電子時計
【課題】 暦表示修正時及び/又は時刻表示修正時に、外部操作部材を操作したとしても、ロータの外周面に傷や摩耗等を発生させることがない電子時計を提供する。
【解決手段】 圧電アクチュエータ71で駆動されるロータ72を含む歯車輪列により暦表示車及び/又は時刻表示車を回転させる電子時計において、外部操作部材399で操作される修正輪列を備え、この修正輪列により暦表示修正及び/又は時刻表示修正を行う場合、圧電アクチュエータ71とロータ72とを離間させる脱着手段405eを備えたことを特徴とする。
【解決手段】 圧電アクチュエータ71で駆動されるロータ72を含む歯車輪列により暦表示車及び/又は時刻表示車を回転させる電子時計において、外部操作部材399で操作される修正輪列を備え、この修正輪列により暦表示修正及び/又は時刻表示修正を行う場合、圧電アクチュエータ71とロータ72とを離間させる脱着手段405eを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ピエゾアクチュエータ(圧電アクチュエータ)を備えた電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、暦(カレンダ)を表示する暦表示機構を備えた電子時計(暦表示機能付電子時計)が知られている(例えば、特許文献1、2)。この時計の暦表示機構は、ロータの回転に応じて歯車輪列を介して、円周上に「1」〜「31」の数字が配置された日板(日表示車)等の暦表示車を回転させる機構を備えており、アクチュエータによりロータの回転量を制御して日板を一日分回転駆動させるようにしている。
一方、この種の電子時計では、カレンダ表示を修正するカレンダ修正機構を備える。この修正機構は、例えばリュウズ(外部操作部材)を操作して、修正輪列を介して歯車輪列を回し、これによりカレンダ修正を行うものである。
【特許文献1】国際公開WO99/34264号公報
【特許文献2】特開2003−255063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の構成では、リュウズを操作し、修正輪列を介して歯車輪列を回す場合、暦表示機構と一緒にロータが回転し、このロータを駆動するアクチュエータが回転してしまう。ここで、カレンダ表示ではなく、例えば歯車輪列を介して時分針等を回転させる時刻表示機構を備えたものにあっても、それを修正する場合には、上記と同様に、リュウズを操作し、修正輪列を介して歯車輪列を回す。この場合も、上記と同様に、時刻表示機構と一緒にロータが回転し、このロータを駆動するアクチュエータが回転してしまう。
これらの場合において、アクチュエータが、圧電アクチュエータであれば、当該圧電アクチュエータとロータとが摺動することにより、鏡面仕上げされたロータの外周面に傷や摩耗等が発生し、これによりカレンダ表示時又は時刻表示時におけるロータの送り精度が低下する、或いは、表示不良(時刻支持ずれ)が発生する、といった問題がある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、暦表示修正時及び/又は時刻表示修正時に、外部操作部材を操作したとしても、ロータの外周面に傷や摩耗等を発生させることがない電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、圧電アクチュエータと、前記圧電アクチェータによって駆動される動力伝達手段と、前記動力伝達手段によって駆動される暦表示車及び/又は時刻表示車と、前記暦表示車及び/又は時刻表示車の表示位置の修正を行わせる修正機構と、前記修正機構の操作を行わせる外部操作部材とを備えた電子時計において、前記表示位置の修正を行わない場合、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを係合状態にすると共に、前記表示位置の修正を行う場合、前記外部操作部材の操作に連動して、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを離間状態とするように切換可能な脱着手段を備えたことを特徴とする。
この場合、前記動力伝達手段が、圧電アクチュエータにより駆動されるロータを備え、前記表示位置の修正を行う場合には、前記脱着手段が、このロータと圧電アクチュエータとを離間状態としてもよい。また、前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれか一方が固定され、前記脱着手段が、残りの他方を押動させて、前記いずれか一方から離間させるようにしてもよい。
【0006】
前記脱着手段が、修正機構の歯車を保持する弾性部材を備え、この弾性部材が作動して、当該弾性部材に保持された歯車が、それに噛み合うべき修正機構の相歯車に噛み合うとき、当該弾性部材の一部が、前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれかに当接して、それを押動させるようにしてもよい。
また、前記弾性部材がばね付勢され、当該弾性部材が外部操作部材による切換動作によってばね力に抗して作動するようにしてもよい。さらに、前記弾性部材のばね付勢力が、前記圧電アクチュエータの押圧力を打ち消し合う方向に作用するようにしてもよい。また、前記外部操作部材の操作が、リューズ回転操作による機械的な動力伝達操作であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、修正輪列により暦表示修正及び/又は時刻表示修正を行う場合、圧電アクチュエータとロータとが離間するから、ロータの外周面に傷等が付くことがなく、その送り精度が良好に維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明を腕時計に適用した場合について例示する。なお、以下の説明において、日付は全て太陽暦に従うものとする。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。図1に示すように、腕時計1は、時計本体部1aと、この時計本体部1aに連結されたベルト1bとを備えて構成されている。時計本体部1aは、筐体200と、この筐体200に設けられた円盤状の時刻表示盤202とを備え、この時刻表示盤202の上面には、秒針61と、分針(長針)62と、時針(短針)63からなる3つの表示指針が設けられている。時刻表示盤202には、その円周に沿って、時刻を示す記号が等間隔に配置されており、表示指針の各々が指し示す数字または記号(本実施形態では、記号には、文字も含まれるものとする)により、現在時刻が表示される。
【0010】
また、時刻表示盤202には、略矩形にくり抜かれてなる日表示窓204と、24時表示部205と、月表示部206と、年表示部208とがそれぞれ設けられている。日表示窓204には、暦の「日」を示す「1」乃至「31」のいずれか1の数字が表示される。この場合、後述するように、1位の数字と10位の数字とは別々の日車(暦表示車)に付され、暦の「日」は、各日車に付された数字によって表示される。24時表示部205には、その円周に沿って、24等分された時刻を示す記号が等間隔に配置されており、表示指針205aが指し示す記号により「時間」が表示される。
【0011】
また、月表示部206には、その円周に沿って、暦の「月」を示す、例えば「JAN」(1月を示す)〜「DEC」(12月を示す)のいずれか1の記号が等間隔に配置されており、表示指針206aが指し示す記号により暦の「月」が表示される。年表示部208には、その円周に沿って、数字「0」乃至「3」のいずれか1の数字が等間隔に表示され、閏年であれば、表示指針208aが数字「0」を指し示し、それ以降、「1」「2」「3」を指し示せば、それは閏年から何年目であるかを表示する。これにより、ユーザは暦の「年」を知ることができる。
【0012】
この時計本体部1a内には、時刻表示盤202と略同形状の円盤状の地板303(図4)が配置され、この地板303を挟んで、時計の表側にはオートカレンダ機構(暦表示手段)が配置され、裏側には時計としての基本機構が配置されている。なお、この地板303は、オートカレンダ機構の各歯車の一端を軸支する部材として機能する。
【0013】
図2はオートカレンダ機構を示す図であり、図3はその拡大図である。このオートカレンダ機構は、上記地板303の一方の面(時計1の表側)に支持され、その駆動源は、圧電アクチュエータ(駆動手段)71である。この圧電アクチュエータ71は、振動子である圧電素子を備え、この圧電素子の振動により、ロータ72の外周部を突っつき、これによって、当該ロータ72を回転させる。このロータ72を含む、以下に説明する減速輪列等がいわゆる歯車輪列を構成している。すなわち、このロータ72はロータかな72aを一体に備え、このロータかな72aには、中間車74が噛み合う。この中間車74の中間車かな74aには、中間車75が噛み合い、その中間車かな75aには、中間車76が噛み合う。この中間車76は、制御車かな77に噛み合い、この制御車かな77は、制御車78と一体に形成される。ここまでは制御車78を回すための減速輪列である。なお、211は、制御車かな77の位置決め用のジャンパである。
【0014】
また、上述した中間車75には、ロータ72の送り量検出用のばねスイッチ300が設けられる。このばねスイッチ300は、中間車75の回転に応じて開閉される機械式スイッチ(接触検出手段)である。図4に示すように、このばねスイッチ300は、弾性を有する金属材料、例えば、リン青銅やステンレス鋼等で形成され、中間車75の支持軸に固定されたばね接点301と、地板303に設けられた回路基板303a上に設けられ、この中間車75と共に回転するばね接点301を介して導通する導通端子部302とから構成される。この導通端子部302は、ロータ72の送り量が暦を1日分送る送り量になる毎に、つまり、その送り量に対応する角度だけ中間車75が回転する毎に、ばね接点301を介して導通した状態(閉状態)から非導通の状態(開状態)に切り替わるように、回路基板303aの配線パターンの一部として構成されている。この導通端子部302は、後述する制御部A(図9)と接続され、制御部Aは、このばねスイッチ300の開状態から閉状態への切り替わりを検出することにより、ロータ72の送り量が暦を1日分送る送り量となったことを検出する。すなわち、このばねスイッチ300は、ロータ72の送り量を検出するロータ送り量検出手段として機能する。
【0015】
制御車78は、爪数が異なる複数の爪車を備え、いずれかの爪車が、図2中、制御車78の上方に位置する、1位の日車(1位表示体(暦表示車))89を回す日回し車87と、10位の日車(10位表示体(暦表示車))92を回す日回し車90と、図中で制御車78の右下に位置する、月車(暦表示車)82を回す月表示中間車79とにそれぞれ噛み合う。ここで、1位の日車89の外周表面には「0」〜「9」の数字が周方向に等間隔に表示され、10位の日車92の外周表面には「空領域」と「1」〜「3」の数字が周方向に等間隔に表示される。なお、「空領域」とは数字の記載がない領域で、該当日が一桁の「日」(すなわち、1日〜9日)に相当するとき、10位に位置付けられる。
【0016】
上述した日表示窓204には、1位の日車89上の数字「0」〜「9」と、10位の日車92上の「空領域」或いは数字「1」〜「3」との組み合わせにより、暦の「日」を示す「1」乃至「31」のいずれかの数字が表示される。
【0017】
上述した制御車78が回転すると、まず、1位の日車89に対応する歯車体の1位送り爪を介して、日回し車87および1位日かな88が回転し、これと一体に1位の日車89が回転し、その外周表面上の数字「0」〜「9」が、原則的に、1日に1回の割合で周方向に一つ送られる。この制御車78の回転に応じて、1位の日車89の回転が進み、10位が繰り上がる日付に至ると、今度は、10位の日車92に対応した歯車体の10位送り爪を介して、日回し車90および10位日かな91が回転し、これと一体に10位の日車92が回転し、その外周表面上の「空領域」或いは数字「1」〜「3」が、10日に1回の割合で周方向に一つ送られる。
【0018】
また、制御車78の回転に対応して、1位の日車89および10位の日車92の回転が進み、「月」の表示が繰り上がる日付に至ると、今度は、月車82に対応した歯車体の月送り爪を介して、月表示中間車79および月検出車80が回転し、これと一体に月車82が回転する。そして、その表示指針206aが回転し、月表示部206上の暦の「月」を示す「JAN」(1月を示す)〜「DEC」(12月を示す)のいずれか1の記号が指し示され、暦の「月」表示が行われる。
【0019】
上記月検出車80には、年表示中間車83が噛み合い、この年表示中間車83には年送り車84が噛み合う。そして、この年送り車84には年車(暦表示車)85が噛み合い、この年車85には、暦の「年」を指し示す表示指針208aが接続される。この場合、年送り車84は、1年の期間を経て、初めて年車85を90°回転させるように構成される。従って、表示指針208aは、1年に1回送られる。そして、閏年であれば、表示指針208aが数字「0」を指し示し、それ以降、「1」「2」「3」を指し示せば、例えば、それは閏年から何年目であるかを表示し、これにより、暦の「年」が表示される。
【0020】
すなわち、このオートカレンダ機構は、ロータ72の回転を歯車輪列を介して減速して制御車78を回転し、この制御車78の回転により、日車(1位の日車89および10位の日車92)、月車82および年車85をそれぞれ回転するように構成されている。本実施形態では、このロータ72と制御車78との間の減速輪列に含まれる中間車75に上記ばねスイッチ300を設けているので、このばねスイッチ300がばね接点301との接触によって中間車75に与える負荷トルクが中間車75の回転トルクよりずっと小さくなっている。このため、この負荷トルクがオートカレンダ機構の駆動に与える影響は支障がない程度に小さくなっている。
【0021】
