説明

電子写真受像用樹脂製ホルダー

【課題】所望の電子写真をレーザープリンターなどによって連続的に印刷可能な電子写真受像用樹脂製ホルダーを提供すること。
【解決手段】積層した複数の樹脂シート片が部分的に連結した連結部を有する電子写真受像用樹脂製ホルダーである。電子写真受像層を有する外面の表面電気抵抗が1.0×10〜1.0×1013Ωであり、かつ外面同士の静止摩擦係数が、上記樹脂シート片同士が積層して接触する内面同士の静止摩擦係数よりも大きく、外面同士の静止摩擦係数が0.2〜0.8、内面同士の静止摩擦係数が0.1〜0.5である。
内面同士の少なくとも一方が摩擦調整層を有する。内面同士の他方は、表面電気抵抗が1×1013Ω以下の帯電防止層を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真受像用樹脂製ホルダーに係り、更に詳細には、クリアーホルダーなどの樹脂製ホルダーであって、所望の電子写真をレーザープリンターなどによって連続的に印刷可能な電子写真受像用樹脂製ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンター用インキが定着できるインキ受理層を表側に積層したポリオレフィン系フィルムが折曲ないし辺縁融着されたクリアーホルダーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3044203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリオレフィン系フィルム、典型的にはポリプロピレン系フィルムから成るクリアーホルダーを、レーザープリンターなどの電子写真式プリンタや電子写真式複写機などの印刷装置に用いると、給紙(給ホルダー)トレイからの搬送時において、フィルムの一部がめくれ上がってしまって適切なホルダー供給(フィード)ができず、この結果、連続的な電子写真印刷が不可能であることが判明した。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所望の電子写真をレーザープリンターなどによって連続的に印刷可能な電子写真受像用樹脂製ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、樹脂シート片の摩擦係数を制御し、ホルダーの外面同士及び内面同士の摩擦係数を調整することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーは、積層した複数の樹脂シート片が部分的に連結した連結部を有する電子写真受像用樹脂製ホルダーであって、
電子写真受像層を有する外面の表面電気抵抗が1.0×10〜1.0×1013Ωであり、かつ外面同士の静止摩擦係数が、上記樹脂シート片同士が積層して接触する内面同士の静止摩擦係数よりも大きく、
上記外面同士の静止摩擦係数が0.2〜0.8、上記内面同士の静止摩擦係数が0.1〜0.5であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に電子写真受像用樹脂製ホルダーの好適形態は、上記内面同士の少なくとも一方が摩擦調整層を有することを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの他の好適形態は、上記内面同士の他方は、表面電気抵抗が1×1013Ω以下の帯電防止層を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの他の好適形態は、2枚の上記樹脂シート片を有し、これらの樹脂シート片が同一形状の矩形状をなし、この樹脂シート片同士が対応する一辺、隣接する二辺又は三辺で部分的に連結され、上記連結部を構成していることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの更に他の好適形態は、上記連結部が、ミシン目を利用した折曲部から構成されていることを特徴とする。
【0012】
更にまた、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの他の好適形態は、上記連結部が、超音波接合によって形成されていることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの他の好適形態は、上記樹脂シート片が、2軸延伸のPETフィルムから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂シート片の摩擦係数を制御し、ホルダーの外面同士及び内面同士の摩擦係数を調整することとしたため、所望の電子写真をレーザープリンターなどによって連続的に印刷可能な電子写真受像用樹脂製ホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの一実施形態を示す平面図である。
