説明

電子内視鏡システム及び内視鏡挿入部の温度検知方法、並びに電子内視鏡用プロセッサ装置

【課題】内視鏡挿入部に別途温度センサを配置することなく、先端部分の温度を検知可能とする。
【解決手段】電子内視鏡(12)の挿入部の先端部に、固体撮像素子(58)を有する撮像装置(54)が内蔵されるとともに、当該先端部に固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器(82)が内蔵される。撮像装置(54)から出力される撮像信号に信号処理を施すプロセッサ装置(14)は、撮像信号からクロック信号を抽出するクロック抽出手段(86)と、発振器(82)の温度と発振周波数の関係を示す相関データを記憶するデータ格納手段(94)を備え、撮像信号から抽出されるクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、発振周波数の温度依存性を利用して、電子内視鏡(12)の先端部の温度を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子内視鏡システム及び内視鏡挿入部の温度検知方法に係り、特に、内視鏡挿入部の先端部分に固体撮像素子が搭載された電子内視鏡と、各種信号処理を行うプロセッサ装置とを備える電子内視鏡システム及びその内視鏡挿入部の温度検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野などで利用される電子内視鏡システムは、被検体内に挿入され、固体撮像素子により被検体内を撮像する撮像装置を備えた電子内視鏡(スコープ)と、撮像装置の動作を制御するとともに、撮像装置から出力される撮像信号に各種信号処理を施してモニタに内視鏡画像を表示させるプロセッサ装置とから構成される。
【0003】
電子内視鏡に搭載される固体撮像素子としては、従来ではCCD(Charge Coupled Device)センサが一般的であったが、近年ではCMOS(Complementary Metal OxideSemiconductor)センサが用いられるようになってきている(特許文献1)。CMOSセンサは、CCDセンサに比べて、低電圧駆動が可能であり、多画素化と高速読出し化の要求に対応することが容易である。また、製造工程においてCMOSプロセスを使用でき、同一チップ内に駆動回路や処理回路などの周辺回路を混載することが可能であり、小型化にも有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−263057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡挿入部の内部は、CMOSセンサの発熱、ライトガイドの光量ロスによる発熱などで温度が上昇しやすい。内視鏡挿入部分の内部温度が上昇すると、画像信号のノイズが増加し、画質が低下する。また、内視鏡挿入部先端の温度が高温になると、人体組織に熱損傷を引き起こす可能性もある。このため、内視鏡挿入部の温度を検知して、温度をコントロールしたり、温度上昇時に内視鏡操作者に警告を出したりするなどの予防措置を講じることが望まれる。
【0006】
しかしながら、内視鏡挿入部には、ライトガイド、レンズ、CMOSセンサ、鉗子口などが存在し、一般的には温度センサを配置する余裕が無いことが多い。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡挿入部に別途温度センサを配置することなく、先端部分の温度を検知することができる電子内視鏡システム及び電子内視鏡挿入部の温度検知方法、並びに電子内視鏡用プロセッサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る電子内視鏡システムは、被検体に挿入される内視鏡挿入部の先端部に固体撮像素子を有する撮像装置が内蔵されるとともに、当該先端部に前記固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器が内蔵された電子内視鏡と、前記電子内視鏡の前記撮像装置から出力される撮像信号に信号処理を施すプロセッサ装置と、を備え、前記プロセッサ装置は、前記撮像装置から出力される撮像信号から前記クロック信号を抽出するクロック抽出手段と、前記発振器の温度と発振周波数の関係を示す相関データを記憶するデータ格納手段と、前記撮像信号から抽出されるクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、前記先端部の温度を検知する温度検知処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、電子内視鏡の挿入部の先端部分に内蔵した発振器の発振周波数と温度の関係(周波数の温度依存性)を利用して、撮像信号に含まれるクロック信号の周波数に対応する情報から先端部の温度を特定することができる。発振器は、固体撮像素子の駆動に必要なクロックを発生させるために内視鏡挿入部の先端部分に配置されており、この発振器を温度情報の取得手段とし兼用している。これにより、内視鏡挿入部の先端部に別途、温度センサを設けることなく、温度の検知が可能である。
【0010】
本発明の一態様として、前記電子内視鏡の挿入部の先端面に設けられた照明窓から照射する照明光を発生させる光源装置を備え、前記温度検知処理手段により検知された温度に基づき、前記光源装置の光量を制御する光量制御手段を備えたことを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0011】
