電子部品実装装置のライン制御装置
【課題】生産設備のいずれか1つの生産ラインで生産できない電子回路基板であっても、複数の生産ラインを組み合わせて生産することができる場合に、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことができる。
【解決手段】電子部品実装装置のライン制御装置において、各生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の入側に設けられた、搬入する電子回路基板をそれぞれ識別するための識別子を読み取る手段と、読み取られた識別子情報に基づいて、前記電子回路基板の各生産ラインへの投入順序を含む生産履歴情報を保存する手段と、前記識別子により識別された今回の電子回路基板の当該生産ラインへの投入順序が、生産条件で設定された当該生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする手段と、を備える。
【解決手段】電子部品実装装置のライン制御装置において、各生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の入側に設けられた、搬入する電子回路基板をそれぞれ識別するための識別子を読み取る手段と、読み取られた識別子情報に基づいて、前記電子回路基板の各生産ラインへの投入順序を含む生産履歴情報を保存する手段と、前記識別子により識別された今回の電子回路基板の当該生産ラインへの投入順序が、生産条件で設定された当該生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置のライン制御装置に係り、特に、生産設備のいずれか1つの生産ラインで生産できない電子回路基板であっても、複数の生産ラインを組み合わせて生産することができる場合に、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことが可能な電子部品実装装置のライン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を基板に実装する2以上の部品実装機からなる生産ラインを対象とし、コンピュータにより、部品の実装順動作を最適化する方法として、対象とした任意の1つのラインに対して、与えられた生産プログラムの生産タクトを早く、且つ、ラインバランスを均一化するように処理が行われていた。
【0003】
例えば特許文献1では、その図21に示されるように、まず、部品数の多い順に並べることにより、部品ヒストグラム406aを生成する。次に、生成された部品ヒストグラム406aから、その一部である部分ヒストグラム400を取り出して、部品カセットの並びを横軸(Z軸)、作業ヘッドによる吸着回数を縦軸とする2次元座標に配置する。続いて、部分ヒストグラム401a、bを配置することにより、横軸方向の幅(部品数)がn(「4」)となるダイヤグラム406bが生成されるように部品テープを並べていく。これにより、複数の部品を同時に吸着するマルチ装着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、部品の実装動作の最適化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37396号公報(図21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の最適化方法では、最適化をする対象はあくまでも任意の1つのラインである。従って、1ラインで使用可能な搭載点数や部品種数を超えるような基板のデータについては、最適化及び生産を行うことができなかった。そのため、そのような基板を扱う場合には、1つの生産プログラムをユーザが手動にて複数の生産プログラムに分割し、1ラインで取り扱い可能なデータとして、各ラインに対する最適化処理を行うか、又は、1つのラインで生産が可能となるようにライン構成のレイアウト変更行う必要が生じるといった問題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、生産設備のいずれか1つの生産ラインで生産できない電子回路基板であっても、複数の生産ラインを組み合わせて生産することができる場合に、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことが可能な電子部品実装装置のライン制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、部品供給装置から供給される部品を、順次吸着し、電子回路基板に実装していくための、搬出部及び搬入部を順次接続して編成した複数の電子部品実装装置を含む、電子回路基板の投入順序を変更可能な複数の生産ラインの制御を行なう、電子部品実装装置のライン制御装置において、各生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の入側に設けられた、搬入する電子回路基板をそれぞれ識別するための識別子を読み取る手段と、読み取られた識別子情報に基づいて、前記電子回路基板の各生産ラインへの投入順序を含む生産履歴情報を保存する手段と、前記識別子により識別された今回の電子回路基板の当該生産ラインへの投入順序が、生産条件で設定された当該生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする手段と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用された実施形態において生産プログラムを取り扱う情報処理装置の全体的な構成を示すブロック図
【図2】上記実施形態におけるデータ作成装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】前記実施形態におけるデータ作成装置の制御構成を示すブロック図
【図4】前記実施形態における生産プログラムのデータ作成処理を示すフローチャート
【図5】前記実施形態における電子部品実装装置設備のレイアウト構成の第1例を示すレイアウト図
【図6】前記実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、このレイアウト構成の第1例の能力を示す線図
【図7】前記実施形態のレイアウト構成の第1例における仮想生産ライン構成を示すレイアウト図
【図8】前記実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、この仮想生産ライン構成の能力を示す線図
【図9】前記実施形態における生産プログラムの階層構成を示すブロック図
【図10】前記実施形態のレイアウト構成の第1例における、仮想生産ライン構成の第2例を示すレイアウト図
【図11】前記実施形態のレイアウト構成の第2例における生産ライン構成及び仮想生産ライン構成を示すレイアウト図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態において生産プログラムを取り扱う情報処理装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【0012】
この図に示されるように、本実施形態において生産プログラムを取り扱う情報処理装置は、主としてデータ作成装置10と、最初に生産プログラムを生成するホスト装置12と、各電子部品実装装置が内蔵する部品実装装置制御装置14と、各生産ラインに備えられるライン制御装置16とを備え、これらはネットワーク18によって互いに接続されている。
【0013】
