説明

電子写真感光体および画像形成装置

【課題】電子写真感光体において感光層の剥離が生じることを抑制し、電子写真感光体を備えた画像形成装置における画像欠陥の発生を抑制する。
【解決手段】本発明は、円筒状基体と、前記円筒状基体の外周面に形成され、かつ潜像形成領域および非潜像形成領域を含む感光層と、を備えた電子写真感光体に関する。前記感光層は、前記円筒状基体との間に作用する応力を緩和するために、前記非潜像形成領域に形成された応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、互いに接続されないように前記円筒状基体の周方向に沿って離散的に配置される複数の凹部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置は、電子写真感光体を備えている。このような画像形成装置では、電子写真感光体を駆動伝達機構により回転させ、その回転周期に同期させて帯電・露光・現像・転写・クリーニング等の動作を繰り返し行なうことにより記録媒体に画像が形成される。
【0003】
より具体的には、前記画像形成装置では、表面を帯電させた電子写真感光体を回転させながら、画像パターンに応じてレーザ光を照射して露光することにより電子写真感光体の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、トナーを付着させることにより現像される。電子写真感光体に付着したトナーは、記録媒体に転写される。記録媒体へのトナー転写後は、電子写真感光体を回転させながら、その表面にクリーニングブレードを押圧させることにより、残留するトナーが除去される。
【0004】
電子写真感光体としては、金属製の基体と、この基体上に形成されるSi系無機物材料を含む感光層とを組み合わせたものが知られている。
【0005】
【特許文献1】特公平07−19068号公報
【特許文献2】特許第2514198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無機物材料を含む感光層は、CVD装置やスパッタリング装置などの成膜装置を使用して形成される。これらの装置を用いて感光層の成膜を行う場合、通常、基体は十分な温度、たとえば200℃〜400℃に加熱される。このようにして形成された感光層は、基体の端部から剥離する場合あることが知られている。
【0007】
このような感光層の剥離は、基体と感光層との熱膨張率の差に起因するものであると考えられる。すなわち、成膜後において基体と感光層とが冷却された場合、それらの熱膨張の差に起因して基体と感光層の熱収縮量が異なったものとなる。その結果、感光層と基体との間には応力が作用し、それが感光層の内部に閉じ込められてしまう。このような内部応力は、熱収縮量の最も大きな基体の端部において大きく作用するため、感光層が基体の端部から剥離してしまうことがある。
【0008】
また、剥離した感光層は、感光層上における潜像形成領域に付着してしまうことがあり、その場合には画像欠陥が生じる原因となる。
【0009】
本発明は、電子写真感光体において感光層の剥離が生じることを抑制し、電子写真感光体を備えた画像形成装置における画像欠陥の発生を抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面では、円筒状基体と、前記円筒状基体の外周面に形成され、かつ潜像形成領域および非潜像形成領域を含む感光層と、を備えた電子写真感光体であって、前記感光層は、前記円筒状基体との間に作用する応力を緩和するために、前記非潜像形成領域に形成された応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、互いに接続されないように前記円筒状基体の周方向に沿って離散的に配置される複数の凹部を有することを特徴とする、電子写真感光体が提供される。
【0011】
本発明の第2の側面では、電子写真感光体を備えた画像形成装置であって、前記電子写真感光体は、円筒状基体と、前記円筒状基体の外周面に形成され、かつ潜像形成領域および非潜像形成領域を含む感光層と、を備えており、前記感光層は、前記円筒状基体との間に作用する応力を緩和するために、前記非潜像形成領域に形成された応力緩和部を有し、前記応力緩和部は、互いに接続されないように前記円筒状基体の周方向に沿って離散的に配置される複数の凹部を有することを特徴とする、画像形成装置が提供される。
【0012】
前記円筒状基体は、たとえば金属製であり、前記感光層は、たとえば無機物材料を含んでいる。
【0013】
前記感光層の厚みは、たとえば15μm以上90μm以下とされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子写真感光体では、感光層に応力緩和部が設けられている。そのため、応力緩和部において、感光層の内部に蓄積された内部応力が開放され、感光層が円筒状基体から剥れることが抑制できる。とくに、円筒状基体の端部においては内部応力が蓄積されやすいが、応力緩和部が感光層の非潜像領域(円筒状基体の端部に対応した位置)に形成されているため、端部における内部応力の蓄積ひいては端部における感光層の剥がれを適切に抑制することができる。
【0015】
本発明の画像形成装置では、前記電子写真感光体を備えているため、電子写真感光体にける感光層の剥がれが適切に抑制されている。そのため、剥がれた感光層が潜像形成領域に付着することを回避できるため、剥がれた感光層が潜像形成領域に付着することに起因する画像欠陥の発生を適切に回避することができる。