【図2】樹脂シート片の部分断面図である。
【図3】図1に示すクリアホルダーの展開図であり、クリアホルダーの外面側から見た図である。
【図4】図1に示すクリアホルダーの展開図であり、クリアホルダーの内面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーについて説明する。
上述の如く、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーは、積層した複数の樹脂シート片を有し、これら樹脂シート片は連結部で部分的に連結されている。
【0017】
図1は、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーの一実施形態を示す平面図である。
同図において、このクリアホルダー1は、矩形をなし透明ないしは半透明の樹脂シート片10及び12が、連結部20で部分的に連結して積層された構造を有している。
また、本実施形態では、連結部20は矩形シート片10及び12のそれぞれ長辺に形成されており、更に、この長辺に隣接する隣辺(短辺)にも連結部22が形成されており、図示しない書類などを保持できるようになっている。
【0018】
図2は、樹脂シート片の部分断面図であり、シート片10を例にして図示されている。
同図において、この樹脂シート片10は、基材である透明PETシート10mを有し、クリアホルダー1の外面を構成する外面側にはベースコート層10bとトップコート層10tが順次積層されており、ベースコート層10bが電子写真受像層として機能し、トップコート層10tは帯電防止機能を有している。一方、PETシート10mの内面側には帯電防止層10rが形成されている。
なお、本実施形態においては、PETシート10mの厚さは約125μm、トップコート層の厚さは約1μm以下、ベースコート層10bの厚さは約1〜5μm、帯電防止層10rの厚さは約1μm以下である。
【0019】
図3は、図1に示すクリアホルダーの展開図であり、クリアホルダーの外面側から見た図である。また、図4は、図1に示すクリアホルダーの展開図であり、クリアホルダーの内面側から見た図である。
図3において、樹脂シート片10と樹脂シート片12とは、それぞれトップコート層10tと12tを最表面としており、連結部20で連結されている。
この図に示すように、本実施形態では、連結部20はミシン目で形成されており、このミシン目に沿ってシート片10,12を折り曲げ(山折り)、更に短辺を超音波溶着して連結部22を形成することにより、クリアホルダー1が形成される(図1参照)。
【0020】
図4については詳細な説明を省略するが、最表面(ホルダー内面の最表面)は帯電防止層10r,12rで構成されている。シート片10,12をミシン目で山折りし、更に短辺を超音波溶着することにより、クリアホルダー1が形成される。
このように、本実施形態では、1枚のシート片を折り曲げることにより、連結部20を構成したが、2枚のシート片を超音波溶着などによって接合することにより、連結部20を構成してもよい。
【0021】
本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーにおいては、上述の如く、電子写真受像層を有する外面の表面電気抵抗が1.0×10〜1.0×1013Ωであり、かつ外面同士の静止摩擦係数が内面同士の静止摩擦係数よりも大きく、外面同士の静止摩擦係数が0.2〜0.8、内面同士の静止摩擦係数が0.1〜0.5である。
ここで、外面同士の静止摩擦係数については、クリアホルダーが複数枚セットされた場合が該当し、例えば、上記の実施形態においては、クリアホルダー1のシート片10のトップコート層10tと、他のクリアホルダーのシート片12のトップコート層12tとの間の静止摩擦係数がこれに該当する。
一方、内面同士の静止摩擦係数は、当該クリアホルダーの内面同士のものであり、例えば、上記の実施形態ではシート片10の帯電防止層10rとシート片12の帯電防止層12rとの間の静止摩擦係数がこれに該当する。
【0022】
なお、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーにおいては、外面同士の静止摩擦係数が0.4〜0.8、内面同士の静止摩擦係数が0.1〜0.4であることが好ましい。
本発明において、静止摩擦係数は、JIS−P8147に準拠して測定されるものである。
