説明

電動トリマ

【課題】作業者の把持を容易にすることが可能であり、また、ベース20のトリマ本体10に対するクランプ力を適切に調整する。
【解決手段】この電動トリマ100は、トリマ本体10の軸方向に平行な平面内で、ベース20の方向に回動させることでトリマ本体10をクランプし、ベース10から離れる方向に回動させることでトリマ本体10をアンクランプするクランプレバー36と、クランプレバー36の回動によりトリマ本体10をクランプしたときの、トリマ本体10とベース20とのクランプ力を調整するクランプ力調整機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビットの切込み深さを調整自在とした電動トリマに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、被切削材に対して溝加工又はエッジ部の面取り加工を施す場合には、電動トリマと呼ばれる電動工具が使用されている。この種の電動トリマは、駆動モータが収納されるトリマ本体と、トリマ本体に着脱自在であるとともに駆動モータによって回転駆動されるビットと、トリマ本体を軸方向でスライド移動自在に把持するベースとを有して構成されている。
【0003】
上述した基本構成を有する従来の電動トリマによれば、駆動モータを回転させることによってビットが回転し、これによって被切削材に溝加工又はエッジ部の面取り加工を行うことができる。また、トリマ本体をベースに対して軸方向にスライド移動させ、ビットの切込み深さを調整することができるので、所望の深さの溝加工を容易に行なうことが可能となっている。
【0004】
なお、この種の電動トリマを開示する先行技術文献として、例えば下記特許文献1が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−234001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1などに代表される従来の電動トリマでは、ビットの切込み深さを調整する際に行われるベースに対するトリマ本体の固定及び解除が、ベースに対して回動可能に設置されたクランプレバー(特許文献1のクランプに相当)の締め付け力によって行われる機構が採用されていた。すなわち、ビットの切込み深さを調整しようとする場合には、まずは、クランプレバーをトリマ本体の軸方向に直交する平面内で、ベースから離れる方向に回動させることでベースに対するトリマ本体の固定を解除し、次に、ベースに対してトリマ本体を軸方向にスライド移動させることでビットの切込み深さを調整し、最後に、クランプレバーをトリマ本体の軸方向に直交する平面内で、ベースの方向に回動させることで先程位置調整したトリマ本体をベースに対して固定することが行われていた。
【0007】
次に、加工作業においては、作業者は、切込み深さを調整しトリマ本体をベースに対して固定した後、ベースの把持部を把持し、加工状況を確認するためにベースに設けられた開口部からビット周辺を目視しながら加工を行うが、把持部の把持においては、クランプレバーが把持部から突出しており、把持することが困難なため、クランプレバーを避けて把持している。
【0008】
ところが、クランプレバーを避けて把持していても、作業者の姿勢に対してトリマの進行方向は常に一定ではなく、曲線状の溝加工などトリマの進行方向を変化させなければならない場合、操作がしやすいように把持位置を変更する必要がある。
しかしながら、従来技術の機構は、トリマ本体の軸方向に直交する平面内でクランプレバーを回動するように構成されているため、把持部において作業者が容易に把持できる周方向の範囲が狭く、作業者は、あえて把持が困難なクランプレバーを把持しなければならなかった。あるいは、クランプレバーを避けて把持することで無理な姿勢で作業しなければならなかった。
【0009】
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、作業者の把持を容易にすることで操作性の良い新たな電動トリマを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0011】
本発明に係る電動トリマ(100,200)は、駆動モータ(12)が収納されるトリマ本体(10)と、前記トリマ本体(10)に着脱自在であるとともに前記駆動モータ(12)によって回転駆動されるビット(5)と、前記トリマ本体(10)を軸方向でスライド移動自在に把持するベース(20)と、 