説明

電動機および電動機の結線方法

【課題】複数のケーブルのステータへの接続作業が容易で小型の電動機および電動機の結線方法の提供。
【解決手段】インホイールモータ1は、ステータに多相交流電流を供給可能なように、ステータコイルに接続された各相用の複数のコイル端子23a,23b,23cを備えている。各相用のケーブル61a,61b,61cの端部に設けられたターミナル613a,613b,613cと、対応する相のコイル端子23a,23b,23cとを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成する。さらに、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ね、隣り合った端子組体同士の間にはインシュレータ部材614a,614bを介装させる。この状態で、クランプ機構5によって積層方向に挟圧することにより、それぞれの端子組体に含まれるターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとを導通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から電力を供給して駆動する電動機および電動機の結線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された多相モータジェネレータに、パワーケーブルを接続するための結線方法に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。この従来技術においては、モータケースの内部に端子台を取り付け、ケーブル端子を有するコネクタをモータケースに装着している。端子台上において、モータジェネレータに接続されるバスバーが各相ごとに平面上に分けて配置されており、コネクタの各相のケーブル端子は対応するバスバーと重なり合い、双方に貫通させたねじを端子台に締め付けることによって、各相ごとにケーブル端子とバスバーとの間の電気的導通を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−353017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1に開示された結線方法においては、各相ごとにケーブル端子とバスバーとをねじにより締め付ける必要があり、その接続作業に手間を要する。また、端子台上において、各相ごとに必要な面積を確保しなければならず、複数相を平面上に分けてケーブルを結線するため、端子台の大型化、延いては、電動機の大型化を招くことになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のケーブルのステータへの接続作業が容易で小型の電動機および電動機の結線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る電動機の発明の構成上の特徴は、モータハウジング内において、円周状に並べられた複数のコイルを有するステータと、ステータの内周側に配置され、ステータに対して回転可能に設けられたロータと、モータハウジング内に設けられ、ステータに多相交流電流を供給可能なように、それぞれ所定数のコイルに導通した各相用の複数のモータ端子と、外部からモータハウジング内に引き込まれ、それぞれモータ端子のうちの一つと接続されるモータ端子と同数のケーブルと、を備えた電動機において、複数のケーブルの端部に取り付けられた各々のケーブル端子と、対応する相のモータ端子とを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねるとともに、隣り合った端子組体同士の間にはインシュレータ部材を介装させた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの端子組体に含まれるケーブル端子とモータ端子とを導通させることである。
尚、ステータおよびロータを内蔵した電動機のボデーの外周面において、ケーブルとモータ端子とを接続するために別体の端子箱等を設けたものを想定した場合、ボデーと端子箱とを包括した構成も、本発明におけるモータハウジングの概念に含まれる。
【0006】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1の電動機において、一端部に形成された荷重受部と、他端部に形成され貫通孔を有する支持部とが対向するとともに、荷重受部と支持部とが連結されて形成されたクランプ部材と、一端部に押圧部を有し、他端部には操作部が形成された回動部材であって、押圧部と操作部との間には、貫通孔に回転可能に嵌合する接続部が形成され、接続部が貫通孔に挿入されることにより、荷重受部と支持部との間に押圧部が配置されるとともに、操作部が支持部に対して押圧部と反対側に配置された状態となり、支持部に対して回転されることにより、クランプ部材に対し荷重受部と支持部との対向方向に相対移動し、押圧部が荷重受部に接近する回動部材と、を備え、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ね、隣り合った端子組体同士の間には、インシュレータ部材を介装させた状態で荷重受部と押圧部との間に配置するとともに、端子組体と荷重受部および端子組体と押圧部との間を絶縁した後、操作部を操作することにより回動部材を回転させ、それぞれの端子組体に含まれるケーブル端子およびモータ端子を、押圧部と荷重受部との間で厚み方向に挟圧することにより互いに導通させることである。
【0007】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または2の電動機において、複数のケーブルは、端部において一体化されたことである。
