電子機器
【課題】インナーパネルの上面と下面に備える爪を前面パネルの上部及び下部の孔へ嵌合させることによって前面パネルの後面にインナーパネルを固定する電子機器において、専用部材を用いることなく容易にインナーパネルを前面パネルから取り外すことができる電子機器を提供する。
【解決手段】筐体と、コの字型を成し筐体5に固定され前後に貫通する貫通孔を備え上面と下面の両端部分に各々外側へ開口し上下に貫通する孔を備える前面パネル部2と、前面パネル部2の上面及び下面に備えられた孔に嵌合する爪部を備えパネルの貫通孔と相対する位置に貫通する貫通孔を備え裏面に後方へ開口する孔を備える円筒部を有するインナーパネル部3と、操作部4を備え貫通する孔を備える基板6と、基板6をインナーパネル部3に固定する雄ネジ9とを備え、インナーパネル部3は、切り欠き302によって形成されインナーパネル部3の左部分及び右部分を接続する腕部を備える。
【解決手段】筐体と、コの字型を成し筐体5に固定され前後に貫通する貫通孔を備え上面と下面の両端部分に各々外側へ開口し上下に貫通する孔を備える前面パネル部2と、前面パネル部2の上面及び下面に備えられた孔に嵌合する爪部を備えパネルの貫通孔と相対する位置に貫通する貫通孔を備え裏面に後方へ開口する孔を備える円筒部を有するインナーパネル部3と、操作部4を備え貫通する孔を備える基板6と、基板6をインナーパネル部3に固定する雄ネジ9とを備え、インナーパネル部3は、切り欠き302によって形成されインナーパネル部3の左部分及び右部分を接続する腕部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面パネルの裏面に操作部を固定するインナーパネル部が取り付けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器として、オーディオ信号記録装置を例に挙げ説明する。
図10は、従来のオーディオ信号記録装置の一例を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置100は、操作部4、筐体5、前面パネル部200、図示しない入力部、記録部及び制御部を備える。筐体5は、前方が開口する箱型を成す。前面パネル部200の後方には、後述するインナーパネル部が固定される。
図11は、従来のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置100は、基板6、雄ネジ9及びインナーパネル部300を備える。
【0003】
前面パネル部200は、上部及び下部が後方に突出したコの字型を形成するアルミ部材から成り、図示しないネジによって筐体5の前面に固定される。前面パネル部200の上面及び下面の後端には、内側方向へ段差を形成した平面部202及び平面部203をそれぞれ備える。平面部202の左右の端部には、それぞれ上下に貫通する孔210及び孔211を備え、平面部203の左右の端部には、それぞれ上下に貫通する孔212及び孔213を備える。前面パネル部200は、前後に貫通する孔201を備える。
【0004】
インナーパネル部300は、プラスチックなどの樹脂部材から成り、上部及び下部が後方に突出したコの字型を成す。インナーパネル部300は、上面の左右の端部にそれぞれ爪部304及び爪部305を備え、下面の左右の端部にそれぞれ爪部306及び爪部307を備える。インナーパネル部300の上面から下面までの長さは、平面部202の下面から平面部203の上面までの長さより僅かに小さい。インナーパネル部300は、前面パネル部200の後方から平面部202及び平面部203の間をスライドさせながら前方へ挿入することによって、爪部304〜爪部307が平面部202及び平面部203の後端に当接してインナーパネル部300の上面及び下面が内側へ撓み、更にインナーパネル部300を前方へ挿入することにより、爪部304〜爪部307がそれぞれ孔210〜孔213に嵌合し、前面パネル部200の後方に固定される。
【0005】
インナーパネル部300は、前面パネル部200に固定された状態で前面パネル200の孔201と相対する位置に前後に貫通する孔301を備える。インナーパネル部300は、その裏面の両端部分にそれぞれ円筒型を成し後方へ突出する円筒部7を備える。円筒部7は、後方へ開口する孔701を備える。
【0006】
薄い板状を成す基板6は、操作部4を備える。基板6は、さらにインナーパネル部300に取り付けられた状態において、インナーパネル部300の円筒部7と相対する位置に前後に貫通する孔601を備える。雄ネジ9は、基板6の孔601と円筒部7の孔701へ挿入され、ネジ頭部を回転させることによって孔701の内壁にネジ山が形成されながら孔701へ締め付けられる。基板6は、円筒部7の裏面と雄ネジ9のネジ頭部に狭持されることによって、前面パネル部200に固定されたインナーパネル部300に固定される。この状態において、操作部4の先端は、孔301を介して孔201から前方へ突出する。
【0007】
図示しない入力部は、図示しない導電ケーブルを介して他の装置から出力されたオーディオ信号を入力し、図示しない記録部へ出力する。操作部4は、切替えスイッチから成り、操作部4の操作により基板6はオーディオ信号の記録のオン・オフを切替える設定信号を出力する。図示しない制御部は、基板6からオーディオ信号の記録をオンする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号を記録し、基板6からオーディオ信号の記録をオフする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号の記録を停止するよう記録部を制御する。記録部は、制御部の制御により、入力部からのオーディオ信号の記録を開始し、またはオーディオ信号の記録を停止する。
【0008】
以上により、オーディオ信号記録装置100は、他の装置から入力されたオーディオ信号を記録する。
【0009】
近年、環境保護のために、電子機器等に用いた資材を有効利用する資材リサイクル活動が高まりつつある。電子機器を構成する複数の種類の部材をリサイクル活用する場合、それぞれの部材を分離し回収する作業が必要になる。
【0010】
従来のオーディオ信号記録装置100の前面パネル部200及びインナーパネル部300をリサイクル活用する場合、インナーパネル部300を前面パネル部2から分離することが必要となる。爪部304〜爪部307がそれぞれ孔210〜孔213に嵌合した状態で固定されたインナーパネル部300を前面パネル部200から分離するためには、爪部304〜爪部307のそれぞれの爪の頂点が孔210〜孔213よりも内側となるように爪部304〜爪部307のそれぞれの爪部の頂点を前面パネル部2の孔204〜孔207から押圧し、インナーパネル部300の上部及び下部を内側に撓ませた状態で、インナーパネル部300を後方へ引き抜くという手段がある。しかしながら、この作業を行なう過程において、爪部304〜爪部307のうち、いずれか1つの爪部の頂点が孔204〜孔207に当接してしまうと、爪部が孔の内壁に引っ掛かってしまい、インナーパネル部300を後方に引き抜くことができなくなるため、爪部304〜爪部307の全ての頂点を正確に押圧するための作業が非常に煩わしいものとなる。
