説明

電子部品供給装置

【課題】良好な部品供給テープの搬送を行う。
【解決手段】部品供給テープAの搬送路22が形成されたメインフレーム20と、部品供給テープを搬送するスプロケットと、搬送路の上面通過位置Fにおいて電子部品の受け渡を行う受け渡し部51と、部品供給テープから封止テープHを分離させるテープ分離部52と、上面通過位置において部品供給テープを上方から保持するテープガイド機構50とを備え、テープガイド機構は、部品供給テープを押さえる上流側の第一のガイド部材60及び下流側の第二のガイド部材70と、第一及び第二のガイド部材のそれぞれに部品供給テープの押さえ圧を付与する第一と第二の加圧機構80,90とを備える構成を採る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品供給装置としての電子部品フィーダ200は、図10に示すように、一般に、略平板状に形成され、その平板面を垂直に向けると共にその一端部を電子部品実装装置側に向けて取り付けられ、そのフレーム210内には電子部品が封止された部品供給テープが搬送される搬送路が形成されている。この部品供給テープの搬送路は、フレーム210の後端部から前方に向かって形成され、フレーム210の前端部では電子部品を実装装置のヘッドに受け渡すことが可能となるように、フレーム210の上面に露出するように形成されている。なお、部品供給テープの搬送方向上流側を「後方」、下流側を「前方」として説明するものとする。
【0003】
そして、フレーム上面の搬送路212には、フレーム210の上面に露出される区間を上方から覆うテープガイド220が着脱可能に取り付けられている。
このテープガイド220は、上下に貫通して開口形成された電子部品の受け渡し部221が設けられており、さらにその搬送方向上流側には、部品供給テープから電子部品の封止テープを上方に剥離させると共に後方に排出するテープ分離部222が開口形成されている。
さらに、フレーム210の上面に露出して形成された搬送路212には、その途中に搬送路212の上面からテープに嵌合する爪が突出するように取り付けられたテープ送り用のスプロケット214が配設されており、前述のテープガイド220は、当該スプロケット214の各爪が部品供給テープの嵌合穴に対する嵌合状態を維持するために下方に向かってテープを加圧保持する機能を有している。
【0004】
そして、このテープガイド220は、着脱可能に保持されるために、その前端部にはフレーム210の前端上部において後方に向かって開口するように形成された凹部213に嵌合する突起部223が形成され、後端部にはフレーム210の上面に設けられたロック機構230に着脱可能に保持されるロックピン224が設けられている。
ロック機構230は、ロックピン224が嵌合する嵌合溝231が上方に向かって開口形成された係止部232と、回動により嵌合溝231を塞ぐ状態と開放する状態とが切り替え可能なロックレバー233と、ロックレバー233が嵌合溝231を塞ぐ方向に付勢する加圧バネ234とを備えている。
【0005】
そして、テープガイド220の取り付けの際には、突起部223を凹部213に挿入し、当該突起部223を支点として他端部を回動させて搬送路212上の部品供給テープにテープガイド220の下面が密着するように押しつけながらロックレバー233を開放方向に操作してロックピン224を嵌合溝231に嵌合させ、ロックレバー233が加圧バネ234により保持位置に戻されると取り付けが完了するようになっている。
なお、テープのかけ直し作業等の際には、テープガイド220を取り外す必要があるが、その場合には、ロックレバー233を解除方向に回動させ、ロックピン224を嵌合溝231から上方に取り出すと共に後方にテープガイド220をずらして突起部223を凹部213から引き抜くことにより取り外しが行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−277350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したように、テープガイド220は、前端部の突起部223と後端部のロックピン224とにより上方から下方に向かって押さえ込まれており、これによりテープガイド220の前後方向全長に渡って部品供給テープを介して搬送路212に圧接する状態が維持されている。
しかしながら、上記テープガイド220は、その前端部の突起部223を支点とし、バネ圧を受ける後端部のロックピン224を力点として下方荷重が付与される構造のため、前側と後側とで下方加圧荷重に違いが生じやすい構造となっていた。
例えば、テープガイド220の前後方向の全長に渡ってその下面がフレーム210側に均一に密接していないと、前後いずれか片方のみに荷重が偏って発生してしまうという問題があった。
その結果、テープガイド220の下面と部品供給テープの上面の間に隙間が発生し、電子部品が微細なものの場合等にその隙間にはみ出したり挟まったりする問題が発生し、電子部品が吸着出来ないばかりではなく、最悪の場合、挟まって割れた電子部品を搭載してしまう事態が生じ得るという問題があった。
【0008】
特に、上記従来の電子部品フィーダ200は、突起部223を支点とするガイド部材220の上方への変位動作を許容するアシストスプリング235をロック機構230が有するので、前後における荷重の不均一がより顕著に発生していた。
【0009】
また、上記電子部品フィーダ200は、テープガイド220の装着の際に、ロックレバー233を開放させる操作を行いながら、ロックピン224とほぼ等しい幅の嵌合溝231にロックピン224を嵌合させる作業が必要なため、操作が煩雑となるという問題も生じていた。
【0010】