前記ベース(20)に対して回動可能に設置されるとともに、前記ベース(20)の方向に回動させることで前記トリマ本体(10)をクランプし、前記ベース(20)から離れる方向に回動させることで前記トリマ本体をアンクランプするクランプレバー(36、44)を備えた電動トリマ(100,200)であって、前記クランプレバー(36、44)が、前記トリマ本体(10)の軸方向に平行な平面内で回動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る電動トリマ(100)において、前記クランプレバー(36)により回動し、両端部に互いに逆向きのネジを設けた回動部材(35)と、前記ベース(20)に設けられたスリットの両端縁部にそれぞれ係止され、前記回動部材(35)の前記ネジに螺合する互いに逆向きのネジが形成されたネジ部材とを備え、前記クランプレバー(36)の回動により、前記回動部材(35)が回動し、前記ネジ部材と前記回動部材(35)が螺合し、前記スリットの前記両縁部間の距離を減ずることで前記ベース(20)が前記トリマ本体(10)をクランプすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る電動トリマ(100)において、前記クランプレバー(36)と前記回動部材(35)の固定を解除し、前記回動部材(35)のみを回動し、前記ネジ部材と前記回動部材(35)の螺入量を変更し、前記クランプレバー(36)と前記回動部材(35)の固定を行うことで、前記トリマ本体(10)と前記ベース(20)とのクランプ力を調整することができる。
【0014】
またさらに、本発明に係る電動トリマ(200)において、前記クランプレバー(44)と共に回動する当接部(44a)と、前記当接部(44a)が当接し、前記ベース(20)に設けたスリットの両端縁部の少なくとも一方に、回動不能に設けられたカム(43)とを備え、前記クランプレバー(44)の回動により、前記当接部(44a)が前記カム(43)のカム面上を移動し、前記スリットの前記両端縁部間の距離を減ずることで前記ベース(20)が前記トリマ本体(10)をクランプすることができる。
【0015】
またさらに、本発明に係る電動トリマ(200)において、前記クランプレバー(44)と共に回動するカムと、前記カムに当接し、前記ベース(20)に設けたスリットの両端縁部の少なくとも一方に、回動不能に設けられた当接部とを備え、前記クランプレバー(44)の回動により、前記カムのカム面が前記当接部上を移動し、前記スリットの前記両端縁部間の距離を減ずることで前記ベース(20)が前記トリマ本体(10)をクランプすることができる。
【0016】
さらにまた、本発明に係る電動トリマ(200)において、前記当接部(44a)の前記カム(43)の方向への進退量を調整することで、前記トリマ本体(10)に対する前記ベース(20)のクランプ力を調整することができる。
【0017】
さらにまた、本発明に係る電動トリマ(200)において、前記カム(43)の前記当接部(44a)の方向への進退量を調整することで、前記トリマ本体(10)に対する前記ベース(20)のクランプ力を調整することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業者の把持を容易にすることで操作性の良い新たな電動トリマを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る電動トリマの外観正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る電動トリマの外観側面図である。
【図3】図2で示した電動トリマの内部構造を説明するための縦断面側面図であり、特に、ビットがベースの下面より突き出した状態を示している。
【図4】第1の実施形態に係るクランプ機構の構成を示した横断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る電動トリマの外観正面図である。
【図6】第2の実施形態に係る電動トリマであり、ベースがトリマ本体をアンクランプした状態の外観正面図である。
【図7】第2の実施形態に係る電動トリマの外観側面図である。
【図8】図7で示した電動トリマの内部構造を説明するための縦断面側面図であり、特に、ビットがベースの下面より突き出した状態を示している。
【図9】第2の実施形態に係るクランプ機構の構成を示した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施するための好適な第1の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、第1の実施形態に係る電動トリマの外観正面図であり、図2は、第1の実施形態に係る電動トリマの外観側面図である。また、図3は、図2で示した電動トリマの内部構造を説明するための縦断面側面図であり、特に、ビットがベースの下面より突き出した状態を示している。さらに、図4は、第1の実施形態に係るクランプ機構の構成を示した横断面図である。
【0022】
図1〜図4にて示されるように、第1の実施形態に係る電動トリマ100は、主として、ビット5を回転可能に支持するトリマ本体10と、トリマ本体10の外周面を保持するベース20と、被切削材に対するビット5の切り込み深さ調整時にベース20に対するトリマ本体10の固定及び解除を行うクランプ機構30とを有して構成されている。
【0023】