本実施形態では、電子回路基板に電子部品を実装し生産する生産設備として、複数の電子部品実装装置で構成した生産ラインを複数備えている。これら生産ラインは、いずれも、複数の電子部品実装装置を備え、これら電子部品実装装置の搬出部及び搬入部を順次接続して編成し、構成されている。そして、ライン制御装置16は、このような生産ラインにおける電子回路基板の搬入搬出などの制御を行なう。
【0014】
ホスト装置12は、これら生産ラインにおいて、電子部品実装装置に用いられる、該当の電子回路基板の生産に必要な実装動作を網羅した生産プログラムを生成するものである。該生産プログラムは、電子部品実装装置において、部品供給装置から供給される部品を、順次吸着し、電子回路基板に実装していく、該当の電子回路基板の生産に必要な実装動作を網羅したものである。
【0015】
又、データ作成装置10は、この生産プログラムに対して、適宜、処理を施し、これにより必要な生産プログラムの生成を行なって、これをホスト装置12に送り返す。又、電子回路基板の生産に当たっては、該ホスト装置12から各電子部品実装装置の部品実装装置制御装置14に対して、必要な生産プログラムがネットワーク18を介して送付される。
【0016】
ここで、図2は、本実施形態におけるデータ作成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
この図に示されるように、データ作成装置10は、種々のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)20と、実行するプログラムなどを記憶する主記憶部となるRAM(Random Access Memory)21と、ハードディスク装置などによる大容量の外部記憶装置22と、諸装置を接続するI/O(Input Output)装置24と、ネットワークI/F(Inter Face)装置26とを有している。又、バス28により、これらはCPU20からアクセス可能になっている。
【0018】
上記のI/O装置24には、データ作成装置10が備えるキーボードやマウス、又画像表示装置などが接続されている。又、ネットワークI/F装置26は、データ作成装置10がネットワーク18に接続するためのものであり、該ネットワークI/F装置26により、ホスト装置12に対して情報の受渡しが可能になっている。
【0019】
本実施形態の記憶手段であるRAM21や外部記憶装置33は、CPU20で実行されるプログラムや、本実施形態においてアクセスされる諸ファイルやデータが保存され、電子的にアクセスができるようになっている。又、本実施形態に係るデータ作成装置10としての、動作や機能を実現するための制御を行うためのアプリケーション・プログラムや、OS(Operating System)などのプログラムは、外部記憶装置22に格納されていて、実行時には、RAM21に読み出されてCPU20によって実行される。
【0020】
図3は、本実施形態におけるデータ作成装置10の制御構成を示すブロック図である。
【0021】
この図に示されるように、データ作成装置10は、データ生成選択判定部30と、最適化処理部32及び36と、仮想生産ライン編成処理部34と、適合プログラム生成処理部38とを有している。
【0022】
まず、最適化処理部32は、該当の電子回路基板の生産に必要な実装動作を行なうための生産プログラムに係り、該生産プログラムによる生産を、本実施形態が備えるいずれか1つの生産ラインのみで行なえる場合、前記生産プログラムの最適化を行なう。
【0023】
データ生成選択判定部30は、該当の電子回路基板の生産のための前記生産プログラムを取得し、該生産プログラムの内容から、1つの生産ラインのみで該生産を行なえる生産ラインが、利用可能な生産設備にあるか否か判定する。
【0024】
そして、仮想生産ライン編成処理部34は、該データ生成選択判定部30で生産ラインなしと判定された場合、前記生産設備に含まれるいずれか複数の生産ラインを組み合わせることで、該生産が可能な仮想生産ラインを編成する。又、最適化処理部36は、該仮想生産ラインを前提とし、前記生産プログラムの最適化を行なう。又、適合プログラム生成処理部38は、該最適化がなされた生産プログラムを、前記生産設備において前記仮想生産ラインを採用しないこれまでと同様に用いられるように適合化し、これにより該生産設備用の生産プログラムを生成する。
【0025】
本実施形態では、ユーザの保有するいずれのラインにおいても、単一ラインでは生産不可能な場合には、最適化プログラム内部において、論理的に複数ラインを一つのラインとして結合し、仕様外の生産プログラムの最適化及び生産を行う。その際、まず、最適化対象となる生産プログラムの搭載点数及び部品種数に対して、本実施形態が保有する各ラインの仕様内に収まっているかどうかをチェックする。いずれかのラインで生産可能な場合には、生産可能なラインの内、もっとも生産タクトの早いラインにて最適化を実施するものとする。
【0026】
図4は、本実施形態における生産プログラムのデータ作成処理を示すフローチャートである。図5は、本実施形態における電子部品実装装置設備のレイアウト構成の第1例を示すレイアウト図である。又、図6は、本実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、このレイアウト構成の第1例の能力を示す線図である。
【0027】
ここで、このレイアウト構成の第1例において、又後述する第2例において、符合A〜Cは、いずれも実施形態が保有する生産ラインである。マシン1〜9は、いずれも電子部品実装装置であり、生産ラインA〜Cのいずれかに属する。符合K〜Mは、いずれも本発明が適用された仮想生産ラインであり、2つ以上の生産ラインA〜Cによって仮想的に編成されるものである。又、一点鎖線はいずれも生産ラインを、太線の二点鎖線はいずれも仮想生産ラインを図示するものとする。
【0028】
以下、図4のフローチャートに従い、図5のレイアウト構成及び図6の生産プログラムを例として、本実施形態の作用について説明する。
【0029】
まず、図5において、生産設備1は、本実施形態の生産設備の全体を示す。生産設備1の生産ラインAは、マシン1〜マシン3により構成される。生産ラインBは、マシン4及びマシン5により構成される。又、これら生産ラインA及び生産ラインB又マシン1〜マシン5それぞれの搭載点数及び部品種数、又、以下の説明に用いる、生産対象の例となる電子回路基板の搭載点数及び部品種数は、図6に示すとおりである。
【0030】
生産ラインAは搭載点数9000及び部品種数240であり、生産ラインBは搭載点数6000及び部品種数160である。従って、生産ラインAのみ、あるいは生産ラインBのみでは、生産対象の例の電子回路基板が要する搭載点数10000及び部品種数350に満ちるものではない。いずれのラインにおいても、搭載点数や部品種数が仕様外の件数になっていて、最適化が不可能となっている。
【0031】
以上のような前提で、図4のフローチャートにおいて、まず、ステップS110では、データ作成装置10のデータ生成選択判定部30は、生産対象の電子回路基板に係る生産プログラムをホスト装置12から読み込む。
【0032】
次に、ステップS112において、該データ生成選択判定部30は、該生産プログラムから、図6に示したような、該生産プログラムで要する搭載点数及び部品種数を、該生産プログラムから抽出する。そして、該データ生成選択判定部30は、該抽出の搭載点数及び部品種数を、生産設備にあるすべての生産ラインの生産能力、即ち搭載点数及び部品種数の仕様とつき合わせ、生産可能な生産ラインを見い出すための、ライン生産可能性チェック処理を行う。
【0033】
