説明

電子部品実装装置

【課題】効率よく高い精度で電子部品を実装することができ、かつ、消費エネルギーをより低減することができる電子部品実装装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ノズルで吸着した電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、電子部品を吸着するノズルを備える第1吸着部と、電子部品を吸着するノズルを備え、かつ、当該ノズルが第1吸着部のノズルと同じ向きを向いている第2吸着部と、第1吸着部と第2吸着部とに連結された連結機構及び連結機構を移動させることで第1吸着部と第2吸着部とを基板の表面に対して直交する方向に移動させる駆動機構を備えるZ軸駆動部と、含むヘッドと、ヘッドの動作を制御する制御部と、を有し、連結機構は、駆動機構により移動されることで、第1吸着部と第2吸着部とを、互いに逆方向に移動させることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品をノズルで吸着して移動させ、基板上に搭載する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を搭載(実装)する装置として、多数のノズルを備えるヘッドを有し、当該ノズルで電子部品を吸着して基板上に搭載する装置がある。ヘッドは、ノズルを基板の表面に直交する方向に移動させることで、吸着した電子部品を基板上に搭載する。ここで、ノズルを移動させる機構としては、種々の機構がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、電子部品を吸着する吸着ノズル(ノズル)をエアシリンダにより上下動させる機構が記載されている。また、特許文献2には、上下スライド駆動用モータによりクランク回動させることで複数のノズルを上下動させ、各ノズルの上下動を切り替える機構に電磁石を用いるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−120873号公報
【特許文献2】特許第3114469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ヘッドに複数のノズルを設けることで、効率よく電子部品を実装することができる。しかしながら、ヘッドのノズルの数が多くなると、ヘッドの重量が増加し、ヘッドの駆動に必要なエネルギーが増加する。また、装置構成が複雑になる。
【0006】
また、特許文献1に記載の装置は、エアシリンダで加圧した状態となるため、ノズルの駆動に必要な力が大きくなり、ノズルを駆動するモータに出力が大きいモータが必要となる。また、各ノズルに対してエアシリンダを設けるため、ヘッドの重量が増加し装置コストも増加する。また、フランジとスライダとを接触させることで、位置決めを行っているが、接触部分を金属同士にすると磨耗による消耗や駆動時の騒音が大きくなり、一方をゴムや樹脂にすると位置決めの精度が低下しやすくなる。
【0007】
次に、特許文献2に記載の装置は、クランク機構で上下動を行っているため、上下方向の移動量を大きくしにくい。また、上下方向の移動量を大きくするためには、クランク機構を大きくする必要があり装置が大型化する。また、クランクを回動させるモータの力で全てのノズルを上下動させるため、モータ容量が大きくなりやすい。また、電磁石で上下移動を切り換えているため、重量が大きくなり配線も増える。さらに、電磁石でノズルを保持するため、駆動時に必要な電力が多くなり消費エネルギーが多くなる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、効率よく高い精度で電子部品を搭載することができ、かつ、消費エネルギーをより低減することができる電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ノズルで吸着した電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、前記電子部品を吸着する前記ノズルを備える第1吸着部と、前記電子部品を吸着する前記ノズルを備え、かつ、当該ノズルが前記第1吸着部の前記ノズルと同じ向きを向いている第2吸着部と、前記第1吸着部と前記第2吸着部とに連結された連結機構及び前記連結機構を移動させることで前記第1吸着部と前記第2吸着部とを前記基板の表面に対して直交する方向に移動させる駆動機構を備えるZ軸駆動部と、を含むヘッドと、前記ヘッドの動作を制御する制御部と、を有し、前記連結機構は、前記駆動機構により移動されることで、前記第1吸着部と前記第2吸着部とを、互いに逆方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記連結機構は、ベルト、前記基板の表面に対して直交する方向に離間した位置に配置され、かつ、前記ベルトを張架する少なくとも2つのローラ、前記ベルトの前記基板の表面に対して直交する2つの面のうち一方の面に固定され前記第1吸着部と連結する第1支持部及び前記ベルトの前記基板の表面に対して直交する2つの面のうち他方の面に固定され、前記第2吸着部と連結する第2支持部を備え、前記ベルトが前記駆動機構により移動されることで、前記第1吸着部と前記第2吸着部とを互いに逆方向に移動させるが好ましい。
【0011】
また、前記駆動機構は、前記連結機構と接続されて、前記連結機構との接続部分を前記基板の表面に対して直交する方向に移動させる直動リニアモータであることが好ましい。
【0012】
また、前記第1吸着部と連結して配置された距離センサをさらに有し、前記制御部は、前記距離センサで検出した距離に基づいて、前記第1吸着部と前記基板との距離及び前記第2吸着部と前記基板との距離を算出することが好ましい。
【0013】
また、前記ヘッドは、前記第1吸着部と、前記第2吸着部と、前記Z軸駆動部と、を含む吸着ユニットを複数有することが好ましい。
【0014】
また、前記ヘッドは、複数の前記吸着ユニットが隣接して列状に配置され、複数の前記吸着ユニットのそれぞれの前記第1吸着部が互いに隣接して配置され、かつ、それぞれの前記第2吸着部が互いに隣接して配置されていることが好ましい。
【0015】
