説明

電子機器用スタンド装置及び電子機器

【課題】 デザイン設計の自由度を大きく確保しながら、十分な機械的強度を確保する。
【解決手段】 スピーカ部11を支持する一対の支持脚14a,14bと、一対の支持脚14a,14bの間に配設される有色透明の補強板17とを備える。一方の支持脚14aは、内部に中空部19を有し、この中空部19に接続コード21が挿通される。一対の支持脚14a,14bの内面13aは、補強板17に対して外開きの傾斜面となるように形成されていると共に表面が鏡面であり、補強板17の着色が写り込み、補強板17を厚く見せることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ等の電子機器のスタンド装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
音質の向上が図られたスピーカは、大型であり、非常に重いものとなっている。これに伴い、このスピーカを支持するスタンド装置も、大型化されたスピーカを安定して支持できるだけの大きさと機械的強度が必要である。更に、スタンド装置は、支持するスピーカの意匠との統一性を図る必要があり、その強度設計は、デザイン設計の自由度を確保することができるように行う必要がある。
【0003】
また、スタンド装置は、機械的強度を十分に確保しながらも、その構成部材を小型化や薄型化すると、そのデザインによっては、ユーザに機械的強度不足を感じさせてしまうこともある。
【0004】
以上のようなスタンド装置に求められる要求は、スピーカに限られず、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)と言った大型で薄型ディスプレイの電子機器のスタンド装置にも求められる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−040567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デザイン設計の自由度を大きく確保しながら、その一方で十分な機械的強度を確保することができるようにした電子機器用スタンド装置及び電子機器を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、支持する機器本体に対して十分な機械的強度を有しながらもその構造を簡素化し製造コストの削減を図り、更に、ユーザに対して安定感を感得させることができる電子機器用スタンド装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器用スタンド装置は、電子機器を支持する一対の支持脚と、上記一対の支持脚の間に配設される補強板とを備える。少なくとも一方の支持脚は、内部が中空であり、上記電気機器に接続される接続コードが挿通される。上記一対の支持脚は、上記補強板と隣接する面が上記補強板に対して垂直面又は外開きの傾斜面となるように形成されていると共に表面が鏡面加工されている。上記補強板は、有色であり、鏡面加工された支持脚に写り込む。
【0009】
また、本発明に係る電子機器は、機器本体と、上記機器本体を支持するスタンドとを備える。上記スタンドは、上記機器本体を支持する一対の支持脚と、上記一対の支持脚の間に配設される補強板とを有する。少なくとも一方の支持脚は、内部が中空であり、上記電気機器に接続される接続コードが挿通される。上記一対の支持脚は、上記補強板と隣接する面が上記補強板に対して垂直面又は外開きの傾斜面となるように形成されていると共に表面が鏡面加工されている。上記補強板は、有色であり、鏡面加工された支持脚に写り込む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部が中空の一対の支持脚と補強板とで電子機器を十分な機械的強度で支持することができる。そして、補強板を有色とし、支持脚を鏡面加工することによって、補強板が支持脚に写り込むようにする。これにより、看者に、補強板が厚く見え、電子機器がより安定してスタンドに支持されているように感得させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用したスピーカ装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明を適用したスピーカ装置10は、5.1チャンネル・サラウンドシステム1に用いられるスピーカ装置である。