なお、ライン生産可能性チェック処理は、このように搭載点数及び部品種数をつき合わせてチェックしているが、具体的にこのようなものに限定されるものではない。例えば、ある電子部品実装装置には実装する部品が決められているような条件を付与してもよい。
【0034】
ステップS114では、該ライン生産可能性チェック処理の結果、生産可能な生産ラインを見い出された場合、ステップS116に分岐する。そして、該ステップS116では、最適化処理部32は、見い出された生産ラインを前提とし、今回の生産プログラムの最適化分割処理を行う。この処理は、従来から、電子部品実装装置のデータ作成装置において行なわれていたものである。又、該ステップS116の処理の後には、ステップS118において、最適化処理部32は、最適化分割処理後の生産プログラムをデータ作成装置10に対して転送し、この後、この図4の処理をすべて終了する。
【0035】
あるいは、ステップS114では、ステップS112におけるライン生産可能性チェック処理の結果、生産可能な生産ラインが見い出されなかった場合、ステップS120に分岐する。例えば、図5及び図6の例の場合には、ステップS114において、ライン生産可能性チェック処理の結果、生産可能な生産ラインが見い出されなかったとされ、ステップS120に分岐することになる。
【0036】
そして、ステップS120では、仮想生産ライン編成処理部34は、生産設備に含まれるすべての生産ラインにおいて、2つ以上を組み合わせた、本発明が適用される仮想生産ラインを生成し、今回の電子回路基板を生産する仮想生産ラインの候補を生成する。例えば、図5及び図6の例の場合には、生産ラインA及び生産ラインBを組み合わせた仮想生産ラインを生成し、今回の電子回路基板を生産する仮想生産ラインの候補として生成する。
【0037】
そして、更に該ステップS120では、該該仮想生産ライン編成処理部34は、今回の生産プログラムで要する搭載点数及び部品種数を、上記のように生成された個々の仮想生産ラインの生産能力、即ち搭載点数及び部品種数の仕様とつき合わせ、生産可能な仮想生産ラインを見い出すための、ライン生産可能性チェック処理を行う。
【0038】
図7は、本実施形態のレイアウト構成の第1例における仮想生産ライン構成を示すレイアウト図である。又、図8は、本実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、この仮想生産ライン構成の能力を示す線図である。
【0039】
例えば、今回の図5のレイアウト構成の第1例では、ステップS120の処理により、図7の太線の二点鎖線で示される仮想生産ラインKの候補が生成される。この仮想生産ラインKは、マシン3の後にはマシン4が接続され、合計5台の電子部品実装装置により編成される仮想的な生産ラインとなる。なお、太線の二点鎖線は、いずれも仮想生産ラインを図示するものとする。
【0040】
ここで、この仮想生産ラインKの生産能力は、搭載点数15000及び部品種数400である。従って、上記のステップS120のライン生産可能性チェック処理によれば、今回の生産対象の例の電子回路基板が要する搭載点数10000及び部品種数350を、該仮想生産ラインKの生産能力が満たすと判定され、該仮想生産ラインKが生産可能な仮想生産ラインとして見い出される。
【0041】
前述のステップS120の後、ステップS124では、最適化処理部36は、見い出された仮想生産ラインを前提条件とし、今回の生産プログラムの最適化分割処理を行う。例えば図7及び図8の例では、マシン1〜5をこの順に編成した仮想生産ラインKを前提とし、今回の生産プログラムの最適化分割処理を行う。
【0042】
この最適化分割処理は、電子部品を実装する動作を最適化するものであり、具体的に限定されるものではない。例えば、前述の特許文献1のように、複数の部品を同時に吸着するマルチ装着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、電子回路基板における実装動作の全体的な時間短縮を図るものであってもよい。
【0043】
このようなステップS124の最適化処理がなされた後の生産プログラムは、基本的に、該当の仮想生産ラインを構成する電子部品実装装置の個々で実施される生産プログラムが、その電子部品実装装置の仮想生産ラインにおける順番の順に並んだ形態で構成されている。
【0044】
又、このようなステップS124の最適化処理の後には、ステップS126及びステップS128により、該最適化がなされた生産プログラムを、本実施形態の生産設備において、仮想生産ラインを採用しないこれまでと同様に用いられるように適合化し、これにより該生産設備用の生産プログラムを生成する。このような適合化がなされた生産プログラムは、仮想生産ラインといった本発明の適用以前と同様に、生産ラインにおいても、又生産ラインを構成する電子部品実装装置においても、容易に用いることができる。
【0045】
まず、ステップS126では、適合プログラム生成処理部38は、最適化分割処理の後の生産プログラムをマシン1〜5毎に分割する。又、ステップS128では、該適合プログラム生成処理部38は、該分割の後の個々の電子部品実装装置の生産プログラムを、仮想生産ラインを構成する生産ライン毎に、その生産ラインにおける個々の電子部品実装装置の順番の順に合成し構成する。このステップS128によれば、生産プログラムは、実際に生産設備として存在する生産ライン毎に編成される。
【0046】
又、該編成後、適合プログラム生成処理部38は、以上のようにして電子部品実装装置毎に編成され又生産ライン毎に編成された生産プログラムを、ホスト装置12に対して転送し、この図4に示されるすべての処理を終了する。
【0047】
例えば、今回の仮想生産ラインKの例では、ステップS126において、適合プログラム生成処理部38は、生産プログラムを、マシン1〜5それぞれに対応させて、5つに分割する。次に、ステップS128において、適合プログラム生成処理部38は、生産ラインAの生産プログラムとして、マシン1〜3それぞれに対応させて分割されている生産プログラムを、このマシン1〜3の順に合成し、構成する。又、適合プログラム生成処理部38は、生産ラインBの生産プログラムとして、マシン4及び5それぞれに対応させて分割されている生産プログラムを、このマシン4及び5の順に合成し、構成する。
【0048】
図9は、本実施形態における生産プログラムの階層構成を示すブロック図である。
【0049】
以上のようにして、生産プログラムが生産ライン毎に編成されと、今回の生産プログラムによる生産が可能な生産ラインとして設定された仮想生産ラインを前提とし、各電子部品実装装置の生産プログラム、該当の電子部品実装装置を含む各生産ラインの生産プログラム、データ生成選択判定部30がホスト装置12から読み込んだ元の生産プログラム(生産プログラム全体)という、図9に示されるような3つの階層構成となる。又、これら生産プログラムは、このような3つの階層構成でホスト装置12において格納される。
【0050】
従って、生産プログラムを、電子部品実装装置毎に取り扱うことも、生産ライン毎に取り扱うことも可能である。つまり、生産プログラムの生成過程で仮想生産ラインを設定しているが、最終的に得られる生産プログラムでは、このような仮想生産ラインを意識せずに、従来と同様に、生産プログラムを、電子部品実装装置毎にも生産ライン毎にも取り扱うことが可能である。
【0051】
ここで、前述のステップS124では、仮想的に結合した生産ラインに対してラインバランス最適化処理を実施するが、最適化結果としては、各々の生産ラインに対するライン分割プログラム、各マシンに対するマシン分割プログラム、及び元の生産プログラム(生産プログラム全体)の3層のデータによって構成されるものとなる。
