説明

電子回路ユニット及び電子回路ユニット用中継端子

【課題】回路基板に接続された中継端子と回路基板を外部回路に接続するためのリード線との半田付けを容易かつ確実に行うことができる電子回路ユニットを提供する。
【解決手段】基板部11aと、基板部11aの一端から起立した起立板部11bと、起立板部の基板部と反対側の端部から起立板部に対して傾斜した方向に伸びる傾斜板部11cと、傾斜板部11cの起立板部と反対側の端部から傾斜板部に対して角度をなす方向に伸びるリード線保持板部11dと、リード線保持板部の傾斜板部と反対側の端部からリード線保持板部11dに対して角度をなす方向に伸びる端板部11eとを一体に有する中継端子11を設けて、この中継端子の基板部11aを回路基板10のランドに半田付けし、リード線13の心線に接続された雄形のコネクタ14を中継端子のリード線保持板部の貫通孔11fに弾撥的に嵌合させて、コネクタ14を貫通孔11fの周辺部に半田付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回路を構成するために必要な電子部品を回路基板に実装してなる電子回路ユニット及び該電子回路ユニットに用いるのに適した中継端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の回路を構成するために必要な電子部品が回路基板に実装された電子回路ユニットにおいて、回路基板をリード線を通して外部回路に接続する場合には、回路基板に設けられたランドに中継端子を面実装して、該中継端子にリード線を半田付けすることが行われている。回路基板を外部回路に接続するリード線が複数本設けられる場合には、該複数本のリード線がまとめられてワイヤーハーネスとして外部に引き出される。
【0003】
この種の電子回路ユニットに用いる中継端子として、非特許文献1に示されているように、導電板をZ字形に成形したものがある。図5は、非特許文献1に示された中継端子1を示したもので、この中継端子は、平板状の基板部1aと、基板部1aの一端から斜めに立ち上がった傾斜板部1bと、傾斜板部1bの基板部と反対側の端部から折り返されて基板部1aと平行に伸びる端板部1cとを一体に有していて、基板部1aが回路基板2に設けられたランド3に半田4により接合されて面実装される。中継端子を回路基板に実装する際には、中継端子の端板部1cの外面を被吸着面として用いて、この被吸着面を部品マウンタの真空吸着具により吸着することにより中継端子を保持して所定のランドの位置まで搬送する。
【0004】
図8(A),(B)は、図5に示された中継端子を適用した電子回路ユニットの一例を示したもので、同図において、5は多数の電子部品6が面実装された回路基板である。図示の例では、回路基板5から複数のリード線7,7,…を引き出すため、回路基板の一端に並べて形成された複数のランドにそれぞれ中継端子1,1,…の基板部1a,1a,…が半田付けされ、これらの中継端子の端板部1c,1c,…にリード線7,7,…の心線7a,7a,…がそれぞれ半田付けされている。
【0005】
図5に示されたように、Z字形に成形された中継端子は、変形させることが可能であり、周囲の部品配置の状況に応じて中継端子の高さを適宜に変更することができるため、同じ寸法の中継端子を種々の部品配置を有する回路基板に使用することができる。従って、このような中継端子を用いれば、種々の部品配置を有する電子回路ユニットに対して中継端子の標準化を図って、コストの低減を図ることができる。
【非特許文献1】発明協会公開技報(公技番号2005−500550)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5に示した中継端子は、リード線7の心線7aをその端板部1cに半田付けする際に、心線7aを位置決めして仮固定するための手段を備えていないため、リード線を接続する際には、各リード線の心線を位置決めする作業を手作業で行う必要があり、作業能率が悪かった。またリード線の位置決めを手作業で行いながら半田付けを行うと、作業者の熟練度により、リード線の半田付け部の品質にばらつきが生じ易いため、信頼性に不安があった。
【0007】