【0016】
前記電子写真感光体において、円筒状基体を金属製とし、感光層が無機物材料を含むものとすれば、円筒状基体と感光層との間の熱収縮量の差が比較的に大きくなるために感光層に内部応力が蓄積されやすいが、そのような円筒状基体と感光層とを備えた電子写真感光体であっても、感光層に内部応力が蓄積されるのを適切に抑制し、感光層の剥がれを抑制することができる。
【0017】
前記電子写真感光体において、感光層の厚みを15μm以上90μm以下に形成すれば、記録画像に干渉縞が発生するのを適切に抑制できるとともに、この厚みに起因して感光層に生じる内部応力が比較的大きい場合であっても、応力緩和部によって感光層の剥がれを適切に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置および電子写真感光体ついて、添付図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0019】
図1に示した画像形成装置1は、画像形成方式としてカールソン法を採用したものであり、電子写真感光体2、帯電器10、露光器11、現像器12、転写器13、定着器14、クリーニング器15、および除電器16を備えたものである。
【0020】
電子写真感光体2は、画像信号に基づいた静電潜像やトナー像が形成されるものであり、図外の回転機構によって図1の矢印A方向に回転可能とされている。図2に示したように、電子写真感光体2は、円筒状基体20および感光層21を有している。
【0021】
円筒状基体20は、電子写真感光体2の骨格をなすとともに、その外周面上で静電潜像を担持するものである。円筒状基体20の軸方向の長さL1は、使用が予定される記録紙などの記録媒体Pの最大のものの長さよりも若干長くされている。具体的には、円筒状基体20の軸方向の長さL1は、たとえば記録媒体Pの両端から0.5cm以上5cm以下程度長くなるように設定されている。このため、感光層21は、記録媒体Pの最大長さに対応した潜像形成領域22と、この潜像形成領域22に隣接して両端部に設けられた非潜像形性領域23と、を有することとなる。すなわち、非潜像形成領域23とは、どのような画像サイズに対応した潜像を感光層21に形成するに当たっても、全く使用が予定されない感光層21の領域(軸方向における潜像形成領域22の外側)をいう。
【0022】
このような円筒状基体20は、少なくとも表面に導電性を有するものとされている。すなわち、円筒状基体20は、全体を導電性材料により形成してもよいし、絶縁性材料により形成した円筒体の表面に導電性膜を形成したものであってもよい。円筒状基体20のための導電性材料としては、たとえばAlあるいはSUS(ステンレス)、Zn、Cu、Fe、Ti、Ni、Cr、Ta、Sn、Au、およびAgなどの金属材料、それらの金属の合金材料を使用することができる。円筒状基体20のための絶縁材料としては、樹脂、ガラスあるいはセラミックなどを挙げることができる。導電性膜のための材料としては、先に例示した金属の他、ITO(Indium Tin Oxide)、SnOなどの透明導電性材料を挙げることができる。これらの透明導電性材料は、たとえば蒸着などの公知の手法により、絶縁性を有する円筒体の表面に被着させることができる。
【0023】
ただし、円筒状基体20は、全体をAl合金材料(たとえばAl−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金)により形成するのが好ましい。そうすれば、電子写真感光体2が軽量かつ低コストに製造可能となり、その上、後述する感光層21の電荷注入阻止層24や光導電層25をアモルファスシリコン系(a−Si系)材料により形成する場合に、それらの層24,25との密着性が高くなって信頼性が向上する。
【0024】
このようなAl合金材料の円筒状基体20は、たとえば鋳造、均質化処理、熱間押出加工、および冷間抽伸加工し、必要に応じて軟化処理を行なうことにより形成することができる。
【0025】
感光層21は、円筒状基体20の外周面20Aから端面20Bに連続して形成されたものであり、その厚みが15μm以上90μm以下に形成されている。感光層21の厚みを15μm以上にすることにより、例えば長波長光吸収層を設けなくても記録画像に干渉縞が発生するのを適切に抑制でき、感光層21の厚みを90μm以下にすることにより、応力に起因する膜剥がれが発生するのを適切に抑制できる。この感光層21は、電荷注入阻止層24、光導電層25、および表面層26を積層形成したものであり、応力緩和部27を有している。
【0026】
応力緩和部27は、感光層21と円筒状基体20との間に作用する内部応力を緩和するためのものであり、非潜像形成領域23に形成されている。図3(a)および図4(b)に示したように、応力緩和部27は、円筒状基体20の周方向に沿う環状に形成されているとともに、図4(a)に示したように、円筒状基体20の表面を露出させる断面矩形状の凹部として形成されている。このように、円筒状基体20を露出させるように応力緩和部27を形成すれば、大きな応力緩和効果を発揮することができる。
【0027】