本発明は、良好な部品供給テープの搬送を行う電子部品供給装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、電子部品を保持した部品供給テープの搬送により電子部品実装装置に電子部品を供給すると共にその前端部を電子部品実装装置に向けて着脱可能とする電子部品供給装置であって、前記部品供給テープの搬送路が形成されたメインフレームと、前記搬送路上の部品供給テープに噛合して搬送動作を付与するスプロケットと、前記搬送路の前記メインフレームの上面を通過する上面通過位置において前記電子部品実装装置の部品吸着ヘッドに電子部品を受け渡す受け渡し部と、前記搬送路の上面通過位置であって前記受け渡し部の送り方向上流側において前記部品供給テープに電子部品を封止する封止テープを分離させるテープ分離部と、前記搬送路の上面通過位置を搬送される前記部品供給テープを上方から保持するテープガイド機構とを備える電子部品供給装置において、前記テープガイド機構は、前記部品供給テープを押さえる第一のガイド部材と、当該第一のガイド部材のテープ搬送方向下流側で前記部品供給テープを押さえる第二のガイド部材と、前記第一のガイド部材に前記部品供給テープの押さえ圧を付与する第一の加圧機構と、前記第二のガイド部材に前記部品供給テープの押さえ圧を付与する第二の加圧機構とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記テープ分離部は前記第一のガイド部材に設けられ、前記スプロケットは前記搬送路の上面通過位置で前記部品供給テープに噛合するように配置され、前記第二のガイド部材は前記部品供給テープに対して前記スプロケット側への加圧を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、少なくとも一方の前記加圧機構は、押さえ圧を付与する一方のガイド部材を着脱可能に保持すると共に当該ガイド部材を回動可能に支持する支点軸を備え、当該ガイド部材には前記支点軸が嵌合するU字溝が形成され、当該U字溝は、その入口側が拡開して形成されると共に拡開された入口には深部に前記支点軸を案内する傾斜案内部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記支点軸を有する加圧機構は、前記支点軸が前記U字溝内に保持される方向に前記ガイド部材を加圧する加圧部材と、前記加圧部材が前記支点軸を解放させる方向への移動を規制するストッパと、前記ストッパの解除操作を行う解除操作部とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記支点軸を有する加圧機構は、前記加圧部材を前記メインフレームの上面に沿って加圧する弾性体を備え、前記加圧部材と前記加圧されるガイド部材との接触部位を互いに傾斜面とし、当該各傾斜面は、前記支点軸が前記U字溝内に保持される方向と前記ガイド部材に前記部品供給テープへの押さえ圧を付与する方向とに前記弾性体の加圧力が生じる方向に傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明は、搬送路の上面通過位置を通過する部品供給テープを搬送方向上流側と下流側とで別々のガイド部材により上方から押さえるので、一方のガイド部材の影響が他方のガイド部材に及ぶことがなく、また、個々に押さえ圧を設定することも可能なので、前後いずれか一方のみに押さえ圧が集中し、他方に隙間を生じる等の現象の発生が緩和され、搬送路の上面通過位置の上流側と下流側とで搬送時に常に部品供給テープを押さえることが可能となり、電子部品の吸着エラーや電子部品の割れ、破損部品の実装等を効果的に抑止することができ、電子部品供給装置の信頼性を向上することが可能となる。
【0017】
請求項2記載の発明は、テープ分離部で分離された封止テープに引っ張られて第一のガイド部材による押さえ圧が低減される場合であっても、第二のガイド部材への影響を排除することができ、スプロケットによる部品供給テープの搬送を良好に行うことが可能となる。また、スプロケットが良好に部品供給テープを搬送することにより、部品供給テープの弛みが回避されることから、仮に搬送路とガイド部材に隙間を生じても搬送路から逸脱しにくくなり、電子部品の吸着エラーや電子部品の割れ、破損部品の実装等をさらに効果的に抑止することが可能となる。
また、ガイド部材は二つに分かれているので、分離された封止テープに引っ張られる場合であっても第一のガイド部材については予めそれを考慮した押さえ圧に設定しておけば、第一のガイド部材も良好に部品供給テープを押さえることが可能となる。
【0018】
請求項3記載の発明は、少なくとも一方の加圧機構が対応するガイド部材のU字溝に嵌合する支点軸を有し、U字溝の入口を拡開すると共に傾斜案内部を設けたので、対応するガイド部材を装着する際に支点軸に対して正確に位置合わせしなくとも傾斜案内部が支点軸を内部に導入して装着を容易とし、装着作業を円滑に行うことが可能となる。
なお、少なくとも一方の加圧機構とあるので、第一と第二の加圧機構の一方のみでも良いが、両方ともが上記構造となるように構成しても良い。
【0019】
請求項4記載の発明は、U字溝を介して支点軸に保持されるガイド部材がその保持状態を加圧部材により維持され、当該加圧部材はストッパにより支点軸の解放が規制されるので、ガイド部材の不慮の脱落が効果的に防止される。また、ストッパは解除操作部への操作により解除可能なので、ガイド部材の取り外しを簡単に行うことが可能である。
【0020】
請求項5記載の発明は、加圧部材とこれに加圧されるガイド部材との接触部位に傾斜面を形成し、これらの傾斜面がメインフレームの上面に沿って加圧する弾性体の加圧力を支点軸がU字溝内に保持される方向とガイド部材が部品供給テープを押さえる方向とに分力させる方向に傾斜していることから、ガイド部材が部品供給テープを押さえる方向に沿って弾性体を配置する場合のように、同方向について大型化を回避することができ、電子部品供給装置をガイド部材が部品供給テープを押さえる方向について小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電子部品フィーダを用いる電子部品実装装置の斜視図である。