なおリード線の心線の半田付けを容易にするために、中継端子の端板にリード線の心線を挿入して位置決めする孔を設けておくことも考えられるが、中継端子の端板部に孔を設けると、該中継端子を回路基板に面実装する際に、部品マウンタの吸着具により中継端子を吸着して保持することができなくなる。従って、中継端子の端板部にリード線を挿入するための孔を設けることはできない。
【0008】
また図5に示された従来の中継端子は、比較的変形が容易であるため、リード線に外力が作用した場合に中継端子とランドとの接合部に生じる応力を緩和する機能を有するが、その応力緩和機能は期待したほどではなく、図6に示すように、リード線7に引っ張り力Fが作用したときに、中継端子とランドとの接合部がはく離するおそれがあることが明らかになった。また中継端子7を他の電子部品とともに樹脂でモールドした場合には、電子部品の発熱及び冷却に伴って生じるモールド樹脂の膨張収縮により、図7に示すように、中継端子7にその高さ方向の力F′が作用したときにも、中継端子とランドとの接合部がはく離するおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、電子部品とともに回路基板に実装された中継端子にリード線が半田付けされて、該リード線を通して回路基板が外部回路に接続される電子回路ユニットにおいて、中継端子へのリード線の接続を容易かつ確実に行わせること、及び中継端子に外力が作用した際に、該中継端子とランドとの接合部がはく離するおそれを少なくして、リード線引出部の信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、所定の回路を構成するために必要な電子部品が実装された回路基板と、回路基板に面実装された中継端子とを備え、回路基板を外部回路に接続するためのリード線が中継端子に半田付けされている電子回路ユニットを対象とする。
【0011】
本発明においては、上記中継端子が、折り曲げが可能で弾力性を有する導電性の板材を折り曲げ加工したものからなっていて、回路基板のランドに半田付けされた基板部と、基板部の一端から起立した起立板部と、起立板部の基板部と反対側の端部から起立板部に対して傾斜した方向に伸びていて起立板部との間に形成された内角が鈍角をなす傾斜板部と、傾斜板部の起立板部と反対側の端部から傾斜板部に対して角度をなす方向に伸びるリード線保持板部と、リード線保持板部の傾斜板部と反対側の端部からリード線保持板部に対して角度をなす方向に伸びていて、板面が傾斜板部の板面に斜めに対向する平板状の端板部とを一体に有している。
【0012】
また上記中継端子のリード線保持板部を厚み方向に貫通して貫通孔が形成され、傾斜板部の一部が切り起こされて先端がリード線保持板部側を向いたリード状の爪部が形成されるとともに、該爪部が切り起こされた後にリード線挿入孔が形成されている。そして、リード線の心線に接続された雄形のコネクタが中継端子の貫通孔に圧入されるか、または弾撥的に嵌合されて、該コネクタが上記貫通孔の周辺部に半田付けされている。
【0013】
上記のように構成すると、中継端子の基板部と端板部との間に、起立部と傾斜部との間の曲げ部と、傾斜部とリード線保持板部との間の曲げ部との2個所の曲げ部が存在するため、中継端子を変形し易くすることができる。そのため、中継端子に外力が作用した際に中継端子と回路基板のランドとの接合部に生じる応力を、従来の中継端子を用いた場合よりも更に小さく抑えることができ、リード線に張力が作用した場合や、中継端子をモールドする樹脂モールド部が膨張収縮した場合に中継端子が回路基板のランドからはく離するおそれを少なくすることができる。
【0014】
また上記のように、リード線の心線に雄形のコネクタを接続しておいて、該コネクタを中継端子のリード線保持板部の貫通孔に圧入するかまたは該貫通孔に弾撥的に嵌合させた状態で、該コネクタをリード線保持板部に半田付けするようにすると、半田付けすべき個所を固定した状態で半田付け作業を行うことができるため、作業者の熟練度に頼ることなく、リード線を中継端子に接続するための半田付け作業を容易かつ確実に行わせることができる。
【0015】
上記の構成では、リード線の心線にコネクタを接続しておいて、このコネクタを中継端子のリード線保持板部の貫通孔に圧入または弾撥的に嵌合させて、コネクタをリード線保持板部に半田付けるようにしたが、リード線の心線を直接中継端子に半田付けするように構成することもできる。この場合には、リード線の心線の先端部を、前記中継端子の外側から貫通孔を通して、リード線挿入孔内に挿入するとともに、爪部の先端をリード線の心線に係合させて保持させ、リード線の心線の中継端子の外側に位置する部分を端板部の外面に添わせて配置して該端板部に半田付けする。