すなわち、この5.1チャンネル・サラウンドシステム1では、フロント・レフト・チャンネルの音声データを放音するスピーカ装置2と、フロント・ライト・チャンネルの音声データを放音するスピーカ装置3と、フロント・センタ・チャンネルの音声データを放音するスピーカ装置4と、リア・レフト・チャンネルの音声データを放音するスピーカ装置5と、リア・ライト・チャンネルの音声データを放音するスピーカ装置6と、サブウーハ専用チャンネルの音声データを放音するスピーカ装置7とを備える。本発明を適用したスピーカ装置10は、このうち、フロント・レフト・チャンネル用のスピーカ装置2やフロント・ライト・チャンネル用のスピーカ装置3に用いられる。なお、本発明を適用したスピーカ装置10は、リア・レフト・チャンネル用のスピーカ装置5やリア・ライト・チャンネル用のスピーカ装置6に用いるようにしても良い。
【0013】
図2に示すように、本発明を適用したスピーカ装置10は、所定周波数の音響信号を放音するスピーカ部11と、このスピーカ部11を支持するスタンド部12とから構成されている。このスピーカ装置10は、全体が金属光沢を有するようにスピーカ部11とスタンド部12の意匠が統一されている。また、スピーカ装置10は、スピーカ部11の高さが500mmとされ、スタンド部12の高さが600mmとされ、全体が1100mmとなるように形成され、スピーカ部11を設置面から離れた高所に位置させるようになっている。
【0014】
スピーカ部11は、全体が略矩形板状をなし薄型に形成され、例えば厚さが30mm程度とされている。スピーカ部11の内部には、一又は複数のスピーカ素子が配設されている。また、スピーカ部11の前面には、ネット部11aが設けられている。このネット部11aは、金属薄板に多数の微小孔でなる放音孔を形成して構成されている。
【0015】
以上のようなスピーカ部11を支持するスタンド部12は、図2及び図3に示すように、略矩形をなす枠体13を備える。この枠体13は、互いに平行な長辺がスピーカ部11を支持する一対の支持脚部14a,14bとなり、互いに平行な短辺が支持脚部14a,14bを連結する連結部15a,15bとなる。そして、枠体13は、支持脚部14a,14b及び連結部15a,15bに囲まれた領域に矩形の開口部16が形成されている。なお、この枠体13は、スピーカ部11の幅と同じ幅であり、スピーカ部11と枠体13が段差なく連続するように形成されている。
【0016】
この枠体13は、金属板を折曲して又は合成樹脂をモールド成形してなるものであり、その表面にクロムメッキ等が施され、鏡面加工がなされている。図3に示すように、枠体13の開口部16には、背面側に、枠体13の補強板17が取り付けられる。この補強板17は、ガラス又はアクリル等の合成樹脂で形成された有色透明の透光板であり、枠体13の開口部16を閉塞することができるように、開口部16と略同じ大きさで略矩形をなすように形成されている。この補強板17は、その厚さが例えば6mmである。この補強板17は、僅かに着色されることによって、その色が鏡面加工された枠体13に写り込むようになっている。
【0017】
枠体13の開口部16の内周面、具体的に、少なくとも支持脚部14a,14bの内面背面側には、図3及び図4に示すように、この補強板17を取り付ける取付溝18が形成されている。取付溝18には、補強板17の長辺が係合されることによって、開口部16内に固定されることになる。なお、補強板17は、更に、連結部15a,15bの内面背面側に形成された更なる取付溝に係合させることによって、更に強固に枠体13に取り付けるようにしても良い。以上のように枠体13は、背面側に開口部16を閉塞するように補強板17が取り付けられると、開口部16に略矩形をなす有底の凹部が構成されることになる。
【0018】
この枠体13の少なくとも支持脚部14a,14bは、内部にほぼ上端から下端に亘って中空部19を設け断面を略矩形の枠状にし、1枚の板材で形成したときよりも機械的強度が高められている。そして、この中空部19には、スタンド部12の上側に取り付けられるスピーカ部11に電気的に接続される一又は複数の接続コード21が挿通される。接続コード21は、スピーカ部11との接続端が支持脚部14a,14bの一端に設けられた貫通孔22より導出されてスピーカ部11と電気的に接続され、他端が図示しないが支持台の背面より外部に導出される。
【0019】
