説明

電動工具

【課題】ベースに対する工具本体の相対位置を調整するための昇降機構を具備した構成としながら、ベースから工具本体を取り外すに際して昇降機構に関する部材の取外しを簡便なものとする。
【解決手段】外歯52が形成された外歯部材51は、一体化機構60により工具本体20に対して一体化状態としたり或いは工具本体20に対して一体化状態を解除したりすることができるようになっている。この一体化機構60を一体化を解除させる操作をした場合には、外歯部材51の工具本体20に対する一体化を解除して、外歯部材51をベース30側に残したままでベース30に対して工具本体20を取外し可能な状態に切り替える。つまり、昇降機構50の一部となる周回リング57を工具本体20に着けることなく、ベース30から工具本体20を取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材等の加工材に対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施す電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ルータあるいはトリマと称され、木材等の加工材に対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施す電動工具が知られている。このような電動工具は、スピンドルを具備する工具本体と、加工材に当接しつつ工具本体を支持するベースとを備える。この種の電動工具は、加工材に対して加工ビットの位置を決める必要がある。そこで、この種の電動工具は、ベースに対する工具本体の相対位置を決めることにより、工具本体の加工材に対する相対位置を決め、加工材に対する加工ビットの位置を決めるものとしている。
【0003】
一方、上記した電動工具にあっては、ベースに対する工具本体の相対位置を調整するための昇降機構を具備するものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この昇降機構は、ベース側に配設された周回リングをボルトナットのナットとして機能させ、この周回リングと螺合する工具本体をボルトナットのボルトとして機能させたものである。このため、周回リングを周回させると、ベースに対して工具本体を相対的に昇降させることとなり、ベースに対する工具本体の相対位置を調整することができる。
なお、上記した電動工具にあっては、適宜に決められた相対位置にて工具本体をベースに固定する固定機構を具備するものが知られている。また、このような固定機構には、工具本体をベースに対して、ワンタッチ(1操作)で固定したり或いは固定解除したりすることができるものが知られている(例えば、特許文献3参照)。このような固定機構を具備する電動工具によれば、ベースに対する工具本体の固定および固定の解除を、簡便に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6779954B2号明細書
【特許文献2】特開平9−164503号明細書
【特許文献3】特開2002−305683号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、上記した電動工具では、ベースから工具本体を取り外して、この工具本体自体の単体で使用する場合がある。このような工具本体自体の単体で電動工具を使用する場合には、上記した固定機構による固定を解除する必要がある上、工具本体から昇降機構の一部となる周回リングを取り外す必要がある。このため、ベースから工具本体を取り外して工具本体自体を単体で使用する場合には、これらの解除作業が煩雑であるという指摘があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、木材等の加工材に対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施す電動工具において、ベースに対する工具本体の相対位置を調整するための昇降機構を具備した構成としながら、ベースから工具本体を取り外すに際して昇降機構に関する部材の取外しを簡便なものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る電動工具は次の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1の発明に係る電動工具は、木材等の加工材に対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施す電動工具であって、加工材に当てるための加工ビットを取り付けるスピンドルを具備する工具本体と、加工材に接面するベース面を有して該工具本体を支持するベースと、該ベースに対する該工具本体の相対位置を変更する昇降機構とを備え、前記昇降機構は、前記工具本体に対して一体化可能に構成される雄形昇降部材と、前記ベースに対して一体的に配設されて該雄形昇降部材を相対的に昇降させる雌形昇降部材と、該雄形昇降部材を該工具本体に対して一体化させたり或いは一体化を解除させたりする一体化機構とを備え、前記一体化機構にて前記雄形昇降部材の前記工具本体に対する一体化を解除させる操作をした場合には、該一体化機構は該雄形昇降部材の該工具本体に対する一体化を解除して、該雄形昇降部材を前記ベース側に残したままで該ベースに対して該工具本体を取外し可能な状態に切り替えることを特徴とする。
【0008】
