説明

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】 重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、耐摩耗性および電気特性に優れ、かつ、耐傷性も大きく向上した電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、表面層が特定の構造の化合物(尿素誘導体)を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体およびその製造方法、ならびに、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)は、成膜性が良く、塗工によって生産できるため、生産性が高く、安価な電子写真感光体を提供できる利点を有しており、これまで幅広い検討がなされてきた。特に、電子写真感光体の長寿命化や高画質化を目的として、電子写真感光体の機械的耐久性の改良は、現在まで多くの試みがなされている。その中でも、硬化性樹脂を適用した表面層を有する電子写真感光体は、その耐摩耗性の高さから、高い耐久性が求められる高速複写機などで実用化されている。
また、電子写真感光体の耐傷性・耐摩耗性などの機械的耐久性を向上させる目的で、電子写真感光体の表面層に添加剤を加える技術も知られている。
【0003】
特許文献1〜3には、ラジカル重合性モノマー混合物を重合して得られる硬化性樹脂を含有する電子写真感光体の表面層に、さらに特定のアミン化合物を含有させる技術が開示されている。これらの技術は、表面層に特定のアミン化合物を含有させることで、重合阻害による硬度低下(機械的耐久性の低下)を生じさせることなく、画像ボケを改善しようというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−272191号公報
【特許文献2】特開2007−272192号公報
【特許文献3】特開2007−279678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1〜3に記載のアミン化合物は、電子写真感光体の電気特性の悪化を生じさせるものであることがわかった。また、耐傷性などの機械的耐久性も、十分なものではなかった。なお、ここでいう「傷」とは、電子写真感光体の表面が局所的な機械的ストレスを受けることによって生じる電子写真感光体の表面の外観状明らかな傷のことであり、出力画像上でも傷画像(傷様の白抜けまたは黒い筋)として認識できるものである。
【0006】
本発明の目的は、重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、耐摩耗性および電気特性に優れ、かつ、耐傷性も大きく向上した電子写真感光体およびその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、該表面層が、下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0008】
【化1】

【0009】
(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を示し、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。ただし、該アリール基が有してもよい置換基は、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、水酸基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、または、ハロゲン原子である。)
また、本発明は、重合性官能基を有する化合物および上記一般式(1)で示される化合物を含有する表面層用塗布液を用いて塗布膜を形成し、該塗布膜に含有される該重合性官能基を有する化合物を重合させることによって表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法である。
【0010】
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
また、本発明は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。
【0011】
なお、特開昭58−065438号公報には、尿素化合物を含有する光導電性組成物で形成される単層電子写真感光体が開示されているが、耐傷性の向上については何ら示唆されていない。
また、特開昭63−097959号公報には、電子写真感光体に尿素化合物を含有させることにより、耐傷性が向上すると記載されてはいるものの、具体的な検証はなされていない。本発明者らが検証実験を行ったところ、硬化性樹脂を含有する表面層に、特開昭63−097959号公報に具体的に開示されている尿素化合物を含有させると、電子写真感光体の耐傷性および耐摩耗性は低下し、電気特性も大きく悪化することがわかった。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、耐摩耗性および電気特性に優れ、かつ、耐傷性も大きく向上した電子写真感光体およびその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の効果発現の詳細なメカニズムは不明だが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、上記一般式(1)で示される化合物は、分子中のアリール基(ArおよびAr)同士が向かい合う配置をとりやすい化学構造を持っている。そして、傷を誘発するような電子写真感光体への外圧に応じて、向かい合うアリール基同士の距離が縮まる(アリール基同士が重なる)ことにより、一種の分子レベルのバネとして作用し、外圧を速やかに化学構造変化に伴う熱エネルギーに変換できるのだと考えている。また、この向かい合うアリール基同士が異方性を持つ導電パスとしても作用するため、電気特性の悪化の弊害を解消できているのだと推測している。
【0015】
一方、特開昭58−065438号公報および特開昭63−097959号公報に開示されている尿素化合物のうち、アリール基を有しているものは、窒素原子に短いアルキル基(RおよびR:炭素数1〜3のアルキル基)が直接結合した構造を有していない。そのため、アリール基同士が重なることがない。したがって、上記のアリール基同士の重なりに由来するバネとしての作用の効果は得られないと推測している。
電子写真感光体は、一般的に、支持体および該支持体上に形成された感光層を有する。
【0016】
本発明において、電子写真感光体の感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であってもよいし、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型感光層(図1(a)および(b))であってもよい。電子写真特性の観点からは、積層型感光層が好ましい。図1中、101は支持体であり、102は中間層であり、103は電荷発生層であり、104は電荷輸送層であり、105は保護層である。
【0017】
また、本発明において、電子写真感光体の表面層とは、最表面に位置する層を意味する。例えば、図1(a)に示す層構成の電子写真感光体の場合、電子写真感光体の表面層は電荷輸送層104である。また、図1(b)に示す層構成の電子写真感光体の場合、電子写真感光体の表面層は保護層105である。
【0018】
上述のとおり、本発明の電子写真感光体の表面層は、重合性官能基を有する化合物(少なくとも1つの重合性官能基を有する化合物)を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する。重合性官能基を有する化合物を重合させる際には、必要に応じて重合開始剤を用いてもよい。また、重合性官能基を有する化合物の重合は、熱、光(紫外線など)または放射線(電子線など)を用いて行うことができる。これらの中でも、必ずしも重合開始剤を用いる必要のない、放射線を用いた重合が好ましく、電子線を用いた重合がより好ましい。また、電子線を用いて重合性官能基を有する化合物を重合させる場合、酸素による重合阻害作用を取り除く目的で、不活性ガス雰囲気で電子線を照射した後、不活性ガス雰囲気で加熱することが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
【0019】
本発明において、電子写真感光体の表面層は、さらに、下記一般式(1)で示される化合物(尿素誘導体・尿素化合物)を含有する。
【0020】
【化2】