ところで、図1に示すように、5.1チャンネル・サラウンドシステム1では、スピーカ装置2〜7の略中央位置にユーザ8が居る。そこで、枠体13の支持脚部14a,14bの内面13aは、図3及び図4に示すように、枠体13の開口部16に取り付けられた補強板17に対して外開きの傾斜面となるように形成され、補強板17の色が内面13aに写り込み、この写り込みを正面側に居るユーザから目視することができるようになっている。これにより、実際に補強板17は、枠体13の背面側に取り付けられているに過ぎないが、スピーカ装置10の前方に居るユーザは、枠体13の厚さTと同じ厚さの補強板17が存在するように見えることになる。また、連結部15a,15bの内面13bは、補強板17に対して垂直面となるように形成され、支持脚部14a,14bと同様に、補強板17の色が写り込むように形成されている。
【0020】
なお、支持脚部14a,14bの内面13aの傾斜面は、補強板17に対して垂直面であっても良い。また、この内面13aの補強板17に対する角度は、好ましくは61°〜90°である。
【0021】
図5に示すように、枠体13の上側の連結部15aは、スピーカ部11を取り付ける部分となる。スピーカ部11が取り付けられる連結部15aは、枠体13側に一体的に取り付けられた取付部材31にスピーカ部11の下側に一体的に取り付けられた受け部材41とによって構成される。
【0022】
枠体13側の取付部材31は、枠体13よりやや長さ及び幅を短くし、枠体13の連結部15aの内面13bを構成する連結板32に、取付片33,33が設けられてなる。取付片33,33には、スピーカ部11を固定するための貫通孔34,34が形成されている。なお、取付片33,33は、一体の一の片で構成し、この一の片に貫通孔34,34を形成するようにしても良い。
【0023】
一方、スピーカ部11の下側に固定される受け部材41は、取付部材31の連結板32が嵌合される嵌合部42にスピーカ部11が固定される固定部43が設けられてなる。嵌合部42は、凹部で構成され、連結板32が嵌合される。この嵌合部42は、その表面が連結部15aの一部を構成する。また、固定部43は、嵌合部43に一体的に略凸状に形成され、内部が中空で取付片33,33が挿入されるようになっている。固定部43には、取付片33,33が挿入されたとき、取付片33,33の貫通孔34,34と一致する貫通孔44,44が形成されている。
【0024】
以上のような受け部材41は、取付片33,33を固定部43に挿入し、更に、嵌合部42に連結板32を嵌合させるようにして、取付部材31に取り付けられる。そして、スタンド部12には、スピーカ部11が一致した取付片33,33の貫通孔34,34と固定部43の貫通孔44,44に固定部材を挿通することにとって、一体的に固定されることになる。
【0025】
また、スタンド部12は、枠体13の下側に略円形の支持台22が取り付けられる。枠体13は、支持台22の略中央にねじ等で固定されることによって、スピーカ部11を安定して支持することができる。
【0026】
以上のようにスタンド部12でスピーカ部11を支持してなるスピーカ装置10は、スピーカ部11が大型で重い部分となる。この点、スタンド部12を構成する枠体13の支持脚部14a,14bは、図3及び図4に示したように、中空部19を設け断面を略矩形の枠状にしたので、機械的強度を十分に確保することができると共に、中空部19を接続コード21の挿通孔として利用することができる。
【0027】
更に、枠体13の開口部16には、図3及び図4に示すように、補強板17が固定されることから、更に、枠体13の機械的強度を補強することができる。この補強板17は、枠体13の厚さTが30mmなのに対して6mmの厚さで形成され、スタンドとしての機械的強度を十分に確保しながらも枠体13の厚さに比べて薄く形成され、コスト削減と軽量化が図られている。この点、補強板17を囲む枠体13の内面13a,13bは、補強板17に対して垂直又は外開きの傾斜面で形成され、更に、鏡面加工が施されていることから、枠体13の色が写り込み、これにより、恰も枠体13の厚さと同じ厚さの補強板17が用いられているようにユーザ8に感得させることができる。したがって、スピーカ装置10は、重厚なスタンド部12によって大型のスピーカ部11が支持されているようにユーザ8に印象づけることができる。
【0028】
また、補強板17の部分は、有色にすることによって、その色が枠体13の内面13a,13bに写り込むようにしているが、この部分は、有色であれば、特にデザイン上の制限はない。したがって、スピーカ装置10は、デザイン設計の自由度を高めることができる。なお、ここで、有色とは、有彩色、黒白灰色等の無彩色、金属色等を含む。
