説明

電極膜、電極及びその製造方法、ならびに電気二重層キャパシタ

【課題】静電容量の大きい電極を得るための部材である電極膜、該電極膜を具備する静電容量の大きい電極およびその製造方法を提供する。
【解決手段】炭素粒子と無機粒子とからなり、前記炭素粒子同士が前記無機粒子で結着されている電極膜。前記電極膜が、集電体上に積層されている電極。電極膜が集電体上に積層されてなる前記電極の製造方法であって、液体媒体中に分散された炭素粒子と無機粒子とを含有する分散液を集電体に塗布して分散液膜を形成すること、および前記分散液膜から前記液体媒体を除去して前記炭素粒子と無機粒子からなる電極膜を形成することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の部材である電極膜、電極およびその製造方法に関する。さらに本発明は、前記電極を有する電気二重層キャパシタに関する。なお、本発明における電極膜とは、集電体とともに電極を構成する部材であり、電極において実質的に電気を蓄える部分となるものである。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ等に用いられる電極としては、集電体である金属箔と、バインダーで結着された炭素粒子からなる電極が知られている。従来、バインダーとしてはフッ素樹脂が用いられており、中でも、耐熱性、耐薬品性、電気化学安定性に優れるポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)が好適に用いられている。
例えば特許文献1には、PTFEの有機溶媒分散液と炭素粒子とを混合して得られるスラリーを集電体に塗布した後、有機溶媒を除去して得られる電極が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−329904号公報
【0004】
一方、近年、静電容量がより大きい電極が求められている。上記のようにバインダーとしてフッ素樹脂を用いた電極では、未だ十分な静電容量の電極は知られておらず、よりいっそう静電容量の大きい電極が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、静電容量の大きい電気二重層キャパシタを提供すること、かかる電気二重層キャパシタの部品として有用な、静電容量の大きい電極とその製造方法を提供すること、および、かかる電極の部品として有用な静電容量の大きい電極膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その一つの面において、炭素粒子と無機粒子とからなり、前記炭素粒子同士が前記無機粒子で結着されている電極膜である。
本発明は、他の面において、前記電極膜が集電体上に積層されている電極である。
さらに本発明は、他の面において、前記電極の製造方法であって、液体媒体中に分散された炭素粒子と無機粒子とを含有する分散液を集電体に塗布して分散液膜を形成すること、および前記分散液膜から前記液体媒体を除去して前記炭素粒子と無機粒子からなる電極膜を形成することを含む方法である。
さらに本発明は、他の面において、前記電極を有する電気二重層キャパシタであって、前記電極2枚が、電極膜同士が対向するように配置され、両電極膜間に更にセパレーターが配置された少なくとも1個のセルと、電解液と、前記少なくとも1個のセルおよび電解質が封入された容器とを有する電気二重層キャパシタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、静電容量の大きい電極の部品として有用な静電容量の大きい電極膜が提供され、その電極膜の利用により、静電容量の大きい電気二重層キャパシタの部品として有用な電極が提供され、さらに、その電極の利用により、静電容量の大きい電気二重層キャパシタが提供される。この電気二重層キャパシタは、ラップトップPCや携帯電話等のメモリバックアップ電源や、OA機器の補助電源、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車などのモータ駆動系の補助電源などに好適に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の電極膜は、炭素粒子と無機粒子とからなる。本発明における無機粒子とは、炭素原子を含まない固体粒子である。但し、炭素を含んでいても、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、金属青酸塩、金属シアン酸塩、金属チオシアン酸塩は無機粒子に含まれる。本発明の電極膜において、無機粒子は、炭素粒子同士を結着しているバインダーである。また、本発明の電極膜が集電体と組み合わされて電極を構成しているとき、該無機粒子は、該電極膜を集電体と結着させるバインダーとしても機能する。本発明の電極膜は、実質的に炭素粒子と無機粒子のみから構成されており、従来の電極膜とは異なってPTFEのような有機系バインダーを含まない。無機粒子は、炭素粒子との結着力、および電極膜の耐熱性の観点から、シリカ粒子、アルミナ粒子、またはシリカ粒子とアルミナ粒子との混合粒子であることが好ましく、シリカ粒子であることがより好ましい。
【0009】
炭素粒子の結着力の観点から、本発明における無機粒子の粒径は、1nm〜100nmの範囲内にあることが好ましく、1nm〜50nmの範囲内にあることがさらに好ましい。また、無機粒子の粒径は、電極膜の膜厚以下であることが好ましく、炭素粒子との結着力の観点から、炭素粒子の粒径以下であることがより好ましく、更には炭素粒子の粒径の10分の1以下であることがより好ましい。本発明において、無機粒子の粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。
【0010】
本発明において、無機粒子の形状に限定は無いが、炭素粒子との結着力の観点から、球状、棒状、または鎖状であることが好ましく、球状の粒子が繋がった鎖状粒子が好ましい。具体的には、球状粒子としては日産化学工業(株)製のスノーテックスST−XS(商品名)、スノーテックスST−XL(商品名)、鎖状粒子としては日産化学工業(株)製のスノーテックスPS−S、スノーテックスPS−SO(商品名)等が挙げられる。
