説明

電動ミシン

【課題】 無線コントローラの識別信号の登録と充電が容易にできる電動ミシンを提供する。
【解決手段】
ミシン本体1のベッド19には接続端子3が露出しており、コントローラ2のIDコードの登録とコントローラ2への充電を行う。コントローラ2の裏面の接続端子3に対応する位置に第2接続端子4が設けられ、コントローラ2をベッド19上に載置するだけで、接続端子3と第2接続端子4が接触することによりIDコードの登録と充電を行う。ミシン本体1は登録されたIDコードのコントローラ2からのコントロール信号のみを受信してミシンを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ミシンの始動、停止及び駆動速度(縫い速度)の制御は、ミシン本体に備えられたレバーか或いはミシン本体に接続された足踏み式のコントローラで行う構成が普通であるが、該足踏み式のコントローラをコードレス化して、無線でミシンの制御を行うことが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2722769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、無線コントローラの場合、本体との間にコードがないため、電源として電池が用いられており、電池交換や充電の手間がかかる問題があった。
また、無線コントローラの場合、他の機器の信号による誤動作の問題がある。一般家庭には、いろんな周波数の電波及びテレビ、ビデオ等のリモコンに代表される赤外線が飛び交っており、これらの信号でミシンが誤動作する危険がある。
これを防止するためには、無線コントローラにIDを設定しそのIDを認識した場合にのみコントロールを有効にする必要がある。
しかし、IDの初期設定作業が複雑で面倒であり、無線コントローラを交換した場合等にも初期設定作業を行う必要がある等の問題があった。
本発明は上記従来の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の電動ミシンは、ミシン本体に無線で接続してミシン制御信号を発信し、充電可能な電源を備えた無線コントローラと、該無線コントローラに備えられ該無線コントローラを識別する識別信号を出力する識別信号出力装置と、該無線コントローラに備えられ、前記ミシン制御信号と識別信号とを送信する送信装置と、前記ミシン本体に備えられ、前記識別信号出力装置からの識別信号を入力する入力装置と、前記ミシン本体に備えられ、該入力した識別信号を登録する識別信号登録装置と、前記ミシン本体に備えられ、前記ミシン制御信号と識別信号を受信する受信装置と、前記ミシン本体に備えられ、該識別信号登録装置に登録した識別信号と前記受信装置から入力した識別信号を比較し、不一致の場合無線コントローラからの前記ミシン制御信号を無視する判別装置と、前記ミシン本体に備えられ、前記無線コントローラの電源と接続して、該電源を充電する充電装置と、を備えたことを特徴とする。
以上の構成により無線コントローラの識別信号の登録が簡単に行え、識別信号の確認により誤動作を防止できる。また無線コントローラの充電もミシン本体側で行えるため簡単である。そして、前記入力装置と充電装置は共通の接続端子を有するように構成することにより、識別信号の登録と充電を同時に行うことができる。更に前記接続端子が、ミシン本体のベッド上に設けられ、無線コントローラ側に該接続端子に接続する第2接続端子が設けられ、該第2接続端子は、無線コントローラをミシン本体のベッド上に載置したときに前記接続端子と接触する、ように構成することにより、無線コントローラをミシンのベッド上に載置するだけで、識別信号の登録と充電が行える効果がある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電動ミシンによれば、無線コントローラの識別信号の登録と充電が容易にできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この電動ミシンはミシン本体1とコントローラ2を備える。ミシン本体1とコントローラ2との間はケーブルがなく、コードレスになっており、無線により接続されている。
【0008】
ミシン本体1には表示装置5が設けられ、種々の表示を行い、またこの実施形態ではコントローラ2からの送信内容や状態を表示するようになっている。
ミシン本体1にはまた操作装置6が設けられており、使用者が種々の操作を行えるようになっている。
【0009】
コントローラ2は足踏み式になっており、コントローラ2を踏み込むとスイッチ(図示せず)がオンになり、更に踏み込むと図3に示すように可変抵抗器20が移動して、踏み込み量に応じた速度信号をミシン本体1に送るようになっている。該信号により、ミシン本体1では所定の縫い速度(駆動速度)で縫いが実行されるようになっている。
【0010】
ミシン本体1のベッド19には接続端子3が露出しており、コントローラ2のIDコードの受信とコントローラ2への充電を行うようになっている。
ベッド19には図2に示すように、コントローラ2が載置できるスペースが確保された構成になっている。コントローラ2の裏面の接続端子3に対応する位置には第2接続端子4が設けられており、接続端子3と第2接続端子4が接触することにより信号の送受信と充電を行うようになっている。
【0011】
図3にコントローラ2とミシン本体1のブロック図を示す。
コントローラ2には前記したように可変抵抗器20が設けられ、コントローラ2の踏み込み量に応じた信号はA/D変換器21でデジタル変換された上、変調器23で変調され、送信回路24からミシン本体1に送信される。
【0012】
