説明

電動式動力舵取装置

【目的】 広範囲の産業用車両に適用可能な汎用性のある電動式動力舵取装置を提供する。
【構成】 操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ1と車両の走行状態を検出する車速センサ2及び積載量センサ3の何れか一方とを備えていると共に、車両特性を選択する選択手段としてのディップスイッチ4a〜4cを備えており、さらに記憶装置11に多数の出力電流特性及び回転数特性と、これら特性を車両特性番号と車両状態変数とにより選択する記憶テーブルとを記憶しておき、これらの特性を産業車両の緒元に応じてディップスイッチ4a〜4cで設定することにより、車両に適合した特性で操舵補助機能を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動機によって操舵補助力を発生する電動式動力舵取装置に関し、特にバッテリーフォークリフト等の産業用車両に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電動式動力舵取装置としては、本出願人が先に提案した特開平1−244973号公報に記載されているものがある。この従来例は、その第7図に示されているような車速検出値をパラメータとする操舵トルクとモータ電流指令値との関係を表す特性線図に対応する記憶テーブルを備えており、この記憶テーブルを操舵トルクセンサで検出した操舵トルク検出値をもとに参照してモータ駆動電流を決定するようにしている。すなわち、車速検出値が小さい低速時の所謂据え切り状態では、操舵トルク検出値に対して大きなモータ駆動電流を発生させて大きな操舵補助力を発生させ、車速検出値が大きい高速走行時には、操舵トルク検出値に対して小さなモータ駆動電流を発生させて小さな操舵補助力を発生させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の電動式動力舵取装置では、乗用車のように操舵輪荷重が小さくマニュアル操舵力と操舵補助力との比が小さい車両で、且つ車速変化量の大きい車両においては有効であるが、バッテリーフォークリフト等の操舵輪荷重が大きくマニュアル操舵力と操舵補助力との比が大きく、且つ車速変化量の少ない車両にあっては、操舵補助力可変範囲が小さき車速全域に亘って適切な操舵フィーリングを得ることはできないという問題点があった。
【0004】すなわち、操舵輪荷重が大きく、低速でしか走行することのないフォークリフトの性格上、全車速範囲において大きな操舵補助力が必要なことから、操舵トルクを検出する操舵トルクセンサの特性が図6に示すように操舵トルク検出値に対する出力ゲインが非常に大きくなってしまうとともに、操舵輪荷重が大きいため小操舵補助力ではハンドル操舵が困難であるため大きな操舵補助力が必要であり、図8に示すように、制御装置の最大出力電流(モータ最大電流)値を車速変化に対してあまり小さくできないために可変範囲が狭くなる。したがって、操舵トルクに対する操舵補助力の特性は、図9に示すように、操舵トルクに対するモータ電流ゲインが殆ど変わらず、車速感応型にしても据え切り時と走行時の操舵力があまり変化しないため、据え切りに重点を置いた操舵補助力特性に設定すると走行安定性の改善をあまり行うことができないという問題点があった。
【0005】また、車両の走行状態即ち車速又は積載荷重に応じて電動機の回転速度を制御することにより、据え切り時には電動機回転速度を大きくして回生制動を生じないようにし、走行時には車速に応じて電動機回転速度を小さくして回生制動を生じさせて操舵抵抗を与えることにより、操舵感覚を改善することも考えられるが、この電動機回転速度制御によれば据え切り時に重点を置いた操舵補助力特性に設定することにより、据え切り時には軽い操舵を行い、走行時には回生制動による操舵抵抗を与えて重い操舵を行うことができるが、ハンドルを電動機の回転速度より早く回転させないと回生制動状態とならないことから、制御範囲をさほど広くとることができないという問題点があった。
【0006】この結果、車両の走行状態に応じて最適な補助操舵力を発生するには、操舵トルクに対する電動機出力電流特性と、電動機出力トルクに対する回転速度特性との双方を組み合わせることが望ましいが、バッテリーフォークリフト等では、許容積載荷重が異なる種々の車種があり、これらの車種では当然電動機出力電流特性及び回転速度特性が異なるので、全ての車種に共通の制御装置を製作することは困難であり、斯く車種に応じた多種類の制御装置を製作せざるを得ないのが現状である。