また、前記ヘッドは、列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、奇数番目の前記吸着ユニットの前記第1吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第1θ軸駆動部と、列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、偶数番目の前記吸着ユニットの前記第1吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第2θ軸駆動部と、列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、奇数番目の前記吸着ユニットの前記第2吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第3θ軸駆動部と、列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、偶数番目の前記吸着ユニットの前記第2吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第4θ軸駆動部と、をさらに有することが好ましい。
【0016】
また、前記制御部は、前記ヘッドを制御して、前記第1θ軸駆動部または前記第3θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板上に搭載した場合、次に前記第2θ軸駆動部または前記第4θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板上に搭載し、前記第2θ軸駆動部または前記第4θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板に搭載した場合、次に前記第1θ軸駆動部または前記第3θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板に搭載することが好ましい。
【0017】
また、前記制御部は、前記ヘッドを制御して、前記吸着ユニットの前記ノズルにより吸着している前記電子部品を前記基板に搭載した場合、次に他の前記吸着ユニットの前記ノズルにより吸着している前記電子部品を前記基板に搭載することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる電子部品実装装置は、効率よく高い精度で電子部品を搭載することができ、かつ、消費エネルギーをより低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、ヘッドの吸着ユニットの概略構成を示す模式図である。
【図4】図4は、θ軸回動ユニットの概略構成を示す部分断面図である。
【図5】図5は、θ軸回動ユニットの伝達機構の概略構成を示す模式図である。
【図6】図6は、電子部品実装装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、ヘッドの吸着ユニットの動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0021】
以下に、本発明にかかる電子部品実装装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。図1は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。
【0022】
図1に示す電子部品実装装置10は、基板8の上に電子部品を搭載(実装)する装置である。電子部品実装装置10は、基板搬送部12と、部品供給装置14と、ヘッド15と、XY移動機構16と、部品認識用カメラ18と、を有する。なお、基板8は、電子部品を搭載する部材であればよく、その構成は特に限定されない。本実施形態の基板8は、板状部材であり、表面に配線パターンが設けられている。基板8に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材(はんだ等)が付着している。
【0023】
基板搬送部12は、基板8を図中X方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部12は、X方向に延在するレールと、基板8を支持し、基板8をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部12は、基板8の面積が広い面(表面)がヘッド15と対面する向きで、基板8を搬送機構によりレールに沿って移動させることで基板8をX方向に搬送する。基板搬送部12は、基板8を電子部品実装装置10に供給する機器から供給された基板8を、レール上の所定の位置まで搬送する。ヘッド15は、前記所定の位置で、電子部品を基板8の表面に搭載する。基板搬送部12は、前記所定の位置まで搬送した基板8上に電子部品が搭載されたら、基板8を、次の工程(例えば、リフロー)を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部12の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、基板8の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組み合わせ、前記エンドレスベルトに基板8を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体したベルト方式の搬送機構を用いることができる。
【0024】
部品供給装置14は、基板8上に搭載する電子部品を多数保持する保持部14aと、保持部14aが保持する電子部品をヘッド15に供給可能、つまり、ヘッド15で吸着可能な状態とするフィーダ部14bと、を有する。なお、部品供給装置14としては、種々の構成を用いることができるが、本実施形態は、テープに電子部品を貼り付けた保持部14aと、テープを一定量送り、電子部品を所定位置に露出した状態にするフィーダ部14bとで構成されたテープフィーダである。また、部品供給装置14は、装置本体に対して着脱可能な構成とすることが好ましい。
【0025】
ヘッド15は、部品供給装置14に保持された電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板搬送部12によって所定位置に移動された基板8上に搭載する機構である。なお、ヘッド15の構成については、後述する。
【0026】