【0021】
上記一般式(1)中のRおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)が挙げられる。RおよびRが水素原子である場合、本発明の効果は得られない。また、RおよびRのアルキル基の炭素数が4以上である場合、表面層を形成する硬化性樹脂の構造(3次元網目構造)の高密度化を阻害する因子として働き、十分な表面層の膜強度が得られない。表面層の膜強度が十分でなければ、十分な耐摩耗性、耐傷性が得られない。
【0022】
上記一般式(1)中のArおよびArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。置換もしくは無置換のアリール基としては、置換もしくは無置換のフェニル基、または、置換もしくは無置換の多環芳香族基が挙げられる。多環芳香族基としては、例えば、ナフチル基、フルオレン基、ジメチルフルオレン基などが挙げられる。また、置換もしくは無置換のアリール基が有してもよい置換基は、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、水酸基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、または、ハロゲン原子に限られる。置換のアミノ基(置換基を有するアミノ基)としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。置換もしくは無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、イソプロピル基)、トリフルオロメチル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
【0023】
また、分子中のアリール基同士が向かい合う配置をとりやすいという点から、上記一般式(1)で示される化合物は、上記一般式(1)中のRおよびRが同一の基であり、かつ、ArおよびArが同一の基である、対称形の構造であることが好ましい。
また、本発明において、電子写真感光体の表面層は、上記一般式(1)で示される化合物を、表面層の全質量に対して1〜20質量%含有することが好ましい。含有量が少なすぎると、本発明の効果が小さくなる場合がある。また、含有量が多すぎると、表面層を形成する硬化性樹脂の構造(3次元網目構造)の高密度化が抑制され、表面層の膜強度が低くなる場合や、表面層から上記一般式(1)で示される化合物が析出しやすくなる場合がある。
【0024】
上記一般式(1)で示される化合物は、電子写真感光体の表面層に、1種のみを含有させてもよく、2種以上を含有させてもよい。
【0025】
上記一般式(1)で示される化合物は、例えば、下記文献に記載されている合成方法を用いて合成することができる。
・Photochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37
・Transactions of the Faraday Society,34,1938,783−786
・Tetrahedron Letters 39(1998)6267−6270
・Bulletin of the chemical society of japan,vol.47(4),1974,935−937
以下に、上記一般式(1)で示される化合物の具体例(例示化合物)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0026】
【化3】

