説明

電子時計、電子時計の制御方法、および、プログラム

【課題】高い表現力で時刻を表示しつつ、消費電力を低減させることができるようにする。
【解決手段】 例えば、データ保存部54に保存させる画像データを生成するデータ生成部62、データ保存部54に保存された画像データを表示部51に転送するデータ転送部63、および、これらの動作を制御する画像データ生成制御部61は、1チップのハードウエアとして構成される主制御部53に含まれている。この場合、電源制御部56は、設定された時刻になったことが電源制御部56かた通知された場合、主制御部53に対して電源を供給する電源制御を実行し、そうでない場合、電源制御の実行を禁止する。本発明は、腕時計型の電子時計に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、電子時計の制御方法、および、プログラムに関し、特に、高い表現力で時刻を表示しつつ、消費電力を低減させることができる電子時計、電子時計の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル表示可能な電子時計は数多く存在する。また、その形態は様々であり、例えば、特許文献1乃至3に各種形態の電子時計が開示されている。
【0003】
このような従来の電子時計の時刻の表示手法としては、次の第1の表示手法と第2の表示手法とが存在する。
【0004】
第1の表示手法とは、表示デバイスとして液晶を用い、その液晶上に形成された文字要素の一部を表示することで時刻を表示させる、あるいは格子状に形成された点上の点を表示させることで時刻を表示させる、という手法である。
【0005】
これに対して、第2の表示手法とは、表示デバイスとして表現力のあるカラー液晶等を用い、数値演算能力の高い計算機と併用することで、第1の表示手法と比較して高い表現力で時刻を表示させる、という手法である。
【特許文献1】特開2005−83979号公報
【特許文献2】特開平11−265236号公報
【特許文献3】特開2005−107615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1の表示手法は、表示のための消費電力が非常に少ないというメリットはあるが、数字以上の高い表現力で時刻を表現することは非常に困難であるというデメリットがある。
【0007】
これに対して、第2の表示手法は、上述したように、第1の表示手法と比較して高い表現力で時刻を表示することができるというメリットはあるが、その分だけ消費電力が大きくなるというデメリットがある。
【0008】
従って、第2の表示手法が適用された従来の電子時計では、使用時間が短くなるという問題が発生する。特に、電子時計が腕時計の形態で実現される場合、この問題は顕著になる。腕時計に実装できる電池の電力供給能力に限りがあるためである。
【0009】
即ち、第2の表示手法が適用された従来の腕時計が、電池残量が少なくなっても、高い表現力で時刻を表示し続けると、電池からの供給電圧が下がり、時計動作を継続できなくなるという問題や、その結果、電池を再充電しなければならなくなるが、その再充電後にも、時刻を再度合わせることが必要になるという問題が発生してしまう。
【0010】
なお、特許文献1乃至3に開示された発明をそのまま適用しても、この問題を解決することは困難である。なぜならば、特許文献1乃至3にはそれぞれ次のような消費電力を低減させる手法(以下、電力低減手法と称する)が開示されているが、高い表現力で時刻を表示しつつ、消費電力を低減させる手法について開示は勿論示唆もされていないからである。
【0011】
特許文献1に開示された電力低減手法とは、単にアナログ時計の秒針を止める手法である。特許文献2に開示された電力低減手法とは、電子機器の主電源がオフ状態のときに、計時しないことを条件に(時計手段が時刻カウントのための設定がされていないときに)、低消費電力モードで動作させる手法である。特許文献3に開示された電力低減手法とは、低い表現力での時刻表示(第1の表示手法による時刻表示)を行うために低負荷処理用CPUを通常使用し、必要に応じて、時刻表示を行わない高負荷処理用CPUを使用する手法である。
【0012】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、高い表現力で時刻を表示しつつ、消費電力を低減させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面の電子時計は、時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段を備える電子時計であって、前記画像データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段と、前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段と、所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段と、前記所定の条件が満たされた場合、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し、前記所定の条件が満たされていない場合、前記電源制御の実行を禁止する電源制御手段とを備える。
【0014】
本発明の一側面の電子時計は、前記所定の条件が満たされたか否かを判定し、前記所定の条件が満たされたという判定を行った場合にはその判定結果を前記データ制御手段と前記電源制御手段に通知する条件管理手段をさらに設け、前記データ制御手段は、前記条件管理手段から前記判定結果が通知された場合、前記一連の制御の実行を開始し、前記電源制御手段は、前記条件管理手段から前記判定結果が通知された場合、前記電源制御を実行し、それ以外の場合、前記電源制御の実行を禁止するようにすることができる。
【0015】
本発明の一側面の電子時計において、前記データ制御手段は、前記一連の制御の一部として、前記転送処理の実行を制御し終えた後、さらに、次回の前記一連の制御を開始させる時刻を前記条件管理手段に設定し、前記条件管理手段は、現時点の時刻が、前記データ制御手段により設定された前記時刻となったことを前記所定の条件として、前記所定の条件が満たされたか否かを判定するようにすることができる。
【0016】