【0008】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項2または3の電動機において、操作部は半径方向に延在した操作レバーを有し、モータハウジングには、モータハウジングの内外を連通する端子窓が形成され、クランプ部材および回動部材はモータハウジングにおいて端子窓よりも内方に配置され、操作レバーは非操作時においては端子窓の外方に突出し、操作時においては端子窓よりも内方に格納されるように形成され、モータハウジングには端子窓を閉塞する窓カバーが取り付けられることである。
【0009】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項2乃至4のうちのいずれかの電動機において、複数のケーブルは端部においてモータハウジングに固定され、クランプ部材および回動部材は、押圧部と荷重受部との間でケーブル端子を挟圧することにより、ケーブルを介してモータハウジングに対して固定されることである。
【0010】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項2乃至5のうちのいずれかの電動機において、クランプ部材の貫通孔および回動部材の接続部のうちの一方にはカム部が設けられ、貫通孔および接続部のうちの他方には、カム部と係合するカムフォロアが形成され、回動部材は、貫通孔に挿入された状態で回転されることにより、カム部の形状に倣って、クランプ部材に対し荷重受部と支持部との対向方向に移動することである。
【0011】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至6のうちのいずれかの電動機において、車両の駆動輪内に収容され、駆動輪を回転させることである。
【0012】
請求項8に係る電動機の結線方法の発明の構成上の特徴は、モータハウジング内において、円周状に並べられた複数のコイルを有するステータと、ステータの内周側に配置され、ステータに対して回転可能に設けられたロータと、モータハウジング内に設けられ、ステータに多相交流電流を供給可能なように、それぞれ所定数のコイルに導通した各相用の複数のモータ端子と、を備え、外部からモータハウジング内に引き込まれたモータ端子と同数のケーブルを、それぞれモータ端子のうちの一つに繋ぐための電動機の結線方法において、複数のケーブルの端部に取り付けられた各々のケーブル端子と、対応する相のモータ端子とを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねるとともに、隣り合った端子組体同士の間にはインシュレータ部材を介装させた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの端子組体に含まれるケーブル端子とモータ端子とを導通させることである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る電動機によれば、各々のケーブル端子と対応する相のモータ端子とを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの端子組体に含まれるケーブル端子とモータ端子とを導通させている。
これにより、複数のケーブル端子とモータ端子とを接続する場合にも、それらの厚み寸法のスペースがあれば接続することができ、各相の結線構造が平面上に広がることがなく、結線構造を小型化することができる。
【0014】
請求項2に係る電動機によれば、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねた状態で、クランプ部材の荷重受部と回動部材の押圧部との間に配置し、回動部材の操作部を操作することにより回動部材を回転させて荷重受部と支持部との対向方向に移動させ、ケーブル端子とモータ端子とを、押圧部と荷重受部との間で厚み方向に挟圧することにより互いに導通させている。
【0015】
これにより、回動部材を回転させるだけで、ケーブル端子とモータ端子とを導通させることができ、ねじによる締め付け作業等を必要とせず、ケーブルとモータ端子との接続作業を容易にすることができる。
また、ケーブルとモータ端子との結線構造において、ねじを締め付けるためのスペースを必要とせず、結線構造を小型化することができる。
【0016】
請求項3に係る電動機によれば、複数のケーブルは端部において一体化されたことにより、すべてのケーブルをまとめて把持することができ、モータ端子への接続作業が容易になる。
また、モータ端子への接続後に各ケーブルがばらつかず、他部材に干渉することを防ぐことができる。
【0017】
請求項4に係る電動機によれば、操作レバーは、非操作時においては端子窓の外方に突出し、操作時においては端子窓よりも内方に格納されるように形成され、モータハウジングには、端子窓を閉塞する窓カバーが取り付けられることにより、操作レバーが非操作のままでは、端子窓に窓カバーを取り付けることができないため、操作レバーを操作し忘れて、ケーブル端子とモータ端子とが挟圧されない状態で放置されることを防止することができる。
また、電動機の作動中に振動等が発生しても、窓カバーにより、操作レバーが操作位置から非操作位置へと移動することが妨げられるため、ケーブル端子とモータ端子の導通が解除されることを防止することができる。
【0018】
請求項5に係る電動機によれば、複数のケーブルをモータハウジングに固定し、荷重受部と押圧部との間でケーブル端子を挟圧することにより、ケーブルを介してクランプ部材および回動部材をモータハウジングに対して固定している。
これにより、モータハウジング内において、クランプ部材等の固定構造を設ける必要がなく、小型で低コストの電動機にすることができる。
【0019】
請求項6に係る電動機によれば、クランプ部材の貫通孔および回動部材の接続部のうちの一方にはカム部が設けられ、貫通孔および接続部のうちの他方には、カム部と係合するカムフォロアが形成され、回動部材は、貫通孔に挿入された状態で回転されることにより、カム部の形状に倣って、クランプ部材に対し荷重受部と支持部との対向方向に移動する。