【0027】
上記化合物の中でも、上記構造式(U−1)で示される化合物、上記構造式(U−2)で示される化合物、上記構造式(U−10)で示される化合物がより好ましい。以下、上記構造式(U−1)〜(U−24)で示される化合物を、それぞれ、例示化合物(U−1)〜(U−24)ともいう。
【0028】
また、本発明の電子写真感光体の表面層に用いられる重合性官能基を有する化合物とは、重合させることで硬化性樹脂を形成できる化合物である。具体的には、例えば、オレフィン化合物(二重結合C=Cを1個のみ有する化合物。)や、ハロゲン化オレフィン化合物(二重結合C=Cを1個のみ有し、ハロゲンX(XはF、Cl、BrまたはI)を有する化合物。)や、ジエン化合物(二重結合C=Cを2個以上有する化合物。)や、アセチレン化合物(三重結合C≡Cを1個以上有する化合物。)や、スチレン化合物(C=C−Ar(Arは芳香環または芳香族複素環)の構造を有する化合物。)や、ビニル化合物(ビニル基C=C−を有する化合物。)、アクリル酸化合物(C=C−CO−Z(ZはO、SまたはN)あるいはC=C−CN構造を有する化合物。)や、環状エーテル化合物(環に−O−結合を有する環状化合物。)や、ラクトン化合物(環に−CO−O−結合を有する環状化合物。)や、ラクタム化合物(環に−NH−CO−結合を有する環状化合物。)や、環状アミン化合物(環に−NH−結合を有する環状化合物。)や、環状スルフィド化合物(環にS原子を有する環状化合物。)や、環状カーボナート化合物(環に−O−CO−O−結合を有する環状化合物。)や、環状酸無水物(環に−CO−O−CO−結合を有する環状化合物。)や、環状イミノエーテル化合物(環に−N=C−O−結合を有する環状化合物。)や、アミノ酸−N−カルボン酸無水物(環に−O−CO−N=C−CO−結合を有する環状化合物。)や、環状イミド化合物(環に−CO−NH−CO−結合、−NH−CO−O−結合または−NH−CO−NH−結合を有する環状化合物。)や、環状含リン化合物(環にP原子を有する環状化合物。)や、環状含シリコン化合物(環にSi原子を有する環状化合物。)や、環状オレフィン化合物(環が炭素または炭素多重結合からなる環状化合物。)や、フェノール化合物(芳香族ヒドロキシル構造を有する化合物。)や、メラミン・尿素化合物(メラミン類または尿素誘導体。)や、ジアミン化合物(ジアミン誘導体、ポリアミンも含む。)や、ジカルボン酸類化合物(ジカルボン酸(エステル)誘導体。)や、オキシカルボン酸化合物(オキシカルボン酸(エステル)誘導体。)や、アミノカルボン酸化合物(アミノカルボン酸(エステル)誘導体。)や、ジオール化合物(フリーOH基を2基以上有するポリオール。)や、ジイソシアナート化合物(イソ(チオ)シアナート誘導体。)や、含硫黄化合物(含硫黄(S)モノマー類。)や、含リン化合物(含リン(P)モノマー類。)や、芳香族エーテル化合物(芳香族炭化水素基同士が酸素で結合された化合物。)や、ジハロゲン化合物(酸ハライド以外の炭素−ハロゲン結合を複数有する化合物。)や、アルデヒド化合物(アルデヒド基を有する化合物。)や、ジケトン化合物や、炭酸誘導体化合物や、アニリン誘導体化合物や、ケイ素化合物などが挙げられる。
【0029】
また、上記重合性官能基を有する化合物は、電気特性の観点から、分子中に電荷輸送性構造を有している電荷輸送性化合物であることが好ましい。電荷輸送性構造としては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの構造が挙げられる。
【0030】
また、上記重合性官能基は、重合効率の観点から、アクリル基(アクリロイルオキシ基:CH=CHCOO−)またはメタクリル基(メタクリロイルオキシ基:CH=C(CH)COO−)であることが好ましい。
【0031】
さらには、電子写真感光体の表面層に十分な3次元網目構造を形成する観点から、上記重合性官能基を有する化合物は、2つ以上の重合性官能基を有する電荷輸送性化合物であることが好ましい。
【0032】
さらには、上記重合性官能基を有する化合物は、下記一般式(4)で示される化合物であることが好ましい。下記一般式(4)で示される化合物は、重合効率のよいモノアミン構造を有しており、かつ、表面層の内部応力を高めやすく傷を発生させやすい過剰な重合性官能基数が抑えられた構造である。
【0033】
【化4】