本発明の一側面の電子時計の表示方法またはプログラムは、次の電子時計を対象とする。即ち、時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段と、前記画像データを生成するデータ生成手段と、前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段と、前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段と、所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段とを少なくとも備える電子時計が、本発明の一側面の電子時計の表示方法またはプログラムの対象となる。そして、本発明の一側面の電子時計の表示方法またはプログラムは、前記所定の条件が満たされた場合、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し、前記所定の条件が満たされていない場合、前記電源制御の実行を禁止する電源制御ステップを含む。
【0017】
本発明の一側面においては、時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段と、画像データを生成するデータ生成手段と、データ生成手段により生成された画像データを保存するデータ保存手段と、データ保存手段に保存された画像データを表示手段に転送するデータ転送手段と、所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理をデータ生成手段に実行させ、生成された画像データをデータ保存手段に保存させ、データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、データ生成手段による生成処理の実行を禁止し、データ保存手段に保存されている画像データのうちの1以上を表示手段に転送する転送処理をデータ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段とを少なくとも備える電子時計が、次のようにして制御される。即ち、所定の条件が満たされた場合、少なくともデータ生成手段、データ転送手段、およびデータ制御手段に対して電源を供給する電源制御が実行され、所定の条件が満たされていない場合、電源制御の実行が禁止される。
【発明の効果】
【0018】
以上のごとく、本発明の一側面によれば、高い表現力で時刻を表示しつつ、消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0020】
本発明の一側面の電子時計は、
時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段(例えば図3の表示部51)を備える電子時計(例えば図1の外観構成を有し、図2のハードウエア構成を有し、図3の機能的構成を有する腕時計1)において、
前記画像データを生成するデータ生成手段(例えば図3のデータ生成部62)と、
前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段(例えば図3のデータ保存部54)と、
前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段(例えば図3のデータ転送部63)と、
所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段(例えば図3の画像データ生成制御部61)と、
前記所定の条件が満たされた場合、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し、前記所定の条件が満たされていない場合、前記電源制御の実行を禁止する電源制御手段(例えば図3の電源制御部56)と
を備える電子時計。
【0021】
本発明の一側面の電子時計は、
前記所定の条件が満たされたか否かを判定し、前記所定の条件が満たされたという判定を行った場合にはその判定結果を前記データ制御手段と前記電源制御手段に通知する条件管理手段(例えば図3の時間制御部55)をさらに備え、
前記データ制御手段は、前記条件管理手段から前記判定結果が通知された場合、前記一連の制御の実行を開始し、
前記電源制御手段は、前記条件管理手段から前記判定結果が通知された場合、前記電源制御を実行し、それ以外の場合、前記電源制御の実行を禁止する
ようにすることができる。
【0022】
本発明の一側面の腕時計の表示方法またはプログラムは、
時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段(例えば図3の表示部51)と、
前記画像データを生成するデータ生成手段(例えば図3のデータ生成部62)と、
前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段(例えば図3のデータ保存部54)と、
前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段(例えば図3のデータ転送部63)と、
所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段(例えば図3の画像データ生成制御部61)と
を少なくとも備える電子時計を対象として、その対象に対する制御方法、または、その対象を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記所定の条件が満たされた場合(例えば、図5のステップS21の処理でYESであると判定された場合)、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し(例えば図5のステップS22,S23の処理を実行し)、前記所定の条件が満たされていない場合(例えば、図5のステップS21の処理でNOであると判定された場合)、前記電源制御の実行を禁止する(例えば図5のステップS21の判定処理を繰り返すことで、所定の条件が満たされるまで、電源制御に対応するステップS22,S23の処理の実行を禁止する)電源制御ステップ(例えば図4のステップS1)
を含む。
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明を適用した電子時計としての腕時計の外観の構成例を示す図である。
【0025】
