説明

電動工具

【課題】従来、作業内容に合わせてトリマとルータをそれぞれ個別に用意していたため、作業現場での取り扱いが面倒で、設備コストが嵩む問題があった。本発明では、トリマとしてもルータとしても使用することができるようにすることでこれら従来の問題を解消する。
【解決手段】工具本体10とトリマモード用の第1のベース20とルータモード用の第2のベース30を1セットで備える電動工具1とする。工具本体10を第1のベース20に支持すれば、これを片手で把持してトリマとして使用することができ、第2のベース30に支持すれば、これを両手で把持してルータをして使用することができるので、電動工具1をトリマ・ルータ互換機として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にルータやトリマと呼ばれる電動工具であって、主として木材の端縁加工や溝入れ加工等に用いる電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動工具は、電動モータを内装した工具本体と、加工材の上面に乗せ掛ける等してこの工具本体を加工材に対して支持するベースを備えるもので、工具本体のスピンドルに装着したビットを加工材の端縁等に押し付けつつ、加工材の上面に沿って移動させることにより、端縁加工や溝入れ加工等の各種の加工を行うことができる。
一般にルータと称される電動工具は、使用者が両手で保持して移動させることにより深い溝入れ加工や面取り加工等の比較的重加工を行う際に利用されている。これに対して、トリマと称される電動工具は、使用者が片手で保持して移動させることにより比較的浅い溝入れ加工等の軽加工を行う際に用いられる。一方、ルータとトリマは、電動モータを内装した工具本体をベースに支持して、使用者が加工材上を移動させて加工を行う点で、両者の作業上の用い方は共通している。
また、ルータとトリマは、加工内容によって大まかには使い分けられているが、近年では、スピンドルに取り付けるビットについても、ルータとトリマで共用できるものが提供されており、加工内容によっては両者の使い分けが必ずしも明確でない場合もあり、用途が一部重複する場合がある。
従来、ルータやトリマに関する技術が、例えば下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−305683号公報
【特許文献2】特開2002−234001号公報
【特許文献3】特開2006−326931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ルータは、ルータベースに設けた一対のハンドル部を両手で把持して精確な加工を確実に行うことができる特徴を有している。逆に、トリマは、工具本体を片手で把持して端縁の面取り加工等の比較的簡易な加工を手軽に行うことができるといった特徴を有している。従来、このような使い分けができることから、ルータとトリマの双方を作業現場に用意していた。このため、両者を作業現場へ搬出入する手間と労力がかかるばかりでなく、いずれを用いても加工できる部位の加工については、一方を用いて加工を行う間、他方が不要になり、この点で他方の電動工具が効率よく利用されていない問題があった。
本発明は、係る従来の問題に着目してなされたもので、ルータとして用いる場合とトリマとして用いる場合の双方について、共用できる部分を有することにより電動工具を効率よく利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の電動工具とした。
請求項1記載の電動工具によれば、工具本体に第1のベースを取り付けることにより(工具本体を第1のベースに支持することにより)、トリマとして利用することができ(トリマモード)、第1のベースに代えて第2のベースを取り付けることにより(工具本体を第2のベースに支持することにより)、ルータとして利用することができる(ルータモード)。
工具本体に第1のベースを取り付けたトリマモードでは、工具本体若しくは第1のベースを片手では把持して当該電動工具を加工材の上面に沿って移動させることにより、加工材の比較的浅い溝入れ加工等の比較的軽作業を行うことができる。
工具本体に第2のベースを取り付けたルータモードでは、第2のベースに設けた一対のハンドル部を両手で把持して当該電動工具を加工材の上面に沿って移動させることにより、加工材の比較的深い溝入れ加工や面取り加工等の比較的重作業を行うことができる。
このように、工具本体に第1のベースを取り付ければトリマとして使用することができ、第1のベースに代えて第2のベースを工具本体に取り付ければルータとして使用することができるので、当該電動工具をルータ・トリマ互換機(ルーマ)として利用することができる。
このため、使用者は工具本体と第1のベースと第2のベースを1セットとして作業現場へ搬出入することによりルータとトリマのいずれをも使用することができるので、当該電動工具の使い勝手及び付加価値を大幅に高めることができるとともに、従来ルータ単能機とトリマ単能機を個別に搬出入した場合に比して工具本体を共用化することができ、この点で工具本体を効率よく(高い稼働率)で使用することができる。