【0052】
ここで、図10は、本実施形態のレイアウト構成の第1例における、仮想生産ライン構成の第2例を示すレイアウト図である。
【0053】
前述のステップS120において、仮想生産ライン編成処理部34は、前述の図7に示す仮想生産ライン構成に加え、例えば図10に示す仮想生産ライン構成も、仮想生産ラインとして生成する。図7の仮想生産ライン構成では生産ラインAの後に生産ラインBが接続され、仮想生産ラインKとされたが、図10の場合、図7とは逆に、生産ラインBの後に生産ラインAが接続され、仮想生産ラインLとされる。
【0054】
ここで、生産プログラムによっては、搭載レイアなど、搭載部品の前後関係に制約が存在する場合がある。このため、前述のステップS120において仮想生産ライン編成処理部34は、このような条件を含めて、最終的に採用する仮想生産ラインを選択すればよい。
【0055】
しかしながら、生産プログラムを生成した時の仮想生産ラインにおける生産ラインの順に、実際の生産時において、電子回路基板が流されない場合も考えられる。例えば、生産プログラムを生成した時、図7に示すように、仮想生産ラインKは生産ラインAの後に生産ラインBが続くものとされていたにもかかわらず、実際の生産時には、図10に示すように、まず生産ラインBで生産されてから生産ラインAに搬入されてしまう場合も考えられる。
【0056】
従って、生産プログラムにおいて、1つの仮想生産ラインにおける生産ラインの順序の入れ替えに制約が存在する場合、ある基板の各ラインへの投入の前後関係をチェックする必要がある。生産ラインの順序を入れ替えると、電子回路基板によっては不具合が生じる場合、本実施形態では、生産ラインの前後関係を、次のようにチェックする。
【0057】
まず、電子回路基板毎にユニークな、識別番号や識別符合を少なくとも含む、電子回路基板識別子情報を書き込んである識別子を、電子回路基板自体に貼り付けておく。この識別子における電子回路基板識別子情報の書き込みは、電子的なものでも磁気的なものでも印刷などでもよく、又、その読み取りも該書き込みに応じたものとすればよい。電子回路基板に貼り付けた電子回路基板識別子情報の読み取りにより、その電子回路基板をユニークに識別することができる。
【0058】
各生産ラインの入り口側の搬送路部分には、ライン制御装置16が備える、該識別子の読取装置を設置しておく。電子回路基板の搬入経路に係り、該識別子読取装置の設置位置は、当該生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の前方となる。
【0059】
そして、電子回路基板の生産ラインへの投入時、該生産ラインを制御するライン制御装置16は、該識別子読取装置によって、電子回路基板の識別子を読み取る。読み取られた電子回路基板識別子情報は、ネットワーク18によりLAN接続されているホスト装置12へ送信される。
【0060】
ホスト装置12側では、該電子回路基板識別子情報を受信し、該電子回路基板識別子情報に基づいて、その電子回路基板の生産ラインへの投入順序といった生産履歴情報を保存する。該ホスト装置12では、データベースとして、電子回路基板識別子、生産プログラム、生産ラインへの投入順序といった生産条件、上記の生産履歴情報といった情報を、互いに対応させながら記憶しておく。そして、ホスト装置12では、今回受信の電子回路基板識別子情報によって認識される、その電子回路基板の生産履歴の一部となる、今回の生産ラインへの投入順序が、生産条件の生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする。このチェック結果は、ホスト装置12から該当の、今回その電子回路基板を搬入する生産ラインのライン制御装置16に送信される。
【0061】
投入順序が一致している場合には、ライン制御装置16は、電子回路基板を電子部品実装装置内へ搬入させ、生産が開始される。あるいは、一致していない場合には、ライン制御装置16は、その旨をオペレータに通知し、その生産ライン内へは、電子回路基板は搬送されない。なお、正しい順序で生産ライン投入され生産が済んだ場合には、ライン制御装置16は、その生産ライン内における生産履歴を電子回路基板識別子に関連してホスト装置12側に送信し、ホスト装置12において記録しておくものとする。
【0062】
以上のように、本実施形態では、ライン制御装置16は、その識別子読取装置によって読み取った、今回搬入の電子回路基板の識別子に書き込まれている電子回路基板識別子情報を、ホスト装置12へ送信後、上述のように該ホスト装置12から上記のチェック結果を受信することにより、今回生産ラインに搬入する電子回路基板の通過順序の間違いを検出することができるようになっている。又、該ライン制御装置16は、該検出に応じて、例えば、投入順序が一致している場合には、その電子回路基板を、その生産ラインにおいて先頭の電子部品実装装置内へ搬入させ、生産を開始させることができるようになっている。
【0063】
なお、上述のオペレータへの通知については、特に限定されるものではなく、ホスト装置12側の表示画面や、オペレータが保持するPDA(Personal Digital Assistants
)、あいるは、ネットワーク18で接続される各電子部品実装装置の操作画面で行われるようにしてもよい。
【0064】
次に、図11は、本実施形態のレイアウト構成の第2例における生産ライン構成及び仮想生産ライン構成を示すレイアウト図である。
【0065】
工場内に生産ラインが多数存在し、仮想的に連結する生産ラインの候補が複数挙がる場合には、生産効率のよい生産ラインを最適化プログラムが自動的に検出し、それらを連結して最適化が実施されるものとする。
【0066】
例えば、図11の第2例では、生産ラインA〜Cが3つ、仮想生産ラインがK及びMの2つ存在している。又、この第2例では、仮想生産ラインKの場合の、生産ラインAから生産ラインBへの移動距離よりも、仮想生産ラインMの場合の、生産ラインAから生産ラインCへの移動距離の方が短い。このため、生産ラインAと生産ラインCを組み合わせ、生産ライン連結を行なうという、仮想生産ラインMを採用する。
【0067】
なお、生産ライン間の移動距離を求める際には、電子部品実装装置間の搬送路に設置される場合のある基板移動装置も考慮する。つまり、基板移動装置がある箇所については生産ラインを横断可能と判断し、移動距離を計算することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…生産設備
10…データ作成装置
12…ホスト装置
14…部品実装装置制御装置
16…ライン制御装置
18…ネットワーク
20…CPU
21…RAM
22…外部記憶装置
26…ネットワークI/F装置
28…バス
30…データ生成選択判定部
32、36…最適化処理部
34…仮想生産ライン編成処理部
38…適合プログラム生成処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置のライン制御装置に係り、特に、生産設備のいずれか1つの生産ラインで生産できない電子回路基板であっても、複数の生産ラインを組み合わせて生産することができる場合に、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことが可能な電子部品実装装置のライン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を基板に実装する2以上の部品実装機からなる生産ラインを対象とし、コンピュータにより、部品の実装順動作を最適化する方法として、対象とした任意の1つのラインに対して、与えられた生産プログラムの生産タクトを早く、且つ、ラインバランスを均一化するように処理が行われていた。
