説明

電子情報提供システム及び電子情報提供方法

【課題】人物を撮像した画像から該人物の属性を判定して情報を選択し、選択した情報を該人物によって閲覧されるように表示する。
【解決手段】人物を含む画像を撮像するカメラと、このカメラによって撮像された人物が移動する方向かつカメラから離れた位置に設置された情報表示装置と、カメラで撮像された画像を用いて人物の属性を判定して該属性に基づいて情報を選択すると共に、この人物が情報表示装置に到達する前に、選択した情報を情報表示装置に表示するよう制御する制御装置とによって電子情報提供システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品やサービスに関する複数の情報の中から対象者に応じた情報を選択して提供する電子情報提供システム及び電子情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイやプロジェクタ等の表示装置に情報を表示して、商品やサービスの広告を行うデジタルサイネージが利用されている。デジタルサイネージでは、記憶装置に記憶された情報やネットワーク経由で受信した情報を切り替えながら、広告や案内等の多種多様な内容を表示することができるので、銀行、病院、店舗等の様々な場所で利用されている。
【0003】
広告表示による宣伝効果を高めるため、例えば特許文献1では、表示装置の備えるカメラによって人物を検出して、表示する情報を性別や年齢に応じて変更する情報処理装置が開示されている。この装置では、情報を表示するポスターモードと情報の選択操作を受け付ける操作モードとを切り替えながら情報が提供される。
【0004】
また、特許文献2では、表示装置の備えるカメラによって情報を閲覧する人物を検出して、検出した人物が属するグループを特定する情報提供装置が開示されている。この装置では、複数の人物を検出した場合に、人物の年齢や性別に加えて、検出した複数人が恋人、家族、友人等のグループであることが認識され、グループに適した情報が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−191487号公報
【特許文献2】特開2004−227158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術によれば、検出した人物に合わせて情報を選択して表示したときには、既にこの人物が通り過ぎてしまっている場合がある。例えば、歩いている人は、表示装置の前をわずか数秒で通り過ぎてしまう。このため、表示装置の前を通る人物を検出して性別や年齢等の属性を判定していたのでは処理が間に合わない場合がある。
【0007】
検出した人物の属性は主として顔画像を利用して判定される。正確な属性判定を行うためには顔画像を正面から撮像することが好ましいが、装置の前を通り過ぎる歩行者を撮像しても有効な顔画像を取得できない場合がある。このため、従来装置では、情報提供の対象が装置の前に立ち止まった人物等の一部の人物に限られ、宣伝効果も限定的なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたもので、人物の顔画像を撮像して属性を判定し、属性に応じた情報を選択して表示することにより高い宣伝効果を得ることができる電子情報提供システム及び電子情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子情報提供システムであって、情報を表示する情報表示装置と、前記情報表示装置への歩行路の手前に設けられた少なくとも1台のカメラと、前記情報表示装置及び前記カメラと接続されて、前記カメラで撮像された画像から前記人物の属性を判定して該属性に基づいて前記人物に提供する情報を選択すると共に、選択した前記情報を前記情報表示装置に表示する制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記カメラによって複数の人物が撮像された場合には、撮像された各人物の属性を判定して、前記属性のうち最も数が多い属性に基づいて前記情報表示装置に表示する情報を選択することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記カメラによって複数の人物が撮像された場合に、撮像された各人物の属性を判定して、予め設定された前記属性の優先順位に基づいて前記情報表示装置に表示する情報を選択することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、所定エリアに進入する人物を撮像する第1のカメラと、前記所定エリアから退出する人物を撮像する第2のカメラとを有し、前記制御装置は、前記第1のカメラで撮像された画像から判定した人物の属性の数を蓄積すると共に、前記第2のカメラで撮像された画像から判定した人物の属性の数を蓄積した前記属性から削除しながら、前記所定エリアに存在する複数人物分の属性の数を求めることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記カメラによって複数の人物が撮像された場合に、撮像された各人物の属性を判定すると共に、各人物がグループを構成するか否かを判定して、判定した前記グループの構成に基づいて前記情報表示装置に表示する情報を選択することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記グループを構成する複数人物の属性に基づいて複数の情報を選択して、選択した各情報を、前記情報表示装置に順に表示することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記グループを構成する複数人物の属性に基づいて複数の情報を選択して、選択した各情報を、前記情報表示装置の情報表示領域を分割した各領域に同時に表示することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記情報表示装置はスピーカを有し、前記制御装置は、前記カメラによって撮像された人物が前記情報表示装置に近付いた所定タイミングで、前記スピーカから音声を再生することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記音声を再生するタイミング、前記音声を再生する音量及び前記音声を再生する再生速度の少なくとも1つを、判定された前記属性に含まれる前記人物の年齢に基づいて制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記制御装置は、前記表示装置に表示する情報を選択する際に優先される属性を設定するための設定手段を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、情報を印字するプリンタをさらに備え、前記制御装置は、前記情報表示装置に表示した情報に関連する内容を前記プリンタによって印字することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、電子情報提供方法であって、人物を含む画像をカメラによって撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像された画像から前記人物の属性を判定する属性判定工程と、前記属性判定工程で判定された前記属性に基づいて前記人物に提供する情報を選択する情報選択工程と、前記カメラによって撮像された前記人物が移動する方向で前記カメラから離れた位置に設置された情報表示装置に、前記人物が到達する前に、前記情報選択工程で選択された前記情報を前記情報表示装置に表示する情報表示工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、閲覧者となる人物が情報端末表示装置の所へ到達する前にカメラによってこの人物を撮像して、この人物の属性に基づいて提供する宣伝広告等の情報を選択して、これをカメラから離れた位置に設置された情報表示装置に表示することができるので、選択した情報を表示したときには既に閲覧者となる人物が通り過ぎていたという事態を回避して、高い宣伝効果を得ることができる。
【0022】
また、本発明によれば、カメラによって多数の人物が撮像された場合に、多数を占める属性に合わせて情報を選択して表示することができるので、対象となる属性に応じて多数の人物が興味を示す宣伝広告を表示することができる。
【0023】
また、本発明によれば、特定の属性を優先して、この属性に適した情報を表示することができるので、特定の属性に向けて表示したい宣伝広告がある場合に、この宣伝広告を優先的に表示させることができる。