上記24時表示部205では、その駆動力が、オートカレンダ機構の駆動源とは異なり、地板303の裏側に配置された時計の後述する運針機構Eの駆動源から取られる。すなわち、運針機構Eの筒車(時針(短針)63を支持する筒車)に筒車体93が一体化されており、この筒車体93には、24時検出車94が噛み合う。
そして、この24時検出車94には、24時車95が噛み合い、この24時車95の回転により、24時表示部205の表示指針205aが回転する。この表示指針205aは、1時間に1回送られる。
【0022】
この24時検出車94には、中間車75に設けられた上記ばねスイッチ300と略同様のばねスイッチ310が設けられ、このばねスイッチ310により、表示指針205aが「午前零時」を指し示したことが検出される。具体的には、図2に示すように、24時検出車94には、ばね接点97が設けられ、このばね接点97と対向する回路基板上に、24時検出車94が「午前零時」の回転位置となったときにばね接点97を介して導通する導通端子部(図示せず)が設けられる。このばねスイッチ310の開閉は、後述する制御部Aによって検出される。すなわち、このばねスイッチ310は、「午前零時」を検出する24時検出手段として機能する。
【0023】
次に、カレンダ検出(年検出、月検出および日検出)について説明する。
上記構成において、年表示中間車83の中間車かな83aには、年検出車86が噛み合い、この年検出車(検出車)86には上記ばねスイッチ300と略同様のばねスイッチ320が設けられる。具体的には、図2および図5に示すように、年検出車86には、ばね接点96が設けられ、このばね接点96と対向する回路基板上には、年検出車86の回転に応じて、年検出車86と共に回転するばね接点96を介して導通する導通端子部96Tが設けられる。この導通端子部96Tは、表示される年が「閏年」か否かで導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となるように形成され、後述する制御部Aの端子CS2と接続されている。この制御部Aは、端子CS2を介してばねスイッチ320の開閉(HレベルかLレベルか)を検出することにより、図6に示す年情報検出パターンに基づいて該当年が「閏年」か「非閏年(平年)」のいずれかを検出するようになっている。すなわち、年情報の検出パターン数は2となっている。
【0024】
また、上記月検出車(検出車)80には、表示される月が「大」の月か否かを検出するばねスイッチ331と、表示される月が、2月を除く「小」の月か否かを検出するばねスイッチ332が設けられる。具体的には、図2および図5に示すように、月検出車80の支持軸には、ばね接点98が設けられ、このばね接点98と対向する回路基板303a上に、月検出車80と共に回転するばね接点98を介して導通する導通端子部98Tとして、表示される月が「大」の月の場合に導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となる導通端子部98T1と、表示される月が2月を除く「小」の月の場合に導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となる導通端子部98T2とが形成される。この導通端子部98T1は制御部Aの端子CS1と接続され、導通端子部98T2は制御部Aの端子CS0と接続される。制御部Aは、この端子CS1およびCS0を介してばねスイッチ331および332の開閉(HレベルかLレベルか)の組み合わせを検出することにより、図7に示す月情報検出パターンに基づいて、表示されている「月」が、「2月」か、2月を除く「小の月」か、或いは「大の月」かのいずれかを検出するようになっている。すなわち、月情報の検出パターン数は3となっている。
【0025】
また、1位の日車(検出車)89および10位の日車(検出車)92の裏面には、反射領域と非反射領域とが設けられた光検出用パターン(図示せず)が設けられ、地板303に設けられた基板上に、このパターンを読みとる複数のフォトリフレクタ(反射型フォトセンサ)が設けられる。具体的には、10位の日車92と対向する基板上には、異なる位置に光を照射してその反射光を受光する2つのフォトリフレクタが配置され、この日車92の裏面には、各フォトリフレクタによって、表示されている日が、「00or10」、「20」、「30」のいずれかを判別可能にする光検出用パターンが設けられる。この2つのフォトリフレクタの一方は、制御部Aの端子PT2に接続され、他方は端子PT3に接続される。また、1位の日車89と対向する基板上にも、2つのフォトリフレクタが配置され、この日車89の裏面には、各フォトリフレクタによって、表示されている1位の「日」が「2〜8」、「9」、「0」、「1」のいずれかを判別可能にする光検出用パターンが設けられる。この2つのフォトリフレクタの一方は、制御部Aの端子PT0に接続され、他方は端子PT1に接続される。
【0026】
図8に日情報検出パターンを示すように、制御部Aは、これら4つのフォトリフレクタの受光結果に基づいて、表示されている10位の「日」が、「0or1」か、「2」か、「3」のいずれかを検出すると共に、表示されている1位の「日」が、小の月には存在しない日(29、30、31)の1位の日である「9」か、「0」か、「1」か、それとも「2〜8」のいずれかを検出するようになっている。すなわち、日の検出パターン数は12となっている。但し、この検出パターンには、非存在の日(0日、32〜38日、39日)を含んでおり、また、日検出は、後述するように存在日か否か(月末補正が必要か否か)を判定するために使用されるものであるから、最低、「1〜28日」、「29日」、「30日」、「31日」の4種類の検出パターンを検出すればよい。
【0027】
上述したように、本実施形態では、検出パターン数が多く、かつ、ロータ72に対する減速比が小さい歯車、すなわち、回転トルクが小さい歯車(日車89、92)を用いる日検出には、非接触検知のため比較的耐久性が高いフォトリフレクタを用い、その他のカレンダ検出には、ばねスイッチを用いることで、耐久性にも負荷トルク低減にも消費電力の低減にも優れたカレンダ検出機構が提供されている。
【0028】
図9は、腕時計1の電気的構成を機械的構成と共に示す図である。同図に示すように、腕時計1は、制御部Aと、発電部Bと、電源部Cと、指針駆動部Dと、運針機構Eと、日付機構駆動部Fと、オートカレンダ機構(ロータ72のみを示す)とを備えている。
【0029】
発電部Bは、交流電力を発電するものであり、回転錘45を備えている。この回転錘45は、ユーザの手首などの動きに伴って旋回可能に設けられており、回転錘45の旋回(運動エネルギー)が増速用ギア46を介して発電装置40に伝達されるようになっている。発電装置40は、発電用ステータ42と、この発電用ステータ42の内部に回転可能に設けられた発電用ロータ43と、発電用ステータ42に電気的に接続された発電コイル44とを備えており、発電用ロータ43が回転錘45の旋回(運動エネルギー)により回転し、この回転により発電コイル44に交流電圧が誘起されるようになっている。つまり、腕時計1がユーザに装着されている間、ユーザが何らかの動作をするに伴い、回転錘45が旋回することにより、発電が行われる。
【0030】
電源部Cは、発電部Bからの交流電圧を整流して蓄電し、蓄電した電力を昇圧して各構成部分へ給電する。具体的に説明すると、電源部Cは、整流回路として作用するダイオード47、大容量コンデンサ48および昇降圧回路49から構成されている。昇降圧回路49は、3つの容量49a、49bおよび49cを用いて多段階の昇圧および降圧ができるようになっており、制御部Aからの制御信号によって指針駆動部Dに供給する電圧を調整することができる。また、昇降圧回路49の出力電圧はモニタ信号によって制御部Aにも供給されており、これによって、制御部Aは、出力電圧をモニタしている。ここで、電源部Cは、Vdd(高電圧側)を基準電位(GND)に取り、Vss(低電圧側)を電源電圧として生成している。
【0031】
指針駆動部Dは、制御部Aの制御の下、運針機構Eに様々な駆動パルスを供給するものである。本実施形態では、指針駆動部Dは、秒針61を駆動する秒針駆動部D1と、時針63、分針62および24時表示用の表示指針205aを駆動する時分針駆動部D2とから構成されている。さらに説明すると、秒針駆動部D1は、直列に接続されたpチャンネルMOS33aとnチャンネルMOS32a、およびpチャンネルMOS33bとnチャンネルMOS32bによって構成されたブリッジ回路を備えている。また、秒針駆動部D1は、pチャンネルMOS33aおよび33bとそれぞれ並列に接続された回転検出用抵抗35aおよび35bと、これらの抵抗35aおよび35bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS34aおよび34bを備えている。したがって、これらのMOS32a、32b、33a、33b、34aおよび34bの各ゲート電極に制御部Aからそれぞれのタイミングで極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、運針機構Eの一部を構成する秒針運針機構E1に、例えば極性の異なる駆動パルスなどの様々の駆動パルスを供給することができるようになっている。
【0032】
また、時分針駆動部D2は、秒針駆動部D1と略同様に構成され、制御部Aから極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、運針機構Eの一部を構成する時分針運針機構E2に、例えば極性の異なる駆動パルスなどの様々の駆動パルスを供給することができるようになっている。
【0033】
運針機構Eは、秒針運針機構E1と時分針駆動部E2から構成される。秒針運針機構E1は、ステッピングモータ10を備え、このステッピングモータ10により秒針61を回転駆動する。詳述すると、ステッピングモータ10は、秒針駆動部D1から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル11と、この駆動コイル11によって励磁されるステータ12と、さらに、ステータ12の内部において励磁される磁界により回転するロータ13を備えている。また、ステッピングモータ10は、ロータ13がディスク状の2極の永久磁石によって構成されたPM型(永久磁石回転型)で構成されている。ステータ12には、駆動コイル11で発生した磁力によって異なった磁極がロータ13の回りのそれぞれの相(極)15および16に発生するように磁気飽和部17が設けられている。また、ロータ13の回転方向を規定するために、ステータ12の内周の適当な位置には内ノッチ18が設けられており、コギングトルクを発生させてロータ13が適当な位置に停止するようにしている。このステッピングモータ10のロータ13の回転は、かなを介してロータ13に噛合された秒中間車51および秒車52からなる輪列50によって秒針61に伝達され、秒針61が回転駆動される。
【0034】
また、時分針駆動部E2は、ステッピングモータ20を備えており、ステッピングモータ20が分針62を回転駆動することにより、この分針62の回転に連動して、時針63と24時表示用の表示指針205aとを回転駆動する。詳述すると、ステッピングモータ20は、上記ステッピングモータ10と同様に、ステータ22とロータ23を備え、ステータ22には、駆動コイル21で発生した磁力によって異なった磁極がロータ23の回りのそれぞれの相(極)25および26に発生するように磁気飽和部27Aが設けられている。また、ロータ23の回転方向を規定するために、ステータ22の内周の適当な位置には内ノッチ28Aが設けられ、コギングトルクを発生させてロータ23が適当な位置に停止するようになっている。
【0035】
このステッピングモータ20のロータ23の回転は、かなを介してロータ23に噛合された四番車26、三番車27、二番車28、日の裏車29、筒車(時指示車)93a、筒車体93、24時検出車94および24時車95からなる輪列30によって各針に伝達される。二番車29には分針62が接続され、筒車93aには時針63が接続され、さらに、24時車95には表示指針205aが接続されている。ロータ23の回転に連動してこれらの各針によって時分が表示される。
【0036】
日付機構駆動部Fは、制御部Aの制御の下、圧電アクチュエータ71の圧電素子に交流電圧を印加することにより、圧電アクチュエータ71に振動を生じさせ、この振動によりロータ72の外周部を突っついて当該ロータ72を回転駆動させ、これによって、オートカレンダ機構を駆動するものである。ここで、日付機構駆動部Fは、地板を介して運針機構Eとは対向して配置されることが望ましい。
【0037】
図10は、制御部Aの機能構成を示すブロック図である。制御部Aは、腕時計1の各部を制御するものであり、指針駆動部Dおよび運針機構Eを制御する時計制御部A1と、オートカレンダ機構を制御してカレンダ送り処理を行うカレンダ制御部A2とを備えている。カレンダ制御部A2は、上述したばねスイッチ300,310、320、321、332およびフォトリフレクタ(図中PRで示す)と電気的に接続されており、24時検出車94に設けられたばねスイッチ300が閉状態となった場合に、カレンダ送り処理として、オートカレンダ機構を1日分だけ回転駆動する1日送り処理と、送られた日を検出して非存在日であるか否かを判定するカレンダ検出処理と、非存在日であると判断すると、実際の存在日を表示させるべくオートカレンダ機構を駆動していわゆる月末補正を行うカレンダ補正処理とを実行する。
【0038】