図1の例では、腕時計1がユーザ(人間)の腕にはめられた場合、ユーザが見る面(図1に示される面であって、以下表面と称する)には、ユーザが各種情報(指令等)を入力するためのタクトスイッチ11−1乃至11−5が設けられている。なお、以下、タクトスイッチ11−1乃至11−5のそれぞれを、個々に区別する必要が無い場合、それらをまとめてタクトスイッチ11と称する。
【0026】
腕時計1の表面にはまた、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)型のLCD(Liquid Crystal Display)12も設けられている。
【0027】
図2は、図1の外観構成を有する腕時計1の内部のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【0028】
図2の例では、腕時計1には、上述したタクトスイッチ11およびLCD12の他、システムIC(Intermediate Circuit)13、マイクロコンピュータ14、SD-RAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)15、Flash Memory16、および電源部17が設けられている。タクトスイッチ11は、システムIC13とマイクロコンピュータ14とに接続されている。システムIC13にはまた、LCD12、マイクロコンピュータ14、SD-RAM15、およびFlash Memory16が接続されている。
【0029】
図2の例では、システムIC13には、CPU(Central Processing Unit)21、3DCG(3-Dimensional Computer Graphics)エンジン22、および、LCDコントローラ23が設けられている。
【0030】
CPU21は、FLASH Memory16からSD-RAM15にロードされた各種プログラムに従って各種処理を実行する。これにより、腕時計1全体の動作が制御されることになる。SD-RAM15にはまた、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0031】
3DCGエンジン22は、CPU21の制御(指令)に基づいて、例えば時刻表示用の3DCG画像に対応する表示データを生成する。
【0032】
本実施の形態では、3DCGエンジン22には、曲面アーキテクチャを用いた3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)手法が適用されている。換言すると、本実施の形態の3DCGエンジン22は、曲面アーキテクチャをハードウエア的に実現したものである。
【0033】
なお、3DCGエンジン22に適用される3DCG手法は、本実施の形態では曲面アーキテクチャを用いた3DCG手法(以下、曲面アーキテクチャ手法と称する)とされているが、これに限定されず、その他の3DCG手法、具体的には例えば、ポリゴンを用いた3DCG手法(以下、ポリゴン手法と称する)でもよい。
【0034】
ただし、曲面アーキテクチャ手法は、他の3DCG手法(例えばポリゴン手法)が適用された場合と比較して、圧倒的に少ないデータサイズで高品質な3DCG画像を表示することが可能になる、という特長を有している。従って、3DCGエンジン22に適用させる3DCG手法としては、本実施の形態のように、曲面アーキテクチャ手法が好適である。
【0035】
LCDコントローラ23は、LCD12の表示を制御する。即ち、LCDコントローラ23は、3DCGエンジン22により生成された表示データを、必要に応じてLCD12に適した形態に変換した上で、LCD12に転送する。これにより、LCD12には、その表示データに対応する画像、例えば時刻表示用の3DCG画像が表示される。
【0036】
マイクロコンピュータ14は、図示はしないが例えば発振回路やカウンタ等を内蔵しており、設定された時刻に基づいて時を刻み、現時点の時刻を示す情報(以下、時刻情報と称する)を必要に応じてシステムIC13に提供する。
【0037】
また、マイクロコンピュータ14は、必要に応じて、電源部17から供給される電源を制御する。
【0038】
電源部17は、図示はしないがリチウムイオン二次電池や電源レギュレータ等から構成され、腕時計1を構成する上述した各ブロック(各モジュール)のそれぞれに対して必要な電源(電力)を供給する。なお、図2では、電源部17が各ブロックのそれぞれに電源を供給することを表す各種線は、図が煩雑になるため、まとめて1つの白抜き矢印として図示されている。
【0039】
以上、図2を参照して、腕時計1のハードウエア構成例について説明した。
【0040】
ただし、腕時計1のハードウエア構成は、図2の例に限定されず、次の図3の機能的構成を少なくとも有していれば任意のハードウエア構成でよい。
【0041】
即ち、図3は、腕時計1の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【0042】
表示部51は、データ保存部54から転送されてくる表示データを受け付けることが可能であり、その表示データに対応する画像を表示する。かかる表示部51は、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、LCD12で構成される。
【0043】
プログラム格納部52には、各種プログラムが格納されている。例えば、プログラム格納部52には、画像データ生成制御部61で必要となるプログラム(以下、画像データ生成制御プログラムと称する)が少なくとも格納されている。画像データ生成制御プログラムの詳細については、後述する画像データ生成制御部61の説明と併せて説明する。かかるプログラム格納部52は、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、Flash Memory16で構成される。
【0044】
主制御部53は、この腕時計1の全体の動作を制御する。かかる主制御部53は、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、システムIC13で構成される。
【0045】
図3の例では、主制御部53には、画像データ生成制御部61、データ生成部62、およびデータ転送部63が設けられている。画像データ生成制御部61、データ生成部62、およびデータ転送部63のそれぞれは、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、CPU21、3DCGエンジン22、および、LCDコントローラ23のそれぞれで構成される。
【0046】