これにより、クランプ部材および回動部材を大型化せずに、操作部の操作によって、回動部材を荷重受部と支持部との対向方向に移動させることができる。
【0020】
請求項7に係る電動機によれば、本発明による電動機を、車両の駆動輪内に収容され、駆動輪を回転させる電動機に適用することにより、狭小な駆動輪内において、ケーブル端子とモータ端子とを接続することができる。
【0021】
請求項8に係る電動機の結線方法によれば、各々のケーブル端子と、対応する相のモータ端子とを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの端子組体に含まれるケーブル端子とモータ端子とを導通させている。
これにより、複数のケーブル端子とモータ端子とを接続する場合にも、それらの厚み寸法のスペースがあれば接続することができ、各相の結線構造が平面上に広がることがなく、結線構造を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるインホイールモータが取り付けられた前輪を示した図
【図2】図1に示したインホイールモータにおいて、モータカバーを取り外した状態で右方から見た場合を表した図
【図3】図2におけるA−A断面図
【図4】図2におけるB−B断面図
【図5】図2に示したクランプ機構の分解斜視図(a)、クランプ部材に操作部材を挿入した後、押圧部材と係合させた状態を示した斜視図(b)および支持壁にカムピンを挿入してクランプ機構を完成させた状態を示した斜視図(c)
【図6】ステータを内蔵したモータボデーに、クランプ機構を取り付ける前の状態を示した斜視図
【図7】モータボデーにクランプ機構が取り付けられた状態を示した斜視図
【図8】モータボデーにケーブルが取り付けられた状態を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至図8に基づき、本発明の一実施形態によるインホイールモータ1(本発明の電動機に該当する)について説明する。尚、図1における手前側または図2における左方が車両の前方に該当し、図1および図2における上下方向は、車両の上下方向にほぼ一致するが、本発明による実施形態は、特にこの方向に限られるものではない。また、図1に示した前輪8において、タイヤは図示されていない。以下、説明中において、図2における左方に該当する方向を前方という。
【0024】
図1に示すように、インホイールモータ1は、車両の前輪8(本発明の駆動輪に該当する)内に取り付けられている。インホイールモータ1は、その上部において、車両の操舵力が導入されるナックルアーム45(本発明の取付部材に該当する)と連結されている。ナックルアーム45は、インホイールモータ1とともに前輪8を支承している。また、インホイールモータ1は、その下方部において、フロントサスペンションを構成するロアアーム7と連結されている。
【0025】
図1におけるインホイールモータ1の左方には、図示しない減速機構と接続され、前輪8を構成するディスクロータ81が設けられている。ディスクロータ81の左方には、ディスクホイール82が取り付けられ、ディスクホイール82はインホイールモータ1およびディスクロータ81を覆っている。ディスクホイール82には図示しないタイヤが装着され、これにより、車両の前輪8が形成されている。
【0026】
ナックルアーム45の上端には、アッパボールジョイント451が形成されており、ナックルアーム45はアッパボールジョイント451を介して、フロントサスペンションのアッパアーム(図示せず)と連結されている。一方、ロアアーム7の端部には、ロアボールジョイント71が形成されている。車両のステアリングホイールが操作されることにより、インホイールモータ1は、ナックルアーム45、ディスクロータ81およびディスクホイール82とともに、アッパボールジョイント451およびロアボールジョイント71を中心に、ほぼ水平方向に回動する。
【0027】
インホイールモータ1は通常の3相同期モータで、図2に示すように、ステータ2と、ステータ2の内周側に僅かな隙間を保持して配置され、ステータ2に対して回転可能に設けられたロータ3と、略円筒形を呈しており、ステータ2およびロータ3を内蔵したモータボデー41と、ステータ2およびロータ3を収容した状態にあるモータボデー41の回転軸C方向の一端(図1における右端)を封止するモータカバー42を備えている。モータボデー41には、前述したナックルアーム45が接続されている。
【0028】
ステータ2は、回転磁界を形成するために、ステータリング21の内周側に円周状に保持された複数のステータコイル22(本発明のコイルに該当する)を備えている。尚、前述したモータボデー41、モータカバー42およびステータリング21を包括した構成が、本発明のモータハウジングに該当する。
ステータコイル22は、電力供給用配線6により図示しないインバータと接続され、さらにインバータは車両の高圧バッテリー(図示せず)と接続されている。これにより、高圧バッテリーからステータコイル22へ電力が供給され、インホイールモータ1のロータ3が回転される。ロータ3の回転は減速機構によって減速された後、ディスクロータ81を介してディスクホイール82に伝達され、回転軸C(以下、単に回転軸という)を中心に前輪8を駆動する。
【0029】
次に、インホイールモータ1のU相用コイル端子23a(以下、単にコイル端子23aという場合がある)、V相用コイル端子23b(以下、単にコイル端子23bという場合がある)、W相用コイル端子23c(以下、単にコイル端子23cという場合がある)と電力供給用配線6との結線構造について詳述する。
図6に示すように、モータボデー41の外壁は前方に突出して、所定の容積を有した端子収容部411を形成している。端子収容部411の前面411aには、モータボデー41の内外を連通する結線作業孔411b(本発明の端子窓に該当する)が貫通しており、結線作業孔411bの周囲には、後述する閉止プレート43(本発明の窓カバーに該当する)を取り付けるための複数のボルト孔411cが形成されている。