XY移動機構16は、ヘッド15を図1中X方向及びY方向、つまり、基板8の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部22とY軸駆動部24とを有する。X軸駆動部22は、ヘッド15と連結しており、ヘッド15をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してヘッド15と連結しており、X軸駆動部22をY軸方向に移動させることで、ヘッド15をY軸方向に移動させる。XY移動機構16は、ヘッド15をXY方向に移動させることで、ヘッド15を基板8と対面する位置、または、部品供給装置14のフィーダ部14bと対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構16は、ヘッド15を移動させることで、ヘッド15と基板8との相対位置を調整する。これにより、ヘッド15が保持した電子部品を基板8の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を基板8の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。なお、X軸駆動部22としては、ヘッド15を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部24としては、X軸駆動部22を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向(双方向)に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
【0027】
部品認識カメラ18は、部品供給装置14の近傍で、かつ、ヘッド15と対面する位置に配置された撮像装置である。部品認識カメラ18は、ヘッド15を撮影することで、ヘッド15に電子部品が吸着されているかを検出する。
【0028】
次に、図2及び図3を用いて、ヘッド15の構成について説明する。ここで、図2は、電子部品実装装置のヘッドの概略構成を示す斜視図であり、図3は、ヘッドの吸着ユニットの概略構成を示す模式図である。
【0029】
ヘッド15は、図2に示すように、複数の吸着ユニット30と、Z軸駆動ユニット32と、θ軸駆動ユニット34と、支持台35と、を有する。支持台35は、複数の吸着ユニット30と、Z軸駆動ユニット32と、θ軸駆動ユニット34とを支持する部材である。ここで、Z軸は、XY平面に対して直交する軸である。なお、Z軸は、基板の表面に対して直交する方向となる。また、θ方向とは、Z軸(すなわち、Z軸駆動部が前記第1吸着部及び前記第2吸着部を移動させる方向と平行な軸)を中心とした円の円周方向と平行な方向である。なお、θ方向は、後述するノズル(第1ノズル40及び第2ノズル42)の回動方向となる。
【0030】
複数の吸着ユニット30は、互いに隣接する位置に一列に配置されている。以下、まず、図3を用いて、1つの吸着ユニット30について説明する。吸着ユニット30は、図3に示すように、第1ノズル40と、第2ノズル42と、シャフト44、46と、Z軸駆動部48と、吸引機構50、52と、第1θ軸駆動部54と、第3θ軸駆動部58と、距離センサ62と、を有する。なお、図3に示す吸着ユニット30は、第1θ軸駆動部54と、第3θ軸駆動部58と、を有するが、図3に示す吸着ユニットに隣接する吸着ユニット30は、図3中の括弧の符号で示すように、第1θ軸駆動部54と、第3θ軸駆動部58と、に代えて、第2θ軸駆動部56と、第4θ軸駆動部60とを有する。なお、本実施形態の吸着ユニット30は、第1ノズル40と、シャフト44と、吸引機構50と、の組み合わせが第1吸着部となり、第2ノズル42と、シャフト46と、吸引機構52と、の組み合わせが第2吸着部となる。第1吸着部は、隣接する吸着ユニット30の第1吸着部と隣接して配置されている。第2吸着部は、隣接する吸着ユニット30の第2吸着部と隣接して配置されている。このように、ヘッド15は、第1吸着部が列状に配置され、第2吸着部が列状に配置されている。
【0031】
第1ノズル40は、電子部品を吸着し、保持する吸着機構である。第1ノズル40は、先端に開口を有し、この開口から空気を吸引することで、先端に電子部品を吸着し、保持する。第2ノズル42は、第1ノズル40と同様の構成であり、先端に電子部品を吸着し、保持する機構である。
【0032】
シャフト44は、第1ノズル40を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。また、シャフト44は、内部に第1ノズル40と吸引機構50とを接続する空気管(配管)を有している。シャフト46は、第2ノズル42を支持する棒状の部材であり、Z軸方向に延在して配置されている。シャフト46は、内部に第2ノズル42と吸引機構52とを接続する空気管(配管)を有している。なお、シャフト44と、シャフト46とは、支持台35に固定されたZ軸方向に移動自在のスライダ機構45、47にも接続されている。ヘッド15は、シャフト44及びシャフト46をそれぞれスライダ機構45、47で支持台35に対して接続することで、シャフト44とシャフト46のXY平面上での位置がずれることを抑制することができる。
【0033】
Z軸駆動部48は、シャフト44とシャフト46とをZ軸方向に移動させることで第1ノズル40と第2ノズル42とをZ軸方向に移動させる機構である。Z軸駆動部48は、直動リニアモータ70と、ベルト72と、ローラ73a、73bと、第1支持部74と、第2支持部76とを有する。Z軸駆動部48は、直動リニアモータ70が第1ノズル40と第2ノズル42とを移動させる駆動機構となり、ベルト72とローラ73a、73bと第1支持部74、第2支持部76とが、駆動機構により移動されることで第1ノズル40と第2ノズル42とをZ軸方向に互いに逆方向に移動させる連結機構となる。直動リニアモータ70は、固定部と固定部に対してZ軸方向に移動する可動部とで構成されている。直動リニアモータ70は、固定部が支持台35(図3では、図示を省略)に固定されており、可動部が、Z軸と平行な方向に移動する。
【0034】
ベルト72は、エンドレスベルトであり、ローラ73aとローラ73bとにより張架されている。ローラ73aとローラ73bとは、シャフト44とシャフト46との間に配置されている。また、ローラ73aとローラ73bとは、Z軸と平行な方向(つまり、基板8の表面に対して直交する方向)に所定距離離れた位置に配置されている。また、ローラ73aは、ローラ73bよりも基板8から離れた位置に配置されている。ベルト72と、ローラ73a、73bとは、このような位置関係で配置されており、ベルト72の、ローラ73aとローラ73bとの間にある部分が、Z軸に平行な2つの面となる。また、ローラ73a、73bは、従動ローラであり、ベルト72の移動とともに回動する。
【0035】
次に、第1支持部74は、直動リニアモータ70の可動部、シャフト44、及び、ベルト72と接続されている。なお、第1支持部74は、ベルト72のZ軸に平行な2つの面のうち一方の面、具体的には、シャフト44側の面に固定されている。また、第2支持部76は、シャフト46と、ベルト72と接続されている。なお、第2支持部76は、ベルト72のZ軸に平行な2つの面のうち他方の面、具体的には、シャフト46側の面に固定されている。このように、第1支持部74は、第1吸着部と連結する。また、第2支持部76は、第2吸着部と連結する。