この第1の発明に係る電動工具によれば、一体化を解除させる操作をした場合の一体化機構は、雄形昇降部材の工具本体に対する一体化を解除して、雄形昇降部材をベース側に残したままでベースに対して工具本体を取外し可能な状態に切り替えるので、昇降用の部材(昇降機構の一部)を工具本体に着けることなく、ベースから工具本体を取り外すことができる。つまり、ベースから工具本体を取り外して工具本体自体を単体で使用する場合に、昇降機構の一部を工具本体から取り外すための解除操作を要することなく、ベースに対して工具本体を取外し可能な状態に切り替えることができる状態とする。これによって、ベースに対する工具本体の相対位置を調整するための昇降機構を具備した構成としながら、ベースから工具本体を取り外すに際して昇降機構に関する部材の取外しを簡便なものとすることができる。
【0009】
第2の発明に係る電動工具は、前記第1の発明に係る電動工具において、前記雄形昇降部材は、前記工具本体の昇降方向に沿って並ぶ外歯を具備して形成されており、前記雌形昇降部材は、前記雄形昇降部材に具備される前記外歯と噛合する内歯を具備するリング状に形成されており、前記外歯および前記内歯の互いの形状は、前記雄形昇降部材に対して前記雌形昇降部材を周回させることにより、該雌形昇降部材に対して該雄形昇降部材を相対的に昇降させるように設定されていることを特徴とする。
この第2の発明に係る電動工具によれば、雄形昇降部材は外歯を具備して形成され、雌形昇降部材は外歯と噛合する内歯を具備するリング状に形成される。ここで、外歯および内歯の互いの形状は、雄形昇降部材に対して雌形昇降部材を周回させることにより雌形昇降部材に対して雄形昇降部材を相対的に昇降させるように設定されているので、昇降機構を簡易な構造とすることができながら、雌形昇降部材を周回させるだけで工具本体を昇降させることができて便利となる。
【0010】
第3の発明に係る電動工具は、前記第1または前記第2の発明に係る電動工具において、前記一体化機構は、前記雄形昇降部材の昇降方向の両端を前記工具本体に挟持させることにより該雄形昇降部材を該工具本体に支持させて該工具本体に対して該雄形昇降部材を一体化させるとともに、該雄形昇降部材の昇降方向の一端側には該工具本体に対して該雄形昇降部材を一体化させるための挟持状態を解除する係止解除レバーが配設されていることを特徴とする。
この第3の発明に係る電動工具によれば、一体化機構は、雄形昇降部材の昇降方向の両端を工具本体に挟持させることにより、雄形昇降部材を工具本体に支持させて工具本体に対して雄形昇降部材を一体化させるので、雄形昇降部材を工具本体に対して昇降方向に沿って支持することができて、工具本体に対して雄形昇降部材を強固に一体化させることができる。また、一体化機構は、雄形昇降部材の昇降方向の一端側には工具本体に対して雄形昇降部材を一体化させるための挟持状態を解除する係止解除レバーが配設されているので、係止解除レバーを解除操作することにより、一体化させるための挟持状態を簡単に解除することができる。これによって、工具本体に対する雄形昇降部材の一体化を強固にすることができながら、一体化の解除操作も簡単に行うことができる。
【0011】
第4の発明に係る電動工具は、前記第3の発明に係る電動工具において、前記工具本体および前記一体化機構の少なくとも一方には、該工具本体に対する前記雄形昇降部材の相対位置が該雄形昇降部材の一体化可能な相対位置に近づくにつれて、該雄形昇降部材を該工具本体に自動的に一体化させるように、該工具本体に対して前記係止解除レバーをガイドする一体化案内部が設けられていることを特徴とする。
この第4の発明に係る電動工具によれば、一体化案内部により、工具本体に対する雄形昇降部材の相対位置が雄形昇降部材の一体化可能な相対位置に近づくにつれて、雄形昇降部材を工具本体に自動的に一体化させるように工具本体に対して係止解除レバーをガイドすることができる。これによって、工具本体に対して雄形昇降部材を一体化を解除した状態から雄形昇降部材を一体化させる状態に切り替えるにあたり、係止解除レバーの状態を気にすることなく、工具本体に対する雄形昇降部材の相対移動で係止解除レバーをガイドして、雄形昇降部材を一体化させる状態への切替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係る電動工具によれば、ベースに対する工具本体の相対位置を調整するための昇降機構を具備した構成としながら、ベースから工具本体を取り外すに際して昇降機構に関する部材の取外しを簡便なものとすることができる。
第2の発明に係る電動工具によれば、昇降機構を簡易な構造とすることができながら、雌形昇降部材を周回させるだけで工具本体を昇降させることができて便利となる。
第3の発明に係る電動工具によれば、工具本体に対する雄形昇降部材の一体化を強固にすることができながら、一体化の解除操作も簡単に行うことができる。
第4の発明に係る電動工具によれば、工具本体に対する雄形昇降部材の相対移動で係止解除レバーをガイドして、雄形昇降部材を一体化させる状態への切替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ベースにて工具本体を支持する状態の電動工具を示す外観正面図である。
【図2】工具本体をベースから取り外した状態の電動工具を示す外観正面図である。
【図3】電動工具を上から視た場合の一部切欠き断面を示す断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面矢視にて固定機構を拡大して示す拡大断面図である。