【0030】
また、端子収容部411の上面411dには、電力供給用配線6を挿入するためのケーブル挿入孔411eが貫通しており、ケーブル挿入孔411eの後方には、電力供給用配線6を固定するための一対のネジ孔411fが形成されている。さらに、端子収容部411の上面411dと対向する床面411gには、上方に突出する一対のクランプ座411hが形成されている。
【0031】
ステータ2のコイル端子23a,23b,23c(本発明のモータ端子に該当する)は、ステータコイル22に3相交流電流を供給するためのもので、導電性を有する金属板を成形することにより形成され、図示しないバスリングを介して、それぞれ所定数のステータコイル22と接続されている。以下、U相用コイル端子23a、V相用コイル端子23bおよびW相用コイル端子23cを総称する場合、コイル端子23a,23b,23cという。
【0032】
コイル端子23a,23b,23cは、ステータリング21に固定されており、ステータリング21をモータボデー41に取り付けることにより、コイル端子23a,23b,23cの電力供給用配線6と接続される側の端部は、端子収容部411内に配置される。コイル端子23a,23b,23cの当該端部は前方に突出しており、モータボデー41の内方から、結線作業孔411bを介して外方を臨むように配置されている。
3つのコイル端子23a,23b,23cは、結線作業孔411b内において回転軸方向に並べられており、互いの間には所定の間隔が形成されている。図3において、U相用コイル端子23aは最も右方に位置しており、V相用コイル端子23bは中央に位置しており、さらに、W相用コイル端子23cは最も左方に位置している。
【0033】
一方、電力供給用配線6を形成する各ケーブル61a、61b、61cは、上述したコイル端子23a,23b,23cに3相交流電流を供給するためのもので、図3において右方に設けられたケーブル61aは、U相用ケーブルである(以下、U相用ケーブル61aという)。また、中央に設けられたケーブル61bは、V相用ケーブルである(以下、V相用ケーブル61bという)。さらに、左側に設けられたケーブル61cは、W相用ケーブルである(以下、W相用ケーブル61cという)。尚、以下、U相用ケーブル61a、V相用ケーブル61bおよびW相用ケーブル61cを総称する場合、ケーブル61a,61b,61cという。
【0034】
図1に示すように、各ケーブル61a,61b,61cは、前輪8を操舵した時に他の部材に干渉しないように、ナックルアーム45の第1クランプ452および第2クランプ453において保持されることにより、ナックルアーム45に沿って下降している。
各ケーブル61a,61b,61cの端部は、グロメット62により束ねられて一体化されている。グロメット62には、金属板により形成され水平方向に延びる取付フランジ63が装着されている(図6示)。
【0035】
図3に示すように、U相用ケーブル61aは、表皮611a内に導電性金属により形成された芯線612aを含んでおり、芯線612aの先端には、U相用ターミナル613a(本発明のケーブル端子に該当する)がかしめにより取り付けられている。U相用ターミナル613aは、導電性の金属板を成形することにより形成されている。
また、U相用ターミナル613aには、図3における左側面を覆うように、インシュレータ部材614aが固着されている。インシュレータ部材614aは、本実施形態においてはセラミックス材料により形成されているが、合成樹脂材料あるいは合成ゴム材料等の絶縁材料であってもよい。
【0036】
また、V相用ケーブル61bもU相用ケーブル61aと同様に、表皮611b内に導電性金属により形成された芯線612bを含んでおり、芯線612bの先端には、V相用ターミナル613b(本発明のケーブル端子に該当する)がかしめられている。また、V相用ターミナル613bの左側面は、U相用ケーブル61aと同様のインシュレータ部材614bにより覆われている。
【0037】
さらに、W相用ケーブル61cもU相用ケーブル61aと同様に、表皮611c内に導電性金属により形成された芯線612cを含んでおり、芯線612cの先端には、W相用ターミナル613c(本発明のケーブル端子に該当する)がかしめられている。また、W相用ターミナル613cの左側面は、インシュレータ部材614cにより覆われている。尚、以下、U相用ターミナル613a、V相用ターミナル613bおよびW相用ターミナル613cを総称する場合、ターミナル613a,613b,613cという。
【0038】
次に、図5に基づいて、クランプ機構5について詳述する。クランプ機構5のクランプ部材51は、その長手方向の両端部に互いに対向する受圧部511(本発明の荷重受部に該当する)と支持壁512(本発明の支持部に該当する)とが形成され、受圧部511と支持壁512とを連結する橋部513を有する略コの字状を呈している。クランプ部材51は、所定のバネ性(弾性)を有する金属材料にて形成されている。
【0039】
支持壁512には、支持孔514(本発明の貫通孔に該当する)がクランプ部材51の長手方向に貫通しており、さらに、支持壁512の上面には、支持孔514内に開口するようにカムピン穴515が形成されている。カムピン穴515にはカムピン516(本発明のカムフォロアに該当する)が嵌入され、カムピン516の下端は支持孔514内に突出している。さらに、クランプ部材51の下面には、前述したモータボデー41のクランプ座411hと係合する、一対の位置決め突部517が突出している。
【0040】
一方、クランプ機構5の押圧部材52(本発明の押圧部に該当する)は、平板部521と平板部521の一側の側面から突出した連結部522とにより形成されている。平板部521の連結部522が接続されていない側の面には、セラミックス材料または合成樹脂材料もしくは合成ゴム材料により形成された絶縁材521aが貼付されている(図4示)。連結部522は、平板部521から延在した小径部522aと、小径部522aの先端に形成された大径の係合部522bとにより形成されている(図5(a)示)。