かかる態様によれば、検知された温度が規定の温度よりも高い場合には、光量を低下させる制御を行うことにより、温度の上昇を抑制することが可能である。
【0012】
本発明の他の態様として、前記温度検知処理手段により検知された温度に基づき、警告を行う報知手段を備えたことを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0013】
検知された温度が規定の温度よりも高い場合には、光源装置の光量制御に代えて、或いは、これと組み合わせて、オペレータに対して、注意を促す警告を提示する構成が好ましい。
【0014】
本発明の他の態様として、前記プロセッサ装置の信号処理によって生成された画像データを電子内視鏡として表示させる表示装置と、前記温度検知処理手段により検知された温度が規定温度を超える場合に、前記表示装置に警告を表示させる表示制御手段と、を備えたことを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0015】
電子内視鏡画像を表示させる表示装置を警告表示用の表示手段として利用することができる。
【0016】
本発明の他の態様として、前記温度検知処理手段は、前記撮像信号における画素単位のピクセルクロックをカウントすることにより、前記クロック信号の周波数を表す値を取得することを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0017】
かかる態様によれば、電子内視鏡の撮像装置からプロセッサ装置が受信する撮像信号は、画素毎の画像データと固体撮像素子の読み出し用のクロックとが混在した信号列となっている。プロセッサ装置側でピクセルクロックをカウントすることにより、クロック信号の周波数を反映した情報を得ることができる。
【0018】
本発明の他の態様として、前記温度検知処理手段は、前記撮像信号からフレーム期間を計測することにより、前記クロック信号の周波数を表す値を取得することを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0019】
かかる態様によれば、プロセッサ装置において、内視鏡画像の1フレーム分を構成する画像データ列の時間長さ(フレーム期間)を測定することにより、クロック信号の周波数を反映した情報を得ることができる。
【0020】
本発明の他の態様として、前記プロセッサ装置は、前記先端部に内蔵された前記発振器と同一の周波数温度特性を持つ他の発振器を備え、当該他の発振器の周波数と、前記撮像信号から把握される前記先端部内の前記発振器の周波数とを比較する比較演算手段を備えることを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0021】
かかる態様によれば、内視鏡挿入部の先端部に内蔵した発振器(第1の発振器)と同一特性を持つ他の発振器(第2の発振器)がプロセッサ装置に搭載される。プロセッサ装置は、これら両発振器の周波数を比較することで、これら発振器の周波数温度特性を利用して温度を算出する。
【0022】
周波数の値を直接比較してもよいし、周波数に対応する値(ピクセルクロックのカウント値やフレーム期間など、周波数を反映した間接的な値)を用いて比較してもよい。
【0023】
本発明の他の態様として、前記固体撮像素子は、CMOS型固体撮像素子であることを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0024】
また、CMOS型固体撮像素子を用いる場合、さらに、前記内視鏡挿入部の先端部に内蔵される前記固体撮像素子及び前記発振器が同一の半導体パッケージに納められていることを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0025】
本発明の他の態様として、前記撮像装置は、前記固体撮像素子から読み出された電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器によりデジタル化された撮像信号をパラレル信号からシリアル信号に変換するパラレル/シリアル変換部と、を備えていることを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0026】
かかる態様によれば、電子内視鏡の撮像装置と、プロセッサ装置との間の信号伝送路を構成する信号線を少なくすることができ、挿入部の小型化、細径化を達成できる。
【0027】
本発明の他の態様として、前記撮像装置から出力される撮像信号はLVDS伝送方式の通信手段を介して前記プロセッサ装置に伝送されることを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0028】
電子内視鏡の撮像装置とプロセッサ装置とをつなぐ信号伝送系には、外乱ノイズの影響を受けにくいLVDS伝送方式を採用する態様が好ましい。
【0029】
本発明の他の態様として、前記発振器に水晶振動子が用いられていることを特徴とする電子内視鏡システムを提供する。
【0030】
発振器として、水晶振動子を好適に用いることができるが、水晶振動子に限らず、セラミック振動子その他の振動子、LC発振器、RC発振器を採用することも可能である。検知しようとする温度領域において、周波数の温度依存性を持つ発振器を採用できる。
【0031】