【0034】
上記一般式(4)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示し、Arは、置換もしくは無置換のアリール基を示す。mおよびnは、それぞれ独立に、0〜5の整数である。置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基などが挙げられる。
【0035】
さらに、電子写真感光体の表面層の3次元網目構造の密度を高める観点から、上記一般式(4)中のArは、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。
【0036】
さらに、電気特性と膜強度(耐摩耗性、耐傷性)の両立という観点から、上記重合性官能基を有する化合物は、下記構造式(5)で示される化合物であることがより好ましい。
【0037】
【化5】

【0038】
上記重合性官能基を有する化合物は、硬化性樹脂を含有する表面層を形成する際に、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0039】
電子写真感光体の支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどの金属製の支持体や、表面に導電性皮膜を設けた金属、プラスチック、紙製の支持体などが挙げられる。また、支持体の形状としては、例えば、円筒状、フィルム状などが挙げられる。これらの中でも、円筒状のアルミニウム製の支持体が、機械強度、電子写真特性およびコストの点で優れている。また、素管のまま支持体として用いてもよいが、素管の表面に対して切削、ホーニングなどの物理処理や、陽極酸化処理や、酸などを用いた化学処理などを施したものを支持体として用いてよい。素管に対して切削、ホーニングなどの物理処理を行うことにより、表面粗さをRz値で0.1μm以上3.0μm以下に処理した支持体は、優れた干渉縞抑制機能を有している。
【0040】
支持体と感光層または後述の中間層との間には、必要に応じて、導電層(図1中不図示)を設けることもできる。導電層は、支持体自体に干渉縞抑制機能を持たせた場合は必ずしも必要ではないが、素管のまま支持体として用い、これの上に導電層を形成することにより、簡便な方法により干渉縞抑制機能を付与することができる。このため、生産性、コストの面から非常に有用である。導電層は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、硫酸バリウムなどの無機粒子をフェノール樹脂などの硬化性樹脂とともに適当な溶剤に分散し、必要に応じて粗し粒子を加えて導電層用塗布液を調製し、これを支持体上に塗布した後、この塗布膜を加熱して乾燥させることによって形成することができる。導電層の膜厚は、干渉縞抑制機能、支持体上の欠陥の被覆といった観点から、10μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0041】
支持体または導電層の上には、支持体との密着性確保、感光層の電気的破壊の保護、感光層のキャリア注入性の改良などの目的のために、中間層を設けてもよい。
【0042】
中間層は、樹脂を溶剤に溶解させて得られる中間層用塗布液を塗布し、この塗布膜を乾燥させることによって形成することができる。
中間層に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エチルセルロース樹脂、エチレン−アクリル酸コポリマー、エポキシ樹脂、カゼイン樹脂、シリコーン樹脂、ゼラチン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリレート、ポリアセタール、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリアリルエーテル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ユリア樹脂、アガロース樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
【0043】
中間層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフラン、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
中間層の膜厚は、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。
支持体、導電層または中間層の上には感光層が設けられる。
【0044】
電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾなどのアゾ顔料や、ガリウムフタロシアニン、オキシチタニウムフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、ペリレン顔料などが挙げられる。これらの中でも、環境変動時の特性安定性の観点から、ガリウムフタロシアニンが好ましい。さらには、高感度の観点から、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°および2θ=28.2°±0.3°の位置に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶がより好ましい。
【0045】
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アガロース樹脂、セルロース樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの絶縁性樹脂が挙げられる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレンなどの有機光導電性ポリマーを用いることもできる。
【0046】
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフラン、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0047】
電荷発生層は、電荷発生物質および必要に応じて結着樹脂を含有する電荷発生層用塗布液を塗布し、この塗布膜を乾燥させることによって形成することができる。電荷発生層用塗布液は、電荷発生物質だけを溶剤に加えて分散処理した後に結着樹脂を加えて調製してもよいし、電荷発生物質と結着樹脂を一緒に溶剤に加えて分散処理して調製してもよい。
【0048】
電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。
【0049】
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アガロース樹脂、セルロース樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの絶縁性樹脂が挙げられる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレンなどの有機光導電性ポリマーを用いることもできる。