【0007】そこで、本発明の目的は、種々の車種に対して共通に適用することができる電動式動力舵取装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る電動式動力舵取装置は、図1のクレーム対応図に示すように、操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動機と、前記操舵トルク検出手段の検出値に基づいて前記電動機への操舵トルクに対する出力電流特性を制御し、且つ前記走行状態検出手段の走行状態検出値に基づいて当該電動機の出力トルクに対する回転速度特性を制御する制御手段とを備えた電動式動力舵取装置において、前記制御手段は、多数の出力電流特性及び回転速度特性を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている各特性を選択する選択手段とを備えた構成を有する。
【0009】
【作用】本発明では、操舵トルク検出値に基づいて操舵補助力を発生する電動機に対する出力電流を制御すると共に、車速及び操舵輪荷重の少なくとも一方を走行状態検出手段で検出することにより、車両の走行状態を検出し、これに応じて制御手段で、操舵トルクに対応した電動機の回転速度を制御する。このとき、電動機の出力電流特性及び電動機の回転速度特性として、予め多数の特性を記憶しておき、これらの特性を適用する車種に応じて選択手段で選択することにより、種々の車種に適用する電動式動力舵取装置の制御手段を共通化することができる。
【0010】
【実施例】図2は本発明を後輪操舵型で非積載状態で操舵輪荷重が最大となり、積載状態で操舵輪荷重が減少する所謂カウンタバランス型のフォークリフトに適用した場合の一実施例を示すブロック図である。図中、1はステアリングホイールの操舵に応じて生じる操舵トルクを検出する操舵トルクセンサであって、このトルクセンサ1は、前述した図6に示すように、ステアリングホイールが中立状態にある状態で、所定の中立電圧V0 を出力し、これよりステアリングホイールを右切りすると、そのときの操舵トルクに応じて中立電圧V0 より増加する電圧を、左切りすると、そのときの操舵トルクに応じて中立電圧V0 より減少する電圧を夫々トルク検出信号VT として出力する。
【0011】2は車速に応じた電圧信号でなる車速検出信号VV を出力する例えばタコジェネレータで構成される車速センサ、3は積載物を載置するフォーク上の積載荷重に応じた電圧信号でなる積載量検出信号VL を出力する例えばロードセルで構成される積載量センサである。また、4a〜4cは選択手段を構成する車両特性選択用の3ビットのディップスイッチであり、“0”から“7”までの車両特性番号Aを選択することができる。
【0012】そして、操舵トルクセンサ1のトルク検出信号VT 、車速センサ2の車速検出信号VV 、積載量センサ3の積載量検出信号VL 及びディップスイッチ4a〜4cのスイッチ信号が操舵補助力制御装置5に入力される。この操舵補助力制御装置5は、操舵トルクセンサ1のトルク検出信号VT が増幅器6及びA/D変換器7を介して、車速センサ2の検出信号VV 、積載量センサ3の検出信号VL 及びディップスイッチ4a〜4cのスイッチ信号が夫々入力インタフェース8a、8b及び8cを介して夫々入力されるマイクロコンピュータ10と、このマイクロコンピュータ10に接続されたROM及びRAMで構成される記憶装置11と、マイクロコンピュータ10から出力される電動機駆動電流指令値IM 及び電動機印加電圧指令値EM をアナログ電圧に変換するD/A変換器12及び13と、これらD/A変換器12及び13の変換出力が入力される電動機駆動回路14とを備えており、電動機駆動回路14で電動機駆動電流指令値IM 及び電動機印加電圧指令値EM に基づいてステアリング系に対して操舵補助トルクを発生する直流電動機15の駆動電流及び回転数を制御する。
【0013】記憶装置11には、そのROMに予め図3に示す操舵トルクセンサ1のトルク検出信号に基づくトルク検出値TS と電動機駆動電流IM との関係を表す9通りの特性線図T1 〜T9 がマップとして記憶されていると共に、図4に示す電動機出力トルクと回転数との関係を表す14通りの特性線図N1 〜N14がマップとして記憶され、且つ図5に示すディップスイッチ4a〜4cで選択された選択番号と、後述する車両状態に応じて出力電流特性及び回転数特性を設定する記憶テーブルが記憶されている。