【図5】図1のV−V断面矢視にて昇降機構を拡大して示す拡大断面図である。
【図6】支持状態の昇降機構に関する一部切欠き断面図である。
【図7】取外し状態の昇降機構に関する一部切欠き断面図である。
【図8】操作ダイアル機構の一部切欠き断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電動工具を実施するための実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図1は、ベース30にて工具本体20を支持する状態の電動工具10を示す外観正面図である。図2は、工具本体20をベース30から取り外した状態の電動工具10を示す外観正面図である。図3は、電動工具10を上から視た場合の一部切欠き断面を示す断面図である。すなわち、図1等にて示す符号10は、ルータあるいはトリマと広く称される電動工具であり、木材等の加工材Lに対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施す電動工具である。なお、図1および図2に示すように、電動工具10を使用する際には加工材Lの上に載置するように配置するものとなっており、電動工具10に取り付けられた加工ビットBによって、電動工具10は加工材Lに対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施すものとなっている。
【0015】
電動工具10は、図1および図2に示すように、概略、工具本体20と、ベース30と、ベース30に対して設けられる固定機構40および昇降機構50とを備える。
工具本体20は、図1および図2に示すように、加工材Lに当てて加工する加工ビットBが取り付けられるスピンドル25(図2のみに想像線にて図示)を具備して構成される。この工具本体20は、概略、筐体をなすハウジング21と、このハウジング21内に収められる駆動モータ機構(不図示)とを備える。なお、スピンドル25は、このハウジング21内に収められる不図示の駆動モータ機構により回転駆動する。なお、図示符号29は、工具本体20の駆動モータ機構に外部電力を供給する電源コードであり、この外部電力は、主として駆動モータ機構を構成するブラシモータの駆動のために供給される。
ハウジング21は、図2に示すように図示上下において外周径が異なる略円筒状に形成された筐体ケースである。具体的には、ハウジング21の中間部(図示略中間部)から加工ビットB取付け側(図示下端側)にかけて、均一な外周径を有した略円筒状に形成されており、後に説明するベース30に挿し込みされる部分に設定されている。ここで、このベース30に挿し込みされる部分の外周面は、後に説明するベース30に配設される固定機構40によりベース30の把持用筒状部35にて把持される把持用外周面22として形成される。これに対して、ハウジング21の中間部(図示略中間部)から電源コード29配設側(図示上端側)にかけては、工具本体20をベース30に挿し込んだ場合であっても、外部に露出する部分に設定されている。ここで、この外部に常時露出する部分の天面部位には、図3に示すように、電動工具10を操作する際のシーソースイッチ26、駆動モータ機構を冷却する通風孔27等が配設されている。また、上記した加工ビットBは、スピンドル25の先端(図示下端)に配設されるコレットコーンと称されるチャック機構28により結合支持されるようになっている。
ところで、このハウジング21は、後に説明する拡大図(図4および図5)にて図示するが、電気的絶縁樹脂で形成される内ハウジング211と、円筒状の金属で形成される外ハウジング212とを重ねて配置することにより構成されている。ここで、このハウジング21のうち外ハウジング212に関しては、後に説明する昇降機構50の外歯部材51(雄形昇降部材)を一体化させるに際しての挟持を受ける挟持用平面部23(下側挟持用平面部231、上側挟持用平面部232)が設けられている。具体的には、外ハウジング212の下端(工具本体降り方向端)位置には、下側挟持用平面部231が形成されており、外ハウジング212の上端(工具本体昇り方向端)位置には、平面状に形成される上側挟持用平面部232が設けられている。
【0016】
ベース30は、図1および図2に示すように、加工材Lの図示上面に接面するベース面32(ベースプレート部31の下面)を有して構成される。このベース30は、加工材Lの図示上面に接面することにより上記した工具本体20を支持するものとなっている。なお、ベース30が工具本体20を支持するにあたっては、後に説明する昇降機構50によりベース30に対する工具本体20の相対位置を調整して、この調整により決められた相対位置にて後に説明する固定機構40により工具本体20をベース30に固定する。このように固定機構40により工具本体20を固定した場合には、スピンドル25に結合支持される加工ビットBも、加工材Lに対する相対位置が決められることとなる。
ベース30は、図1および図2に示すように、概略、加工材Lに対して当接するベースプレート部31と、ベースプレート部31から立設される把持用筒状部35と、把持用筒状部35の両サイドに配設される握り部39とを備える。この平板状のベースプレート部31の下面は、加工材Lの上面に接面するベース面(当接する面)32として形成される。このため、ベース面32を加工材Lの上面に接面させることにより、ベース30を加工材Lに載置することができるようになっている。