【0036】
Z軸駆動部48は、以上のような構成であり、直動リニアモータ70の可動部がZ軸方向に移動すると、直動リニアモータ70の可動部とともに第1支持部74がZ軸方向に移動する。これにより、第1支持部74に固定されているシャフト44と、ベルト72も移動する。さらに、ベルト72が移動することで、第2支持部76もZ軸方向において、第1支持部74の移動方向とは逆方向に移動する。また、第2支持部76が移動することで、第2支持部76とともにシャフト46もシャフト44の移動方向とは逆方向に移動する。
【0037】
吸引機構50は、第1ノズル40と接続されたポンプと、第1ノズル40とポンプとを接続する管路の開閉を切り替える電磁弁とを有し、電磁弁の開閉を切り換えることで第1ノズル40から空気を吸引するか否かを切り替える。吸引機構52は、第2ノズル42と接続されたポンプと、第2ノズル42とポンプとを接続する管路の開閉を切り替える電磁弁とを有し、電磁弁の開閉を切り換えることで第2ノズル42から空気を吸引するか否かを切り替える。
【0038】
第1θ軸駆動部54は、シャフト44をZ軸方向に対して移動自在に支持しつつ、θ方向に回動させる。第3θ軸駆動部58は、シャフト46をZ軸方向に対して移動自在に支持しつつ、θ方向に回動させる。第1θ軸駆動部54と、第3θ軸駆動部58とは、支持台35に固定されている。第1θ軸駆動部54から第4θ駆動部60の構成については、後述する。
【0039】
距離センサ62は、自身と対向する位置に配置された部材(例えば、基板8)との距離を検出(計測)するセンサであり、第1ノズル40及びシャフト44に連結された部材に取り付けられている。なお、距離センサ62が取り付けられた部材は、支持台35に対して、Z軸方向に移動自在に連結されている。距離センサ62は、第1ノズル40及びシャフト44とともにZ方向に移動する。そして、距離センサ62は、自身と第1ノズル40の先端側(基板8が配置されている面側)に配置された部材との距離を検出(計測)する。このようにすることで、距離センサ62は、自身と基板8との距離を検出することができる。また、距離センサ62が、第1ノズル40及びシャフト44、つまり、第1吸引部に対して固定されているので、電子部品実装装置10及び吸着ユニット30は、距離センサ62と基板8との距離を検出することで、第1吸着部(例えば、第1ノズル40の先端)と、基板8との距離を検出することができる。なお、本実施形態では、距離センサ62と基板8との距離に基づいて、第1吸引部との距離を算出する演算を、後述する制御部100で行う。
【0040】
次に、θ軸駆動ユニット34について説明する。θ軸駆動ユニット34は、図3に示すように、第1θ軸駆動部54と、第2θ軸駆動部56と、第3θ軸駆動部58と、第4θ軸駆動部60と、を有する。ここで、第1θ軸駆動部54と、第2θ軸駆動部56とは、第1ノズル40に対応して設けられ、第3θ軸駆動部58と、第4θ軸駆動部60とは、第2ノズル42に対応して設けられている。また、第1θ軸駆動部54及び第2θ軸駆動部56との対応関係と、第3θ軸駆動部58及び第4θ軸駆動部60との対応関係は、対応して設けられているノズルが異なる以外は、基本的に同様の構成である。また、1つの吸着ユニット30は、第1θ軸駆動部54及び第3θ軸駆動部58と連結しているか、第2θ軸駆動部56及び第4θ軸駆動部60と連結している。つまり、第1θ軸駆動部54で回動させる第1ノズル40は、第3θ軸駆動部58で回動させる第2ノズル42と同じ吸着ユニット30となり、第2θ軸駆動部56で回動させる第1ノズル40は、第4θ軸駆動部60で回動させる第2ノズル42と同じ吸着ユニット30となる。そこで、以下では、代表して、第1θ軸駆動部54及び第2θ軸駆動部56とで構成される部分について、説明する。
【0041】
ここで、図4は、θ軸駆動ユニットの概略構成を示す部分断面図であり、図5は、θ軸駆動ユニットの伝達機構の概略構成を示す模式図である。第1θ軸駆動部54は、図4に示すように、モータ80と、伝達機構82と、複数のボールスプラインユニット84と、を有する。また、第2θ軸駆動部56は、モータ90と、伝達機構92と、複数のボールスプラインユニット94と、を有する。なお、ボールスプラインユニット84は、シャフト44のうちシャフト44aに設けられており、ボールスプラインユニット94は、シャフト44のうちシャフト44bに設けられている。ここで、シャフト44aと、シャフト44bとは、交互に配置されている。つまり、列状に配置された複数のシャフト44は、ボールスプラインユニット84と連結されたシャフト44aとボールスプラインユニット94と連結されたシャフト44bとが交互に配置されている。このように、第1θ軸駆動部54は、列状に配置された複数の吸着ユニット30のうち、奇数番目の吸着ユニット30の第1吸着部を構成するシャフト44aに連結されており、第2θ軸駆動部56は、列状に配置された複数の吸着ユニット30のうち、偶数番目の吸着ユニット30の第1吸着部を構成するシャフト44bに連結されている。本実施形態では、図5中左から右に順番に番号を振った場合として奇数偶数としたが、1つおきのシャフト(1つおきの吸着部)と連結していればよく、第1θ軸駆動部54と第2θ軸駆動部56のどちらが偶数番目のシャフトと連結し、どちらが奇数番目のシャフトと連結していてもよい。また、ボールスプラインユニット84と、ボールスプラインユニット94とは、Z軸上における位置が同一位置に配置されている。さらに伝達機構82は、Z軸方向において、ボールスプラインユニット84よりも図4中上側に配置され、伝達機構92は、Z軸方向において、ボールスプラインユニット84よりも図4中下側に配置されている。第1θ軸駆動部54と、第2θ軸駆動部56とは、このように配置位置が異なるのみで、各部の構成は基本的に同一である。そこで、以下では、代表して第1θ軸駆動部54について説明する。
【0042】
モータ80は、双方向に回転する(つまり回動する)駆動部であり、伝達機構82を介して複数のボールスプラインユニット84を回動させる。なお、モータ80は、自身が双方向に回転する駆動源であっても、伝達要素の組み合わせを切り換えることにより伝達する回転方向を切り換える構成であってもよい。
【0043】
伝達機構82は、図5に示すように、ベルト86と、複数のギヤ87と、複数のプーリー88とを有し、モータ80で発生した駆動力(回転)を複数のボールスプラインユニット84(図4参照)のそれぞれに伝達する。具体的には、伝達機構82は、ベルト86が、ボールスプラインユニット84と連結したギヤ87と、モータ80とにかけられており、さらに、ギヤ87とギヤ87との間等に設けられた、プーリー88により一定の張力で張られている。これにより、伝達機構82は、モータ80が回動すると、ベルト86が回動され、ベルト86がかけられたギヤ87が回動する。
