説明

電動工具

【課題】加工材のトリミング加工に用いられるトリマは、一方の手でベース取り付け座部を押え付け、他方の手で本体支持部を把持して、加工時の移動操作を行う。本発明では、ベース取り付け座部や本体支持部の指先等に対する滑り止め機能を一層高めて当該トリマの操作性を高める。
【解決手段】使用者が一方の手で把持する本体支持部20のほぼ全面にエラストマ被覆部30を設け、このエラストマ被覆部30に指先に対する滑り止め部40,41を左右対称に設ける。滑り止め部40,41には、突条40a,41aを縦縞模様に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトリマと称される回転工具であって、主として木材等の加工材の縁取り加工や溝切り加工等に用いられる電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
トリマは、加工材の上面に当接させる平板形状のベースと円筒形状の本体支持部を有するベースアッセンブリと、このベースアッセンブリの本体支持部に取り外し可能に保持される円柱体形の工具本体を備えている。
ベースアッセンブリは、ベースを取り付けるベース取り付け座部の上面に円筒形状の本体支持部を上方へ起立状態で一体に備えた構成を有している。工具本体はモータユニットとも称されるもので、駆動源としての電動モータを内装しており、この電動モータにより回転するスピンドルを下面から突き出した状態に備えている。このスピンドルに刃具が装着される。
ベースアッセンブリの本体支持部には、工具本体を本体支持部に対して固定するためのクランプ装置が備え付けられている。このクランプ装置をアンクランプすると工具本体を上下に移動させて、刃具をベースの下面側へ突き出した状態と下面よりも上方へ退避させた状態とに切り換えることができ、また工具本体を本体支持部から上方へ抜き出して取り外すことができる。
さらに、多くの場合本体支持部には、工具本体の上下位置を調整するための調整機構が設けられている。上記クランプ装置をアンクランプした状態でこの調整機構を操作することにより、工具本体の上下位置を調整して加工材に対する刃具の上下位置を調整することができる。
このトリマを実際の加工作業に用いる場合には、使用者は一方の手でベースアッセンブリの本体支持部を把持し、他方の手でベース取り付け座部を加工材側に押し付けて当該トリマを保持し、また加工材の上面に沿って移動させる。このため、従来よりトリマの各部位について使用者が把持する際の便宜を図り、あるいは把持した際の操作性及び作業性を高めるための様々な工夫がなされている。例えば、合成樹脂を素材として成形した樹脂製のベースアッセンブリの表面にエラストマ層を被覆してその把持感及び滑り止め機能を高める技術が公知になっている。また、下記の特許文献1には、ベースアッセンブリのベース取り付け座部の上面及び本体支持部の表面に滑り止め用の凹凸部を設けた構成が開示されている。
このように、使用者が手に持って加工作業を行う手持ち式の作業工具について上記のような主として使用者が把持する部位(ハンドル部)の把持性を高めて当該作業工具の操作性及び作業性を高める工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報第7552749号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記したトリマ等の電動工具については、その把持性及び滑り止め機能を一層高める必要があった。
本発明は、主としてトリマ等の電動工具における把持性及び滑り止め機能を一層高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は下記の発明によって解決される。
第1の発明は、電動モータにより回転するスピンドルを備えた工具本体と、工具本体を支持する本体支持部とこの本体支持部のベース取り付け座部に取り付けられて加工材に当接されるベースを備えたベースアッセンブリを備え、スピンドルに取り付けた刃具をベースの下面から下方へ突き出して加工材の加工を行う電動工具であって、本体支持部は使用者が把持する把持部としての機能を有しており、この本体支持部の表面に、上下方向に延びる複数の突条を設けて指先に対する滑り止め部とした電動工具である。