トリマ本体10は、軸方向に延びる略筒形をしたケーシング11によって外郭形状が形成されており、このケーシング11の内部には、駆動モータ12が収納されている。また、ケーシング11の内部には、駆動モータ12のモータ軸12aを回転可能な状態で支持するために、一対のベアリング13,13が収納されている。ケーシング11の上部には、駆動モータ12の作動又は停止を制御するためにスイッチ14が設置されており、一方、ケーシング11の下部には、駆動モータ12のモータ軸12aに接続するとともに、ビット5をチャッキングすることで駆動モータ12が及ぼす回転駆動力をビット5に伝達するビットホルダ15が設置されている。なお、ビットホルダ15は、様々な寸法のビット5を着脱自在であるので、第1の実施形態に係る電動トリマ100は、被切削材に対して種々の寸法形状の切削加工を行うことができるようになっている。
【0024】
ベース20は、トリマ本体10を軸方向(紙面の上下方向)でスライド移動自在に抱持する部材であり、また、透明の樹脂材料にて形成される部材である。このベース20の上方には、ケーシング11を抱持するように把持部21が形成されている。この把持部21は、略円筒形の一部が縦方向に開いたスリットを有しており、図4において略C字形にて形成されている。すなわち、把持部21は、周方向において所定の間隔で向き合う端縁21a、21bを有しており、これら端縁21a、21bの間隔を調整することで略C字形をした把持部21の内周面の径が変化し、把持部21が抱持するトリマ本体10に対する固定保持力(クランプ力)が変化するように構成されている。
【0025】
また、ベース20の下方には、把持部21に続いて垂直方向に延びる胴体部22と、胴体部22のさらに下方にて水平方向に延びる環状の支持部23とが形成されている。胴体部22の前面側には、加工時にビット周辺を目視するために周面に沿って開かれた窓22aが形成されている。一方、支持部23の周縁は、把持部21の外周より半径方向外側に張り出しており、電動トリマ100を起立状態に保つことができるようになっている。また、支持部23の中央部には、ビット5が挿通する開口部23aが形成されている。
【0026】
さらに、ベース20は、支持部23の下面に固定された正方形のベースプレート24を有している。ベースプレート24の一辺の長さは支持部23の直径と略同寸法である。このベースプレート24の中央部にも、ビット5が挿通する開口部24aが形成されている。
【0027】
なお、上面視において略C字形にて形成された把持部21には、端縁21a、21bのそれぞれと一体に形成されるとともに、互いに対向する凸形状の軸受部25a、25bが形成されている。これら軸受部25a、25bには、クランプ機構30を構成する部材が設置されている。そこで、続いて、第1の実施形態に係るクランプ機構30についての説明を行う。
【0028】
第1の実施形態に係るクランプ機構30において、軸受部25a、25bには中心線を共通に設けられ、互いに向き合う面の反対側にそれぞれ小判形状の座繰り部31a、32aが形成された貫通孔31、32が設けられている。貫通孔31、32には、外周面に左ネジ33bおよび右ネジ34bが形成され、頭部が座繰り部31a、32bに嵌合する小判形状に形成されたネジ部材33、34が回転不能に挿嵌されている。ネジ部材33、34の左ネジ33bおよび右ネジ34bは、外周面に小径部35a、止め輪用溝部35b、六角形部35c、および大径部35dが形成され、内周面に左ネジ35e、右ネジ35fが形成された回動部材35と螺合している。回動部材35の六角形部35cは、クランプレバー36の設けられた六角孔36aと嵌合し、六角孔36aが六角形部35cに嵌合した状態で、回動部材35の止め輪用溝部35bに取り付けられた止め輪37により、クランプレバー36の回動部材35の軸方向への移動を不能に規制されている。
【0029】
なお、回動部材35の小径部35aの直径は、六角形部35cの内接円直径以下であり、大径部35dの直径は、六角形部35cの対角線距離より大きくなっている。これにより、クランプレバー36の六角孔36aが回動部材35の六角形部35cに嵌合した状態から、回動部材35の止め輪用溝部35bに取り付けられた止め輪37を取り外すことで、クランプレバー36が小径部35a方向へ移動が可能になる。クランプレバー36が小径部35aの方向へ移動し、六角孔36aの六角形部35cへの嵌合状態が解除されると、回動部材35とクランプレバー36は、それぞれ単独で回動可能となる。
【0030】
以上、第1の実施形態に係る電動トリマ100の具体的構成を説明した。次に、第1の実施形態に係る電動トリマ100の切込み深さの調整方法を説明する。
【0031】
第1の実施形態に係る電動トリマ100において切込み深さを調整する場合、まず、図3の想像線で示すように、クランプレバー36をトリマ本体10の軸方向に平行な平面内でベース20から離れる方向に回動させると、回動部材35が回動することで、左ネジ35eと右ネジ35fに螺入するネジ部材33、34が回動部材35からそれぞれ突出する方向に移動する。これにより把持部21の弾性復元力により端縁21a、21bの間隔が拡大し、略C字形をした把持部21の内周面の径が拡大することとなる。これによりベース20のトリマ本体10に対する固定状態が解除される。
【0032】
次に、ベース20のトリマ本体10に対する固定状態が解除された状態で、ベース20に対してトリマ本体10を軸方向にスライド移動させることでビットの切込み深さを所定の量に調整する。