前記目的を達成するために、被検体に挿入される内視鏡挿入部の先端部に、固体撮像素子を有する撮像装置が内蔵された電子内視鏡と、前記電子内視鏡の前記撮像装置から出力される撮像信号の信号処理を行うプロセッサ装置と、を備えた電子内視鏡システムにおける前記内視鏡挿入部の温度を検知する方法であって、前記内視鏡挿入部の先端部に、前記固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器を内蔵し、前記発振器の温度と発振周波数の関係を示す相関データを前記プロセッサ装置のデータ格納手段に記憶させておき、前記撮像装置から出力される撮像信号から前記クロック信号を抽出し、前記撮像信号から抽出したクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、前記先端部の温度を検知することを特徴とする内視鏡挿入部の温度検知方法を提供する。
【0032】
また、前記目的を達成するために、被検体に挿入される内視鏡挿入部の先端部に、固体撮像素子を有する撮像装置と前記固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器とが内蔵された電子内視鏡に接続され、前記電子内視鏡の前記撮像装置から出力される撮像信号の信号処理を行う電子内視鏡用プロセッサ装置であって、前記撮像装置から出力される撮像信号から前記クロック信号を抽出するクロック抽出手段と、前記発振器の温度と発振周波数の関係を示す相関データを記憶するデータ格納手段と、前記撮像信号から抽出されるクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、前記先端部の温度を検知する温度検知処理手段と、を備えた電子内視鏡用プロセッサ装置を提供する。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、内視鏡挿入部に別途温度センサを配置することなく、挿入部先端の温度を検知することができる。また、本発明によれば、固体撮像素子の駆動に用いるクロック信号をプロセッサ装置側から供給する必要がないため、信号線を省略でき、内視鏡挿入部の小型化を達成できる。
【0034】
さらに、本発明により検知した温度情報を利用して光源装置の光量を制御したり、警告を提示したりする措置をとることにより、適切な温度管理を実現できる。その結果、温度上昇による画像ノイズ増加や人体組織への熱の影響を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る電子内視鏡システムの概略構成を示した全体構成図
【図2】電子内視鏡における挿入部の先端部を示した正面図
【図3】電子内視鏡における挿入部の先端部を示した側面断面図
【図4】本例の内視鏡システムにおける電子内視鏡及びプロセッサ装置の構成を示したブロック図
【図5】ATカット水晶振動子の周波数温度特性の例を示すグラフ
【図6】BTカット水晶振動子の周波数温度特性の例を示すグラフ
【図7】本例の内視鏡システムにおける制御例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0037】
図1は本発明の実施形態に係る電子内視鏡システムの概略構成を示した全体構成図である。図1に示すように、本実施形態の内視鏡システム10は、電子内視鏡12、プロセッサ装置14、光源装置16などから構成される。電子内視鏡12は、患者(被検体)の体腔内に挿入される可撓性の挿入部20と、挿入部20の基端部分に連設された操作部22と、プロセッサ装置14及び光源装置16に接続されるユニバーサルコード24とを備えている。
【0038】
挿入部20の先端には、体腔内撮影用のCMOS撮像装置(撮像チップ)54(図3参照)などが内蔵された先端部26が連設されている。先端部26の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部28が設けられている。湾曲部28は、操作部22に設けられたアングルノブ30が操作されて、挿入部20内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部26が体腔内の所望の方向に向けられる。
【0039】
ユニバーサルコード24の基端は、コネクタ36に連結されている。コネクタ36は、複合タイプのものであり、コネクタ36にはプロセッサ装置14が接続される他、光源装置16が接続される。
【0040】
プロセッサ装置14は、ユニバーサルコード24内に挿通されたケーブル68(図3参照)を介して電子内視鏡12に給電を行い、CMOS撮像装置54の駆動を制御するとともに、CMOS撮像装置54からケーブル68を介して伝送された撮像信号を受信し、受信した撮像信号に各種信号処理を施して画像データに変換する。プロセッサ装置14で変換された画像データは、プロセッサ装置14にケーブル接続されたモニタ38(「表示装置」に相当)に内視鏡画像として表示される。また、プロセッサ装置14は、コネクタ36を介して光源装置16と電気的に接続され、内視鏡システム10の動作を統括的に制御する。
【0041】