電子写真感光体2では、感光層21に応力緩和部27が設けられているため、応力緩和部27において、感光層21の内部に蓄積された内部応力が開放され、感光層21が円筒状基体20から剥れることが抑制できる。とくに、円筒状基体20の端部においては内部応力が蓄積されやすいが、応力緩和部27が感光層21の非潜像領域23(円筒状基体20の端部に対応した位置)に形成されているため、端部における内部応力の蓄積ひいては端部における感光層21の剥がれを適切に抑制することができる。
【0028】
また、応力緩和部27を円筒状基体20の周方向に沿って環状に形成することにより、この周方向に亘って円筒状基体20からの感光層21の剥れが抑制できるため、より効果的に感光層21の剥がれを抑制することができる。
【0029】
感光層21は、たとえば15μm以上90μm以下と十分な厚みを有しているが、この厚みに起因して感光層21に生じる内部応力が比較的大きい場合であっても、応力緩和部27を形成することにより剥れが抑制できる。
【0030】
図4(b)ないし図4(d)に示したように、応力緩和部27は、円筒状基体20の表面を露出させることなく、感光層21の途中まで形成されていてもよい。図4(b)には応力緩和部27が電荷注入阻止層24の途中まで形成された例を、図4(c)には応力緩和部27が光導電層25の途中まで形成された例を、図4(d)には応力緩和部27が表面層26の途中まで形成された例を示している。図4(b)および図4(c)に示したように、応力緩和部27を電荷注入阻止層24あるいは光導電層25の途中まで形成した場合には、円筒状基体20を露出させる場合に比べて、円筒状基体20の酸化などによる劣化を抑制することができ、また図4(d)に示した表面層26の途中まで応力緩和部27を形成する場合に比べて、相対的に応力緩和効果も大きくなる。図4(e)に示したように、表面層26の途中まで応力緩和部27を設けた場合には、光導電層25などを露出することがないので、光導電層25などを表面層26で保護した状態とすることができるため、応力緩和効果を得つつ相対的に耐久性を高めることができる。
【0031】
応力緩和部27は、電荷注入阻止層24と光導電層25との間の界面まで、あるいは光導電層25と表面層26との界面まで形成されていてもよい。また、図4(e)に示したように、応力緩和部27は、断面三角形状の凹部として形成してもよいし、図示しないが断面半円形状や半楕円形状などの凹部として形成してもよい。
【0032】
ただし、感光層21と円筒状基体20との間の内部応力をより適切に緩和する観点からは、応力緩和部27の深さが大きいほうがよく、図4(a)に示したように円筒状基体20の外周面20Aが露出するように形成するのが最も好ましい。
【0033】
図5(a)に示したように、応力緩和部27は、円筒状基体20の外周面20Aと端面20Bとの間の境界に対応する位置に形成してもよく、図5(b)に示したように、応力緩和部27は、円筒状基体20の外周面20Aと端面20Bとの間に面取り面20Cが形成されている場合には、面取り面20Cに対応する位置に形成してもよい。なお、図5(b)では、面取り面20Cがテーパ面として形成されているが、面取り面20Cは曲面として形成されていてもよい。
【0034】
円筒状基体20の外周面20Aと端面20Bとの間の境界、あるいは外周面20Aと端面20Bとの間の面取り面20Cでは、感光層21が円筒状基体20の角に位置するために感光層21の剥がれが本来生じやすいが、このような部分に応力緩和部27を形成すれば、円筒状基体20からの感光層21の剥れを適切に抑制することができる。
【0035】
また、図5(c)に示したように、円筒状基体20として、駆動用のフランジや軸受用のフランジを嵌め込むためのインロー部28が形成されているものを使用する場合においても、感光層21に応力緩和部27を設けることは可能である。図4(c)では、図4に対応した形態の応力緩和部27が設けられているが、他の図面を参照して説明した形態の応力緩和部27を設けてもよい。
【0036】
応力緩和部27は、必ずしも感光層21の全周にわたって形成されている必要はなく、たとえば図6(a)に示したように、応力緩和部27の一部が途切れた形状であってもよく、図6(b)に示したように複数の凹部27Aを円筒状基体20の周方向に離散的に配置したものであってもよい。もちろん、図6(a)および図6(b)に示した以外の形状に変更することも可能である。
【0037】
図2に示した電荷注入阻止層24は、円筒状基体20からの電子や正孔が光導電層25に注入されるのを抑制するためのものであり、たとえば厚みが1μm以上10μm以下に形成されている。電荷注入阻止層24は、光導電層25の材料に応じて種々のものを用いることができるが、たとえば光導電層25にa−Si系材料を用いる場合であれば、電荷注入阻止層24にもa−Si系の材料の無機物材料を使用するのが好ましい。そうすることにより、円筒状基体20と光導電層25との密着性に優れた電子写真特性を得ることができる。
【0038】
a−Si系の電荷注入阻止層24を設ける場合は、a−Si系光導電層25と比べて、より多くの周期律表第13族元素(以下、「第13族元素」と略す)や周期律表第15族元素(以下、「第15族元素」と略す)を含有させて導電型を調整し、また多くの炭素(C)、窒素(N)、あるいは酸素(O)を含有させて高抵抗化するとよい。
【0039】
電荷注入阻止層24は、全体を無機物として膜形成する場合には、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。
【0040】