第1の発明によれば、トリマ等の電動工具を用いる場合に使用者は一方の手で本体支持部を把持し、他方の手でベース取り付け座部を加工材に押え付けて当該電動工具を位置保持し、また加工方向に移動させる。この場合、使用者は一方の手で本体支持部を側方(横方向)から把持するため、その指先の移動方向(滑り方向)に対して上下方向(縦方向)の突条が交差する方向となり、これにより各指先に対する滑り止め部の滑り止め機能を一層高めることができ、ひいては当該電動工具の把持性を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、滑り止め部の各突条の断面形状を指の握りを外す側にきつい角度の山形形状に形成した電動工具である。第2の発明によれば、滑り止め部の滑り止め機能をより一層高めることができ、またこの高い滑り止め機能を使用者が指先に感ずることにより良好な把持感を一層高めることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、滑り止め部は、把持した手の指先が当接される範囲であって逆L字形の領域にわたって左右対称に設けた電動工具である。第3の発明によれば、本体支持部の左右側部に逆L字形の領域に滑り止め部が左右対称に設けられて、当該本体支持部を右手で把持した場合、又は左手で把持した場合の双方に対応して設けられている。
例えば、右手で本体支持部を背面側から把持すると、その親指が正面側から見て右側の滑り止め部に当接され、その他の指先が正面から見て左側の滑り止め部に当接される。親指は、逆L字形の上部であって本体支持部の周方向(横方向)に延びる領域に当接される。右手のその他の指先は、反対側の滑り止め部であって本体支持部の軸方向(縦方向)に延びる領域に当接される。このように逆L字形を有する滑り止め部を本体支持部の表面であって把持した手の指先が当たる部位に左右対称に設けることにより、当該本体支持部を右手で把持した場合と左手で把持した場合の双方について高い滑り止め機能を発揮させることができ、ひいては本体支持部に対する手の滑り止め機能を高めることができる。
また、本体支持部の左右側部に逆L字形の滑り止め部が設けられ、両滑り止め部が上下に延びる縦縞模様の突条を備えることから、本体支持部ひいては電動工具の外観上の精悍さ(見栄えの良さ)を高めることができる。
【0006】
第4の発明は、第1〜第3の何れか一つの発明において、各突条は工具本体の軸線に対して傾斜する方向に沿って設けられた電動工具である。第4の発明によれば、本体支持部を把持した一方の手の差し出し方向が多くの場合斜め上方または斜め下方であることを考慮した場合における当該滑り止め部の滑り止め機能をより高めることができる。
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、本体支持部にエラストマが被覆されており、このエラストマ被覆部に滑り止め部を設けた電動工具である。第5の発明によれば、本体支持部を把持した手が当接する範囲にエラストマが被覆されていることから、滑り止め部の滑り止め機能とエラストマ自体の滑り止め機能により当該本体支持部の滑り止め機能を一層高めることができる。また、本体支持部を把持した手がエラストマ被覆部に当接されることから、手に対するフィット感(把持性)を高めることができる。
第6の発明は、電動モータにより回転するスピンドルを備えた工具本体と、この工具本体を支持する本体支持部とこの本体支持部のベース取り付け座部に取り付けられて加工材に当接されるベースを備えたベースアッセンブリを備え、スピンドルに取り付けた刃具をベースの下面から下方へ突き出して加工材の加工を行う電動工具であって、ベース取り付け座部と本体支持部はアルミニウムを素材として一体に形成されており、その表面にエラストマーを被覆した電動工具である。
第6の発明によれば、ベースアッセンブリの本体支持部に工具本体を支持させる独自の構成を備えたトリマ等の電動工具において、ベース取り付け座部と本体支持部がアルミニウム製であることから樹脂製に比してその高剛性化及び高精度化を図ることができ、しかもベース取り付け座部若しくは本体支持部の表面にエラストマーが被覆されることによりその把持性及び滑り止め機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の電動工具の全体正面図である。