また、工具本体と第1のベースと第2のベースを、例えば一つのボックスに収納して1セットとして取り扱うことにより、その可搬性及び取り扱い性を高めて加工作業の効率化を図ることができる。
トリマモード用の第1のベースは、工具本体の支持機能と加工材に対する案内機能を備えれば足りることから比較的軽量かつ簡易な構成となるのに対して、ルータ用の第2のベースは、これに加えて一対のハンドル部や場合によっては工具本体の昇降機構等を備えることからより重量が大きくなる。
【0006】
請求項2記載の電動工具によれば、工具本体を第1のベースに支持したトリマモードでの重量が従来のトリマ単能機と同等程度であるので、片手で持って迅速かつ楽に面取り加工等の軽作業を行うことができる。
請求項3記載の電動工具によれば、工具本体を第1のベースに支持したトリマモードでの把持部の胴回り寸法が把持しやすい太さであるので、片手で持って迅速かつ楽に面取り加工等の軽作業を行うことができる。
ここで、様々な物品を片手で把持する際の太さの基準となる親指と人差し指でループを作った時の内径寸法について、本願出願人は下記のデータを得ている。
イギリス人:男性35mm〜47mm、女性33mm〜44mm
オランダ人:男性36mm〜48mm、女性34mm〜45mm
アメリカ人:男性35mm〜47mm、女性32mm〜44mm
日本人:男性34mm〜46mm、女性33mm〜43mm
上記のデータによれば、ループ内径の最大は48mm、最小は32mmであることから、世界各地域における通常の使用者の手の大きさについて、親指と人差し指でループを作った場合の内径寸法を概ね30mm〜50mmの範囲内とし、これを基準として把持部の太さを設定すること望ましい。一方、把持部をしっかりと確実に把持するためには少なくともその半周の範囲に指があてがわれることが望ましい。このため、把持部の直径を60mm〜100mmとしてその胴回り寸法を60πmm〜100πmmの範囲内で設定することにより、大多数の使用者についてトリマモードでの把持部を確実に把持できるようになる。
工具本体を第1のベースの円筒形の本体支持部に挿入して支持する構成とする場合には、当該本体支持部が把持部となる場合を想定して、工具本体の胴回り寸法を上記60πmm〜100πmmから本体支持部の厚さ寸法(3mmの場合)分を差し引いた54πmm〜94πmmの範囲内に設定することが望ましい。
請求項4記載の電動工具によれば、工具本体をトリマモード用のサイズに設定することにより、トリマモード用の第1のベースとルータモード用の第2のベースの双方に対して容易に共用化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態を示す図であり、工具本体と第1のベースと第2のベースを相互に分離した状態の斜視図である。
【図2】工具本体を第1のベースに支持したトリマモードの電動工具の斜視図である。
【図3】工具本体を第2のベースに支持したルータモードの電動工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る電動工具1を示している。この電動工具1は、ルータとして用いることができ、かつトリマとしても用いることができるルータ・トリマ互換機仕様となっている点に大きな特徴を有している。
この電動工具1は、工具本体10と第1ベース20と第2ベース30を備えている。工具本体10は、軽量なプラスチック製又はアルミニウム製の本体ケース11に内装した電動モータ12を駆動源としている。本体ケース11は、使用者が片手で把持できる程度の太さの円筒形状を有している。本実施形態では、本体ケース11(工具本体10)の外径が約65mmに設定されており、従ってその胴回り寸法は約65πmmに設定されている。なお、πは円周率である。
工具本体10の上部には、モータ冷却風を導入するための風窓11a〜11aが設けられている。また、工具本体10の上部両側部には、カーボンブラシ交換用の保持孔が設けられており、これはキャップ11bで塞がれている。また、工具本体10の上部に交流電源供給用の電源コード13が引き込まれている。また、工具本体10の上部側部には、電動モータ12の起動停止操作を行うためのスライド式のスイッチ16が設けられている。
工具本体10の下端部にはスピンドル14が突き出されている。このスピンドル14にビット15が取り付けられている。このビット15には、作業内容に合わせて種々形態のものが用いられる。スライドスイッチ16をオン操作すると電動モータ12が起動してスピンドル14が回転し、従ってビット15が一体で回転する。回転するビット15を加工材の端縁等に押し付けることにより面取り加工等を行うことができる。
【0009】
工具本体10には、第1のベース20と第2のベース30の一方を任意に選択して取り付けることができる。図1では、左側にトリマモード用の第1のベース20が示され、右側にルータモード用の第2のベース30が示されている。