画像データ生成制御部61は、画像データ生成制御プログラムをプログラム格納部52から読み出し、その画像データ生成制御プログラムに従って、データ生成部62が画像データを生成するように制御する。
【0047】
また、画像データ生成制御部61は、画像データ生成制御プログラムに従って、データ生成部62で生成された画像データをデータ保存部54に保存する。
【0048】
また、画像データ生成制御部61は、画像データ生成制御プログラムに従って、データ保存部54に保存された画像データを、データ転送部63が表示部51に転送するように制御する。
【0049】
このように画像データ生成制御プログラムには、画像データの生成、保存、および転送といった一連の制御手順を示す情報が含まれている。さらに、画像データ生成制御プログラムには、データ保存部54に保存可能な画像(画像データ)の枚数を示す情報(以下、保存可能枚数情報と称する)、データ生成部62に対する画像生成の指示を示す情報(以下、画像生成指示情報と称する)、および、表示部51の表示画像を更新させる時間間隔を示す情報(以下、画像更新間隔時間情報と称する)が保存されている。
【0050】
また、画像データ生成制御部61は、時間制御部55に対して各種設定、例えば所定の時刻の設定や、自身に対する動作指示の設定等を行うことができる。
【0051】
データ生成部62は、画像データ生成制御部61による制御に基づいて画像データを生成し、画像データ生成制御部61に提供する。画像データ生成制御部61に提供された画像データは、上述したように、データ保存部54に保存される。
【0052】
データ転送部63は、画像データ生成制御部61による制御に基づいて、データ保存部54に保存されている画像データを表示部51に転送させることで、その画像データに対応する画像を表示部51に表示させるように制御する。
【0053】
データ保存部54には、所定のプログラムの実行に必要な各種データ(画像データ含む)が記憶される。かかるデータ保存部54は、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、SD-RAM15で構成される。
【0054】
具体的には例えば、実行対象のプログラムが上述した画像データ生成制御プログラムである場合には、データ保存部54は、データ生成部62により生成された画像データを保存する。また、データ保存部54に保存された画像データは、データ転送部63により読み出されて表示部51に転送される。また、データ保存部54には、画像データ生成制御部61の上述した制御処理で用いられる情報として、例えば、画像データとその保存位置との対応関係を示す情報(以下、対応関係情報と称する)、データ保存部54自身に現在保存されておりその結果今後使用可能な画像(画像データ)の枚数を示す情報(以下、保存画像枚数情報と称する)、および、次に画像を更新する際に対象の画像データへアクセスするための情報(以下、アクセス情報と称する)が保存されている。
【0055】
なお、保存画像枚数情報と、上述した保存可能枚数情報とは異なる情報であることに注意を要する。即ち、保存可能枚数情報とは、データ保存部54に最大で何枚までの画像(画像データ)を保存可能であるのかを示す情報であって、いま現在データ保存部54に画像データが何枚保存されているのかとは無関係な情報である。これに対して、保存画像枚数情報とは、いま現在データ保存部54に実際に保存されている画像(画像データ)を示す情報である。
【0056】
時間制御部55は、画像データ生成制御部61による各種設定に基づいて各種処理を実行する。
【0057】
例えば、時間制御部55は、設定された時刻に、設定された動作指示を画像データ生成制御部61に提供する。この動作指示を受けて、画像データ生成制御部61は、上述した動作(制御処理)を開始する。
【0058】
また例えば、時間制御部55は、設定された時刻に、電源制御部56が主制御部53に対する電源供給の制御(画像データ生成制御部61、データ生成部62、およびデータ転送部63のそれぞれの電源供給の制御)を実行できるように、電源制御部56に対する制御を実行する。
【0059】
かかる時間制御部55は、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、マイクロコンピュータ14で構成される。
【0060】
電源制御部56は、主制御部53に対する電源供給の制御(画像データ生成制御部61、データ生成部62、およびデータ転送部63のそれぞれの電源供給の制御)を実行する。かかる電源制御部56は、例えば腕時計1が図2のハードウエア構成を有している場合には、電源部17の図示せぬ電源レギュレータで構成される。
【0061】
以上、図3を参照して、腕時計1の機能的構成例について説明した。
【0062】
なお、図3に示される各機能ブロックのそれぞれは、本実施の形態では、腕時計1が図2のハードウエア構成を有していることを前提として、上述したように構成されているとした。しかしながら、図3に示される各機能ブロックのそれぞれは、電子時計(腕時計等)のハードウエア構成に応じて、ハードウエア単体で構成してもよいし、ソフトウエア単体で構成してもよいし、或いは、ハードウエアとソフトウエアの組み合わせで構成してもよい。
【0063】
次に、図4のフローチャートを参照して、かかる図3の機能的構成を有する腕時計1の処理例について説明する。
【0064】
ステップS1において、腕時計1は、前処理を実行する。前処理の詳細については図5と図6を参照して後述するが、この前処理の結果、画像データの生成の必要性の有無が決定される。
【0065】
ステップS2において、腕時計1は、ステップS1の前処理の結果、即ち、画像データの生成の必要性の有無に基づいて、画像データを生成するか否かを判定する。
【0066】
ステップS2において、画像データを生成すると判定した場合、腕時計1は、ステップS3において、画像データ生成処理を実行する。画像データ生成処理の詳細については図7と図8を参照して後述するが、この画像データ生成処理により、画像データが生成されてデータ保存部54に保存される。ステップS3の画像データ生成処理が終了すると、処理はステップS4に進む。
【0067】
これに対して、ステップS2において、画像データを生成しないと判定された場合、ステップS3の処理は実行されずに、即ち、画像データは生成されずに、処理はステップS4に進む。
【0068】