図11は、カレンダ送り処理を示すフローチャートである。また、図12は、このカレンダ送り処理時の1日送り処理のときのタイミングチャートを示す図である。カレンダ制御部A2は、まず、時刻が「午前零時」になり、図12に示すように、24時検出車94に設けられたばねスイッチ310が閉じてこのばねスイッチ310に接続された端子がHレベルに切り替わったことを検出すると、(ステップS1)、日付機構駆動部Fに対して日送信号(スタート信号)を出力する。この場合、日付機構駆動部Fが圧電アクチュエータ71駆動用の交流信号を出力することにより、ロータ72が回転駆動されてオートカレンダ機構が駆動される(ステップS2)。そして、ロータ72の送り量が1日分の送り量となり、ロータ72の送り量検出用のばねスイッチ300が開から閉に切り替わり、このばねスイッチ300に接続された端子がHレベルからLレベルに切り替わったことを検出すると、日付機構駆動部Fに対してストップ信号を出力してオートカレンダ機構の駆動を停止させる(ステップS3)。以上が1日送り処理である。このように、圧電アクチュエータ71の駆動時にばねスイッチ300でロータ72の送り量を検出するように構成しているので、比較的消費電力が多いフォトリフレクタでロータ72の送り量を検出する場合に比して、圧電アクチュエータ71の駆動と、ロータ72の送り量検出とを同時に行う場合の消費電力を低くすることが可能となっている。
【0039】
続いて、カレンダ制御部A2は、カレンダ検出処理を実行する。具体的には、カレンダ制御部A2は、まず、端子CS1の検出を行い(ステップS4)、検出した電位(HレベルかLレベル)に基づいて、現在表示されている月が「大の月」か否かを判定する(ステップS5)。具体的には、図7に示すように、カレンダ制御部A2は、端子CS1はLレベルであれば「大の月」と判定する。「大の月」と判定すると、「大の月」は非存在日が存在しない月であるため、存在日を表示していると判定でき、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
【0040】
ステップS5において、現在表示されている月が「大の月」でない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する(端子CS1がHレベル))と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子PT3に対応するフォトリフレクタを駆動し、このフォトリフレクタの検出結果を端子PT3を介して検出する(ステップS6)。そして、カレンダ制御部A2は、検出した電位に基づいて、現在表示されている「日」が「1〜19日」に該当するか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、図8に示すように、カレンダ制御部A2は、端子PT3がLレベルであれば、「日」の10位の値が「0」か「1」であるため、表示されている「日」が「1〜19日」と判定する。「1〜19日」と判定した場合は、月末補正が不必要な日、つまり、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
【0041】
ステップS7において、現在表示されている「日」が「1〜19日」でない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する(端子PT3がHレベル))と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子PT0〜PT2に対応するフォトリフレクタを駆動し、これらフォトリフレクタの検出結果を端子PT0〜PT2を介して検出する(ステップS8)。なお、これらフォトリフレクタはタイミングをずらして駆動することが好ましい。このように複数のフォトリフレクタの駆動タイミングをずらすことによって、駆動電源の定格電流を超えてしまう場合を回避することができる。そして、カレンダ制御部A2は、端子PT0〜PT2の検出結果の組み合わせから現在表示されている日が、「20〜28日」に該当するか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、カレンダ制御部A2は、図8に示すように、端子PT2がLレベルで、かつ、端子PT1がHレベル或いは端子PT0がLレベルの場合に「20〜28日」であると判定する。「20〜28日」と判定した場合は、大の月と小の月の両方に必ず存在する日であるため、存在日と判定でき、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
【0042】
すなわち、カレンダ制御部A2は、まず、現在表示されている月が「大の月」か否かを判定し、「大の月」でない場合にのみ日の検出を行う。従って、現在表示されている月が「大の月」の場合は、日や年の検出を行わないので、その分、カレンダ検出に要する電力を節約することが可能となる。また、「大の月」でない場合、カレンダ制御部A2は、一つのフォトリフレクタだけを駆動してその検出結果から現在表示されている日が「1〜19日」か否かを判定し(すなわち、日の10位が小の月と大の月に必ず存在する「1」か「0」に該当するか否かを判定し)、該当しない場合にのみ他のフォトリフレクタを駆動して日の1位の検出を行う。従って、日の1位が「1」か「0」の場合は日の10位の検出を行う必要がないので、その分、カレンダ検出に要する電力を節約することができる。
【0043】
また、ステップS9において、現在表示されている日が「20〜28日」ではない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する)と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS0と端子CS2の検出を行い(ステップS10)、現在表示されている、年、月および日を全て検出する。以上がカレンダ検出処理であり、次にカレンダ補正処理を説明する。
【0044】
まず、カレンダ制御部A2は、検出した年月日に基づいて現在表示されている日が「31日」か否か、具体的には、図8に示すように、端子PT1と端子PT0とがHレベルか否かを判定する(ステップS11)。「31日」と判定した場合、カレンダ制御部A2は、現在表示されている月が「2月を除く小の月」か否か、具体的には、端子CS1と端子CS0とがHレベルか否かを判定し(ステップS12)、「2月を除く小の月」と判定すると、非存在日が表示されていると判定できるため、存在日が表示されるように、日付機構駆動部Fに対して日送信号を出力してオートカレンダ機構を1日分回転駆動させ(ステップS13)、このカレンダ送り処理を終了する。
【0045】
ところで、この腕時計1においては、発電部Bが所定期間(例えば3日間)継続して発電していない場合に、通常の動作モードから、運針機構Eとオートカレンダ機構の駆動を停止して節電を図る節電モードに切り換え、発電部Bの発電が検出されると、内部の時計回路で計測していた現在時刻を表示するまで運針機構Eを高速駆動すると共に、その節電モードの経過日数分だけ日付を進めるべく、オートカレンダ機構を回転駆動させて時刻およびカレンダを現在のものに復帰させる機能を具備している。この復帰の際、節電モードの期間が例えば2年以下の場合は通常のカレンダ送りと同回転方向の正回転でオートカレンダ機構を駆動する一方、例えば、2年以上4年以下の場合は逆回転でオートカレンダ機構を駆動し、これにより、オートカレンダ機構の回転駆動量が少ない回転方向に回転駆動させて高速復帰と低消費電力との両立を図るようになっている。
しかしながら、このオートカレンダ機構の復帰は、月末修正を考慮せずに、単に節電モードの経過日数分だけ日付を進めるものであるため、「2月31日」、「2月30日」、および平年の「2月29日」を表示してしまう場合が生じる。本実施形態ではかかる復帰動作を行った場合にもステップS4移行の処理が実施され、この場合も考慮してカレンダ補正処理が規定されている。
【0046】
具体的には、ステップS12の処理において、「2月を除く小の月」ではない、つまり、「2月31日」を表示していると判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定し(ステップS14)、正転の場合はステップS13に移行し、オートカレンダ機構を1日分回転駆動させて「3月1日」を表示させた後、このカレンダ送り処理を終了する。一方、正転でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS2の検出結果に基づいて閏年か否かを判定し(ステップS15)、閏年の場合は、オートカレンダ機構を2日分逆転駆動させて「2月29日を表示させ(ステップS16)、閏年でない場合は、オートカレンダ機構を3日分逆転駆動させて「2月28日」を表示させた後(ステップS17)、カレンダ送り処理を終了する。これにより、正転又は逆転により「2月31日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS15〜S17の処理を省略すればよい。
【0047】
また、ステップS11において、「31日」でないと判定した場合、カレンダ制御部A2は、「2月を除く小の月」の「30日」か否か、具体的には、端子CS0がLレベルで、端子PT2がHレベルであったか否かを判定する(ステップS20)。「2月を除く小の月」の「30日」と判定すると、カレンダ制御部A2は、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ送りの処理を終了する。
【0048】
このステップS20において、「2月を除く小の月」の「30日」でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、「2月30日」か否か、具体的には、端子CS0がHレベルで、端子PT2がHレベルであったか否かを判定する(ステップS21)。「2月30日」と判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定し(ステップS22)、正転の場合は、オートカレンダ機構を2日分回転駆動させて「3月1日」を表示させた後(ステップS23)、このカレンダ送り処理を終了する。
【0049】
また、正転でない(逆転)と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS2の検出結果に基づいて閏年か否かを判定し(ステップS24)、閏年でない場合は、ステップS23に移行し、オートカレンダ機構を2日分逆転駆動させて「2月28日」を表示させ、閏年の場合は、オートカレンダ機構を1日分逆転駆動させて「2月29日」を表示させた後(ステップS25)、カレンダ送り処理を終了する。これにより、正回転又は逆回転で「2月30日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS20〜S25の処理を省略することができる。
【0050】
また、ステップS21において、「2月30日」でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、閏年の2月か否かを判定し、具体的には、端子CS2がLレベルであったか否かを判定し(ステップS26)、閏年の2月と判定すると、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ送りの処理を終了する。
【0051】
このステップS26において、閏年の2月でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定する(ステップS27)、そして、カレンダ制御部A2は、正転の場合はオートカレンダ機構を3日分回転駆動させて「3月1日」を表示させ(ステップS28)、逆転の場合は、オートカレンダ機構を1日分回転駆動させて「2月28日」を表示させた後(ステップS29)、カレンダ送りの処理を終了する。これにより、正回転又は逆回転で「2月29日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。
なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS27〜S29の処理を省略することができる。
【0052】
次に、カレンダ表示修正機構について説明する。
この電子時計は、外部操作部材を構成するリューズ399(図1)を備え、このリューズ399には、図3及び図14に示すように、巻真400が連結される。この巻真400には、第1カレンダ修正伝え車401が連結され、この第1カレンダ修正伝え車401には第2カレンダ修正伝え車(相歯車)402が連結される。この第2カレンダ修正伝え車402には第3カレンダ修正伝え車403が噛み合い自在(図15参照)になっており、この第3カレンダ修正伝え車403は、第4カレンダ修正伝え車404に噛み合う。この第4カレンダ修正伝え車404は、かな404aを備え、このかな404aは、制御車78上流の中間車76に噛み合う。これらは修正輪列を構成する。
【0053】
本構成では、第3カレンダ修正伝え車403が、図14又は図15に示すように、レバー(弾性部材)405の一端405aに保持される。
このレバー405はピン406で地板303にピン連結され、その他端(ばね部)405bは固定部407に当接している。レバー405の一端405aには、略S字状の開口孔405cが形成されると共に、地板303には、この開口孔405cに連通する長孔303aが形成され、これら孔303a,405cの交差部を貫通して、図16に示すように、第3カレンダ修正伝え車403の回転軸403aが嵌合されている。また、図14又は図15に示すように、レバー405の一端405aには、地板303側に折れ曲がる操作片405dが一体に形成され、この操作片405dは、地板303に形成された開口(図示せず)を貫通して、地板303の裏側に突出し、当該裏側に延在するかんぬき410の一端410aに係合している。
【0054】
このかんぬき410は、地板303の裏側において、略円弧状に延出し、その他端410bが、ピン411を介して、地板303にピン連結され、その先端部には、かんぬき410に対し、ピン411回りの時計方向への回転力を付与する機構(かんぬきばね部)412が一体に形成されている。