【0041】
また、クランプ機構5の操作部材53は、クランプ部材51の支持孔514と回転可能に嵌合する支承部531(本発明の接続部に該当する)と、支承部531と軸方向に連結し支承部531よりも大径の回転部532(本発明の操作部に該当する)と、回転部532から半径方向外方に延在したハンドルレバー533(本発明の操作レバーに該当する)とにより形成されている。回転部532の端面には、ハンドルレバー533の破損時等において、回転部532を回動させるために六角レンチを嵌合させる挿入孔532aが形成されている。
【0042】
図5(a)に示したように、支承部531の外周面には、段付形状を有する連結孔531aが、円周上の一箇所に開口するように形成されており、連結孔531aは押圧部材52の連結部522を収容可能となっている。連結部522は、連結孔531aに挿入した状態で、係合部522bが連結孔531aの段付部と係合するため、押圧部材52は操作部材53に対して、支承部531の軸方向に引き抜き不能、かつ、相対回転可能となる。さらに、支承部531の外周面には、前述したクランプ部材51のカムピン516が係合可能なカム溝531b(本発明のカム部に該当する)が形成されている。尚、押圧部材52と操作部材53とを連結させた構成が、本発明の回動部材に該当する。
【0043】
以下、クランプ機構5を形成する方法について説明する。最初に、操作部材53の回転部532が支持壁512の端面に当接するまで、支承部531をクランプ部材51の支持孔514に対し外方から嵌合させる。次に、押圧部材52の連結部522を、支持孔514から突出した連結孔531a内に開口部から挿入して、押圧部材52と操作部材53とを連結させる。これによって、受圧部511と支持壁512との間に平板部521が配置されるとともに、回転部532が支持壁512に対して平板部521と反対側に配置された状態となる(図5(b)示)。
その後、クランプ部材51のカムピン穴515にカムピン516を挿入していき、支持孔514内に突出させて、カムピン516の下端を支承部531のカム溝531bに係合させる。これにより、クランプ機構5は完成する(図5(c)示)。
【0044】
クランプ機構5において、ハンドルレバー533を図5(c)における矢印方向へ操作して、支持壁512に対して操作部材53を回動させると、クランプ部材51と操作部材53とがカム溝531bを介して係合しているため、カム溝531bの形状に倣って、クランプ部材51と押圧部材52および操作部材53との間に相対移動が発生する。すなわち、押圧部材52および操作部材53が受圧部511に向けて付勢され、押圧部材52と操作部材53とが、クランプ部材51に対し受圧部511と支持壁512との対向方向(図5(c)において左方)に相対移動し、平板部521が受圧部511に接近する。
【0045】
次に、コイル端子23a,23b,23cと電力供給用配線6との結線方法について説明する。図6に示したように、モータボデー41の端子収容部411に、ステータリング21に固定されたモータ端子23a,23b,23cが収容された状態で、クランプ機構5がモータボデー41の所定の位置に載置される。クランプ機構5は、クランプ部材51の下面に形成された位置決め突部517を、クランプ座411hに係合させることによって、モータボデー41上に位置決めされる(図7示)。位置決め突部517とクランプ座411hは固着されているわけではなく、互いに係合した状態で、常時、係脱可能となっている。
クランプ機構5はモータボデー41に取り付けられた状態で、クランプ部材51の橋部513が前方に位置しており、クランプ部材51内にコイル端子23a,23b,23cおよびターミナル613a,613b,613cを収容可能となっている。
【0046】
次に、各ケーブル61a,61b,61cを一体化したグロメット62を、前述したモータボデー41のケーブル挿入孔411eに液密的に嵌合させる。その後、一対の取付ボルト64(図7において1つのみ示す)を取付フランジ63に貫通させ、端子収容部411の上面411dに形成されたネジ孔411fに螺合することにより、電力供給用配線6はモータボデー41上に固定される(図8示)。これにより、ケーブル61a,61b,61cは端子収容部411内に引き込まれる。
【0047】
図3および図4に示すように、電力供給用配線6がモータボデー41上に固定された状態において、U相用ケーブル61aのターミナル613aおよびインシュレータ部材614aは、回転軸方向において、U相用コイル端子23aとV相用コイル端子23bとの間に挿入される。これによって、U相用ターミナル613aの図3における右側面はU相用コイル端子23aに対し当接可能となり、U相用インシュレータ部材614aの図3における左側面はV相用コイル端子23bに対し当接可能となる。互いに厚み方向に重ね合わされたU相用コイル端子23aとU相用ターミナル613aとにより、本発明のU相用端子組体が形成される。
【0048】
また、V相用ケーブル61bのターミナル613bおよびインシュレータ部材614bは、回転軸方向において、V相用コイル端子23bとW相用コイル端子23cとの間に挿入される。これによって、V相用ターミナル613bの図3における右側面はV相用コイル端子23bに対し当接可能となり、V相用インシュレータ部材614bの図3における左側面はW相用コイル端子23cに対し当接可能となる。互いに厚み方向に重ね合わされたV相用コイル端子23bとV相用ターミナル613bとにより、本発明のV相用端子組体が形成される。
【0049】
さらに、W相用ケーブル61cのターミナル613cおよびインシュレータ部材614cは、回転軸方向において、W相用コイル端子23cとクランプ部材51の受圧部511との間に配置される。これによって、W相用ターミナル613cの図3における右側面はW相用コイル端子23cに対し当接可能となり、W相用インシュレータ部材614cの図3における左側面は受圧部511に対し当接可能となる。互いに厚み方向に重ね合わされたW相用コイル端子23cとW相用ターミナル613cとにより、本発明のW相用端子組体が形成される。