【0016】
上記のように、リード線の心線の先端部を、中継端子の外側から貫通孔を通して、リード線挿入孔内に挿入して爪部の先端をリード線の心線に係合させると、リード線の心線を中継端子に仮固定することができるため、リード線の心線を中継端子の端板部に半田付けする作業を容易にすることができる。
【0017】
本発明はまた、所定の回路を構成するために必要な電子部品が実装された回路基板にリード線を接続するために回路基板に面実装される電子回路ユニット用中継端子に適用される。
【0018】
本発明に係わる中継端子は、折り曲げが可能で弾力性を有する導電性の板材を折り曲げ加工したものからなっていて、回路基板に設けられたランドに半田付けされる基板部と、該基板部の一端から直角に起立した起立板部と、起立板部の基板部と反対側の端部から起立板部に対して傾斜した方向に伸びていて起立板部との間に形成された内角が鈍角をなす傾斜板部と、傾斜板部の起立板部と反対側の端部から基板部の板面に対して直角な方向に伸びていて傾斜板部との間に形成される内角が鈍角をなすリード線保持板部と、リード線保持板部の傾斜板部と反対側の端部からリード線保持板部に対して直角な方向に伸びていて、板面が傾斜板部の板面に斜めに対向する平板状の端板部とを一体に有している。そして、リード線保持板部を厚み方向に貫通して貫通孔が形成され、傾斜板部の一部が切り起こされて先端がリード線保持板部側を向いたリード状の爪部が形成されるとともに、該爪部が切り起こされた後にリード線挿入孔が形成されている。
【0019】
中継端子を上記のように構成すると、外力を受けたときに容易に変形して応力を緩和するため、回路基板のランドとの接合部がはく離するのを防ぐことができ、リード線の接続部の信頼性を高めることができる。また上記のように中継端子を構成すると、リード線の心線に接続されたコネクタをリード線保持板部の貫通孔に圧入または弾撥的に嵌合させて保持させるか、またはリード線の心線をリード線保持板部の貫通孔と傾斜板部のリード線挿入孔とに挿入して、リード線の心線に爪部を係合させることにより、リード線の心線を中継端子に仮固定することができるため、リード線の心線と中継端子との半田付け作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、回路基板を外部回路に接続するためのリード線を接続する中継端子として、回路基板のランドに半田付けされた基板部と、該基板部の一端から起立した起立板部と、この起立板部の前記基板部と反対側の端部から起立板部に対して傾斜した方向に伸びていて起立板部との間に形成された内角が鈍角をなす傾斜板部と、傾斜板部の起立板部と反対側の端部から傾斜板部に対して角度をなす方向に伸びるリード線保持板部と、リード線保持板部の傾斜板部と反対側の端部からリード線保持板部に対して角度をなす方向に伸びていて、板面が傾斜板部の板面に斜めに対向する平板状の端板部とを一体に有するものを用い、リード線の心線に接続されたコネクタを中継端子のリード線保持板部の貫通孔に圧入または弾撥的に嵌合させて保持させた状態でコネクタをリード線保持板部に半田付けするか、またはリード線の心線をリード線保持板部の貫通孔と傾斜板部のリード線挿入孔とに挿入するとともに爪部をリード線の心線に係合させることにより、リード線の心線を中継端子に仮固定した状態でリード線の心線を中継端子の単板部に半田付けするようにしたので、リード線と中継端子とを接続するための半田付け作業を容易かつ確実に行わせて、リード線引出し部の信頼性を高めることができる。
【0021】
本発明によれば、中継端子の基板部と端板部との間に、起立部と傾斜部との間の曲げ部と、傾斜部とリード線保持板部との間の曲げ部との2個所の曲げ部が存在するため、中継端子を変形し易くして、中継端子に外力が作用した際に中継端子と回路基板のランドとの接合部に生じる応力を、従来の中継端子を用いた場合よりも更に小さく抑えることができ、リード線に張力が作用した場合や、中継端子をモールドする樹脂モールド部が膨張収縮した場合に中継端子が回路基板のランドからはく離するおそれを少なくして、リード線引出部の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1(A)ないし(E)は本発明の一実施形態で用いる中継端子を回路基板の一部とともに示したもので、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)及び(D)はそれぞれ中継端子の平面図及び底面図、(E)は(B)のE−E線断面図である。