413は、かんぬき押さえ、414は、おしどりである。このおしどり414は、図14に示すように、ピン445を介して、地板303にピン連結されている。このおしどり414は、おしどりダボ414aを備え、このおしどりダボ414aは、かんぬき押さえ413のばね窪み部413aに位置決めされ、これによって、おしどり414のピン445基準の回転が規制されている。
また、おしどり414の先端414bは、巻真400に形成された凹部400bに嵌り、これにより、先端414bが位置決めされている。
かんぬき410には、かんぬきばね部412のばね力により、ピン411回りに時計方向の回転力が作用するが、かんぬき410の回転力は、おしどり414の係止部414cによって受け止められ、このかんぬき410は、その位置で停止する。レバー405は、レバー自身(ばね部405b)のばね力により、ピン406を中心に、反時計方向に回転力を持っており、この回転力は、レバー曲げ下げ部(操作片)405dと、かんぬき410の一端410aとの係合によって受け止められ、これによって、レバー405が位置決めされている。
【0055】
レバー405の中間部には、図14に示すように、押動部405eが一体に形成されている。この押動部405eは、ロータ72を支持する支持アーム415に対向しており、レバー405が、図15に示すように、ピン406回りを反時計方向に揺動した場合には、支持アーム415に当接して、この支持アーム415を押動し、ロータ72と圧電アクチュエータ71とを離間させる。これらは脱着手段を構成する。この支持アーム415は、ピン416を介して、地板303に支持されると共に、軸417に巻回された押しばね418を介して、ピン416の回りを反時計方向に常時付勢される。
本構成では、この押しばね418により、ロータ72が圧電アクチュエータ71に押圧されている。また、本構成では、上記レバー405のばね部405bのばね力が、この圧電アクチュエータ71に対する、押しばね418による押圧力を打ち消し合う方向に作用している。
【0056】
次に、カレンダ表示修正動作を説明する。
リューズ399は多段階に亘って軸方向に引き出し自在である。
図14は、リューズ399の引き出しがない通常時の状態を示す。この場合、おしどりダボ414aが、かんぬき押さえ413のばね窪み部413aに位置決めされ、おしどり414の回転が規制されると共に、おしどり先端414bが、巻真400に形成された凹部400bに嵌り、これにより、おしどり先端414bが位置決めされている。また、かんぬき410は、おしどり414の係止部414cに係止し、その位置で停止している。さらに、レバー405は、その操作片405dと、かんぬき410の一端410aとの係合によって係止し、その位置に停止している。
この状態では、上述した孔303a,405cの交差部が図示の位置に移動しており、当該交差部に回転軸403aが嵌まった第3カレンダ修正伝え車403が、図示の位置に移動する。従って、この第3カレンダ修正伝え車403と、第2カレンダ修正伝え車402との噛み合いが解除され、この状態では、リューズ399を回転させたとしても、その操作力が、第3カレンダ修正伝え車403、及びそれ以降の歯車に伝達されることはない。
【0057】
カレンダ表示修正を行う場合には、図15に示すように、リューズ399を1段引き出す。この状態に至ると、おしどり先端414bが、巻真400の凹部400bによって1段分引き出され、これによって、おしどり414が、ピン445回りを時計方向に回転し、おしどり414の係止部414cと、かんぬき410との係合が解除される。すると、かんぬき410が、機構412のばね力によって、ピン411回りを時計方向に回転し、これにより、上述した操作片405dに対する押動状態が解除されて、レバー405が、そのばね力によって、ピン406回りを反時計方向に揺動する(レバーの切換動作)。
この状態に至ると、孔303a,405cの交差部が図示の位置に移動し、当該交差部に回転軸403aが嵌まった第3カレンダ修正伝え車403が図中右方に移動して、この第3カレンダ修正伝え車403が、第2カレンダ修正伝え車402に噛み合うと同時に、上述したレバー405の押動部405eが、支持アーム415を押動し、ロータ72と圧電アクチュエータ71との間が離間する。
【0058】
この状態で、リューズ399を回転させると、その操作力が、第1カレンダ修正伝え車401、第2カレンダ修正伝え車402、第3カレンダ修正伝え車403、第4カレンダ修正伝え車404の順に伝達され、そこから、かな404aを介して中間車76に伝達され、さらに、制御車78に伝達される。そして、リューズ399の回転数に対応し、制御車78を介して、1位の日車89や、日回し車87等が適宜回転され、これによって、カレンダ表示の修正が行われる。この場合、リューズ399の回転力は、中間車76に伝達されるため、それが、制御車78に伝達されるばかりでなく、中間車かな75a、中間車75、中間車かな74a、中間車74、及びロータかな72aにも伝達される。
【0059】
本実施形態では、カレンダ表示修正が行われる場合、上述したレバー405の押動部405eが、支持アーム415を押動して、ロータ72と圧電アクチュエータ71との間が離間する。従って、従来のように、圧電アクチュエータ71とロータ72の摺動がなくなり、鏡面仕上げされたロータ72の外周面に傷や摩耗等が付くことがない。これによれば、カレンダ表示時におけるロータ72の送り精度の低下が抑制され、耐久性に優れたものになる。
【0060】
図17及び図18は、別の実施形態を示す。上記実施形態の構成部分と同一部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態では、カレンダ表示修正時に、ロータ72と圧電アクチュエータ71との間を離間させる場合、圧電アクチュエータ71側を移動させる。すなわち、この圧電アクチュエータ71は、ピン500を介して、地板303にピン連結されている。そして、この圧電アクチュエータ71は、ピン502に巻回された押圧ばね501により、ピン500を支点にして、反時計方向に常時付勢され、これによって、圧電アクチュエータ71は、ロータ72側に押圧されている。また、第3カレンダ修正伝え車403を支持したレバー405の中間部には、押動部405fが一体に形成され、この押動部405fは、圧電アクチュエータ71を支持する支持部503に対向している。
【0061】
図17は図14相当図であり、図18は図15相当図である。
図18に示すように、リューズ399を1段引き出すと、おしどり先端414bが、巻真400の凹部400bによって1段引き出され、これによって、おしどり414が、ピン445回りを時計方向に回転し、おしどり414の係止部414cと、かんぬき410との係合が解除される。すると、かんぬき410が、機構412のばね力によって、ピン411回りを時計方向に回転し、これにより、上述した操作片405dに対する押動状態が解除され、レバー405が、そのばね力によって、ピン406回りを反時計方向に揺動する。
この状態に至ると、孔303a,405cの交差部が図示の位置に移動し、当該交差部に回転軸403aが嵌まった第3カレンダ修正伝え車403が図中右方に移動して、この第3カレンダ修正伝え車403が、第2カレンダ修正伝え車402に噛み合うと同時に、上述したレバー405の押動部405fが、支持部503を押動し、これによって、圧電アクチュエータ71が揺動し、ロータ72と圧電アクチュエータ71とが離間する。
【0062】
この状態で、リューズ399を回転させると、その操作力が、第1カレンダ修正伝え車401、第2カレンダ修正伝え車402、第3カレンダ修正伝え車403、第4カレンダ修正伝え車404の順に伝達され、そこから、かな404aを介して中間車76に伝達され、さらに、制御車78に伝達される。そして、リューズ399の回転数に対応し、制御車78を介して、1位の日車89や、日回し車87等が適宜回転され、これによって、カレンダ表示の修正が行われる。この場合、リューズ399の回転力は、中間車76に伝達されるため、それが、制御車78に伝達されるばかりでなく、中間車かな75a、中間車75、中間車かな74a、中間車74、及びロータかな72aにも伝達される。
【0063】
本実施形態では、カレンダ表示修正が行われる場合、上述したレバー405の押動部405fが、圧電アクチュエータ71を押動して、ロータ72と圧電アクチュエータ71とが離間するため、従来のように、圧電アクチュエータ71とロータ72の摺動がなくなり、鏡面仕上げされたロータ72の外周面に傷や摩耗等が付くことがない。これによれば、カレンダ表示時におけるロータ72の送り精度の低下が抑制され、耐久性に優れたものになる。
【0064】
上述の実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変更可能である。上述の実施形態では、脱着手段が、圧電アクチュエータ71とロータ72との間を離間状態としたが、これに限定されるものではなく、圧電アクチュエータ71と、この圧電アクチェータ71によって駆動される動力伝達手段との間を離間状態とするものであれば、どのような手段であってもよい。また、上述の実施形態では、外部操作部材をリューズ399として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば外部操作部材を電子スイッチによる押しボタンで構成してもよい。さらに、上述の実施形態では、圧電アクチュエータ71によりオートカレンダ機構を駆動する場合について例示したが、それにより時分針等で表示する時刻表示機構を駆動する場合、或いは圧電アクチュエータ71によりオートカレンダ機構及び時刻表示機構を同時駆動する場合にも適用が可能である。なお、本発明の実施形態では、太陽暦を使用したもので説明したが、太陰暦に使用してもよい。
【0065】
また、上述の実施形態では、発電により電力を腕時計1の各部に供給する構成を例示したが、この腕時計1は、発電の代わりに一次電池を備える構成であってもよい。さらに、上述の実施形態では、本発明を腕時計に適用する場合を例示したが、懐中時計などの携帯型の時計や置き時計などの固定型の時計にも適用可能である。また、携帯型、固定型を問わず、標準時刻を示す電波(例えばJJY)を受信して時刻を修正する電波時計にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。
【図2】腕時計のオートカレンダ機構を示す図である。
【図3】オートカレンダ機構の拡大図である。
【図4】ロータの送り量検出用のばねスイッチを説明するための図である。
【図5】年検出および月検出のためのばねスイッチを説明するための図である。
【図6】年情報検出パターンの一例を示す図である。
【図7】月情報検出パターンの一例を示す図である。
【図8】日情報検出パターンの一例を示す図である。
【図9】腕時計の電気的構成を機械的構成と共に示す図である。
【図10】制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図11】カレンダ送り処理を示すフローチャートである。
【図12】1日送り処理のときのタイミングチャートを示す図である。
【図13】変形例に係る日情報検出パターンの一例を示す図である。
【図14】カレンダ修正機構を示す図である。
【図15】同カレンダ修正機構を示す図である。
【図16】カレンダ修正機構の一部を示す断面図である。
【図17】別の実施形態によるカレンダ修正機構を示す図である。
【図18】同カレンダ修正機構を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…腕時計、10、20…ステッピングモータ、71…圧電アクチュエータ、72…ロータ、78…制御車、89…1位の日車、92…10位の日車、204…月表示窓、205…24時表示部、206…月表示部、208…年表示部、399…リューズ(外部操作部材)、400…400、401…第1カレンダ修正伝え車、402…第2カレンダ修正伝え車、403…第3カレンダ修正伝え車、404…第4カレンダ修正伝え車、405…レバー、405d…操作片、405e、405f…押動部、410…かんぬき、413…かんぬき押さえ、414…おしどり。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ピエゾアクチュエータ(圧電アクチュエータ)を備えた電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、暦(カレンダ)を表示する暦表示機構を備えた電子時計(暦表示機能付電子時計)が知られている(例えば、特許文献1、2)。この時計の暦表示機構は、ロータの回転に応じて歯車輪列を介して、円周上に「1」〜「31」の数字が配置された日板(日表示車)等の暦表示車を回転させる機構を備えており、アクチュエータによりロータの回転量を制御して日板を一日分回転駆動させるようにしている。
一方、この種の電子時計では、カレンダ表示を修正するカレンダ修正機構を備える。この修正機構は、例えばリュウズ(外部操作部材)を操作して、修正輪列を介して歯車輪列を回し、これによりカレンダ修正を行うものである。
【特許文献1】国際公開WO99/34264号公報
【特許文献2】特開2003−255063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の構成では、リュウズを操作し、修正輪列を介して歯車輪列を回す場合、暦表示機構と一緒にロータが回転し、このロータを駆動するアクチュエータが回転してしまう。ここで、カレンダ表示ではなく、例えば歯車輪列を介して時分針等を回転させる時刻表示機構を備えたものにあっても、それを修正する場合には、上記と同様に、リュウズを操作し、修正輪列を介して歯車輪列を回す。この場合も、上記と同様に、時刻表示機構と一緒にロータが回転し、このロータを駆動するアクチュエータが回転してしまう。
これらの場合において、アクチュエータが、圧電アクチュエータであれば、当該圧電アクチュエータとロータとが摺動することにより、鏡面仕上げされたロータの外周面に傷や摩耗等が発生し、これによりカレンダ表示時又は時刻表示時におけるロータの送り精度が低下する、或いは、表示不良(時刻支持ずれ)が発生する、といった問題がある。