【0014】そして、マイクロコンピュータ10は、ディプスイッチ4a〜4cのスイッチ信号を読込むと共に、車速センサ2及び積載量センサ3の各検出値を読込み、これらに基づいて図5の記憶テーブルを参照して出力電流特性及び回転数特性を設定し、次いで操舵トルクセンサ1のトルク検出信号VT を読込み、これから中立電圧V0 を減算して操舵トルクの方向に応じて右操舵を正、左操舵を負とするトルク検出値TS を算出し、このトルク検出値TS をもとに設定された出力電流特性から電動機駆動電流指令値IM を算出すると共に、設定された回転数NM に対応する電動機印加電圧指令値EM を算出し、電動機駆動電流指令値IM 及び電動機印加電圧指令値EM を夫々をD/A変換器12及び13を介して電動機駆動回路14に出力する。
【0015】次に、上記実施例の動作を説明する。先ず、バッテリーフォークリフトに操舵補助力制御装置5を組み込む場合に、バッテリーフォークリフトの特性を把握する。これには、予め適用車種の停車中に操舵を行う所謂据え切り時に必要な操舵補助トルクが大きいか否か、据え切り時の操舵補助トルクと車両が一定車速以上で走行しているときの操舵トルクとの比が大きいか否か、積載重量の変化による輪荷重変化が大きいか小さいか等を調べることにより、図5に示す記憶テーブルと同様の特性対称表に記載されている車両特性番号“0”〜“7”から適合する車両特性番号Aを選択し、この車両特性番号Aをディップスイッチ4a〜4cに設定する。
【0016】すなわち、据え切り時に大きな操舵補助トルクを必要とする場合には、車両特性番号Aとして“0”〜“3”の何れか1つを選択し、据え切り時にはさほど大きな操舵補助トルクを必要とせず、一定車速以上で走行し且つ積載重量が大きい場合に輪荷重が小さい場合には、車両特性番号Aとして“6”又は“7”を選択し、これらの車両特性番号をディップスイッチ4a〜4cに設定する。
【0017】このように、車両特性番号Aを設定した後、バッテリーフォークリフトの起動スイッチをオン状態とすると、これに応じて操舵補助力制御装置5に電源が供給され、マイクロコンピュータ10で図6に示す処理が実行される。すなわち、ステップ■で、ディップスイッチ4a〜4cのスイッチ信号を読込み、次いでステップ■に移行して、車速センサ2及び積載量センサ3の各検出値を読込み、次いでステップ■に移行して、車両が据え切り状態であるか否かを判定する。この判定は、車速センサ2の車速検出値VV が予め設定した車速閾値VVT未満であり、且つ積載量センサ3の積載量検出値VL が予め設定した積載量閾値VLT未満であるか否かを判定することにより行い、VV <VVTで且つVL <VLTであるときには、据え切り状態であると判断しステップ■aに移行して、車両状態変数Bを“0”に設定してからステップ■に移行し、VV ≧VLT又はVL ≧VLTであるときには、ステップ■bに移行する。
【0018】このステップ■bでは、VV ≧VVT且つVL ≧VLTであるか否かを判定し、VV ≧VVT又はVL ≧VLTであるときには、ステップ■cに移行して、車両状態変数Bを“1”に設定してからステップ■に移行し、VV≧VLT且つVL ≧VLTであるときにはステップ■dに移行して、車両状態変数Bを“2”に設定してからステップ■に移行する。
【0019】ステップ■では、車両特性番号A及び車両状態変数Bをもとに、図4の記憶テーブルを参照して、車両特性及び車両状態に最適な出力電流特性Ti 及び回転数Nj を算出してからステップ■に移行する。このステップ■では、操舵トルクセンサ1のトルク検出信号VT を読込み、次いでステップ■に移行してトルク検出信号VT から中立電圧V0 を減算して、右操舵を正、左操舵を負とする操舵トルク検出値TS を算出し、次いでステップ■に移行して、図3の出力電流特性マップにおける出力電流特性Ti を参照して電動機駆動電流指令値IMを算出し、次いでステップ■に移行して、ステップ■で算出した回転数Nj に対応する電動機印加電圧指令値EM を算出してからステップ■に移行する。
【0020】ステップ■では、算出された電動機駆動電流指令値IM 及び電動機印加電圧指令値EM をD/A変換器12及び13を介して電動機駆動回路14に出力してから処理を終了する。なお、図6の処理において、ステップ■〜■dの処理及び車速センサ2,積載量センサ3で車両状態検出手段が構成され、ステップ■の処理及び図5の記憶テーブルで選択手段が構成されている。