【0023】
図1(A)ないし(E)において、10はヒートシンクを兼ねる回路基板で、この回路基板は、熱伝導性が良好な金属からなる金属基板10aと、金属基板10aの上に形成された絶縁層10bと、絶縁層10bの上に形成されたランド10cとを有している。
【0024】
回路基板10には、所定の回路を構成する電子部品(図1には図示せず。)とともに中継端子11が面実装されている。中継端子11は、銅やアルミニウムなどの、折り曲げが可能で弾力性を有する導電性の材料からなるほぼ長方形の板材を折り曲げ加工したものからなっていて、回路基板10のランド10cに半田付けされた矩形状の基板部11aと、基板部11aの一端から直角に起立した起立板部11bと、起立板部11bの基板部11aと反対側の端部から起立板部11bに対して基板部11a側に傾斜した方向に伸びていて起立板部11aとの間に形成された内角αが鈍角をなす傾斜板部11cと、傾斜板部11cの起立板部11bと反対側の端部から傾斜板部11cに対して角度をなす方向(図示の例では基板部11aに対して直角な方向)に伸びていて傾斜板部11cとの間に形成される内角βが鈍角をなすリード線保持板部11dと、リード線保持板部11dの傾斜板部11cと反対側の端部からリード線保持板部11dに対して角度をなす方向(図示の例ではリード線保持板部11dに対して直角な方向)に伸びていて、板面が傾斜板部11cの板面に斜めに対向する平板状の端板部11eとを一体に有している。
【0025】
中継端子11のリード線保持板部11dには、該保持板部を厚み方向に貫通した貫通孔11fが形成されている。また、傾斜板部11cの一部が切り起こされることにより、先端がリード線保持板部11d側を向いたリード状の爪部11gが形成され、爪部11gが切り起こされた後にリード線挿入孔11h(図1B及び図1E参照)が形成されている。図示の例では、基板部11aの他端(起立板部11bと反対側の端部)の両端の角が落とされて面取り部11a1,11a1が形成され、端板部11eのリード線保持板部11dと反対側の端部の両端の角部が落とされて面取り部11e1,11e1が形成されている。また図示の例では、中継端子11の基板を貫通させて孔11iが形成されている。
【0026】
図示の中継端子11においては、端板部11eの外面がマウンタの真空吸着具により吸着される被吸着面11e2となっている。中継端子11を回路基板に実装する際には、図示しないマウンタの真空吸着具により吸着面11e2を吸着することにより中継端子11を保持して回路基板に設けられた所定のランド10cの上に搬送し、基板部11aを半田12によりランド10cに半田付けする。
【0027】
中継端子を含む被実装部品のランドへの半田付けは、適宜の方法、例えば、ランドの上にリフロー半田を介して被実装部品を載せた状態で回路基板を被実装部品と共に炉内に搬入することにより半田を溶融させて半田付けを行うリフロー半田法や、被実装部品を接着剤によりランドに仮固定した状態で回路基板をフロー半田槽に通すことにより半田付け部に半田を付着させて半田付けを行うフロー半田法により行う。
【0028】
図示の例のように、中継端子11の基板部11aに孔11iを設けておくと、半田12の一部が孔11iの内部に入り込むため、中継端子とランド10cとの接合強度を高めることができる。
【0029】