【0023】
また、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーにおいては、内面同士の少なくとも一方が摩擦調整層を有することが好ましい。即ち、上記の実施形態では、シート片の帯電防止層10r及び12rの少なくとも一方の上に、摩擦調整層を積層することができ、これにより、内面同士の静止摩擦係数を適性範囲に制御し易くなる。
【0024】
更に、内面同士の他方は、表面電気抵抗が1×1013Ω以下の帯電防止層を有することが好ましい。この表面電気抵抗値は、JIS−C2318に準拠して測定されるものである。
【0025】
なお、電子写真受像用樹脂製ホルダーは、電子写真式印刷機、具体的には、レーザープリンターに供されるものであるため、ある程度の耐熱性を有することが要求され、具体的には、2軸延伸のPETフィルムを挙げることができる。
【0026】
また、本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーにおいては、シート片同士の接合は超音波溶着で行うことが好ましい。
更に、シート片を折り曲げる際には、ミシン目を形成することが好ましく、この場合、長さ0.1〜5.0mmミシン目を0.1〜0.5mmピッチで形成することが好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
<ホルダー外面の電子写真受像層の形成>
[下地層塗布液の調製]
・組成
非晶性ポリエステル樹脂
東洋紡社製バイロン200 …30質量%
メチルエチルケトン …49.99質量%
トルエン …20質量%
ポリエーテル変性シリコーンオイル
東レダウコーニング社製 SH3749 …0.01質量%
【0029】
上記組成において、溶剤(メチルエチルケトン)を予め40℃に加温し、徐々に攪拌しながらポリエステル樹脂を加え完全に溶解した。
更に、レベリング剤としてシリコーンオイルを加え、下地層塗布液を調製した。
【0030】
[帯電防止性上層塗布液(内面帯電防止性塗布液)の調製]
・組成
アクリル系帯電防止性樹脂
綜研化学社製 エレコンドPQ−10 …29.9質量%
エタノール …70質量%
シリコーン樹脂粉体 モメンティブパーフォーマンス
マテリアルズ社製 トスパール120(2μm) …0.1質量%
【0031】
上記組成において、容器内にエタノールを入れ、攪拌しながらエレコンドPQ−10を加え、更に滑剤のシリコーン樹脂粉体を加え均一に分散し、上層塗布液を得た。
【0032】
[各層の塗布形成]
ベースフィルムとして、2軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルムである東洋紡社製コスモシャインA4300の125μmを用い、予め420mm×320mmの矩形板状にカットした。
(1)下地層の形成
バーコータ#20を用いて、下地層塗布液を上記フィルム上に全面塗布し、高温送風乾燥機にて120℃で3分間乾燥した。この時の塗布乾燥膜厚は、5μmであった。
(2)上層の形成
バーコータ#7を用いて、(1)で形成した下地層の上に上層塗布液を塗布し、高温送風乾燥機にて120℃で1分間乾燥した。この層の乾燥膜厚は、1μmであった。
以上のようにして、ホルダー外面の電子写真受像層を形成した。
【0033】
<ホルダー内面の処理>
ホルダーを成型する際に折り曲げて内側となる面を内面とする。
[帯電防止層の形成]
上述のように形成した電子写真受像層の反対面に、電子写真受像層で用いた上層塗布液をバーコータ#7で全面に塗布し、120℃で1分間乾燥した。この層の乾燥膜厚は、1μmであった。
【0034】
<ホルダーの成型>
上述用にして、外面及び内面の処理層を設けた後、420mm×320mmのフィルムにつき長手方向の部分を真ん中より折り曲げ、210mm×320mmとなるようにした。
なお、この折り曲げの際には、60℃の熱をかけ十分に荷重をかけながら折り曲げ、折り曲げ部分の対向する面が浮かないように処理を行った。
次いで、折り曲げた方向と直角方向に対し超音波融接着装置を用い、短辺同士を接合し、本例のホルダーを成型した(図1参照)。
【0035】
<ホルダーの性能評価>
本例のホルダーについて、下記の各種性能の評価を行った。
I.まず、各面間のJIS P−8147に基づく静摩擦係数について東洋精機社製摩擦測定機ANを用いて行った。測定結果を表1に示す。
なお、I−1ホルダー外面同士の静摩擦係数と、I−2ホルダー内部間の静摩擦係数を測定した。
【0036】