【0024】
また、本発明によれば、所定エリアに存在する多数の人物の属性を判定する場合に、所定エリアに進入する人物と退出する人物の属性を判定することにより、所定エリア内の属性の数を正しく判定することができる。
【0025】
また、本発明によれば、カメラによって複数の人物が撮像された場合に、これらの人物が構成するグループを判定することができるので、グループに適した宣伝広告を表示することができる。
【0026】
また、本発明によれば、対象がグループである場合に、グループを構成する各人に適した情報を表示することができるので、グループとしてだけではなく各人に適した宣伝広告を表示することができる。
【0027】
また、本発明によれば、対象がグループである場合に、表示領域を複数領域に分割してグループを構成する各人に適した情報を別々の領域に同時に表示することができるので、グループを構成する複数の属性に対して同時に宣伝広告を表示することができる。
【0028】
また、本発明によれば、閲覧者が情報表示装置に近付いたときに音声を再生して注意を引くことができるので、閲覧者に宣伝広告の存在を気付かせることにより高い宣伝効果を得ることができる。
【0029】
また、本発明によれば、閲覧者の年齢に合わせて音声を再生するタイミング、再生音量、再生速度等を制御することができるので、閲覧者の年齢によらず閲覧者が聴き取りやすいように音声を再生して宣伝広告の存在に気付かせることができる。
【0030】
また、本発明によれば、属性やグループ構成を判定する際の優先条件を設定することができるので、利用環境に合わせた様々な運用を実現することができる。
【0031】
また、本発明によれば、プリンタによって各種の情報を印字することができるので、宣伝広告した店舗の地図を印字したり、クーポンを発行したりすることで、広告の閲覧者の満足度を高めて高い宣伝効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る電子情報提供システム構成概略を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に係る情報表示装置の外観構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る情報表示装置の異なる構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る電子情報提供システムの異なる構成例を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施例1に係る銀行フロアにおける電子情報提供システムの利用例を示す図である。
【図6】図6は、実施例1に係る情報表示装置の設置例を示す図である。
【図7】図7は、実施例2に係る通路における電子情報提供システムの利用例を示す図である。
【図8】図8は、実施例2に係る情報の表示方法を説明する図である。
【図9】図9は、実施例2に係る情報の表示領域を説明する図である。
【図10】図10は、実施例2に係る情報選択画面の表示例を示す図である。
【図11】図11は、実施例3に係る時刻優先設定を説明する図である。
【図12】図12は、実施例3に係る情報の優先表示の方法を説明する図である。
【図13】図13は、実施例3に係る情報表示の設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電子情報提供システムの好適な実施例を詳細に説明する。図1は、電子情報提供システム1の構成概略を説明するブロック図である。
【0034】
電子情報提供システム1は、複数台のカメラ10A〜10Nと、カメラ10A〜10Nで撮像された画像から情報提供の対象となる人物の属性を判定すると共に属性に基づいて提供する情報を選択する制御装置20と、制御装置20によって選択された情報を表示するための情報表示装置30と、情報表示装置30によって提供する情報を記憶するデータ記憶装置40とによって構成される。
【0035】
カメラ10A〜10N、情報表示装置30及びデータ記憶装置40は、制御装置20に接続されている。接続の形態については、データ通信可能であれば特に限定されず、例えば専用線によって接続されていてもよいし、LANやWAN等のネットワークによって接続されていてもよい。また、有線接続に限定されず無線接続される態様であっても構わない。なお、制御装置20及び情報表示装置30は図示しない記憶部を有しており、これらの装置が動作するために必要なデータを保存するために利用している。
【0036】
カメラ10A〜10Nは、情報表示装置30から離れた位置で、情報提供の対象となる人物を撮像する機能を有する。利用されるカメラの台数は電子情報提供システム1が利用される環境に応じて異なるが、少なくとも1台のカメラ10Aが情報表示装置30から離れた位置に設置される。このカメラ10A〜10Nによって、情報表示装置30の設置された方向へ向かって移動する歩行者等を、情報表示装置30から離れた位置で事前に撮像する。撮像された画像は制御装置20へ送信される。
【0037】
制御装置20は、画像処理部20Aと、顔切出部20Bと、属性判定部20Cと、グループ構成判定部20Dと、表示制御部20Eと、音声制御部20Fとを有している。制御装置20は、例えばコンピュータ装置によって構成される。
【0038】
画像処理部20Aは、カメラ10A〜10Nで撮像された画像を受信して、後処理に適した画像となるように処理を施す機能を有する。画像に含まれる人物を特定しやすいように、例えば、画像の明るさやコントラストを調整したり画像の拡大や縮小を行う。
【0039】
顔切出部20Bは、画像処理部20Aによって処理された画像に含まれる人物を特定して顔画像を切り出す機能を有する。画像に複数の人物が含まれる場合には、全ての顔を認識して顔画像の切り出しを行う。
【0040】
属性判定部20Cは、顔切出部20Bによって切り出された顔画像の特徴から年齢や性別等の属性を推定する機能を有する。制御装置20には、予め設定された複数の属性が記憶されている。属性判定部20Cは顔画像から、カメラ10A〜10Nで撮像された画像に含まれていた人物の属性が、どの属性に該当するかを判定する。
【0041】
属性は、情報表示装置30に表示する情報を選択するために必要に応じて設定される。例えば、「20代男性」、「20代女性」、「30代男性」、「30代女性」のように、複数に区分した年齢と性別からなる属性が設定される。また、例えば宣伝広告の対象者を他と区別するために「60代以上の女性」と「その他」のように属性が設定される場合もある。
【0042】
グループ構成判定部20Dは、カメラ10A〜10Nで撮像された1枚の画像に複数の人物が含まれる場合に、これらの人物がグループを構成するものであるか否かを判定する機能を有する。例えば、1枚の画像に2人の人物が含まれる場合に、各人の属性や距離等に基づいて2人が「カップル」、「親子」、「友人」のいずれかのグループを構成するものであるかを判定する。制御装置20には、予め複数のグループ構成が記憶されている。グループ構成は、属性と同様に情報表示装置30に表示する情報を選択するために、必要に応じて予め設定されている。
【0043】
表示制御部20Eは、属性判定部20Cによって判定された属性とグループ構成判定部20Dによって判定されたグループ構成とに基づいて情報表示装置30に表示する情報を選択すると共に、選択した情報を情報表示装置30に表示するタイミングを制御する機能を有する。情報表示装置30に表示する情報は、予めデータ記憶装置40に記憶された情報の中から選択される。
【0044】
具体的には、属性判定部20C及びグループ構成判定部20Dによって情報提供の対象となる人物の属性やグループ構成が判定されると、判定された属性及びグループ構成に基づいて、表示制御部20Eがこの人物に提供するのに最適な情報を選択する。そして、表示制御部20Eは、選択した情報を、この人物が情報表示装置30に近づく所定のタイミングで表示するよう情報表示装置30を制御する。
【0045】
これにより、閲覧者となる人物が情報表示装置30に近付いてきたときには、既に、この人物が興味を持つような宣伝広告等の情報が情報表示装置30に表示された状態とすることができる。宣伝広告を表示したときには閲覧者となる人物が既に通り過ぎているといった事態を回避することができるので、高い宣伝効果を得ることが可能となる。なお、情報選択や情報表示に係る処理の詳細については後述する。
【0046】
