説明

電子部品フィーダ

【課題】取っ手等が設けられる後端部への作業者等の接触があっても、電子部品の電子部品実装装置への受け渡し部の位置変化を抑え、受け渡し部の位置変化による部品吸着エラーや誤搭載を防止する。
【解決手段】本発明の電子部品フィーダ1は、電子部品を電子部品実装装置100に受け渡す受け渡し部A1に送るキャリアテープ送り機構2を含む部品供給機構部Aと、キャリアテープの受け渡し部への送り方向と逆方向の端に配置される後端部(カバーテープ回収倉庫部7)とを備え、このカバーテープ回収倉庫部にカバーテープ回収倉庫7A及び取っ手7bが設けられ、カバーテープ回収倉庫部が部品供給機構部に対しキャリアテープの幅方向に相当する側方L,Rに移動可能(傾動可能)に設けられた電子部品フィーダである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばIC、抵抗、コンデンサ等の電子部品を回路基板に実装する装置として電子部品実装装置が知られている。
【0003】
この電子部品実装装置は、X−Y平面上を移動自在に制御されるヘッドを備える。ヘッドには吸着ノズルが装備されている。電子部品実装装置は、電子部品を供給する電子部品フィーダから電子部品を吸着ノズルに吸着し、ヘッドを回路基板の部品実装位置まで移動し、吸着ノズル内に正圧を供給して電子部品を解放することで電子部品を回路基板へ実装する。
上記電子部品フィーダとしては、後端部側に多数の電子部品が均一間隔で封入されたキャリアテープが巻回されたリールが装着されると共に、先端部近傍にヘッドへの電子部品の受け渡し部を有したものが適用されている。キャリアテープには、その部品収容部が開口する面を覆うカバーテープが付けられることで電子部品が封入される。電子部品供給装置の各電子部品フィーダは、カバーテープを順次剥がしながら受け渡し部へキャリアテープとともに部品を送り、剥がしたカバーテープを回収する。
特許文献1にも記載されるように、電子部品実装装置には多数の電子部品フィーダが並列配置されて装着される。電子部品実装装置の制御部は、各電子部品フィーダのテープを送り制御するとともに、ヘッドをX−Y平面上で位置制御して電子部品フィーダの受け渡し部に配置し、ヘッドの吸着ノズルに電子部品を吸着させて部品を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−127486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上の従来技術にあっても次のような問題があった。
作業者は、電子部品フィーダの装着やキャリアテープの交換時には、電子部品実装装置から外に突き出された電子部品フィーダの後端部に触れて取り扱う。通常、電子部品実装装置には複数の電子部品フィーダが狭ピッチに並列配置されているので、電子部品フィーダの後端部も狭ピッチに隣接している。作業者が目的とする電子部品フィーダの後端部に触れた時、左右側方に隣接する電子部品フィーダの後端部にも触れて当該電子部品フィーダに不意に力がかかり、電子部品の受け渡し部の位置が側方に変化し、従って吸着ノズルの吸着を待ち受ける部品の位置が変化するおそれがある。
吸着を待ち受ける部品の位置が変化すると、部品吸着エラーや誤搭載を引き起こす原因となる。
並列配置される多数の電子部品フィーダの配置ピッチが狭くなるほど、この問題は顕著となる。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、電子部品を保持したテープを送って電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品フィーダであって、後端部への作業者等の接触があっても、電子部品の電子部品実装装置への受け渡し部の位置変化が抑えられ、受け渡し部の位置変化による部品吸着エラーや誤搭載を防止できる電子部品フィーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、電子部品を保持したキャリアテープを送って電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品フィーダであって、
前記電子部品を前記電子部品実装装置に受け渡す受け渡し部に送るキャリアテープ送り機構を含む部品供給機構部と、
前記キャリアテープの受け渡し部への送り方向と逆方向の後端部とを備え、
前記後端部が前記部品供給機構部に対し前記キャリアテープの幅方向に相当する側方に移動可能に設けられた電子部品フィーダである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記後端部に取っ手が設けられた請求項1に記載の電子部品フィーダである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記後端部にカバーテープの回収倉庫が設けられた請求項2に記載の電子部品フィーダである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記後端部が前記部品供給機構部に弾性部材を介して連結されることにより移動可能に設けられた請求項1、請求項2又は請求項3に記載の電子部品フィーダである。
【発明の効果】
【0011】