【0033】
最後に、クランプレバー36をトリマ本体10の軸方向に平行な平面内でベース20の方向に回動させると、回動部材35が回動することで、左ネジ35eと右ネジ35fに螺合するネジ部材33、34が回動部材35にそれぞれ螺入する。これにより端縁21a、21bの間隔が縮小し、略C字形をした把持部21の内周面の径が縮小することとなり、これによりベース20に対してトリマ本体10が固定される。
【0034】
次に、第1の実施形態に係る電動トリマ100において、ベース20のトリマ本体10に対するクランプ力を調整する方法について説明する。
【0035】
第1の実施形態に係る電動トリマ100において、トリマ本体10とベース20とのクランプ力を調整する場合、まず、回動部材35の止め輪用溝部35bに取り付けられた止め輪37を取り外す。続いてクランプレバー36を回動部材35の小径部35a上へ移動し、六角孔36aの六角形部35cへの嵌合状態を解除することで、回動部材35とクランプレバー36を、それぞれ単独で回動可能な状態とする。
【0036】
ベース20のトリマ本体10に対するクランプ力を弱くする場合、この状態で回動部材35のみをネジ部材33、34が回動部材35からそれぞれ突出する方向に所定角度回動する。これにより把持部21の弾性復元力により端縁21a、21bの間隔が拡大し、略C字形をした把持部21の内周面の径が拡大することとなる。その後、クランプレバー36を回動部材35の六角形部35c上へ移動し、六角孔36aを六角形部35cへ嵌合させる。ここでクランプレバー36をトリマ本体10の軸方向に平行な平面内でベース20の方向に回動させ、適正なクランプ力が得られたか確認する。クランプ力が適正でない場合は、上述の作業を再度繰り返し、適正なクランプ力が得られるようにする。最後に、回動部材35の止め輪用溝部35bに止め輪37を止めることで、クランプレバー36が回動部材35の軸方向に移動することが防止され、六角孔36aの六角形部35cへの嵌合状態は維持される。
【0037】
次に、ベース20のトリマ本体10に対するクランプ力を強くする場合、この状態で回動部材35のみをネジ部材33、34が回動部材35へそれぞれ螺入する方向に所定角度回動する。これにより把持部21の端縁21a、21bの間隔が減少し、略C字形をした把持部21の内周面の径が縮小することとなる。その後、クランプレバー36を回動部材35の六角形部35c上へ移動させ六角孔36aを六角形部35cへ嵌合させる。ここでクランプレバー36をトリマ本体10の軸方向に平行な平面内でベース20の方向に回動させ、適正なクランプ力が得られたか確認する。クランプ力が適正でない場合は、上述の作業を再度繰り返し、適正なクランプ力が得られるようにする。最後に、回動部材35の止め輪用溝部35bに止め輪37を止めることで、クランプレバー36が回動部材35の軸方向に移動することが防止され、六角孔36aの六角形部35cへの嵌合状態は維持される。
【0038】
以上、本発明の好適な第1の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0039】
例えば、上述した第1の実施形態において、ネジ部材33、34の外周面に左ネジ33bおよび右ネジ34bが形成され、回動部材35の内周面に左ネジ孔35e、右ネジ孔35fが形成されていた。しかしながら、本発明においては、ネジ部材33、34の内周面に左ネジ孔および右ネジ孔が形成され、回動部材35の両端外周面に左ネジおよび右ネジが形成されていても良い。このような構成においても、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する電動トリマを実現することができる。
【0040】
また、例えば、上述した第1の実施形態に係る回動部材35とクランプレバー36の嵌合部は、六角形とされていた。しかしながら、本発明の回動部材35とクランプレバー36の嵌合部については、六角形とする必要はなく、例えば四角形によって構成してもよい。すなわち、本発明の回動部材35とクランプレバー36の嵌合部においては、回動不能となる形状により構成されていれば、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する電動トリマを実現することができる。
【0041】
さらに、上述した第1の実施形態に係る貫通孔31、32の座繰り部31a、32aと、ネジ部材33、34の頭部は小判形状とし、回転不能に挿嵌されていた。しかしながら、本発明の貫通孔31、32の座繰り部31a、32aと、ネジ部材33、34の頭部は、小判形状とする必要はなく、たとえば六角形としてもよい。すなわち挿嵌によりネジ部材33、34が回転不能となる形状により構成されていれば、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する電動トリマを実現することができる。
【0042】