【図2】電子部品フィーダの斜視図である。
【図3】ガイド機構の斜視図である。
【図4】第一のガイド部材及び第一の加圧機構の側面図である。
【図5】第一のガイド部材のU字溝の部分のみを拡大して示した側面図である。
【図6】第一のガイド部材の取り外し状態を示した側面図である。
【図7】第二のガイド部材及び第二の加圧機構の斜視図である。
【図8】第二のガイド部材の取り外し状態を示した斜視図である。
【図9】図9(A)は第一のガイド部材に着脱ロック機構を付した例の側面図、図9(B)は平面図、図9(C)は図9(A)のW−W線に沿った断面図である。
【図10】電子部品フィーダの従来例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の実施形態の概要)
本発明に係る電子部品供給装置の実施形態について説明する。
電子部品供給装置としての電子部品フィーダ10は、電子部品実装装置100に着脱自在に備えられ、電子部品が均一間隔で封止テープにより封止された部品供給テープを搬送し、所定の受け渡し部で電子部品実装装置100の搭載ヘッド106に吸着させることで電子部品実装装置100に電子部品を供給するものである。
ここで、電子部品実装装置100において、基板Pが前工程から後工程に搬送される水平な方向をX軸方向とし、これと直交する水平な方向であり、電子部品実装装置100に配置される後述するフィーダ10の長手方向の向きに沿った方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向とする。
【0023】
(電子部品実装装置の構成)
図1は、電子部品フィーダ10を用いる電子部品実装装置100の斜視図であり、図2は、フィーダ10の斜視図である。
図1に示すように、電子部品実装装置100は、各構成部材がその上面に載置される基台102と、基板PをX軸方向に沿って前工程から後工程に搬送する基板搬送装置103と、複数の電子部品フィーダ10が並んで設置されるフィーダ収納部104と、電子部品フィーダ10により供給される電子部品Dを基板Pに搭載する搭載ヘッド106と、搭載ヘッド106をX,Y軸の各方向に移動するヘッド移動装置107等、を備えている。
【0024】
基板搬送装置103は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板PをX軸方向に沿って前工程側から後工程側へ搬送する。
また、基板搬送装置103は、搭載ヘッド106により電子部品Dを基板Pへ実装するため、所定の部品実装位置において基板Pの搬送を停止し、基板Pを保持することも行う。
【0025】
フィーダ収納部104は、基台102のY軸方向における一端部に設けられている。フィーダ収納部104において、個々の電子部品フィーダ10はその長手方向がY軸方向に向けられると共に、複数の電子部品フィーダ10がX軸方向に沿って並列するように着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、図1では電子部品フィーダ10は一つのみ図示されているが、実際には複数の電子部品フィーダ10が並んで装備される。
【0026】
搭載ヘッド106は、梁部材112に備えられており、下方(Z軸方向)に突出する吸着ノズル106aを有している。この吸着ノズル106aは、吸着保持する電子部品の大きさや形状に応じて交換できるように、着脱可能に備えられている。
吸着ノズル106aは、例えば、図示しない空気吸引装置と接続されており、吸着ノズル106aの下端である先端部に電子部品を吸着保持することを可能としている。また、その空気吸引装置には図示しない電磁弁が備えられており、その電磁弁により空気吸引装置の空気吸引状態と大気開放状態とを切り替える。つまり、空気吸引状態としたときに吸着ノズル106は負圧となり電子部品を吸着可能とし、大気開放状態としたときに吸着ノズル106aは大気圧状態となって吸着した電子部品の吸着を解除する。
【0027】
また、搭載ヘッド106には、吸着ノズル106aをZ軸方向に移動させる図示しないZ軸移動装置と、吸着ノズル106aをZ軸を中心として回転させる図示しないノズル回転装置とを備えている。
Z軸移動装置(図示省略)は、搭載ヘッド106上に設けられており、吸着ノズル106aをZ軸方向に移動させる移動機構であり、吸着ノズル106aはこのZ軸移動装置を介してZ軸方向に移動自在に搭載ヘッド106に備えられている。Z軸移動装置としては、例えば、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ、等を適用することができる。
ノズル回転装置(図示省略)は、搭載ヘッド106上に設けられており、吸着ノズル106aを回転させる回転駆動機構であり、吸着ノズル106aはこのノズル回転装置を介してZ軸を軸中心に回転自在に搭載ヘッド106に備えられている。Z軸回転装置としては、例えば、角度調節モータと、この角度調節モータの回転角度量を検出するエンコーダ等により構成される。
なお、吸着ノズル106aは一つのヘッドに複数搭載しても良い。その場合、吸着ノズル106aと同数のZ軸移動機構及びノズル回転機構が搭載ヘッド106に搭載される。
【0028】
ヘッド移動装置107は、搭載ヘッド106をX軸方向に移動するX軸移動装置107aと、搭載ヘッド106をY軸方向に移動するY軸移動装置107bと、により構成されている。
【0029】
