説明

電動補助力付小型車両

【課題】使用者による走行制御に応じて補助力が付与される簡単な構造の電動補助力付小型車両を提供する。
【解決手段】本発明の電動補助力付小型車両は、把持部(13)と、支持部(17)と、該把持部より該支持部の近くに配置される1対の押圧部(15,16)とを有する把手(10)と、前記把手を前記支持部において軸支する支軸(23)と、前記把持部に加えられる上又は下方向の力の成分に相当する力で前記押圧部によって押圧される1対の電気抵抗変換手段(44,45)とを有する把手支持部材(22)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の操作力に応じて車輪に対する駆動力を発生し、人力による運搬を補助する電動補助力付小型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用者の労力を軽減するためにバッテリ及びモータ等を具備し、使用者による走行制御に応じて走行する電動アシスト機構付き車両がある。この種の車両として、例えば、左右一対の車輪に補助動力を与えるため各々設けられた左右の駆動手段と、車椅子部分又は車輪とハンドル操作部分との間に介在された左右の変形回復性部材と、左右の変形回復性部材の各々に取り付けられた左右の歪み検出手段と、左右の歪み検出手段の出力信号に応じて左右の駆動手段を個別に制御する制御手段とを備える台車がある。この台車では、ステンレス鋼などの金属材料からなる直方体プレートにより形成された変形回復性部材が使用され、直接ハンドルにその長辺を車両の前後方向に一致させるように組み込ませている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−176195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の台車は、変形回復性部材の歪み検出手段として歪みゲージセンサーが使用されているため、ノイズに敏感に影響されるという欠点がある。その結果、必ずしも使用者の意図するように動かないという問題がある。さらに、出力信号が小さいためマイクロコンピュータや増幅回路が必要となり、構造が複雑でコスト高になるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、使用者による走行制御に応じて補助力が付与される簡単な構造の電動補助力付小型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動補助力付小型車両は、使用者が握る把持部(13)と、支持部(17)と、該把持部より該支持部の近くに配置される1対の押圧部(15,16)とを有する把手(10)と、前記把手を前記支持部において軸支する支軸(23)と、前記把持部に加えられる上又は下方向の力の成分に相当する力で前記押圧部によって押圧される力に対応して電気抵抗値を変更する1対の電気抵抗変換手段(45,46)とを有する把手支持部材(22)とを具備する。
【0007】
また、本発明の別の態様では、本発明に係る電動補助力付小型車両は、使用者が握る把持部(113)と、支持部(117)と、該把持部より該支持部の近くに配置され押圧される力に対応して電気抵抗値を変更する1対の電気抵抗変換手段(145,146)とを有する把手(110)と、前記把手を前記支持部において軸支する支軸(123)と、前記電気抵抗変換手段を前記把持部に加えられる上又は下方向の力の成分に相当する力で押圧する1対の押圧部(115,116)とを有する把手支持部材(122)とを具備する。
【0008】
本発明において、本体が水平面上に置かれるとき、把持部は、該把持部の前方から後方にかけて所定角度で後方が下がるように傾斜して取り付けられるのが好ましい。このことによって、使用者が前進させようとして電動補助力付小型車両を押すときには把持部に下方向、後退させようとして引っ張るときには上方向の力の成分が付与されるので、その力の大きさに従って駆動輪の回転数を増加させ、使用者が意図する方向に動かすことができる。
【0009】
好ましい態様では、水平方向に旋回する前記把手(10)の回転角度に対応する力を1対の第2の電気抵抗変換手段(55,56)に押圧する1対の第2の押圧部(35,36)を有し、前記第2の電気抵抗変換手段は各々前記第2の押圧部から押圧される力に対応して電気抵抗値を変更する。このことによって、使用者が電動補助力付小型車両を左又は右方向に動かそうと把持部を該方向に旋回させると、使用者が旋回させる方向と反対側の駆動輪の回転数を増加させ、意図する方向に動かすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電動補助力付小型車両によれば、把手は、その支持部において軸支され、把持部より支持部近くに配置され、把持部に加えられる上又は下方向の力の成分に相当する力で押圧する1対の押圧部又は電気抵抗変換手段を有し、把手支持部材は、対応する位置に電気抵抗変換手段又は押圧部を配置する。このため、使用者が把持部に与えた力の上下方向の力の大きさに対応していずれかの電気抵抗変換手段の抵抗値が変わるので、使用者による走行制御に応じて補助力が付与される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係る電動補助力付車両の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る電動補助力付車両の把手部分を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】図2(a)のA−A線矢視縦断面図である。