図2は電子内視鏡12の先端部26を示した正面図である。図2に示すように、先端部26の先端面26aには、観察窓40、照明窓42、鉗子出口44、及び送気・送水用ノズル46が設けられている。観察窓40は、先端部26の片側中央に配置されている。照明窓42は、観察窓40に関して対称な位置に2個配され、体腔内の被観察部位に光源装置16からの照明光を照射する。鉗子出口44は、挿入部20内に配設された鉗子チャンネル70(図3参照)に接続され、操作部22に設けられた鉗子口34(図1参照)に連通している。鉗子口34には、注射針や高周波メスなどが先端に配された各種処置具が挿通され、各種処置具の先端が鉗子出口44から露呈される。送気・送水用ノズル46は、操作部22に設けられた送気・送水ボタン32(図1参照)の操作に応じて、光源装置16に内蔵された送気・送水装置から供給される洗浄水や空気を、観察窓40や体腔内に向けて噴射する。
【0042】
図3は電子内視鏡12の先端部26を示した側面断面図である。図3に示すように、観察窓40の奥には、体腔内の被観察部位の像光を取り込むための対物光学系50を保持する鏡筒52が配設されている。鏡筒52は、挿入部20の中心軸に対物光学系50の光軸が平行となるように取り付けられている。鏡筒52の後端には、対物光学系50を経由した被観察部位の像光を、略直角に曲げてCMOS撮像装置54に向けて導光するプリズム56が接続されている。
【0043】
CMOS撮像装置(撮像チップ)54は、CMOS型の固体撮像素子(以下、「CMOSセンサ」という。)58と、CMOSセンサ58の駆動及び信号の入出力を行う周辺回路60とが一体形成されたモノリシック半導体(いわゆるCMOSセンサチップ)であり、支持基板62上に実装されている。CMOSセンサ58の撮像面58aは、プリズム56の出射面と対向するように配置されている。撮像面58a上には、矩形枠状のスペーサ63を介して矩形板状のカバーガラス64が取り付けられている。CMOS撮像装置54、スペーサ63、及びカバーガラス64は、接着剤を介して組み付けられている。これにより、塵埃などの侵入から撮像面58aが保護されている。
【0044】
挿入部20の後端に向けて延設された支持基板62の後端部には、複数の入出力端子62aが支持基板62の幅方向に並べて設けられている。入出力端子62aには、ユニバーサルコード24を介してプロセッサ装置14との各種信号の遣り取りを媒介するための信号線66が接合されており、入出力端子62aは、支持基板62に形成された配線やボンディングパッド等(図示せず)を介してCMOS撮像装置54内の周辺回路60と電気的に接続されている。信号線66は、可撓性の管状のケーブル68内にまとめて挿通されている。ケーブル68は、挿入部20、操作部22、及びユニバーサルコード24の各内部を挿通し、コネクタ36に接続されている。
【0045】
また、図示は省略したが、照明窓42の奥には、照明部が設けられている。照明部には、光源装置16からの照明光を導くライトガイドの出射端が配されている。ライトガイドは、ケーブル68と同様に、挿入部20、操作部22、及びユニバーサルコード24の各内部を挿通し、コネクタ36に入射端が接続されている。
【0046】
図4は内視鏡システム10における電子内視鏡12及びプロセッサ装置14の構成を示したブロック図である。図4に示すように、電子内視鏡12(挿入部20)の先端部26には、CMOSセンサ58と周辺回路60(図3参照)とが同一チップに形成されたCMOS撮像装置(撮像チップ)54が内蔵されており、周辺回路60として、アナログ信号処理回路(AFE;アナログフロントエンド)72、パラレル/シリアル(P/S)変換部76、LVDS送信部78、タイミングジェネレータ(TG)81等を備えている。また、COMS撮像装置54は、CMOSセンサ58の駆動に必要なクロック信号生成用の水晶振動子82を備えている。
【0047】
CMOSセンサ58には、マトリクス状に配置される各画素ごとに形成されるフォトダイオードとフォトダイオードにより蓄積された信号電荷を電圧信号に変換する電圧変換回路と、電圧変換回路から電圧信号を読み出す画素のアドレス(位置)を指定する走査回路(垂直走査回路及び水平走査回路)と、走査回路によって読み出された画素の電圧信号を順に出力する出力回路とを備えている。
【0048】
AFE72は、相関二重サンプリング(CDS)回路、自動ゲイン回路(AGC)、及びアナログ/デジタル(A/D)変換器により構成されている。CDS回路は、CMOSセンサ58の各画素から順次読み出された画素信号からなる撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CMOSセンサ58で生じるリセット雑音及びアンプ雑音の除去を行う。AGCは、CDS回路によりノイズ除去が行われた撮像信号を、プロセッサ装置14から指定されたゲイン(増幅率)で増幅する。A/D変換器は、AGCにより増幅された撮像信号(アナログ撮像信号)を、所定のビット数のデジタル信号に変換して出力する。A/D変換器でデジタル化されて出力された撮像信号(デジタル撮像信号)はP/S変換部76に入力される。
【0049】
P/S変換部76は、AFE72のA/D変換器から入力される撮像信号をパラレル信号からシリアル信号に変換する。P/S変換部76により生成されたシリアル信号はLVDS送信部78に入力される。
【0050】
LVDS送信部78は、高速伝送が可能なLVDS(Low Voltage Differential Signal)伝送方式によりP/S変換部76から入力されるシリアル信号を差動信号として出力する。LVDS送信部78から出力された差動信号は2本の信号線からなるLVDS線96を通じてプロセッサ装置14のLVDS受信部84に入力される。
【0051】