本実施形態では、中継端子11に接続するリード線13に、図2(A)に示されているような雄形のコネクタ14を接続しておく。図示の雄形コネクタは、管状部14aと、管状部14aの後端部に連続するように設けられて管状部14aから離れるに従って径が大きくなっていくように形成されたテーパ部14bと、テーパ部14bの最大径部側の端部に隣接するように設けられて、テーパ部14bの最大径部の外径よりも小さい外径を有するように形成された縊れ部14cと、縊れ部14cのテーパ部14bと反対側の端部に連続するように設けられて縊れ部14cよりも大きな径を有する筒状の頭部14dとを一体に備えている。中継端子11の軸心部には、リード線13の心線13aを挿入し得る孔14eが形成され、頭部14dの周壁部の一部が切り欠かれて1対の押さえ片14d1,14d1が形成されている。図示の中継端子14は、リード線13の心線13aの先端を孔14e内に受け入れ、リード線13の絶縁被覆13bを頭部14dの内側に受け入れた状態でリード線13の端部に結合されて、その管状部14aが心線13aに対して加締められることにより心線13aに接続されるとともに、1対の押さえ片14d1,14d1がリード線13の絶縁被覆を抱え込むように該絶縁被覆側に加締められることにより、リード線13に固定される。
【0030】
図示のコネクタ14は、テーパ部14bの最大径部の外径が中継端子11の貫通孔11fの内径より僅かに大きく設定されるとともに、縊れ部14cの外径が貫通孔11fの内径にほぼ等しく設定されて、中継端子11の貫通孔11fに弾撥的に嵌合されて保持される。
【0031】
上記のようにしてコネクタ14を中継端子11に仮固定した状態で、コネクタ14と貫通孔11fとの嵌合部に溶融した半田15を供給することにより、コネクタ14を貫通孔11fの周辺部に半田付けしてリード線13を中継端子11に接続する。
【0032】
このように、本実施形態では、リード線13の心線に接続されたコネクタ14を中継端子11のリード線保持板部11dの貫通孔11fに弾撥的に嵌合させて保持させた状態でコネクタ14をリード線保持板部11dに半田付けするので、半田付けすべき個所を固定した状態で半田付け作業を行うことができる。従って、半田付けを行う作業者の熟練度に頼ることなく、リード線を中継端子に接続するための半田付け作業を容易かつ確実に行わせることができる。
【0033】
また上記のように中継端子11を構成すると、中継端子11の基板部11aと端板部11eとの間に、起立部11bと傾斜部11cとの間の曲げ部R1と、傾斜部11cとリード線保持板部11dとの間の曲げ部R2との2個所の曲げ部が存在し、しかも傾斜板部11c及びリード線保持板部11dにはそれぞれリード線挿入孔11h及び貫通孔11fが形成されているため、中継端子11は、外力が作用したときに容易に変形して、応力を吸収する。そのため、中継端子11に外力が作用した際に中継端子と回路基板のランドとの接合部に生じる応力を、従来の中継端子を用いた場合よりも更に小さく抑えることができ、リード線11に張力が作用した場合や、中継端子をモールドする樹脂モールド部が膨張収縮した場合に中継端子14が回路基板10のランド10cからはく離するおそれを少なくすることができる。
【0034】
図2に示した例では、リード線13を回路基板10の板面と平行な方向に引き出しているが、中継端子11は容易に折り曲げることができるため、中継端子11にリード線13を接続した後に中継端子11を折り曲げることにより、例えば図2(B)に示すようにリード線の引出方向を変更することができる。図2(B)に示した例では、リード線13を回路基板10の板面に対して直角な方向に引き出している。
【0035】
図2に示した例では、コネクタ14を中継端子11の貫通孔11fに弾撥的に嵌合させるようにしたが、コネクタ14を中継端子11の貫通孔11fに圧入することによりコネクタ14を中継端子11に仮固定するようにしてもよい。
【0036】
上記の実施形態では、リード線13にコネクタ14を接続して、コネクタ14を中継端子11に半田付けするようにしたが、リード線13の心線13aを直接中継端子11に半田付けするようにすることもできる。この場合には、図3に示すように、リード線13の心線13aの先端部が中継端子11の外側から貫通孔11fを通して、リード線挿入孔11h内に挿入されるとともに、爪部11gの先端がリード線13の心線13aに係合されることにより、リード線13が中継端子11に仮固定されている。そして、リード線の心線13aの中継端子11の外側に位置する部分が中継端子の端板部11eの外面に添わせた状態で配置されて該端板部11eに半田15により接続されている。この場合も、リード線13を中継端子に仮固定した状態で、半田付け作業を行うことができるため、作業者の熟練度に頼ることなく、リード線と中継端子との接続部の半田付け作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0037】