【0017】
ベースプレート部31のうち、加工材L側とは反対側の図示上側においては、ベースプレート部31の延在方向と交差する方向に延びて構成される把持用筒状部35が立設されている。この把持用筒状部35は、リブ形柱状部33を介してベースプレート部31に取付けられるようになっている。この把持用筒状部35は、挿し込まれた工具本体20の把持用外周面22に対面するように、この把持用外周面22に沿って略筒状に形成される。この把持用筒状部35は、図3に示すように、把持用筒状部35の軸線方向に沿って、切欠き部36が設けられている。このように切欠き部36が設けられた把持用筒状部35の周長は、後に説明する固定機構40の作動により収縮可能となって、工具本体20の把持用外周面22を把持可能な構造をなしている。なお、この把持用筒状部35の軸線方向は、ベース30に挿し込む工具本体20のスピンドル25の延在方向(工具本体20の挿し込み方向)とも一致する。ここで、切欠き部36は、把持用筒状部35の周方向の長さを縮小させる切欠き(クリアランス)として機能しているとともに、後に説明する昇降機構50の外歯部材51を工具本体20に取り付けるために、この工具本体20のハウジング21の外周面を外部に露出させておく機能も有している。
なお、上記した把持用筒状部35は、図1および図2に示すように、リブ形柱状部33を介してベースプレート部31に対して立設されているので、このリブ形柱状部33同士の間には開口空間が形成されるものとなっている。この開口空間にて、加工材Lを加工する際の加工ビットBの位置が分かることとなる。
【0018】
図4は、図1のIV−IV断面矢視にて固定機構40を拡大して示す拡大断面図である。図4に示すように、把持用筒状部35のうち切欠き部36を挟む端縁部分には、次に説明する固定機構40および昇降機構50を支持するための左側支持凸部37および右側支持凸部38が設けられている。この左側支持凸部37および右側支持凸部38は、把持用筒状部35のうち切欠き部36を挟む端縁部分を外側に突き出させるようにして形成されている。具体的には、左側支持凸部37には、固定機構40の支持軸41を支持するように支持孔371が設けられている。また、この左側支持凸部37には、右側支持凸部38配置側とは反対側に、固定機構40のカムレバー45のカム部452が当接するためのカム当接部372が形成されている。また、この左側支持凸部37には、切欠き部36と面する部分に昇降機構50の外歯部材51を位置決めするための雄ガイドリブ部373が設けられている。また、右側支持凸部38には、固定機構40の支持軸41を支持するように支持孔381が設けられている。このように左側支持凸部37および右側支持凸部38の両者に設けられた支持孔371,381により、次に説明する固定機構40の支持軸41が支持されるものとなっている。
【0019】
次に固定機構40について説明する。この固定機構40は、ベース30に対する工具本体20の相対位置を固定する相対位置固定機構としての機能を有するものである。
固定機構40は、ベース30に対して相対位置が調整された工具本体20を、このベース30に対して固定できるように把持用筒状部35の周長を収縮可能とするものである。なお、把持用筒状部35の周長は、上記した切欠き部36により収縮させるものであり、固定機構40の作動により収縮させて工具本体20の把持用外周面22を把持することができるものとなっている。この固定機構40は、図4に示すように、概略、支持軸41と、留めナット42と、回動軸43と、当接ワッシャ44と、カムレバー45とを備える。
支持軸41は、図4に示すように、把持用筒状部35の外周接線方向に沿って延びるように、把持用筒状部35の左側支持凸部37および右側支持凸部38にて支持される。つまり、この支持軸41は、把持用筒状部35に設けられた切欠き部36を跨ぐように配置される。この支持軸41のうち右側支持凸部38の右側に隣接する右側端部には、留めナット42が螺合されている。この留めナット42は、支持軸41が右側支持凸部38に対して右側から当接することにより支持軸41の右側端の位置を決めている。また、この支持軸41のうち左側支持凸部37の左側に隣接する左側端部には、回動軸43が嵌挿されている。この回動軸43は、カムレバー45を回動可能に支持するためのものである。このため、この回動軸43は、図1等に示す上下方向(スピンドル25の延在方向)に延在するように支持軸41に対して嵌挿されており、カムレバー45を回動可能に軸支する。当接ワッシャ44は、カムレバー45のカム部452がカム当接部372に当たるに際して、このカム部452の当たり面を滑らかに摺動させることができるようにするためのものである。なお、上記した支持軸41のうち、左側支持凸部37と右側支持凸部38との間においては、後に説明する外歯部材51が外れてしまうのを防止するための外れ防止部材49が取り付けられている。この外れ防止部材49は、後に説明する外歯部材51が外側にズレてしまって外れ落ちてしまうのを防止するために、この外歯部材51を把持用筒状部35の内側に向けて支持するように機能している。
【0020】