【0011】
このような、爪部と孔の嵌合により固定された前面パネル部とインナーパネル部とを取り外す方法として、予め前面パネル部に備えた貫通孔からインナーパネル部を後方へ押圧することによって取り外す方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このように、爪部と孔の嵌合により固定された前面パネル部とインナーパネル部とを取り外す場合は、インナーパネル部の上面及び下面に備えた爪部が折れる程度の力でインナーパネル部を前面パネル部の反対方向へ押圧することによって、前面パネルへ固定されたインナーパネル部を取り外すことができる。
【0012】
【特許文献1】特開2001−94268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前面パネル部200の前方からインナーパネル部300が露出してしまうとオーディオ信号記録装置100の外観が損なわれることから、孔301の内径を孔201と略同一とするか、または孔301の内径を孔201より大きくし、前面パネル部200の前方からインナーパネル部300が露出しないようにする必要がある。このため、前面パネル部200の前方からインナーパネル部300を後方へ押圧する部分がなく、インナーパネル部300を前面パネル部2とは反対の方向へ押圧することができない。このため、例えば、前面パネル部200の孔201と異なる箇所に貫通孔を備え、インナーパネル部300の前面がこの貫通穴から露出するようにし、この貫通孔へ棒状の部材から成る専用部材を挿入してインナーパネル部300を前面パネル部200とは反対の方向へ押圧するようにすれば、インナーパネル部300を前面パネル部200から取り外すことができる。しかし、この場合、前面パネル部200の貫通孔からは常にインナーパネル部300が露出してしまい、オーディオ信号記録装置100の外観が損なわれてしまう。また、インナーパネル部300を前面パネル部200から取り外すためには、前述したような専用部材が必要であるため、例えば、専用部材を紛失してしまった場合、この専用部材の代用となる部材を調達して、インナーパネル部300の取り外し作業を行なわなければならず、この取り外し作業に手間が掛かってしまう。
【0014】
本発明は、インナーパネルの上面及び下面に備える爪を前面パネルの上部及び下部の孔へ嵌合させることによって前面パネルの後面にインナーパネルを固定する電子機器において、専用部材を用いることなく容易にインナーパネルを前面パネルから取り外すことができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の請求項1記載の発明は、電子機器において、箱型を成し内部に電子回路を固定する筐体と、上部及び下部が後方へ突出するコの字型を成し前記筐体の前面に固定され前後に貫通する貫通孔を備え上面及び下面の両端部分にそれぞれ外側へ開口し上下に貫通する孔を備える前面パネル部と、前記前面パネル部の上面及び下面に備えられた孔に嵌合する爪部を備え前記パネルの貫通孔と相対する位置に貫通する貫通孔を備え裏面に後方へ開口する孔を備える円筒部を有するインナーパネル部と、前記インナーパネル部の貫通孔から突出し操作時に前記電子回路の動作に関する設定信号を出力する操作部を備え前記インナーパネル部の後方に配設され前記円筒部の孔と相対する位置に貫通する孔を備える基板と、前記基板の孔を介して前記円筒部の孔に締結されることにより前記基板を前記インナーパネル部に固定する雄ネジとを備え、前記インナーパネル部は、前後に貫通する切り欠きによって形成され当該インナーパネル部の左部分及び右部分を接続する腕部を備えることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、前記腕部は、前記前面パネル部に対して垂直方向に直線部分を有し上端部分が前記インナーパネルの左部分または右部分のいずれか一方に接続され下端部分が当該一方と異なる他方に接続される垂直部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電子機器によれば、インナーパネルの上面及び下面に備える爪を前面パネルの上部及び下部の孔へ嵌合させることによって前面パネルの後面にインナーパネルを固定する電子機器において、専用部材を用いることなく容易にインナーパネルを前面パネルから取り外すことができる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来技術で示した構成要素と同一の部分については同符号を用いる。
【0019】
本発明の電子機器の一実施例として、オーディオ信号記録装置を例に挙げ説明する。
図1は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置1は、操作部4、筐体5、前面パネル部2、図示しない入力部、記録部及び制御部を備える。筐体5は、前方が開口する箱型を成す。前面パネル部2の後方には、後述するインナーパネル部が固定される。
図2は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置1は、基板6、雄ネジ9及びインナーパネル部300を備える。
【0020】
筐体5は、前方が開口する箱型を成す。前面パネル部2は、上部及び下部が後方に突出したコの字型を形成するアルミ部材から成り、図示しないネジによって筐体5の前面に固定される。前面パネル部2の上面及び下面の後端には、内側方向へ段差を形成した平面部202及び平面部203をそれぞれ備える。
【0021】
平面部202の左右の端部には、それぞれ外側に開口すると共に上下に貫通する孔204及び孔205を備え、平面部203の左右の端部には、それぞれ外側に開口すると共に上下に貫通する孔206及び孔207を備える。前面パネル部200は、前後に貫通する孔201を備える。
【0022】
インナーパネル部3は、プラスチックなどの樹脂部材から成り、上部及び下部が後方に突出したコの字型を成す。インナーパネル部3は、その裏面の両端部分にそれぞれ円筒型を成し後方へ突出する円筒部7を備える。円筒部7は、後方へ開口する孔701を備える。
【0023】
薄い板状を成す基板6は、操作部4を備える。基板6は、さらにインナーパネル部3に取り付けられた状態において、インナーパネル部3の円筒部7と相対する位置に前後に貫通する孔602を備える。雄ネジ9は、基板6の孔601と円筒部7の孔701へ挿入され、ネジ頭部を回転させることによって孔701の内壁にネジ山が形成されながら孔701へ締め付けられる。基板6は、円筒部7の裏面と雄ネジ9のネジ頭部に狭持されることによって、前面パネル部2に固定されたインナーパネル部3に固定される。
【0024】
図3は、本発明の第1実施例のインナーパネル部3を示す図で、図3(a)は上面図、図3(b)は後面図である。
インナーパネル部3は、前面パネル部2に固定された状態で前面パネル2の孔201と相対する位置に前後に貫通する孔301を備える。インナーパネル部3は、上面の左右の端部にそれぞれ爪部304及び爪部305を備え、下面の左右の端部にそれぞれ爪部306及び爪部307を備える。
【0025】
爪部304の内側の側壁から爪部305の内側の側壁までの幅は、図2に示す前面パネル部の孔204の内壁から孔205の内壁までの幅より僅かに大きい。爪部306の内側の側壁から爪部307の内側の側壁までの幅は、図2に示す前面パネル部の孔206の内壁から孔207の内壁までの幅より僅かに大きい。インナーパネル部3の上面から下面までの長さは、図2に示す前面パネル部の平面部202の下面から平面部203の上面までの長さより僅かに小さい。インナーパネル部3は、略中央の上部、中央部及び下部に前後に貫通する切り欠き302を備える。インナーパネル部3は、切り欠き302によって形成されインナーパネル部3の左部分及び右部分を接続する腕部300を備える。
【0026】
図4は、本発明の第1実施例の前面パネル部2、インナーパネル部3及び操作部4を示す図で、図4(a)は基板6が雄ネジ9によってインナーパネル部3へ固定されている状態でインナーパネル部3を前面パネル部2の後方から挿入しようする様子を示す断面図、図4(b)は図4(a)の状態からインナーパネル部3が前面パネル部2に固定された状態を示す断面図である。
【0027】
図4(a)に示すように、前面パネル部2の後方からインナーパネル部3を前方へ挿入し、平面部202の下面及び平面部203の上面にインナーパネル部3の上面及び下面がスライドするように挿入する。すると、インナーパネル部3の爪部304〜爪部307が平面部202及び平面部203の後端に当接することによって、インナーパネル部3の上面及び下面が内側へ撓む。そして、更にインナーパネル部3を前方へ挿入すると、図4(b)に示すように、爪部304〜爪部307がそれぞれ孔204〜孔207に嵌合し、インナーパネル部3は前面パネル部2の後方に固定される。この状態において、操作部4の先端は、孔301を介して孔201から前方へ突出する。
【0028】
図示しない入力部は、図示しない導電ケーブルを介して他の装置から出力されたオーディオ信号を入力し、図示しない記録部へ出力する。操作部4は、切替えスイッチから成り、操作部4の操作により基板6はオーディオ信号の記録のオン・オフを切替える設定信号を出力する。図示しない制御部は、基板6からオーディオ信号の記録をオンする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号を記録し、基板6からオーディオ信号の記録をオフする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号の記録を停止するよう記録部を制御する。記録部は、制御部の制御により、入力部からのオーディオ信号の記録を開始し、またはオーディオ信号の記録を停止する。
【0029】
以上により、オーディオ信号記録装置1は、他の装置から入力されたオーディオ信号を記録する。
【0030】
図5は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部3を示す図で、図5(a)は上面図、図5(b)は後面図である。
図6は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1において、図5(a)及び図5(b)の状態からインナーパネル部3の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図6(a)は上面図、図6(b)は後面図である。
【0031】
インナーパネル部3を前面パネル部2から取り外す場合は、先ず、図4(a)及び図4(b)に示す状態から雄ネジ9を緩め、図5(a)及び図5(b)に示すように円筒部7から基板6を取り外す。次に、インナーパネル部3の後面の左側及び右側に備える円筒部7の内側へそれぞれ指を掛架した後、この掛架した指によって、左側及び右側の円筒部7をそれぞれ外側へ引く。
【0032】
すると、図6(a)及び図6(b)に示すように、切り欠き302によって形成された腕部300は、円筒部7に掛架した指の外側へ引く力により切断され、また、それと同時に、前面パネル部2の上面及び下面の左右に備える孔204〜孔207がそれぞれ外側に開口していることにより、孔204〜孔207に嵌合した爪部304〜爪部307は、それぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドする。この結果、インナーパネル部3の右半分が前面パネル部2の右側から取り外され、インナーパネル部3の左半分が前面パネル部2の左側から取り外される。
【0033】
以上の構成により、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1は、インナーパネル部3の後面の両端に備えた円筒部7をそれぞれ外側に引くことによって、インナーパネル部3の切り欠き302によって形成された腕部300が切断されると共に爪部304〜爪部307がそれぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドし、インナーパネル部3の右半分及び左半分を前面パネル部2の右側及び左側から簡単に取り外すことができる。
【0034】
これにより、前面パネル部2の孔201と異なる位置にインナーパネル部3を後方へ押圧するための貫通孔を備える必要がないので、前面パネル部2の貫通孔から常にインナーパネル部3が露出してしまうことを防止することができる。また、インナーパネル部3を前面パネル部2から取り外すための専用部材を必要としないので、この専用部材を紛失してしまい、取り外し作業に手間が掛かってしまうことを防止することができる。
【0035】
次に、本発明の一実施例のオーディオ信号記録装置の第2実施例について説明する。
第2実施例におけるオーディオ信号記録装置は、インナーパネル部の構成以外は、第1実施例の構成と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0036】
図7は、本発明の第2実施例のインナーパネル部を示す図で、図7(a)は上面図、図7(b)は後面図である。
インナーパネル部30は、第1実施例と同様に、前面パネル部2に固定された状態で前面パネル2の孔201と相対する位置に前後に貫通する孔301を備える。インナーパネル部30は、第1実施例と同様に、上面の左右の端部にそれぞれ爪部304及び爪部305を備え、下面に左右の端部にそれぞれ爪部306及び爪部307を備える。爪部304〜爪部307の形状及び位置は、第1実施例で説明した構成と同一であるため説明を省略する。
【0037】
インナーパネル部30は、略中央の上部、中央部及び下部に前後に貫通する切り欠き302を備える。インナーパネル部30は、切り欠き302により形成されインナーパネル部30の左部分と右部分を接続する腕部308を備える。腕部308は、垂直方向に直線部分を有し、上端部分がインナーパネル部30を後方から見て左部分(図7(b)に示す左方向)に接続され下端部分がインナーパネル部30を後方から見て右部分(図7(b)に示す右方向)に接続される垂直部309を備える。第2実施例では、垂直部309の上端部分がインナーパネル部30を後方から見て左部分(図7(b)に示す左方向)に接続され下端部分がインナーパネル部30を後方から見て右部分(図7(b)に示す右方向)に接続される構成としたが、垂直部の上端部分がインナーパネル部30を後方から見て右部分(図7(b)に示す右方向)に接続され下端部分がインナーパネル部30を後方から見て左部分(図7(b)に示す左方向)に接続される構成としても良い。
【0038】
図8は、本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部30を示す図で、図8(a)は上面図、図8(b)は後面図である。
図9は、本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1において、図8(a)及び図8(b)の状態からインナーパネル部30の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図9(a)は上面図、図9(b)は後面図である。
【0039】
インナーパネル部30を前面パネル部2から取り外す場合は、先ず、第1実施例で説明したように、図4(a)及び図4(b)に示す状態から雄ネジ9を緩め、図5(a)及び図5(b)に示すように円筒部7から基板6を取り外す。次に、インナーパネル部30の後面の左側及び右側に備える円筒部7の内側へそれぞれ指を掛架した後、この掛架した指によって、左側及び右側の円筒部7をそれぞれ外側へ引く。
【0040】
すると、図9(a)及び図9(b)に示すように、腕部308には、円筒部7に掛架した指の外側へ引く力により左右両側へ引っ張られる。このとき、垂直部309には、上端部分及び下端部分がそれぞれ左右反対方向へ引っ張られることにより剪断力が作用し、その結果、インナーパネル部30は、垂直部309を境として左右に分割され、また、それと同時に、前面パネル部2の上面及び下面の左右に備える孔204〜孔207がそれぞれ外側に開口していることにより、孔204〜孔207に嵌合した爪部304〜爪部307は、それぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドする。この結果、インナーパネル部30の右半分が前面パネル部2の右側から取り外され、インナーパネル部30の左半分が前面パネル部2の左側から取り外される。
【0041】
以上の構成により、第2実施例のオーディオ信号記録装置1は、インナーパネル部30の後面の両端に備えた円筒部7をそれぞれ外側に引くことによって、インナーパネル部30の中央部分に形成された腕部308の部分が切断されると共に爪部304〜爪部307がそれぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドし、インナーパネル部30の右半分及び左半分を前面パネル部2の右側及び左側から簡単に取り外すことができる。
【0042】
第2実施例のオーディオ信号記録装置1は、インナーパネル部30の右部分及び左部分をそれぞれ前面パネル部2の右側及び左側から取り外すために、インナーパネル部30の後面の両端に備えた円筒部7をそれぞれ外側に引く場合、腕部308の垂直部309に剪断力が生じることから、例えば、インナーパネル部30の左右部分を直線状に接続する腕部を備える場合と比較して少ない力で腕部308の左右部分を切断させることができ、インナーパネル部30の右半分及び左半分を前面パネル部2の右側及び左側から容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施例のインナーパネル部3を示す図で、図3(a)は上面図、図3(b)は後面図。
【図4】本発明の第1実施例の前面パネル部2、インナーパネル部3及び操作部4を示す図で、図4(a)は基板6が雄ネジ9によってインナーパネル部3へ固定されている状態でインナーパネル部3を前面パネル部2の後方から挿入しようする様子を示す断面図、図4(b)は図4(a)の状態からインナーパネル部3が前面パネル部2に固定された状態を示す断面図。
【図5】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部3を示す図で、図5(a)は上面図、図5(b)は後面図。
【図6】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1において、図5(a)及び図5(b)の状態からインナーパネル部3の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図6(a)は上面図、図6(b)は後面図。
【図7】本発明の第2実施例のインナーパネル部を示す図で、図7(a)は上面図、図7(b)は後面図。
【図8】本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部30を示す図で、図8(a)は上面図、図8(b)は後面図。
【図9】本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1において、図8(a)及び図8(b)の状態からインナーパネル部30の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図9(a)は上面図、図9(b)は後面図。
【図10】従来のオーディオ信号記録装置の一例を示す斜視図。
【図11】従来のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0044】
1 オーディオ信号記録装置、2 前面パネル部、201 孔、
202 平面部、203 平面部、
204 孔204、205 孔、206 孔、207 孔、
3 インナーパネル部、30 インナーパネル部、300 腕部、
301 孔、302 切り欠き、
304 爪部、305 爪部、306 爪部、307 爪部、
308 腕部、309 垂直部、
4 操作部、5 筐体、6 基板、601 孔、7 円筒部、701 孔、9 雄ネジ、
100 オーディオ信号記録装置、200 前面パネル部、300 インナーパネル部
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面パネルの裏面に操作部を固定するインナーパネル部が取り付けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器として、オーディオ信号記録装置を例に挙げ説明する。
図10は、従来のオーディオ信号記録装置の一例を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置100は、操作部4、筐体5、前面パネル部200、図示しない入力部、記録部及び制御部を備える。筐体5は、前方が開口する箱型を成す。前面パネル部200の後方には、後述するインナーパネル部が固定される。
図11は、従来のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置100は、基板6、雄ネジ9及びインナーパネル部300を備える。
【0003】
前面パネル部200は、上部及び下部が後方に突出したコの字型を形成するアルミ部材から成り、図示しないネジによって筐体5の前面に固定される。前面パネル部200の上面及び下面の後端には、内側方向へ段差を形成した平面部202及び平面部203をそれぞれ備える。平面部202の左右の端部には、それぞれ上下に貫通する孔210及び孔211を備え、平面部203の左右の端部には、それぞれ上下に貫通する孔212及び孔213を備える。前面パネル部200は、前後に貫通する孔201を備える。
【0004】
インナーパネル部300は、プラスチックなどの樹脂部材から成り、上部及び下部が後方に突出したコの字型を成す。インナーパネル部300は、上面の左右の端部にそれぞれ爪部304及び爪部305を備え、下面の左右の端部にそれぞれ爪部306及び爪部307を備える。インナーパネル部300の上面から下面までの長さは、平面部202の下面から平面部203の上面までの長さより僅かに小さい。インナーパネル部300は、前面パネル部200の後方から平面部202及び平面部203の間をスライドさせながら前方へ挿入することによって、爪部304〜爪部307が平面部202及び平面部203の後端に当接してインナーパネル部300の上面及び下面が内側へ撓み、更にインナーパネル部300を前方へ挿入することにより、爪部304〜爪部307がそれぞれ孔210〜孔213に嵌合し、前面パネル部200の後方に固定される。
【0005】
インナーパネル部300は、前面パネル部200に固定された状態で前面パネル200の孔201と相対する位置に前後に貫通する孔301を備える。インナーパネル部300は、その裏面の両端部分にそれぞれ円筒型を成し後方へ突出する円筒部7を備える。円筒部7は、後方へ開口する孔701を備える。
【0006】
薄い板状を成す基板6は、操作部4を備える。基板6は、さらにインナーパネル部300に取り付けられた状態において、インナーパネル部300の円筒部7と相対する位置に前後に貫通する孔601を備える。雄ネジ9は、基板6の孔601と円筒部7の孔701へ挿入され、ネジ頭部を回転させることによって孔701の内壁にネジ山が形成されながら孔701へ締め付けられる。基板6は、円筒部7の裏面と雄ネジ9のネジ頭部に狭持されることによって、前面パネル部200に固定されたインナーパネル部300に固定される。この状態において、操作部4の先端は、孔301を介して孔201から前方へ突出する。
【0007】
図示しない入力部は、図示しない導電ケーブルを介して他の装置から出力されたオーディオ信号を入力し、図示しない記録部へ出力する。操作部4は、切替えスイッチから成り、操作部4の操作により基板6はオーディオ信号の記録のオン・オフを切替える設定信号を出力する。図示しない制御部は、基板6からオーディオ信号の記録をオンする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号を記録し、基板6からオーディオ信号の記録をオフする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号の記録を停止するよう記録部を制御する。記録部は、制御部の制御により、入力部からのオーディオ信号の記録を開始し、またはオーディオ信号の記録を停止する。
【0008】
以上により、オーディオ信号記録装置100は、他の装置から入力されたオーディオ信号を記録する。
【0009】
近年、環境保護のために、電子機器等に用いた資材を有効利用する資材リサイクル活動が高まりつつある。電子機器を構成する複数の種類の部材をリサイクル活用する場合、それぞれの部材を分離し回収する作業が必要になる。
【0010】
従来のオーディオ信号記録装置100の前面パネル部200及びインナーパネル部300をリサイクル活用する場合、インナーパネル部300を前面パネル部2から分離することが必要となる。爪部304〜爪部307がそれぞれ孔210〜孔213に嵌合した状態で固定されたインナーパネル部300を前面パネル部200から分離するためには、爪部304〜爪部307のそれぞれの爪の頂点が孔210〜孔213よりも内側となるように爪部304〜爪部307のそれぞれの爪部の頂点を前面パネル部2の孔204〜孔207から押圧し、インナーパネル部300の上部及び下部を内側に撓ませた状態で、インナーパネル部300を後方へ引き抜くという手段がある。しかしながら、この作業を行なう過程において、爪部304〜爪部307のうち、いずれか1つの爪部の頂点が孔204〜孔207に当接してしまうと、爪部が孔の内壁に引っ掛かってしまい、インナーパネル部300を後方に引き抜くことができなくなるため、爪部304〜爪部307の全ての頂点を正確に押圧するための作業が非常に煩わしいものとなる。
【0011】
このような、爪部と孔の嵌合により固定された前面パネル部とインナーパネル部とを取り外す方法として、予め前面パネル部に備えた貫通孔からインナーパネル部を後方へ押圧することによって取り外す方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このように、爪部と孔の嵌合により固定された前面パネル部とインナーパネル部とを取り外す場合は、インナーパネル部の上面及び下面に備えた爪部が折れる程度の力でインナーパネル部を前面パネル部の反対方向へ押圧することによって、前面パネルへ固定されたインナーパネル部を取り外すことができる。
【0012】
【特許文献1】特開2001−94268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前面パネル部200の前方からインナーパネル部300が露出してしまうとオーディオ信号記録装置100の外観が損なわれることから、孔301の内径を孔201と略同一とするか、または孔301の内径を孔201より大きくし、前面パネル部200の前方からインナーパネル部300が露出しないようにする必要がある。このため、前面パネル部200の前方からインナーパネル部300を後方へ押圧する部分がなく、インナーパネル部300を前面パネル部2とは反対の方向へ押圧することができない。このため、例えば、前面パネル部200の孔201と異なる箇所に貫通孔を備え、インナーパネル部300の前面がこの貫通穴から露出するようにし、この貫通孔へ棒状の部材から成る専用部材を挿入してインナーパネル部300を前面パネル部200とは反対の方向へ押圧するようにすれば、インナーパネル部300を前面パネル部200から取り外すことができる。しかし、この場合、前面パネル部200の貫通孔からは常にインナーパネル部300が露出してしまい、オーディオ信号記録装置100の外観が損なわれてしまう。また、インナーパネル部300を前面パネル部200から取り外すためには、前述したような専用部材が必要であるため、例えば、専用部材を紛失してしまった場合、この専用部材の代用となる部材を調達して、インナーパネル部300の取り外し作業を行なわなければならず、この取り外し作業に手間が掛かってしまう。
【0014】
本発明は、インナーパネルの上面及び下面に備える爪を前面パネルの上部及び下部の孔へ嵌合させることによって前面パネルの後面にインナーパネルを固定する電子機器において、専用部材を用いることなく容易にインナーパネルを前面パネルから取り外すことができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願の請求項1記載の発明は、電子機器において、箱型を成し内部に電子回路を固定する筐体と、上部及び下部が後方へ突出するコの字型を成し前記筐体の前面に固定され前後に貫通する貫通孔を備え上面及び下面の両端部分にそれぞれ外側へ開口し上下に貫通する孔を備える前面パネル部と、前記前面パネル部の上面及び下面に備えられた孔に嵌合する爪部を備え前記パネルの貫通孔と相対する位置に貫通する貫通孔を備え裏面に後方へ開口する孔を備える円筒部を有するインナーパネル部と、前記インナーパネル部の貫通孔から突出し操作時に前記電子回路の動作に関する設定信号を出力する操作部を備え前記インナーパネル部の後方に配設され前記円筒部の孔と相対する位置に貫通する孔を備える基板と、前記基板の孔を介して前記円筒部の孔に締結されることにより前記基板を前記インナーパネル部に固定する雄ネジとを備え、前記インナーパネル部は、前後に貫通する切り欠きによって形成され当該インナーパネル部の左部分及び右部分を接続する腕部を備えることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項2記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、前記腕部は、前記前面パネル部に対して垂直方向に直線部分を有し上端部分が前記インナーパネルの左部分または右部分のいずれか一方に接続され下端部分が当該一方と異なる他方に接続される垂直部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電子機器によれば、インナーパネルの上面及び下面に備える爪を前面パネルの上部及び下部の孔へ嵌合させることによって前面パネルの後面にインナーパネルを固定する電子機器において、専用部材を用いることなく容易にインナーパネルを前面パネルから取り外すことができる電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来技術で示した構成要素と同一の部分については同符号を用いる。
【0019】
本発明の電子機器の一実施例として、オーディオ信号記録装置を例に挙げ説明する。
図1は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置1は、操作部4、筐体5、前面パネル部2、図示しない入力部、記録部及び制御部を備える。筐体5は、前方が開口する箱型を成す。前面パネル部2の後方には、後述するインナーパネル部が固定される。
図2は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図である。
オーディオ信号記録装置1は、基板6、雄ネジ9及びインナーパネル部300を備える。
【0020】
筐体5は、前方が開口する箱型を成す。前面パネル部2は、上部及び下部が後方に突出したコの字型を形成するアルミ部材から成り、図示しないネジによって筐体5の前面に固定される。前面パネル部2の上面及び下面の後端には、内側方向へ段差を形成した平面部202及び平面部203をそれぞれ備える。
【0021】
平面部202の左右の端部には、それぞれ外側に開口すると共に上下に貫通する孔204及び孔205を備え、平面部203の左右の端部には、それぞれ外側に開口すると共に上下に貫通する孔206及び孔207を備える。前面パネル部200は、前後に貫通する孔201を備える。
【0022】
インナーパネル部3は、プラスチックなどの樹脂部材から成り、上部及び下部が後方に突出したコの字型を成す。インナーパネル部3は、その裏面の両端部分にそれぞれ円筒型を成し後方へ突出する円筒部7を備える。円筒部7は、後方へ開口する孔701を備える。
【0023】
薄い板状を成す基板6は、操作部4を備える。基板6は、さらにインナーパネル部3に取り付けられた状態において、インナーパネル部3の円筒部7と相対する位置に前後に貫通する孔602を備える。雄ネジ9は、基板6の孔601と円筒部7の孔701へ挿入され、ネジ頭部を回転させることによって孔701の内壁にネジ山が形成されながら孔701へ締め付けられる。基板6は、円筒部7の裏面と雄ネジ9のネジ頭部に狭持されることによって、前面パネル部2に固定されたインナーパネル部3に固定される。
【0024】
図3は、本発明の第1実施例のインナーパネル部3を示す図で、図3(a)は上面図、図3(b)は後面図である。
インナーパネル部3は、前面パネル部2に固定された状態で前面パネル2の孔201と相対する位置に前後に貫通する孔301を備える。インナーパネル部3は、上面の左右の端部にそれぞれ爪部304及び爪部305を備え、下面の左右の端部にそれぞれ爪部306及び爪部307を備える。
【0025】
爪部304の内側の側壁から爪部305の内側の側壁までの幅は、図2に示す前面パネル部の孔204の内壁から孔205の内壁までの幅より僅かに大きい。爪部306の内側の側壁から爪部307の内側の側壁までの幅は、図2に示す前面パネル部の孔206の内壁から孔207の内壁までの幅より僅かに大きい。インナーパネル部3の上面から下面までの長さは、図2に示す前面パネル部の平面部202の下面から平面部203の上面までの長さより僅かに小さい。インナーパネル部3は、略中央の上部、中央部及び下部に前後に貫通する切り欠き302を備える。インナーパネル部3は、切り欠き302によって形成されインナーパネル部3の左部分及び右部分を接続する腕部300を備える。
【0026】
図4は、本発明の第1実施例の前面パネル部2、インナーパネル部3及び操作部4を示す図で、図4(a)は基板6が雄ネジ9によってインナーパネル部3へ固定されている状態でインナーパネル部3を前面パネル部2の後方から挿入しようする様子を示す断面図、図4(b)は図4(a)の状態からインナーパネル部3が前面パネル部2に固定された状態を示す断面図である。
【0027】
図4(a)に示すように、前面パネル部2の後方からインナーパネル部3を前方へ挿入し、平面部202の下面及び平面部203の上面にインナーパネル部3の上面及び下面がスライドするように挿入する。すると、インナーパネル部3の爪部304〜爪部307が平面部202及び平面部203の後端に当接することによって、インナーパネル部3の上面及び下面が内側へ撓む。そして、更にインナーパネル部3を前方へ挿入すると、図4(b)に示すように、爪部304〜爪部307がそれぞれ孔204〜孔207に嵌合し、インナーパネル部3は前面パネル部2の後方に固定される。この状態において、操作部4の先端は、孔301を介して孔201から前方へ突出する。
【0028】
図示しない入力部は、図示しない導電ケーブルを介して他の装置から出力されたオーディオ信号を入力し、図示しない記録部へ出力する。操作部4は、切替えスイッチから成り、操作部4の操作により基板6はオーディオ信号の記録のオン・オフを切替える設定信号を出力する。図示しない制御部は、基板6からオーディオ信号の記録をオンする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号を記録し、基板6からオーディオ信号の記録をオフする設定信号が出力されると、入力部から入力されたオーディオ信号の記録を停止するよう記録部を制御する。記録部は、制御部の制御により、入力部からのオーディオ信号の記録を開始し、またはオーディオ信号の記録を停止する。
【0029】
以上により、オーディオ信号記録装置1は、他の装置から入力されたオーディオ信号を記録する。
【0030】
図5は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部3を示す図で、図5(a)は上面図、図5(b)は後面図である。
図6は、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1において、図5(a)及び図5(b)の状態からインナーパネル部3の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図6(a)は上面図、図6(b)は後面図である。
【0031】
インナーパネル部3を前面パネル部2から取り外す場合は、先ず、図4(a)及び図4(b)に示す状態から雄ネジ9を緩め、図5(a)及び図5(b)に示すように円筒部7から基板6を取り外す。次に、インナーパネル部3の後面の左側及び右側に備える円筒部7の内側へそれぞれ指を掛架した後、この掛架した指によって、左側及び右側の円筒部7をそれぞれ外側へ引く。
【0032】
すると、図6(a)及び図6(b)に示すように、切り欠き302によって形成された腕部300は、円筒部7に掛架した指の外側へ引く力により切断され、また、それと同時に、前面パネル部2の上面及び下面の左右に備える孔204〜孔207がそれぞれ外側に開口していることにより、孔204〜孔207に嵌合した爪部304〜爪部307は、それぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドする。この結果、インナーパネル部3の右半分が前面パネル部2の右側から取り外され、インナーパネル部3の左半分が前面パネル部2の左側から取り外される。
【0033】
以上の構成により、本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1は、インナーパネル部3の後面の両端に備えた円筒部7をそれぞれ外側に引くことによって、インナーパネル部3の切り欠き302によって形成された腕部300が切断されると共に爪部304〜爪部307がそれぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドし、インナーパネル部3の右半分及び左半分を前面パネル部2の右側及び左側から簡単に取り外すことができる。
【0034】
これにより、前面パネル部2の孔201と異なる位置にインナーパネル部3を後方へ押圧するための貫通孔を備える必要がないので、前面パネル部2の貫通孔から常にインナーパネル部3が露出してしまうことを防止することができる。また、インナーパネル部3を前面パネル部2から取り外すための専用部材を必要としないので、この専用部材を紛失してしまい、取り外し作業に手間が掛かってしまうことを防止することができる。
【0035】
次に、本発明の一実施例のオーディオ信号記録装置の第2実施例について説明する。
第2実施例におけるオーディオ信号記録装置は、インナーパネル部の構成以外は、第1実施例の構成と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0036】
図7は、本発明の第2実施例のインナーパネル部を示す図で、図7(a)は上面図、図7(b)は後面図である。
インナーパネル部30は、第1実施例と同様に、前面パネル部2に固定された状態で前面パネル2の孔201と相対する位置に前後に貫通する孔301を備える。インナーパネル部30は、第1実施例と同様に、上面の左右の端部にそれぞれ爪部304及び爪部305を備え、下面に左右の端部にそれぞれ爪部306及び爪部307を備える。爪部304〜爪部307の形状及び位置は、第1実施例で説明した構成と同一であるため説明を省略する。
【0037】
インナーパネル部30は、略中央の上部、中央部及び下部に前後に貫通する切り欠き302を備える。インナーパネル部30は、切り欠き302により形成されインナーパネル部30の左部分と右部分を接続する腕部308を備える。腕部308は、垂直方向に直線部分を有し、上端部分がインナーパネル部30を後方から見て左部分(図7(b)に示す左方向)に接続され下端部分がインナーパネル部30を後方から見て右部分(図7(b)に示す右方向)に接続される垂直部309を備える。第2実施例では、垂直部309の上端部分がインナーパネル部30を後方から見て左部分(図7(b)に示す左方向)に接続され下端部分がインナーパネル部30を後方から見て右部分(図7(b)に示す右方向)に接続される構成としたが、垂直部の上端部分がインナーパネル部30を後方から見て右部分(図7(b)に示す右方向)に接続され下端部分がインナーパネル部30を後方から見て左部分(図7(b)に示す左方向)に接続される構成としても良い。
【0038】
図8は、本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部30を示す図で、図8(a)は上面図、図8(b)は後面図である。
図9は、本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1において、図8(a)及び図8(b)の状態からインナーパネル部30の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図9(a)は上面図、図9(b)は後面図である。
【0039】
インナーパネル部30を前面パネル部2から取り外す場合は、先ず、第1実施例で説明したように、図4(a)及び図4(b)に示す状態から雄ネジ9を緩め、図5(a)及び図5(b)に示すように円筒部7から基板6を取り外す。次に、インナーパネル部30の後面の左側及び右側に備える円筒部7の内側へそれぞれ指を掛架した後、この掛架した指によって、左側及び右側の円筒部7をそれぞれ外側へ引く。
【0040】
すると、図9(a)及び図9(b)に示すように、腕部308には、円筒部7に掛架した指の外側へ引く力により左右両側へ引っ張られる。このとき、垂直部309には、上端部分及び下端部分がそれぞれ左右反対方向へ引っ張られることにより剪断力が作用し、その結果、インナーパネル部30は、垂直部309を境として左右に分割され、また、それと同時に、前面パネル部2の上面及び下面の左右に備える孔204〜孔207がそれぞれ外側に開口していることにより、孔204〜孔207に嵌合した爪部304〜爪部307は、それぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドする。この結果、インナーパネル部30の右半分が前面パネル部2の右側から取り外され、インナーパネル部30の左半分が前面パネル部2の左側から取り外される。
【0041】
以上の構成により、第2実施例のオーディオ信号記録装置1は、インナーパネル部30の後面の両端に備えた円筒部7をそれぞれ外側に引くことによって、インナーパネル部30の中央部分に形成された腕部308の部分が切断されると共に爪部304〜爪部307がそれぞれ孔204〜孔207の内壁に沿って外側へスライドし、インナーパネル部30の右半分及び左半分を前面パネル部2の右側及び左側から簡単に取り外すことができる。
【0042】
第2実施例のオーディオ信号記録装置1は、インナーパネル部30の右部分及び左部分をそれぞれ前面パネル部2の右側及び左側から取り外すために、インナーパネル部30の後面の両端に備えた円筒部7をそれぞれ外側に引く場合、腕部308の垂直部309に剪断力が生じることから、例えば、インナーパネル部30の左右部分を直線状に接続する腕部を備える場合と比較して少ない力で腕部308の左右部分を切断させることができ、インナーパネル部30の右半分及び左半分を前面パネル部2の右側及び左側から容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施例のインナーパネル部3を示す図で、図3(a)は上面図、図3(b)は後面図。
【図4】本発明の第1実施例の前面パネル部2、インナーパネル部3及び操作部4を示す図で、図4(a)は基板6が雄ネジ9によってインナーパネル部3へ固定されている状態でインナーパネル部3を前面パネル部2の後方から挿入しようする様子を示す断面図、図4(b)は図4(a)の状態からインナーパネル部3が前面パネル部2に固定された状態を示す断面図。
【図5】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部3を示す図で、図5(a)は上面図、図5(b)は後面図。
【図6】本発明の第1実施例のオーディオ信号記録装置1において、図5(a)及び図5(b)の状態からインナーパネル部3の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図6(a)は上面図、図6(b)は後面図。
【図7】本発明の第2実施例のインナーパネル部を示す図で、図7(a)は上面図、図7(b)は後面図。
【図8】本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1の前面パネル部2及びインナーパネル部30を示す図で、図8(a)は上面図、図8(b)は後面図。
【図9】本発明の第2実施例のオーディオ信号記録装置1において、図8(a)及び図8(b)の状態からインナーパネル部30の左右部分をそれぞれ外側へ引いた様子を示す図で、図9(a)は上面図、図9(b)は後面図。
【図10】従来のオーディオ信号記録装置の一例を示す斜視図。
【図11】従来のオーディオ信号記録装置の前面パネル部、インナーパネル部及び操作部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0044】
1 オーディオ信号記録装置、2 前面パネル部、201 孔、
202 平面部、203 平面部、
204 孔204、205 孔、206 孔、207 孔、
3 インナーパネル部、30 インナーパネル部、300 腕部、
301 孔、302 切り欠き、
304 爪部、305 爪部、306 爪部、307 爪部、
308 腕部、309 垂直部、
4 操作部、5 筐体、6 基板、601 孔、7 円筒部、701 孔、9 雄ネジ、
100 オーディオ信号記録装置、200 前面パネル部、300 インナーパネル部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型を成し内部に電子回路を固定する筐体と、上部及び下部が後方へ突出するコの字型を成し前記筐体の前面に固定され前後に貫通する貫通孔を備え上面及び下面の両端部分にそれぞれ外側へ開口し上下に貫通する孔を備える前面パネル部と、前記前面パネル部の上面及び下面に備えられた孔に嵌合する爪部を備え前記パネルの貫通孔と相対する位置に貫通する貫通孔を備え裏面に後方へ開口する孔を備える円筒部を有するインナーパネル部と、前記インナーパネル部の貫通孔から突出し操作時に前記電子回路の動作に関する設定信号を出力する操作部を備え前記インナーパネル部の後方に配設され前記円筒部の孔と相対する位置に貫通する孔を備える基板と、前記基板の孔を介して前記円筒部の孔に締結されることにより前記基板を前記インナーパネル部に固定する雄ネジとを備え、
前記インナーパネル部は、前後に貫通する切り欠きによって形成され当該インナーパネル部の左部分及び右部分を接続する腕部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記腕部は、前記前面パネル部に対して垂直方向に直線部分を有し上端部分が前記インナーパネルの左部分または右部分のいずれか一方に接続され下端部分が当該一方と異なる他方に接続される垂直部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
箱型を成し内部に電子回路を固定する筐体と、上部及び下部が後方へ突出するコの字型を成し前記筐体の前面に固定され前後に貫通する貫通孔を備え上面及び下面の両端部分にそれぞれ外側へ開口し上下に貫通する孔を備える前面パネル部と、前記前面パネル部の上面及び下面に備えられた孔に嵌合する爪部を備え前記パネルの貫通孔と相対する位置に貫通する貫通孔を備え裏面に後方へ開口する孔を備える円筒部を有するインナーパネル部と、前記インナーパネル部の貫通孔から突出し操作時に前記電子回路の動作に関する設定信号を出力する操作部を備え前記インナーパネル部の後方に配設され前記円筒部の孔と相対する位置に貫通する孔を備える基板と、前記基板の孔を介して前記円筒部の孔に締結されることにより前記基板を前記インナーパネル部に固定する雄ネジとを備え、
前記インナーパネル部は、前後に貫通する切り欠きによって形成され当該インナーパネル部の左部分及び右部分を接続する腕部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記腕部は、前記前面パネル部に対して垂直方向に直線部分を有し上端部分が前記インナーパネルの左部分または右部分のいずれか一方に接続され下端部分が当該一方と異なる他方に接続される垂直部を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−295105(P2006−295105A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207512(P2005−207512)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】
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