TG81は、水晶振動子82から得られるクロックに基づき、CMOSセンサ58から画素信号を読み出すための駆動パルスやAFE72等の各部の同期パルスを生成し、CMOS撮像装置54の各部に供給する。そして、CMOS撮像装置54の各部は、TG81から供給されるパルスに従って各種処理を実行する。CMOSセンサ58は、AFE72などを集約して同一パッケージに集約して構成することができる。また、CMOSセンサ58と水晶振動子82は同一の半導体パッケージに収めることができる。本例ではCMOSセンサ58、AFE72及び水晶振動子82が同一の半導体パッケージに収められているセンサモジュールとなっている。なお、水晶振動子82は、CMOSセンサ58のパッケージとは別のパッケージとして構成することも可能である。この場合、水晶振動子82はCMOSセンサ58の近くに配置される。
【0052】
プロセッサ装置14は、CPU83、LVDS受信部84、クロックデータリカバリ(CDR)回路86、シリアル/パラレル(S/P)変換部88、画像処理回路(DSP)90、表示制御回路92等を備えている。
【0053】
CPU83は、プロセッサ装置14内の各部を制御する制御装置として機能するとともに、後述する温度検知処理その他の演算を行う演算装置として機能する。また、CPU83は、光源装置16を制御する制御手段として機能する。
【0054】
LVDS受信部84は、LVDS伝送方式に基づく通信を行うものであり、LVDS送信部78から差動信号として伝送された撮像信号(シリアル信号)を受信する。LVDS線96を通じて伝送される撮像信号は、クロック信号と画像データが混在したシリアル信号になっている。LVDS受信部84で受信した撮像信号はCDR回路86を介してS/P変換部88に入力される。
【0055】
CDR回路86(「クロック抽出手段」に相当)は、CMOS撮像装置54からシリアル伝送される撮像信号の位相を検出して、この撮像信号の周波数に同期した抽出クロック信号を発生する。この抽出クロック信号により撮像信号をサンプリングすることで、撮像信号を抽出クロック信号によりリタイミングしたデータ(リタイミングデータ)を生成する。
【0056】
また、CDR回路86により抽出されたクロック信号は、CPU83に入力される。CPU83は、この受信したクロック信号をもとにCMOS撮像装置54上の水晶振動子82の発振周波数を把握し、水晶振動子82の周波数温度特性から内視鏡挿入部の温度を推定する。
【0057】
データ格納部94には、水晶振動子82の温度と発振周波数の関係を示す相関データが記憶されている。相関データは、温度と周波数の関係を反映したものであればよく、「周波数」の数値に代えて、周波数に相当する値を示すものとして、例えば、単位時間当たりのクロックカウント数や、画像信号のフレーム期間(時間)などを用いることも可能である。すなわち、相関データは、水晶振動子82の温度と発振周波数の関係(周波数温度特性)が、直接的又は間接的に、特定されるものであれば足りる。本例における温度検知処理の詳細についてはさらに後述する。
【0058】
S/P変換部88は、LVDS受信部84からCDR回路86を介して入力される撮像信号(リタイミングデータ)をシリアル信号からパラレル信号に変換して、CMOS撮像装置54のP/S変換部76における変換前の元の撮像信号に復元する。S/P変換部88でパラレル信号に変換された撮像信号はDSP90に入力される。
【0059】
DSP90は、S/P変換部88から入力された撮像信号に対し、色補間、色分離、色バランス調整、ガンマ補正、画像強調処理等を施し、画像データを生成する。DSP90で各種画像処理が施されて生成された画像データは表示制御回路92に入力される。
【0060】
表示制御回路92は、DSP90から入力された画像データを、モニタ38に対応した信号形式に応じた映像信号に変換してモニタ38に出力する。
【0061】
上記のように構成された内視鏡システム10で体腔内を観察する際には、電子内視鏡12、プロセッサ装置14、光源装置16、及びモニタ38の電源をオンにして、電子内視鏡12の挿入部20を体腔内に挿入し、光源装置16からの照明光で体腔内を照明しながら、CMOS撮像装置54により撮像される体腔内の画像をモニタ38で観察する。
【0062】
CMOSセンサ58で生成された撮像信号は、AFE72で各種処理が施された後、P/S変換部76でパラレル信号からシリアル信号に変換され、LVDS送信部78からLVDS伝送方式により差動信号としてプロセッサ装置14に送信される。
【0063】
プロセッサ装置14では、LVDS受信部84で受信した撮像信号がS/P変換部88で元のパラレル信号に変換される。DSP90では、入力された撮像信号に対して各種信号処理が施され、画像データが生成される。DSP90で生成された画像データは、表示制御回路92に入力される。表示制御回路92では、入力された画像データをモニタ38の表示形式に対応した変換処理が施され、映像信号が生成される。表示制御回路92で生成された映像信号はモニタ38へ出力される。これにより、画像データがモニタ38に内視鏡画像として表示される。
【0064】
<温度検知の処理について>
本実施形態では、内視鏡挿入部にCMOSセンサ58と周辺回路60が集積されたCMOSセンサユニット(CMOS撮像装置54)が用いられている。CMOSセンサ58を動作させるためにクロック信号が必要であるが、このクロック用の水晶振動子82は、CMOSセンサ58とともに挿入部20の先端部26の内部に配置される。このような構成を採用することにより、プロセッサ装置14側からクロックを供給する構成に比べて、信号線の本数を減らすことができ、挿入部20の細径化を実現できる。
【0065】