音声制御部20Fは、情報表示装置30に表示される情報に関連する音声を、情報表示装置30から閲覧者に向けて、所定のタイミングや音量等で再生する機能を有する。具体的には、閲覧者となる人物が情報表示装置30に表示された情報に気付くように、閲覧者が情報表示装置30に近づいた所定タイミングで、閲覧者の属性に合わせた内容を、閲覧者の属性に合わせた音量及び速度で再生する。例えば、老人や子供には表示文字を大きくして、音声も大きくゆっくりと再生する。
【0047】
音声制御部30Fによって再生される音声は、情報表示装置30に表示される情報や閲覧者の属性と関連付けてデータ記憶装置40に記憶されている。例えば、閲覧者の性別や年齢に応じて、異なる内容を説明する異なる音声が準備されている。なお、本実施形態では、音声を例に説明するが、再生する音がこれに限定されるものではなく、音声に加えて又は音声に代えて、音楽や効果音を再生してもよい。
【0048】
このように、閲覧者に提供したい宣伝広告を情報表示装置30に表示することに加えて、閲覧者が情報表示装置30に近付いてきた所定タイミングで、注意を喚起する音を出力したり、発話を始めることにより、閲覧者が宣伝広告を見るように仕向けることができる。閲覧者が情報表示装置30の前を通り過ぎるように移動する場合には、移動する方向や視線と情報表示装置30との位置関係によって、閲覧者が表示された宣伝広告に気付かず通り過ぎてしまう可能性がある。しかし、音声を再生すれば、閲覧者に宣伝広告の存在を気付かせることができる。これにより単に宣伝広告の表示のみを行う場合に比べて高い宣伝効果を得ることが可能となる。
【0049】
なお、情報表示や音声再生のタイミングは、カメラ10A〜10Nの設置状況に応じて設定される。例えば、図5に示すように、情報表示装置30から離れた位置に設置されたカメラ10Bと、このカメラ10Bより情報表示装置30に近い位置にあるカメラ10Cを利用する場合には、カメラ10Bで撮像された画像に含まれる閲覧者に対して情報表示や音声再生を行うタイミングが、カメラ10Bが設置された位置から情報表示装置30の設置された位置までの平均的な移動時間に基づいて設定される。この場合、移動時間は、閲覧者の属性に応じて予め記憶されているものを利用する。
【0050】
また、情報表示装置30から離れたカメラ10Bで属性を認識した際に服装などのアピアランスを記憶しておき、情報表示装置30近傍に設けたもう一台のカメラ10Cで取得されたアピアランスから該当する閲覧者が到来したことを検知して、表示や音声再生を開始することもできる。アピアランスを利用した閲覧者の検知は、2台のカメラ10B及びカメラ10Cの間に複数人の閲覧者が居る場合に特に有効である。具体的には、カメラ10Bにより取得した閲覧者の属性とアピアランスを関連付けて記憶しておき、カメラ10Cにより取得したアピアランスに基づいて閲覧者の到来を判定すれば、ある閲覧者について選択した情報を別の閲覧者に提供するといった事態を回避して、閲覧者に即した情報を正確に提供することができる。
【0051】
また、情報表示や音声再生のタイミングは、カメラ10Bによって連続して撮影された画像から閲覧者が情報表示装置30に向かって移動する速度を算出し、この速度とカメラ10Bから情報表示装置30迄の距離とに基づいて決定してもよい。また、カメラ10Bと情報表示装置30との間に別のカメラ10Cが設置されている場合には、2台のカメラ10B及び10Cの距離と各カメラ10B及び10Cで閲覧者を検出した時間差から、閲覧者の移動速度を算出してもよい。
【0052】
情報表示装置30は、カメラ30Aと、表示部30Bと、スピーカ30Cと、操作部30Dと、プリンタ30Eとを備えている。図2は、情報表示装置30の外観の一例を示す図である。このように、大型の表示部30Bの周囲に、カメラ30Aとスピーカ30Cとプリンタ30Eとが設けられた情報表示装置30は、銀行、病院、店舗等に設置して利用される。
【0053】
カメラ30Aは、情報表示装置30の前に立ち止まった人物等、情報表示装置30近傍の人物の画像を撮像する機能を有する。撮像された画像は制御装置20に送信され、情報表示装置30から離れた位置に設置されたカメラ10A〜10Nによって撮像された画像と同様に利用される。
【0054】
表示部30Bは、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイによって構成され、閲覧者に提供する情報を表示する機能を有する。表示部30Bでは、表示制御部20Eによる制御に基づき、閲覧者の属性に応じて選択された文字、静止画像、動画像等のコンテンツが所定タイミングで表示される。
【0055】
スピーカ30Cは、閲覧者に向けて音声を再生する機能を有する。スピーカ30Cは、音声制御部20Fによる制御に基づき、表示部30Bに表示される情報に合わせて所定タイミングで音声を再生するために利用される。
【0056】
操作部30Dは、閲覧者の操作を受け付ける機能を有する。表示部30Bがタッチパネル式の液晶ディスプレイである場合には、タッチパネルを操作して入力されるデータを受け付けて制御装置20へ送信する。
【0057】
例えば、閲覧者が、操作部30Dによって閲覧したい情報を選択すると、これを示すデータが制御装置20に送信される。制御装置20は、受信データに基づいてデータ記憶装置40から必要な情報を読み出して情報表示装置30へ送信する。また、制御装置20が表示部30Bにアンケートを表示させて、このアンケートに対する回答を操作部30Dから受け付けて利用することもできる。
【0058】
プリンタ30Eは、情報表示装置30の表示内容に関連した情報を印字する機能を有する。例えば、表示部30Bに表示した宣伝広告を閲覧した閲覧者に対して関連する情報を印字して提供したりクーポン券を発行するために利用される。
【0059】
制御装置20は、情報表示装置30の備えるカメラ30Aによって、情報表示装置30の表示を閲覧する閲覧者の存在を認識することができる。これにより、例えば宣伝広告として一連の静止画像や動画像を表示しながら、閲覧者が全ての宣伝広告を閲覧したか否かを判定して、判定結果に基づきプリンタ30Eからクーポン券等を発行することができる。クーポン券を発行すれば、クーポン券を期待して宣伝広告を閲覧する顧客や、クーポン券を利用して買い物等を行う顧客の存在が期待できるので、単に宣伝広告を表示する場合に比べて高い宣伝効果を得ることができる。
【0060】
また、制御装置20は、選択用画面を表示して、タッチパネルから成る操作部30Dを介して閲覧者からの入力を受け付けることができる。これにより、例えば店舗や商品の宣伝広告と共に、より詳細な情報を希望するか否かを問う情報を表示して、閲覧者が、操作部30Dによりこれを希望する操作を行った場合には、詳細情報をプリンタ30Eによって印字することができる。
【0061】
具体的には、店舗の宣伝広告を表示した後に、この店舗の住所や電話番号、店舗の場所を示す地図等を印字することができる。また、商品の宣伝広告を表示した後に、商品の名称、型番、商品に関するホームページアドレス等を印字することができる。商品の詳細を印字して提供すれば、帰宅後等にこれを確認して商品の購入を検討する顧客の存在が期待できるので、単に宣伝広告を表示する場合に比べて高い宣伝効果を得ることが可能となる。
【0062】
データ記憶装置40は、ハードディスク等によって構成される不揮発性の記憶装置である。データ記憶装置40には、閲覧者の属性やグループ構成に応じて提供される文字、静止画像、動画像、効果音、音楽、音声等の各種データが保存されている。
【0063】
なお、情報表示装置30の構成は図1及び図2に示したものに限定されず、設置される環境や利用目的に応じて他の構成であっても構わない。例えば、図3に示したように、情報表示装置130が、図1に示す構成のうち表示部30Bのみを有する大型ディスプレイであってもよいし、カメラ30A、表示部30B、スピーカ30C及び操作部30Dのみを有する小型のタブレット型端末であっても構わない。
【0064】
電子情報提供システム1では、図1に示した情報表示装置30を複数台設置して、制御装置20に接続して利用することができる。また、図1に示した情報表示装置30に加えて、図3に示した情報表示装置130を制御装置20に接続して利用することもできる。
【0065】
また、電子情報提供システム1では、図4に示すように、情報表示装置230が、図1に示す制御装置20及びデータ記憶装置40を内蔵して、その機能を兼ねる態様であっても構わない。制御装置20の機能の一部または総てを情報表示装置30の内部機能とすることは特筆することなく可能である。
【0066】
次に、以上のような構成を有する電子情報提供システム1の具体的な利用例について説明する。
【実施例1】
【0067】