【0003】
例えば特許文献1では、その図21に示されるように、まず、部品数の多い順に並べることにより、部品ヒストグラム406aを生成する。次に、生成された部品ヒストグラム406aから、その一部である部分ヒストグラム400を取り出して、部品カセットの並びを横軸(Z軸)、作業ヘッドによる吸着回数を縦軸とする2次元座標に配置する。続いて、部分ヒストグラム401a、bを配置することにより、横軸方向の幅(部品数)がn(「4」)となるダイヤグラム406bが生成されるように部品テープを並べていく。これにより、複数の部品を同時に吸着するマルチ装着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、部品の実装動作の最適化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37396号公報(図21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の最適化方法では、最適化をする対象はあくまでも任意の1つのラインである。従って、1ラインで使用可能な搭載点数や部品種数を超えるような基板のデータについては、最適化及び生産を行うことができなかった。そのため、そのような基板を扱う場合には、1つの生産プログラムをユーザが手動にて複数の生産プログラムに分割し、1ラインで取り扱い可能なデータとして、各ラインに対する最適化処理を行うか、又は、1つのラインで生産が可能となるようにライン構成のレイアウト変更行う必要が生じるといった問題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、生産設備のいずれか1つの生産ラインで生産できない電子回路基板であっても、複数の生産ラインを組み合わせて生産することができる場合に、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことが可能な電子部品実装装置のライン制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、部品供給装置から供給される部品を、順次吸着し、電子回路基板に実装していくための、搬出部及び搬入部を順次接続して編成した複数の電子部品実装装置を含む、電子回路基板の投入順序を変更可能な複数の生産ラインの制御を行なう、電子部品実装装置のライン制御装置において、各生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の入側に設けられた、搬入する電子回路基板をそれぞれ識別するための識別子を読み取る手段と、読み取られた識別子情報に基づいて、前記電子回路基板の各生産ラインへの投入順序を含む生産履歴情報を保存する手段と、前記識別子により識別された今回の電子回路基板の当該生産ラインへの投入順序が、生産条件で設定された当該生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする手段と、を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産ライン投入への前後関係を厳密にチェックしながら生産を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用された実施形態において生産プログラムを取り扱う情報処理装置の全体的な構成を示すブロック図
【図2】上記実施形態におけるデータ作成装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】前記実施形態におけるデータ作成装置の制御構成を示すブロック図
【図4】前記実施形態における生産プログラムのデータ作成処理を示すフローチャート
【図5】前記実施形態における電子部品実装装置設備のレイアウト構成の第1例を示すレイアウト図
【図6】前記実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、このレイアウト構成の第1例の能力を示す線図
【図7】前記実施形態のレイアウト構成の第1例における仮想生産ライン構成を示すレイアウト図
【図8】前記実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、この仮想生産ライン構成の能力を示す線図
【図9】前記実施形態における生産プログラムの階層構成を示すブロック図
【図10】前記実施形態のレイアウト構成の第1例における、仮想生産ライン構成の第2例を示すレイアウト図
【図11】前記実施形態のレイアウト構成の第2例における生産ライン構成及び仮想生産ライン構成を示すレイアウト図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態において生産プログラムを取り扱う情報処理装置の全体的な構成を示すブロック図である。
【0012】
この図に示されるように、本実施形態において生産プログラムを取り扱う情報処理装置は、主としてデータ作成装置10と、最初に生産プログラムを生成するホスト装置12と、各電子部品実装装置が内蔵する部品実装装置制御装置14と、各生産ラインに備えられるライン制御装置16とを備え、これらはネットワーク18によって互いに接続されている。
【0013】
本実施形態では、電子回路基板に電子部品を実装し生産する生産設備として、複数の電子部品実装装置で構成した生産ラインを複数備えている。これら生産ラインは、いずれも、複数の電子部品実装装置を備え、これら電子部品実装装置の搬出部及び搬入部を順次接続して編成し、構成されている。そして、ライン制御装置16は、このような生産ラインにおける電子回路基板の搬入搬出などの制御を行なう。
【0014】
ホスト装置12は、これら生産ラインにおいて、電子部品実装装置に用いられる、該当の電子回路基板の生産に必要な実装動作を網羅した生産プログラムを生成するものである。該生産プログラムは、電子部品実装装置において、部品供給装置から供給される部品を、順次吸着し、電子回路基板に実装していく、該当の電子回路基板の生産に必要な実装動作を網羅したものである。
【0015】
又、データ作成装置10は、この生産プログラムに対して、適宜、処理を施し、これにより必要な生産プログラムの生成を行なって、これをホスト装置12に送り返す。又、電子回路基板の生産に当たっては、該ホスト装置12から各電子部品実装装置の部品実装装置制御装置14に対して、必要な生産プログラムがネットワーク18を介して送付される。
【0016】
ここで、図2は、本実施形態におけるデータ作成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
この図に示されるように、データ作成装置10は、種々のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)20と、実行するプログラムなどを記憶する主記憶部となるRAM(Random Access Memory)21と、ハードディスク装置などによる大容量の外部記憶装置22と、諸装置を接続するI/O(Input Output)装置24と、ネットワークI/F(Inter Face)装置26とを有している。又、バス28により、これらはCPU20からアクセス可能になっている。
【0018】