なお、電荷注入阻止層24は、選択的なものであり、必ずしも必要なものではない。また、電荷注入阻止層24に代えて、長波長光吸収層を設けてもよい。この長波長光吸収層を設けると、露光時に入射した長波長光(波長が0.8μm以上の光をいう。)が円筒状基体20の外周面20Aで反射し、記録画像に干渉縞が発生することを抑制することが可能となる。
【0041】
光導電層25は、露光器11によるレーザ光の照射によって電子が励起され、自由電子あるいは正孔などのキャリアを発生させるためのものであり、たとえば厚みが10μm以上80μm以下に形成されている。光導電層25は、たとえばa−Si系材料、a−Se、Se−Te、およびAsSeなどのアモルファスセレン系(a−Se系)材料、あるいはZnO、CdS、CdSeなどの周期律表第12族元素と周期律表第16族元素との化合物などにより形成されている。a−Si系材料としては、a−Si、a−SiC、a−SiN、a−SiO、a−SiGe、a−SiCN、a−SiNO、a−SiCOおよびa−SiCNOなどを使用することができる。特に、光導電層25をa−Siあるいはa−SiにC、N、Oなどの元素を加えたa−Si系の合金材料により形成した場合には、高い光感度特性、高速応答性、繰り返し安定性、耐熱性、および耐久性などの優れた電子写真特性が安定して得られるのに加え、表面層26をa−SiC(特にa−SiC:H)により形成する場合における表面層26との整合性が優れたものとなる。
【0042】
光導電層25は、全体を無機物として膜形成する場合には、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。光導電層25の成膜に当たっては、ダングリングボンド終端用に水素(H)やハロゲン元素(F、Cl)を、膜中に1原子%以上40原子%以下含有させてもよい。また、光導電層25の形成に当たっては、各層の暗導電率や光導電率などの電気的特性および光学的バンドギャップなどについて所望の特性を得るために、第13族元素や第15族元素を0.1ppm以上20000ppm以下含有させたり、C、N、O等の元素の含有量を0.01ppm以上100ppm以下の範囲で調整することにより、上記諸特性を調整する。C、N、O等の元素については、層の厚み方向に濃度勾配が生じるように含有させてもよく、その場合には、層全体の平均含有量が上記範囲内にあればよい。
【0043】
また、第13族元素および第15族元素としては、共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点および優れた光感度が得られる点で、ホウ素(B)およびリン(P)を用いるのが望ましい。第13属元素および第15属元素をC、N、O等の元素とともに含有させる場合には、第13族元素は0.1ppm以上20000ppm以下であるのが好ましく、第15族元素は0.1ppm以上10000ppm以下であるのが好ましい。
【0044】
光導電層25にC、N、O等の元素を含有させないか、あるいは微量(0.01ppm以上100ppm以下)含有させる場合は、第13族元素の含有量は0.01ppm以上200ppm以下、第15族元素の含有量は0.01ppm以上100ppm以下であるのが好ましい。これらの元素の含有率は層厚方向にわたって濃度勾配があってもよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内であればよい。
【0045】
光導電層25をa−Si系材料により形成する場合には、μc−Si(微結晶シリコン)を含有させてもよく、その場合には、暗導電率および光導電率を高めることができるので、光導電層25の設計自由度が増すという利点がある。このようなμc−Siは、先に説明したのと同様の形成法を採用し、その成膜条件を変えることによって形成することができる。たとえばグロー放電分解法では、円筒状基体20の温度および高周波電力をa−Siの場合よりも高めに設定し、希釈ガスとしての水素流量を増すことによって形成できる。また、μc−Siを含む場合にも上記と同様の不純物元素を添加させてもよい。
【0046】
光導電層25は、前述の無機物系材料を粒子化し、それを樹脂に分散させた形態であってもよい。また、光導電層25は、必ずしも無機物材料を含んでいる必要はなく、たとえば有機光導電物質を用いた光導電層として形成してもよい。有機光導電物質としては、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマー、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールのような低分子有機光導電性物質を用いることができ、また有機光導電性物質は各種染料や顔料を組み合わせて使用することもできる。
【0047】
表面層26は、光導電層25の摩擦や磨耗を防ぐためのものである。この表面層26は、たとえばa−SiCなどのa−Si系材料に代表される無機物材料により、厚みが0.2μm以上1.5μm以下に形成されている。表面層26の厚みを0.2μm以上にすることで耐刷による画像キズおよび画像濃度ムラの発生を防止することが可能となり、表面層26の厚みを1.5μm以下にすることで初期特性(残留電位による画像不良等)を良好にすることが可能となる。表面層26の厚みは、好適には0.5μm以上1.0μm以下とされる。
【0048】