図5は、複数台のATM(Automated Teller Machine)201が設置された銀行フロア200で電子情報提供システム1を利用する場合の一例を示している。図5は、銀行フロア200を上方から見た場合の図を示している。
【0068】
銀行フロア200には、図1及び図2に示した情報表示装置30が出口202Bの近くに設置されている。また、銀行フロア200には、図3に示した情報表示装置130として動作する大型ディスプレイ130Aと、小型のタブレット端末130Bとが設置されている。大型ディスプレイ130Aは、ATM201の利用を待って行列を成す複数の顧客300Bに対して宣伝広告等の情報を表示するために利用される。また、カメラ30Aを内蔵する小型のタブレット端末130Bは、各ATM201の近傍に設置され、ATM201を利用中の各顧客300Cに対して宣伝広告等の情報を表示するために利用される。
【0069】
また、銀行フロア200には、顧客の属性を判定可能な顔画像を撮像できるように、複数のカメラ10A〜10Cが設置されている。これに加えて、情報表示装置30はカメラ30Aを内蔵しており、小型のタブレット端末130Bも小型のカメラ30Aを内蔵している。
【0070】
なお、図5には図示していないが、カメラ10A及び10Bと、情報表示装置30と、大型ディスプレイ130Aと、タブレット端末130Bとは、銀行フロア200外に設置された制御装置20及びデータ記憶装置40とデータ通信可能に接続されている。
【0071】
ATM201を利用するために入口202Aを通って銀行フロア200に入ってきた顧客300Aは、ATM201の前に設けられた所定エリア203内で順番を待つ行列に加わる。
【0072】
カメラ10Aは、入口202Aを通過する顧客300Aの顔画像を撮像できるように設置されている。カメラ10Aで撮像された画像は、制御装置20へ送信される。制御装置20では、画像処理部20Aによる受信画像の画像処理が行われた後、顔切出部20Bによって顔画像が切り出される。そして、属性判定部20Cによって顔画像の特徴から顧客300Aの属性が判定される。判定された属性は制御装置20又はデータ記憶装置40に蓄積される。こうして、銀行フロア200に入った複数の顧客300Aの年齢層や性別等の属性情報が蓄積されてゆく。
【0073】
表示制御部20Eは、データ記憶装置40に蓄積された情報の中から、蓄積された顧客の属性に適した情報を選択して大型ディスプレイ130Aに表示する。具体的には、例えば、所定エリア203でATM201の利用を待つ顧客300Bについて、「60代女性」の属性の数が最も多いと判断すると、60代の女性に向けて提供するよう設定された宣伝広告等の情報をデータ記憶装置40から読み出して、大型ディスプレイ130Aに表示する。
【0074】
このように、複数の顧客300Bのうち多数を占める属性を判定して、この属性に適した情報を表示することができるので、高い宣伝効果を得ることができる。
【0075】
ただし、情報表示の方法が、多数を占める属性を優先する態様に限定されるものではない。例えば、特定の属性を優先するように設定することもできる。具体的には「60代女性」の属性の数が最も多い場合でも、20代女性に向けて売り出し中の商品の宣伝広告を優先するよう設定されている場合には、「20代女性」の属性の数が少ない場合でも20代女性に向けた宣伝広告が表示される。属性、属性の優先度、各属性に対応する情報等は制御装置20側で自由に設定できるようになっている。
【0076】
ATM201の利用を待って所定エリア203内で行列を成す顧客300Bは様々な方向を向いて立つ場合がある。このため、大型ディスプレイ130Aが設置された位置から顧客300Bを撮像しても有効な顔画像を撮像できない可能性がある。また、顧客同士が重なって後ろ側の顧客が撮像されない場合もある。さらに、行列を成す顧客300BはATM201へ向けて移動するので、所定エリア203内の顧客全体の属性を判定するためには移動した顧客を重複してカウントしないようにする必要があり処理が複雑なものとなる。
【0077】
しかし、本実施形態によれば、カメラ10Aが、入口202Aを通過する顧客300Aを撮像するように設置されているので、各顧客300Aの顔画像を確実に撮像することができる。このように、顧客の移動する方向に合わせて顔画像を撮像できる位置にカメラ10Aを設置することにより、各顧客の属性を正確に判定して蓄積し、所定エリア203内で行列を成す顧客300Bのうち多数を占める属性を判定することができる。
【0078】
図5に示す所定エリア203で待ち行列を成す顧客300Bは、自身の順番が来ると行列から抜けてATM201を利用する。ATM201近傍には、カメラ30Aを内蔵する小型のタブレット端末130Bが設置されている。タブレット端末130Bが内蔵するカメラ30Aによって、ATM201を利用する顧客300Cの画像が撮像されると、この画像は制御装置20に送信される。そして上述したように制御装置20によって顧客300Cの属性が判定される。制御装置20は、蓄積された所定エリア203内に存在する複数の顧客300Bの属性の数から、ATM201を利用する顧客300Cの属性数を減算する処理を行う。すなわち、ATM201を利用する顧客300Cの属性と同一の属性の数を1減算する。なお、顧客300Bの所定エリア203の通り抜けについては、タブレット端末130Bの有するカメラ30Aに代えて、又はこれに加えて、カメラ10Bを利用して判定してもよい。
【0079】
このように、制御装置20は、所定エリア203に加わる顧客300Aの属性と、所定エリア203から離れた顧客300Cの属性とに基づいて、所定エリア203で待ち行列を成す顧客300Bの属性を正しく判定することができる。
【0080】
ただし、所定エリア203に出入りする顧客の属性の管理方法がこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、所定エリア203に椅子が設置され、顧客300Bが所定方向を向いて座っているような環境であれば、カメラ10Aによって所定エリア203の顧客を撮像して属性を判定しても構わない。
【0081】
制御装置20は、タブレット端末130Bで撮像された画像からATM201を利用する顧客300Cの属性を判定すると、この属性に対応付けて保存された宣伝広告等の情報をデータ記憶装置40から読み出してタブレット端末130Bに表示する。これにより、ATM201を利用する顧客300Cに対しても、属性に適した情報を表示することができるので、高い宣伝効果を得ることができる。
【0082】
ATM201の利用を終えた顧客300Dは、ATM201から離れると、待ち行列用に設定された所定エリア203の周りを出口202Bへ向かって移動する。この顧客300Dの顔画像を取得できるように、カメラ10Bが設置されている。
【0083】
カメラ10Bで撮像された顧客300Dの画像は制御装置20へ送信される。制御装置20では、上述したように顧客300Dの属性が判定される。そして、この属性に対応付けて保存された宣伝広告等の情報がデータ記憶装置40から情報表示装置30に送信される。情報表示装置30では、内蔵するカメラ30Aによって有効な顔画像を撮像できる距離に顧客300Dが到達する前に、既に、この顧客300Dの属性に応じた情報を表示可能な状態とすることができる。
【0084】
このように、情報表示装置30に向かって移動する顧客300Dに向けて、早い段階から宣伝広告等の情報を表示することができるので、顧客300Dが、進行方向に存在する表示に気付いてこれを閲覧する可能性が高くなり、高い宣伝効果を得ることができる。
【0085】
このとき、顧客300Dが、幼児、若者、中年、壮年又は老人のずれ属性であるかの判断結果に基づき、平均的な歩行速度をもとに予め記憶されているカメラ10Bを通り過ぎてから情報表示装置30までの歩行時間を読み出して、表示の遅延時間とすることができる。すなわち、顧客300Dの属性に合わせて、表示のタイミングを調整することができる。
【0086】
表示タイミングについては、カメラ10Bと情報表示装置30の間にカメラ10Cを設置して、カメラ10Bからカメラ10Cへ至る歩行時間から歩行速度を算出し、この歩行速度から遅延時間を求めてもよい。また、カメラ10Cをカメラ10Bよりも情報表示装置30に近い位置に設置して、顧客300Dがカメラ10Cの前を通過するときに情報表示装置30の表示内容を切り替えるようにしてもよい。
【0087】
なお、カメラ10B及びカメラ10Cにより顧客300Dの到来を検知する方法には、アピアランス認識を利用することが望ましい。顔認識には確実に顔を撮像した画像が必要とされるが、アピアランス認識は上着の色等により判定することができるので、同一人物であるか否かを容易に判別することができる。