【0004】
そこで、本発明の目的は、暦表示修正時及び/又は時刻表示修正時に、外部操作部材を操作したとしても、ロータの外周面に傷や摩耗等を発生させることがない電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、圧電アクチュエータと、前記圧電アクチェータによって駆動される動力伝達手段と、前記動力伝達手段によって駆動される暦表示車及び/又は時刻表示車と、前記暦表示車及び/又は時刻表示車の表示位置の修正を行わせる修正機構と、前記修正機構の操作を行わせる外部操作部材とを備えた電子時計において、前記表示位置の修正を行わない場合、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを係合状態にすると共に、前記表示位置の修正を行う場合、前記外部操作部材の操作に連動して、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを離間状態とするように切換可能な脱着手段を備えたことを特徴とする。
この場合、前記動力伝達手段が、圧電アクチュエータにより駆動されるロータを備え、前記表示位置の修正を行う場合には、前記脱着手段が、このロータと圧電アクチュエータとを離間状態としてもよい。また、前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれか一方が固定され、前記脱着手段が、残りの他方を押動させて、前記いずれか一方から離間させるようにしてもよい。
【0006】
前記脱着手段が、修正機構の歯車を保持する弾性部材を備え、この弾性部材が作動して、当該弾性部材に保持された歯車が、それに噛み合うべき修正機構の相歯車に噛み合うとき、当該弾性部材の一部が、前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれかに当接して、それを押動させるようにしてもよい。
また、前記弾性部材がばね付勢され、当該弾性部材が外部操作部材による切換動作によってばね力に抗して作動するようにしてもよい。さらに、前記弾性部材のばね付勢力が、前記圧電アクチュエータの押圧力を打ち消し合う方向に作用するようにしてもよい。また、前記外部操作部材の操作が、リューズ回転操作による機械的な動力伝達操作であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、修正輪列により暦表示修正及び/又は時刻表示修正を行う場合、圧電アクチュエータとロータとが離間するから、ロータの外周面に傷等が付くことがなく、その送り精度が良好に維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、本発明を腕時計に適用した場合について例示する。なお、以下の説明において、日付は全て太陽暦に従うものとする。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。図1に示すように、腕時計1は、時計本体部1aと、この時計本体部1aに連結されたベルト1bとを備えて構成されている。時計本体部1aは、筐体200と、この筐体200に設けられた円盤状の時刻表示盤202とを備え、この時刻表示盤202の上面には、秒針61と、分針(長針)62と、時針(短針)63からなる3つの表示指針が設けられている。時刻表示盤202には、その円周に沿って、時刻を示す記号が等間隔に配置されており、表示指針の各々が指し示す数字または記号(本実施形態では、記号には、文字も含まれるものとする)により、現在時刻が表示される。
【0010】
また、時刻表示盤202には、略矩形にくり抜かれてなる日表示窓204と、24時表示部205と、月表示部206と、年表示部208とがそれぞれ設けられている。日表示窓204には、暦の「日」を示す「1」乃至「31」のいずれか1の数字が表示される。この場合、後述するように、1位の数字と10位の数字とは別々の日車(暦表示車)に付され、暦の「日」は、各日車に付された数字によって表示される。24時表示部205には、その円周に沿って、24等分された時刻を示す記号が等間隔に配置されており、表示指針205aが指し示す記号により「時間」が表示される。
【0011】
また、月表示部206には、その円周に沿って、暦の「月」を示す、例えば「JAN」(1月を示す)〜「DEC」(12月を示す)のいずれか1の記号が等間隔に配置されており、表示指針206aが指し示す記号により暦の「月」が表示される。年表示部208には、その円周に沿って、数字「0」乃至「3」のいずれか1の数字が等間隔に表示され、閏年であれば、表示指針208aが数字「0」を指し示し、それ以降、「1」「2」「3」を指し示せば、それは閏年から何年目であるかを表示する。これにより、ユーザは暦の「年」を知ることができる。
【0012】
この時計本体部1a内には、時刻表示盤202と略同形状の円盤状の地板303(図4)が配置され、この地板303を挟んで、時計の表側にはオートカレンダ機構(暦表示手段)が配置され、裏側には時計としての基本機構が配置されている。なお、この地板303は、オートカレンダ機構の各歯車の一端を軸支する部材として機能する。
【0013】
図2はオートカレンダ機構を示す図であり、図3はその拡大図である。このオートカレンダ機構は、上記地板303の一方の面(時計1の表側)に支持され、その駆動源は、圧電アクチュエータ(駆動手段)71である。この圧電アクチュエータ71は、振動子である圧電素子を備え、この圧電素子の振動により、ロータ72の外周部を突っつき、これによって、当該ロータ72を回転させる。このロータ72を含む、以下に説明する減速輪列等がいわゆる歯車輪列を構成している。すなわち、このロータ72はロータかな72aを一体に備え、このロータかな72aには、中間車74が噛み合う。この中間車74の中間車かな74aには、中間車75が噛み合い、その中間車かな75aには、中間車76が噛み合う。この中間車76は、制御車かな77に噛み合い、この制御車かな77は、制御車78と一体に形成される。ここまでは制御車78を回すための減速輪列である。なお、211は、制御車かな77の位置決め用のジャンパである。
【0014】
また、上述した中間車75には、ロータ72の送り量検出用のばねスイッチ300が設けられる。このばねスイッチ300は、中間車75の回転に応じて開閉される機械式スイッチ(接触検出手段)である。図4に示すように、このばねスイッチ300は、弾性を有する金属材料、例えば、リン青銅やステンレス鋼等で形成され、中間車75の支持軸に固定されたばね接点301と、地板303に設けられた回路基板303a上に設けられ、この中間車75と共に回転するばね接点301を介して導通する導通端子部302とから構成される。この導通端子部302は、ロータ72の送り量が暦を1日分送る送り量になる毎に、つまり、その送り量に対応する角度だけ中間車75が回転する毎に、ばね接点301を介して導通した状態(閉状態)から非導通の状態(開状態)に切り替わるように、回路基板303aの配線パターンの一部として構成されている。この導通端子部302は、後述する制御部A(図9)と接続され、制御部Aは、このばねスイッチ300の開状態から閉状態への切り替わりを検出することにより、ロータ72の送り量が暦を1日分送る送り量となったことを検出する。すなわち、このばねスイッチ300は、ロータ72の送り量を検出するロータ送り量検出手段として機能する。
【0015】
制御車78は、爪数が異なる複数の爪車を備え、いずれかの爪車が、図2中、制御車78の上方に位置する、1位の日車(1位表示体(暦表示車))89を回す日回し車87と、10位の日車(10位表示体(暦表示車))92を回す日回し車90と、図中で制御車78の右下に位置する、月車(暦表示車)82を回す月表示中間車79とにそれぞれ噛み合う。ここで、1位の日車89の外周表面には「0」〜「9」の数字が周方向に等間隔に表示され、10位の日車92の外周表面には「空領域」と「1」〜「3」の数字が周方向に等間隔に表示される。なお、「空領域」とは数字の記載がない領域で、該当日が一桁の「日」(すなわち、1日〜9日)に相当するとき、10位に位置付けられる。
【0016】
上述した日表示窓204には、1位の日車89上の数字「0」〜「9」と、10位の日車92上の「空領域」或いは数字「1」〜「3」との組み合わせにより、暦の「日」を示す「1」乃至「31」のいずれかの数字が表示される。
【0017】
上述した制御車78が回転すると、まず、1位の日車89に対応する歯車体の1位送り爪を介して、日回し車87および1位日かな88が回転し、これと一体に1位の日車89が回転し、その外周表面上の数字「0」〜「9」が、原則的に、1日に1回の割合で周方向に一つ送られる。この制御車78の回転に応じて、1位の日車89の回転が進み、10位が繰り上がる日付に至ると、今度は、10位の日車92に対応した歯車体の10位送り爪を介して、日回し車90および10位日かな91が回転し、これと一体に10位の日車92が回転し、その外周表面上の「空領域」或いは数字「1」〜「3」が、10日に1回の割合で周方向に一つ送られる。
【0018】
また、制御車78の回転に対応して、1位の日車89および10位の日車92の回転が進み、「月」の表示が繰り上がる日付に至ると、今度は、月車82に対応した歯車体の月送り爪を介して、月表示中間車79および月検出車80が回転し、これと一体に月車82が回転する。そして、その表示指針206aが回転し、月表示部206上の暦の「月」を示す「JAN」(1月を示す)〜「DEC」(12月を示す)のいずれか1の記号が指し示され、暦の「月」表示が行われる。
【0019】
上記月検出車80には、年表示中間車83が噛み合い、この年表示中間車83には年送り車84が噛み合う。そして、この年送り車84には年車(暦表示車)85が噛み合い、この年車85には、暦の「年」を指し示す表示指針208aが接続される。この場合、年送り車84は、1年の期間を経て、初めて年車85を90°回転させるように構成される。従って、表示指針208aは、1年に1回送られる。そして、閏年であれば、表示指針208aが数字「0」を指し示し、それ以降、「1」「2」「3」を指し示せば、例えば、それは閏年から何年目であるかを表示し、これにより、暦の「年」が表示される。
【0020】
すなわち、このオートカレンダ機構は、ロータ72の回転を歯車輪列を介して減速して制御車78を回転し、この制御車78の回転により、日車(1位の日車89および10位の日車92)、月車82および年車85をそれぞれ回転するように構成されている。本実施形態では、このロータ72と制御車78との間の減速輪列に含まれる中間車75に上記ばねスイッチ300を設けているので、このばねスイッチ300がばね接点301との接触によって中間車75に与える負荷トルクが中間車75の回転トルクよりずっと小さくなっている。このため、この負荷トルクがオートカレンダ機構の駆動に与える影響は支障がない程度に小さくなっている。
【0021】
上記24時表示部205では、その駆動力が、オートカレンダ機構の駆動源とは異なり、地板303の裏側に配置された時計の後述する運針機構Eの駆動源から取られる。すなわち、運針機構Eの筒車(時針(短針)63を支持する筒車)に筒車体93が一体化されており、この筒車体93には、24時検出車94が噛み合う。
そして、この24時検出車94には、24時車95が噛み合い、この24時車95の回転により、24時表示部205の表示指針205aが回転する。この表示指針205aは、1時間に1回送られる。
【0022】
この24時検出車94には、中間車75に設けられた上記ばねスイッチ300と略同様のばねスイッチ310が設けられ、このばねスイッチ310により、表示指針205aが「午前零時」を指し示したことが検出される。具体的には、図2に示すように、24時検出車94には、ばね接点97が設けられ、このばね接点97と対向する回路基板上に、24時検出車94が「午前零時」の回転位置となったときにばね接点97を介して導通する導通端子部(図示せず)が設けられる。このばねスイッチ310の開閉は、後述する制御部Aによって検出される。すなわち、このばねスイッチ310は、「午前零時」を検出する24時検出手段として機能する。
【0023】
次に、カレンダ検出(年検出、月検出および日検出)について説明する。
上記構成において、年表示中間車83の中間車かな83aには、年検出車86が噛み合い、この年検出車(検出車)86には上記ばねスイッチ300と略同様のばねスイッチ320が設けられる。具体的には、図2および図5に示すように、年検出車86には、ばね接点96が設けられ、このばね接点96と対向する回路基板上には、年検出車86の回転に応じて、年検出車86と共に回転するばね接点96を介して導通する導通端子部96Tが設けられる。この導通端子部96Tは、表示される年が「閏年」か否かで導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となるように形成され、後述する制御部Aの端子CS2と接続されている。この制御部Aは、端子CS2を介してばねスイッチ320の開閉(HレベルかLレベルか)を検出することにより、図6に示す年情報検出パターンに基づいて該当年が「閏年」か「非閏年(平年)」のいずれかを検出するようになっている。すなわち、年情報の検出パターン数は2となっている。
【0024】