【0050】
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフラン、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0051】
電荷輸送層は、電荷輸送物質および必要に応じて結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、この塗布膜を乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0052】
本発明の電子写真感光体の表面層の構成は、上述のとおりである。さらに、表面層には、導電性粒子、紫外線吸収剤、耐摩耗性改良剤などを含有させてもよい。導電性粒子としては、例えば、酸化スズ粒子などの金属酸化物が挙げられる。耐摩耗性改良剤としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子などが挙げられる。
【0053】
表面層の膜厚は、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
表面層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、メチラール、テトラヒドロフラン、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、4−メチルモルホリン、N,N‘−ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルセロソルブ、メトキシプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0054】
電子写真感光体の層構成が図1(a)に示す層構成である場合、電荷発生層の上に電荷輸送能を持たせた上記表面層が形成され、図1(b)に示す層構成である場合、電荷輸送層の上に上記表面層が形成される。
【0055】
また、上記各層を形成する際は、浸漬塗布法(ディッピング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0056】
図2に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面には、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0057】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5内に収容されたトナーで正規現像または反転現像によりトナー像として顕画化される。電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像は、転写手段6により転写材7に順次転写されていく。ここで、転写材7は、不図示の給紙部から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に給送される。また、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写手段は、一次転写部材、中間転写体および二次転写部材を有する中間転写方式の転写手段であってもよい。
【0058】
トナー像の転写を受けた転写材7は、電子写真感光体の表面から分離され、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置外へプリントアウトされる。
【0059】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーなどの付着物の除去を受けて清浄面化される。転写残りトナーを現像器などで回収することもできる。さらに、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0060】
本発明においては、電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとしてもよい。また、該プロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に装着する構成であってもよい。例えば、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9からなる群より選択される少なくとも1つの手段を電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【実施例】
【0061】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらにのみ限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0062】
〈実施例1〉
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散処理して、導電層用塗布液を調製した。
【0063】
支持体としてのアルミニウムシリンダー(外径30mm、引き抜き管)上に、この導電層用塗布液を浸漬塗布し、これを30分間140℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0064】
次に、ナイロン6−66−610−12四元ナイロン共重合体樹脂(商品名:CM8000、東レ(株)製)2.5部およびN−メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス製)7.5部を、メタノール100部およびブタノール90部の混合溶剤に溶解させて、中間層用塗布液を調製した。
【0065】
この中間層用塗布液を上記導電層上に浸漬塗布し、10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.55μmの中間層を形成した。
次に、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部をシクロヘキサノン130部に溶解させた液に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)11部を添加した。これに直径1mmのガラスビーズ500部を加えて、18℃の冷却水で冷却しつつ1800rpmの条件で2時間分散処理した。分散処理が終了した液に酢酸エチル300部およびシクロヘキサノン160部を加えて希釈して、電荷発生層用塗布液を調製した。
【0066】
この電荷発生層用塗布液中のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の平均粒径(メジアン)を、液相沈降法を基本原理とした堀場製作所製の遠心式粒度測定装置(商品名:CAPA700)を用いて測定したところ、0.10μmであった。
この電荷発生層用塗布液を上記中間層上に浸漬塗布し、10分間110℃で乾燥させることによって、膜厚が0.14μmの電荷発生層を形成した。
【0067】
次に、下記構造式(6)で示される化合物(電荷輸送物質)5部、
【0068】
【化6】