上記のI/O装置24には、データ作成装置10が備えるキーボードやマウス、又画像表示装置などが接続されている。又、ネットワークI/F装置26は、データ作成装置10がネットワーク18に接続するためのものであり、該ネットワークI/F装置26により、ホスト装置12に対して情報の受渡しが可能になっている。
【0019】
本実施形態の記憶手段であるRAM21や外部記憶装置33は、CPU20で実行されるプログラムや、本実施形態においてアクセスされる諸ファイルやデータが保存され、電子的にアクセスができるようになっている。又、本実施形態に係るデータ作成装置10としての、動作や機能を実現するための制御を行うためのアプリケーション・プログラムや、OS(Operating System)などのプログラムは、外部記憶装置22に格納されていて、実行時には、RAM21に読み出されてCPU20によって実行される。
【0020】
図3は、本実施形態におけるデータ作成装置10の制御構成を示すブロック図である。
【0021】
この図に示されるように、データ作成装置10は、データ生成選択判定部30と、最適化処理部32及び36と、仮想生産ライン編成処理部34と、適合プログラム生成処理部38とを有している。
【0022】
まず、最適化処理部32は、該当の電子回路基板の生産に必要な実装動作を行なうための生産プログラムに係り、該生産プログラムによる生産を、本実施形態が備えるいずれか1つの生産ラインのみで行なえる場合、前記生産プログラムの最適化を行なう。
【0023】
データ生成選択判定部30は、該当の電子回路基板の生産のための前記生産プログラムを取得し、該生産プログラムの内容から、1つの生産ラインのみで該生産を行なえる生産ラインが、利用可能な生産設備にあるか否か判定する。
【0024】
そして、仮想生産ライン編成処理部34は、該データ生成選択判定部30で生産ラインなしと判定された場合、前記生産設備に含まれるいずれか複数の生産ラインを組み合わせることで、該生産が可能な仮想生産ラインを編成する。又、最適化処理部36は、該仮想生産ラインを前提とし、前記生産プログラムの最適化を行なう。又、適合プログラム生成処理部38は、該最適化がなされた生産プログラムを、前記生産設備において前記仮想生産ラインを採用しないこれまでと同様に用いられるように適合化し、これにより該生産設備用の生産プログラムを生成する。
【0025】
本実施形態では、ユーザの保有するいずれのラインにおいても、単一ラインでは生産不可能な場合には、最適化プログラム内部において、論理的に複数ラインを一つのラインとして結合し、仕様外の生産プログラムの最適化及び生産を行う。その際、まず、最適化対象となる生産プログラムの搭載点数及び部品種数に対して、本実施形態が保有する各ラインの仕様内に収まっているかどうかをチェックする。いずれかのラインで生産可能な場合には、生産可能なラインの内、もっとも生産タクトの早いラインにて最適化を実施するものとする。
【0026】
図4は、本実施形態における生産プログラムのデータ作成処理を示すフローチャートである。図5は、本実施形態における電子部品実装装置設備のレイアウト構成の第1例を示すレイアウト図である。又、図6は、本実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、このレイアウト構成の第1例の能力を示す線図である。
【0027】
ここで、このレイアウト構成の第1例において、又後述する第2例において、符合A〜Cは、いずれも実施形態が保有する生産ラインである。マシン1〜9は、いずれも電子部品実装装置であり、生産ラインA〜Cのいずれかに属する。符合K〜Mは、いずれも本発明が適用された仮想生産ラインであり、2つ以上の生産ラインA〜Cによって仮想的に編成されるものである。又、一点鎖線はいずれも生産ラインを、太線の二点鎖線はいずれも仮想生産ラインを図示するものとする。
【0028】
以下、図4のフローチャートに従い、図5のレイアウト構成及び図6の生産プログラムを例として、本実施形態の作用について説明する。
【0029】
まず、図5において、生産設備1は、本実施形態の生産設備の全体を示す。生産設備1の生産ラインAは、マシン1〜マシン3により構成される。生産ラインBは、マシン4及びマシン5により構成される。又、これら生産ラインA及び生産ラインB又マシン1〜マシン5それぞれの搭載点数及び部品種数、又、以下の説明に用いる、生産対象の例となる電子回路基板の搭載点数及び部品種数は、図6に示すとおりである。
【0030】
生産ラインAは搭載点数9000及び部品種数240であり、生産ラインBは搭載点数6000及び部品種数160である。従って、生産ラインAのみ、あるいは生産ラインBのみでは、生産対象の例の電子回路基板が要する搭載点数10000及び部品種数350に満ちるものではない。いずれのラインにおいても、搭載点数や部品種数が仕様外の件数になっていて、最適化が不可能となっている。
【0031】
以上のような前提で、図4のフローチャートにおいて、まず、ステップS110では、データ作成装置10のデータ生成選択判定部30は、生産対象の電子回路基板に係る生産プログラムをホスト装置12から読み込む。
【0032】
次に、ステップS112において、該データ生成選択判定部30は、該生産プログラムから、図6に示したような、該生産プログラムで要する搭載点数及び部品種数を、該生産プログラムから抽出する。そして、該データ生成選択判定部30は、該抽出の搭載点数及び部品種数を、生産設備にあるすべての生産ラインの生産能力、即ち搭載点数及び部品種数の仕様とつき合わせ、生産可能な生産ラインを見い出すための、ライン生産可能性チェック処理を行う。
【0033】
なお、ライン生産可能性チェック処理は、このように搭載点数及び部品種数をつき合わせてチェックしているが、具体的にこのようなものに限定されるものではない。例えば、ある電子部品実装装置には実装する部品が決められているような条件を付与してもよい。
【0034】
ステップS114では、該ライン生産可能性チェック処理の結果、生産可能な生産ラインを見い出された場合、ステップS116に分岐する。そして、該ステップS116では、最適化処理部32は、見い出された生産ラインを前提とし、今回の生産プログラムの最適化分割処理を行う。この処理は、従来から、電子部品実装装置のデータ作成装置において行なわれていたものである。又、該ステップS116の処理の後には、ステップS118において、最適化処理部32は、最適化分割処理後の生産プログラムをデータ作成装置10に対して転送し、この後、この図4の処理をすべて終了する。
【0035】
あるいは、ステップS114では、ステップS112におけるライン生産可能性チェック処理の結果、生産可能な生産ラインが見い出されなかった場合、ステップS120に分岐する。例えば、図5及び図6の例の場合には、ステップS114において、ライン生産可能性チェック処理の結果、生産可能な生産ラインが見い出されなかったとされ、ステップS120に分岐することになる。
【0036】
そして、ステップS120では、仮想生産ライン編成処理部34は、生産設備に含まれるすべての生産ラインにおいて、2つ以上を組み合わせた、本発明が適用される仮想生産ラインを生成し、今回の電子回路基板を生産する仮想生産ラインの候補を生成する。例えば、図5及び図6の例の場合には、生産ラインA及び生産ラインBを組み合わせた仮想生産ラインを生成し、今回の電子回路基板を生産する仮想生産ラインの候補として生成する。
【0037】
そして、更に該ステップS120では、該該仮想生産ライン編成処理部34は、今回の生産プログラムで要する搭載点数及び部品種数を、上記のように生成された個々の仮想生産ラインの生産能力、即ち搭載点数及び部品種数の仕様とつき合わせ、生産可能な仮想生産ラインを見い出すための、ライン生産可能性チェック処理を行う。