【0044】
複数のボールスプラインユニット84は、それぞれ、シャフト44aに設けられており、シャフト44aに回転力を伝達する。また、ボールスプラインユニット84は、シャフト44aのZ軸方向の移動は、移動自在な状態となる。
【0045】
第1θ軸駆動部54は、以上のような構成であり、モータ80により発生させた回動力を、伝達機構82を介してボールスプラインユニット84に伝達することで、シャフト44aを回動させる。なお、第1θ軸駆動部54は、ボールスプラインユニット84が設けられたシャフト44aを一体で、つまり、一緒に回動させる。また、第1θ軸駆動部54シャフト44aを回動させることで、シャフト44aと一体となった第1ノズル40も回動させる。このように、第1θ軸駆動部54は、列状に配置された複数の吸着ユニット30のうち、奇数番目の吸着ユニット30の第1吸着部の第1ノズル40を、Z軸(第1吸着部及び第2吸着部が移動する方向と平行な軸)を中心として回動させる。
【0046】
次に、電子部品実装装置10の装置構成の制御機能について説明する。図6は、電子部品実装装置の概略構成を示すブロック図である。図6に示すように、電子部品実装装置10は、基板搬送部12と、部品供給装置14と、ヘッド15と、XY移動機構16(X軸駆動部22及びY軸駆動部24)と、レーザ認識装置92と、記憶装置94と、画像処理装置96と、モニタ97と、操作部98と、制御部100と、を有する。なお、ヘッド15は、上述したように、吸着ユニット30と、Z軸駆動ユニット32と、θ軸駆動ユニット34と、を有する。また、ヘッド15は、上述したように吸着ユニット30に対応して、吸引機構50と、吸引機構52と、を有する。なお、電子部品実装装置10のうち、上述した構成については、詳細な説明は省略する。
【0047】
レーザ認識装置92は、吸着ユニット30の第1ノズル40または第2ノズル42で吸着した電子部品に対して、レーザ光を照射することで、電子部品の形状を検出する装置である。レーザ認識装置92は、吸着ユニット30により吸着された電子部品の一方向の形状を検出したら、吸着ユニット30により電子部品を移動または回動させて、他の方向の形状を検出する。レーザ認識装置92は、このように、複数の方向からの形状を検出することで、電子部品の三次元形状を正確に検出することができる。
【0048】
記憶装置94は、メモリ等の一次記憶装置(主記憶装置)や、ストレージ等の二次記憶装置(補助記憶装置)であり、制御部100での処理に必要な各種プログラム、各部で取得した情報、入力された条件、各部の動作履歴等を記憶する。なお、一次記憶装置は、記憶装置94だけでなく、制御部100にも備えられていてもよい。
【0049】
画像処理装置96は、部品認識用カメラ18で取得した画像を処理し、処理をした画像の情報を後述するモニタ97や制御部100に送る。
【0050】
モニタ97は、画像処理装置96から送られた画像の情報や、制御部100から送られた情報を表示させる表示装置である。操作部98は、オペレータ(ユーザ)が操作を入力する入力装置であり、タッチパネル98aを有する。なお、操作部98の構成は、タッチパネル98aに限定されず、コントローラ、操作パネル、スイッチ、レバー、キーボード、マウス等、種々の入力デバイスを用いることができる。操作部98は、入力された操作を操作信号として制御部100に送る。
【0051】
制御部100は、電子部品実装装置10の各部と接続されており、操作部98から入力された操作信号や、電子部品実装装置10の各部で検出された情報に基づいて、記憶装置94に記憶されているプログラムを実行し、各部の動作を制御する。制御部100は、例えば、基板搬送部12による基板8の搬送動作、部品供給装置14による電子部品の供給動作、ヘッド15による電子部品の吸着/開放動作、各ノズル(第1ノズル40、第2ノズル42)の回動動作、Z軸方向の移動動作、XY移動機構16によるヘッド15の駆動動作等を制御する。電子部品実装装置10は、以上のような構成である。
【0052】
次に、電子部品実装装置10の動作、特に、ヘッド15の吸着ユニット30による電子部品の実装動作について説明する。ここで、図7は、ヘッドの吸着ユニットの動作を説明するための説明図である。なお、図7は、ヘッド15の吸着ユニット30による電子部品の吸着から、基板上の搭載位置への移動、基板への電子部品の搭載の動作を示している。電子部品実装装置10は、図7中矢印の向き(左から右への向き)に動作を実行する。
【0053】
まず、電子部品実装装置10の制御部100は、XY移動機構16を制御して、ヘッド15を部品供給装置14に対面する位置、具体的には、部品供給装置14から供給される電子部品を、ヘッド15の第1ノズル40、第2ノズル42が吸着できる位置に移動させる。制御部100は、ヘッド15を部品供給装置14と対面する位置に移動させたら、ヘッド15を制御して、図7の吸着ユニット30aに示すように、Z軸駆動部48の直動リニアモータ70の可動部を矢印方向(直動リニアモータ70の可動部の先端が固定部に近づく方向)に移動させ、ベルト72を移動させることで、第1ノズル40を部品供給装置14に近づける。なお、第1ノズル40が部品供給装置14に近づく方向に移動すると、第2ノズル42は、部品供給装置14から離れる方向に移動する。
【0054】
制御部100は、ヘッド15を制御して、第1ノズル40の先端を、部品供給装置14に保持された電子部品102と接触する位置まで移動させたら、吸引機構50を駆動させ、第1ノズル40に電子部品102を吸着させる。なお、制御部100は、ヘッド15を制御して、第1ノズル40が電子部品102を吸着する時には、必要に応じて第1θ軸駆動部54を駆動することによって、第1ノズル40を回動させてもよい。また、制御部100は、距離センサ62の検出結果に基づいて、Z軸方向において第1ノズル40の位置を調整する。なお、必要に応じて行われるθ方向における回動の調整方法、Z軸方向における距離の調整方法は、後述するノズルによる電子部品の吸着時、開放時ともに同様である。
【0055】