【0050】
以上より、各々のターミナル613a,613b,613cと、対応する相のコイル端子23a,23b,23cとが、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わされて各相ごとに端子組体が形成され、各相の端子組体が厚み方向に互いに重ねられるとともに、隣り合った端子組体同士の間にはインシュレータ部材614a,614bが介装された状態となる。また、クランプ機構5の平板部521とU相用コイル端子23aとの間には絶縁材521aが介装され、受圧部511とW相用ターミナル613cとの間には、W相用インシュレータ部材614cが設けられている。
【0051】
モータボデー41に、電力供給用配線6およびクランプ機構5を取り付けた状態において、前述したようにクランプ機構5のハンドルレバー533を、図8に示した矢印方向に回動させると、前述したように、クランプ部材51と押圧部材52および操作部材53との間に相対移動が発生する。ここで、位置決め突部517がクランプ座411hに係合しているため、クランプ部材51は、モータボデー41上を移動することができない。したがって、ハンドルレバー533の回動により、操作部材53が押圧部材52とともに、クランプ部材51に対して、受圧部511と支持壁512との対向方向(図8における左方)に移動する。
【0052】
この場合、押圧部材52は操作部材53に対して相対回転可能であるとともに、U相用コイル端子23aおよびクランプ部材51の橋部513等に規制されて回転することができないため、操作部材53のみが回転する。押圧部材52は、受圧部511と支持壁512との対向方向に移動することにより、平板部521によるU相用コイル端子23aへの付勢を開始する。
【0053】
一方、操作部材53の移動によって、カムピン516を介してクランプ部材51が反力を受けるため、受圧部511は、W相用ターミナル613cを覆ったインシュレータ部材614cを図8において右方へと付勢する。これによって、コイル端子23a,23b,23cとターミナル613a,613b,613cは、押圧部材52と荷重を受け止める受圧部511との間で、厚み方向(コイル端子23a,23b,23c、ターミナル613a,613b,613c等の積層方向)に挟圧されて同相のもの同士が導通し、電力供給用配線6とコイル端子23a,23b,23cとの間の結線が終了する。
【0054】
この時、隣り合ったV相用コイル端子23bとU相用ターミナル613aとの間、およびW相用コイル端子23cとV相用ターミナル613bとの間には、それぞれインシュレータ部材614a,614bが設けられ、平板部521とU相用端子組体との間には絶縁材521aが介装され、受圧部511とW相用ターミナル613cとの間にはW相用インシュレータ部材614cが配置されていることにより、これらの間は完全に絶縁されている。前述したように、クランプ部材51は、所定のバネ性を有した金属材料にて形成されているため、少々の撓みを伴いながら、コイル端子23a,23b,23cとターミナル613a,613b,613cを確実に厚み方向に挟圧することができる。
コイル端子23a,23b,23cとターミナル613a,613b,613cとが挟圧されることにより、クランプ機構5は、モータボデー41に取り付けられた電力供給用配線6を介して、モータボデー41に対して固定される。
【0055】
また、ケーブル61a,61b,61cとコイル端子23a,23b,23cとの間の結線を行う場合に、位置決め突部517がクランプ座411hに係合することによって決定されるモータボデー41上のクランプ部材51の位置と、コイル端子23a,23b,23cおよびターミナル613a,613b,613cの位置との間に、多少のずれがあっても、クランプ部材51が弾性を有する材料にて形成されているため、クランプ部材51が撓むことにより、当該位置ずれを吸収することができる。
【0056】
電力供給用配線6がコイル端子23a,23b,23cと結線された後、締付ボルト44によって、閉止プレート43をモータボデー41に取り付け、結線作業孔411bを閉塞する(図8示)。図2に示したように、クランプ機構5は、モータボデー41の結線作業孔411bよりも内方に配置されており、ハンドルレバー533は、図2において破線にて示した非操作時(コイル端子23a,23b,23cとターミナル613a,613b,613cとが挟圧されていない時)においては、前方に延びて結線作業孔411bの外方に突出し、図2において実線にて示した操作時においては、上方へ延在して結線作業孔411bよりも内方に格納されている。
【0057】
本実施形態によれば、各々のターミナル613a,613b,613cと、対応する相のコイル端子23a,23b,23cとを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの端子組体に含まれるターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとを導通させている。
これにより、複数のターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとを接続する場合にも、それらの厚み寸法のスペースがあれば接続することができ、各相の結線構造が平面上に広がることがなく、結線構造を小型化することができる。
【0058】
また、各相の端子組体を厚み方向に互いに重ねた状態で、クランプ部材51の受圧部511と押圧部材52の平板部521との間に配置し、ハンドルレバー533を操作することにより、操作部材53を回転させて、押圧部材52をクランプ部材51の長手方向(受圧部511と支持壁512との対向方向)に移動させ、ターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとを、受圧部511と平板部521との間で厚み方向に挟圧することにより互いに導通させている。