ステップS4において、腕時計1は、画像更新処理を実行する。画像更新処理の詳細については図9と図10を参照して後述するが、この画像更新処理により、所定の画像データがデータ保存部54から表示部51に転送される。その結果、表示部51に表示される画像が、これまでに表示されていた画像(例えば現在よりも前の時刻を示す画像)から、転送されてきた画像データに対応する画像(例えば現在の時刻を示す画像)に更新される。
【0069】
ステップS5において、腕時計1は、後処理を実行する。後処理の詳細については、図11と図12を参照して後述する。
【0070】
次に、図5と図6を参照して、図4のステップS1の前処理の詳細例について説明する。即ち、図5は、前処理の詳細例を説明するフローチャートである。図6は、図5の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係(情報の流れ)を説明する図である。
【0071】
ステップS21において、時間制御部55は、画像データ生成制御部61により指定された時刻になったか否かを判定する。なお、ここで言う「指定された時刻」とは、今回の腕時計の処理(図4)が実行される直前の腕時計の処理において、後処理のステップS81(後述する図11参照)の処理で設定された「次回の画像更新の時刻」のことである。
【0072】
ステップS21において、指定された時刻になっていないと判定された場合、処理はステップS21に戻され、指定された時刻になったか否かが再度判定される。即ち、指定された時刻になるまで、ステップS21の判定処理が繰り返し実行される。
【0073】
そして、指定された時刻になると、ステップS21においてYESであると判定されて、処理はステップS22に進む。
【0074】
ステップS22において、時間制御部55は、電源オン要求を電源制御部56に対して出力する。
【0075】
ステップS23において、電源制御部56は、電源オン要求を受けて、主制御部53の電源(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源)をオン状態にする。
【0076】
このようにして、主制御部53の電源供給(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源供給)が開始される。
【0077】
この間、時間制御部55は、画像データ生成制御部61に対して動作指示も出している。
【0078】
そこで、画像データ生成制御部61は、この動作指示を受けて、ステップS24において、画像データ生成制御プログラム(そのうちの主に、一連の制御手順を示す情報)をプログラム格納部52から読み出し、必要な初期化処理を実行する。
【0079】
なお、今回、データ保存部54としてSD-RAMを採用しており、主制御部53の電源をオフ状態にした後でもSD-RAMがデータを保持し、後述するステップS82で行ったSelfRefresh設定としているため、ここで言う必要な「初期化処理」の中に、SD-RAMのSelfRefresh動作から通常動作への設定変更も含まれる。
【0080】
ステップS25において、画像データ生成制御部61は、保存画像枚数情報をデータ保存部54から読み出す。
【0081】
ステップS26において、画像データ生成制御部61は、保存画像枚数情報に基づいて、画像データ生成の必要性の有無を決定する。
【0082】
具体的には、保存画像枚数情報とは、上述したように、データ保存部54に現在保存されておりその結果今後使用可能な画像(画像データ)の枚数を示す情報である。従って、例えば、保存画像枚数情報が、使用可能な画像がもうない(即ち0枚である)という情報である場合には、ステップS26において、画像データ生成の必要性は有ると決定(判定)される。これにより、図4のステップS1の前処理が終了し、その後、ステップS2の処理でYESであると判定されて、ステップS3の画像データ生成処理により画像データが生成された後、処理はステップS4に進むことになる。
【0083】
これに対して、例えば、保存画像枚数情報が、使用可能な画像がまだ保存されている(即ち1枚以上である)という情報である場合には、ステップS26において、画像データ生成の必要性は無いと決定(判定)される。これにより、図4のステップS1の前処理が終了し、ステップS2の処理でNOであると判定されて、ステップS3の画像データ生成処理は実行されずに、即ち、画像データは生成されずに、処理はステップS4に進むことになる。
【0084】
次に、図7と図8を参照して、図4のステップS3の画像データ生成処理の詳細例について説明する。即ち、図7は、画像データ生成処理の詳細例を説明するフローチャートである。図8は、図7の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係(情報の流れ)を説明する図である。
【0085】
ステップS41において、画像データ生成制御部61は、画像データ生成制御プログラム中の画像生成指示情報および保存可能枚数情報をプログラム格納部52から読み出す。
【0086】
ステップS42において、画像データ生成制御部61は、画像生成指示情報および保存可能枚数情報に基づいて、データ保存部54に保存可能な枚数分の画像データを生成する指示を生成し、データ生成部62に出力する。
【0087】
ステップS43において、データ生成部62は、この指示に基づいて、データ保存部54に保存可能な枚数分の画像データを生成する。データ保存部54に保存可能な枚数分の画像データは、データ生成部62から画像データ生成制御部61に提供される。
【0088】
ステップS44において、画像データ生成制御部61は、ステップS43の処理でデータ生成部62により生成された各画像データのそれぞれを、データ保存部54に保存する。
【0089】
ステップS45において、画像データ生成制御部61は、ステップS44の処理でデータ保存部54に保存された各画像データと、それぞれの各保存位置(例えばデータ保存部54である図2のSD-RAM15の対応するアドレス位置等)との対応関係を示す対応関係情報を生成し、データ保存部54に保存する。
【0090】
これにより、図4のステップS3の画像データ生成処理は終了し、ステップS4の画像更新処理が実行されることになる。
【0091】
そこで、以下、図9と図10を参照して、図4のステップS4の画像更新処理の詳細例について説明する。即ち、図9は、画像更新処理の詳細例を説明するフローチャートである。図10は、図9の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係(情報の流れ)を説明する図である。