【0088】
また、カメラ10Bと情報表示装置30との間に複数人が存在する場合には、カメラ10Bで認識した属性及びアピアランスから通過した人の順番を示すキューを作成して記憶しておき、情報表示装置30に到来したときにカメラ30Aにより認識したアピアランスにより通過した人を特定して、キューに含まれる属性を更新してもよい。これにより、残っている顧客の属性を正しく判定し、既に通り過ぎた顧客の属性に合わせた情報を表示するといった事態を回避することができる。
【0089】
また、制御装置20では、表示制御部20Eが情報表示装置30に情報を表示するタイミングを、情報表示装置30の閲覧者の存在に応じて制御する。
【0090】
例えば、顧客300Dの属性に応じて選択された情報を表示可能な状態になったときに、情報表示装置30の前に立つ顧客が存在しない場合には、表示制御部20Eは、選択された情報を即座に情報表示装置30に表示する。なお、情報表示装置30の前に存在する顧客300Eは、情報表示装置30の備えるカメラ30Aによって検知される。
【0091】
これに対し、顧客300Dに提供する情報を表示可能になったときに、情報表示装置30に表示された情報を閲覧中の顧客300Eが存在する場合がある。この場合には、情報表示装置30では、顧客300Eが閲覧中の情報が継続して表示される。表示制御部20Eは、情報表示装置30の備えるカメラ30Aによって、この顧客300Eが立ち去ったことを検知すると、情報表示装置30の表示を顧客300Dの属性に応じて選択した情報に切り替える。
【0092】
制御装置20は、顧客300Dの属性から、この顧客300Dが情報表示装置30の前を通過するタイミングを算出することができるので、情報表示装置30から顧客300Eが立ち去ったときに、既に顧客300Dが情報表示装置30の情報を閲覧可能な状態にないと判定した場合には、顧客300Dに提供する情報を表示することなく、次の閲覧者に提供する情報を表示する。
【0093】
また、制御装置20は、表示の制御にアピアランス認識を利用することもできる。具体的には、カメラ10Aで撮像した顧客300Dの人物画像から属性を検知すると共に、この人物が赤色の服を着ている等のアピアランス情報を検出して、属性とアピアランスとを関連付けて記憶する。そして、情報表示装置30に到達した顧客300Dのアピアランスから該当する顧客300Dを認識して、関連付けられた属性に基づき表示内容を即座に切り替える。顔認識を利用する場合には詳細な顔情報を必要とするため、顧客300Dがカメラ30Aに近い位置に到達するまで処理を開始することができない。しかし、アピアランス認識を利用する場合には、顔画像を利用する場合に比べて離れた位置で撮像した画像を利用することができるので、早い段階から処理を開始して、顧客300Dが通り過ぎてしまう前に表示内容を切り替えることができる。
【0094】
また、制御装置20では、音声制御部20Fが、情報表示装置30から再生する音声を制御する。
【0095】
例えば、カメラ10Bで撮像された顧客300Dの属性が判定され、この顧客300Dに対して表示する情報が選択されると、この情報に関連付けられた音声も選択される。選択された音声は、データ記憶装置40から読み出され、情報表示装置30のスピーカ30Cによって再生される。
【0096】
このとき、音声制御部20Fは、音声再生のタイミングを、情報表示装置30と顧客300Dの距離に応じて制御する。具体的には、顧客300Dの属性が判定されると、この属性から顧客300Dが歩く際の平均的な移動速度に基づいて顧客300Dが情報表示装置30の手前の所定位置へ到達するまでの時間を算出する。そして、算出した時間に合わせて音声を再生する。これにより、顧客300Dの属性によらず、顧客300Dがほぼ同じ位置に到達したときに音声を再生することができる。
【0097】
また、音声制御部20Fは、再生する音声の音量を制御することもできる。具体的には、全ての顧客に対して、情報表示装置30の手前の所定位置で再生する場合には、顧客の属性に応じて音量を制御する。例えば、60代や70代と判定された顧客に対しては、それより若い顧客に対して再生する場合よりも大きな音量で再生する。
【0098】
なお、病院等、大きな音量で再生できないような環境では、再生する音声の音量は一定として、音声を再生する位置を変更する。例えば、60代や70代の属性と判定された顧客に対しては、それより若い属性の顧客に対して音声を再生する位置よりも、より情報表示装置30へ近い位置で音声を再生する。すなわち、高齢者に対しては、音声が聞き取りやすいように、音源に近い位置に到達したときに音声を再生する。
【0099】
また、再生する音声の速度についても、属性に応じた速度で再生するよう制御することもできる。例えば、高齢者や幼児に対しては、音声の再生速度を下げるよう制御する。
【0100】
このように、顧客300Dに向けて音声を再生して注意を引くことができるので、顧客300Dが情報表示装置30に気付いて表示を見る可能性が高くなり、高い宣伝効果を得ることができる。
【0101】
情報表示装置30の隣には、顧客に対して商品やサービスに関するパンフレットやカタログを配布するためのスタンド204が設置されている。スタンド204は、情報表示装置30によって宣伝広告が行われた商品やサービスに興味を持った顧客300Eが、関連するパンフレットやカタログを持ち帰ることができるように出口202B付近に設置されている。
【0102】
制御装置20は、情報表示装置30の備えるカメラ30Aによって、顧客300Eが立ち止まって、表示された宣伝広告を閲覧していることを認識すると、表示や音声によって、関連するパンフレットやカタログが配布されていることを顧客300Eに知らせる。例えば、宣伝広告するための画像や動画等の表示を終えると、最後まで閲覧した顧客300Eに対して、スタンド204で関連するパンフレットやカタログが配布されていることを知らせる表示や音声の再生を行う。
【0103】
また、制御装置20は、宣伝広告を行っている途中で顧客300Eが移動を開始して情報表示装置30の前から立ち去ろうとしていることを検知すると、同様に、関連するパンフレットやカタログの存在を顧客に知らせる。顧客300Eの中には、商品やサービスに関心を持ちながら、時間が無いために立ち去る者が存在する。このような顧客300Eに対してパンフレットやカタログの存在を知らせることで、顧客300Eは関連するパンフレットやカタログの存在を認識して、これを持ち帰ることができる。
【0104】
このように、情報表示装置30から離れた顧客300Eが移動する方向にパンフレットやカタログ等の関連書類を配置すると共に、これを知らせる表示や音声再生を行うことによって高い宣伝効果を得ることができる。
【実施例2】
【0105】
次に、電子情報提供システム1によってグループ構成を判定して利用する場合の具体的な例について説明する。図7は、レストラン街へとつながる通路400で電子情報提供システム1を利用する場合の一例を示している。図7は、通路400を上方から見た場合の図を示している。
【0106】
通路400の途中には分岐路があり、通路400を曲がって分岐路の方向600へ進むとレストラン街へ入るようになっている。電子情報提供システム1は、関連する宣伝広告を表示して顧客をレストラン街へ誘導するために利用される。
【0107】
通路400では、分岐路へ至る手前の位置に、カメラ430Aを備える第1情報表示装置430が壁沿いに設置されている。また、分岐路の位置にもカメラ530Aを備える第2情報表示装置530が壁沿いに設置されている。また、第1情報表示装置のさらに手前にカメラ10Aが設置されている。
【0108】
第1情報表示装置430及び第2情報表示装置530は、図1及び図2に示した情報表示装置30と同様の構成及び機能を有するものである。また、図7には図示していないが、カメラ10A、第1情報表示装置430及び第2情報表示装置530は、通路400外に設置された制御装置20及びデータ記憶装置40とデータ通信可能に接続されている。
【0109】
例えば、通路400を分岐路の方向へ向かって歩く男女2人のカップル500Aがカメラ10Aによって撮像されると、撮像された画像は制御装置20へ送信される。制御装置20では、実施例1と同様に画像が処理され、属性判定部20Cによって顔画像の特徴から属性が判定される。画像には2人の人物が含まれているので、各人の属性が判定された後、さらにグループ構成判定部20Dによって、2人が「カップル」、「ファミリー」及び「友人」のいずれかのグループに該当するか否かが判定される。こうして、制御装置20は、男女2人のカップル500Aが分岐路へ向かって歩いていることを認識する。