カムレバー45は、回動軸43にて支持されて回動するものであり、この回動により左側支持凸部37と右側支持凸部38との距離を収縮可能とし、把持用筒状部35の周長を収縮可能とする。このカムレバー45は、概略、レバー本体451と、カム部452とを備える。レバー本体451は、回動操作する際に操作者が把持する部分であり、適宜に湾曲したレバー形状にて形成されている。カム部452は、中心部分に上記した回動軸43が挿通されている。このカム部452は、カムレバー45を回動させた場合に、上記した左側支持凸部37のカム当接部372に対して外周部分となる当たり面453が変わる。この際、この当たり面453は、カムレバー45の回動位置に応じて回動軸43からの距離が異なるように設定されている。つまり、カムレバー45の回動位置が図4に示す実線位置状態となると、カム当接部372に向けて当たるカム部452の当たり面453は、回動軸43から最も遠のいた距離にて当たることとなる。これによって、カム部452は、把持用筒状部35の左側支持凸部37を右側支持凸部38に向けて押すこととなり、これら左側支持凸部37と右側支持凸部38との間の切欠き部36の幅長を縮めることができる。そうすると、把持用筒状部35の周長を縮ませることとなり、この把持用筒状部35にて上記した把持用外周面22を把持することができる。なお、カムレバー45の回動位置が図4に示す2点鎖線位置状態となると、カム当接部372に向けて当たるカム部452の当たり面453は、回動軸43から近い距離にて当たることとなり、左側支持凸部37を右側支持凸部38に向けて押すこととなく、これら左側支持凸部37と右側支持凸部38との間の切欠き部36の幅長も縮めることもなくなる。そうすると、把持用筒状部35の周長を縮ませることもなく、この把持用筒状部35にて上記した把持用外周面22を把持することもなくなり、このベース30から工具本体20の相対位置を変更することが可能な状態となる。つまり、固定機構40は、ベース30に対して工具本体20を、ワンタッチ(1操作)で固定したり、固定解除したりすることができるように構成されている。
【0021】
次に昇降機構50について説明する。図5は、図1のV−V断面矢視にて昇降機構50を拡大して示す拡大断面図である。また、図6は、ベース30にて工具本体20を支持する支持状態の昇降機構50に関する一部切欠き断面図である。図7は、ベース30から工具本体20を取り外した取外し状態の昇降機構50に関する一部切欠き断面図である。
この昇降機構50は、ベース30に対する工具本体20の相対位置を変更調整する相対位置調整機構としての機能を有する。この昇降機構50は、図5に示すように、概略、外歯部材51と、周回リング57と、一体化機構60とを備える。
外歯部材51は、本発明に係る雄形昇降部材に相当するものであり、工具本体20に対して一体化可能に構成されるものである。具体的には、外歯部材51は、図5に示すように、ラックを模した長板状にて形成されるものである。すなわち、外歯部材51は、水平方向断面となる図4に示すように、切欠き部36の間に入り込むことができる長細い形状にて形成されつつ、外周側面を外部に露出させた状態なるようにしている。なお、図4に示すように、この外歯部材51には、長手方向に沿って雌ガイドリブ513が形成されている。この雌ガイドリブ513は、ベース側に形成される雄ガイドリブ部373に摺接して外歯部材51の姿勢を維持する。
この外歯部材51の外部に露出させた外周側面には、鉛直方向断面となる図5に示すように、工具本体20の昇降方向に沿って並列して並べられた外歯52が形成されている。この外歯52は、一般的にラックに設けられる噛合い歯と略同様に形成されるものである。この外歯部材51の外歯52には、次に説明する周回リング57の内周歯58が噛合するものとなっている。つまり、図5に示す符号59は、外歯部材51の外歯52が、周回リング57の内周歯58に対して噛合している状態を表している。
【0022】
このように外歯52が形成された外歯部材51は、後に説明する一体化機構60により、工具本体20に対して一体化状態としたり、或いは工具本体20に対して一体化状態を解除したりすることができるようになっている。具体的には、図5に示すように、外歯部材51の図示下端側は、工具本体20配置側に向かって突出した下側係止部53が設けられている。この下側係止部53は、上記した外歯52が設けられる外側に対して反対側となる内側(工具本体20配置側に一致)に向かって、フランジ形状にて突出して形成される。このように形成された下側係止部53は、上記したハウジング21に形成された下側挟持用平面部231に対して係止することができるようになっている。これに対して、外歯部材51の図示上端側は、後に詳述する一体化機構60が設けられている。このため、外歯部材51の図示上端側には、後にも詳述するが、一体化機構60を配設するための構造が形成されている。具体的には、外歯部材51の図示上端側には、一体化機構60のレバー軸部61を嵌挿しておくための軸受け部54と、一体化機構60の係止付勢ばね67の支持側端671を当接させる段差部55とが設けられている。なお、この係止付勢ばね67の付勢側端672は、係止解除レバー63の操作部65の裏面に対して当接している。つまり、この外歯部材51は、下端側が下側係止部53により下側挟持用平面部231に係止させることができ、上端側が一体化機構60により上側挟持用平面部232に係止させることができ、もって外歯部材51を外ハウジング212の図示上下方向で挟み込むことができて、工具本体20と一体化することができるようになっている。なお、この外歯部材51を説明するにあたっての上下方向は、ベース30に対する工具本体20の昇降方向に一致するするものである。つまり、外歯部材51の上端側は工具本体20の昇方向の端部と一致し、外歯部材51の下端側は工具本体20の降方向の端部と一致する。