また、上記月検出車(検出車)80には、表示される月が「大」の月か否かを検出するばねスイッチ331と、表示される月が、2月を除く「小」の月か否かを検出するばねスイッチ332が設けられる。具体的には、図2および図5に示すように、月検出車80の支持軸には、ばね接点98が設けられ、このばね接点98と対向する回路基板303a上に、月検出車80と共に回転するばね接点98を介して導通する導通端子部98Tとして、表示される月が「大」の月の場合に導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となる導通端子部98T1と、表示される月が2月を除く「小」の月の場合に導通(閉状態)或いは非導通(開状態)となる導通端子部98T2とが形成される。この導通端子部98T1は制御部Aの端子CS1と接続され、導通端子部98T2は制御部Aの端子CS0と接続される。制御部Aは、この端子CS1およびCS0を介してばねスイッチ331および332の開閉(HレベルかLレベルか)の組み合わせを検出することにより、図7に示す月情報検出パターンに基づいて、表示されている「月」が、「2月」か、2月を除く「小の月」か、或いは「大の月」かのいずれかを検出するようになっている。すなわち、月情報の検出パターン数は3となっている。
【0025】
また、1位の日車(検出車)89および10位の日車(検出車)92の裏面には、反射領域と非反射領域とが設けられた光検出用パターン(図示せず)が設けられ、地板303に設けられた基板上に、このパターンを読みとる複数のフォトリフレクタ(反射型フォトセンサ)が設けられる。具体的には、10位の日車92と対向する基板上には、異なる位置に光を照射してその反射光を受光する2つのフォトリフレクタが配置され、この日車92の裏面には、各フォトリフレクタによって、表示されている日が、「00or10」、「20」、「30」のいずれかを判別可能にする光検出用パターンが設けられる。この2つのフォトリフレクタの一方は、制御部Aの端子PT2に接続され、他方は端子PT3に接続される。また、1位の日車89と対向する基板上にも、2つのフォトリフレクタが配置され、この日車89の裏面には、各フォトリフレクタによって、表示されている1位の「日」が「2〜8」、「9」、「0」、「1」のいずれかを判別可能にする光検出用パターンが設けられる。この2つのフォトリフレクタの一方は、制御部Aの端子PT0に接続され、他方は端子PT1に接続される。
【0026】
図8に日情報検出パターンを示すように、制御部Aは、これら4つのフォトリフレクタの受光結果に基づいて、表示されている10位の「日」が、「0or1」か、「2」か、「3」のいずれかを検出すると共に、表示されている1位の「日」が、小の月には存在しない日(29、30、31)の1位の日である「9」か、「0」か、「1」か、それとも「2〜8」のいずれかを検出するようになっている。すなわち、日の検出パターン数は12となっている。但し、この検出パターンには、非存在の日(0日、32〜38日、39日)を含んでおり、また、日検出は、後述するように存在日か否か(月末補正が必要か否か)を判定するために使用されるものであるから、最低、「1〜28日」、「29日」、「30日」、「31日」の4種類の検出パターンを検出すればよい。
【0027】
上述したように、本実施形態では、検出パターン数が多く、かつ、ロータ72に対する減速比が小さい歯車、すなわち、回転トルクが小さい歯車(日車89、92)を用いる日検出には、非接触検知のため比較的耐久性が高いフォトリフレクタを用い、その他のカレンダ検出には、ばねスイッチを用いることで、耐久性にも負荷トルク低減にも消費電力の低減にも優れたカレンダ検出機構が提供されている。
【0028】
図9は、腕時計1の電気的構成を機械的構成と共に示す図である。同図に示すように、腕時計1は、制御部Aと、発電部Bと、電源部Cと、指針駆動部Dと、運針機構Eと、日付機構駆動部Fと、オートカレンダ機構(ロータ72のみを示す)とを備えている。
【0029】
発電部Bは、交流電力を発電するものであり、回転錘45を備えている。この回転錘45は、ユーザの手首などの動きに伴って旋回可能に設けられており、回転錘45の旋回(運動エネルギー)が増速用ギア46を介して発電装置40に伝達されるようになっている。発電装置40は、発電用ステータ42と、この発電用ステータ42の内部に回転可能に設けられた発電用ロータ43と、発電用ステータ42に電気的に接続された発電コイル44とを備えており、発電用ロータ43が回転錘45の旋回(運動エネルギー)により回転し、この回転により発電コイル44に交流電圧が誘起されるようになっている。つまり、腕時計1がユーザに装着されている間、ユーザが何らかの動作をするに伴い、回転錘45が旋回することにより、発電が行われる。
【0030】
電源部Cは、発電部Bからの交流電圧を整流して蓄電し、蓄電した電力を昇圧して各構成部分へ給電する。具体的に説明すると、電源部Cは、整流回路として作用するダイオード47、大容量コンデンサ48および昇降圧回路49から構成されている。昇降圧回路49は、3つの容量49a、49bおよび49cを用いて多段階の昇圧および降圧ができるようになっており、制御部Aからの制御信号によって指針駆動部Dに供給する電圧を調整することができる。また、昇降圧回路49の出力電圧はモニタ信号によって制御部Aにも供給されており、これによって、制御部Aは、出力電圧をモニタしている。ここで、電源部Cは、Vdd(高電圧側)を基準電位(GND)に取り、Vss(低電圧側)を電源電圧として生成している。
【0031】
指針駆動部Dは、制御部Aの制御の下、運針機構Eに様々な駆動パルスを供給するものである。本実施形態では、指針駆動部Dは、秒針61を駆動する秒針駆動部D1と、時針63、分針62および24時表示用の表示指針205aを駆動する時分針駆動部D2とから構成されている。さらに説明すると、秒針駆動部D1は、直列に接続されたpチャンネルMOS33aとnチャンネルMOS32a、およびpチャンネルMOS33bとnチャンネルMOS32bによって構成されたブリッジ回路を備えている。また、秒針駆動部D1は、pチャンネルMOS33aおよび33bとそれぞれ並列に接続された回転検出用抵抗35aおよび35bと、これらの抵抗35aおよび35bにチョッパパルスを供給するためのサンプリング用のpチャンネルMOS34aおよび34bを備えている。したがって、これらのMOS32a、32b、33a、33b、34aおよび34bの各ゲート電極に制御部Aからそれぞれのタイミングで極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、運針機構Eの一部を構成する秒針運針機構E1に、例えば極性の異なる駆動パルスなどの様々の駆動パルスを供給することができるようになっている。
【0032】
また、時分針駆動部D2は、秒針駆動部D1と略同様に構成され、制御部Aから極性およびパルス幅の異なる制御パルスが印加されることにより、運針機構Eの一部を構成する時分針運針機構E2に、例えば極性の異なる駆動パルスなどの様々の駆動パルスを供給することができるようになっている。
【0033】
運針機構Eは、秒針運針機構E1と時分針駆動部E2から構成される。秒針運針機構E1は、ステッピングモータ10を備え、このステッピングモータ10により秒針61を回転駆動する。詳述すると、ステッピングモータ10は、秒針駆動部D1から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル11と、この駆動コイル11によって励磁されるステータ12と、さらに、ステータ12の内部において励磁される磁界により回転するロータ13を備えている。また、ステッピングモータ10は、ロータ13がディスク状の2極の永久磁石によって構成されたPM型(永久磁石回転型)で構成されている。ステータ12には、駆動コイル11で発生した磁力によって異なった磁極がロータ13の回りのそれぞれの相(極)15および16に発生するように磁気飽和部17が設けられている。また、ロータ13の回転方向を規定するために、ステータ12の内周の適当な位置には内ノッチ18が設けられており、コギングトルクを発生させてロータ13が適当な位置に停止するようにしている。このステッピングモータ10のロータ13の回転は、かなを介してロータ13に噛合された秒中間車51および秒車52からなる輪列50によって秒針61に伝達され、秒針61が回転駆動される。
【0034】
また、時分針駆動部E2は、ステッピングモータ20を備えており、ステッピングモータ20が分針62を回転駆動することにより、この分針62の回転に連動して、時針63と24時表示用の表示指針205aとを回転駆動する。詳述すると、ステッピングモータ20は、上記ステッピングモータ10と同様に、ステータ22とロータ23を備え、ステータ22には、駆動コイル21で発生した磁力によって異なった磁極がロータ23の回りのそれぞれの相(極)25および26に発生するように磁気飽和部27Aが設けられている。また、ロータ23の回転方向を規定するために、ステータ22の内周の適当な位置には内ノッチ28Aが設けられ、コギングトルクを発生させてロータ23が適当な位置に停止するようになっている。
【0035】
このステッピングモータ20のロータ23の回転は、かなを介してロータ23に噛合された四番車26、三番車27、二番車28、日の裏車29、筒車(時指示車)93a、筒車体93、24時検出車94および24時車95からなる輪列30によって各針に伝達される。二番車29には分針62が接続され、筒車93aには時針63が接続され、さらに、24時車95には表示指針205aが接続されている。ロータ23の回転に連動してこれらの各針によって時分が表示される。
【0036】
日付機構駆動部Fは、制御部Aの制御の下、圧電アクチュエータ71の圧電素子に交流電圧を印加することにより、圧電アクチュエータ71に振動を生じさせ、この振動によりロータ72の外周部を突っついて当該ロータ72を回転駆動させ、これによって、オートカレンダ機構を駆動するものである。ここで、日付機構駆動部Fは、地板を介して運針機構Eとは対向して配置されることが望ましい。
【0037】
図10は、制御部Aの機能構成を示すブロック図である。制御部Aは、腕時計1の各部を制御するものであり、指針駆動部Dおよび運針機構Eを制御する時計制御部A1と、オートカレンダ機構を制御してカレンダ送り処理を行うカレンダ制御部A2とを備えている。カレンダ制御部A2は、上述したばねスイッチ300,310、320、321、332およびフォトリフレクタ(図中PRで示す)と電気的に接続されており、24時検出車94に設けられたばねスイッチ300が閉状態となった場合に、カレンダ送り処理として、オートカレンダ機構を1日分だけ回転駆動する1日送り処理と、送られた日を検出して非存在日であるか否かを判定するカレンダ検出処理と、非存在日であると判断すると、実際の存在日を表示させるべくオートカレンダ機構を駆動していわゆる月末補正を行うカレンダ補正処理とを実行する。
【0038】
図11は、カレンダ送り処理を示すフローチャートである。また、図12は、このカレンダ送り処理時の1日送り処理のときのタイミングチャートを示す図である。カレンダ制御部A2は、まず、時刻が「午前零時」になり、図12に示すように、24時検出車94に設けられたばねスイッチ310が閉じてこのばねスイッチ310に接続された端子がHレベルに切り替わったことを検出すると、(ステップS1)、日付機構駆動部Fに対して日送信号(スタート信号)を出力する。この場合、日付機構駆動部Fが圧電アクチュエータ71駆動用の交流信号を出力することにより、ロータ72が回転駆動されてオートカレンダ機構が駆動される(ステップS2)。そして、ロータ72の送り量が1日分の送り量となり、ロータ72の送り量検出用のばねスイッチ300が開から閉に切り替わり、このばねスイッチ300に接続された端子がHレベルからLレベルに切り替わったことを検出すると、日付機構駆動部Fに対してストップ信号を出力してオートカレンダ機構の駆動を停止させる(ステップS3)。以上が1日送り処理である。このように、圧電アクチュエータ71の駆動時にばねスイッチ300でロータ72の送り量を検出するように構成しているので、比較的消費電力が多いフォトリフレクタでロータ72の送り量を検出する場合に比して、圧電アクチュエータ71の駆動と、ロータ72の送り量検出とを同時に行う場合の消費電力を低くすることが可能となっている。
【0039】
続いて、カレンダ制御部A2は、カレンダ検出処理を実行する。具体的には、カレンダ制御部A2は、まず、端子CS1の検出を行い(ステップS4)、検出した電位(HレベルかLレベル)に基づいて、現在表示されている月が「大の月」か否かを判定する(ステップS5)。具体的には、図7に示すように、カレンダ制御部A2は、端子CS1はLレベルであれば「大の月」と判定する。「大の月」と判定すると、「大の月」は非存在日が存在しない月であるため、存在日を表示していると判定でき、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
【0040】
ステップS5において、現在表示されている月が「大の月」でない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する(端子CS1がHレベル))と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子PT3に対応するフォトリフレクタを駆動し、このフォトリフレクタの検出結果を端子PT3を介して検出する(ステップS6)。そして、カレンダ制御部A2は、検出した電位に基づいて、現在表示されている「日」が「1〜19日」に該当するか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、図8に示すように、カレンダ制御部A2は、端子PT3がLレベルであれば、「日」の10位の値が「0」か「1」であるため、表示されている「日」が「1〜19日」と判定する。「1〜19日」と判定した場合は、月末補正が不必要な日、つまり、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
【0041】