【0110】
続いて、制御装置20では、表示制御部20Eが、データ記憶装置40に蓄積された情報の中から、判定されたグループ構成に適した情報を選択して第1情報表示装置430に表示する。具体的には、例えばカップル500Aが「20代カップル」と判定された場合には、20代のカップルに好まれるレストランの情報を第1情報表示装置430へ表示する。同様に、第2情報表示装置530にもカップル500Aに適した情報を表示する。
【0111】
このように、情報表示装置430及び530へ向かって移動する顧客の属性やグループを事前に認識して、適切な情報を選択して表示することができるので、情報表示装置430及び530に情報を表示したときには、既に顧客が通り過ぎているといった事態を回避することができる。
【0112】
また、制御装置20では、実施例1の場合と同様に、カップル500Aの属性に含まれる年齢や性別から、このカップル500Aがカメラ10Aで撮像されてから第1情報表示装置430に到達するまでの時間を算出する。そして、音声制御部20Fが、カップル500Aが第1情報表示装置430へ近付く所定タイミングで音声を再生する。同様に、第2情報表示装置530へ近付く所定タイミングでも音声を再生する。
【0113】
図7に示すように、情報表示装置430及び530が通路400の壁沿いに設置されているような場合には、情報を表示しても、進行方向を向いて歩行するカップル500Aの目には留まりにくい。しかし、カップル500Aが情報表示装置430及び530に近付く所定のタイミングで音声を再生して注意を引くことにより、カップル500Aが情報表示装置430及び530の方向へ視線を向けて、そこに表示された情報を見る確率が高くなる。
【0114】
制御装置20は、情報表示装置430及び530の備えるカメラ430A及び530Aによって各情報表示装置430及び530の前に情報を閲覧する者が存在するか否かを判定することができる。このため、例えば、カップル500Aを認識した際に、第2表示装置530に表示された情報を閲覧するファミリー500Bが存在する場合には、第2表示装置530ではファミリー向けの情報を継続して表示する。そして、第1表示装置430でのみカップル500に向けた情報を表示する。このように、複数台の情報表示装置430及び530を設置することにより、複数のグループに向けて宣伝広告を行うことができる。
【0115】
なお、制御装置20は、図2に示す情報表示装置30(430及び530)に情報を表示する際に、グループ構成に合わせた様々な方法で情報を表示することができる。情報を表示する方法は、予め、制御装置20で設定されており、この設定に基づいて表示制御部20Eが表示部30Bへの表示を制御する。
【0116】
具体的な表示制御の例を図8に示す。図8(a)は、カメラ10Aで撮像された画像に含まれる顧客が、例えば、子供と両親から成るファミリーであると認識した場合に、表示部30Bの全面を使って、ファミリー向けの情報として設定されたコンテンツを再生する例を示している。ファミリー向けのコンテンツを再生した後、次にカップルがやってくる場合には、続いてカップル向けに設定されたコンテンツが再生される。
【0117】
図8(b)は、ファミリー向けのコンテンツを再生する場合に、表示部30Bの全面を使いながら、子供向けと母親向けのコンテンツを順に表示する場合の例である。まず、子供向けのコンテンツを再生して子供の注意を引くことによって、このファミリーが情報表示装置30の前に立ち止まってコンテンツを閲覧するように仕向ける。
【0118】
電子情報提供システム1が設置された環境によって、例えば、ファミリーの場合には、その行動が子供によって決定される傾向がある場合には、このように先に子供向けのコンテンツを再生するように設定される。
【0119】
ただし、これは一例であって、再生するコンテンツの内容や順序は、グループ構成と関連付けて自由に設定できるようになっており、設置環境に合わせて設定される。例えば、婦人服売り場に設置されている場合には、ファミリーに対して、先に母親向けの婦人服の宣伝広告に関するコンテンツを再生して、その後に子供服の宣伝広告を再生するように設定する。また、ファミリーであると認識した場合でも、母親向けのコンテンツのみを再生するように設定することもできる。
【0120】
図8(c)は、ファミリー向けのコンテンツを再生する場合に、表示部30Bの表示領域を複数領域に分割して、複数のコンテンツを各領域で並行して再生する場合の例である。例えば、図9に示すように、表示部30Bを上部領域31と下部領域32とに分割して、上部領域31で大人向けのメインコンテンツを再生しながら、同時に、下部領域32に子供向けのサブコンテンツを再生する。このように、表示部30Bを複数領域に分割して、別の属性を閲覧者としたコンテンツを再生することも可能である。このとき、表示領域の広さはメインコンテンツを広くするよう設定されている。また、閲覧者の目線に合わせて、大人向けのコンテンツを上部に、子供向けのコンテンツを下部に表示するよう設定されている。
【0121】
例えば、大人向けにレストラン街の宣伝広告を行う場合に、再生されるコンテンツに興味のない子供が両親に情報表示装置30の前から移動するように急かすことがある。このような場合でも、上部に宣伝広告を表示しながら、下部に例えばアニメーション等の子供向けのサブコンテンツを再生すれば、ファミリーが情報表示装置30の前に滞在する時間を長くすることができる。
【0122】
このように、情報表示装置30では、顧客がグループであると判定した場合に、グループを構成する各人に向けて異なる情報を、連続して表示したり、表示領域を分けて同時に表示したりすることができる。情報表示装置30が設置される環境や顧客の特徴に合わせて表示方法や表示内容を設定することにより、高い宣伝効果を得ることができる。
【0123】
なお、コンテンツの再生について、閲覧者が情報表示装置30で再生されるコンテンツを最後まで閲覧した場合には、このコンテンツに関連付けられた別のコンテンツを続けて再生するように設定することもできる。具体的には、例えば商品の概要を説明するコンテンツを再生して、閲覧者がコンテンツの再生途中で立ち去った場合にはこのコンテンツのみを再生し、閲覧者がコンテンツを最後まで閲覧した場合には、続けて商品の詳細を説明するコンテンツを再生する。このように、コンテンツを分けて閲覧者の状況に合わせて再生することで、閲覧者が立ち去ったにも拘わらず延々とコンテンツの再生を続けるといった事態を回避しながら、興味を示した閲覧者にはより詳細な情報を提供することができる。
【0124】
また、再生するコンテンツを、特定条件に合致する人物の属性に合わせて選択してもよい。例えば、ある店舗の商品に関する宣伝広告を表示するための情報表示装置30が、この店舗のショーウィンドウのそばに設置されている場合には、この店舗のショーウィンドウの中の商品を眺めている人物の属性を認識して、この属性に合う店舗の商品情報を選択して宣伝広告を表示する。商品に興味を持つ人物の属性を認識して、関連する情報を提供すれば、この人物が情報の閲覧者となって情報表示装置30の前に長く滞在し、高い宣伝効果を得ることができる。
【0125】
情報表示装置30は、タッチパネル式の液晶ディスプレイから構成され、顧客からの選択操作を受け付けることができるので、顧客の選択したコンテンツを再生したり、アンケートに回答してもらうこともできる。また、情報表示装置30は、内蔵するプリンタ30Eを利用して表示した情報に関する内容を印字して顧客に提供することもできる。
【0126】
例えば、顧客がカップルであると認識された場合に、図8(d)に示したように、カップル向けのコンテンツとして設定された動画や音声が情報表示装置30で再生される。そして、制御装置20は、情報表示装置30の備えるカメラ30Aによってこのカップルが情報表示装置30の前に立って情報を閲覧し始めたことを認識すると、続いて顧客が希望する情報を選択するための選択画面を表示する。選択画面とは、例えば、図10(a)に示すような画面である。このように、例えばレストラン街の宣伝広告を流して立ち止まった顧客に対して、レストランのジャンルを選択させるための選択画面を表示する。そして、タッチパネル(操作部)30Dによって顧客が希望するジャンルを選択すると、これを認識した制御装置20は、選択されたジャンルに対応するコンテンツをデータ記憶装置40から読み出して再生する。また、制御装置20が、カメラ30Aによって、顧客がその後に流れるコンテンツを全て閲覧したことを認識すると、プリンタ30Eからレストラン街で利用可能なクーポン券を発行する。