【0023】
周回リング57は、本発明に係る雌形昇降部材に相当するものであり、ベース30に対して周回可能に一体的に配設され、上記した外歯部材51を相対的に昇降させるものである。この周回リング57は、外観図となる図1に示すように、外観視リング形状にて形成される。この周回リング57は、鉛直方向断面となる図5に示すように、ベース30に対して周方向に沿って外側に張り出す嵌合構造によって周回可能に抜け止めされた嵌合構造によって配設されている。また、図5に示すように、この周回リング57の内周側面には、上記した外歯部材51の外歯52と噛合する内歯としての内周歯58が形成されている。この内周歯58は、例えばナット等に形成される螺旋状の内周歯のように、図1に示す鉛直方向で螺旋状をなして形成されている。このため、外歯部材51の外歯52に対して周回リング57の内周歯58を噛合させた状態で周回リング57を周回させると、この周回リング57を一体的にされているベース30に対して、外歯部材51を相対的に昇降させることができるものとなる。
つまり、外歯52および内周歯58の互いの形状は、外歯部材51に対して周回リング57を周回させることにより、周回リング57に対して外歯部材51を相対的に昇降させることができるように設定されている。なお、この周回リング57には、後に図8に示しながら説明するダイアル機構70の伝達ギア73と噛合する操作ギア77が、この周回リング57のリング形状の下端に形成されている。
【0024】
一体化機構60は、上記した外歯部材51を工具本体20に対して一体化状態としたり、あるいは外歯部材51を工具本体20に対して一体化状態を解除したりするための機構であり、この外歯部材51に対して上記した下側係止部53とは反対側の昇降方向の一端側となる上端側に配設されるものとなっている。このため、一体化機構60は、外歯部材51の昇降方向の両端となる上下端を工具本体20に挟持させることにより、外歯部材51を工具本体20に支持させる。これにより、一体化機構60は、工具本体20に対して外歯部材51を一体化状態とすることができる。なお、この一体化機構60は、外歯部材51を工具本体20に対して一体化させるための挟持状態を解除する係止解除レバー63が配設されている。以下、この外歯部材51に対して一体化機構60が配設される部分の説明とともに、一体化機構60の構造について説明する。
すなわち、一体化機構60は、概略、上記した外歯部材51の軸受け部54に嵌挿されるレバー軸部61と、このレバー軸部61にて回動可能に軸支される係止解除レバー63と、この係止解除レバー63を上側挟持用平面部232に係止させるように係止位置に向けて付勢する係止付勢ばね67とを備える。このように係止付勢ばね67により付勢される係止解除レバー63は、このレバー軸部61にて回動可能に軸支されることにより、係止位置と係止解除位置との二通りの作用位置に切替え可能となっている。
具体的には、係止解除レバー63は、この係止解除レバー63の一部となる不図示の軸支部がレバー軸部61によって回動可能に支持されることにより回動可能となっている。ここで、図5に示すように、この係止解除レバー63は、上端側に上側挟持用平面部232に対して係止する係止フック部64が設けられており、下端側に係止フック部64の係止を解除するように係止解除レバー63を操作するための操作部65が設けられている。そして、この係止解除レバー63のうち、上端側の係止フック部64と下端側の操作部65との間には、上記したレバー軸部61によって回動可能に支持される不図示の軸支部が位置するものとなっている。つまり、係止付勢ばね67により付勢されてレバー軸部61によって回動する係止解除レバー63は、常態時においては係止付勢ばね67の付勢力により係止フック部64を上側挟持用平面部232に対して係止させる係止位置に位置させるようになる。また、この係止解除レバー63は、係止付勢ばね67の付勢力に抗して操作部65を押下した場合には、係止フック部64の上側挟持用平面部232に対する係止を解除するように係止解除位置に位置させるようになる。
【0025】
ここで、図5に示す係止解除レバー63は、係止フック部64が上側挟持用平面部232に係止する係止位置に位置しているものとなっている。このため、図5に示す状態では、外歯部材51の下端側は下側係止部53により下側挟持用平面部231に係止しており、さらに外歯部材51の上端側は係止解除レバー63の係止フック部64により上側挟持用平面部232に係止していることとなる。これによって、外歯部材51の昇降方向の両端を工具本体20に挟持させ、外歯部材51は工具本体20に支持されて工具本体20に対して一体化したものとなる。
これとは逆に、特に図示していないが、外歯部材51の工具本体20に対する一体化を解除させるように一体化機構60(係止解除レバー63の操作部65)を操作をした場合には、外歯部材51の工具本体20に対する一体化を解除する。
図5に示す係止解除レバー63の操作部65を係止付勢ばね67の付勢力に抗して押下操作した場合には、係止解除レバー63は回動して、係止フック部64による上側挟持用平面部232の係止を解除する係止解除位置に係止解除レバー63は位置することとなる。つまり、外歯部材51の昇降方向の一端側となる係止フック部64による上側挟持用平面部232の係止は解除されており、工具本体20に対して外歯部材51を一体化させるための挟持状態は解除されたものとなる。そうすると、図6に示す状態から図7に示す状態へとベース30に対して工具本体20を取り外しすることができる。この際、外歯部材51をベース30側に残したままで、ベース30に対して工具本体20を取外し可能とする状態に切り替わることとなっている。