ステップS7において、現在表示されている「日」が「1〜19日」でない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する(端子PT3がHレベル))と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子PT0〜PT2に対応するフォトリフレクタを駆動し、これらフォトリフレクタの検出結果を端子PT0〜PT2を介して検出する(ステップS8)。なお、これらフォトリフレクタはタイミングをずらして駆動することが好ましい。このように複数のフォトリフレクタの駆動タイミングをずらすことによって、駆動電源の定格電流を超えてしまう場合を回避することができる。そして、カレンダ制御部A2は、端子PT0〜PT2の検出結果の組み合わせから現在表示されている日が、「20〜28日」に該当するか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、カレンダ制御部A2は、図8に示すように、端子PT2がLレベルで、かつ、端子PT1がHレベル或いは端子PT0がLレベルの場合に「20〜28日」であると判定する。「20〜28日」と判定した場合は、大の月と小の月の両方に必ず存在する日であるため、存在日と判定でき、カレンダ制御部A2は、カレンダ送りの処理を終了する。
【0042】
すなわち、カレンダ制御部A2は、まず、現在表示されている月が「大の月」か否かを判定し、「大の月」でない場合にのみ日の検出を行う。従って、現在表示されている月が「大の月」の場合は、日や年の検出を行わないので、その分、カレンダ検出に要する電力を節約することが可能となる。また、「大の月」でない場合、カレンダ制御部A2は、一つのフォトリフレクタだけを駆動してその検出結果から現在表示されている日が「1〜19日」か否かを判定し(すなわち、日の10位が小の月と大の月に必ず存在する「1」か「0」に該当するか否かを判定し)、該当しない場合にのみ他のフォトリフレクタを駆動して日の1位の検出を行う。従って、日の1位が「1」か「0」の場合は日の10位の検出を行う必要がないので、その分、カレンダ検出に要する電力を節約することができる。
【0043】
また、ステップS9において、現在表示されている日が「20〜28日」ではない(すなわち月末補正を必要とする設定暦情報に該当する)と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS0と端子CS2の検出を行い(ステップS10)、現在表示されている、年、月および日を全て検出する。以上がカレンダ検出処理であり、次にカレンダ補正処理を説明する。
【0044】
まず、カレンダ制御部A2は、検出した年月日に基づいて現在表示されている日が「31日」か否か、具体的には、図8に示すように、端子PT1と端子PT0とがHレベルか否かを判定する(ステップS11)。「31日」と判定した場合、カレンダ制御部A2は、現在表示されている月が「2月を除く小の月」か否か、具体的には、端子CS1と端子CS0とがHレベルか否かを判定し(ステップS12)、「2月を除く小の月」と判定すると、非存在日が表示されていると判定できるため、存在日が表示されるように、日付機構駆動部Fに対して日送信号を出力してオートカレンダ機構を1日分回転駆動させ(ステップS13)、このカレンダ送り処理を終了する。
【0045】
ところで、この腕時計1においては、発電部Bが所定期間(例えば3日間)継続して発電していない場合に、通常の動作モードから、運針機構Eとオートカレンダ機構の駆動を停止して節電を図る節電モードに切り換え、発電部Bの発電が検出されると、内部の時計回路で計測していた現在時刻を表示するまで運針機構Eを高速駆動すると共に、その節電モードの経過日数分だけ日付を進めるべく、オートカレンダ機構を回転駆動させて時刻およびカレンダを現在のものに復帰させる機能を具備している。この復帰の際、節電モードの期間が例えば2年以下の場合は通常のカレンダ送りと同回転方向の正回転でオートカレンダ機構を駆動する一方、例えば、2年以上4年以下の場合は逆回転でオートカレンダ機構を駆動し、これにより、オートカレンダ機構の回転駆動量が少ない回転方向に回転駆動させて高速復帰と低消費電力との両立を図るようになっている。
しかしながら、このオートカレンダ機構の復帰は、月末修正を考慮せずに、単に節電モードの経過日数分だけ日付を進めるものであるため、「2月31日」、「2月30日」、および平年の「2月29日」を表示してしまう場合が生じる。本実施形態ではかかる復帰動作を行った場合にもステップS4移行の処理が実施され、この場合も考慮してカレンダ補正処理が規定されている。
【0046】
具体的には、ステップS12の処理において、「2月を除く小の月」ではない、つまり、「2月31日」を表示していると判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定し(ステップS14)、正転の場合はステップS13に移行し、オートカレンダ機構を1日分回転駆動させて「3月1日」を表示させた後、このカレンダ送り処理を終了する。一方、正転でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS2の検出結果に基づいて閏年か否かを判定し(ステップS15)、閏年の場合は、オートカレンダ機構を2日分逆転駆動させて「2月29日を表示させ(ステップS16)、閏年でない場合は、オートカレンダ機構を3日分逆転駆動させて「2月28日」を表示させた後(ステップS17)、カレンダ送り処理を終了する。これにより、正転又は逆転により「2月31日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS15〜S17の処理を省略すればよい。
【0047】
また、ステップS11において、「31日」でないと判定した場合、カレンダ制御部A2は、「2月を除く小の月」の「30日」か否か、具体的には、端子CS0がLレベルで、端子PT2がHレベルであったか否かを判定する(ステップS20)。「2月を除く小の月」の「30日」と判定すると、カレンダ制御部A2は、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ送りの処理を終了する。
【0048】
このステップS20において、「2月を除く小の月」の「30日」でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、「2月30日」か否か、具体的には、端子CS0がHレベルで、端子PT2がHレベルであったか否かを判定する(ステップS21)。「2月30日」と判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定し(ステップS22)、正転の場合は、オートカレンダ機構を2日分回転駆動させて「3月1日」を表示させた後(ステップS23)、このカレンダ送り処理を終了する。
【0049】
また、正転でない(逆転)と判定すると、カレンダ制御部A2は、端子CS2の検出結果に基づいて閏年か否かを判定し(ステップS24)、閏年でない場合は、ステップS23に移行し、オートカレンダ機構を2日分逆転駆動させて「2月28日」を表示させ、閏年の場合は、オートカレンダ機構を1日分逆転駆動させて「2月29日」を表示させた後(ステップS25)、カレンダ送り処理を終了する。これにより、正回転又は逆回転で「2月30日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS20〜S25の処理を省略することができる。
【0050】
また、ステップS21において、「2月30日」でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、閏年の2月か否かを判定し、具体的には、端子CS2がLレベルであったか否かを判定し(ステップS26)、閏年の2月と判定すると、存在日を表示していると判定できるため、カレンダ送りの処理を終了する。
【0051】
このステップS26において、閏年の2月でないと判定すると、カレンダ制御部A2は、オートカレンダ機構の復帰時の回転方向が正転(正回転)だったか否かを判定する(ステップS27)、そして、カレンダ制御部A2は、正転の場合はオートカレンダ機構を3日分回転駆動させて「3月1日」を表示させ(ステップS28)、逆転の場合は、オートカレンダ機構を1日分回転駆動させて「2月28日」を表示させた後(ステップS29)、カレンダ送りの処理を終了する。これにより、正回転又は逆回転で「2月29日」が表示された場合も適切に存在日に補正することが可能となっている。
なお、上記節電モードの機能を具備しない腕時計にあっては、ステップS27〜S29の処理を省略することができる。
【0052】
次に、カレンダ表示修正機構について説明する。
この電子時計は、外部操作部材を構成するリューズ399(図1)を備え、このリューズ399には、図3及び図14に示すように、巻真400が連結される。この巻真400には、第1カレンダ修正伝え車401が連結され、この第1カレンダ修正伝え車401には第2カレンダ修正伝え車(相歯車)402が連結される。この第2カレンダ修正伝え車402には第3カレンダ修正伝え車403が噛み合い自在(図15参照)になっており、この第3カレンダ修正伝え車403は、第4カレンダ修正伝え車404に噛み合う。この第4カレンダ修正伝え車404は、かな404aを備え、このかな404aは、制御車78上流の中間車76に噛み合う。これらは修正輪列を構成する。
【0053】
本構成では、第3カレンダ修正伝え車403が、図14又は図15に示すように、レバー(弾性部材)405の一端405aに保持される。
このレバー405はピン406で地板303にピン連結され、その他端(ばね部)405bは固定部407に当接している。レバー405の一端405aには、略S字状の開口孔405cが形成されると共に、地板303には、この開口孔405cに連通する長孔303aが形成され、これら孔303a,405cの交差部を貫通して、図16に示すように、第3カレンダ修正伝え車403の回転軸403aが嵌合されている。また、図14又は図15に示すように、レバー405の一端405aには、地板303側に折れ曲がる操作片405dが一体に形成され、この操作片405dは、地板303に形成された開口(図示せず)を貫通して、地板303の裏側に突出し、当該裏側に延在するかんぬき410の一端410aに係合している。
【0054】
このかんぬき410は、地板303の裏側において、略円弧状に延出し、その他端410bが、ピン411を介して、地板303にピン連結され、その先端部には、かんぬき410に対し、ピン411回りの時計方向への回転力を付与する機構(かんぬきばね部)412が一体に形成されている。
413は、かんぬき押さえ、414は、おしどりである。このおしどり414は、図14に示すように、ピン445を介して、地板303にピン連結されている。このおしどり414は、おしどりダボ414aを備え、このおしどりダボ414aは、かんぬき押さえ413のばね窪み部413aに位置決めされ、これによって、おしどり414のピン445基準の回転が規制されている。
また、おしどり414の先端414bは、巻真400に形成された凹部400bに嵌り、これにより、先端414bが位置決めされている。
かんぬき410には、かんぬきばね部412のばね力により、ピン411回りに時計方向の回転力が作用するが、かんぬき410の回転力は、おしどり414の係止部414cによって受け止められ、このかんぬき410は、その位置で停止する。レバー405は、レバー自身(ばね部405b)のばね力により、ピン406を中心に、反時計方向に回転力を持っており、この回転力は、レバー曲げ下げ部(操作片)405dと、かんぬき410の一端410aとの係合によって受け止められ、これによって、レバー405が位置決めされている。
【0055】
レバー405の中間部には、図14に示すように、押動部405eが一体に形成されている。この押動部405eは、ロータ72を支持する支持アーム415に対向しており、レバー405が、図15に示すように、ピン406回りを反時計方向に揺動した場合には、支持アーム415に当接して、この支持アーム415を押動し、ロータ72と圧電アクチュエータ71とを離間させる。これらは脱着手段を構成する。この支持アーム415は、ピン416を介して、地板303に支持されると共に、軸417に巻回された押しばね418を介して、ピン416の回りを反時計方向に常時付勢される。
本構成では、この押しばね418により、ロータ72が圧電アクチュエータ71に押圧されている。また、本構成では、上記レバー405のばね部405bのばね力が、この圧電アクチュエータ71に対する、押しばね418による押圧力を打ち消し合う方向に作用している。
【0056】
次に、カレンダ表示修正動作を説明する。
リューズ399は多段階に亘って軸方向に引き出し自在である。
図14は、リューズ399の引き出しがない通常時の状態を示す。この場合、おしどりダボ414aが、かんぬき押さえ413のばね窪み部413aに位置決めされ、おしどり414の回転が規制されると共に、おしどり先端414bが、巻真400に形成された凹部400bに嵌り、これにより、おしどり先端414bが位置決めされている。また、かんぬき410は、おしどり414の係止部414cに係止し、その位置で停止している。さらに、レバー405は、その操作片405dと、かんぬき410の一端410aとの係合によって係止し、その位置に停止している。
この状態では、上述した孔303a,405cの交差部が図示の位置に移動しており、当該交差部に回転軸403aが嵌まった第3カレンダ修正伝え車403が、図示の位置に移動する。従って、この第3カレンダ修正伝え車403と、第2カレンダ修正伝え車402との噛み合いが解除され、この状態では、リューズ399を回転させたとしても、その操作力が、第3カレンダ修正伝え車403、及びそれ以降の歯車に伝達されることはない。
【0057】