このような表面層26は、a−SiCに水素を含有させたa−SiC:Hにより形成するのが好ましい。a−SiC:Hは、元素比率を組成式a−Si1−X:Hと表した場合、たとえばX値が0.55以上0.93未満とされる。X値を0.55以上0.93未満の範囲内にすることにより、表面層26として適切な硬度を得ることが可能となり、表面層26ひいては電子写真感光体2の耐久性を充分に確保することができるようになる。好適には、X値は0.6以上0.7以下とされる。表面層26をa−SiC:Hにより形成する場合におけるH含有量は、1原子%以上70原子%以下程度に設定するとよい。この範囲内では、Si−H結合がSi−C結合に比して少なくなり、表面層26の表面に光が照射されたときに生じた電荷のトラップを抑えることができ、残留電位を防止することができる点で好ましい。本発明者らの知見によれば、このH含有量を約45原子%以下とすると、より良好な結果が得られる。
【0049】
このようなa−SiC:Hの表面層26は、光導電層25をa−Si系材料により形成する場合と同様に、全体を無機物として膜形成する場合には、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。
【0050】
表面層26はまた、有機光導電物質を用いた層として光導電層25を形成する場合には、通常、有機材料により形成される。この場合の有機材料としては、硬化性樹脂を挙げることができる。硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、あるいはウレタン樹脂を使用することができる。
【0051】
次に、電子写真感光体2の製造方法について説明する。
【0052】
電子写真感光体2は、円筒状基体20に感光層21を形成する第1の工程と、感光層21における非潜像形成領域23に応力緩和部27を形成する第2の工程と、を経て製造することができる。
【0053】
第1の工程は、感光層21の全体を無機物材料により形成する場合には、たとえば7および図8に示したグロー放電分解装置5を用いて行なうことができる。図示したグロー放電分解装置5は、円筒状の真空容器50の中央部に配置した基体支持体51に円筒状基体20を支持させ、グロー放電プラズマにより円筒状基体20にa−Si系膜を成膜するものである。このグロー放電分解装置5では、基体支持体51が接地されているとともに、真空容器50が高周波電源52に接続されており、真空容器50と基体支持体51(円筒状基体20)との間に高周波電力を印加できるようになされている。基体支持体51は、回転機構53によって回転可能とされており、その内部に配置されたヒータ54によって加熱されるようになっている。このグロー放電分解装置5にはさらに、複数(図面上は8個)のガス導入管55が基体支持体51(円筒状基体20)を囲むように配置されている。各ガス導入管55は、その軸方向に並ぶように複数のガス導入口56が設けられたものである。各ガス導入管55における複数のガス導入口56は、円筒状基体20に対面するように配置されており、複数のガス導入口56を介して導入された原料ガスが、円筒状基体20に向けて吹き出すように構成されている。
【0054】
このグロー放電分解装置5を用いて円筒状基体20にa−Si系膜の成膜を行なうに当たっては、所定の流量やガス比に設定された原料ガスが、ガス導入管55からガス導入口56を介して円筒状基体20に向けて導入される。このとき、円筒状基体20は、基体支持体51とともに回転機構53によって回転させられている。そして、高周波電源52により真空容器50と基体支持体51(円筒状基体20)との間に高周波電力を印加し、これらの間にグロー放電によって原料ガスを分解することにより、所望の温度に設定した円筒状基体20上にa−Si系膜が成膜される。
【0055】
すなわち、ヒータ54によって基体支持体51ひいては円筒状基体20の温度を調整しつつ、ガス圧、ガス組成および成膜時間を適宜設定することにより、上述の電荷注入阻止層24、光導電層25、および表面層26を含む感光層21を形成することができる。
【0056】
このとき、ガス導入管55として、例えば円筒状基体20の端面20Bよりも上方および下方にもガス導入口56が設けられたものを用いることにより、円筒状基体20の端面20Bにまで原料ガスを周りこませ、円筒状基体20の外周面20Aから端面20Bまで連続する感光層21を形成することができる。また、図示してないが、円筒状基体20の面取り面20C(図5(b)参照)や端面20Bに対向してガス導入口を配置可能なガス導入管を新たに設けてもよい。このようにして、端面20Bまで感光層21を形成した場合には、円筒状基体20の外周面20Aにおける端部に位置する感光層21の厚みが小さくなることを抑制し、表面20Aに存在する感光層21の厚みを一定にすることができる。感光層21の厚みを一定すれば、感光層21の潜像形成領域22(図2参照)での感光層21の厚みが一定化させるため、感光層21において軸方向に帯電能のバラツキが生じることを抑制し、電子写真特性にバラツキが生じることを抑制することができる。
【0057】
第2の工程は、感光層21が形成された円筒状基体20に対して、たとえば次に説明する(1)〜(8)の手法により凹部を形成することにより行なわれる。
【0058】
(1)工具を用いて感光層21に力を加えて剥ぎ取って凹部を形成する。工具としては、金属性のニードル(キリ)やポンチなどの先端が鋭利なものを用いることができる。
【0059】