これにより、ハンドルレバー533を操作して操作部材53を回転させるだけで、ターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとを導通させることができ、ねじによる締め付け作業等を必要とせず、ケーブル61a,61b,61cとコイル端子23a,23b,23cとの接続作業を容易にすることができる。
【0059】
また、ケーブル61a,61b,61cとコイル端子23a,23b,23cとの結線構造において、ねじを締め付けるためのスペースを必要とせず、結線構造を小型化することができる。
また、複数のケーブル61a,61b,61cは、端部においてグロメット62によって一体化されたことにより、すべてのケーブル61a,61b,61cをまとめて把持することができ、コイル端子23a,23b,23cへの接続作業が容易になる。
また、コイル端子23a,23b,23cへの接続後に各ケーブル61a,61b,61cがばらつかず、他部材に干渉することを防ぐことができる。
【0060】
また、ハンドルレバー533は、非操作時においては結線作業孔411bの外方に突出し、操作時においては結線作業孔411bよりも内方に格納されるように形成され、モータボデー41には、結線作業孔411bを閉塞する閉止プレート43が取り付けられることにより、ハンドルレバー533が非操作のままでは、結線作業孔411bに閉止プレート43を取り付けることができないため、ハンドルレバー533を操作し忘れて、ターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとが挟圧されない状態で放置されることを防止することができる。
また、インホイールモータ1の作動中に振動等が発生しても、閉止プレート43により、ハンドルレバー533が操作位置から非操作位置へと移動することが妨げられるため、ターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cの導通が解除されることを防止することができる。
【0061】
また、ケーブル61a,61b,61cをモータボデー41に固定し、受圧部511と平板部521との間でターミナル613a,613b,613cを挟圧することにより、ケーブル61a,61b,61cを介してクランプ機構5をモータボデー41に対して固定している。
これにより、モータボデー41内において、クランプ機構5の固定構造を設ける必要がなく、小型で低コストのインホイールモータ1にすることができる。
【0062】
また、クランプ部材51の支持孔514には、操作部材53の支承部531に向けて突出するカムピン516が設けられ、支承部531には、カムピン516と係合するカム溝531bが形成され、操作部材53が、支持孔514に挿入された状態で回転されることにより、カム溝531bが受圧部511に向けて付勢され、押圧部材52と操作部材53とが、カムピン516と係合するカム溝531bの形状に倣って、受圧部511と支持壁512との対向方向に移動する。
これにより、クランプ機構5を大型化せずに、操作部材53の操作によって、押圧部材52と操作部材53とを、受圧部511と支持壁512との対向方向に移動させることができる。
また、インホイールモータ1を、車両の駆動輪である前輪8内に収容され前輪8を回転させる電動機に適用していることにより、狭小な前輪8内において、ターミナル613a,613b,613cとコイル端子23a,23b,23cとを接続することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
操作部材53の支承部531に、クランプ部材51の支持孔514に向けて突出するカムピン516を設け、支持孔514の内周面に、カムピン516と係合するカム溝531bが形成されていてもよい。
また、ハンドルレバー533の操作により、操作部材53がクランプ部材51の長手方向に移動する機構として、カム機構以外のものを使用してもよい。例えば、支承部531と支持孔514に、それぞれ互いに螺合する雄螺子と雌螺子を形成し、操作部材53の回動による螺子の繰り出し作用によって移動させるようにしてもよい。
【0064】
また、クランプ部材51にバネ性を持たせる代わりに、絶縁材521aとU相用コイル端子23aとの間、または受圧部511とW相用インシュレータ部材614cとの間に弾性部材を介装してもよい。
また、本発明は同期モータに限らず、あらゆる電動モータにおいて実施可能である。
また、本発明を適用可能な電動機は、車輪のディスクホイール内に内蔵されるインホイールモータに限られず、その他の車両用モータ、家庭電器用モータ、産業用モータにも使用可能である。
【符号の説明】
【0065】
図面中、1はインホイールモータ(電動機)、2はステータ、3はロータ、8は前輪(駆動輪)、21はステータリング(モータハウジング)、22はステータコイル(コイル)、23aはU相用コイル端子(モータ端子)、23bはV相用コイル端子(モータ端子)、23cはW相用コイル端子(モータ端子)、41はモータボデー(モータハウジング)、42はモータカバー(モータハウジング)、43は閉止プレート(窓カバー)、45はナックルアーム(取付部材)、51はクランプ部材、52は押圧部材(押圧部、回動部材)、61aはU相用ケーブル、61bはV相用ケーブル、61cはW相用ケーブル、411bは結線作業孔(端子窓)、511は受圧部(荷重受部)、512は支持壁(支持部)、514は支持孔(貫通孔)、516はカムピン(カムフォロア)、531は支承部(接続部、回動部材)、531bはカム溝(カム部)、532は回転部(操作部、回動部材)、533はハンドルレバー(操作レバー)、613aはU相用ターミナル(ケーブル端子)、613bはV相用ターミナル(ケーブル端子)、613cはW相用ターミナル(ケーブル端子)、614aはU相用インシュレータ部材、614bはV相用インシュレータ部材、614cはW相用インシュレータ部材を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータハウジング内において、円周状に並べられた複数のコイルを有するステータと、