X軸移動装置107aは、基板搬送装置103の基板搬送路上に、基板Pの搬送方向と垂直な方向(Y軸方向)に跨る様に備えられているガイド部材111,111に支持され、X軸方向に延在する梁部材112の側面に設けられている図示しないレール状の支持部材と、その支持部材に支持されている搭載ヘッド106をX軸方向に移動させる図示しない駆動装置を備えている。この駆動装置としては、例えば、リニアモータ、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ、等を適用することができる。
【0030】
Y軸移動装置107bは、ガイド部材111,111の上面に設けられている図示しないレール状の支持部材と、その支持部材に支持されている梁部材112をY軸方向に移動させる図示しない駆動装置を備えている。この駆動装置としては、例えば、リニアモータ、サーボモータとベルトの組み合わせ、サーボモータとボールネジの組み合わせ、等を適用することができる。
梁部材112はこのY軸移動装置107bによってガイド部材111,111の上面をY軸方向に移動自在に備えられており、搭載ヘッド106は梁部材112を介してY軸方向に移動自在となる。
【0031】
そして、搭載ヘッド106はヘッド移動装置107によって、X軸方向、Y軸方向に移動するとともに、電子部品フィーダ10の受け渡し部51に供給された部品供給テープAが保持する電子部品Dを、搭載ヘッド106の吸着ノズル106aにより吸着し、基板搬送装置103における部品実装位置の基板Pへ実装するようになっている。
【0032】
(電子部品フィーダの全体構成)
図2に示すように、電子部品フィーダ10は、その全体構成を支持するメインフレーム20を備えている。このメインフレーム20は、概略形状が一方向に長い平板状に形成されており、その平板面をY−Z平面に向けた状態でその長手方向一端部を電子部品実装装置100側に向けて当該電子部品実装装置100に保持されるようになっている。以下の説明では、電子部品フィーダ10の電子部品実装装置側となる端部を「前」、逆側の端部を「後」として説明を行うものとする。また、電子部品フィーダ10の前側を「部品供給テープの搬送方向下流側」、後側を「部品供給テープの搬送方向上流側」として説明を行うものとする。
【0033】
電子部品フィーダ10は、メインフレーム20の後端部に取り外し自在にセットされると共に、電子部品が均一間隔で封止された部品供給テープAが巻かれたリール11と、部品供給テープAをメインフレーム20に形成された搬送路に沿って搬送する送り機構30と、部品供給テープAの一面(搬送時に上面となる面)に貼着され、受け渡し部51の手前のテープ分離部52で剥離された封止テープHを巻き取る封止テープ巻き取り部12と、メインフレーム20の前端部の上面を通過する搬送路の一部分(以下、「搬送路の上面通過位置F」とする)において部品供給テープAを上方から保持するテープガイド機構50とを備えている。
【0034】
メインフレーム20は、その後端部に前述のリール11を回転可能に保持するリール保持部21を備え、ここから部品供給テープAの繰り出しを行っている。また、メインフレーム20には、リール保持部21から始まり、当該メインフレーム20の上面における上面通過位置Fを通過する搬送路22が形成されており、当該搬送路22は、上面通過位置Fを通過すると下側後方に折り返されてフレーム後端部から電子部品Dが取り出された空の部品供給テープAを排出する構造となっている。
【0035】
送り機構30は、上面通過位置Fにおいて部品供給テープAの搬送を行う。部品供給テープAにはその長手方向に沿って送り用の係合穴が均一間隔で無数に並んで形成されており、送り機構30は、送りの駆動源となるモータと部品供給テープAの係合穴に噛合するスプロケットとスプロケットを回転させる歯車列とを備えている(いずれも図示略)。
上記スプロケットは、上面通過位置Fを搬送される部品供給テープAの下側に配置されており、下方から部品供給テープAの係合穴にスプロケットの爪が入り込むようになっている。なお、スプロケットは、図2において時計回りに回転を行い、上面通過位置Fの部品供給テープAを前方に向けて搬送を行う。
【0036】
部品供給テープAは、均一間隔で電子部品Dが収容される凹部が形成されており、凹部が形成されている面には各電子部品Dを凹部に封止する封止テープHが貼着されている。
そして、後述するテープ分離部52で封止テープHは部品供給テープAから剥離されて搬送路から外れて後方に配置された封止テープ巻き取り部12により巻き取りが行われるようになっている。この封止テープ巻き取り部12は、封止テープHが巻き付けられるリールと、リールに回転を付与する歯車機構とを備えており、当該歯車機構は、前述したスプロケットを回転させる歯車列の一部から動力が伝達されてリールを回転させるようになっている。これにより、封止テープHの巻き取りのためのモータを不要とすると共にスプロケットとの同期が図られるようになっている。
【0037】
(テープガイド機構)
図3はガイド機構50の斜視図である。テープガイド機構50は、上面通過位置Fで部品供給テープAを上方から下方に向かって押さえる第一のガイド部材60と、第一のガイド部材60の下流側で部品供給テープAを上方から下方に向かって押さえる第二のガイド部材70と、第一のガイド部材60に部品供給テープ側への押さえ圧を付与する第一の加圧機構80と、第二のガイド部材70に部品供給テープ側への押さえ圧を付与する第二の加圧機構90とを備えている。
【0038】
第一のガイド部材60と第二のガイド部材70とは搬送路の上面通過位置Fにおいて、前後方向に沿った状態で同一直線状に配設され、各々が加圧機構80,90によって回動可能に支持されている。
また、第一のガイド部材60はその前端部が回動を行うように支持されており、当該回動により部品供給テープAを上方から押さえている。また、第二のガイド部材70はその後端部が回動を行うように支持されており、当該回動により部品供給テープAを上方から押さえている。そして、第一のガイド部材60の前端部と第二のガイド部材70の後端部とは、互いに対向配置されると共に相互間に隙間を有しており、この隙間が前述した電子部品Dの受け渡し部51となっている。つまり、搬送路の上面通過位置Fの途中でこの受け渡し部51により電子部品実装装置100のヘッド106に電子部品Dの受け渡しが行われるようになっている。