(2)円筒状基体20に負荷を加えて感光層21の一部に亀裂を生じさせ、亀裂を起点にして感光層21の一部を除去して凹部を形成する。円筒状基体20に対しては、たとえばインロー部(図5(c)参照)などの端部の内面に負荷が加えられる。これにより、円筒状基体20の端部を変形させられて感光層21に亀裂が生じるため、その亀裂を起点として感光層21の一部を割り取ることで凹部を形成することができる。
【0060】
(3)切削工具を用いて感光層21の一部を削り取って凹部を形成する。具体的には、切削工具としてカッターナイフなどを用いて感光層21の一部を削り、あるいは切削工具として旋盤を用いて、感光体2を回転させながらダイヤモンド切削バイトにより感光層21の一部を切削して凹部を形成する。
【0061】
(4)硬質砥粒により感光層21を研磨することによって凹部を形成する。具体的には、研削盤やラップ盤を用いて感光層21の一部を研磨除去する、あるいは、サンドペーパーやラッピングフイルムなどを用いて感光層21の一部を削り取ることによって、凹部を形成することができる。
【0062】
(5)熱エネルギを利用して感光層21の一部を切り取る(焼き取る)ことにより凹部を形成する。熱エネルギ源としては、レーザ光線などを用いることができる。
【0063】
(6)エッチング液を用いて感光層21をウェットエッチングすることにより凹部を形成する。エッチング液としては、弗酸と硝酸の混合液のような強酸、あるいは水酸化ナトリウム液のような強アルカリ液を用いることができる。
【0064】
(7)フッ化ガスあるいは希ガスを用いて感光層21を放電エッチングして凹部を形成する。具体的には、減圧反応炉内にCF4ガスやClF3ガス、あるいはArガスを流しながら電圧印加によりプラズマを発生させて感光層21の一部をエッチング除去する。
【0065】
(8)加熱状態から急速冷却し、円筒状基体20および感光層21を急激に収縮させて感光層21に亀裂を生じさせ、その亀裂を利用して感光層21の一部を剥ぎ取ることによって凹部を形成する。電子写真感光体2の急速冷却は、たとえば電子写真感光体2を保持した高温の反応炉内に対して、冷却した窒素などを流し込み、あるいは反応炉部品に冷却水を流すことにより行なわれる。
【0066】
ただし、凹部の形成位置や深さ、凹部の個数などは適宜設定される。また、上述した応力緩和部27の形成手法は例示であり、それ以外の方法により応力緩和部27を設けてもよい。
【0067】
このような製造方法によれば、第2の工程において応力緩和部27が形成され、電子写真感光体2を使用する前に感光層21の内部応力が緩和されている。そのため、画像形成装置1の使用中に感光層21の一部が剥れてしまい、この剥れた感光層21が、感光層21の別の領域に付着するなどして画像欠陥が生じることを抑制できる。
【0068】
図1に示した帯電器10は、電子写真感光体2の表面を、電子写真感光体2の光導電層の種類に応じて正極性または負極性に一様に、200V以上1000V以下程度に帯電させるためのものである。この帯電器10は、電子写真感光体2の押圧するように密着して配置されており、たとえば芯金の上に、導電性ゴムおよびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)によって被覆したものとして構成されている。
【0069】
帯電器10としては、コロナ放電を発生させるためのコロントロンを用いることもできる。この場合の帯電器10は、電子写真感光体2の軸方向の延びるように張設された放電ワイヤを備えたものとされる。
【0070】
露光器11は、電子写真感光体2に静電潜像を形成するためのものであり、特定波長(たとえば650nm以上780nm以下)の光を出射可能とされている。この露光器11によると、画像信号に応じて電子写真感光体2の表面に光を照射して光照射部分の電位を減衰させることにより、電位コントラストとしての静電潜像が形成される。露光器11としては、例えば約680nmの波長の光を出射可能なLED素子を600dpiの密度で配列させたLEDヘッドを採用することができる。
【0071】
もちろん、露光器11としては、レーザ光を出射可能なものを使用することもできる。また、LEDヘッド等の露光器11に代えて、レーザービームやポリゴンミラー等からなる光学系や原稿からの反射光を通すレンズやミラー等からなる光学系を用いることにより、複写機の構成の画像形成装置とすることもできる。
【0072】
現像器12は、電子写真感光体2の静電潜像を現像してトナー像を形成するためのものである。この現像器12は、現像剤(トナー)を磁気的に保持する磁気ローラ12A、電子写真感光体2との隙間(Gap)を制御するためのコロと呼ばれる車輪(図示略)などを備えている。
【0073】
現像剤は、電子写真感光体2の表面に形成されるトナー像を構成するためのものであり、現像器12において摩擦帯電させられるものである。現像剤としては、磁性キャリアと絶縁性トナーとから成る二成分系現像剤、あるいは磁性トナーから成る一成分系現像剤を使用することができる。
【0074】
磁気ローラ12Aは、電子写真感光体2の表面(現像領域)に現像剤を搬送する役割を果すものである。
【0075】
現像器12においては、磁気ローラ12Aにより摩擦帯電したトナーが一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で搬送され、電子写真感光体2の現像領域において、トナーが静電潜像との静電引力により感光体表面に付着して可視化される。トナー像の帯電極性は、正規現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体2の表面の帯電極性と逆極性とされ、反転現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体2の表面の帯電極性と同極性とされる。