【0038】
図7は、本実施形態のレイアウト構成の第1例における仮想生産ライン構成を示すレイアウト図である。又、図8は、本実施形態において生産しようとするある電子回路基板の生産プログラムの概要、及び、この仮想生産ライン構成の能力を示す線図である。
【0039】
例えば、今回の図5のレイアウト構成の第1例では、ステップS120の処理により、図7の太線の二点鎖線で示される仮想生産ラインKの候補が生成される。この仮想生産ラインKは、マシン3の後にはマシン4が接続され、合計5台の電子部品実装装置により編成される仮想的な生産ラインとなる。なお、太線の二点鎖線は、いずれも仮想生産ラインを図示するものとする。
【0040】
ここで、この仮想生産ラインKの生産能力は、搭載点数15000及び部品種数400である。従って、上記のステップS120のライン生産可能性チェック処理によれば、今回の生産対象の例の電子回路基板が要する搭載点数10000及び部品種数350を、該仮想生産ラインKの生産能力が満たすと判定され、該仮想生産ラインKが生産可能な仮想生産ラインとして見い出される。
【0041】
前述のステップS120の後、ステップS124では、最適化処理部36は、見い出された仮想生産ラインを前提条件とし、今回の生産プログラムの最適化分割処理を行う。例えば図7及び図8の例では、マシン1〜5をこの順に編成した仮想生産ラインKを前提とし、今回の生産プログラムの最適化分割処理を行う。
【0042】
この最適化分割処理は、電子部品を実装する動作を最適化するものであり、具体的に限定されるものではない。例えば、前述の特許文献1のように、複数の部品を同時に吸着するマルチ装着ヘッドを備える部品実装機を対象とし、電子回路基板における実装動作の全体的な時間短縮を図るものであってもよい。
【0043】
このようなステップS124の最適化処理がなされた後の生産プログラムは、基本的に、該当の仮想生産ラインを構成する電子部品実装装置の個々で実施される生産プログラムが、その電子部品実装装置の仮想生産ラインにおける順番の順に並んだ形態で構成されている。
【0044】
又、このようなステップS124の最適化処理の後には、ステップS126及びステップS128により、該最適化がなされた生産プログラムを、本実施形態の生産設備において、仮想生産ラインを採用しないこれまでと同様に用いられるように適合化し、これにより該生産設備用の生産プログラムを生成する。このような適合化がなされた生産プログラムは、仮想生産ラインといった本発明の適用以前と同様に、生産ラインにおいても、又生産ラインを構成する電子部品実装装置においても、容易に用いることができる。
【0045】
まず、ステップS126では、適合プログラム生成処理部38は、最適化分割処理の後の生産プログラムをマシン1〜5毎に分割する。又、ステップS128では、該適合プログラム生成処理部38は、該分割の後の個々の電子部品実装装置の生産プログラムを、仮想生産ラインを構成する生産ライン毎に、その生産ラインにおける個々の電子部品実装装置の順番の順に合成し構成する。このステップS128によれば、生産プログラムは、実際に生産設備として存在する生産ライン毎に編成される。
【0046】
又、該編成後、適合プログラム生成処理部38は、以上のようにして電子部品実装装置毎に編成され又生産ライン毎に編成された生産プログラムを、ホスト装置12に対して転送し、この図4に示されるすべての処理を終了する。
【0047】
例えば、今回の仮想生産ラインKの例では、ステップS126において、適合プログラム生成処理部38は、生産プログラムを、マシン1〜5それぞれに対応させて、5つに分割する。次に、ステップS128において、適合プログラム生成処理部38は、生産ラインAの生産プログラムとして、マシン1〜3それぞれに対応させて分割されている生産プログラムを、このマシン1〜3の順に合成し、構成する。又、適合プログラム生成処理部38は、生産ラインBの生産プログラムとして、マシン4及び5それぞれに対応させて分割されている生産プログラムを、このマシン4及び5の順に合成し、構成する。
【0048】
図9は、本実施形態における生産プログラムの階層構成を示すブロック図である。
【0049】
以上のようにして、生産プログラムが生産ライン毎に編成されと、今回の生産プログラムによる生産が可能な生産ラインとして設定された仮想生産ラインを前提とし、各電子部品実装装置の生産プログラム、該当の電子部品実装装置を含む各生産ラインの生産プログラム、データ生成選択判定部30がホスト装置12から読み込んだ元の生産プログラム(生産プログラム全体)という、図9に示されるような3つの階層構成となる。又、これら生産プログラムは、このような3つの階層構成でホスト装置12において格納される。
【0050】
従って、生産プログラムを、電子部品実装装置毎に取り扱うことも、生産ライン毎に取り扱うことも可能である。つまり、生産プログラムの生成過程で仮想生産ラインを設定しているが、最終的に得られる生産プログラムでは、このような仮想生産ラインを意識せずに、従来と同様に、生産プログラムを、電子部品実装装置毎にも生産ライン毎にも取り扱うことが可能である。
【0051】
ここで、前述のステップS124では、仮想的に結合した生産ラインに対してラインバランス最適化処理を実施するが、最適化結果としては、各々の生産ラインに対するライン分割プログラム、各マシンに対するマシン分割プログラム、及び元の生産プログラム(生産プログラム全体)の3層のデータによって構成されるものとなる。
【0052】
ここで、図10は、本実施形態のレイアウト構成の第1例における、仮想生産ライン構成の第2例を示すレイアウト図である。
【0053】
前述のステップS120において、仮想生産ライン編成処理部34は、前述の図7に示す仮想生産ライン構成に加え、例えば図10に示す仮想生産ライン構成も、仮想生産ラインとして生成する。図7の仮想生産ライン構成では生産ラインAの後に生産ラインBが接続され、仮想生産ラインKとされたが、図10の場合、図7とは逆に、生産ラインBの後に生産ラインAが接続され、仮想生産ラインLとされる。
【0054】
ここで、生産プログラムによっては、搭載レイアなど、搭載部品の前後関係に制約が存在する場合がある。このため、前述のステップS120において仮想生産ライン編成処理部34は、このような条件を含めて、最終的に採用する仮想生産ラインを選択すればよい。
【0055】
しかしながら、生産プログラムを生成した時の仮想生産ラインにおける生産ラインの順に、実際の生産時において、電子回路基板が流されない場合も考えられる。例えば、生産プログラムを生成した時、図7に示すように、仮想生産ラインKは生産ラインAの後に生産ラインBが続くものとされていたにもかかわらず、実際の生産時には、図10に示すように、まず生産ラインBで生産されてから生産ラインAに搬入されてしまう場合も考えられる。
【0056】
従って、生産プログラムにおいて、1つの仮想生産ラインにおける生産ラインの順序の入れ替えに制約が存在する場合、ある基板の各ラインへの投入の前後関係をチェックする必要がある。生産ラインの順序を入れ替えると、電子回路基板によっては不具合が生じる場合、本実施形態では、生産ラインの前後関係を、次のようにチェックする。
【0057】
まず、電子回路基板毎にユニークな、識別番号や識別符合を少なくとも含む、電子回路基板識別子情報を書き込んである識別子を、電子回路基板自体に貼り付けておく。この識別子における電子回路基板識別子情報の書き込みは、電子的なものでも磁気的なものでも印刷などでもよく、又、その読み取りも該書き込みに応じたものとすればよい。電子回路基板に貼り付けた電子回路基板識別子情報の読み取りにより、その電子回路基板をユニークに識別することができる。