制御部100は、ヘッド15を制御して、第1ノズル40により電子部品102を吸着させたら、次に、図7の吸着ユニット30bに示すように、Z軸駆動部48の直動リニアモータ70の可動部を矢印方向(直動リニアモータ70の可動部の先端が固定部から遠ざかる方向)に移動させ、ベルト72を移動させることで、第2ノズル42を部品供給装置14に近づける。制御部100は、ヘッド15を制御して、第2ノズル42の先端を、部品供給装置14に保持された電子部品104と接触する位置まで移動させたら、吸引機構52を駆動させ、第2ノズル42により電子部品104を吸着する。これにより、吸着ユニット30bは、第1ノズル40に電子部品102を吸着し、第2ノズル42に電子部品104を吸着した状態となる。ここで、制御部100は、Z軸方向における第2ノズル42の位置も、距離センサ62の検出結果に基づいて調整する。つまり、距離センサ62は、第2ノズル42と逆方向に移動するが、距離センサ62と第2ノズル42とはZ軸駆動部48による移動距離が比例する。そのため、制御部100は、距離センサ62の検出結果に基づいて距離センサ62の移動距離を算出することで、第2ノズル42と基板8との位置関係、より具体的には両者の距離を算出することができる。なお、制御部100は、ヘッド15を構成する各吸着ユニット30で同様に吸着動作を行う。ここで、ヘッド15のノズルの全てに電子部品を吸着する必要はなく、選択したノズルによって基板8に搭載する電子部品を吸着すればよい。
【0056】
制御部100は、ヘッド15を制御して、第1ノズル40と第2ノズル42のそれぞれに電子部品102、104を吸着させたら、Z軸駆動部48により、図7の吸着ユニット30cに示すように、Z軸方向における、第1ノズル40の位置と第2ノズル42の位置とが同じ位置、つまり同じ高さとする。その後、制御部100は、XY移動機構16によりヘッド15を基板8と対面する位置まで移動させる。
【0057】
制御部100は、ヘッド15を基板8と対面する位置まで移動させたら、さらに、電子部品102と当該電子部品102の基板8の搭載位置とがXY平面において重なるように、XY移動機構16によりヘッド15を移動させる。制御部100は、電子部品102と基板8の搭載位置がXY平面において重なる位置となったら、ヘッド15を制御して、必要に応じて、θ駆動ユニットにより第1ノズル40をθ方向に回動させ、電子部品102の向きを調整する。なお、θ駆動ユニットによる第1ノズル40の回動は、XY移動機構16によるヘッド15の移動と同時に行ってもよい。その後、制御部100は、図7の吸着ユニット30dに示すように、Z軸駆動部48の直動リニアモータ70の可動部を矢印方向に移動させ、ベルト72を移動させることで、第1ノズル40を基板8に近づける。これにより、第1ノズル40が吸着している電子部品102は、基板8の所定位置と接触または、略接触している状態となる。その後、制御部100は、ヘッド15を制御して、吸引機構50の電磁弁を閉状態等とする。このようにすると、第1ノズル40が電子部品102を開放した状態、つまり吸着していない状態となるので、電子部品102を基板8上に搭載することができる。
【0058】
制御部100は、ヘッド15を制御して、電子部品102を基板8に搭載したら、電子部品104と当該電子部品104の基板8の搭載位置とがXY平面において重なるように、XY移動機構16によりヘッド15を移動させる。制御部100は、電子部品104と基板8の搭載位置がXY平面において重なる位置となったら、必要に応じて、ヘッド15を制御して、θ駆動ユニットにより第2ノズル42をθ方向に回動させ、電子部品104の向きを調整する。その後、制御部100は、ヘッド15を制御して、図7の吸着ユニット30eに示すように、Z軸駆動部48の直動リニアモータ70の可動部を矢印方向に移動させ、ベルト72を移動させることで、第2のノズル42を基板8に近づける。これにより、第2ノズル42が吸着している電子部品104は、基板8の所定位置と接触または、略接触している状態となる。その後、制御部100は、ヘッド15を制御して、吸引機構52の電磁弁を閉状態等とする。このようにすると、第2ノズル42が電子部品104を開放した状態、つまり吸着していない状態となるので、電子部品104を基板8上に搭載することができる。
【0059】
制御部100は、以上のような動作を、電子部品を吸着している各ノズルに対して実行して、ヘッド15が吸着している電子部品を基板8に搭載することができる。また、制御部100は、ヘッド15が吸着している電子部品を全て基板8に搭載したら、X軸駆動部22とY軸駆動部24との少なくとも一方を駆動することによって、ヘッド15を再び部品供給装置14に搬送し、各ノズルに電子部品を吸着させる。制御部100は、上記処理を繰り返し、基板8に必要な電子部品を搭載したら、基板搬送部12により基板8を次の工程に搬送する。
【0060】
このように、電子部品実装装置10は、第1ノズル40と、第2ノズル42とを1つのZ軸駆動部48で逆方向に移動する構成とすることで、1つの駆動機構で、2つのノズルを駆動することができる。これにより、駆動機構を減らすことができ、装置構成を簡単にすることができる。また、装置構成を簡単にし、駆動機構を少なくできることで、ヘッド15を軽量化することができ、ヘッド15の移動に消費するエネルギーを少なくすることができる。また、ヘッド15を軽量化できることで、移動の精度もより高くすることができる。また、1つのZ軸駆動部48は、2つのノズルのみを駆動させるため、Z軸駆動部48の駆動機構(駆動源)の大型化を抑制することができる。また、2つのノズルを連動して移動させるため、動力の伝達経路も簡単にすることができる。さらに、制御対象も少なくなるため、制御部100の回路構成も簡単にすることができる。
【0061】
また、反対方向に移動させる2つのノズルは、略同様の構成となるため、つまり重量差が少ないため、支点(本実施形態では、ローラ73a)を中心としてベルト72を回動させる際に必要な力を小さくすることができ、消費するエネルギーを少なくすることができる。
【0062】
また、一方のノズルによる電子部品の搭載が完了した後、一方のノズルを移動させて、すなわち、基板から離すことで、他方のノズルを基板に近づけることができる。これにより、一方のノズルの終了動作(ノズルと電子部品との離脱動作)と、他方のノズルの搭載動作とを自動的に同時に開始することができる。
【0063】
また、電子部品実装装置10は、電子部品を、1つずつ順番に基板上に搭載することで、位置を高精度に調整しつつ、基板上に搭載することができる。また、電子部品を1つずつ順番に基板に搭載する構成であるため、第1ノズル40と第2ノズル42とが逆方向に移動する構成としても、効率よく電子部品を搭載することができる。
【0064】
また、Z軸駆動部48により、Z軸方向の高さを高精度で調整できるため、高さが異なる基板や、高さが異なる電子部品も好適に搭載することができる。これにより、電子部品実装装置が処理できる基板や電子部品の種類をより多くすることができる。
【0065】