【図2】工具本体を取り外した状態のベースアッセンブリの斜視図である。
【図3】ベースアッセンブリを図2中矢印(III)方向から見た背面斜視図である。
【図4】ベースアッセンブリの展開図である。
【図5】図4の(V)-(V)線断面矢視図であって、滑り止め部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。以下説明する各実施形態では、電動工具1として加工材Wの主として端縁部の縁取り加工(トリミング)をするためのトリマを例示する。図1に示すようにこの電動工具1は、電動モータを内装した工具本体10と、この工具本体10を加工材Wに対して保持するためのベースアッセンブリ20を備えている。
工具本体10は概ね円柱体形をなすもので、その下面にスピンドル11が突き出す状態に備えられている。このスピンドル11に刃具12が装着されている。
図2及び図3に示すようにベースアッセンブリ20は、加工材Wの上面に当接させるベース23と円筒形状の本体支持部22を有している。本体支持部22の下部には周方向に張り出す円環形状のベース取り付け座部21が一体に設けられている。このベース取り付け座部21の下面に同じく円環形状を有するベース23が貼り付け状態で取り付けられている。
本体支持部22の内周側に工具本体20が挿入されて保持されている。刃具12をベース23の下面から下方へ突き出させて加工材Wの主として端縁部に押し当て、この押し当て状態で当該電動工具1を端縁部に沿って移動させることにより当該加工材Wの縁取り加工を行うことができる。
使用者は、当該電動工具1を移動操作する際には、一方の手で工具本体10の頭部(上部)若しくはベースアッセンブリ20の本体支持部22を把持し、他方の手でベース取り付け座部21を押え付けて、当該電動工具1の加工材Wに対する位置を制御する。このため、ベースアッセンブリ20は工具本体10を保持する機能の他、使用者が把持する把持部としての機能を有している。
ベース取り付け座部21の内周側は工具本体10の刃具Bを下面側へ通過させるための逃がし孔21cとして機能する。ベース取り付け座部21の上面に本体支持部22が上方へ起立する状態に設けられている。本実施形態の場合、ベース取り付け座部21と本体支持部22は、アルミニウムを素材とする鋳物製で一体に成形されている。
【0009】
本体支持部22は、その正面側において上部のスリット部22aとその下側の窓部22bを備えている。このため、本体支持部22は、正確には断面C字形を有しており、その拡径方向に適度な弾性を有している。スリット部22aにクランプ装置25が設けられている。このクランプ装置25は、支軸25aを介して左右方向に傾動操作可能に設けられたレバー25bを備えている。図2においてレバー25bを手前側のアンクランプ位置(右方)に傾動操作すると、クランプロッド25cに設けたカム部(図では見えていない)の作用が解除されて本体支持部22がその弾性により拡径方向(スリット部22aが幅広になる方向)に緩み、これにより工具本体10を本体支持部22に対して上下に変位可能かつ上方へ抜き出して取り出し可能となる。レバー25bを左方のクランプ位置に傾動操作すると、クランプロッド25cのカム部の作用により本体支持部22がその弾性に抗して縮径方向(スリット部22aが幅狭になる方向)に縮められて工具本体10が本体支持部22に強固にクランプされる。
クランプ装置25には、調整機構26が併設されている。クランプロッド25cの端部には調整ダイヤル26aが取り付けられている。また、図3に示すようにスリット部22aにおいてクランプロッド25cには調整ギヤ26bが取り付けられている。調整ダイヤル26aを回転操作すると、クランプロッド25cを介して調整ギヤ26bが一体で回転する。図1に示すように調整ギヤ26bは、工具本体10の側部に設けたラック部13に噛み合わされている。ラック部13は工具本体10の側部に上下に沿って設けられている。ラック部13の両側には、工具本体10のベースアッセンブリ20に対する取り付け位置であって、刃具12の突き出し寸法を表示するための目盛り13a,13bが表示されている。クランプ装置25をアンクランプした状態で調整ダイヤル26aを回転操作すると、ラック部13に対する調整ギヤ26bの噛み合いを経て工具本体10を上下に変位させることができる。本体支持部22に対する工具本体10の上下位置を調整した後、レバー25bをクランプ位置に傾動操作すると、工具本体10が調整した上下位置にクランプされる。