【0039】
また、第一のガイド部材60の前端部近傍には、X軸方向に沿ってスリットが形成されており、当該スリットが前述したテープ分離部52となっている。第一のガイド部材60の前端部の下側を搬送される部品供給テープAは、受け渡し部51の手前に位置するテープ分離部52において、封止テープHが上側に剥離されると共に封止テープHのみがテープ分離部52を通過して後方に折り返され(図4参照)、その先に配置された封止テープ巻き取り部12により巻き取られるようになっている。なお、テープ分離部52から受け渡し部51までの間は、部品供給テープAには封止テープHが存在しないまま電子部品Dが搬送されるが、第一のガイド部材60の前端部が部品供給テープAの上面を押さえているので、部品供給テープAから電子部品Dがこぼれ落ちることが防止される。
【0040】
(第一のガイド部材)
図4は第一のガイド部材60及び第一の加圧機構80の側面図である。第一のガイド部材60は、前後方向における中間位置より幾分後方寄りの位置で第一の加圧機構80によりX軸回りに回動可能に支持されると共に、前端部においてその下面が部品供給テープAの上面に接して下方に押さえ付けを行い、後端部は第一の加圧機構80によりテープの押さえ圧が付与される。
【0041】
第一のガイド部材60は、第一の加圧機構80により回動可能に支持されると共に着脱可能となっている。即ち、図5に示すように、第一のガイド部材60の下面には、U字溝(嵌合部)61が形成されており、このU字溝61は、第一のガイド部材60の下面から上方に向かい、途中から後方に向かうように進路が屈曲して形成されている。また、U字溝61の入口は前側に拡開形成されており、当該前側の拡開形成部には、後述する支点軸82を当該U字溝61の深部に導くために、後方と上方との合成方向に沿って傾斜した傾斜面62が形成されている。即ち、この傾斜面62は傾斜案内部として機能する。
また、第一のガイド部材60の後端部には、第一の加圧機構80により加圧される傾斜面63が形成されている。この傾斜面63も後方と上方との合成方向に沿って傾斜している。
【0042】
(第一の加圧機構)
第一の加圧機構80は、第一のガイド部材60の左右両側に立ち上げられた側壁81a(図4では一方のみ図示)を有する支持枠体81と、支持枠体81の前端部において両側壁81aに懸架され、第一のガイド部材60を回動可能に軸支する支点軸82と、支持枠体81により前後移動可能に支持された加圧部材83と、加圧部材83をメインフレーム20の上面に沿って前方に加圧する弾性体としての加圧バネ84とを備えている。
【0043】
支持枠体81は、メインフレーム20の上面の前端部近傍に固定装備されており、底板部と両側壁と後壁とから構成され、上方及び前方が開放されている。そして、支持枠体81の内側には加圧部材83が前後移動可能に支持されている。この支持枠81には、前述した支点軸82よりも後方となる配置で前後二つの支持ピン85,85がX軸方向に平行な状態で両側壁81aに懸架されており、これら支持ピン85,85は加圧部材83に形成された左右方向に沿った二つの長穴83a,83aに挿通されている。加圧部材83の各長穴83a,83aは前後に並んで配置されると共にいずれも前後方向に沿って形成されているため、支持ピン85,85が挿入された状態では加圧部材83の前後移動を許容する構造となっている。
【0044】
また、加圧部材83の後端部には凹部83bが形成されており、当該凹部83bの内側には加圧部材83を前方に加圧する加圧バネ84の前端部が挿入されている。この加圧バネ84の後端部は当接ピン84aを介して支持枠81の後壁81bに当接しており、当該後壁1bと凹部83bとの間で加圧バネ84は、常に圧縮された状態で配設されている。これにより、加圧バネ84は加圧部材83を常時前方に加圧している。
【0045】
また、加圧部材83の前端上部には、前方と下方との合成方向に沿って傾斜した傾斜面83cが形成されており、第一のガイド部材60の後端下部に形成された傾斜面63に面で加圧接触するようになっている。つまり、加圧部材83が加圧バネ84により前方に加圧されると、傾斜面83cと傾斜面63とが互いに面で接触することとなる。その結果、第一のガイド部材60には傾斜面63に対して垂直な方向(前方及び上方の合成方向)に加圧力が付与される。前述したU字溝61は当初上方に向かい、その途中から後方に向かって最深部に到達するように屈曲形成されていることから、第一のガイド部材60が加圧部材83により加圧されると、その前方成分がU字溝61の最深部が支点軸82に圧接するように作用して、U字溝61から支点軸82が脱落しないように保持される。また、加圧部材83の加圧力の上方成分は、第一のガイド部材60の後端部を上方に押し上げることとなり、支点軸82を中心として第一のガイド部材60の前端部に下方への回動を付与することとなり、第一のガイド部材60の前端部による部品供給テープAの押さえ圧を付与することとなる。
【0046】
また、図4に示すように、支持枠81と加圧部材83との間には、加圧部材83の後退を規制するストッパ機構86が設けられている。
このストッパ機構86は、加圧部材83の二つの長穴83a,83aの間で上下に貫通形成された貫通穴86aと、当該貫通穴86a内で上下動可能に支持された移動体としてのプッシュボタン86bと、支持枠81の底板から上方に突出して加圧部材83に形成された貫通穴86a内に先端部が下方から挿入可能なストッパとしてのストッパピン86cと、ストッパピン86cを上方に加圧する加圧バネ86dとを備えている。
【0047】