【0092】
ステップS61において、画像データ生成制御部61は、対応関係情報、保存画像枚数情報、およびアクセス情報をデータ保存部54から読み出す。
【0093】
ステップS62において、画像データ生成制御部61は、対応関係情報、保存画像枚数情報、およびアクセス情報に基づいて、画像データの転送の指示を生成し、データ転送部63に出力する。
【0094】
ステップS63において、画像データ生成制御部61は、その指示に基づいて、対象の画像データをデータ保存部54から表示部51に転送することで、表示部51の表示画像を更新するように制御する。
【0095】
これにより、図4のステップS4の画像更新処理は終了し、ステップS5の後処理が実行されることになる。
【0096】
そこで、以下、図11と図12を参照して、図4のステップS5の後処理の詳細例について説明する。即ち、図11は、後処理の詳細例を説明するフローチャートである。図12は、図11の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係(情報の流れ)を説明する図である。
【0097】
ステップS81において、画像データ生成制御部61は、例えば、画像データ生成制御プログラム中の画像更新間隔時間情報を読み出し、この画像更新間隔時間情報に基づいて、次回の画像更新の時刻を時間制御部55に設定する。即ち、例えばここでは、前回の画像更新の時刻(直前の図5のステップS21の判定処理で使用された「指定された時刻」)から、画像更新間隔時間情報で特定される時間が経過した後の時刻が、次回の画像更新の時刻として、このステップS81の処理で設定される。
【0098】
なお、このステップS81の処理で設定された時刻が、上述したように、次回の腕時計の処理中のステップS21の判定処理で使用される「指定された時刻」として利用される。即ち、このステップS81の処理で設定された時刻になると、上述した一連の処理が繰り返し実行されて、表示部51の表示画像が再度更新されることになる。
【0099】
ステップS82において、画像データ生成制御部61は、データ保存部54中の保存画像枚数情報およびアクセス情報を更新(保存)する。
【0100】
即ち、ステップS82の処理でデータ保存部54に保存された保存画像枚数情報(更新後の保存画像枚数情報)は、今回の腕時計1の処理(図4)が終了した時点にデータ保存部54に保存されておりその結果次回の腕時計1の処理で使用可能な画像(画像データ)の枚数を示す情報となる。また、ステップS82の処理でデータ保存部54に保存されたアクセス情報(更新後のアクセス情報)は、次回の腕時計1の処理のステップS4の画像更新処理(図9)において、対象の画像データへアクセスするために使用されることになる。
【0101】
また、今回、データ保存部54としてSD-RAMを採用しており、主制御部53の電源をオフ上たいした後でもSD-RAMがデータを保持するために、このステップS82の処理の少なくとも一部として、データ保存部54に対して、SelfRefresh動作を行わせる設定も行われる。
【0102】
このようにして、ステップS81とS82の処理で、次回の腕時計1の処理で使用される各種情報が保存されると、処理はステップS83に進む。
【0103】
ステップS83において、画像データ生成制御部61は、電源オフ要求を時間制御部55を介して電源制御部56に出力する。
【0104】
ステップS84において、電源制御部56は、電源オフ要求を受けて、主制御部53の電源(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源)をオフ状態にする。
【0105】
このようにして、主制御部53の電源供給(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源供給)が遮断されると、後処理は終了となり、その結果、今回の腕時計1の処理(図4)自体も終了となる。
【0106】
引き続き、その次の腕時計1の処理が開始され、直前のステップS81の処理で設定された時刻(図5のステップS21で言う「指定された時刻」)になるまで、ステップS21の判定処理が繰り返し実行される。即ち、設定(指定)された時刻になるまで、腕時計1の処理は待機状態となり、その結果、主制御部53の電源供給(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源供給)の遮断が継続される。
【0107】
そして、設定(指定)された時刻になると、ステップS21の処理でYESであると判定されて、それ以降の上述した一連の処理が実行されて、主制御部53の電源供給(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源供給)が再開された後、表示部51の表示画像が更新される。そして、更新後には、主制御部53の電源供給(画像データ生成制御部61、データ生成部62、および、データ転送部63のそれぞれの電源供給)が再度遮断される。
【0108】
このようにして、図4の腕時計1の処理が繰り返し実行されることで、前回の処理(直前のステップS81の処理)で設定された時刻になる毎に、表示部51の表示画像が順次更新されていくことになる。
【0109】
ここで注目すべき点は次の点である。即ち、画像データを生成するデータ生成部62(図3)の消費電力は大きい。特に、データ生成部62が3DCGエンジン22で構成されている等の場合、即ち、高い表現力で時刻表示を行うための画像データを生成するようにデータ生成部62が構成されている場合、消費電力は非常に大きくなる。そこで、本実施の形態では、腕時計1は、上述した図4に示されるような処理を実行することで、指定された時刻(直前のステップS81の処理で設定された時刻)になった時点からステップS5の後処理が終了するまでの非常に短期間だけ、データ生成部62の電源をオン状態にし、それ以外の期間については、データ生成部62の電源をオフ状態にしておくことができる。即ち、腕時計1は、上述した腕時計1の処理に従った動作を行うことで、消費電力の大きいデータ生成部62の電源オン時間(電源がオン状態となっている時間)を極力短くすることができる、という点が注目すべき点である。
【0110】
この点により、高品質な画像による時刻の表示を行う腕時計1は、より品質が高く、視覚効果もある時刻の表示をおこないつつ、その際に発生するデータ生成部62の消費電力を大幅に低減することができる、という効果を奏することが可能になる。