本件請求項1に係る発明によれば、後端部が部品供給機構部に対しキャリアテープの幅方向に相当する側方に移動可能に設けられたので、後端部への作業者等の接触があっても、その接触による作用力は後端部が側方へ動くことによって消化され、電子部品の受け渡し部を有した部品供給機構部に作用することは抑えられるから、電子部品の電子部品実装装置への受け渡し部の位置変化が抑えられ、受け渡し部の位置変化による部品吸着エラーや誤搭載を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダが装着される電子部品実装装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダの側面内視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダのカバーテープ回収駆動機構部の側面内視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダのカバーテープ回収倉庫部の側面内視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダの部品供給機構部の側面内視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカバーテープ回収倉庫部とカバーテープ回収駆動機構部との板バネによる連結構造を示す模式図であり、片側1つの板バネによる場合の模式図(A)及び両側1つずつによる場合の模式図(b)である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカバーテープ回収倉庫部とカバーテープ回収駆動機構部との圧縮コイルバネを働かせた連結構造を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダのカバーテープ回収倉庫部の前端部斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るカバーテープ回収倉庫部とカバーテープ回収駆動機構部との連結状態斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0014】
図1に示すように本発明の一実施形態に係る電子部品フィーダ1が電子部品実装装置100に装着される。図示しないが電子部品フィーダ1,1,1・・・が多数密接状態で並列配置されて電子部品実装装置100に装着される。
電子部品実装装置100は、基板Sに各種の電子部品の搭載を行うものであって、搭載される電子部品を供給する多数の電子部品フィーダ1を並べて保持する設置部としてのフィーダバンク102からなる部品供給部と、X軸方向に基板Sを搬送する基板搬送手段103と、当該基板搬送手段103による基板搬送経路の途中に設けられた基板Sに対する電子部品搭載作業を行うための基板保持部としての基板クランプ機構104と、吸着ノズル105を昇降可能に保持して電子部品の保持を行うヘッド106と、ヘッド106を部品供給部と基板クランプ機構104とを含んだ作業エリア内の任意の位置に駆動搬送する移動機構としてのX−Yガントリ107と、上記各構成を搭載支持するベースフレーム114とを備えている。
【0015】
また、符号120は、ヘッド106に搭載され、電子部品の実装のために基板Sの位置決めマークを撮像する第一のカメラであり、符号130は、ベースフレーム114に固定装備され、吸着ノズル105に吸着された電子部品の角度及び位置ズレを求めるために撮像を行う第二のカメラである。
かかる電子部品実装装置100は、図示しない動作制御手段が、電子部品の実装に関する各種の設定内容が記録された実装データを保有し、実装データから実装すべき電子部品と、電子部品の電子部品フィーダ1等の設置位置に基づく部品受け取り位置と、基板上の実装位置を示すデータとを読み出すと共に、X−Yガントリ107を制御してヘッド106を電子部品の受け取り位置と実装位置とに移送し、各位置においてヘッド106を制御して吸着ノズル105の昇降動作及び吸着又は解放動作を行い、電子部品の実装の動作制御を実行する。
フィーダバンク102は、ベースフレーム114のY軸方向一端部にX軸方向に沿った状態で設けられている。フィーダバンク102は、X−Y平面に沿った長尺の平坦部を備え、当該平坦部の上面に多数の電子部品フィーダ1等がX軸方向に沿って羅列して載置装備される。
また、フィーダバンク102は、各電子部品フィーダ1等を保持するための図示しないラッチ機構を備えており、必要に応じて、各電子部品フィーダ1等をフィーダバンク102に対して装着又は分離することを可能としている。
【0016】
さて、電子部品フィーダ1につき詳細に説明する。図2において、前方Fはキャリアテープの受け渡し部A1への送り方向であり、左右側方L,Rが、キャリアテープの幅方向にも相当する本電子部品フィーダ1の側方である。図2〜図6においては、電子部品フィーダ1の側面のカバー類を外して状態を描いている。本電子部品フィーダ1は、キャリアテープが2本で、2レーンの部品供給機構を有する構成であるが、1レーンの構成でもよい。
【0017】
図3等に示す1は電子部品フィーダ、2はキャリアテープ送り機構、3はフィーダバンク102に構成されるマウンタに装着するためのガイドレール、4はクランプ部、5はフレーム、5Aはテープ経路、6はカバーテープ回収駆動機構部、7は後端部としてのカバーテープ回収倉庫部、8はテープガイドブロック、9はクランプレバー、10はクランプレバーアーム、11はモータ制御基板、12はメインコネクタである。
【0018】
図4に示すカバーテープ回収駆動機構部6の結合部6Aは、図6に示すフレーム5の、結合部5bと結合する。また、図4に示すカバーテープ回収駆動機構部6の結合部6b、結合部6cは、図5に示すカバーテープ回収倉庫部7と結合する。また、カバーテープ回収駆動機構部6にカバーテープ回収駆動ギヤ6dが設けられている。
図5に示すようにカバーテープ回収倉庫部7には、カバーテープ回収倉庫7A、取っ手7b、カバーテープ回収従動ギヤ7c、結合部6cと結合する結合部7d、板バネ7e、図6に示すテープガイドブロック8の結合部8bと結合する結合部7fが設けられる。