I−1については、ホルダーをプリンター用紙給紙部分に複数枚セットした場合に重要なパラメーターであり、この摩擦係数が高いと、複数枚同時に搬送されプリンタ内部の途中で止まり印刷されないばかりでなく、機械にダメージを起こすことがある。更に、1つのホルダーでセットしても内部の各ガイドローラーやプラスチック部分に対しても滑りが悪く、同様に内部で滞り印刷されないことがある。
一方、この摩擦係数が低すぎると、プリンター用紙給紙部分にセットした場合、ピックアップするローラーとの間に摩擦が生じにくく、ホルダーに全く印刷を施すことができないことがあり、更には、各アシストロールに対しても滑りが生じて斜行したりし、斜めに印刷されるなど画像が正常に印刷されないことがある。
【0037】
I−2については、ホルダーをピックアップして搬送経路を通過させ、トナーを転写した後、定着装置部にて加圧しながら熱溶融させ画像が形成されるが、その際、ホルダーという特殊な形態(2枚を連結・積層させたフィルム)を採っているため、搬送経路内で2枚間に微妙な位置等のずれを生じている。この定着部において、外面の定着ユニットに対する摩擦係数は通常0.8から1.4を有していればずれは生じにくく、したがって、内面において微妙なずれを補正する必要があり、この重要なパラメーターがホルダー内面同士の摩擦係数である。このずれを補正するホルダー内面同士の摩擦係数が高い場合、熱の伝達の微妙なずれ、位置ずれによりホルダーが変形して排出されることがある。
【0038】
II.各面(外面と内面)のJIS C−2318における表面電気抵抗を、アドバンテスト社製TR−8601を用いて測定した。その測定結果を表1に示す。
II−1ホルダー外面(印刷面)の表面電気抵抗と、II−2ホルダー内面の表面電気抵抗を測定した。
【0039】
II−1については、プリンター用紙給紙部分にホルダーを複数枚セットした場合に重要なパラメーターであり、摩擦係数が低くてもこの表面電気抵抗が高いと、複数枚同時に搬送されプリンタ内部の途中で止まり印刷されないばかりでなく、トナー転写工程の際にトナーが飛び散ったりし画像が所望のものが得られなくことがある。
逆に、表面電気抵抗が適性値よりも低いと、搬送経路においては全く問題ないが、トナー転写工程の際にやはり所望の画像が得られないことがある。
【0040】
II−2については、摩擦係数が低くてもこの表面電気抵抗が高いと、トナー転写工程の際にトナーが飛び散ったりして所望の画像が得られないことがあるばかりか、ホルダー内部に収容したい書類等を入れる際、静電気によって出し入れがスムーズでなくなることがある。
【0041】
III.電子写真プリンターの搬送性を、ゼロックス社製DocuprintC3540を用いて50枚での評価を行い、搬送性のテスト(III−1)、画像の鮮明性(III−2)、画像蜜着性(III−3)、フィルムの変形度合い(III−4)を評価した。その結果を、表1に示す。
【0042】
III−1
I−1及びII−1の項目以外にホルダーという特殊な形態をとっており、折り曲げ部分の湾曲の度合いや、折り曲げた短辺部のシール部分の強度や形状に起因する問題の確認を行うために行った。
搬送性に問題の合った枚数の数値を記載した。
【0043】
III−2
外面を構成する材料等トータル的な評価を行った。表1中では、以下のように標記した。
透明で良好な画像が得られるもの:◎
良好な画像が得られるもの:○
色がかすれたり、細線が若干不鮮明なもの:△
画像が大幅に乱れているもの:×
【0044】
III−3
2枚以上の樹脂フィルム構成物からなるホルダーであるため、熱的挙動がOHP等の一枚で構成されるものと違いがありトナーの溶融状態に変化があり、画像の密着性が変化することを確認することと、ホルダーの使用条件がOHP等と違いハンドリングにおける過酷な条件が考えられ、通常よりも強度が要求されることを評価した。
コインスクラッチテストにより、画像の基材からの剥がれ易さを評価した。表1中では、以下のように標記した。
全くはがれない:◎
ほとんどはがれない:○
フィルム基材表面から部分的にはがれる:△
基材表面から簡単にはがれる:×
【0045】
III−4
I−2、II−2のトータル的評価及びベース樹脂フィルムの物性の適切性の評価を行った。
すべてのI〜IIのパラメーターを満足していてもベースとなる樹脂フィルムの耐熱性、収縮性等が満足いくものでなければ、変形を起こして問題が起こる。表1中では、以下のように標記した。
ほとんど変形が無い:◎
時間とともに元の形状に戻る:○
ホルダーが変形して元に戻らない:△
ホルダーとして使用できない:×
【0046】
【表1】

【0047】
(実施例2)
実施例1と同様に、外面の電子写真受像層と、内面となる面を設け、更に内面の全体に下記組成の材料(白色コート層)をバーコーター#20にて塗布し、120℃で5分間高温送風乾燥機にて乾燥した。この層の乾燥膜厚は10μmであった。