正面側の窓部22bは、加工材Wに対する刃具12の加工部位を使用者が逃がし孔21cを経て覗き見るための窓部であり、スリット22aよりも左右に大きな開口幅で設けられている。
【0010】
ベース取り付け座部21と本体支持部22には、使用者が把持した際の把持感を高め、かつ高い滑り止め機能を持たせるための工夫がなされている。ベース取り付け座部21の周縁部であって前側の2箇所には、滑り止め部21a,21aが設けられている。本実施形態では、周縁部に複数の凹凸部を形成して滑り止め部21a,21aとしている。使用者が指先でベース取り付け座部21を加工材に押え付ける際に、この滑り止め部21a,21aに指先を当接させることにより高い滑り止め機能を発揮させることができる。本実施形態では、右手でベース取り付け座部21を押え付ける場合と左手でベース取り付け座部21を押え付ける場合の双方に対応してベース取り付け座部21の前部寄りの左右2箇所に滑り止め部21a,21aが設けられている。
また、左右の滑り止め部21a,21aに対応してその後方にはそれぞれ指止め壁部21b,21bが設けられている。両指止め壁部21b,21bは、ベース取り付け座部21の上面であって、本体支持部22の窓部22bの左右下端部からベース取り付け座部21の上面に沿って設けられている。この両指止め壁部21b,21bによって、ベース取り付け座部21を押え付けた指先が内周側の逃がし孔21c側に滑ることが防止される。
本体支持部22の周囲には、エラストマー(ゴム状の弾性力を有するポリマー(重合体))が被覆されている。本実施形態では、このエラストマー被覆部30は、本体支持部22の背面側のほぼ半周の範囲と、正面側の窓部22bの上側に左右から張り出す範囲にわたって設けられている。エラストマー被覆部30の背面側のほぼ半周の範囲は、使用者の把持した手の主として手の平が当接される。エラストマー被覆部30の左右側部とその上部から窓部22bの上方へ張り出す範囲には、把持した手の主として指先が当接される。特に、窓部22bの上方に左右から張り出す範囲の一方には親指が当接され、他方には人指し指が当接される。図4には、このエラストマー被覆部30が展開して示されている。なお、図4では、クランプ装置25の図示が省略されている。
【0011】
以下、エラストマー被覆部30のうち、背面側の手の平が当接される範囲を背面当接領域31と言う。エラストマー被覆部30の左右側部の範囲を、それぞれ左側部当接領域32、右側部当接領域33と言う。この左右側部当接部32,33のそれぞれの上部から窓部22bの上方に張り出す範囲のうち左側を左前当接領域34、右側を右前当接領域35と言う。
例えば、図4に示すように使用者が本体支持部22を右手で背面側から把持すると、その手の平が背面当接領域31に当接され、親指の指先が右前当接領域35に当接され、人差し指の指先が左前当接領域34に当接され、その他の指先が左側部当接領域32に当接される。逆に、左手で本体支持部22を把持する場合には、手の平は同じく背面当接領域31に当接され、親指の指先が左前当接領域34に当接され、人差し指が右前当接領域35に当接され、その他の指先が右側部当接領域33に当接される。このように、本実施形態では、右手で把持する場合と左手で把持する場合の双方に対応して左右対称の逆L字形領域に跨ってエラストマー被覆部30が設けられている。
また、エラストマー被覆部30の左右側部には滑り止め部40,41が設けられている。左側の滑り止め部40は、左側部当接領域32と左前当接領域34に跨る逆L字形の範囲に設けられている。右側の滑り止め部41は、右側部当接領域33と右前当接領域35に跨る逆L字形の範囲に設けられている。左右の滑り止め部40,41には、それぞれ上下に延びる突条40a〜40a、41a〜41aが設けられている。図示するように各突条40a,41aは、それぞれ下側ほど背面側へ変位する方向に僅かな角度で傾いている。また、図5に示すように各突条40a,41aは、図中白抜きの矢印で示す指先が滑る方向にきつい角度の断面山形形状に形成されている。逆に、各突条40a,41aは、把持する際に指先が進入する方向(図5中白抜きの矢印とは反対方向)に緩やかな角度の断面山形形状に形成されている。このように各突条40a,41aの断面山形形状が指先の滑り方向についてよりきつい角度で傾斜していることにより、本体支持部22を把持した手の滑り止めが確実になされるとともに、把持する際には指先に対する抵抗を小さくしてより良好な把持感が得られるようになっている。