カレンダ表示修正を行う場合には、図15に示すように、リューズ399を1段引き出す。この状態に至ると、おしどり先端414bが、巻真400の凹部400bによって1段分引き出され、これによって、おしどり414が、ピン445回りを時計方向に回転し、おしどり414の係止部414cと、かんぬき410との係合が解除される。すると、かんぬき410が、機構412のばね力によって、ピン411回りを時計方向に回転し、これにより、上述した操作片405dに対する押動状態が解除されて、レバー405が、そのばね力によって、ピン406回りを反時計方向に揺動する(レバーの切換動作)。
この状態に至ると、孔303a,405cの交差部が図示の位置に移動し、当該交差部に回転軸403aが嵌まった第3カレンダ修正伝え車403が図中右方に移動して、この第3カレンダ修正伝え車403が、第2カレンダ修正伝え車402に噛み合うと同時に、上述したレバー405の押動部405eが、支持アーム415を押動し、ロータ72と圧電アクチュエータ71との間が離間する。
【0058】
この状態で、リューズ399を回転させると、その操作力が、第1カレンダ修正伝え車401、第2カレンダ修正伝え車402、第3カレンダ修正伝え車403、第4カレンダ修正伝え車404の順に伝達され、そこから、かな404aを介して中間車76に伝達され、さらに、制御車78に伝達される。そして、リューズ399の回転数に対応し、制御車78を介して、1位の日車89や、日回し車87等が適宜回転され、これによって、カレンダ表示の修正が行われる。この場合、リューズ399の回転力は、中間車76に伝達されるため、それが、制御車78に伝達されるばかりでなく、中間車かな75a、中間車75、中間車かな74a、中間車74、及びロータかな72aにも伝達される。
【0059】
本実施形態では、カレンダ表示修正が行われる場合、上述したレバー405の押動部405eが、支持アーム415を押動して、ロータ72と圧電アクチュエータ71との間が離間する。従って、従来のように、圧電アクチュエータ71とロータ72の摺動がなくなり、鏡面仕上げされたロータ72の外周面に傷や摩耗等が付くことがない。これによれば、カレンダ表示時におけるロータ72の送り精度の低下が抑制され、耐久性に優れたものになる。
【0060】
図17及び図18は、別の実施形態を示す。上記実施形態の構成部分と同一部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態では、カレンダ表示修正時に、ロータ72と圧電アクチュエータ71との間を離間させる場合、圧電アクチュエータ71側を移動させる。すなわち、この圧電アクチュエータ71は、ピン500を介して、地板303にピン連結されている。そして、この圧電アクチュエータ71は、ピン502に巻回された押圧ばね501により、ピン500を支点にして、反時計方向に常時付勢され、これによって、圧電アクチュエータ71は、ロータ72側に押圧されている。また、第3カレンダ修正伝え車403を支持したレバー405の中間部には、押動部405fが一体に形成され、この押動部405fは、圧電アクチュエータ71を支持する支持部503に対向している。
【0061】
図17は図14相当図であり、図18は図15相当図である。
図18に示すように、リューズ399を1段引き出すと、おしどり先端414bが、巻真400の凹部400bによって1段引き出され、これによって、おしどり414が、ピン445回りを時計方向に回転し、おしどり414の係止部414cと、かんぬき410との係合が解除される。すると、かんぬき410が、機構412のばね力によって、ピン411回りを時計方向に回転し、これにより、上述した操作片405dに対する押動状態が解除され、レバー405が、そのばね力によって、ピン406回りを反時計方向に揺動する。
この状態に至ると、孔303a,405cの交差部が図示の位置に移動し、当該交差部に回転軸403aが嵌まった第3カレンダ修正伝え車403が図中右方に移動して、この第3カレンダ修正伝え車403が、第2カレンダ修正伝え車402に噛み合うと同時に、上述したレバー405の押動部405fが、支持部503を押動し、これによって、圧電アクチュエータ71が揺動し、ロータ72と圧電アクチュエータ71とが離間する。
【0062】
この状態で、リューズ399を回転させると、その操作力が、第1カレンダ修正伝え車401、第2カレンダ修正伝え車402、第3カレンダ修正伝え車403、第4カレンダ修正伝え車404の順に伝達され、そこから、かな404aを介して中間車76に伝達され、さらに、制御車78に伝達される。そして、リューズ399の回転数に対応し、制御車78を介して、1位の日車89や、日回し車87等が適宜回転され、これによって、カレンダ表示の修正が行われる。この場合、リューズ399の回転力は、中間車76に伝達されるため、それが、制御車78に伝達されるばかりでなく、中間車かな75a、中間車75、中間車かな74a、中間車74、及びロータかな72aにも伝達される。
【0063】
本実施形態では、カレンダ表示修正が行われる場合、上述したレバー405の押動部405fが、圧電アクチュエータ71を押動して、ロータ72と圧電アクチュエータ71とが離間するため、従来のように、圧電アクチュエータ71とロータ72の摺動がなくなり、鏡面仕上げされたロータ72の外周面に傷や摩耗等が付くことがない。これによれば、カレンダ表示時におけるロータ72の送り精度の低下が抑制され、耐久性に優れたものになる。
【0064】
上述の実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変更可能である。上述の実施形態では、脱着手段が、圧電アクチュエータ71とロータ72との間を離間状態としたが、これに限定されるものではなく、圧電アクチュエータ71と、この圧電アクチェータ71によって駆動される動力伝達手段との間を離間状態とするものであれば、どのような手段であってもよい。また、上述の実施形態では、外部操作部材をリューズ399として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば外部操作部材を電子スイッチによる押しボタンで構成してもよい。さらに、上述の実施形態では、圧電アクチュエータ71によりオートカレンダ機構を駆動する場合について例示したが、それにより時分針等で表示する時刻表示機構を駆動する場合、或いは圧電アクチュエータ71によりオートカレンダ機構及び時刻表示機構を同時駆動する場合にも適用が可能である。なお、本発明の実施形態では、太陽暦を使用したもので説明したが、太陰暦に使用してもよい。
【0065】
また、上述の実施形態では、発電により電力を腕時計1の各部に供給する構成を例示したが、この腕時計1は、発電の代わりに一次電池を備える構成であってもよい。さらに、上述の実施形態では、本発明を腕時計に適用する場合を例示したが、懐中時計などの携帯型の時計や置き時計などの固定型の時計にも適用可能である。また、携帯型、固定型を問わず、標準時刻を示す電波(例えばJJY)を受信して時刻を修正する電波時計にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る腕時計の外観構成を示す図である。
【図2】腕時計のオートカレンダ機構を示す図である。
【図3】オートカレンダ機構の拡大図である。
【図4】ロータの送り量検出用のばねスイッチを説明するための図である。
【図5】年検出および月検出のためのばねスイッチを説明するための図である。
【図6】年情報検出パターンの一例を示す図である。
【図7】月情報検出パターンの一例を示す図である。
【図8】日情報検出パターンの一例を示す図である。
【図9】腕時計の電気的構成を機械的構成と共に示す図である。
【図10】制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図11】カレンダ送り処理を示すフローチャートである。
【図12】1日送り処理のときのタイミングチャートを示す図である。
【図13】変形例に係る日情報検出パターンの一例を示す図である。
【図14】カレンダ修正機構を示す図である。
【図15】同カレンダ修正機構を示す図である。
【図16】カレンダ修正機構の一部を示す断面図である。
【図17】別の実施形態によるカレンダ修正機構を示す図である。
【図18】同カレンダ修正機構を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1…腕時計、10、20…ステッピングモータ、71…圧電アクチュエータ、72…ロータ、78…制御車、89…1位の日車、92…10位の日車、204…月表示窓、205…24時表示部、206…月表示部、208…年表示部、399…リューズ(外部操作部材)、400…400、401…第1カレンダ修正伝え車、402…第2カレンダ修正伝え車、403…第3カレンダ修正伝え車、404…第4カレンダ修正伝え車、405…レバー、405d…操作片、405e、405f…押動部、410…かんぬき、413…かんぬき押さえ、414…おしどり。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電アクチュエータと、前記圧電アクチェータによって駆動される動力伝達手段と、前記動力伝達手段によって駆動される暦表示車及び/又は時刻表示車と、前記暦表示車及び/又は時刻表示車の表示位置の修正を行わせる修正機構と、前記修正機構の操作を行わせる外部操作部材とを備えた電子時計において、
前記表示位置の修正を行わない場合、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを係合状態にすると共に、前記表示位置の修正を行う場合、前記外部操作部材の操作に連動して、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを離間状態とするように切換可能な脱着手段を備えたことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記動力伝達手段が、圧電アクチュエータにより駆動されるロータを備え、前記表示位置の修正を行う場合には、前記脱着手段が、このロータと圧電アクチュエータとを離間状態とすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれか一方が固定され、
前記脱着手段が、残りの他方を押動させて、前記いずれか一方から離間させることを特徴とする請求項2記載の電子時計。
【請求項4】
前記脱着手段が、修正機構の歯車を保持する弾性部材を備え、
この弾性部材が作動して、当該弾性部材に保持された歯車が、それに噛み合うべき修正機構の相歯車に噛み合うとき、当該弾性部材の一部が、前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれかに当接して、それを押動させることを特徴とする請求項2又は3記載の電子時計。
【請求項5】
前記弾性部材がばね付勢され、
当該弾性部材が外部操作部材による切換動作によってばね力に抗して作動することを特徴とする請求項4記載の電子時計。
【請求項6】
前記弾性部材のばね付勢力が、
前記圧電アクチュエータの押圧力を打ち消し合う方向に作用することを特徴とする請求項5記載の電子時計。
【請求項7】
前記外部操作部材の操作が、
リューズ回転操作による機械的な動力伝達操作であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の電子時計。
【請求項1】
圧電アクチュエータと、前記圧電アクチェータによって駆動される動力伝達手段と、前記動力伝達手段によって駆動される暦表示車及び/又は時刻表示車と、前記暦表示車及び/又は時刻表示車の表示位置の修正を行わせる修正機構と、前記修正機構の操作を行わせる外部操作部材とを備えた電子時計において、
前記表示位置の修正を行わない場合、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを係合状態にすると共に、前記表示位置の修正を行う場合、前記外部操作部材の操作に連動して、前記圧電アクチュエータと前記動力伝達手段とを離間状態とするように切換可能な脱着手段を備えたことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記動力伝達手段が、圧電アクチュエータにより駆動されるロータを備え、前記表示位置の修正を行う場合には、前記脱着手段が、このロータと圧電アクチュエータとを離間状態とすることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれか一方が固定され、
前記脱着手段が、残りの他方を押動させて、前記いずれか一方から離間させることを特徴とする請求項2記載の電子時計。
【請求項4】
前記脱着手段が、修正機構の歯車を保持する弾性部材を備え、
この弾性部材が作動して、当該弾性部材に保持された歯車が、それに噛み合うべき修正機構の相歯車に噛み合うとき、当該弾性部材の一部が、前記圧電アクチュエータ又は前記ロータのいずれかに当接して、それを押動させることを特徴とする請求項2又は3記載の電子時計。
【請求項5】
前記弾性部材がばね付勢され、
当該弾性部材が外部操作部材による切換動作によってばね力に抗して作動することを特徴とする請求項4記載の電子時計。
【請求項6】
前記弾性部材のばね付勢力が、
前記圧電アクチュエータの押圧力を打ち消し合う方向に作用することを特徴とする請求項5記載の電子時計。
【請求項7】
前記外部操作部材の操作が、
リューズ回転操作による機械的な動力伝達操作であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の電子時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−118967(P2006−118967A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306640(P2004−306640)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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