【0076】
なお、現像器12は、乾式現像方式を採用しているが、液体現像剤を用いた湿式現像方式を採用してもよい。
【0077】
転写器13は、電子写真感光体2と転写器13との間の転写領域に供給された記録媒体Pに、電子写真感光体2のトナー像を転写するためのものである。この転写器13は、転写用チャージャ13Aおよび分離用チャージヤ13Bを備えている。転写器13では、転写用チャージャ13Aにおいて記録媒体Pの背面(非記録面)がトナー像とは逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー像との静電引力によって、記録媒体P上にトナー像が転写される。転写器13ではさらに、トナー像の転写と同時的に、分離用チャージャ13Bにおいて記録媒体Pの背面が交流帯電させられ、記録媒体Pが電子写真感光体2の表面から速やかに分離させられる。
【0078】
なお、転写器13としては、電子写真感光体2の回転に従動し、かつ電子写真感光体2とは微小間隙(通常、0.5mm以下)を介して配置された転写ローラを用いることも可能である。この場合の転写ローラは、たとえば直流電源により、電子写真感光体2上のトナー像を記録媒体P上に引きつけるような転写電圧を印加するように構成される。転写ローラを用いる場合には、分離用チャージャ13Bのような転写分離装置は省略される。
【0079】
定着器14は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させるためのものであり、一対の定着ローラ14A,14Bを備えている。定着ローラ14A,14Bは、たとえば金属ローラ上にテフロン(登録商標)等で表面被覆したものとされている。この定着器14では、一対の定着ローラ14A,14Bの間に記録媒体Pを通過させることにより、熱や圧力等によって記録媒体Pにトナー像を定着させることができる。
【0080】
クリーニング器15は、電子写真感光体2の表面に残存するトナーを除去するためのものであり、クリーニングブレード15Aを備えている。
【0081】
クリーニングブレード15Aは、電子写真感光体2の表面層26(図2参照)の表面から、残留トナーを掻きとる役割を果たすものである。クリーニングブレード15Aは、たとえばポリウレタン樹脂を主成分としたゴム材料からなり、表面層26(図2参照)に接する先端部の厚みが1.0mm以上1.2mm以下、ブレード線圧が14gf/cm(一般的には5gf/cm以上30gf/cm以下)、硬度がJIS硬度で74度(好適範囲67度以上84度以下)とされている。
【0082】
除電器16は、電子写真感光体2の表面電荷を除去するためのものである。この除電器16は、たとえばLED等の光源によって電子写真感光体2の表面(表面層26)全体を一様に光照射することにより、電子写真感光体2の表面電荷(残余の静電潜像)を除去するように構成されている。
【0083】
このような画像形成装置1では、内部応力の蓄積による感光層21の膜剥がれが抑制された電子写真感光体2を用いているため、剥がれた感光層21が潜像形成領域22に付着することに起因する画像欠陥の発生を抑制することができる。
【実施例】
【0084】
本実施例では、電子写真感光体の感光層の応力緩和部が、感光層の剥がれおよび画像特性に与える影響をランニング評価として検討した。
【0085】
(電子写真感光体の作製)
電子写真感光体は、下記表1に示した円筒状基体を用いて作製した。この円筒状基体に対しては、図7および図8に示した構成の成膜装置を用いて、下記表2または3に示す条件で感光層(電荷注入阻止層、光導電層および表面層)を形成した。感光層には、応力緩和部を形成した。また、比較として、応力緩和部を設けていない電子写真感光性も作製した。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
応力緩和部は、電子写真感光体A,Bのそれぞれについて、下記表4に示した位置に形成した。表4におけるA−1〜A−7は電子写真感光体Aに関するものであり、B−1〜B−3は電子写真感光体Bに関するものである。さらに、A−7およびB−3は、応力緩和部を形成していない比較サンプルである。
【0090】
表4において、「一部」とは感光層の途中の深さまで応力緩和部を形成したことを示しており、「全部」とは円筒状基体の表面あるいは面取り面が露出するように応力緩和部を形成したことを示している。
【0091】
A−1は、インロー部の内面を押圧し、円筒状基体の端部付近を変形させて感光層を割り取ることにより応力緩和部を形成したものである。A−2は、感光層をサンドペーパーで削り取ることにより応力緩和部を形成したものである。A−3は切削バイトを用いた旋盤により感光層を切削除去することにより応力緩和部を形成したものである。A−4は、金属製のニードル(キリ)を押し当てて感光層を削り取ることにより応力緩和部を形成したものである。A−5は、カッターで感光層を削り取ることにより応力緩和部を形成したものである。A−6は、弗酸と硝酸の混合液により、感光層を部分的に融解することにより応力緩和部を形成したものである。B−1,B−2は、ラップ盤にて感光層を研磨除去することにより応力緩和部を形成したものである。