第1のベース20は、内周側に工具本体10を挿通可能な径の円筒形をなす本体支持部21と、加工材の上面に当接されるベース本体22を備えている。本体支持部21は、軸線方向のスリット21aを介してその周方向の1箇所で分離されており、当該周方向に弾性力が持たされている。スリット21aを間にして当該本体支持部21の周方向両端部には、突部21b,21bが相互に対向する状態で設けられている。両突部21b,21b間には結合ロッド23が軸方向へ相対移動可能な状態で挿通されている。この結合ロッド23の一端側には手回し操作用のグリップ23aが取り付けられ、他端側には軸方向の変位を規制されたフランジ23bが取り付けられている。
【0010】
図において右側の突部21bには、支軸26を介してクランプレバー25が横方向に回動操作可能に支持されている。このクランプレバー25を図示するように結合ロッド23とほぼ平行なクランプ位置に回動操作した状態では、その回動基端側(図示右端部)の端部に設けたカム部によってフランジ23bが図示右側へ押される。フランジ23bが図示右側へ押されることによって両突部21b,21b間の間隔が狭められ、これにより本体支持部21が縮径方向に締め付けられて工具本体10が移動不能に固定される。この固定状態では、本体支持部21の胴回りは約70πmm程度の握りやすい太さになるようその板厚寸法が設定されている。
クランプレバー25を図において手前側のアンクランプ位置へ回動操作すると、カム部によるフランジ部23bの図示右側への押し付けが弱められる。このため、両突部21b,21b間の間隔が広められる結果、本体支持部21がその弾性力によって拡径方向へ開き、これにより工具本体10を上下に移動可能となり、また本体支持部21が抜き出し可能となる。このように、本体支持部21に設けたクランプレバー25を横方向に回動操作すれば、工具本体10をワンタッチで取り付け、取り外しすることができる。
本体支持部21の下部内周面には、工具本体10の下降端位置を規制するための段差部21cが設けられている。この段差部21cに下端部が当接することによって工具本体10の下降端位置が規制されている。
本体支持部21は、ベース本体22の上面ほぼ中央に固定されている。ベース本体22は概ね正方形を有しており、その中央には、ビット15を下面側へ突き出させるための円形窓部24が設けられている。この円形窓部24のほぼ半周の範囲に沿って本体支持部21の下端部が強固に結合されている。
【0011】
工具本体10を第1のベース20に取り付けたトリマモード状態の電動工具1が図2に示されている。このトリマモードでは、使用者は、図示するように第1のベース20の本体支持部21若しくは工具本体10を片手Hで把持して移動させることにより、ビット15で面取り加工等を迅速かつ楽に行うことができる。
このトリマモードからルータモードに変更するには、工具本体10から第1のベース20を取り外す。前記したように工具本体10の取り外しは、クランプレバー25を手前側のアンクランプ位置へ回動操作することにより迅速かつ簡単に行うことができる。次に、取り外した工具本体10に第1のベース20に代えて第2のベース30を取り付ける。
第2のベース30は、ルータモード用のベースで、本体支持部31と、ベース本体32と、左右一対のハンドル部33,33と、同じく左右一対の昇降軸34,34を備えている。この第2のベース30は、工具本体10を加工開始時と加工終了時に使用者が上下動操作可能に支持する、いわゆるプランジタイプのベースとなっている。
本体支持部31は、第1のベース20の本体支持部21と同じく、内周側に工具本体10を挿通可能な径の円筒形を有している。この本体支持部31の下端部内周にも、工具本体10の下降端位置を規制するための段差部31aが設けられている。この本体支持部31に対して工具本体10を上側から挿入して、スピンドル及びビット15を下方へ突き出した状態に支持する。この本体支持部31に対して工具本体10が図示省略したクランプレバー若しくは固定ねじ等の固定手段によって固定される。この固定手段を解除すれば、本体支持部31内から工具本体10を上側へ抜き出して取り外すことができる。
本体支持部31の左右側部には、支持筒部31b,31cが一体に設けられている。両支持筒部31b,31cは下向きに開口されている。この両開口部にそれぞれ昇降軸34が相対移動可能に挿通されている。両昇降軸34,34は、相互に平行で、ベース本体32の上面両側部に上方へ起立状態に取り付けられている。この左右一対の昇降軸34,34を介して本体支持部31が上下に平行移動可能に支持されている。両支持筒部31b,31c内において、その上部と昇降軸34との間にはそれぞれ圧縮ばね35が介装されている。この圧縮ばね35,35によって本体支持部31ひいては工具本体10は上方へ戻される方向に付勢されている。
【0012】