また、本例の内視鏡システム10においては、CMOSセンサ58の駆動に必要なクロック用の水晶振動子82を温度検出手段として活用する。
【0066】
水晶振動子82は、温度によって発振周波数が変動する性質があり、水晶の結晶方向から見た切り出し角度により、周波数温度特性が異なる。図5はATカット水晶振動子における周波数変化量と温度の関係(周波数温度特性)を示すグラフである。図5の横軸は温度を表す。図5の縦軸は発振周波数の変化量であり、25℃を基準としてその割合(Δf/f)を表している。なお、縦軸における目盛りの数値の単位は「×10−6」である。つまり、25℃の周波数に対する変化量をppmで表している。
【0067】
図5に示すように、ATカット型の水晶振動子は3次曲線の特性を示す。一般的なATカット水晶振動子は、結晶軸のZ軸(光軸)から35°15’の角度で切り出したものである。図5中の「-2,0,+2,+4,…,+16」という数値は、切断角度「35°15’」からのずれを「’(分)」の単位で示している。「0」で示したグラフは、切断角度「35°15’」のものである。
【0068】
クロック信号用の水晶振動子82は、クロックを安定させる観点から、一般的には、温度による周波数変動は小さい方が好ましいが、図5のように、温度によって周波数が変化するという特性を利用して、周波数から温度を推定することが可能である。
【0069】
具体的には、例えば、プロセッサ装置14において、CDR回路86で抽出したクロック信号を基に、画像信号のピクセルクロック(画素単位のクロック)をカウントする、或いは、画像信号からフレーム期間を計測する等により、内視鏡挿入部の水晶振動子82の発振周波数を把握する。そして、図5に示したような温度と発振周波数の関係から、挿入部20の先端部26の温度を推定することができる。なお、プロセッサ装置14においてピクセルクロックをカウントする際の基準クロックはプロセッサ装置14内のCPU83のクロックが基準とされる。
【0070】
プロセッサ装置14が受信する画像信号は、デジタル化された各画素(ピクセル)のシリアルデータであり、プロセッサ装置14において単位時間当たり(例えば、1秒間内に)に何画素分のデータを受信しているかをカウントすることができる。先端部26の温度が変化し、水晶振動子82の発振周波数が変化することにより、ピクセルクロックが変動すると、これに同期してプロセッサ装置14がカウントするピクセルクロックのカウント数が変動する。つまり、このカウント値は、水晶振動子82の周波数の変化を反映した値となる。このカウント値と温度を対応付けたルックアップテーブル(「相関データ」に相当)から、先端部26の温度を検知することができる。
【0071】
ピクセルクロックのカウント値の他、1フレーム期間の時間を計測してもよい。ピクセルクロックが変動すると、1フレーム分の画像信号を伝送するのに要する時間が変化する。つまり、フレーム期間の値は、水晶振動子82の周波数の変化を反映した値となる。このフレーム期間の値と温度を対応付けたルックアップテーブル(「相関データ」に相当)を用い、先端部26の温度を特定することができる。
【0072】
このとき、プロセッサ装置14の内部に、内視鏡挿入部の先端部26と同一特性の水晶振動子102(「他の発振器」に相当)を内蔵し、両者の周波数を比較することで、温度を算出してもよい。両者の周波数の差(若しくは比)と温度を対応付けたルックアップテーブル(「相関データ」に相当)を用い、先端部26の温度を特定することができる。かかる構成を採用することにより、より一層精度の高い温度検知が可能である。なお、この場合、CPU83が「比較演算手段」として機能する。
【0073】
検知しようとする温度領域(例えば、35℃〜50℃)において周波数変化量が大きい水晶振動子を用いるほど、温度の検知精度が良好になる。ただし、本実施形態に係る内視鏡システム10においては、必ずしも1℃単位、或いは、それ以下の弁別レベル(測定分解能)で温度を高精度に検知することまでは要求されない。画像ノイズ増加抑制や人体組織への熱影響抑制の観点から、実際上は、数℃(2℃〜5℃)程度のレベルで温度を検知できれば十分に機能し得る。クロックの安定性と温度検知の測定性能を両立できる特性を持つ発振器(振動子)が採用される。
【0074】
本発明の実施に際しては、ATカット型の水晶振動子に限らず、BTカット型の水晶振動子を用いることもできる。図6は、BTカット水晶振動子における周波数変化量と温度の関係を示すグラフである。図6の横軸は温度を表し、縦軸は発振周波数の変化量であり、25℃を基準としてその割合(Δf/f)を表している。なお、縦軸の数字の単位は「×10−6」である。
【0075】
図6に示すように、BTカット型の水晶振動子は2次曲線の特性を示す。25℃を超える温度領域で温度の上昇につれて周波数は低下する傾向を示すため、この周波数変動を利用して温度を推定することができる。図5で説明したATカット型の水晶振動子に代えて、図6のような特性を持つBTカット型の水晶振動子を用いても良い。既述のとおり、画像信号のピクセルクロックをカウントしたり、フレーム期間を計測するなどの方法により、先端部26内における水晶振動子の周波数の変化を示す情報を取得して、温度との相関データから挿入部先端の温度を推定することができる。
【0076】
こうして、水晶振動子82の周波数変動の温度依存性を利用して検知した温度情報を基に、光源装置16の光量の自動制御や警告表示などが行われる。
【0077】
<制御フローの例>