図3に示したように、リード線13の心線13aを中継端子11に直接半田付けする構成をとる場合には、心線13aを貫通孔11fを通してリード線挿入孔11hに挿入し易くするように、心線13aを図示のような形状に予め成形しておくのが好ましい。
【0038】
図3に示したように、リード線の心線を直接中継端子に接続するようにすると、コネクタを用いる必要がないため、コストの低減を図ることができる。
【0039】
図4は、本発明の係わる電子回路ユニット20の要部の構成の一例を示したもので、同図において16は回路基板10に面実装された電子部品であり、回路基板10に設けられた中継端子接続用の6個のランドに6個の中継端子11,11,…が半田付けされ、これらの中継端子に6本のリード線13,13,…が接続されて外部に引き出されている。電子部品16とともに中継端子11が実装された回路基板10は、図示しないケースに収容され、6本のリード線13,13,…は、該ケースに取りつけられたグロメット21を通して外部に導出されている。図示の例では、6本のリード線13,13,…のうちの2本のリード線13,13が絶縁チューブ22内に挿入されて第1のワイヤーハーネス23が構成され、他のリード線13,13,…が絶縁チューブ24内に挿入されて第2のワイヤーハーネス25が構成されている。第1のワイヤーハーネス23を構成するリード線13,13の端末部は個別のコネクタ26,26に接続され、第2のワイヤーハーネス25を構成する複数のリード線の端末部は共通のコネクタ27に接続されている。回路基板10が収容されたケース内には絶縁樹脂が注型されて、該樹脂により回路基板10と該回路基板に実装された部品とがモールドされている。
【0040】
上記の実施形態では、回路基板として金属基板に絶縁被覆を施したものを用いたが、本発明で用いる回路基板は金属基板に限定されない。また上記の説明では、回路基板に電子部品を面実装するとしたが、本発明において回路基板への電子部品の実装方法は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(A)ないし(E)は本発明の一実施形態で用いる中継端子を回路基板の一部とともに示したもので、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)及び(D)はそれぞれ中継端子の平面図及び底面図、(E)は(B)のE−E線断面図である。
【図2】(A)は図1に示した中継端子にコネクタを介してリード線を接続した状態を示した正面図、(B)は(A)の状態から中継端子を折り曲げることにより、リード線の引出方向を変更した状態を示した正面図である。
【図3】中継端子とリード線との接続の仕方の他の例を示した正面図である。
【図4】(A)は本発明に係わる電子回路ユニットの構成例の要部を、一部簡略化して示した平面図である。(B)は(A)の要部の正面図である。
【図5】従来の電子回路ユニットで用いられていた中継端子を示した正面図である。
【図6】図5の中継端子に接続されたリード線に張力が働いた状態を示した正面図である。
【図7】図5の中継端子にモールド樹脂の膨張収縮に伴って生じる力が働いた状態を示した正面図である。
【図8】(A)及び(B)は図5に示した中継端子を用いた従来の電子回路ユニットの要部の平面図及び正面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 回路基板
10c 中継端子接続用ランド
11 中継端子
11a 基板部
11b 起立板部
11c 傾斜板部
11d リード線保持板部
11e 端板部
13 リード線
13a リード線の心線
14 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回路を構成するために必要な電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板に面実装された中継端子とを備え、前記回路基板を外部回路に接続するためのリード線が前記中継端子に半田付けされている電子回路ユニットにおいて、