図6は、キャリアテープ送り機構2等を含んだ部品供給機構部Aを示し、カバーテープ回収駆動機構部6及びカバーテープ回収倉庫部7の取り付け前の状態を示す。
【0019】
図2に、カバーテープ回収倉庫部7に設けられた取っ手7bに掛かる側面からの荷重方向L,Rを示した。
図6に示す部品供給機構部Aは、フレーム5に、キャリアテープ送り機構2、マウンタに装着するためのガイドレール3、クランプ部4等が保持されて構成されている。さらにこのフレーム5に、テープガイドブロック8、クランプレバー9、クランプレバーアーム10、モータ制御基板11、メインコネクタ12が保持される。
【0020】
電子部品フィーダ1は、上掲した結合部を利用して図6に示す部品供給機構部Aに図4に示すカバーテープ回収駆動機構部6が結合され、さらに図5に示すカバーテープ回収倉庫部7が図6に示す部品供給機構部A及び図4に示すカバーテープ回収駆動機構部6に結合され、図2、図3に示すように組立てられる。
すなわち、詳細を図9、図10に示すようにカバーテープ回収従動ギヤ7cに隣接した結合部7dを、カバーテープ回収駆動機構部6のカバーテープ回収駆動ギヤ6dに隣接した結合部6cに固定する。また、カバーテープ回収倉庫部7は弾性部材としての板バネ7eを介して、カバーテープ回収駆動機構部6の結合部6bに結合される。板バネ7eの一端は、カバーテープ回収倉庫部7に固定され、他端は、結合部6bに固定される。板バネ7eは図7(A)に示すように片側に1つ、又は図7(b)に示すように両側1つずつで計2つ設けられる。カバーテープ回収倉庫部7の移動を大きくするためには、板バネ7eを1つとする構成が好ましい。
【0021】
また、本実施形態に拘わらず板バネ7eに代えて圧縮バネを使用してもよい。その場合、例えば図8に示すように板バネ7eに相当する位置の連結部材70はバネとせず、圧縮コイルバネ71が連結軸72にEリング73で押さえられて保持される構成をとることができる。
また、カバーテープ回収倉庫部7の下端の結合部7fは、テープガイドブロック8の結合部8bと結合される。この結合箇所に、図示しない圧縮バネや、ねじ付き防振ゴムなどの弾性部材が介装されている。これによりカバーテープ回収倉庫部7がキャリアテープの幅方向に相当する側方に移動可能に設けられたので、後端部への作業者等の接触があっても、その接触による作用力は後端部が側方へ動くことによって消化され、電子部品の受け渡し部を有した部品供給機構部に作用することは抑えられるから、電子部品の電子部品実装装置への受け渡し部の位置変化が抑えられ、受け渡し部の位置変化による部品吸着エラーや誤搭載を防止できるという効果がある。さらに前記移動操作が解除されると板バネ7eの作用によりカバーテープ回収倉庫部7が部品供給機構部Aのカバーテープ移動線上に戻るため、カバーテープ回収倉庫部7へのカバーテープの回収が円滑に行われる効果がある。
【0022】
フィーダバンク102に構成されるマウンタに電子部品フィーダ1が装着される時、キャリアテープ送り機構2上には、吸着ノズル105が電子部品を吸着する部位、すなわち、電子部品を電子部品実装装置100に受け渡す受け渡し部A1が構成される。そして、専ら取っ手7bが作業者等から直接に外力を受けやすい箇所となる。図2に示すように取っ手7bが前後左右(図2中の矢印で順にF,B,L,R)に外力を受けた時に、カバーテープ回収倉庫部7が上掲の結合部を支点として左右側方L,Rに倒動する。これにより、フレーム5の変動、すなわち、受け渡し部A1の変動を減少させることができる。カバーテープ回収倉庫部7が倒動しても、駆動ギヤ6d及び従動ギヤ7cは固定されているので、カバーテープの掻き取り性能の低下は防がれる。また、カバーテープ回収倉庫部7の部品精度のバラツキによって隣接するカバーテープ回収倉庫部7,7同士の当たりがあっても、カバーテープ回収倉庫部7の倒動により、電子部品の受け渡し部A1の配置精度に悪影響を与えない。
【符号の説明】
【0023】
1 電子部品フィーダ
2 キャリアテープ送り機構
3 ガイドレール
4 クランプ部
5 フレーム
6 カバーテープ回収駆動機構部
7 カバーテープ回収倉庫部(後端部)
7A カバーテープ回収倉庫
7b 取っ手
7e 板バネ
8 テープガイドブロック
9 クランプレバー
10 クランプレバーアーム
11 モータ制御基板
12 メインコネクタ
100 電子部品実装装置
A 部品供給機構部
A1 受け渡し部
F 前方
B 後方
L 左側方
R 右側方
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持したキャリアテープを送って電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品フィーダであって、
前記電子部品を前記電子部品実装装置に受け渡す受け渡し部に送るキャリアテープ送り機構を含む部品供給機構部と、
前記キャリアテープの受け渡し部への送り方向と逆方向の後端部とを備え、
前記後端部が前記部品供給機構部に対し前記キャリアテープの幅方向に相当する側方に移動可能に設けられた電子部品フィーダ。
【請求項2】
前記後端部に取っ手が設けられた請求項1に記載の電子部品フィーダ。
【請求項3】
前記後端部にカバーテープの回収倉庫が設けられた請求項2に記載の電子部品フィーダ。
【請求項4】
前記後端部が前記部品供給機構部に弾性部材を介して連結されることにより移動可能に設けられた請求項1、請求項2又は請求項3に記載の電子部品フィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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