【0069】
下記構造式(7)で示される化合物(電荷輸送物質)5部、
【0070】
【化7】

【0071】
および、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン70部およびジメトキシメタン30部の混合溶剤に溶解させて、電荷輸送層用塗布液を調製した。
この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布し、30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0072】
次に、上記構造式(5)で示される化合物49.75部および例示化合物(U−1)(東京化成工業(株)製、GC純度>97%)0.25部を、n−プロパノール25部に溶解させ、さらに1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)25部を加えて、保護層用塗布液を調製した。
【0073】
この保護層用塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬塗布して、これを5分間50℃で加熱処理した。その後、窒素雰囲気下にて、加速電圧80kV、吸収線量19000Gyの条件で1.5秒間電子線を照射した。引き続き、窒素雰囲気下にて、30秒間125℃で加熱処理した。なお、電子線の照射から30秒間の加熱処理までの酸素濃度は19ppmであった。次に、大気中において、20分間100℃で加熱処理することによって、膜厚が4.8μmの保護層を形成した。
【0074】
このようにして、支持体、導電層、中間層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を有し、保護層が表面層である電子写真感光体を作製(製造)した。この電子写真感光体を電子写真感光体1とする。
【0075】
〈実施例2〉
実施例1において、上記構造式(5)で示される化合物の使用量を48.5部に変更し、例示化合物(U−1)の使用量を1.5部に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を電子写真感光体2とする。
【0076】
〈実施例3〉
実施例1において、上記構造式(5)で示される化合物の使用量を42.5部に変更し、例示化合物(U−1)の使用量を7.5部に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を電子写真感光体3とする。
【0077】
〈実施例4〉
実施例1において、上記構造式(5)で示される化合物の使用量を39部に変更し、例示化合物(U−1)の使用量を11部に変更して保護層用塗布液を調製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この電子写真感光体を電子写真感光体4とする。
【0078】
〈実施例5〉
実施例2において、保護層用塗布液を、上記構造式(5)で示される化合物48.5部、例示化合物(U−1)1.5部、ポリテトラフルオロエチレン粒子(商品名:ルブロンL2、ダイキン(株)製)13部、ならびに、下記式(A1)で示される繰り返し構造単位および下記式(A2)で示される繰り返し構造単位を有する樹脂(重量平均分子量:130,000、共重合比(A1)/(A2)=1/1(モル比))1.5部を、n−プロパノール25部および1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)25部の混合溶剤に加え、これを超高圧分散機で分散処理することによって得られた保護層用塗布液に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体5とする。
【0079】
【化8】

【0080】
〈実施例6〉
実施例1において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体6とする。
【0081】
〈実施例7〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体7とする。
【0082】
〈実施例8〉
実施例3において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体8とする。
【0083】
〈実施例9〉
実施例4において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体9とする。
【0084】
〈実施例10〉
実施例5において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体10とする。
【0085】
〈実施例11〉
実施例2で調製した保護層用塗布液に、さらに1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)(光重合開始剤)2.5部を加えたものを保護層用塗布液とした。そして、この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して、これを5分間50℃で加熱処理し、その後、メタルハライドランプを用いて、照射強度:500mW/cmの条件で20秒間光照射し、30分間130℃で加熱処理することによって、膜厚が4.8μmの保護層(表面層)を形成した。これ以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体11とする。
【0086】
〈実施例12〉
実施例11において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体12とする。
【0087】
〈実施例13〉
実施例2において、上記構造式(5)で示される化合物を下記構造式(8)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体13とする。
【0088】
【化9】

【0089】
〈実施例14〉
実施例13において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体14とする。
【0090】
〈実施例15〉
実施例2において、上記構造式(5)で示される化合物を下記構造式(9)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体15とする。
【0091】
【化10】

【0092】
〈実施例16〉
実施例15において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体16とする。
【0093】
〈実施例17〉
実施例2において、上記構造式(5)で示される化合物を下記構造式(10)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体17とする。
【0094】
【化11】

【0095】
〈実施例18〉
実施例17において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例17と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体18とする。
【0096】
〈実施例19〉
実施例2において、保護層用塗布液を、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:DPHA、ダイセル・サイテック(株)製)(重合性官能基であるアクリル基を6つ有し、電荷輸送構造をもたない化合物)24.5部、下記構造式(11)で示される化合物24部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)(光重合開始剤)2.5部および例示化合物(U−1)1.5部をn−プロパノール25部に溶解させ、さらに1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製)25部を加えたものに変更した。そして、この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して、これを5分間50℃で加熱処理し、その後、メタルハライドランプを用いて、照射強度:500mW/cmの条件で20秒間光照射し、30分間130℃で加熱処理することによって、膜厚は4.8μmの保護層(表面層)を形成した。これ以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体19とする。
【0097】
【化12】