【0021】したがって、今、車両特性番号Aが“0”に設定されており、車両が停車状態にあって積載量が少ないものとすると、この状態では、後輪側の操舵輪の輪荷重は最大となっている。このとき、図6の処理が実行されると、車速センサ2の車速検出信号VV が零であり、積載量センサ3の積載量検出信号VL も零に近い値であるので、ステップ■からステップ■aに移行して、車両状態変数Bが“0”に設定される。
【0022】このため、ステップ■で出力電流特性がT1 に、回転数がN1 に夫々設定される。このとき、ステアリングホイールが中立状態で非操舵状態であるときには、操舵トルクが零であるので、操舵トルクセンサ1から出力される操舵トルク検出信号VT が中立電圧V0 となっており、ステップ■で算出される操舵トルク検出値TS が零となっている。このため、ステップ■で算出される電動機駆動電流指令値IMも零となっており、これが電動機駆動回路14に供給されるので、この電動機駆動回路14では電動機15に対する駆動電流の供給を停止しており、電動機15は停止状態にある。
【0023】この非操舵中立状態から、ステアリングホイールを右操舵(又は左操舵)する所謂据切りを行うと、トルクセンサ1のトルク検出信号VT に基づく操舵トルク検出値TS が設定値±T1 を越えたときに、そのときの操舵トルク検出値TS に応じた電動機駆動電流指令値IM が算出され、且つ回転数N1 に対応する電動機印加電圧指令値EM が算出され、これらが電動機駆動回路14に出力される。なお、トルクセンサ1の検出電圧は、操舵トルクに比例するものであるが、トルクセンサ1に設けられた機械的ストッパーによって上限値VH 及び下限値VL を越えることはない。
【0024】したがって、電動機駆動回路14で、操舵トルクに対応した電動機駆動電流で且つ高い回転数N1 となる印加電圧E1 が直流電動機15に供給される。その結果、直流電動機15で、軽積載量時で且つ据切り時である重負荷時に応じた操舵補助トルクを発生すると共に、高回転数N1 に設定されることからステアリングホイールが電動機回転数より高い回転数で操舵されることはないので、直流電動機15で回生制動を生じることがなく、軽い操舵を行うことができる。
【0025】この据切り状態から、車両が走行を開始し、車速センサ2から出力される車速検出信号VV が車速閾値VVT以上となる比較的高速走行状態となると、図6R>6の処理において、ステップ■からステップ■bを経てステップ■cに移行して、車両状態変数Bが“1”に設定される。このため、ステップ■で、図5の記憶テーブルを参照して出力電流特性がT4 に設定されると共に回転数がN9 に設定される。この結果、操舵トルクセンサ1で検出されるトルク検出信号VT が据え切り状態と同じ値であっても、電動機15に供給される電動機駆動電流は据え切り時の2/3程度となるので、電動機15で発生される操舵補助トルクも小さくなり、しかも電動機15の回転数が半分程度に低下するので、急操舵を行ったときには、電動機15の出力軸にステアリング系からその回転数より高い回転数が伝達され、電動機15の出力軸が外力によって回転されることとなって回生制動状態に移行し、操舵抵抗を発生し、ステアリングホイールの操舵感覚が走行状態に応じて重くなり、不用意な急操舵を防止することができる。
【0026】一方、バッテリーフォークリフトの積載重量が多く、積載量センサ3から出力される積載量検出信号VL が大きいときには、車両が停車状態でもステップ■からステップ■bを経てステップ■cに移行することになり、車両状態変数Bが“1”に設定されることから、上述した高速走行状態と同様の操舵感覚を得ることができ、この状態で車両が走行を開始して高速走行状態となると、ステップ■bからステップ■dに移行して車両状態変数Bが“2”に設定されて、ステップ■で出力電流特性がT7 に、回転数がN12に設定されることから、操舵トルク検出信号に対する電動機出力電流の比及び回転数がさらに小さくなるので、電動機15で発生する操舵補助トルクがより小さくなると共に、急操舵よりは緩やかな操舵でも電動機15が回生制動状態となることにより、より大きな操舵抵抗感覚を与えて、走行安定性を確保することができる。
【0027】このように、上記実施例によると、トルクセンサで検出した操舵トルク検出値に応じて電動機の出力トルクを制御すると共に、車速検出値及び/又は積載量検出値に応じて電動機の回転数を可変制御することができ、これらの出力トルク特性及び回転数特性を適用車両の特性に合わせて選択することができるので、操舵力制御装置5を広範囲の車種に適用することが可能となり、汎用性を向上させることができる。