【0029】
更にまた、補強板17に有色で光透過性を有するガラス板やアクリル板を使用すると、枠体13の厚さの有色透明な補強板17が恰も存在するような特殊ば視覚的効果を得ることができる。有色透明な補強板17を枠体13の厚さを有するように形成することは、極めて加工に手間がかかり高価になるが、ここで用いる補強板17は、枠体13より薄いことから、比較的安価に作成することができる。
【0030】
次に、本発明の他の例を図6を参照して説明する。この図6は、本発明を薄型ディスプレイ装置に適用した例である。この薄型ディスプレイ装置50は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)といったディスプレイ部51を、スタンド部52で支持してなる。ここで、このスタンド部52は、上述したスピーカ装置10のスタンド部12と同様な構成を有し、これにより、スタンド部12と同様な作用効果を得ることができる。
【0031】
更に、図6の例は、ディスプレイ部51を一のスタンド部52で支持するようにしたが、更に、図1に示すディスプレイ装置9のように、ディスプレイ部51を、一対のスタンド部53,53で支持するようにしても良い。この場合、それぞれのスタンド部53が、スタンド部12と同様な構成を有することになる。
【0032】
更に、以上の例では、スピーカ部11やディスプレイ部51を本発明を適用したスタンド部12,52,53で支持する場合を説明したが、支持される電子機器は、スピーカや薄型ディスプレイに限定されるものではなく、様々な電子機器のスタンドに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用したスピーカ装置が用いられる5.1チャンネル・サラウンドシステムを示す図である。
【図2】本発明を適用したスピーカ装置の斜視図である。
【図3】本発明を適用しスピーカ装置のスタンド部の斜視図である。
【図4】図3のスタンド部のI−I断面図である。
【図5】スピーカ部とスタンド部の取付を示す斜視図である。
【図6】本発明を適用したスタンド装置を薄型ディスプレイのスタンドに適用した例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 5.1チャンネル・サラウンドシステム、2〜7 スピーカ装置、10 スピーカ装置、11 スピーカ部、12 スタンド部、13 枠体、13a,13b 内面、14a,14b 支持脚部、15a,15b 連結部、16 開口部、17 補強板、18 取付溝、19 中空部、21 接続コード、22 支持台、31 取付部材、32 連結板、33 取付片、34 貫通孔、41 受け部材、42 嵌合部、43 固定部、44 貫通孔、50 薄型ディスプレイ装置、51 ディスプレイ、52,53 スタンド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を支持する一対の支持脚と、
上記一対の支持脚の間に配設される補強板とを備え、
少なくとも一方の支持脚は、内部が中空であり、上記電気機器に接続される接続コードが挿通され、
上記一対の支持脚は、上記補強板と隣接する面が上記補強板に対して垂直面又は外開きの傾斜面となるように形成されていると共に表面が鏡面であり、
上記補強板は、有色であることを特徴とする電子機器用スタンド装置。
【請求項2】
上記補強板は、更に光透過性を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器用スタンド装置。
【請求項3】
機器本体と、
上記機器本体を支持するスタンドとを備え、
上記スタンドは、上記機器本体を支持する一対の支持脚と、
上記一対の支持脚の間に配設される補強板とを有し、
少なくとも一方の支持脚は、内部が中空であり、上記電気機器に接続される接続コードが挿通され、
上記一対の支持脚は、上記補強板と隣接する面が上記補強板に対して垂直面又は外開きの傾斜面となるように形成されていると共に表面が鏡面であり、
上記補強板は、有色であることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
上記補強板は、更に光透過性を有することを特徴とする請求項3記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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