【0098】
〈実施例20〉
実施例19において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例19と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体20とする。
【0099】
〈実施例21〉
実施例2において、保護層用塗布液を、下記構造式(12)で示される化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子50部、エタノール150部を、66時間かけてサンドミル分散を行い、さらに、ポリテトラフルオロエチレン粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて2時間分散を行った後、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4804、アンモニア以外のアミン系化合物含有、群栄化学(株)製)25部を溶解させたものに変更した。そして、この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して、これを60分間150℃で加熱処理することによって、膜厚は4.8μmの保護層(表面層)を形成した。これ以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体21とする。
【0100】
【化13】

【0101】
〈実施例22〉
実施例21において、例示化合物(U−1)を例示化合物(U−2)(東京化成工業(株)製、GC純度>98%)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体22とする。
【0102】
〈実施例23〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−3)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体23とする。
【0103】
〈実施例24〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−4)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体24とする。
【0104】
〈実施例25〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−6)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体25とする。
【0105】
〈実施例26〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−8)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体26とする。
【0106】
〈実施例27〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−9)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体27とする。
【0107】
〈実施例28〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−10)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体28とする。
【0108】
〈実施例29〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−12)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体29とする。
【0109】
〈実施例30〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−13)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体30とする。
【0110】
〈実施例31〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−15)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体31とする。
【0111】
〈実施例32〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−19)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体32とする。
【0112】
〈実施例33〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−20)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体33とする。
【0113】
〈実施例34〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−21)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体34とする。
【0114】
〈実施例35〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−22)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体35とする。
【0115】
〈実施例36〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−23)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体36とする。
【0116】
〈実施例37〉
実施例2において、例示化合物(U−1)をPhotochem.Photobiol.Sci.,2002,1,30−37に記載の方法にしたがって合成した例示化合物(U−24)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体37とする。
【0117】
〈比較例1〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(13)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C1とする。
【0118】
【化14】

【0119】
〈比較例2〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(14)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C2とする。
【0120】
【化15】

【0121】
〈比較例3〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(15)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C3とする。
【0122】
【化16】

【0123】
〈比較例4〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(16)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C4とする。
【0124】
【化17】

【0125】
〈比較例5〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(17)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C5とする。
【0126】
【化18】

【0127】
〈比較例6〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(18)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C6とする。
【0128】
【化19】

【0129】
〈比較例7〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(19)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C7とする。
【0130】
【化20】

【0131】
〈比較例8〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(20)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C8とする。
【0132】
【化21】

【0133】
〈比較例9〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を、フタル酸ジエチル(可塑剤)に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C9とする。
【0134】
〈比較例10〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を下記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C10とする。
【0135】
【化22】