プッシュボタン86bは上下方向に沿った長穴が形成されており、当該長穴に挿入された保持ピン86eにより加圧部材83に対する上下動を所定の範囲で許容されている。かかる許容範囲は、プッシュボタン86bの上端面が加圧部材83の上面から突出した状態から少なくともプッシュボタン86bの下端面が加圧部材83の底面と面一となる状態まで下降可能とする範囲に設定されている。
一方、ストッパピン86cは、支持枠81の下側において、メインフレーム20により上下動可能に支持されており、その先端部が支持枠81の底板の貫通穴に下方から挿入され、当該先端部が底板上面よりも上方に突出した状態から先端部が底板上面と面一となる位置まで上下動可能となっている。
また、加圧部材83が傾斜面83cと63とを接触させて第一のガイド部材60を加圧保持している状態にある時に、貫通穴86aはストッパピン86cの真上となるようにその位置が設定されている。その結果、加圧部材83が第一のガイド部材60を加圧保持している状態でストッパピン86cの上端部が貫通穴86aに下方から挿入され、加圧部材83の前後移動を規制可能となっている。
また、図4に示すように、貫通穴86aはストッパピン86cに比べて前後方向について若干大きく形成されており、その結果、遊びSが生じている。一方、U字溝82の前後方向の深さTは、遊びSよりも大きく設定されている。このため、ストッパピン86cの遊びSに応じて加圧部材83が後方に移動しても、U字溝61から支点軸82が抜け出ることがないようになっている。
【0048】
(第一のガイド部材の着脱作業)
ここで、第一のガイド部材60の取り外し作業と装着作業について説明する、
取り外しの際には、図6に示すように、手動操作でプッシュボタン86bを下方に押し込むことで、貫通穴86aからストッパピン86cを押し出すことができ、これにより、ストッパピン86cによる加圧部材83の前後移動規制状態を解除することが可能となる。即ち、プッシュボタン86bは解除操作部として機能するものである。
そして、加圧部材83の前後移動規制状態が解除されると、加圧部材83の上面部に形成された操作突起83dにより手動操作で加圧部材83を後方に押し戻すことにより、第一のガイド部材60が押圧状態から解放され、当該第一のガイド部材60を後方に移動させることでU字溝61の最深部から支点軸82を相対的に前方に移動させることができ、さらに、第一のガイド部材60を後方に移動させることにより、傾斜面62が支点軸82に当接して第一のガイド部材60の上方移動を案内し、第一の加圧機構80から完全に分離するようになっている。
【0049】
また、第一のガイド部材60の装着の際には、手動操作でプッシュボタン86bを下方に押し込んで貫通穴86aからストッパピン86cを下方に押し出し、支点軸82がU字溝61の開口部におおむね位置が合うようにしながら第一のガイド部材60を第一の加圧機構80に向かって押し下げる。このとき、図5に示すように、U字溝61はその開口部が拡開されているので、その開口幅Pの範囲内に支点軸82が合うように位置合わせを行えば良く、装着作業を容易に行うことが可能である。そして、第一のガイド部材60を下降させると相対的に支点軸82がU字溝内に侵入し、傾斜面62に当接して深部に案内される。このとき、第一のガイド部材60の後端部側の傾斜面63は、加圧部材83の傾斜面83cに当接し、当該加圧部材83を後方に移動させることとなるが、支点軸82がU字溝61の最深部に向かうにつれて第一のガイド部材60は前方に移動するので、加圧部材83も前方に移動することとなり、再び、ストッパピン86cが貫通穴86aに挿入可能な位置となり、第一のガイド部材60の装着が完了すると、ストッパ機構86も加圧部材83の前後移動を規制する状態となる。
【0050】
(第二のガイド部材)
図7は第二のガイド部材70及び第二の加圧機構90の斜視図である。第二のガイド部材70は、前後方向における中間位置より幾分前方寄りの位置で第二の加圧機構90によりX軸回りに回動可能に支持されると共に、後端部においてその下面が部品供給テープAの上面に接して下方に押さえ付けを行い、前端部は第二の加圧機構90によりテープの押さえ圧が付与される。
また、第二のガイド部材70の後端部は、図示しないスプロケットの真上に位置し、当該スプロケットに噛合する部品供給テープAを上方から押さえ付け、当該噛合状態を維持することを可能としている。
【0051】
(第二の加圧機構)
第二の加圧機構90は、メインフレーム20の前端上面に立設された支持部92と、支持部92において第二のガイド部材70をX軸回りに軸支する段ネジ91と、第二のガイド部材70による部品供給テープAの押さえ付けとその解除との切り替えを手動入力可能とするガイドフック94と、支持部92においてガイドフック94をX軸回りに軸支する段ネジ93と、第二のガイド部材70の前端部を上方に押圧して後端部に押さえ圧を付与する弾性体としての加圧バネ95とを備えている。
【0052】
上記第二の加圧機構90により、第二のガイド部材70は前端部を上方に押圧されているので、後端部は逆に下方に加圧され、部品供給テープAの押さえつけが可能となっている。
また、ガイドフック94は、その下端部が段ネジ93により回動可能に軸支され、上端部は前後両方向に延出されている。そして、ガイドフック94の上端部における後端下部には、第二のガイド部材70の前端部近傍からX軸方向に沿って突出したボス状の突起71に対して上方から接する傾斜部94aと、傾斜部94aの前側に連接し、突起71が嵌合可能な保持部94bとが形成されている。また、ガイドフック94の上端部における前端部は、当該ガイドフック94を後方に回動操作する操作部94cとなっている。
【0053】
傾斜部94aは、前方に向かうにつれて下降する方向に傾斜しており、操作部94cの手動操作によりガイドフック94を後方に回動させると、傾斜部94aに当接する突起71が下方に押し下げられ、その結果、加圧バネ95に抗して第二のガイド部材70の後端部を上方に押し上げることが可能となっている。