【0127】
その他、タッチパネル30D及びプリンタ30Eを利用して、例えば、顧客によってジャンルが選択され関連するコンテンツを再生している途中に、顧客によってレストランが選択されると、このレストランの地図を印刷して提供することもできる。また、レストランが選択された場合に、アンケートに回答すれば選択したレストランに関するクーポンが発行されることを示す情報を表示して、タッチパネル30Dによってアンケートを実施して、その後にプリンタ30Eによってクーポンを発行することもできる。
【0128】
このように、情報表示装置30では、一方的に情報を提供するだけではなく、顧客の要求に応じたり、アンケートを実施することもできるので、顧客を飽きさせることなく情報表示装置30の前に引き留めて高い宣伝効果を得ることができる。
【0129】
情報表示装置30では、制御装置20によって、例えば、顧客が60代のカップルであると認識された場合に図10(a)に示すようにジャンルを選択させる選択画面が表示され、顧客が10代のカップルであると認識された場合には同図(b)に示すように異なる選択画面が表示される。
【0130】
選択画面は、年齢、性別及びグループ構成に合わせた情報を含むように設定されている。また、これに加えて、表示レイアウトも制御されている。
【0131】
具体的には、図10(a)に示すように、タッチパネル等の操作に慣れていない高齢のカップルに対しては、目に付きやすい位置に、タッチパネルによる操作を行えることを示す情報を表示する。これに対して、図10(b)に示すように、タッチパネルであることを容易に認識できる若いカップルについては、タッチパネルであることを示す情報は補足的に下部に表示して、料理のジャンルを選択する選択ボタンを目に付きつきやすい位置に表示する。
【0132】
また、制御装置20は、情報表示装置30の前に立つ顧客をカメラ30Aによって撮像した際に、撮像された画像上の顔画像の位置から顧客の身長を判定して、表示レイアウトを制御している。具体的には、判定した顧客の身長に基づいて、ある顧客に対しては、図10(a)のように上部に選択ボタンを表示し、別の顧客に対しては同図(c)のように選択ボタンを下げて表示する。
【0133】
このように、顧客の目線や操作性を考慮して表示レイアウトを変更することによって、顧客が快適に操作を行うことが可能となり、顧客を情報表示装置30の前に引き留めて、高い宣伝効果を得ることができる。
【実施例3】
【0134】
次に、電子情報提供システム1が利用される別の具体例について説明する。遊園地等のアミューズメント施設に電子情報提供システム1を設置すれば、情報表示装置30によって、顧客の属性に合わせた情報を提供することができる。
【0135】
具体的には、アミューズメント施設の入口に設置したカメラ10Aによって顧客を撮像して、顧客の属性やグループ構成を判定する。そして、入口を通過した顧客が通る通路に情報表示装置30を設置して、顧客の属性やグループ構成に合わせた情報を提供する。
【0136】
例えば、顧客がファミリーであると認識された場合には、子供向けのアトラクションの案内を表示して、カップルであると認識された場合にはカップルに人気の高いアトラクションを表示する。
【0137】
電子情報提供システム1では、顧客が情報表示装置30に向かって近付いてきたときには、既にこの顧客に適した情報が表示されているので、顧客がこれに興味を示して表示された情報を閲覧する可能性が高い。これにより高い宣伝効果を得ることができる。
【0138】
また、各アトラクションの入口にカメラ10Aを設置して顧客の属性やグループ構成を判定し、出口に設置した情報表示装置30で、顧客が次に向かうアトラクションの判断材料となる情報を提供することもできる。
【0139】
電子情報提供システム1では、グループの中で優先する属性を設定したり、多くの顧客が撮像され多数の属性やグループ構成が認識された場合に特定の属性を優先するように設定することができる。例えば、アトラクションを利用するファミリーを認識した場合には、子供を優先して情報を提供するよう設定することができる。また、例えば、女性を優先するレディースデイとして設定された特定の曜日には、多数の異なる属性が認識された場合でも、その中に女性が居れば女性を優先して情報を提供するよう設定することができる。これにより電子情報提供システム1の利用者に合わせた運用を実現することができる。なお、設定によりレディースデイには女性がいなくても分割画面の一つにレディースデイの広告を出すようにすることもできる。
【0140】
また、情報表示装置30を、アトラクションの宣伝広告に利用しながら、時間帯によって優先して表示する情報を制御することも可能である。具体的には、図11に示すように、昼の12時を含む所定の時間帯と19:00を含む所定の時間帯ではレストラン情報を優先して提供するように設定することができる。同様に、例えば、所定時間帯には夜に行われるパレードの情報を優先的に提供するように設定することもできる。
【0141】
レストラン情報を優先して提供する方法については、例えば、顧客の属性を判定した後、この属性に対応して宣伝広告するよう設定されたアトラクションの情報を表示せず、これに代えて、この属性に対応して設定されたレストラン情報を表示することによって行う。
【0142】
また、例えば、アトラクションを待って行列を成す顧客について多数の異なる属性を認識して、これらの属性に合わせた情報A,B,Cと、レストランに関する情報Dとを図12(a)に示すように繰り返して表示するよう設定されている場合には、同図(b)に示すように、レストランDの情報を表示する数(スポット数)を増やすことによって、レストラン情報を優先して提供することもできる。
【0143】
認識した属性のうち、多数を占める多数属性を優先して情報を表示するか、子供や女性等の特定属性を優先して情報を表示するか、又は時刻によって所定情報を優先して表示するかについては、制御装置20上で設定できるようになっている。
【0144】
図13は、制御装置20上で設定が行われる際の設定画面の一例を示す図である。図13(a)は、1から3の優先順位を設定する画面である。各優先順位の数字の右側で、設定可能な内容をリストボックスから選択できるようになっている。また、さらに右側の詳細設定のボタンによって詳細な設定を行うことができる。
【0145】
優先順位を設定する際には、例えば、なるべく多くの人々を対象にコンテンツを提供したい場合には、多数属性を選択する。また、その属性を有する人物が一人しか居ない場合でも、その属性に合わせたコンテンツを提供したい場合には、特定属性を選択する。なお特定属性として1つの属性を指定することもできるし、複数の属性を指定することもできる。
【0146】
図13(a)の例では、優先順位1として多数属性が選択されているので、認識された属性のうち多数を占める属性を優先して情報が選択される。そして、もし、同数かつ最多数である属性が複数存在した場合には、優先順位2で特定属性として設定された属性を優先して情報が選択される。
【0147】
なお、図13(a)に例示した優先順位とは逆に、優先順位1として特定属性が選択され、優先順位2として多数属性が選択された場合には、認識された属性の数によらず、特定属性が1つでも含まれていれば、その属性に合わせた情報が選択される。そして、認識された属性の中に特定属性が1つも含まれていない場合には、優先順位2の多数属性に従って、認識された属性のうち多数を占める属性の情報が選択される。
【0148】
図13(a)にある多数属性のボタンの右にある詳細設定ボタンを選択すると、図13(b)に示す画面が表示される。この設定画面では、多数を占める属性を優先するのか、多数を占めるグループ構成を優先するのかを設定することができる。例えば、グループ構成を選択すると、各人の属性ではなく、若いカップル、家族、男性同士、女性同士等のグループ構成に基づいて、多数を示すグループ構成の情報を選択するよう設定することができる。また、グループ構成に含まれる特定属性を優先して情報を選択するように設定することもできる。例えば、男性同士のグループとして認識された場合に、10代の男性が含まれている場合には、この属性を優先して情報を選択するよう設定することもできる。
【0149】
図13(b)で、属性のラジオボックスをチェックして決定ボタンを選択すると、図13(c)に示す画面が表示される。この設定画面では、属性とこの属性が多数を占めたときに表示されるコンテンツ情報を設定することにより、全ての属性についてコンテンツ情報を設定することができる。コンテンツの選択は、例えば、データ記憶装置40内のファイル名を選択することにより行う。