コントローラ2にはIDコード記憶装置22が設けられており、各コントローラ2に固有のIDコード信号が格納されている。このIDコード信号は操作装置6における初期設定の操作により、第2接続端子4及び接続端子3を介してミシン本体1に送られるようになっている。
また、A/D変換器21からの信号にIDコードを付加して送信するようになっている。
【0013】
電池25は充電式のもので、コントローラ2全体の電源を供給し、また第2接続端子4を介してミシン本体1側から充電されるように構成されている。
電池25としては通常の蓄電池、2次電池、電気二重層キャパシタなどを使用することが可能である。
【0014】
ミシン本体1側には、接続端子3に接続する充電器17が設けられ、コントローラ2の電池25に接続端子3と第2接続端子4を介して充電するようになっている。
また、接続端子3には識別信号入力装置15が接続し、IDコード記憶装置22からのIDコードを入力して識別信号登録装置16に該IDコードを登録するように構成されている。
【0015】
ミシン本体1には、受信回路10が設けられ、コントローラ2からの踏み込み量に応じた速度信号を受信し、復調器11で復調してデコーダ12でデコードした上で速度制御装置50を介してモータ51の回転速度を制御するようになっている。
【0016】
ミシン本体1には更にIDコード照合装置13が設けられ、前記識別信号登録装置16に登録されたIDコードとコントローラ2の送信回路24から送信されてきた速度信号に付加されたIDコードとを照合し、不一致の場合には、デコーダ12における速度信号を無効とするように構成されている。
【0017】
図4により動作を説明する。
コントローラ2がベッド19上に載置され、接続端子3と第2接続端子4が接触し、操作装置6の操作でIDコードの初期設定モードが選択されると(ステップS1)、コントローラ2のIDコード記憶装置22からIDコードを取得し(ステップS2、S3)、識別信号登録装置16に該IDコードを登録する(ステップS4)。
【0018】
デコーダ12においてコントローラ2からの速度信号とIDコードを受信すると、IDコード照合装置13で登録されたIDコードと受信されたIDコードの一致不一致を判断する(ステップS5)。不一致の場合は、動作を進行しない。
一致した場合は、速度信号を速度制御装置50に送り(ステップS6)、モータ51の速度制御を行う(ステップS7)。
【0019】
なお、コントローラ2がベッド19上に載置され、接続端子3と第2接続端子4が接触すると、充電器17から電池25への充電が行われる。
【0020】
以上説明したように、コントローラ2をベッド19上の所定位置に置くだけで充電器17の充電が行われ、また操作装置6の操作によりIDコードの初期設定が実行される。
そのため、充電や初期設定の手間が大幅に省ける利点がある。
【0021】
なお、前記したようにこの実施形態では、表示装置5にコントローラ2の状態を表示するように構成されている。即ち、コントローラ2の電池などの電源の残量、信号レベル、その他の情報が表示されるように構成されている。また電源の交換などの警告を表示装置5に表示するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す概略図。
【図3】本発明の一実施形態のブロック図。
【図4】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0023】
1:ミシン本体、2:コントローラ、3:接続端子、4:第2接続端子、5:表示装置、6:操作装置、10:受信回路、11:復調器、12:デコーダ、13:IDコード照合装置、15:識別信号入力装置、16:識別信号登録装置、17:充電器、19:ベッド、20:可変抵抗器、21:A/D変換器、22:IDコード記憶装置、23:変調器、24:送信回路、25:電池、50:速度制御装置、51:モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン本体に無線で接続してミシン制御信号を発信し、充電可能な電源を備えた無線コントローラと、
該無線コントローラに備えられ該無線コントローラを識別する識別信号を出力する識別信号出力装置と、
該無線コントローラに備えられ、前記ミシン制御信号と識別信号とを送信する送信装置と、
前記ミシン本体に備えられ、前記識別信号出力装置からの識別信号を入力する入力装置と、
前記ミシン本体に備えられ、該入力した識別信号を登録する識別信号登録装置と、
前記ミシン本体に備えられ、前記ミシン制御信号と識別信号を受信する受信装置と、
前記ミシン本体に備えられ、該識別信号登録装置に登録した識別信号と前記受信装置から入力した識別信号を比較し、不一致の場合無線コントローラからの前記ミシン制御信号を無視する判別装置と、
前記ミシン本体に備えられ、前記無線コントローラの電源と接続して、該電源を充電する充電装置と、
を備えたことを特徴とする電動ミシン。
【請求項2】
前記入力装置と充電装置が共通の接続端子を有する、
請求項1に記載の電動ミシン。
【請求項3】
前記接続端子が、ミシン本体のベッド上に設けられ、
無線コントローラ側に、該接続端子に接続する第2接続端子が設けられ、
該第2接続端子は、無線コントローラをミシン本体のベッド上に載置したときに前記接続端子と接触する、
請求項2に記載の電動ミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−26148(P2006−26148A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210069(P2004−210069)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】