各々が、前記被加工物(2)に向けられた心出し面(16)を有し、前記心出し装置(11)の前記心出し面(16)が、前記被加工物(2)の外側半径より半径が大きい共通の弧(17)に配置され、前記心出し面(16)を、心出しピン(15)により前記心出し装置(11)に対して移動させることができることを特徴とする、請求項1に記載のチャック。
【請求項3】
前記被加工物(2’)が中空体として構成され、前記クランプジョーが、外側からまたは内側から前記被加工物(2’)と接触し、前記心出し装置(11)が、前記被加工物(2’)の内側に半径方向力(F)を加え、前記心出し装置(11)に、アクセスするために前記被加工物(2’)を介してアクセスすることができ、または心出し装置(11)を、外側から電気的に、油圧式に、または空気圧式に移動させることができることを特徴とする、請求項1に記載のチャック。
【請求項4】
前記心出し装置(11)が、前記被加工物(2’)の内側半径より半径が小さい共通の弧(17)上に配置された心出し面(16)を有することを特徴とする、請求項3に記載のチャック。
【請求項5】
前記心出し装置(11)がハウジング(12)からなり、前記ハウジング(12)が前記基礎本体(4)に解放可能接続で取り付けられ、前記ハウジング(12)を、前記基礎本体(4)に、異なる角度位置で、および/または前記基礎本体(4)の前記長手方向軸(5)に対して異なる種類の空間位置で、取り付けることができることを特徴とする、請求項2に記載のチャック。
【請求項6】
前記心出しピン(15)がくさび(31)とともに作用し、前記くさび(31)がクランプ面(32)を有し、それにより、前記くさび(31)が押し込まれると半径方向のベクトルの心出し力(F)がもたらされ、この心出し力(F)が前記心出しピン(15)に作用することを特徴とする、請求項1に記載のチャック。
【請求項7】
前記心出しピン(15)が、ねじスピンドル(36)として構成され、前記ねじスピンドル(36)が、前記心出し装置(11)の前記ハウジング(12)内に加工された雌ねじ山(35)内に半径方向に配置され、かつ前記ハウジング(12)に対して移動することができることを特徴とする、請求項1に記載のチャック。
【請求項8】
前記心出しピン(15)を、油圧式にまたは空気圧式に駆動されるピストン(33)によって作動させることができることを特徴とする、請求項1に記載のチャック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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