図7は本実施形態に係る内視鏡システム10の制御例を示すフローチャートである。図7に示したように、プロセッサ装置14はまず、LVDS線96を通じて受信した撮像信号から抽出したクロック信号の周波数を把握する(ステップS112)。ここでは、ピクセルクロックのカウントやフレーム期間の計測により、クロック信号の周波数に対応した値を取得する。
【0078】
次いで、先端部26内に配置した水晶振動子82の周波数温度特性から挿入部20の先端部26の温度を推定する(ステップS114)。具体的には、図4のデータ格納部94に記憶させてある相関データを用い、ステップS112で把握したクロック信号の周波数を表す値から相関データを参照して、対応する温度を特定する。
【0079】
そして、ステップS114で特定された温度が、予め設定されている規定温度よりも高いか否かの判定が行われる(ステップS116)。検知された温度が規定温度よりも高い場合には、光源装置16の光量を所定量よりも低下させる制御が行われる(ステップS118)。照明光の光量や点灯時間は、先端部26の温度に大きく影響する。そのため、過度の温度上昇を抑制するために、光源装置16の発光量及び連続発光時間などが制御される、ステップS114では、そのような通常の光源制御に代えて、或いは、これと組み合わせて、光源装置16の発光量を抑制する制御が行われる。光源装置16の光量を低下させることにより、先端部26の温度上昇を抑止できる。
【0080】
また、このような光量制御(ステップS118)と同時に、オペレータ(ユーザ)に注意を喚起する警告が提示される(ステップS120)。警告の報知手段として、モニタ38の画面上に警告メッセージ等を表示する態様、警告音を発生させる態様、警告ランプを点灯若しくは点滅させる態様、又はこれらの組み合わせによる態様などがあり得る。ステップS120の後は、ステップS112の工程に戻る。
【0081】
ステップS116の判定において、検知した温度が規定温度以下の場合には、光源装置16について通常の光源制御が行われ、所定の光量に制御される(ステップS122)。この場合、温度に関して、特に、オペレータ(ユーザ)に注意を喚起する必要は無いため、警告の提示はOFFされる(ステップS124)。ステップS124の後は、ステップS112の工程に戻る。
【0082】
図7のフローチャートによれば、検知された温度が規定温度を超えた際には、自動的に光量が低減される制御が行われると同時に警告が発せられる。その後、温度が規定温度を下回れば、自動的に光量が回復し、警告も取り消される。なお、ステップS116の判定に際して、検知した温度が規定温度と等しい場合の処理は、ステップS118に進めてもよいし、ステップS122に進めてもよい。
【0083】
<変形例1>
図7では、ステップS116規定温度よりも高い温度が検出された場合に、光量の低下制御と警告を両方行う例を説明したが、これに代えて、光量の低下制御のみ、若しくは、警告の報知のみを行う態様も可能である。
【0084】
<変形例2>
また、光源の光量を低下させる判定基準となる閾値(規定温度)を複数段階に設定しておき、検知される温度に応じて、段階的に光量を変える制御を行う態様も可能である。この場合、温度が高いほど、光量を低い値にする(光量の低減量を増やす)ことが好ましい。
【0085】
<変形例3>
光源の光量を低下させる判定基準となる閾値と、警告を提示するための判定基準となる閾値とを別々に設定してもよい。また、警告用の判定基準となる閾値を複数段階に設定しておき、検知される温度に応じて、警告レベルを段階的に変化させる態様も可能である。
【0086】
<変形例4>
上述の実施形態では、発振器として水晶振動子を用いた例を説明したが、水晶振動子に代えて、セラミック振動子、LC発振器、RC発振器などを用いることも可能である。セラミック振動子は、水晶振動子と比較して、温度に対する周波数の変動量が大きい。また、LC発振器やRC発振器に用いられるコンデンサの容量は温度依存性があるため、これら発振回路の周波数温度特性を利用して温度を検知することも可能である。
【0087】
<変形例5>
上述の実施形態では、CMOSセンサ58は、CCDセンサと比較して、低電圧駆動が可能であり、多画素化と高速読出し化の要求に対応することが容易である。また、センサモジュールの製造が容易である。ただし、本発明の実施に際しては、CMOSセンサに限らず、CCD型固体撮像素子(CCDセンサ)を採用する構成も可能である。
【0088】
以上、本発明の内視鏡システム及びその制御方法について詳細に説明したが、本発明は、上記説明した実施形態には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10…内視鏡システム、12…電子内視鏡、14…プロセッサ装置、16…光源装置、20…挿入部、22…操作部、26…先端部、54…CMOS撮像装置(撮像チップ)、58…CMOSセンサ、74…ヘッダ処理部、76…LVDS送信部、82…水晶振動子、83…CPU、84…LVDS受信部、86…CDR回路、88…S/P変換部、90…操作部、94…データ格納部、96…LVDS線、98…シリアル線、102…水晶振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入される内視鏡挿入部の先端部に、固体撮像素子を有する撮像装置が内蔵されるとともに、当該先端部に前記固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器が内蔵された電子内視鏡と、