【図4】図2(b)のB−B線矢視断面図である。
【図5】図2(b)のC方向から見た正面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る電動補助力付車両の把手部分を示す側面図である。
【図7】図6の部分中央縦断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る電動補助力付車両の把手部分を示す側面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る電動補助力付車両の把手部分を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る電動補助力付小型車両(本明細書において単に「車両」ということがある。)の外観を示す。
本実施例では、車両は歩くのが不自由な人が本体1の座席2に座って移動することができる車椅子100であり、前後に1対ずつ車輪を備える。後輪は駆動輪3,3であり、前後方向に対して直交する方向に併設され、左右のモータ7,7の各回転軸に接続される。各モータ7はコントローラ9によって制御されたモータ電流により回転する。前輪は本体1に回転自在に設置された遊輪5,5である。
【0014】
介助者(本明細書において「使用者」ということがある。)は、2つの把手10,11を持って車椅子100を操縦する。1の把手10は、本体1に固着された支持腕20に軸支され、上下方向に回動可能である。また、支持腕20の長手方向の中心線を軸として左右方向に回動可能である。他の把手11は、本体1に固着した支持腕21に固定して取り付けられている。
本明細書において、車椅子100が前進又は後退する方向を前後方向といい、使用者が車椅子100の後部に立ち前進する方向に向いたとき、左手方向を左方向、右手方向を右方向、頭上方向を上方向、足裏方向を下方向という。
【0015】
図2は、実施例1に係る車椅子100の把手10及びその支持腕20への取付状態を示す。把手10は、把持部13と支持部17と1対の押圧部(図示せず)を有する。把持部13は使用者が操作するとき手で握る部分であり、支持部17は支持腕20に取り付けられた把手支持部材22の支軸23で把手10を軸支する部分である。
支持腕20は、一端が本体(図示せず)に固着され、他端には回動制限部材28と回動部材26とが取り付けられ、回動部材26はその回動面に平行に取り付けられた軸24を有する。把手支持部材22は軸24を中心に回動可能であり、所定の角度で支持腕20に固定される。本実施例では、車椅子100が水平面に置かれたとき把手10の長手方向の中央線が水平線に対して10度傾斜し、把持部13の後端が下がる位置で固定される。
把手10は、図2(b)に示すように、把手支持部材22の支軸23で支持部17が軸支され、支持腕20を介して本体1に傾斜して取り付けられた把手支持部材22を上下から挟んでいるので、把手10は把持部13の後端がその前方より水平面に対して10度下がる状態で軸支される。
【0016】
図3は、図2(a)のA−A線矢視縦断面図である。図3に示すように、把手10の支持部17に設けられた孔は、把手支持部材22に設けられた支軸23と嵌合し、把手10は支軸23を中心として回動可能である。把手10の前方先端部は、上部18と下部19に分かれ、各部に1対の押圧部15,16がそれぞれ配置される。支持部17は、把持部(図示せず)と押圧部15,16との中間にあって、把持部(図示せず)より1対の押圧部15,16近くに位置する。
把手支持部材22には、押圧部15,16と対応する位置に1対の電気抵抗変換手段45、46がそれぞれ配置されている。したがって、押圧部15,16は把持部13に加えられた力の上又は下方向の力の成分で電気抵抗変換手段45、46をそれぞれ押圧する。
【0017】
一端が本体(図示せず)に固着された支持腕20の他端の外周縁に回動制限部材28が固定され、さらに支持腕20の長手方向の中心線を軸として回動する回動部材26が取り付けられる。支持腕20と回動部材26の間にはベアリング29が配置され、回動部材26が支持腕20に対してその長手方向における中心線を軸として回動することができる。