また、ヘッド15は、吸着ユニット30を複数設けることで、一回の部品供給装置からの電子部品の吸着動作及び電子部品の搭載動作、つまりヘッドの部品供給装置と基板間の一往復で、より多くの電子部品を処理(吸着及び搭載)することができる。これにより、作業効率をより高くすることができる。また、この場合も上述したようにノズルの数に対して重量を少なくすることができるため、ヘッドを軽量化することができ、高精度で動作を制御できる。
【0066】
また、ヘッド15は、上述したように、Z軸方向の高さを高精度で調整でき、種々の高さとすることができるため、レーザ認識装置92による電子部品の認識時や、部品認識用カメラ18を用いた電子部品の観察時に、電子部品の高さをずらして保持させることで、一度に多数の電子部品を認識、観察することができる。
【0067】
ここで、上記実施形態では、1つの吸着ユニット30を構成する2つのノズルによる搭載動作として説明したが、複数の吸着ユニット30を用いて、電子部品を搭載する場合、制御部100は、ヘッド15を制御して、1つの吸着ユニット30のノズル(つまり、第1ノズル40または第2ノズル42)が吸着している電子部品を基板上に搭載した場合、次は他の吸着ユニット30のノズルが吸着している電子部品を基板上に搭載することが好ましい。このように、電子部品を搭載する装着ユニット30を1つのノズル毎に切り換えることで、次に、基板に搭載する電子部品を基板の直近まで移動させることができ、より効率よく電子部品を搭載(実装)することができる。なお、基板に効率よく電子部品を搭載できるため、ヘッドは、複数の吸着ユニットを有することが好ましいが、これに限定されず、吸着ユニットは、1つでもよい。
【0068】
また、θ軸駆動ユニット34として、複数のシャフトを1つのθ軸駆動部で駆動させることで、θ方向に回動させる駆動部の数を少なくすることができる。またθ方向の回動は、Z軸方向の移動に比べ、必要な出力が小さいため、複数のシャフトを回動させる構成として、モータの大型化は一定程度抑制することができる。また、θ軸駆動部を複数設けることで、次に搭載する電子部品の角度を事前に調整することができる。
【0069】
ここで、制御部100は、上述した吸着ユニット30の電子部品の搭載順序の設定に加え、ヘッド15を制御して、同じθ軸駆動部でθ方向に回動されるシャフトに対応するノズルが、連続して電子部品を基板に搭載しない順序で、電子部品を基板に搭載することが好ましい。つまり、任意の1つのθ軸駆動部でθ方向に回動されるシャフトに対応するノズルが吸着している電子部品を基板に搭載した場合、次に任意の他のθ軸駆動部でθ方向に回動されるシャフトに対応するノズルが吸着している電子部品を基板に搭載するように順序を設定し、制御することが好ましい。ここで、本実施形態の場合、制御部100は、第1θ軸駆動部54または第3θ駆動部58により回動されるノズルにより吸着している電子部品を基板に搭載した場合、次に第2θ軸駆動部56または第4θ軸駆動部60により回動されるノズルにより吸着している電子部品を基板に搭載する。また、制御部100は、ヘッド15を制御して、第2θ軸駆動部56または第4θ軸駆動部60により回動されるノズルにより吸着している電子部品を基板に搭載した場合、次に第1θ軸駆動部54または第3θ軸駆動部58により回動されるノズルにより吸着している電子部品を基板に搭載する。これにより、次に、基板に搭載する電子部品のθ方向の角度を予め調整することができる。
【0070】
また、電子部品実装装置10は、1つの吸着ユニットが有する2つのノズルの位置を、1つの距離センサにより検出した計測結果に基づいて調整できるため、装置構成をより簡単にすることができ、また、装置を安価にすることができる。つまり、2つのノズルが反対方向に比例して移動する機構であるため、一方のノズルの位置を検出することで、他方のノズルの位置も検出することができる。これにより、ノズルと基板との相対位置の検出機構を2つのノズルに対して、共通としても高い精度でノズルの位置を調整することができる。なお、装置を構成する部材、機構が多くなるが、2つのノズルのそれぞれに位置を検出するセンサを設けてもよい。この場合は、Z軸駆動部のベルトの撓み、変形等により誤差や変化が発生しても、ノズルの位置を正確に検出することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、より高い精度でノズルの位置を調整できるため距離センサを設けたが、本発明はこれに限定されず、距離センサを設けずに、設定値のみで制御するようにしてもよい。つまり、入力された条件のみ、セミクローズで、処理を行ってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、Z軸駆動部の駆動機構として、直動リニアモータを用いたがこれには限定されず、駆動機構としては、種々の機構を用いることができる。例えば、ベルトを張架しているローラを回転させる回転モータを用いてもよい。この場合も回転モータによりローラを回転させることで、ベルトを移動させることができる。なお、この場合は、回転モータの回転角度をエンコーダで計測することにより、ベルト、各ノズルの位置を検出することができ、距離センサを設けずにセミクローズで処理することができる。
【0073】
また、Z軸駆動部の連結機構の構成もベルト、ベルトに固定された支持部等によりシャフトを上下動させることに限定されない。Z軸駆動部の連結機構は、第1ノズル(第1吸引部)と第2ノズル(第2吸引部)とを逆方向、好ましくは、比例して移動させることができればよい。例えば、Z軸駆動部の連結機構は、支点で支持された棒状の部材のそれぞれの端部にシャフトを連結させた構成、いわゆるシーソー、振り子のような構成としてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態では、部品認識用カメラ18と、レーザ認識装置92の両方を設けたが、いずれか一方のみでもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ヘッド15を1つ有する構成としたが、本発明はこれに限定されず、ヘッドを複数設けてもよい。例えば、ヘッド15を2つ設け、1つの基板に対して、交互に電子部品を搭載するようにしてもよい。このように、2つのヘッド15で交互に電子部品を搭載することで、一方のヘッドが電子部品を基板に搭載している間に、他方のヘッドは、部品供給装置にある電子部品を吸着することができる。これにより、基板に電子部品を搭載されない時間をより短くすることができ、効率よく電子部品を搭載(実装)することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる電子部品実装装置は、基板に電子部品を搭載するのに有用であり、特に、複数の吸着手段のそれぞれで電子部品を搬送することで基板上に連続して電子部品を搭載することに適している。