・組成
セルロース系樹脂 …30.0質量%
2〜3μm微粒子酸化チタン …30.0質量%
ブチルセロソルブ …40.0質量%
次いで、実施例1と同様の操作を繰り返して本例のホルダーを作製し、同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0048】
(比較例1)
実施例1と同様に、外面の電子写真受像層と、内面となる面を設け、更に内面の全体に下記組成の材料(白色コート層)をバーコーター#20にて塗布し、120℃で5分間高温送風乾燥機にて乾燥した。この層の乾燥膜厚は13μmであった。
・組成
セルロース系樹脂 …25.0質量%
2〜3μm微粒子酸化チタン …25.0質量%
0.08μm微粒子炭酸カルシウム …10.0質量%
ブチルセロソルブ …40.0質量%
次いで、実施例1と同様の操作を繰り返して本例のホルダーを作製し、同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0049】
(比較例2)
外面の上層処理を行わないように作製した以外は、実施例2と同様の操作を繰り返し、本例のホルダーを作製した。上記同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0050】
(比較例3)
内面の処理を外面の下地処理層と同じように行った以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のホルダーを作製した。上記同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(実施例3)
外面の上層コート材料及び内面の処理層を以下に記載の組成に変更した。それ以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のホルダーを作製した。上記同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[帯電防止性上層塗布液及び内面帯電防止性塗布液の調製]
・組成
アクリル系帯電防止性樹脂
綜研化学社製 エレコンドPQ−10 …19.9質量%
エタノール …80.0質量%
ポリエチレン2〜3μm微粒子
住友化学工業社製 フロービーズHE−3040 …0.1質量%
上記組成において、容器内にエタノールを入れ、攪拌しながらエレコンドPQ−10を加え、更に滑剤のポリエチレン樹脂粉体を加え均一に分散した。
【0052】
(実施例4)
ホルダーを成型する条件を変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返した。即ち、折曲げ工程において、中心線に2mmピッチでミシン目加工を行い更に折り曲げを行った。
上記同様に評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
(実施例5)
内面の処理層を下記の組成に変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のホルダーを得た。評価結果を表1に示す。
・組成
アクリル系帯電防止性樹脂
綜研化学社製 エレコンドPQ−10 …29.0質量%
エタノール …40.0質量%
メチルエチルケトン …29.0質量%
ジメチルシリコーン1000cst …1.0質量%
【0054】
(実施例6)
外面のコート層を下地処理層なしに上層のみの構成とし、その他は実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のホルダーを得た。評価結果を表1に示す。
【0055】
(比較例4)
外面の上層のコート材料を以下に記載の組成に変更した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例のにホルダーを作製した。評価結果を表1に示す。
(帯電防止性上層塗布液の調整)
(組成)
アクリル系帯電防止性樹脂
綜研化学社製 エレコンドPQ−10 …30.0質量%
エタノール …65.0質量%
0.08μm微粒子炭酸カルシウム …5.0質量%
上記組成において、容器内にエタノールを入れ、攪拌しながらエレコンドPQ−10を加え、更に炭酸カルシウム粉体を加え均一に分散した。
【0056】
(考察)
実施例1と比較例1との比較において、比較例1は内面の静止摩擦係数が高く、これに起因して定着装置部分においてホルダー内部のずれが生じにくくフィルムの波打ちやたわみが見られた。また、比較例3は、摩擦係数は比較例1ほど高くないが表面電気抵抗が高く静電気に起因するずれの生じにくさが問題となり、同様に波うち等が発生している。しかも、書類をホルダー内部に収容する際、静電気によってスムーズな出し入れができない。