【0150】
図13(c)の例では、「10代男性」、「20代男性」等の年代及び性別からなる属性と、この属性に関連付けるコンテンツ情報を選択しながら、順次スクロールさせて各属性のコンテンツを設定することにより、全ての属性についてコンテンツ情報を設定することができる。なお、図13(b)でグループ構成のラジオボックスをチェックしていた場合には、図13(c)と同様の画面が表示されるが、選択肢には「若いカップル」や「家族」等のグループ構成が選択可能に表示される。
【0151】
図13(a)にある特定属性のボタンの右にある詳細設定ボタンを選択すると、図13(c)に示す画面が表示される。この設定画面では、特定属性として優先される属性と、その属性用のコンテンツを設定することができる。
【0152】
なお、設定を行う方法については、情報表示装置30の画面上で行なう態様の他、制御装置20が操作部を備え、この操作部を操作しながら行う態様であってもよい。また、他の場所で行った設定ファイルを制御装置20が読み込んで利用する態様であっても構わない。
【0153】
また、図13(a)の例では、図11を参照しながら説明したように時間帯によって優先する情報を設定する時刻設定が選択されている。時刻設定が選択されている場合には、詳細設定で設定された情報が優先して提供される。例えば、時刻設定でレストラン情報を提供するよう設定されている時間帯に、多数を占める属性が「20代男性」であった場合には、20代男性に人気のあるアトラクションの情報に代えて、またはこれに加えて、20代男性に人気のあるレストラン情報が提供される。
【0154】
また、時刻設定に関し、どの時間帯にどのような情報を提供するかについては、詳細設定のボタンを押して表示される図13(d)の画面で設定することができる。例えば、レストラン情報を表示する時間帯と、この時間帯に提供するコンテンツを設定することができる。コンテンツは、属性によらず同じレストランの情報を提供するように設定することもできるし、属性に応じて異なるレストランの情報を提供するように設定することもできる。
【0155】
このように、属性やグループ構成に対応して表示する情報を設定することに加えて、判定方法に関する優先条件を自由に設定することができるので、電子情報提供システム1の利用環境に合わせた様々な運用を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
以上のように、本発明は、宣伝広告等の情報を、情報提供する対象者の年齢や性別等の属性に合わせて選択する場合に有用な技術である。
【符号の説明】
【0157】
1 電子情報提供システム
10A、10B、10C〜10N、30A、430A、530A カメラ
20 制御装置
20A 画像処理部
20B 顔切出部
20C 属性判定部
20D グループ構成判定部
20E 表示制御部
20F 音声制御部
30、130、230、430、530 情報表示装置
30B 表示部
30C スピーカ
30D 操作部
30E プリンタ
40 データ記憶装置
130A 大型ディスプレイ
130B タブレット端末
200 銀行フロア
400 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する情報表示装置と、
前記情報表示装置への歩行路の手前に設けられた少なくとも1台のカメラと、
前記情報表示装置及び前記カメラと接続されて、前記カメラで撮像された画像から前記人物の属性を判定して該属性に基づいて前記人物に提供する情報を選択すると共に、選択した前記情報を前記情報表示装置に表示する制御装置と
を備えたことを特徴とする電子情報提供システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記カメラによって複数の人物が撮像された場合には、撮像された各人物の属性を判定して、前記属性のうち最も数が多い属性に基づいて前記情報表示装置に表示する情報を選択することを特徴とする請求項1に記載の電子情報提供システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記カメラによって複数の人物が撮像された場合に、撮像された各人物の属性を判定して、予め設定された前記属性の優先順位に基づいて前記情報表示装置に表示する情報を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子情報提供システム。
【請求項4】
所定エリアに進入する人物を撮像する第1のカメラと、
前記所定エリアから退出する人物を撮像する第2のカメラと
を有し、
前記制御装置は、前記第1のカメラで撮像された画像から判定した人物の属性の数を蓄積すると共に、前記第2のカメラで撮像された画像から判定した人物の属性の数を蓄積した前記属性から削除しながら、前記所定エリアに存在する複数人物分の属性の数を求めることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の電子情報提供システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記カメラによって複数の人物が撮像された場合に、撮像された各人物の属性を判定すると共に、各人物がグループを構成するか否かを判定して、判定した前記グループの構成に基づいて前記情報表示装置に表示する情報を選択することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子情報提供システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記グループを構成する複数人物の属性に基づいて複数の情報を選択して、選択した各情報を、前記情報表示装置に順に表示することを特徴とする請求項5に記載の電子情報提供システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記グループを構成する複数人物の属性に基づいて複数の情報を選択して、選択した各情報を、前記情報表示装置の情報表示領域を分割した各領域に同時に表示することを特徴とする請求項5に記載の電子情報提供システム。
【請求項8】
前記情報表示装置はスピーカを有し、
前記制御装置は、前記カメラによって撮像された人物が前記情報表示装置に近付いた所定タイミングで、前記スピーカから音声を再生することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子情報提供システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記音声を再生するタイミング、前記音声を再生する音量及び前記音声を再生する再生速度の少なくとも1つを、判定された前記属性に含まれる前記人物の年齢に基づいて制御することを特徴とする請求項8に記載の電子情報提供システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記表示装置に表示する情報を選択する際に優先される属性を設定するための設定手段を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子情報提供システム。
【請求項11】
情報を印字するプリンタをさらに備え、
前記制御装置は、前記情報表示装置に表示した情報に関連する内容を前記プリンタによって印字することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子情報提供システム。
【請求項12】
人物を含む画像をカメラによって撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された画像から前記人物の属性を判定する属性判定工程と、
前記属性判定工程で判定された前記属性に基づいて前記人物に提供する情報を選択する情報選択工程と、
前記カメラによって撮像された前記人物が移動する方向で前記カメラから離れた位置に設置された情報表示装置に、前記人物が到達する前に、前記情報選択工程で選択された前記情報を前記情報表示装置に表示する情報表示工程と
を含んだことを特徴とする電子情報提供方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−109051(P2013−109051A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252304(P2011−252304)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】