前記中継端子は、折り曲げが可能で弾力性を有する導電性の板材を折り曲げ加工したものからなっていて、前記回路基板のランドに半田付けされた基板部と、前記基板部の一端から起立した起立板部と、前記起立板部の前記基板部と反対側の端部から前記起立板部に対して傾斜した方向に伸びていて前記起立板部との間に形成された内角が鈍角をなす傾斜板部と、前記傾斜板部の前記起立板部と反対側の端部から前記傾斜板部に対して角度をなす方向に伸びるリード線保持板部と、前記リード線保持板部の前記傾斜板部と反対側の端部から前記リード線保持板部に対して角度をなす方向に伸びていて、板面が前記傾斜板部の板面に斜めに対向する平板状の端板部とを一体に有し、
前記中継端子の前記リード線保持板部を厚み方向に貫通して貫通孔が形成され、
前記傾斜板部の一部が切り起こされて先端が前記リード線保持板部側を向いたリード状の爪部が形成されるとともに、該爪部が切り起こされた後にリード線挿入孔が形成され、 前記リード線の心線に接続された雄形のコネクタが前記中継端子の貫通孔に圧入されるかまたは弾撥的に嵌合されて、前記貫通孔の周辺部に半田付けされていること、
を特徴とする電子回路ユニット。
【請求項2】
所定の回路を構成するために必要な電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板に面実装された中継端子とを備え、前記回路基板を外部回路に接続するためのリード線が前記中継端子に半田付けされている電子回路ユニットにおいて、
前記中継端子は、折り曲げが可能で弾力性を有する導電性の板材を折り曲げ加工したものからなっていて、前記回路基板のランドに半田付けされた基板部と、前記基板部の一端から起立した起立板部と、前記起立板部の前記基板部と反対側の端部から前記起立板部に対して傾斜した方向に伸びていて前記起立板部との間に形成された内角が鈍角をなす傾斜板部と、前記傾斜板部の前記起立板部と反対側の端部から前記傾斜板部に対して角度をなす方向に伸びるリード線保持板部と、前記リード線保持板部の前記傾斜板部と反対側の端部から前記リード線保持板部に対して角度をなす方向に伸びていて、板面が前記傾斜板部の板面に斜めに対向する平板状の端板部とを一体に有し、
前記中継端子の前記リード線保持板部を厚み方向に貫通して貫通孔が形成され、
前記傾斜板部の一部が切り起こされて先端が前記リード線保持板部側を向いたリード状の爪部が形成されるとともに、該爪部が切り起こされた後にリート線挿入孔が形成され、 前記リード線の心線の先端部が前記中継端子の外側から前記貫通孔を通して、前記リード線挿入孔内に挿入されるとともに、前記爪部の先端が前記リード線の心線に係合され、 前記リード線の心線の前記中継端子の外側に位置する部分が前記端板部の外面に添わせて配置されて該端板部に半田付けされていること、
を特徴とする電子回路ユニット。
【請求項3】
所定の回路を構成するために必要な電子部品が実装された回路基板にリード線を接続するために前記回路基板に面実装される電子回路ユニット用中継端子において、
折り曲げが可能で弾力性を有する導電性の板材を折り曲げ加工したものからなっていて、前記回路基板に設けられたランドに半田付けされる基板部と、前記基板部の一端から直角に起立した起立板部と、前記起立板部の前記基板部と反対側の端部から前記起立板部に対して傾斜した方向に伸びていて前記起立板部との間に形成された内角が鈍角をなす傾斜板部と、前記傾斜板部の前記起立板部と反対側の端部から前記基板部の板面に対して直角な方向に伸びていて前記傾斜板部との間に形成される内角が鈍角をなすリード線保持板部と、前記リード線保持板部の前記傾斜板部と反対側の端部から前記リード線保持板部に対して直角な方向に伸びていて、板面が前記傾斜板部の板面に斜めに対向する平板状の端板部とを一体に有し、
前記リード線保持板部を厚み方向に貫通して貫通孔が形成され、
前記傾斜板部の一部が切り起こされて先端が前記リード線保持板部側を向いたリード状の爪部が形成されるとともに、該爪部が切り起こされた後にリード線挿入孔が形成されていること、
を特徴とする電子回路ユニット用中継端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−227526(P2007−227526A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45246(P2006−45246)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】