【0028】なお、本実施例では、積載量センサ31でフォーク上の積載物荷重を直接検出する場合を説明したが、操舵輪の輪荷重を検出し、この輪荷重変化に対応して回転数を変更するようにしてもよい。また、本実施例では、選択手段としてディップスイッチ4a〜4cを適用したが、これに限定されるものではなく、ジャンパー線、テンキー等の入力手段を適用することができる。
【0029】さらに、本実施例では、走行状態検出手段として、車速センサ21及び積載量センサ31の双方を適用した場合を説明したが、これらの何れか一方を省略するようにしてもよい。さらにまた、本実施例では、操舵補助力制御装置2をマイクロコンピュータ10で構成する場合について述べたが、関数発生器、車速又は積載量に応じてトルク検出電圧を制限する電圧リミッタ、その出力が供給されるパルス幅変調回路、その出力が供給される電動機駆動回路等のアナログ回路を適用してアナログ制御することもできる。
【0030】また、本実施例では、後輪操舵型のフォークリフトについて説明したが、これに限らず、前輪操舵型のフォークリフトにも本発明を適用することができ、この場合には、積載量が多いときに出力電流特性及び回転数特性を大きく設定すればよい。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る電動式動力舵取装置によれば、操舵トルク検出手段の操舵トルク検出値に応じて電動機に供給する出力電流を制御し、且つ車両の車速、積載量等による走行状態を走行状態検出手段で検出し、この走行状態検出手段の走行状態検出値に応じて制御手段で電動機の回転数を制御するようにし、さらに多数の出力電流特性及び回転数特性を予め記憶装置に記憶しておき、これを選択手段で選択するようにしたので、1つの制御装置で多種類の車種に適用することが可能となり、汎用性を向上させることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明に係る電動式動力舵取装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】操舵トルク検出値と電動機駆動電流との関係を示す特性線図である。
【図4】電動機の出力トルクと駆動電流及び回転数との関係を示す特性線図である。
【図5】車両特性番号と車両状態との関係を示す記憶テーブルを示す説明図である。
【図6】マイクロコンピュータの処理を示すフローチャートである。
【図7】操舵トルクとセンサ出力との関係を示す特性線図である。
【図8】センサ出力と電動機電流との関係を示す特性線図である。
【図9】操舵トルクと電動機電流との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 操舵トルクセンサ
2 車速センサ
3 積載量センサ
4a〜4c ディップスイッチ
5 操舵補助力制御装置
10 マイクロコンピュータ
11 記憶装置
14 電動機駆動回路
15 直流電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】 操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動機と、前記操舵トルク検出手段の検出値に基づいて前記電動機への操舵トルクに対する出力電流特性を制御し、且つ前記走行状態検出手段の走行状態検出値に基づいて当該電動機の出力トルクに対する回転速度特性を制御する制御手段とを備えた電動式動力舵取装置において、前記制御手段は、多数の出力電流特性及び回転速度特性を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている各特性を選択する選択手段とを備えていることを特徴とする電動式動力舵取装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開平5−85378
【公開日】平成5年(1993)4月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−271926
【出願日】平成3年(1991)9月25日
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)