また、傾斜部94aの前側には、突起71の外径と等しい円弧状の保持部94bが連接して形成されており、図8に示すように、ガイドフック94をさらに後方に回動させることにより傾斜部94aに当接していた突起71を保持部94cに嵌合保持させることが可能となっている。これにより、第二のガイド部材70の後端部が上方に押し上げられた状態、即ち、押さえつけの解除状態を維持することが可能となっている。なお、解除状態から部品供給テープAの押さえつけ状態に戻す場合には、ガイドフック94を前方に回動させれば突起71を保持部94cから外すことができる。
【0054】
また、ガイドフック94は図示しないバネにより後方への回動が常に付勢されており、傾斜部94aが突起部71に当接した状態が維持されるようになっている。この図示しないバネの弾性力は、上記当接状態を維持することが可能な必要最小限の大きさに調整されており、これにより、第二のガイド部材70が部品供給テープの押さえつけを行っている際に、ガイドフック94が突起71から離れさせてしまったり、また、バネの加圧力によって突起71を保持部94bまで移動させてしまったりすることがないようになっている。
【0055】
(電子部品フィーダの作用効果)
上記構成からなる電子部品フィーダ10では、搬送路の上面通過位置Fを通過する部品供給テープAを搬送方向上流側と下流側とで別々のガイド部材60と70とにより上方から押さえるので、各ガイド部材60,70の影響が他方のガイド部材に及ぶことがなく、前後いずれか一方のみに押さえ圧が集中したり、他方に隙間を生じたりする等の現象の発生が緩和され、搬送路の上面通過位置の上流側と下流側とで搬送時に常に部品供給テープAを好適に押さえることが可能となり、電子部品の吸着エラーや電子部品の割れ、破損部品の実装等を効果的に抑止することができ、電子部品フィーダ10の信頼性を向上することが可能となる。
また、テープ分離部52で分離された封止テープHに引っ張られて第一のガイド部材60による押さえ圧が低減される場合であっても、第二のガイド部材70へは影響が及ばず、第二のガイド部材70による部品供給テープAの押さえ付けが良好に行われ、スプロケットによる部品供給テープの搬送を良好に行うことが可能となる。
【0056】
また、電子部品フィーダ10は、U字溝61を介して支点軸82に保持される第一のガイド部材60がその保持状態を加圧部材83により維持され、当該加圧部材83はストッパ機構86により支点軸82の解放が規制されるので、第一のガイド部材60の不慮の脱落が効果的に防止される。また、ストッパ機構86はプッシュボタン86bの操作により支点軸82の解放規制状態を解除可能なので、ガイド部材60の取り外しを簡単に行うことが可能である。
さらに、加圧部材83と第一のガイド部材60との接触部位を互いに面接触する傾斜面83c、63としたので、第一のガイド部材60の後端部を上方及び前方に加圧することができ、支点軸82のU字溝61内の保持と、第一のガイド部材60の前端部が部品供給テープAを押さえる押さえ圧の付与とを行うことができる。さらに、加圧バネ84による前方への加圧力を下方への押さえ圧に変換することができるので、加圧バネ84を上下方向に沿って配置する場合と比べて、上下方向について電子部品フィーダ10の小型化を図ることが可能である。
【0057】
(その他)
上記実施形態では、電子部品フィーダ10がリール11を保持するタイプのものを例示したが、特にこれに限定されるものではなく、リール11は電子部品フィーダ10と別の位置に保持され、電子部品フィーダ10はリール11から繰り出された部品供給テープAをヘッド6への受け渡し部51に搬送する機能のみを有するものであっても良い。
また、上記実施形態では、電子部品フィーダ10が部品供給テープAの搬送を行うための駆動源を内蔵するタイプのものを例示したが、これに限定されるものではなく、搬送の動力を電子部品フィーダ1側の駆動源が電子部品フィーダ10に付与する構成としても良い。
【0058】
また、第二のガイド部材70及び第二の加圧機構90については、第一のガイド部材60及び第一の加圧機構80と同様の構造として、第二のガイド部材70を着脱可能としても良い。また、その逆に、第一のガイド部材60及び第一の加圧機構80を第二のガイド部材70及び第二の加圧機構90と同様の構造として、第一のガイド部材60の前端部を回動によりメインフレーム20から離間可能としても良い。
また、第二の加圧機構90も加圧部材とストッパ機構を有する構成とし、加圧部材と第二のガイド部材70とに互いに形成された傾斜面が面接触することで、第二のガイド部材70に不慮の取り外しが起こらないように加圧し、且つ、テープの保持圧を付与するようにしても良い。
【0059】
(第一のガイド部材の他の例)
図9は前述した第一のガイド部材60に着脱ロック機構65を付加した例を示している。かかる着脱ロック機構65は、第一のガイド部材60によりY軸方向に沿って往動可能に支持されたロック部材66がその往動によりU字溝61の下方開口部を開閉可能としている。かかるロック部材66は、図9(C)に示すように、Y軸方向から見て略コ字状に形成され、一枚の金属平板を折曲加工することにより上面部66aと側面部66bと下面部66cが一体的に形成されている。
ロック部材66の上面部66aは第一のガイド部材60の上面に接しており、また、Y軸方向に沿った長穴66dが貫通形成されている。そして、当該長穴66dには第一のガイド部材60の上面部から上方に突出した突起67が嵌合している。かかる突起67は上方から見た断面形状がY軸方向に沿った長円状であり、ロック部材66は長穴66dを介してY軸方向に沿った直進動作のみが可能となるよう規制されている。
ロック部材66の下面部66cは第一のガイド部材60の下面に接しており、その前端部はU字溝61を完全に閉じるように延出されている。