【符号の説明】
【0077】
8 基板
10 電子部品実装装置
12 基板搬送部
14 部品供給装置
15 ヘッド
16 XY移動機構
18 部品認識用カメラ
22 X軸駆動部
24 Y軸駆動部
30 吸着ユニット
32 Z軸駆動ユニット
34 θ軸駆動ユニット
35 支持台
40 第1ノズル
42 第2ノズル
44、46 シャフト
48 Z軸駆動部
50、52 吸引機構
54 第1θ軸駆動部
56 第2θ軸駆動部
58 第3θ軸駆動部
60 第4θ軸駆動部
62 距離センサ
70 直動リニアモータ
72 ベルト
74 第1支持部
76 第2支持部
80、90 モータ
82、92 伝達機構
84、94 ボールスプラインユニット
86 ベルト
87 ギヤ
88 プーリー
92 レーザ認識装置
94 記憶装置
96 画像処理装置
97 モニタ
98 操作部
98a キーボード
98b マウス
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルで吸着した電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置であって、
前記電子部品を吸着する前記ノズルを備える第1吸着部と、
前記電子部品を吸着する前記ノズルを備え、かつ、当該ノズルが前記第1吸着部の前記ノズルと同じ向きを向いている第2吸着部と、
前記第1吸着部と前記第2吸着部とに連結された連結機構及び前記連結機構を移動させることで前記第1吸着部と前記第2吸着部とを前記基板の表面に対して直交する方向に移動させる駆動機構を備えるZ軸駆動部と、を含むヘッドと、
前記ヘッドの動作を制御する制御部と、を有し、
前記連結機構は、前記駆動機構により移動されることで、前記第1吸着部と前記第2吸着部とを、互いに逆方向に移動させることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記連結機構は、ベルト、前記基板の表面に対して直交する方向に離間した位置に配置され、かつ、前記ベルトを張架する少なくとも2つのローラ、前記ベルトの前記基板の表面に対して直交する2つの面のうち一方の面に固定され前記第1吸着部と連結する第1支持部及び前記ベルトの前記基板の表面に対して直交する2つの面のうち他方の面に固定され、前記第2吸着部と連結する第2支持部を備え、
前記ベルトが前記駆動機構により移動されることで、前記第1吸着部と前記第2吸着部とを互いに逆方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記駆動機構は、前記連結機構と接続されて、前記連結機構との接続部分を前記基板の表面に対して直交する方向に移動させる直動リニアモータであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記第1吸着部と連結して配置された距離センサをさらに有し、
前記制御部は、前記距離センサで検出した距離に基づいて、前記第1吸着部と前記基板との距離及び前記第2吸着部と前記基板との距離を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記ヘッドは、前記第1吸着部と、前記第2吸着部と、前記Z軸駆動部と、を含む吸着ユニットを複数有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記ヘッドは、複数の前記吸着ユニットが隣接して列状に配置され、
複数の前記吸着ユニットのそれぞれの前記第1吸着部が互いに隣接して配置され、かつ、それぞれの前記第2吸着部が互いに隣接して配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
前記ヘッドは、
列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、奇数番目の前記吸着ユニットの前記第1吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第1θ軸駆動部と、
列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、偶数番目の前記吸着ユニットの前記第1吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第2θ軸駆動部と、
列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、奇数番目の前記吸着ユニットの前記第2吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第3θ軸駆動部と、
列状に配置された前記複数の吸着ユニットのうち、偶数番目の前記吸着ユニットの前記第2吸着部の前記ノズルを、前記第1吸着部及び前記第2吸着部が移動する方向と平行な軸を中心として回動させる第4θ軸駆動部と、をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の電子部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ヘッドを制御して、前記第1θ軸駆動部または前記第3θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板上に搭載した場合、次に前記第2θ軸駆動部または前記第4θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板上に搭載し、
前記第2θ軸駆動部または前記第4θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板に搭載した場合、次に前記第1θ軸駆動部または前記第3θ軸駆動部により回動される前記ノズルが吸着している前記電子部品を前記基板に搭載することを特徴とする請求項7に記載の電子部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ヘッドを制御して、前記吸着ユニットの前記ノズルにより吸着している前記電子部品を前記基板に搭載した場合、次に他の前記吸着ユニットの前記ノズルにより吸着している前記電子部品を前記基板に搭載することを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−94653(P2012−94653A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240070(P2010−240070)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】