【0111】
また、上述した例では、データ生成部62は、データ保存部54へ保存可能な限り多くの画像を一度に生成している。これは、画像データ生成処理において、高速にアクセスできるキャッシュメモリを搭載している場合、画像データを1枚分生成する度に電源をOff/Onする場合と比べて、一度に多くの画像を生成することで、キャッシュヒット率が上がり、結果として、高速、低消費電力で画像データを生成できる、という効果を奏することが可能になる。
【0112】
ところで、本発明は、上述した例に限定されず、様々な実施の形態を取ることができる。
【0113】
例えば、上述した例では、電源制御部56は、画像データ生成制御部61、データ生成部62、およびデータ転送部63の電源をまとめて制御している。即ち、上述した例では、画像データを生成せずに画像更新のみを行う場合(図4のステップS2の処理でNOであると判定される場合)であっても、データ生成部62の電源はオン状態とされている。
【0114】
そこで、そのような場合、データ生成部62の電源をオフ状態とすることで、消費電力のより一層の低減を実現できる。
【0115】
或いはまた、そのような場合、データ生成部62のクロックの供給を停止させることで、消費電力のより一層の低減を実現できる。
【0116】
例えば、上述した例では、画像データ生成制御部61、データ生成部62、およびデータ転送部63(図3)は、1チップのシステムIC13で構成されている。このため、データ保存部54の保存データ(画像データ)を表示部51に転送するとき、即ち、図9の画像更新処理が実行されているとき、画像データ生成制御部61およびデータ生成部62の電源もオン状態とされている。そこで、データ転送部63を、画像データ生成制御部61とデータ生成部62とから分離させるように更新し、かつ、データ転送部63自身または他のブロック(例えば時間制御部55)からデータ保存部54のデータ(画像データ)を読み出すことができるように腕時計1を構成することで、画像データ生成制御部61およびデータ生成部62の電源をオフ状態としたまま、画像データの転送、即ち、画像更新処理の実行ができる。これにより、消費電力のより一層の低減を実現できる。
【0117】
例えば、表示部51(図3)として、上述した例では低温ポリシリコンTFT型のLCD12(図2)を採用したが、上述した例に限定されず、その他、アモルファス液晶や有機EL(Electro Luminescence)等のディスプレイを採用することもできる。
【0118】
例えば、データ保存部54(図3)として、上述した例ではSD-RAM15(図2)を採用したが、その他、S-RAMを採用することもできる。また、表示部51として採用可能な電子表示デバイス内に表示用メモリを搭載しているものもあるため、このような電子表示デバイス内の表示用メモリのうちの、表示に用いていないメモリ領域を、データ保存部54として採用することも可能である。
【0119】
また、例えば、不揮発性メモリで、ランダム書き込み性が高く、消費電力も少ない記憶媒体であれば、データ保存部54とプログラム格納部52を、同一の記憶媒体として構成することもできる。
【0120】
例えば、上述した例では、画像更新タイミング毎(1回の図4の腕時計1の処理毎)に1枚の表示画像しか更新していない。しかしながら、画像更新タイミング毎の更新対象の表示画像の数は、上述した例に限定されず任意でよい。例えば、その数を複数にすることで、画像更新タイミング毎(1回の図4の腕時計1の処理毎)に、アニメーション効果を伴った画像の更新も容易に実現できる。具体的には例えば、15枚の画像(データ)を1組とし、1度の画像更新タイミング時(1回の図4の腕時計1の処理で)、15枚の画像を連続して更新することで、アニメーション効果を伴った画像の更新も容易に実現でき、その結果、より一段と高い視覚効果を得ることが可能になる。
【0121】
例えば、上述した例では、画像更新開始は時間(画像更新間隔時間情報で特定される時間)をトリガとしているが、即ち、図5のステップS21の判定条件は、直前の図11のステップS81の処理で設定された時刻としているが、トリガ(ステップS21の判定条件)は上述した例に特に限定されない。例えば、腕時計1がゲーム等として機能しており、ユーザからの入力待ちの状態で、画像を頻繁に更新する必要がない場合、(直前の処理で設定された時刻ではなく)予め設定されている指定時刻や、ユーザからの所定の入力をトリガ(ステップS21の判定条件)とすることができる。このようにすることで、消費電力をより一段と低減させることが可能になる。
【0122】
例えば、上述した例では、主制御部53と時間制御部55とは、異なる部品として構成されているが、上述した例に限定されず、例えば、主制御部53に相当するブロック、あるいは、主制御部53に含まれる各ブロックの電源を個別に制御することができ、かつ時間制御部も含む部品を組み合わせて構成してもよい。
【0123】
ところで、上述した一連の処理は、上述したようにソフトウエアで実行されてもよいし、ハードウエアで実行されてもよい。
【0124】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ(腕時計1含む)に、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる場合もある。
【0125】
この記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory))、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されている図2のFlash Memory16や、マイクロコンピュータ14内の図示せぬメモリや、その他、図示せぬハードディスクなどで構成される。
【0126】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的または個別に実行される処理をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明が適用される腕時計の外観の構成例を示す図である。
【図2】図1の腕時計のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の腕時計の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】図3の機能的構成を有する腕時計の処理例を説明するフローチャートである。