両圧縮ばね35,35に抗して工具本体10を下方へ押し下げることにより、ビット15がベース本体32の下面から突き出され、この突き出し寸法が加工材に対する切削深さ(溝の切り込み深さ)となる。ビット15の切削深さは、ストッパロッド37によって精確に調整できるようになっている。左側の支持筒部31bの側部には保持ブロック部36が一体に設けられている。この保持ブロック部36に、ストッパロッド37が上下に移動可能に支持されている。保持ブロック部36に対するストッパロット37の位置は、手回し式の固定ねじ38によって固定することができる。工具本体10の下動操作によりストッパロッド37がベース本体32の上面に設けたストッパボルト40に当接することによって工具本体10の下降端が規制され、従ってビット15のベース本体32の下面からの突き出し量ひいては加工材に対する切削深さが規制される。ストッパボルト40の高さ調整によってビット15の切削深さを調整することができる。本実施形態の場合、ベース本体32の上面に、ストッパボルト台41が回転可能に設けられており、このストッパボルト台41に3本のストッパボルト40〜40が支持されている。3本のストッパボルト40〜40はそれぞれ相互に異なる高さ位置に設定されており、ストッパボルト台41を回転させれば、ストッパロッド37が当接するストッパボルト40を段階的に簡単に切り換えることができるようになっている。
ストッパロッド37のストッパ位置(上下方向の位置)は、調整ダイヤル39を回転させることにより微調整することができる。調整ダイヤル39にはねじ軸部39aが一体に設けられている。このねじ軸部39aは、ストッパロッド37の上端に設けたねじ孔部に進退可能に締め込まれている。一方、ストッパロッド37の軸線回りの回転は規制されている。このため、調整ダイヤル39を回転操作すると、これと一体でねじ軸部39aが回転してストッパロッド37のねじ孔部に対する締め込み量が変化することにより、当該ストッパロッド37が上下に変位する。
左右の支持筒部31b,31cにそれぞれハンドル部33が側方へ突き出す状態に設けられている。両ハンドル部33,33には、滑り止め機能及びグリップ感に優れるエラストマ樹脂層が被覆されている。図3に示すようにこの左右のハンドル部33,33を使用者が両手H,Hで把持して、当該電動工具1を作業箇所に搬入し、また保管場所に持ち去ることができる。また、使用者は、左右のハンドル部33,33を両手H,Hで把持して下方へ押し下げることにより、工具本体10を下動させてビット15をベース本体32の下面から突き出させた加工位置に移動させ、この状態で当該電動工具1を加工材の上面に沿って移動させることにより深い溝入れ加工や面取り加工等の重加工を行うことができる。
加工終了後、使用者が両手H、Hによる工具本体10の押し下げを止めると、当該工具本体10は、圧縮ばね35,35の付勢力によって上方へ戻され、これによりビット15がベース本体32の下面よりも上方へ変位した位置に退避する。
【0013】
以上説明した本実施形態の電動工具1によれば、共通の工具本体10に対して第1のベース20と第2のベース30を任意に選択して取り付けることにより、軽作業向けのトリマとしても重作業向けのルータとしても利用することができる。このため、工具本体10と第1及び第2のベース20,30を例えば一つの収納ボックスに収納して1セットとして取り扱うことにより、作業現場への搬出入を楽に行うことができるとともに、その際の取り扱い性をよくすることができる。
また、トリマモードとルータモードの双方で工具本体10を利用することができるので、当該工具本体10の稼働率(利用頻度)を高めることができるとともに、従来個別にトリマとルータを用意する場合に比して、当該電動工具1についての設備コストの低減を図ることができる。
本実施形態において、第2のベース30に工具本体10を支持したルータモードでは、当該電動工具1の総重量が約2kg〜6kg程度に達し、トリマモードよりも数倍重くなる。しかしながら、使用者は左右一対のハンドル部33,33を両手H,Hで把持することにより当該電動工具1をしっかりと支えて確実に移動させることにより溝入れ加工等を行うことができる。このように、第2のベース30に工具本体10を取り付けてルータモードとした際には、使用者が両手H,Hでしっかりと支えて移動させる点で、片手Hで把持して移動させるトリマモードとは異なっている。
また、このために、ルータモードを構成する第2のベース30には左右一対のハンドル部33,33が設けられている点で、特別のハンドル部を備えないトリマモードを構成する第1のベース20と明確に異なっている。
さらに、ルータモードの電動工具1とトリマモードの電動工具1とでは、前者が全体としての重量(2kg〜6kg程度)が大きくなっているため両手でしっかりと把持して移動させることにより比較的深い溝入れ加工や面取り加工等の主として重加工を精確かつ確実に行う場合に用いられるのに対して、後者は全体として重量(1kg〜2kg程度)が軽くなっているため片手で把持して楽に移動させることができ、これにより比較的浅い溝入れ加工等の主として軽加工を迅速かつ手軽に行える点で、両者は得意とする作業分野が一部重複するものの異なっている。