【0026】
また逆に、図7に示す状態から図6に示す状態へとベース30に対して工具本体20を取り付けるにあたっては、ベース30に対する工具本体20の挿し込みに応じて、外歯部材51を工具本体20に自動的に一体化させるように一体化機構60の係止解除レバー63をガイドするガイド面24,641が、外ハウジング212と係止フック部64(係止解除レバー63)とに設けられている。これらのガイド面24,641は、本発明に係る一体化案内部に相当する部分である。これらのガイド面24,641は、工具本体20に対する外歯部材51の相対位置が外歯部材51が一体化可能な相対位置に近づくにつれて外歯部材51を工具本体20に自動的に一体化させるように、工具本体20に対して係止解除レバー63をガイドするものである。つまり、図7に示す状態から図6に示す状態へとベース30に対して工具本体20を取り付けるにあたって、工具本体20に対して係止解除レバー63は、互いのガイド面24,641同士を摺接させつつ、ベース30に対して工具本体20を相対移動させることとなる。この際、これらのガイド面24,641同士が互いに摺接することによって、工具本体20に対して係止解除レバー63をガイドさせることができる。
【0027】
ところで、上記した周回リング57は、この周回リング57に対して隣接して配設される操作ダイアル機構70により周開操作できるように構成されている。図8は、操作ダイアル機構70を一部切欠き断面にて示す断面図である。図8に示すように、操作ダイアル機構70は、ベース30側にて支持される回動軸71と、この回動軸71にて回動可能に支持される伝達ギア73と、この伝達ギア73と一体的に外装される操作ダイアル部75とを備える。この回動軸71にて回動可能に支持される伝達ギア73は、上記した周回リング57のリング形状の下端に形成される操作ギア77と噛合するものである。
これにより、操作ダイアル部75を回動操作すると、操作ダイアル部75と一体的にされる伝達ギア73は回動させられ、この伝達ギア73と噛合する操作ギア77は周回することとなる。つまり、操作ダイアル部75の回動操作に応じて、周回リング57を周回させることができる。
【0028】
上記した電動工具10によれば、次のような作用効果を奏することができる。
すなわち、上記した電動工具10によれば、一体化を解除させる操作をした場合の一体化機構60は、外歯部材51の工具本体20に対する一体化を解除して、外歯部材51をベース30側に残したままでベース30に対して工具本体20を取外し可能な状態に切り替えるので、昇降機構50の一部となる周回リング57を工具本体20に着けることなく、ベース30から工具本体20を取り外すことができる。つまり、ベース30から工具本体20を取り外して工具本体20自体を単体で使用する場合に、昇降機構50の一部を工具本体20から取り外すための解除操作を要することなく、ベース30に対して工具本体20を取外し可能な状態に切り替えることができる状態とする。これによって、ベース30に対する工具本体20の相対位置を調整するための昇降機構50を具備した構成としながら、ベース30から工具本体20を取り外すに際して昇降機構50に関する部材の取外しを簡便なものとすることができる。
また、上記した電動工具10によれば、外歯部材51は外歯52を具備して形成され、周回リング57は外歯と噛合する内周歯58を具備するリング状に形成される。ここで、外歯52および内周歯58の互いの形状は、外歯部材51に対して周回リング57を周回させることにより周回リング57に対して外歯部材51を相対的に昇降させるように設定されているので、昇降機構50を簡易な構造とすることができながら、周回リング57を周回させるだけで工具本体20を昇降させることができて便利となる。
また、上記した電動工具10によれば、一体化機構60は、外歯部材51の昇降方向の両端を工具本体20に挟持させることにより、外歯部材51を工具本体20に支持させて工具本体20に対して外歯部材51を一体化させるので、外歯部材51を工具本体20に対して昇降方向に沿って支持することができて、工具本体20に対して外歯部材51を強固に一体化させることができる。また、一体化機構60は、外歯部材51の昇降方向の一端側には工具本体20に対して外歯部材51を一体化させるための挟持状態を解除する係止解除レバー63が配設されているので、係止解除レバー63を解除操作することにより、一体化させるための挟持状態を簡単に解除することができる。これによって、工具本体20に対する外歯部材51の一体化を強固にすることができながら、一体化の解除操作も簡単に行うことができる。
また、上記した電動工具10によれば、ガイド面24,641により、工具本体20に対する外歯部材51の相対位置が外歯部材51の一体化可能な相対位置に近づくにつれて、外歯部材51を工具本体20に自動的に一体化させるように工具本体20に対して係止解除レバー63をガイドすることができる。これによって、工具本体20に対して外歯部材51を一体化を解除した状態から外歯部材51を一体化させる状態に切り替えるにあたり、係止解除レバー63の状態を気にすることなく、工具本体20に対する外歯部材51の相対移動で係止解除レバーをガイドして、外歯部材51を一体化させる状態への切替えを行うことができる。