【図5】図4の腕時計の処理のうちの前処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図6】図5の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係を説明する図である。
【図7】図4の腕時計の処理のうちの画像データ生成処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図8】図7の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係を説明する図である。
【図9】図4の腕時計の処理のうちの画像更新処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図10】図9の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係を説明する図である。
【図11】図4の腕時計の処理のうちの後処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図12】図11の各ステップにおける機能ブロック間の処理の関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0128】
1 腕時計, 11 タクトスイッチ, 12 LCD, 13 システムIC, 14 マイクロコンピュータ, 15 SD−RAM, 16 Flash Memory, 17 電源部, 21 CPU, 22 3DCGエンジン, 23 LCDコントローラ, 51 表示部, 52 プログラム格納部, 53 主制御部, 54 データ保存部, 55 時間制御部, 56 電源制御部, 61 画像データ生成制御部, 62 データ生成部, 63 データ転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段を備える電子時計において、
前記画像データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段と、
前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段と、
所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段と、
前記所定の条件が満たされた場合、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し、前記所定の条件が満たされていない場合、前記電源制御の実行を禁止する電源制御手段と
を備える電子時計。
【請求項2】
前記所定の条件が満たされたか否かを判定し、前記所定の条件が満たされたという判定を行った場合にはその判定結果を前記データ制御手段と前記電源制御手段に通知する条件管理手段をさらに備え、
前記データ制御手段は、前記条件管理手段から前記判定結果が通知された場合、前記一連の制御の実行を開始し、
前記電源制御手段は、前記条件管理手段から前記判定結果が通知された場合、前記電源制御を実行し、それ以外の場合、前記電源制御の実行を禁止する
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記データ制御手段は、前記一連の制御の一部として、前記転送処理の実行を制御し終えた後、さらに、次回の前記一連の制御を開始させる時刻を前記条件管理手段に設定し、
前記条件管理手段は、現時点の時刻が、前記データ制御手段により設定された前記時刻となったことを前記所定の条件として、前記所定の条件が満たされたか否かを判定する
請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段と、
前記画像データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段と、
前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段と、
所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段と
を少なくとも備える電子時計の制御方法であって、
前記所定の条件が満たされた場合、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し、前記所定の条件が満たされていない場合、前記電源制御の実行を禁止する電源制御ステップ
を含む電子時計の制御方法。
【請求項5】
時刻表示用の画像データに対応する画像を表示する表示手段と、
前記画像データを生成するデータ生成手段と、
前記データ生成手段により生成された前記画像データを保存するデータ保存手段と、
前記データ保存手段に保存された前記画像データを前記表示手段に転送するデータ転送手段と、
所定の条件が満たされたことを開始トリガとして、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されていない場合には、新たな画像データを生成する生成処理を前記データ生成手段に実行させ、生成された前記画像データを前記データ保存手段に保存させ、前記データ保存手段に一定枚数分以上の画像データが保存されている場合には、前記データ生成手段による前記生成処理の実行を禁止し、前記データ保存手段に保存されている前記画像データのうちの1以上を前記表示手段に転送する転送処理を前記データ転送手段に実行させるまでの一連の制御を行うデータ制御手段と
を少なくとも備える電子時計を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記所定の条件が満たされた場合、少なくとも前記データ生成手段、前記データ転送手段、および前記データ制御手段に対して電源を供給する電源制御を実行し、前記所定の条件が満たされていない場合、前記電源制御の実行を禁止する電源制御ステップ
を含むプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−17162(P2007−17162A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195821(P2005−195821)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】