【0058】
各生産ラインの入り口側の搬送路部分には、ライン制御装置16が備える、該識別子の読取装置を設置しておく。電子回路基板の搬入経路に係り、該識別子読取装置の設置位置は、当該生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の前方となる。
【0059】
そして、電子回路基板の生産ラインへの投入時、該生産ラインを制御するライン制御装置16は、該識別子読取装置によって、電子回路基板の識別子を読み取る。読み取られた電子回路基板識別子情報は、ネットワーク18によりLAN接続されているホスト装置12へ送信される。
【0060】
ホスト装置12側では、該電子回路基板識別子情報を受信し、該電子回路基板識別子情報に基づいて、その電子回路基板の生産ラインへの投入順序といった生産履歴情報を保存する。該ホスト装置12では、データベースとして、電子回路基板識別子、生産プログラム、生産ラインへの投入順序といった生産条件、上記の生産履歴情報といった情報を、互いに対応させながら記憶しておく。そして、ホスト装置12では、今回受信の電子回路基板識別子情報によって認識される、その電子回路基板の生産履歴の一部となる、今回の生産ラインへの投入順序が、生産条件の生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする。このチェック結果は、ホスト装置12から該当の、今回その電子回路基板を搬入する生産ラインのライン制御装置16に送信される。
【0061】
投入順序が一致している場合には、ライン制御装置16は、電子回路基板を電子部品実装装置内へ搬入させ、生産が開始される。あるいは、一致していない場合には、ライン制御装置16は、その旨をオペレータに通知し、その生産ライン内へは、電子回路基板は搬送されない。なお、正しい順序で生産ライン投入され生産が済んだ場合には、ライン制御装置16は、その生産ライン内における生産履歴を電子回路基板識別子に関連してホスト装置12側に送信し、ホスト装置12において記録しておくものとする。
【0062】
以上のように、本実施形態では、ライン制御装置16は、その識別子読取装置によって読み取った、今回搬入の電子回路基板の識別子に書き込まれている電子回路基板識別子情報を、ホスト装置12へ送信後、上述のように該ホスト装置12から上記のチェック結果を受信することにより、今回生産ラインに搬入する電子回路基板の通過順序の間違いを検出することができるようになっている。又、該ライン制御装置16は、該検出に応じて、例えば、投入順序が一致している場合には、その電子回路基板を、その生産ラインにおいて先頭の電子部品実装装置内へ搬入させ、生産を開始させることができるようになっている。
【0063】
なお、上述のオペレータへの通知については、特に限定されるものではなく、ホスト装置12側の表示画面や、オペレータが保持するPDA(Personal Digital Assistants
)、あいるは、ネットワーク18で接続される各電子部品実装装置の操作画面で行われるようにしてもよい。
【0064】
次に、図11は、本実施形態のレイアウト構成の第2例における生産ライン構成及び仮想生産ライン構成を示すレイアウト図である。
【0065】
工場内に生産ラインが多数存在し、仮想的に連結する生産ラインの候補が複数挙がる場合には、生産効率のよい生産ラインを最適化プログラムが自動的に検出し、それらを連結して最適化が実施されるものとする。
【0066】
例えば、図11の第2例では、生産ラインA〜Cが3つ、仮想生産ラインがK及びMの2つ存在している。又、この第2例では、仮想生産ラインKの場合の、生産ラインAから生産ラインBへの移動距離よりも、仮想生産ラインMの場合の、生産ラインAから生産ラインCへの移動距離の方が短い。このため、生産ラインAと生産ラインCを組み合わせ、生産ライン連結を行なうという、仮想生産ラインMを採用する。
【0067】
なお、生産ライン間の移動距離を求める際には、電子部品実装装置間の搬送路に設置される場合のある基板移動装置も考慮する。つまり、基板移動装置がある箇所については生産ラインを横断可能と判断し、移動距離を計算することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…生産設備
10…データ作成装置
12…ホスト装置
14…部品実装装置制御装置
16…ライン制御装置
18…ネットワーク
20…CPU
21…RAM
22…外部記憶装置
26…ネットワークI/F装置
28…バス
30…データ生成選択判定部
32、36…最適化処理部
34…仮想生産ライン編成処理部
38…適合プログラム生成処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置から供給される部品を、順次吸着し、電子回路基板に実装していくための、搬出部及び搬入部を順次接続して編成した複数の電子部品実装装置を含む、電子回路基板の投入順序を変更可能な複数の生産ラインの制御を行なう、電子部品実装装置のライン制御装置において、
各生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の入側に設けられた、搬入する電子回路基板をそれぞれ識別するための識別子を読み取る手段と、
読み取られた識別子情報に基づいて、前記電子回路基板の各生産ラインへの投入順序を含む生産履歴情報を保存する手段と、
前記識別子により識別された今回の電子回路基板の当該生産ラインへの投入順序が、生産条件で設定された当該生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする手段と、
を備えたことを特徴とする電子部品実装装置のライン制御装置。
【請求項1】
部品供給装置から供給される部品を、順次吸着し、電子回路基板に実装していくための、搬出部及び搬入部を順次接続して編成した複数の電子部品実装装置を含む、電子回路基板の投入順序を変更可能な複数の生産ラインの制御を行なう、電子部品実装装置のライン制御装置において、
各生産ライン中で最も始めの電子部品実装装置の入側に設けられた、搬入する電子回路基板をそれぞれ識別するための識別子を読み取る手段と、
読み取られた識別子情報に基づいて、前記電子回路基板の各生産ラインへの投入順序を含む生産履歴情報を保存する手段と、
前記識別子により識別された今回の電子回路基板の当該生産ラインへの投入順序が、生産条件で設定された当該生産ラインへの投入順序と一致しているかどうかをチェックする手段と、
を備えたことを特徴とする電子部品実装装置のライン制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−169656(P2012−169656A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−97046(P2012−97046)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2007−270113(P2007−270113)の分割
【原出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2007−270113(P2007−270113)の分割
【原出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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