【0029】
なお、本発明に係る電動工具にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成するようにしてもよい。
例えば、上記した実施の形態の電動工具10の固定機構40にあっては、概略、支持軸41と、留めナット42と、回動軸43と、当接ワッシャ44と、カムレバー45とを備えて構成されるものであった。しかしながら、このような固定機構40は、工具本体20の相対位置を固定する相対位置固定機構としての機能を発揮するように構成されるものであればよく、本発明に係る電動工具には、上記した実施の形態に限定されることなく、様々な態様の固定機構が付加されるものであってよい。
また、外歯部材51(雄形昇降部材)の外歯52と、周回リング57(雌形昇降部材)の内周歯58との互いの歯の形状は、外歯部材51に対して周回リング57を周回させることにより周回リング57に対して外歯部材51を相対的に昇降させるように設定されるものであればよいものである。つまり、本発明に係る雄形昇降部材の外歯と雌形昇降部材の内歯との組合せは、上記した実施の形態に限定されることなく、適宜の態様の組合せが採用されるものであってよい。
【符号の説明】
【0030】
10 電動工具
20 工具本体
21 ハウジング
211 内ハウジング
212 外ハウジング
22 把持用外周面
23 挟持用平面部
231 下側挟持用平面部
232 上側挟持用平面部
24,641 ガイド面
25 スピンドル
26 シーソースイッチ
27 通風孔
28 チャック機構
29 電源コード
30 ベース
31 ベースプレート部
32 ベース面
33 リブ形柱状部
35 把持用筒状部
36 切欠き部
37 左側支持凸部
371 支持孔
372 カム当接部
373 雄ガイドリブ部
38 右側支持凸部
381 支持孔
39 握り部
40 固定機構
41 支持軸
42 留めナット
43 回動軸
44 当接ワッシャ
45 カムレバー
451 レバー本体
452 カム部
453 当たり面
49 外れ防止部材
50 昇降機構
51 外歯部材(雄形昇降部材)
513 雌ガイドリブ
52 外歯
53 下側係止部
54 軸受け部
55 段差部
57 周回リング(雌形昇降部材)
58 内周歯(内歯)
59 外歯と内周歯との噛合部分
60 一体化機構
61 レバー軸部
63 係止解除レバー
64 係止フック部
65 操作部
67 係止付勢ばね
671 支持側端
672 付勢側端
70 ダイアル機構
70 操作ダイアル機構
71 回動軸
73 伝達ギア
75 操作ダイアル部
77 操作ギア
B 加工ビット
L 加工材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材等の加工材に対して端縁加工あるいは溝入れ加工等の加工を施す電動工具であって、
加工材に当てるための加工ビットを取り付けるスピンドルを具備する工具本体と、加工材に接面するベース面を有して該工具本体を支持するベースと、該ベースに対する該工具本体の相対位置を変更する昇降機構とを備え、
前記昇降機構は、前記工具本体に対して一体化可能に構成される雄形昇降部材と、前記ベースに対して一体的に配設されて該雄形昇降部材を相対的に昇降させる雌形昇降部材と、該雄形昇降部材を該工具本体に対して一体化させたり或いは一体化を解除させたりする一体化機構とを備え、
前記一体化機構にて前記雄形昇降部材の前記工具本体に対する一体化を解除させる操作をした場合には、該一体化機構は該雄形昇降部材の該工具本体に対する一体化を解除して、該雄形昇降部材を前記ベース側に残したままで該ベースに対して該工具本体を取外し可能な状態に切り替えることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
請求項1に記載の電動工具において、
前記雄形昇降部材は、前記工具本体の昇降方向に沿って並ぶ外歯を具備して形成されており、
前記雌形昇降部材は、前記雄形昇降部材に具備される前記外歯と噛合する内歯を具備するリング状に形成されており、
前記外歯および前記内歯の互いの形状は、前記雄形昇降部材に対して前記雌形昇降部材を周回させることにより、該雌形昇降部材に対して該雄形昇降部材を相対的に昇降させるように設定されていることを特徴とする電動工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電動工具において、
前記一体化機構は、前記雄形昇降部材の昇降方向の両端を前記工具本体に挟持させることにより該雄形昇降部材を該工具本体に支持させて該工具本体に対して該雄形昇降部材を一体化させるとともに、該雄形昇降部材の昇降方向の一端側には該工具本体に対して該雄形昇降部材を一体化させるための挟持状態を解除する係止解除レバーが配設されていることを特徴とする電動工具。
【請求項4】
請求項3に記載の電動工具において、
前記工具本体および前記一体化機構の少なくとも一方には、該工具本体に対する前記雄形昇降部材の相対位置が該雄形昇降部材の一体化可能な相対位置に近づくにつれて、該雄形昇降部材を該工具本体に自動的に一体化させるように、該工具本体に対して前記係止解除レバーをガイドする一体化案内部が設けられていることを特徴とする電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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