またさらに、上述した第1の実施形態に係る回動部材35には円柱形の大径部35dが設けられていた。しかしながら、本発明の大径部35dは円柱形とする必要はなく、たとえば六角形としてクランプ力調整時スパナにより回動部材35を回せるようにしてもよい。すなわち、本発明の大径部35dは、止め輪37と共同して、クランプレバー36の回動部材35の軸方向への移動を不能に規制する形状により構成されていれば、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する電動トリマを実現することができる。
【0043】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、本発明を実施するための好適な第2の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0045】
図5は、第2の実施形態に係る電動トリマの外観正面図であり、図6は、第2の実施形態に係る電動トリマであり、ベースがトリマ本体をアンクランプした状態の外観正面図である。また、図7は、第2の実施形態に係る電動トリマの外観側面図であり、図8は、図7で示した電動トリマの内部構造を説明するための縦断面側面図であり、特に、ビットがベースの下面より突き出した状態である。さらに、図9は、第2の実施形態に係るクランプ機構の構成を示した横断面図である。
【0046】
図5〜図9を用いて、第2の実施形態に係る電動トリマ200の構成について説明を行うが、第1の実施形態に係る電動トリマ100と同じ構成については、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
上面視において略C字形にて形成された把持部21には、端縁21a、21bのそれぞれと一体に形成されるとともに、互いに対向する凸形状の軸受部25a、25bが形成されている。これら軸受部25a、25bには、クランプ機構40を構成する部材が設置されている。そこで、続いて、第2の実施形態に係るクランプ機構40についての説明を行う。
【0048】
第2の実施形態に係るクランプ機構40において、軸受部25a、25bには中心線を共通にする貫通孔41、42が設けられている。また、軸受部25aの軸受部25b側とは反対側の面には中央に貫通孔41と共通の中心線を持ち、貫通孔41と略同径の孔が設けられたカム43が回動不能に設けられている。さらに、軸受部25a、25bおよびカム43を両外側から挟む腕部44b、44cを持つクランプレバー44が貫通孔41、42の中心線回りに回動自在設けられ、クランプレバー44にはカム43のカム面43aに当接し、クランプレバー44と共に回動する当接部44aが設けられている。貫通孔41、42にはクランプレバー44の回動中心となり、軸端外周部にネジ45aが形成されたなべ小ネジ45が挿通され、任意の螺入位置で固定できる緩み止め機能を持つ特殊ナット46がネジ45aに螺入されている。
【0049】
以上、第2の実施形態に係る電動トリマ200の具体的構成を説明した。次に、第2の実施形態に係る電動トリマ200の切込み深さの調整方法を説明する。
【0050】
第2の実施形態に係る電動トリマ200において切込み深さを調整する場合、まず、図8の想像線で示すように、クランプレバー44をトリマ本体10の軸方向に平行な平面内でベース20から離れる方向に回動させると、カム面43aの高い位置に当接していた当接部44aが(図5)、カム面43aの低い位置へ移動する(図6)。これにより把持部21の弾性復元力により端縁21a、21bの間隔が拡大し、略C字形をした把持部21の内周面の径が拡大することとなる。これによりベース20のトリマ本体10に対する固定状態が解除される。
【0051】
次に、ベース20のトリマ本体10に対する固定状態で解除された状態で、ベース20に対してトリマ本体10を軸方向にスライド移動させることでビットの切込み深さを所定の量に調整する。
【0052】
最後に、クランプレバー44をベース20の方向に回動させると、カム面43aの低い位置に当接していた当接部44aが、カム面43aの高い位置へ移動する。これにより端縁21a、21bの間隔が縮小し、略C字形をした把持部21の内周面の径が縮小することとなる。これによりベース20に対してトリマ本体10が固定される。
【0053】
次に、第2の実施形態に係る電動トリマ200において、トリマ本体10とベース20とのクランプ力を調整する方法について説明する。
【0054】
第2の実施形態に係る電動トリマ200において、トリマ本体10とベース20とのクランプ力を調整する場合、なべ小ネジ45の軸端外周部に形成されたネジ45aへの特殊ナット46の螺入位置を調整することで行う。すなわち、特殊ナット46を当接部44aがカム43から逃げる方向へ回し、端縁21a、21bの間隔が拡大する方向に螺入位置を調整した場合は、ベース20のトリマ本体10に対するクランプ力が弱くなり、逆に特殊ナット46を当接部44aがカム43の方向へ進む方向へ回し、端縁21a、21bの間隔が縮小する方向に螺入位置を調整した場合は、ベース20のトリマ本体10に対するクランプ力が強くなる。
【0055】
以上、本発明の好適な第2の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0056】