ロック部材66の側面部66bは上面部66aの前端部と下面部66cの後端部とを連結しており、第一のガイド部材60の側面に接している。また、この側面部66bには、上下における中間部でX−Z平面に沿うように折曲加工されたバネ受け部66eが設けられている。第一のガイド部材60の上記側面には、ロック部材66がU字溝61を閉じた状態を維持するように加圧する加圧バネ68が格納される凹部69がY軸方向に沿って形成されている。そして、この凹部69内において、コイル状の加圧バネ68が圧縮状態で格納され、その後端部は凹部69の内面に当接し、前端部は前述のバネ受け部66eに当接している。これにより、ロック部材66は、常時前方に加圧された状態となり、下面部66cの前端部がU字溝61を閉じた状態を維持することができる。
第一のガイド部材60を装着又は取り外す際には、ロック部材66を後方にスライドさせる。これにより、ロック部材66の下面部66cの前端部が後退してU字溝61の開口部から退避し、U字溝61が開放状態となるので、支点軸82の通過が可能となり、第一のガイド部材60の着脱を妨げない。
このように、第一のガイド部材60に着脱ロック機構65を設けることにより、人為的な操作を加えない限り、支点軸82の不慮の脱落を防止することができ、第一のガイド部材60に例えば部品供給テープA等から外力が加わっても第一のガイド部材60が外れることはなく、部品供給テープの送り動作異常を抑止するので、電子部品フィーダ10の信頼性を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
10 電子部品フィーダ(電子部品供給装置)
20 メインフレーム
22 搬送路
50 テープガイド機構
51 受け渡し部
52 テープ分離部
60 第一のガイド部材
61 U字溝
62 傾斜面(傾斜案内部)
63 傾斜面
70 第二のガイド部材
80 第一の加圧機構
82 支点軸
83 加圧部材
83c 傾斜面
84 加圧バネ(弾性体)
86 ストッパ機構
86b プッシュボタン(解除操作部)
90 第二の加圧機構
100 電子部品実装装置
103 基板搬送装置
106 搭載ヘッド
106a 吸着ノズル
107 ヘッド移動装置
A 部品供給テープ
D 電子部品
F 搬送路の上面通過位置
H 封止テープ
P 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持した部品供給テープの搬送により電子部品実装装置に電子部品を供給すると共にその前端部を電子部品実装装置に向けて着脱可能とする電子部品供給装置であって、
前記部品供給テープの搬送路が形成されたメインフレームと、
前記搬送路上の部品供給テープに噛合して搬送動作を付与するスプロケットと、
前記搬送路の前記メインフレームの上面を通過する上面通過位置において前記電子部品実装装置の部品吸着ヘッドに電子部品を受け渡す受け渡し部と、
前記搬送路の上面通過位置であって前記受け渡し部の送り方向上流側において前記部品供給テープに電子部品を封止する封止テープを分離させるテープ分離部と、
前記搬送路の上面通過位置を搬送される前記部品供給テープを上方から保持するテープガイド機構とを備える電子部品供給装置において、
前記テープガイド機構は、
前記部品供給テープを押さえる第一のガイド部材と、
当該第一のガイド部材のテープ搬送方向下流側で前記部品供給テープを押さえる第二のガイド部材と、
前記第一のガイド部材に前記部品供給テープの押さえ圧を付与する第一の加圧機構と、
前記第二のガイド部材に前記部品供給テープの押さえ圧を付与する第二の加圧機構とを備えることを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記テープ分離部は前記第一のガイド部材に設けられ、
前記スプロケットは前記搬送路の上面通過位置で前記部品供給テープに噛合するように配置され、
前記第二のガイド部材は前記部品供給テープに対して前記スプロケット側への加圧を行うことを特徴とする請求項1記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
少なくとも一方の前記加圧機構は、押さえ圧を付与する一方のガイド部材を着脱可能に保持すると共に当該ガイド部材を回動可能に支持する支点軸を備え、
当該ガイド部材には前記支点軸が嵌合するU字溝が形成され、
当該U字溝は、その入口側が拡開して形成されると共に拡開された入口には深部に前記支点軸を案内する傾斜案内部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記支点軸を有する加圧機構は、
前記支点軸が前記U字溝内に保持される方向に前記ガイド部材を加圧する加圧部材と、
前記加圧部材が前記支点軸を解放させる方向への移動を規制するストッパと、
前記ストッパの解除操作を行う解除操作部とを備えることを特徴とする請求項3記載の電子部品供給装置。
【請求項5】
前記支点軸を有する加圧機構は、前記加圧部材を前記メインフレームの上面に沿って加圧する弾性体を備え、
前記加圧部材と前記加圧されるガイド部材との接触部位を互いに傾斜面とし、
当該各傾斜面は、前記支点軸が前記U字溝内に保持される方向と前記ガイド部材に前記部品供給テープへの押さえ圧を付与する方向とに前記弾性体の加圧力が生じる方向に傾斜していることを特徴とする請求項4記載の電子部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−171318(P2011−171318A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30794(P2010−30794)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】