【0136】
〈比較例11〉
実施例11において、例示化合物(U−1)を上記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C11とする。
【0137】
〈比較例12〉
実施例13において、例示化合物(U−1)を上記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C12とする。
【0138】
〈比較例13〉
実施例15において、例示化合物(U−1)を上記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C13とする。
【0139】
〈比較例14〉
実施例17において、例示化合物(U−1)を上記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例17と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C14とする。
【0140】
〈比較例15〉
実施例19において、例示化合物(U−1)を上記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例19と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C15とする。
【0141】
〈比較例16〉
実施例21において、例示化合物(U−1)を上記構造式(21)で示される化合物に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C16とする。
【0142】
〈比較例17〉
実施例2において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C17とする。
【0143】
〈比較例18〉
実施例11において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C18とする。
【0144】
〈比較例19〉
実施例13において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C19とする。
【0145】
〈比較例20〉
実施例15において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C20とする。
【0146】
〈比較例21〉
実施例17において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例17と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C21とする。
【0147】
〈比較例22〉
実施例19において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例19と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C22とする。
【0148】
〈比較例23〉
実施例21において、例示化合物(U−1)を用いなかった以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体C23とする。
【0149】
〈比較例24〉
実施例1において、保護層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を電子写真感光体C24とする。
【0150】
〈比較例25〉
比較例24で調製した電荷輸送層用塗布液に、さらに例示化合物(U−1)0.6部を加えたものを電荷輸送層用塗布液として用いた以外は、比較例24と同様にして電子写真感光体を作製した。この電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を電子写真感光体C25とする。
【0151】
〈表面層の膜性評価〉
電子写真感光体2、7、C10およびC17のそれぞれの表面層のユニバーサル硬度および弾性変形率を、ドイツのフィッシャー社製の硬度計(商品名:H100VP−HCU)を用いて測定した。四角錐で先端の対面角136゜のダイヤモンド圧子で荷重をかけて、測定対象の表面層に該ダイヤモンド圧子を押し込み、該ダイヤモンド圧子に加重をかけた状態での押し込み深さを電気的に検出して読み取った。また、測定環境は23℃/50%RHとした。
【0152】
ユニバーサル硬度は、その数値が大きければ機械的強度が高いという物性値である。試験荷重(最終荷重2mN)をその試験荷重で生じた圧痕(圧子の幾何学的形状から計算された)の表面積で除した比率でユニバーサル硬度を決定した。
【0153】
弾性変形率は、その数値が大きければ弾性が大きいという物性値である。試験荷重(最終荷重2mN)を減少させて荷重が0になるまでの押し込み深さと荷重を測定して弾性変形率を決定した。
【0154】
〈通紙耐久評価〉
電子写真感光体1〜37およびC1〜C25を、キヤノン(株)製の電子写真方式の複写機(商品名:iR4570)に装着して、27℃/75%RHの環境で、暗部電位−750V、明部電位−160Vに設定して、20万枚の通紙耐久試験を行った。目視にて、1万枚ごとの、電子写真感光体の表面の傷の発生に起因する画像欠陥(傷画像)の有無を確認した。さらに、電子写真感光体1〜10、23〜37、C1〜C10、C17、C24およびC25に関しては、2万枚通紙後の明部電位変動量(=2万枚通紙後の明部電位−初期の明部電位)の大きさを確認した。加えて、電子写真感光体1〜10、23〜37、C1〜C10およびC17に関しては、5万枚通紙後の表面層の摩耗量(μm)を確認した。結果を表1に示す。
【0155】
【表1】

【0156】
比較例24および25では、20万枚の通紙耐久試験は行えず、3万枚で耐久試験を終了した。
【符号の説明】
【0157】
101 支持体
102 中間層
103 電荷発生層
104 電荷輸送層
105 保護層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性官能基を有する化合物を重合させて得られる硬化性樹脂を含有する表面層を有する電子写真感光体において、該表面層が、下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【化1】


(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を示し、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。ただし、該アリール基が有してもよい置換基は、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、水酸基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、または、ハロゲン原子である。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のRおよびRが同一の基であり、ArおよびArが同一の基である請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記一般式(1)で示される化合物が、下記構造式(U−1)で示される化合物、下記構造式(U−2)または下記構造式(U−10)で示される化合物である請求項2に記載の電子写真感光体。
【化2】

【請求項4】
前記表面層が、前記一般式(1)で示される化合物を前記表面層の全質量に対して1〜20質量%含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項5】
前記重合性官能基を有する化合物が電荷輸送性化合物であり、かつ、前記重合性官能基が、アクリル基もしくはメタクリル基である請求項1〜4いずれか1項に記載の電子写真感光体。
【請求項6】
前記重合性官能基を有する化合物が、2つ以上の重合性官能基を有する電荷輸送性化合物である請求項5に記載の電子写真感光体。
【請求項7】
前記重合性官能基を有する化合物が、下記一般式(4)で示される化合物である請求項6に記載の電子写真感光体。
【化3】


(一般式(4)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示し、Arは、置換もしくは無置換のアリール基を示す。mおよびnは、それぞれ独立に、0〜5の整数である。)
【請求項8】
前記重合性官能基を有する化合物が、下記構造式(5)で示される化合物である請求項7記載の電子写真感光体。
【化4】

【請求項9】
重合性官能基を有する化合物および下記一般式(1)で示される化合物を含有する表面層用塗布液を用いて塗布膜を形成し、該塗布膜に含有される該重合性官能基を有する化合物を重合させることによって表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法。
【化5】


(一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を示し、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアリール基を示す。ただし、該アリール基が有してもよい置換基は、カルボキシル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアミノ基、水酸基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ニトロ基、または、ハロゲン原子である。)
【請求項10】
前記重合が、前記塗布膜に電子線を照射することによって行われる請求項9に記載の電子写真感光体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−133853(P2011−133853A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231610(P2010−231610)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】