前記電子内視鏡の前記撮像装置から出力される撮像信号に信号処理を施すプロセッサ装置と、を備え、
前記プロセッサ装置は、前記撮像装置から出力される撮像信号から前記クロック信号を抽出するクロック抽出手段と、
前記発振器の温度と発振周波数の関係を示す相関データを記憶するデータ格納手段と、
前記撮像信号から抽出されるクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、前記先端部の温度を検知する温度検知処理手段と、
を備えたことを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項2】
前記電子内視鏡の挿入部の先端面に設けられた照明窓から照射する照明光を発生させる光源装置を備え、
前記温度検知処理手段により検知された温度に基づき、前記光源装置の光量を制御する光量制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡システム。
【請求項3】
前記温度検知処理手段により検知された温度に基づき、警告を行う報知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子内視鏡システム。
【請求項4】
前記プロセッサ装置の信号処理によって生成された画像データを電子内視鏡として表示させる表示装置と、
前記温度検知処理手段により検知された温度が規定温度を超える場合に、前記表示装置に警告を表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項5】
前記温度検知処理手段は、前記撮像信号における画素単位のピクセルクロックをカウントすることにより、前記クロック信号の周波数を表す値を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項6】
前記温度検知処理手段は、前記撮像信号からフレーム期間を計測することにより、前記クロック信号の周波数を表す値を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項7】
前記プロセッサ装置は、前記先端部に内蔵された前記発振器と同一の周波数温度特性を持つ他の発振器を備え、
当該他の発振器の周波数と、前記撮像信号から把握される前記先端部内の前記発振器の周波数とを比較する比較演算手段を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項8】
前記固体撮像素子は、CMOS型固体撮像素子であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項9】
前記内視鏡挿入部の先端部に内蔵される前記固体撮像素子及び前記発振器が同一の半導体パッケージに納められていることを特徴とする請求項8に記載の電子内視鏡システム。
【請求項10】
前記撮像装置は、前記固体撮像素子から読み出された電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、前記A/D変換器によりデジタル化された撮像信号をパラレル信号からシリアル信号に変換するパラレル/シリアル変換部と、を備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項11】
前記撮像装置から出力される撮像信号はLVDS伝送方式の通信手段を介して前記プロセッサ装置に伝送されることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項12】
前記発振器に水晶振動子が用いられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電子内視鏡システム。
【請求項13】
被検体に挿入される内視鏡挿入部の先端部に、固体撮像素子を有する撮像装置が内蔵された電子内視鏡と、前記電子内視鏡の前記撮像装置から出力される撮像信号の信号処理を行うプロセッサ装置と、を備えた電子内視鏡システムにおける前記内視鏡挿入部の温度を検知する方法であって、
前記内視鏡挿入部の先端部に、前記固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器を内蔵し、
前記発振器の温度と発振周波数の関係を示す相関データを前記プロセッサ装置のデータ格納手段に記憶させておき、
前記撮像装置から出力される撮像信号から前記クロック信号を抽出し、
前記撮像信号から抽出したクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、前記先端部の温度を検知することを特徴とする内視鏡挿入部の温度検知方法。
【請求項14】
被検体に挿入される内視鏡挿入部の先端部に、固体撮像素子を有する撮像装置と前記固体撮像素子を動作させるクロック信号を発生させるための発振器とが内蔵された電子内視鏡に接続され、前記電子内視鏡の前記撮像装置から出力される撮像信号の信号処理を行う電子内視鏡用プロセッサ装置であって、
前記撮像装置から出力される撮像信号から前記クロック信号を抽出するクロック抽出手段と、
前記発振器の温度と発振周波数の関係を示す相関データを記憶するデータ格納手段と、
前記撮像信号から抽出されるクロック信号の周波数を表す値と前記相関データに基づいて、前記先端部の温度を検知する温度検知処理手段と、
を備えた電子内視鏡用プロセッサ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate