説明

電子機器

【課題】ジャック部分の防水性を確保しつつ筐体を薄型化できる電子機器を提供する。
【解決手段】筐体11の壁部20の内側に配置された略箱状のジャック30のプラグ挿通孔32が、筐体11の壁部20に設けられた貫通孔21からが外部に露出する。壁部20の内面にはジャック30を囲む枠部23が設けられており、枠部23の内面にはOリング34が当接する。このとき、Oリング34の中心軸CLが貫通孔21の貫通方向に対して交差しているので、Oリング34による筐体11の厚さ方向の増加を低減でき、ジャック30部分の防水性を確保しつつ筐体11を薄型化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に防水性のコネクタを有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体に防水性のコネクタを有する電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の電子機器では、円盤状の防水パッキンの端面に同心円状のリブを複数設け、これらのリブを筐体の内面に押圧させることにより防水性を得ている。
また、図8に示すように、円筒状のジャック100の周面にOリング101を設けるとともに、筐体を構成するカバー102およびケース103にそれぞれ半円形の切欠102A、103Aを設ける。そして、Oリング101が、各切欠102A、103Aの内面を押圧するようにカバー102およびケース103に取り付けることにより、ジャック100を挟持して防水性を得る構造も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−190468号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような構造においては、Oリング101の厚さ分だけ筐体が厚くなるため、筐体を薄型化する上で障害となるという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ジャック部分の防水性を確保しつつ筐体を薄型化できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体の壁部に設けられた貫通孔と、前記壁部の内側に配置され、前記貫通孔からプラグ挿通孔が外部に露呈する略箱状のジャックと、前記壁部の内面に連続し、かつ、前記ジャックを囲む枠部と、前記ジャックの外側面に設けられ、前記枠部の内面に当接するOリングと、を備え、前記Oリングの中心軸が、前記貫通孔の貫通方向に対して交差しているものである。
【0007】
また、本発明の電子機器は、前記枠部の縁部に沿う面および前記Oリングが沿う面が、前記ジャックの載置面に対して傾斜しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、筐体の壁部の内面にはジャックを囲む枠部が設けられており、枠部の内面にはOリングが当接する。Oリングの中心軸が貫通孔の貫通方向に対して交差しているので、Oリングによる筐体の厚さ方向の増加を低減でき、ジャック部分の防水性を確保しつつ筐体を薄型化できるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1実施形態の電子機器としての携帯端末の斜視図
【図2】ジャック取付部の斜視図
【図3】ジャックの斜視図
【図4】図1中IV−IV位置の断面図
【図5】図4中V−V位置の断面図
【図6】プラグの正面図
【図7】本発明に係る第2実施形態のジャック取付部の断面図
【図8】従来の問題点を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の電子機器は、例えば携帯端末10とすることができる。携帯端末10は、矩形箱状の筐体11を有しており、筐体11の一面には、表示部12が設けられている。また、表示部12の上側にはスピーカ等の発音部13を有し、表示部12の下側にはマイク14を有する。
【0011】
筐体11の壁部である一側面20の内側には、接続コード40を介して他の電子機器等と接続するためのジャック30が設けられている。
図2に示すように、壁部20には、筐体11の内部と外部とを連通する貫通孔21が設けられており、壁部20の内面201にはジャック取付部22が設けられている。
なお、貫通孔21における壁部20の内面201には、後述するジャック30の端子37の突出部371(図3参照)との干渉を避けるための切欠き211が設けられている。
【0012】
ジャック取付部22では、壁部20の内面201から筐体11の内部に向かって、ジャック30を位置決めするための枠部23が壁部20と一体的に設けられている。枠部23は、貫通孔21を挟む一対の側壁231、231と、側壁231の先端を連結する先端壁232を有し、平面視全体コ字状を呈している。側壁231は、筐体11の内側に向かって低くなるように傾斜(傾斜面231A)している。各側壁231の外側には、ジャック30を固定するための固定台24が設けられており、固定台24の上面には、ねじ穴241が設けられている。
ジャック取付部22において枠部23に囲まれてジャック30が載置される載置面25には、貫通孔21から筐体11の内部に向かって凹部251が設けられている。
【0013】
図3に示すように、ジャック30は、全体矩形箱状の筐体31を有する。筐体31の前壁311には、接続コード40のプラグ41を挿入するためのプラグ挿通孔32が設けられている。プラグ挿通孔32の内面には、挿入されたプラグ41の各極41A、41B、41C、41D(図6参照)と接触して導通するための端子37が設けられており、端子37の先端がプラグ挿通孔32から突出している(突出部371)。
【0014】
図3および図4に示すように、筐体31の上壁312は、前方(プラグ挿通孔32側)の厚さが大きく、後方の厚さが小さくなるような傾斜面312Aを有する。上壁312の左右両側には、ジャック30をジャック取付部22の固定台24に取り付けるための取付けブラケット36が外側に張り出して設けられている(図6参照)。取付けブラケット36には、ねじ穴361が設けられている。
【0015】
筐体31の後方の後壁313(図4参照)には、ジャック30を携帯端末10の内部機器に接続するために、複数本の接続端子33が後方に突出して取り付けられている。
ジャック30の外周面には、前壁311、一対の側壁314、314、後壁313を囲むようにして凹溝35が形成されており、凹溝35にはOリング34が取り付けられる。凹溝35は、前壁311ではプラグ挿通孔32の上側を通過し、後壁313では接続端子33の下側を通過しており、両側壁314、314では前方から後方へ向かって傾斜している。
【0016】
従って、貫通孔21の貫通方向は、Oリング34の中心軸CLに対して交差することになる。すなわち、後壁313においてOリング34(凹溝35)の通過する高さ位置を、プラグ挿通孔32の底面321の高さ位置の近傍あるいは上方に設けることが可能になる。このため、ジャック30におけるプラグ挿通孔32の下側の厚みを低減させることができ、ジャック30の厚みを低減できる。
ここで、Oリング34の「中心軸CL」とは、Oリング34を含む平面あるいは擬似的な平面の中心を通って、平面に直交する軸を意味し、平面形状が円形のみに限らず楕円や矩形等であってもよい。
【0017】
次に、ジャック30のジャック取付部22への取付けについて説明する。
前述したように、ジャック30においては、プラグ挿通孔32から端子37の突出部371が突出しているので、ジャック30を上方から下方へ真っ直ぐに下ろしてジャック取付部22に取り付けることができない。このため、ジャック取付部22の先端壁232の上方から、端子37の突出部371を貫通孔21に挿入するように斜め下方に移動させ、突出部371を貫通孔21の切欠き211に挿入してジャック30を枠部23の内部に取り付ける。
このとき、ジャック取付部22の先端壁232の高さが低くなっているので、容易にジャック30を嵌めることができる。また、ジャック30の後壁313から後方へ突出している接続端子33は、先端壁232の上方に位置するので、干渉しない。
【0018】
ジャック30を枠部23の内部に挿入することにより、ジャック30の取付けブラケット36が、ジャック取付部22の固定台24の上面に位置する。このため、取付けブラケット36を固定台24にねじ15(図5参照)で締結することにより、ジャック30を固定する。
【0019】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の電子機器10によれば、筐体11の壁部20の内側に配置された略箱状のジャック30のプラグ挿通孔32が、筐体11の壁部20に設けられた貫通孔21からが外部に露出する。壁部20の内面にはジャック30を囲む枠部23が設けられており、枠部23の内面にはOリング34が当接する。
このとき、Oリング34の中心軸CLが貫通孔21の貫通方向に対して交差しているので、Oリング34による筐体11の厚さ方向の増加を低減でき、ジャック30部分の防水性を確保しつつ筐体11を薄型化できる。
【0020】
また、本発明の電子機器10は、枠部23の縁部に沿う面およびOリング34が沿う面が、ジャック30の載置面25に対して傾斜しているので、Oリング34を設けることによる筐体11の厚さの増加を低減できる。
また、枠部23の縁部に沿う面が、ジャック30の載置面25に対して傾斜しているので、プラグ挿通孔32から端子37の突出部371が突出していても、枠部23内にジャック30を容易に取り付けることができ、組立性を向上できる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の電子機器を説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる携帯端末10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図7に示すように、第2実施形態の携帯端末10Bでは、ジャック30Bの上端部に水平に凹溝35BおよびOリング34Bを設けて、ジャック30Bを真っ直ぐ下方へ下ろしてジャック取付部22Bに挿入する。
第1の実施形態で説明した端子37の突出部371が、ジャック30の挿入に邪魔にならない場合には、このようにしても、第1実施形態の携帯端末10と同様の作用・効果を得ることができる。
【0022】
なお、本発明の電子機器は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、筐体の壁部の内面にはジャックを囲む枠部が設けられており、枠部の内面にはOリングが当接する。Oリングの中心軸が貫通孔の貫通方向に対して交差しているので、Oリングによる筐体の厚さ方向の増加を低減でき、ジャック部分の防水性を確保しつつ筐体を薄型化できるという効果を有し、筐体に防水性のコネクタを有する電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0024】
10、10B 電子機器
11 筐体
20 壁部
21 貫通孔
23 枠部
30、30B ジャック
311 前壁(外側面)
313 後壁(外側面)
314 側壁(外側面)
32 プラグ挿通孔
321 底面(載置面)
34、34B Oリング
CL 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の壁部に設けられた貫通孔と、
前記壁部の内側に配置され、前記貫通孔からプラグ挿通孔が外部に露呈する略箱状のジャックと、
前記壁部の内面に連続し、かつ、前記ジャックを囲む枠部と、
前記ジャックの外側面に設けられ、前記枠部の内面に当接するOリングと、を備え、
前記Oリングの中心軸が、前記貫通孔の貫通方向に対して交差している電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記枠部の縁部に沿う面および前記Oリングが沿う面が、前記ジャックの載置面に対して傾斜している電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−238822(P2012−238822A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108613(P2011−108613)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】