また、滑り止め部40,41の各突条40a,41aが下側ほど背面側へ変位する方向に僅かな角度で傾斜していることから、本体支持部22を把持する手の指先の進入方向(差し出し方向)及びその逆の滑り方向が多くの場合、斜め上方であることを考慮した場合における当該滑り止め部40,41の滑り止め機能をより一層高めることができる。
本体支持部22の背面下部には、定規固定部24が設けられている。この定規固定部24に平行定規(図示省略)をセットして定規固定ねじ24aを締め付けると、本体支持部22の背面側に平行定規を取り付けることができる。取り付けた平行定規を例えば加工材Wの端縁に当接させた状態で当該電動工具1を移動させることにより、加工材Wの端縁に対する刃具12の切り込み深さを一定に保持して当該電動工具1を平行移動させることがで、高精度の端縁加工を迅速に行うことができる。
【0012】
以上のように構成した本実施形態の電動工具1によれば、使用者は一方の手で本体支持部22を把持し、他方の手でベース取り付け座部21を押え付けて当該電動工具1を位置保持し、また加工方向に移動させる。本体支持部22の表面にはエラストマ被覆部30が設けられており、このエラストマ被覆部30には滑り止め部40,41が左右対称に設けられている。このエラストマ被覆部30により本体支持部22の把持感(手に対するフィット感)が高められるとともに、エラストマ被覆部30自体の滑り止め機能に加えて滑り止め部40,41の滑り止め機能をも得ることができ、これにより本体支持部22の極めて高い滑り止め機能を得ることができ、ひいては当該電動工具1の操作性及び作業性を高めることができる。
しかも、左右の滑り止め部40,41は、縦方向に延びる縦縞模様の突条40a〜40a、41a〜41aを有している。このため、使用者が一方の手で本体支持部22を背面側(横方向)から把持すると、その指先の移動方向(滑り方向及び差し入れ方向)に対して各突条40a,41aが交差する方向に設けられているため、各指先に対する滑り止め部40,41の滑り止め機能を一層高めることができ、ひいては当該電動工具1の把持性を高めることができる。
また、左右の滑り止め部40,41の各突条40a,41aの断面形状が指の握りを外す側(滑り方向)にきつい角度の山形形状に形成されていることにより、当該滑り止め部40,41の滑り止め機能をより一層高めることができ、またこの高い滑り止め機能を使用者が指先に感ずることにより良好な把持感を一層高めることができる。
【0013】
さらに、本体支持部22の左右に滑り止め部40,41が左右対称に設けられていることから、当該本体支持部22を右手で把持した場合と左手で把持した場合の双方に対応することができ、使用者の利き腕が左右何れの場合も高い滑り止め機能を発揮させることができる。
また、本体支持部22の左右側部に逆L字形の滑り止め部40,41が設けられ、両滑り止め部40,41が上下に延びる縦縞模様の突条40a〜40a,41a〜41aを備えることから、本体支持部22ひいては電動工具1の外観上の精悍さ(見栄えの良さ)を高めることができる。
さらに、本実施形態では、滑り止め部40,41の各突条40a,41aは、工具本体10の軸線(上下方向)に対して下側ほど背面側へ変位する方向に僅かな角度で傾斜する方向に沿って設けられている。このため、本体支持部22を把持した手の差し出し方向が多くの場合斜め上方からであることを考慮すると、手の差し出し方向に対して各突条40a,41aがほぼ直交する状態となり、これにより左右の滑り止め部40,41の滑り止め機能をより一層高めることができる。
また、ベース取り付け座部21の側部にも、滑り止め部21a,21aが左右対称に設けられている。このため、ベース取り付け座部21を押え付ける指先の当該ベース取り付け座部21に対する滑り止め機能を高めることができる。しかも、両滑り止め部21a,21aに対応して窓部22bの左右下部には、指止め壁部21b,21bが設けられている。この指止め壁部21b,21bによれば、ベース取り付け座部21を押え付けた指先が逃がし孔21側に滑ることを防止することができ、この点でベース取り付け座部21に対する滑り止め機能を一層高めることができる。滑り止め部21aと指止め壁部21bは、それぞれ左右対称に設けられているため、ベース取り付け座部21を右手で押え付けた場合と左手で押え付けた場合の双方に対応させることができ、これにより使用者の利き腕に係わらず常時高い滑り止め機能を発揮させることができる。