図4は、図2(b)のB−B線矢視横断面図である。図4に示すように、回動部材26を両側から挟んで回動制限部材28,28が配置される。回動制限部材28,28には1対の第2の押圧部35,36がそれぞれ配置される。回動部材26には、第2の押圧部35,36と対応する位置に1対の第2の電気抵抗変換手段55、56を有する。
【0018】
図5は、図2(b)のC方向から見た正面図である。図5において回動制限部材28は、支持腕20の外周縁に固着されている。このため、回動部材26がその長手方向の中心線(又は支持腕20の中心線)を軸として回動すると、その動きは回動制限部材28によって制限される。
このような構造なので、把手10に左右の旋回方向の力が加えられれば、回動部材26は、支持腕20の長手方向の中心線を軸とする回転力が付与され回動を開始するが、回動制限部材28に当接して停止する。このとき、さらに回動させようとする力によって、第2の電気抵抗変換手段55,56(図4参照)は第2の押圧部35,36によってそれぞれ押圧される。
【0019】
電気抵抗変換手段45,46,55,56は、いずれも加えられる力に反比例して感圧素子の抵抗が変化する薄いフィルム形状であり、押圧部15,16,35,36の微小の動作を圧力変換できる面圧力検出センサである。本実施例では、ニッタ株式会社製圧力センサFlexiForceA201−100を使用した。コントローラ9(図1参照)では、電気抵抗変換手段45,46,55,56からの信号に種々のパラメータによる論理計算に基づいて、左右のモータ7,7(図1参照)へ送る電力を制御する。
本実施例において電気抵抗変換手段45,46,55,56の中間圧力位置まで予圧を与えることにより、電気抵抗変換手段45,46で上下方向、第2の電気抵抗変換手段55,56で左右の旋回方向の力の検出がより正確にできる。
【0020】
次に、上記車椅子100の動作について説明する。
車椅子100を前進させるとき、使用者は、両手で把手10(図1参照)を持って下方向に力を加える、あるいは本体1を前方に押す。すると、把手10の長手方向の中心線が把持部13より支持部17の方が高くなるように傾斜しているので、支軸23を支点として回転力(図2(b)及び図3において紙面上反時計回り)が生じ、押圧部16に上向きの力が加わる。しかも、押圧部16は、支持部17を中心として把持部13と反対方向、かつ把持部13より支持部17に近い位置に設けられているので、把持部13における下方向の力がてこの原理によって大きな力として圧力センサ46を加圧する。すると、圧力センサ46の感圧素子の抵抗が圧力に反比例して、減少する。
この電気抵抗値はコントローラ9に伝えられ、抵抗値の大きさと押圧時間によって電圧が増加するので、左右のモータ7,7を前進方向に回転させる所定の電力が供給され、左右の駆動輪3,3に前進方向の補助力が与えられる。
【0021】
反対に、車椅子100を後退させようとして使用者が把持部13を握って上方向に力を加える、あるいは引っ張ると、支軸23を支点として回転力(図2(b)及び図3において紙面上時計回り)が生じ、押圧部15に下向きの力が加わる。しかも、押圧部15は、支持部17を中心として把持部13と反対方向、かつ把持部13より支持部17に近い位置に設けられているので、把持部13における上方向の力がてこの原理によって大きな力として圧力センサ45を押圧する。すると、圧力センサ45の感圧素子の電気抵抗値が圧力に反比例して、減少する。
この電気抵抗値はコントローラ9に伝えられ、電気抵抗値の大きさと押圧時間によって電圧が増加するので、左右のモータ7,7を後退方向に回転させる所定の電力が供給され、左右の駆動輪3,3に後退方向の補助力が与えられる。
【0022】
次に、車椅子100を左右に方向転換させる動作について説明する。使用者は、車椅子100を右回転させるときには、把手10を右に旋回する。この操作に応じて把手10は、把手支持部材22を介して回動部材26をその長手方向の中心線を軸として右方向に回動する力を加える。回動部材26が右方向(図4において紙面上時計回り)に回動すると、回動部材26に配置されている第2の電気抵抗変換手段55,56も同方向に回動し、図4において第2の電気抵抗変換手段55が第2の押圧部35によって押圧され、把手10の回転角度に対応して、第2の電気抵抗変換手段55の電気抵抗値が減少する。
【0023】
この電気抵抗値の減少はコントローラ9(図1参照)に伝えられ、電気抵抗値の大きさと押圧時間によって所定の回転力が左右のモータ7,7に与えられ、左右の駆動輪3,3に補助力が与えられる。例えば、左モータ7により大きな前進方向の回転力が与えられる。また、把手10の回転角度又は加圧力が所定値より大きい場合には、左モータ7に前進方向の回転力が与えられ、かつ右モータ7に後進方向の回転力が与えられる。
【0024】
反対に、車椅子100を左回転させる場合には、回動部材26及び第2の電気抵抗変換手段55,56が左方向(図4において紙面上反時計回り)に回動し、図4において第2の電気抵抗変換手段56が第2の押圧部36によって押圧され、把手10の回転角度に対応して、第2の電気抵抗変換手段56の電気抵抗値が減少する。この電気抵抗値の減少はコントローラ9(図1参照)に伝えられ、電気抵抗値の大きさと押圧時間によって所定の回転力が左右のモータ7,7に与えられ、左右の駆動輪3,3に左回転方向の補助力が与えられる。