例えば、上述した第2の実施形態に係るカム43は軸受部25aに回動不能に設けられ、当接部44aはクランプレバー44と共に回動するように設けられていた。しかしながら、本発明において、カム43は軸受部25aに回動不能に設けられ、当接部44aはクランプレバー44と共に回動するように設けられている必要はなく、カム43はクランプレバー44と共に回動するように設けられ、当接部44aは軸受部25aに回動不能に設けられていてもよい。
【0057】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0058】
5 ビット、10 トリマ本体、11 ケーシング、12 駆動モータ、12a モータ軸、13 ベアリング、14 スイッチ、15 ビットホルダ、20 ベース、21 把持部、21a,21b 端縁、22 胴体部、22a 窓、23 支持部、23a 開口部、24 ベースプレート、24a 開口部、25a,25b 軸受部、30 クランプ機構、31,32 貫通孔、31a,32a 座繰り部、33,34 ネジ部材、33b 左ネジ、34b 右ネジ、35 回動部材、35a 小径部、35b 止め輪用溝部、35c 六角形部、35d 大径部、35e 左ネジ、35f 右ネジ、36 クランプレバー、36a 六角孔、37 止め輪37、40 クランプ機構、41、42 貫通孔、43 カム、43a カム面、44 クランプレバー、44a 当接部、44b、44c 腕部、45 なべ小ネジ、45a ネジ、46 特殊ナット、100 電動トリマ、200 電動トリマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータが収納されるトリマ本体と、
前記トリマ本に着脱自在であるとともに前記駆動モータによって回転駆動されるビットと、
前記トリマ本体を軸方向でスライド移動自在に把持するベースと、
前記ベースに対して回動可能に設置されるとともに、前記ベースの方向に回動させることで前記トリマ本体をクランプし、前記ベースから離れる方向に回動させることで前記トリマ本体をアンクランプするクランプレバーと、
を備えた電動トリマであって、
前記クランプレバーが、前記トリマ本体の軸方向に平行な平面内で回動することを特徴とする電動トリマ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動トリマにおいて、
前記クランプレバーにより回動し、両端部に互いに逆向きのネジを設けた回動部材と、
前記ベースに設けられたスリットの両端縁部にそれぞれ係止され、前記回動部材の前記ネジに螺合する互いに逆向きのネジが形成されたネジ部材と、を備え、
前記クランプレバーの回動により、前記回動部材が回動し、前記ネジ部材と前記回動部材が螺合し、前記スリットの前記両端縁部間の距離を減ずることで前記ベースが前記トリマ本体をクランプすることを特徴とする電動トリマ。
【請求項3】
請求項2に記載の電動トリマにおいて、
前記クランプレバーと前記回動部材の固定を解除し、前記回動部材のみを回動し、前記ネジ部材と前記回動部材の螺入量を変更することで、前記トリマ本体に対する前記ベースのクランプ力を調整するクランプ力調整機構を設けたことを特徴とする電動トリマ。
【請求項4】
請求項1に記載の電動トリマにおいて、
前記クランプレバーと共に回動する当接部と、
前記当接部が当接し、前記ベースに設けたスリットの両端縁部の少なくとも一方に、回動不能に設けられたカムと、を備え、
前記クランプレバーの回動により、前記当接部が前記カムのカム面上を移動し、前記スリットの前記両端縁部間の距離を減ずることで前記ベースが前記トリマ本体をクランプすることを特徴とする電動トリマ。
【請求項5】
請求項1に記載の電動トリマにおいて、
前記クランプレバーと共に回動するカムと、
前記カムに当接し、前記ベースに設けたスリットの両端縁部の少なくとも一方に、回動不能に設けられた当接部と、を備え、
前記クランプレバーの回動により、前記カムのカム面が前記当接部上を移動し、前記スリットの前記両端縁部間の距離を減ずることで前記ベースが前記トリマ本体をクランプすることを特徴とする電動トリマ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電動トリマにおいて、
前記当接部の前記カムの方向への進退量を調整することで、前記トリマ本体に対する前記ベースのクランプ力を調整するクランプ力調整機構を設けたことを特徴とする電動トリマ。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の電動トリマにおいて、
前記カムの前記当接部の方向への進退量を調整することで、前記トリマ本体に対する前記ベースのクランプ力を調整するクランプ力調整機構を設けたことを特徴とする電動トリマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−207083(P2011−207083A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77550(P2010−77550)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】