さらに、本実施形態の場合、ベース取り付け座部21と本体支持部22をアルミニウム鋳物で一体に成形する構成であることから、樹脂を素材とする構成に比してその剛性を高め、かつ各部の加工精度を高めることができる。
【0014】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、本体支持部22の表面にエラストマ被覆部30を設け、このエラストマ被覆部30に左右の滑り止め部40,41を設けた構成を例示したが、エラストマ被覆部30を省略して、本体支持部22の表面に直接滑り止め部を設ける構成としてもよい。
また、ベースアッセンブリ20をアルミニウムを素材として成形する構成を例示したが、樹脂を素材として成形してもよい。この場合、樹脂製の本体支持部の表面にエラストマ被覆部を設け、このエラストマ被覆部に滑り止め部を左右対称に設ける構成とすることにより同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0015】
W…加工材
1…電動工具(トリマ)
10…工具本体
11…スピンドル
12…刃具
13…ラック部、13a,13b…目盛り
20…ベースアッセンブリ
21…ベース取り付け座部
21a…滑り止め部、21b…指止め壁部、21c…逃がし孔
22…本体支持部
22a…スリット、22b…窓部
23…ベース
24…定規固定部、24a…定規固定ねじ
25…クランプ装置
25a…支軸、25b…レバー、25c…クランプロッド
26…調整機構
26a…調整ダイヤル、26b…調整ギヤ
30…エラストマ被覆部
31…背面当接領域
32…左側部当接領域
33…右側部当接領域
34…左前当接領域
35…右前当接領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータにより回転するスピンドルを備えた工具本体と、該工具本体を支持する本体支持部と該本体支持部のベース取り付け座部に取り付けられて加工材に当接されるベースを備えたベースアッセンブリを備え、前記スピンドルに取り付けた刃具を前記ベースの下面から下方へ突き出して前記加工材の加工を行う電動工具であって、
前記本体支持部は使用者が把持する把持部としての機能を有しており、該本体支持部の表面に、上下方向に延びる複数の突条を設けて指先に対する滑り止め部とした電動工具。
【請求項2】
請求項1記載の電動工具であって、前記滑り止め部の各突条の断面形状を指の握りを外す側にきつい角度の山形形状に形成した電動工具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電動工具であって、前記滑り止め部は、把持した手の指先が当接される範囲であって逆L字形の領域にわたって左右対称に設けた電動工具。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した電動工具であって、前記各突条は前記工具本体の軸線に対して傾斜する方向に沿って設けられた電動工具。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した電動工具であって、前記本体支持部にエラストマが被覆されており、該エラストマ被覆部に前記滑り止め部を設けた電動工具。
【請求項6】
電動モータにより回転するスピンドルを備えた工具本体と、該工具本体を支持する本体支持部と該本体支持部のベース取り付け座部に取り付けられて加工材に当接されるベースを備えたベースアッセンブリを備え、前記スピンドルに取り付けた刃具を前記ベースの下面から下方へ突き出して前記加工材の加工を行う電動工具であって、
前記ベース取り付け座部と前記本体支持部はアルミニウムを素材として一体に形成されており、その表面にエラストマーを被覆した電動工具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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