比較例3の内面の処理において、粉体の添加が無く平滑性が高い点も起因しているようであった。比較例2においては、印刷面の表面電気抵抗が高くトナーが正確に転写されず画像が悪かった。
【0057】
実施例2と実施例4の比較において、折り曲げ加工に差があるが、単に折り曲げたものとミシン目加工により、よりたわみ無く加工された点において、印刷後の変形度合いが良くなっているようである。実施例6において、画像密着性が悪い結果が出ているが、ここに記載している以外の結果をもっても次のような傾向にあった。結晶性の高い2軸延伸PETの上に数ミクロンの画像形成層を設けるとコート層とPETの熱力学的挙動に差がありすぎトナーの密着性が十分に得られない傾向にあった。
実施例1〜5のように熱に対してある一定範囲での軟化傾向を示す中間層を設けることが、画像の密着性を向上させているようであった。
【0058】
比較例4においては、外面の摩擦係数が高すぎてほとんどプリンター内部に搬送されない状態である。
【0059】
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、樹脂シート片の形状は必ずしも矩形である必要はない。また、樹脂シート片同士の接合は、書類などを収容するための入れ口が確保されていればよく、樹脂シートが矩形をなす場合、対応する3辺同士を接合してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の電子写真受像用樹脂製ホルダーは、レーザープリンターを用いた電子写真印刷に用いるのに適しており、所望の電子写真を簡易に樹脂製ホルダーに印刷することができる。
よって、各人お気に入りの電子写真が印刷された樹脂製クリアーホルダーを簡単に作製することが可能であり、オリジナリティに富むクリアーホルダーを簡易に実現することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 クリアホルダー
10 樹脂シート片
10t トップコート層
10b ベースコート層
10m PETシート
10r 帯電防止層
12 樹脂シート片
20 連結部
22 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層した複数の樹脂シート片が部分的に連結した連結部を有する電子写真受像用樹脂製ホルダーであって、
電子写真受像層を有する外面の表面電気抵抗が1.0×10〜1.0×1013Ωであり、かつ外面同士の静止摩擦係数が、上記樹脂シート片同士が積層して接触する内面同士の静止摩擦係数よりも大きく、
上記外面同士の静止摩擦係数が0.2〜0.8、上記内面同士の静止摩擦係数が0.1〜0.5であることを特徴とする電子写真受像用樹脂製ホルダー。
【請求項2】
上記内面同士の少なくとも一方が摩擦調整層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真受像用樹脂製ホルダー。
【請求項3】
上記内面同士の他方は、表面電気抵抗が1×1013Ω以下の帯電防止層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真受像用樹脂製ホルダー。
【請求項4】
2枚の上記樹脂シート片を有し、これらの樹脂シート片が同一形状の矩形状をなし、この樹脂シート片同士が対応する一辺、隣接する二辺又は三辺で部分的に連結され、上記連結部を構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の電子写真受像用樹脂製ホルダー。
【請求項5】
上記連結部が、ミシン目を利用した折曲部から構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子写真受像用樹脂製ホルダー。
【請求項6】
上記連結部が、超音波接合によって形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子写真受像用樹脂製ホルダー。
【請求項7】
上記樹脂シート片が、2軸延伸のPETフィルムから構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の電子写真受像用樹脂製ホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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