前記ステータの内周側に配置され、前記ステータに対して回転可能に設けられたロータと、
前記モータハウジング内に設けられ、前記ステータに多相交流電流を供給可能なように、それぞれ所定数の前記コイルに導通した各相用の複数のモータ端子と、
外部から前記モータハウジング内に引き込まれ、それぞれ前記モータ端子のうちの一つと接続される前記モータ端子と同数のケーブルと、
を備えた電動機において、
複数の前記ケーブルの端部に取り付けられた各々のケーブル端子と、対応する相の前記モータ端子とを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の前記端子組体を厚み方向に互いに重ねるとともに、隣り合った前記端子組体同士の間にはインシュレータ部材を介装させた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの前記端子組体に含まれる前記ケーブル端子と前記モータ端子とを導通させることを特徴とする電動機。
【請求項2】
一端部に形成された荷重受部と、他端部に形成され貫通孔を有する支持部とが対向するとともに、前記荷重受部と前記支持部とが連結されて形成されたクランプ部材と、
一端部に押圧部を有し、他端部には操作部が形成された回動部材であって、前記押圧部と前記操作部との間には、前記貫通孔に回転可能に嵌合する接続部が形成され、前記接続部が前記貫通孔に挿入されることにより、前記荷重受部と前記支持部との間に前記押圧部が配置されるとともに、前記操作部が前記支持部に対して前記押圧部と反対側に配置された状態となり、前記支持部に対して回転されることにより、前記クランプ部材に対し前記荷重受部と前記支持部との対向方向に相対移動し、前記押圧部が前記荷重受部に接近する回動部材と、
を備え、
各相の前記端子組体を厚み方向に互いに重ね、隣り合った前記端子組体同士の間には、前記インシュレータ部材を介装させた状態で前記荷重受部と前記押圧部との間に配置するとともに、前記端子組体と前記荷重受部および前記端子組体と前記押圧部との間を絶縁した後、前記操作部を操作することにより前記回動部材を回転させ、それぞれの前記端子組体に含まれる前記ケーブル端子および前記モータ端子を、前記押圧部と前記荷重受部との間で厚み方向に挟圧することにより互いに導通させることを特徴とする請求項1記載の電動機。
【請求項3】
複数の前記ケーブルは、端部において一体化されたことを特徴とする請求項1または2に記載の電動機。
【請求項4】
前記操作部は半径方向に延在した操作レバーを有し、
前記モータハウジングには、前記モータハウジングの内外を連通する端子窓が形成され、
前記クランプ部材および前記回動部材は、前記モータハウジングにおいて前記端子窓よりも内方に配置され、
前記操作レバーは、非操作時においては前記端子窓の外方に突出し、操作時においては前記端子窓よりも内方に格納されるように形成され、
前記モータハウジングには、前記端子窓を閉塞する窓カバーが取り付けられることを特徴とする請求項2または3に記載の電動機。
【請求項5】
複数の前記ケーブルは、
端部において前記モータハウジングに固定され、
前記クランプ部材および前記回動部材は、
前記押圧部と前記荷重受部との間で前記ケーブル端子を挟圧することにより、前記ケーブルを介して前記モータハウジングに対して固定されることを特徴とする請求項2乃至4のうちのいずれか一項に記載の電動機。
【請求項6】
前記クランプ部材の前記貫通孔および前記回動部材の前記接続部のうちの一方にはカム部が設けられ、
前記貫通孔および前記接続部のうちの他方には、前記カム部と係合するカムフォロアが形成され、
前記回動部材は、
前記貫通孔に挿入された状態で回転されることにより、前記カム部の形状に倣って、前記クランプ部材に対し前記荷重受部と前記支持部との対向方向に移動することを特徴とする請求項2乃至5のうちのいずれか一項に記載の電動機。
【請求項7】
車両の駆動輪内に収容され、
前記駆動輪を回転させることを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の電動機。
【請求項8】
モータハウジング内において、円周状に並べられた複数のコイルを有するステータと、
前記ステータの内周側に配置され、前記ステータに対して回転可能に設けられたロータと、
前記モータハウジング内に設けられ、前記ステータに多相交流電流を供給可能なように、それぞれ所定数の前記コイルに導通した各相用の複数のモータ端子と、
を備え、
外部から前記モータハウジング内に引き込まれた前記モータ端子と同数のケーブルを、それぞれ前記モータ端子のうちの一つに繋ぐための電動機の結線方法において、
複数の前記ケーブルの端部に取り付けられた各々のケーブル端子と、対応する相の前記モータ端子とを、互いに当接するように1つずつ厚み方向に重ね合わせて各相ごとに端子組体を形成し、各相の前記端子組体を厚み方向に互いに重ねるとともに、隣り合った前記端子組体同士の間にはインシュレータ部材を介装させた状態で積層方向に挟圧することにより、それぞれの前記端子組体に含まれる前記ケーブル端子と前記モータ端子とを導通させることを特徴とする電動機の結線方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−10506(P2012−10506A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144960(P2010−144960)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】