このことから、例示した電動工具1によれば、工具本体10と第1及び第2のベース20,30の1セットで、トリマとルータの双方を利用することができるので、従来のように個別に2機種用意することなく重加工から軽加工まで幅広い内容の加工を行うことができる。
【0014】
以上説明した実施形態には、種々変更を加えることができる。例えば、ルータモード用の第2のベース30について、いわゆるプランジタイプのベースを例示したが、これに代えてフィックスタイプのベース(ベース本体に対して工具本体を固定した状態で加工作業がなされ、プランジタイプのように使用者が工具本体を押し下げ操作しない形態のベース)を第2のベースとして備える構成としてもよい。また、プランジタイプとフィックスタイプの双方をルータモード用の第2のベースとして備える構成としてもよい。
さらに、工具本体10の胴部形状について、本体ハウジングが円筒形を有するものを例示し、これに合わせて本体支持部21,31が円筒形を有する構成を例示したが、例えば角形の胴部を有する工具本体であってもよく、これに合わせて本体支持部を角形筒体とすることができる。
また、トリマモードでの握りやすさを考慮して、工具本体10の胴回り(本体支持部21,31で保持される部位)の周長であって把持部の太さについて、約65πmm(外径64mm)のものを例示したが、これを55πmm〜95πmm(外径55mm〜95mm)の範囲内で任意に変更して設定してもよく、係る範囲内であれば、使用者の握りやすさを確保することができる。なお、この把持部の太さについては、工具本体10の外径若しくは周長で決定する他、第1のベース20の本体支持部31の外径若しくは周長で決定してもよい。本体支持部31の外径若しくは周長で決定する場合には、その板厚を考慮して、周長60πmm〜100πmm(外径60mm〜100mm)の範囲内で決定することがその握りやすさの観点から望ましい。
さらに、トリマモードでの総重量については、従来通り約1kg〜2kg未満の範囲となるよう第1のベース20の重量を設定し、ルータモードでの総重量については、2kg〜6kgの範囲内となるよう第2のベース30の重量を設定すること望ましい。
第2のベース30において、左右同じ形状のハンドル部33,33を備える構成を例示したが、左右で異なる形態のハンドル部を備える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0015】
1…電動工具
10…工具本体
11…本体ケース
11a…風窓、11b…カーボンブラシ用キャップ
12…電動モータ
13…電源コード
14…スピンドル
15…ビット(先端刃具)
16…スライドスイッチ
20…第1のベース(トリマモード用)
21…本体支持部、21a…スリット、21b…突部、21c…段差部
22…ベース本体
23…結合ロッド、23a…グリップ、23b…フランジ
24…円形窓部
25…クランプレバー
26…支軸
30…第2のベース(ルータモード用)
31…本体支持部、31a…段差部、31b,31c…支持筒部
32…ベース本体
33…ハンドル部
34…昇降軸
35…圧縮ばね
36…保持ブロック部
37…ストッパロッド
38…固定ねじ
39…調整ダイヤル、39a…ねじ軸部
40…ストッパボルト
41…ストッパボルト台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータを内装した工具本体と、該工具本体を加工材に対して支持する第1及び第2のベースを備え、前記工具本体を前記第1のベースに支持して前記工具本体若しくは前記第1のベースを片手で把持して前記加工材上を移動させることによりトリマとして利用可能であり、前記工具本体を前記第1のベースに代えて前記第2のベースに支持して該第2のベースに設けた一対のハンドル部を両手で把持して前記加工材上を移動させることによりルータとして利用可能な構成とした電動工具。
【請求項2】
請求項1記載の電動工具であって、前記工具本体を前記第1のベースに支持したトリマモードでの重量が2キログラム未満である電動工具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電動工具であって、前記工具本体を前記第1のベースに支持したトリマモードでの把持部の胴回り寸法が60πmm〜100πmmに設定された電動工具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した電動工具であって、工具本体の胴回り寸法が55πmm〜95πmmに設定された電動工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−73159(P2011−73159A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224117(P2009−224117)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】