【実施例2】
【0025】
図6は、本発明の実施例2に係る電動補助力付車両の把手部分を示し、図7は図6の部分中央縦断面図である。本実施例では、把手110は、把持部113(図6参照)と支持部117との中間に1対の電気抵抗変換手段145,146(図7参照)を配置する。把手支持部材122は、把手110を支持部117において軸支する支軸123と電気抵抗変換手段145,146に加圧力を与える1対の押圧部115,116を有し、その一端は本体の左右方向と平行に設けられた軸124に所定の傾斜角(本体が水平面上に置かれるとき水平線に対して約10度)で取り付けられている。その他の構成は実施例1に係る電動補助力付小型車両100と同じである。
【0026】
上記のような構成の本実施例では、把手110は、その先端部にある支持部117において支軸123で軸支され、把持部113と支持部117との中間に1対の電気抵抗変換手段145,146が配置され、把手支持部材122は、電気抵抗変換手段145,146に対応する位置に1対の押圧部115,116を備える。把持部113はその後端が下がる方向に傾斜しているので、使用者が車椅子を前進させようとして本体(図示せず)を前方に押すと、把手110には支軸123を支点として回転力(図7において紙面上反時計回り)が生じ、電気抵抗変換手段146は押圧部116と当接し、固定された押圧部116から上向きの加圧力を受ける。しかも、電気抵抗変換手段146は把持部113より支持部117に近い位置に設けられるので、把持部113における上方向の力がてこの原理によって大きな力として押圧部116が電気抵抗変換手段145に加圧力を与える。
【0027】
本実施例において、電気抵抗変換手段145,146は圧力センサであり、圧力センサ146が押圧されると電気抵抗値が減少し、この減少がコントローラ9(図1参照)に伝達され、前進方向に回転させる電力が左右のモータ7,7(図1参照)に供給される。
後退させる場合には、圧力センサ145は押圧部115から下向きの力で押圧され、電気抵抗値が減少し、この減少がコントローラ9(図1参照)に伝達され、後退方向に回転される所定の電力が左右のモータ7,7(図1参照)に供給される。
【実施例3】
【0028】
図8は、本発明の実施例3に係る電動補助力付車両の把手部分を示す。
本実施例では、実施例1の場合と同様に、把手210は、支持部217を中心として把持部213と反対方向、かつ把持部213より支持部217に近い位置に一対の押圧部215,216を有する。しかしながら、実施例1の場合と違って、把手210は支持部217において垂直に曲がった形状である。つまり、1対の押圧部215,216を結ぶ線が把持部213の長手方向の中心線上になく、支持部217において垂直に曲がった線上にある。
【0029】
一方、把手支持部材222は、回動部材226と一体あるいはその中心線に沿って長手方向に伸びた構造であるが、その中心線は本体の上下方向の垂直線に対して約10度傾斜して取り付けられる。その先端に支軸223が該傾斜に直交して取り付けられ、把手210は支持部217において支軸223で軸支される。実施例1と同様に、押圧部215,216と対応する把手支持部材222の位置に1対の電気抵抗変換手段245,246が配置される。その他の構成は実施例1に係る電動補助力付小型車両100と同じである。
【0030】
上記のような構成の本実施例では、実施例1の場合と同様な力が電気抵抗変換手段245,246に作用する。つまり、使用者が車椅子を前進させようとして把持部213に下方向の力を加える、又は本体1(図示せず)を前方に押すと、把手210には支軸223を支点として回転力(図8において紙面上反時計回り)が生じ、押圧部215は電気抵抗変換手段245に加圧力を与える。
反対に、使用者が車椅子を後退させようとして把持部213に上方向の力を加える、又は把持部213を引っ張ると、把手210には支軸223を支点として回転力(図8において紙面上時計回り)が生じ、押圧部216は電気抵抗変換手段246に加圧力を与える。
【0031】
本実施例において、電気抵抗変換手段245,246は圧力センサであり、圧力センサ245が押圧されると電気抵抗値が減少し、この減少がコントローラ9(図1参照)に伝達され、前進方向に回転させる電力が左右のモータ7,7(図1参照)に供給される。
後退させる場合には、圧力センサ246は押圧部216によって押圧され、電気抵抗値が減少し、この減少がコントローラ9(図1参照)に伝達され、後退方向に回転される所定の電力が左右のモータ7,7(図1参照)に供給される。
【実施例4】
【0032】
図9は、本発明の実施例4に係る電動補助力付車両の把手部分を示す。