【0092】
(ランニング評価)
ランニング評価は、電子写真感光体Aを画像形成装置(商品名「KM−C870」:京セラミタ株式会社製)、電子写真感光体Bを画像形成装置(商品名「LS−2000D」:京セラミタ株式会社製)に搭載し、A4サイズの事務機器用白紙30万枚の印刷耐久により行なった。印刷耐久の結果、感光層の剥がれおよび画像欠陥が確認されなかった場合を「○」、実用上問題がある程度に感光層の剥がれあるいは画像欠陥が確認された場合を「×」として評価した。評価結果については、表4に示した。
【0093】
なお、ランニング評価は、電子写真感光体A(A−1〜A−7)については円筒状基体の内部にヒータを搭載し、電子写真感光体を約35〜40℃に暖めて光導電特性を安定させた状態で、室温10℃、湿度20%の環境で実施した。一方、電子写真感光体B(B−1〜B−3)については、ヒータによる加熱を行わず、室温23℃、70%の環境でランニング評価を実施した。
【0094】
【表4】

【0095】
表4から分かるように、応力緩和部を設けた電子写真感光体A−1,A−2,A−3,A−4,A−5,A−6および電子写真感光体B−1,B−2では、面取り面、境界、表面端部のいずれの位置に応力緩和部を設けた場合であっても、また感光層の途中まで応力緩和部を設け、あるいは円筒状基体が露出するように応力緩和部を設けた場合を問わず、感光層の剥がれおよび画像欠陥が生じなかった。これに対して、応力緩和部を設けていない電子写真感光体A−7,B−3では、剥がれが生じ、実用上問題がある程度の画像欠陥が生じていた。
【0096】
したがって、電子写真感光体に応力緩和部を設けることにより、感光層が剥がれることを抑制でき、画像欠陥の発生を抑制できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電子写真感光体の断面図およびその要部を拡大して示した断面図である
【図3】図3(a)は図2に示した電子写真感光体の端部を示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)のIIIb−IIIb線に沿う断面図である。
【図4】感光層の応力緩和部を説明するための要部を拡大して示した断面図である。
【図5】応力緩和部の他の例を示す電子写真感光体の端部の断面図である。
【図6】応力緩和部の他の例を示す図3(b)に相当する断面図である。
【図7】電子写真感光体の感光層を形成するためのグロー放電分解装置の断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
2 電子写真感光体
20 円筒状基体
20A (円筒状基体の)外周面
20B (円筒状基体の)端面
20C (円筒状基体の)面取り面
21 感光層
22 (感光層の)潜像形成領域
23 (感光層の)非潜像形成領域
27 応力緩和部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状基体と、
前記円筒状基体の外周面に形成され、かつ潜像形成領域および非潜像形成領域を含む感光層と、を備えた電子写真感光体であって、
前記感光層は、前記円筒状基体との間に作用する応力を緩和するために、前記非潜像形成領域に形成された応力緩和部を有し、
前記応力緩和部は、互いに接続されないように前記円筒状基体の周方向に沿って離散的に配置される複数の凹部を有することを特徴とする、電子写真感光体。
【請求項2】
前記円筒状基体は金属製であり、
前記感光層は無機材料を含んでいる、請求項1に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記感光層の厚みは、15μm以上90μm以下である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【請求項4】
電子写真感光体を備えた画像形成装置であって、
前記電子写真感光体は、円筒状基体と、前記円筒状基体の外周面に形成され、かつ潜像形成領域および非潜像形成領域を含む感光層と、を備えており、
前記感光層は、前記円筒状基体との間に作用する応力を緩和するために、前記非潜像形成領域に形成された応力緩和部を有し、
前記応力緩和部は、互いに接続されないように前記円筒状基体の周方向に沿って離散的に配置される複数の凹部を有することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項5】
前記円筒状基体は金属製であり、
前記感光層は無機材料を含んでいる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光層の厚みは、15μm以上90μm以下である、請求項4または5に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−64030(P2009−64030A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276191(P2008−276191)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【分割の表示】特願2006−318565(P2006−318565)の分割
【原出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】