本実施例では、実施例3の場合と同様に、把手310は、支持部317を中心として把持部313と反対方向、かつ把持部313より支持部317に近い位置に1対の押圧部315,316を有するが、実施例3の場合と違って、把手310は、把持部313と支持部317の間で湾曲している。この場合においても、本体が水平面上に置かれるとき、把持部313は、前方から後方にかけて所定の角度(水平線に対して約10度)で、後方が下がるように傾斜して取り付けられる。その他の構成は実施例1又は3に係る電動補助力付車両と同じである。
【0033】
上記のような構成の本実施例では、使用者が車椅子を前進させようとして把持部313に下方向の力を加える、又は本体1(図示せず)を前方に押すと、把手310に支軸323を支点として回転力(図9において紙面上反時計回り)が生じ、押圧部315は電気抵抗変換手段345に加圧力を与える。
反対に、使用者が車椅子を後退させようとして把持部313に上方向の力を加える、又は把持部313を引っ張ると、把手310には支軸323を支点として回転力(図9において紙面上時計回り)が生じ、押圧部316は電気抵抗変換手段346に加圧力を与える。
【0034】
上記実施例では車両として車椅子の例を挙げたが、台車など使用者が操作し、電動の補助力を与えることによって使用者が比較的小さな操作力で動かすことができる車輪を有する小型の車両であれば車椅子に限られなくて適用できる。
上記実施例では操作力の検出手段として圧力センサを使用したが、操作力及びその方向を検出し得るものであればこれに限定されるものではなく、例えばポテンショメータ等を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上説明したように、本発明に係る電動補助力付小型車両は、電動車台車、電動車椅子、電動乳母車などとして利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 本体
3 駆動輪
5 遊輪
7 モータ
9 コントローラ
10,11,110,210,310 把手
13,113,213,313 把持部
15,16,115,116,215,216,315,316 押圧部
17,117,217,317 支持部
20,21,120 支持腕
22,122,222 把手支持部材
23,123,223,323 支軸
24,124 軸
26,126,226 回動部材
28,128 回動制限部材
29 ベアリング
35,36 第2の押圧部
45,46,145,146,245,246,345,346 電気抵抗変換手段,圧力センサ
55,56 第2の電気抵抗変換手段,圧力センサ
100 電動補助力付小型車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が握る把持部(13)と、支持部(17)と、該把持部より該支持部の近くに配置される1対の押圧部(15,16)とを有する把手(10)と、
前記把手を前記支持部において軸支する支軸(23)と、前記把持部に加えられる上又は下方向の力の成分に相当する力で前記押圧部によって押圧される力に対応して電気抵抗値を変更する1対の電気抵抗変換手段(45,46)とを有する把手支持部材(22)と
を具備する電動補助力付小型車両。
【請求項2】
使用者が握る把持部(113)と、支持部(117)と、該把持部より該支持部の近くに配置され押圧される力に対応して電気抵抗値を変更する1対の電気抵抗変換手段(145,146)とを有する把手(110)と、
前記把手を前記支持部において軸支する支軸(123)と、前記電気抵抗変換手段を前記把持部に加えられる上又は下方向の力の成分に相当する力で押圧する1対の押圧部(115,116)とを有する把手支持部材(122)と
を具備する電動補助力付小型車両。
【請求項3】
前記本体が水平面上に置かれるとき、前記把持部は、該把持部の前方から後方にかけて所定角度で後方が下がるように傾斜して取り付けられる請求項1又は2記載の電動補助力付小型車両。
【請求項4】
水平方向に旋回する前記把手(10)の回転角度に対応する力を1対の第2の電気抵抗変換手段(55,56)に押圧する1対の第2の押圧部(35,36)を有し、前記第2の電気抵抗変換手段は各々前記第2の押圧部から押圧される力に対応して電気抵抗値を変更する請求項1乃至3のいずれか1項記載の電動補助力付小型車両。
【請求項5】
前記電気抵抗変換手段及び前記第2の電気抵抗変換手段はいずれも圧力センサであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の電動補助力付小型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−110655(P2012−110655A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276343(P2010−276343)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000113997)株式会社アクリテック (20)