【0011】
本発明の電極膜における無機粒子の含有量は、膜の強度と安定性の観点から炭素粒子100重量部に対して1〜100重量部の範囲内であることが好ましく、特に静電容量の観点から10〜70重量部の範囲内であることがさらに好ましく、15〜50重量部の範囲内であることがより好ましく、20〜45重量部の範囲内であることが最も好ましい。
【0012】
本発明において、炭素粒子とは、炭素原子を主成分とする粒子であり、例えば、活性炭、アセチレンブラックやケッチェンブラックのようなカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフィアが挙げられる。炭素粒子は、一種の炭素粒子でもよく、複数種の炭素粒子の混合物でもよい。比表面積の大きい活性炭が好適に用いられる。炭素粒子は、比表面積が1000m2/g以上の活性炭を含有することが好ましい。
【0013】
本発明において、炭素粒子の粒径は、膜の強度と安定性の観点から、1μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。なお、炭素粒子の粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。このような粒径の活性炭や黒鉛は、市販の活性炭や黒鉛をボールミル等の粉砕装置によって粉砕することにより得ることができる。ボールミルにより粉砕する場合には、金属粉の混入を避けるために、ボールや粉砕容器は、アルミナ、メノウなどの非金属製であることが好ましい。
【0014】
電極膜の静電容量の観点から、炭素粒子として、活性炭(通常、粒径は1μm〜30μmの範囲内)と、該活性炭よりも粒径の小さいアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノスフィア等の導電剤とを併用することが好ましい。導電剤の粒径は、電極の静電容量の観点から、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。なお、本発明において、導電剤の粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒径である。
【0015】
炭素粒子として活性炭と導電剤とを併用する場合、両者の混合割合に特に限定は無いが、電極膜の静電容量という観点から、導電剤の量は、活性炭100重量部に対し10〜50重量部の範囲内とすることが好ましい。
【0016】
本発明の電極は、集電体と、該集電体上に積層された電極膜とを有し、該電極膜は、炭素粒子と無機粒子とからなり、前記炭素粒子同士が前記無機粒子で結着されている膜、すなわち前記本発明の電極膜である。集電体は通常、金属箔であり、かかる金属の例としては、アルミニウム、銅、鉄などが挙げられる。なかでもアルミニウムは、軽く、電気抵抗が低いため好ましい。巻回型電極や積層型電極の作製が容易であることから、集電体は、厚みが20μm〜100μmの範囲内のフィルム状であることが好ましい。また集電体と電極膜との密着性を向上させるために、集電体の表面はエッチング処理などによって粗面化していることが好ましい。
【0017】
次に本発明の電極膜、および電極の製造方法を説明する。
本発明の電極膜は、炭素粒子と無機粒子の混合物をロール成形やプレス成形を用いてシートにするシート成形法や、前記混合物が液体媒体(以下、溶媒と記す)に分散された分散液を支持体上に塗布して分散液膜を形成し、次いで該分散液膜から溶媒を除去して電極膜を形成する塗布法等、公知の方法により製造することができる。なお、前記支持体として集電体を使用することにより、本発明の電極を直接製造することができる。
シート成形法では、まず炭素粒子と無機粒子とを所定の割合で混合機に投入して混合し、ペースト状混合物を得る。この時、少量の溶媒を加えることにより、混合物の均一性を向上させることができる。次に該ペースト状混合物を、カレンダー成形等のロール成形やプレス成形等の成形方法でシート状に成形することにより、本発明の電極膜を得ることができる。また、前記した方法で得られた電極膜を、所定の厚みにするためにさらにロールにより圧延してもよい。このようにして得られた電極膜を集電体に貼合することにより、本発明の電極が得られる。電極膜に溶媒が残存している場合には、溶媒を蒸発させて除去する。
【0018】
厚みの均一な電極膜を容易に形成できることから、塗布法により電極膜を製造することが好ましい。ここで塗布法による本発明の電極膜の製造について更に詳細に説明する。塗布法とは、溶媒中に分散された炭素粒子と無機粒子を含有する分散液を支持体(例えば、金属箔からなる集電体)上に塗布して分散液膜を形成した後、前記分散液膜から溶媒を除去して、炭素粒子と無機粒子からなる電極膜を形成する方法である。塗布法では、まず炭素粒子と無機粒子とが溶媒に分散された分散液を調製する。分散液の調製方法としては、溶媒に所定量の炭素粒子と無機粒子とを添加して混合する方法、所定量の炭素粒子と無機粒子の混合物に溶媒を添加して混合する方法、所定量の無機粒子が溶媒に分散された中間分散液に所定量の炭素粒子を添加して混合する方法、所定量の無機粒子が溶媒に分散された第1の中間分散液と、所定量の炭素粒子が溶媒に分散された第2の中間分散液とを混合する方法、所定量の炭素粒子が溶媒に分散された中間分散液に無機粒子を添加して混合する方法等が挙げられる。混合には、公知の混合機を用いることができる。無機粒子および炭素粒子をより均一に分散させやすいことから、無機粒子が溶媒に分散された中間分散液に炭素粒子を添加して分散させる方法により分散液を調製することが好ましい。また、静電容量のより高い電極膜を得るためには、中間分散液としてのコロイダルシリカに炭素粒子を分散させて分散液を調製することが好ましい。コロイダルシリカとは、シリカまたはその水和物の水性コロイドである。
【0019】
分散液を支持体上に塗布して分散液膜を形成するのには、ハンディ・フィルムアプリケーター、バーコーター、ダイコーター等の公知の塗布装置を用いることができる。形成した分散液膜から溶媒を除去することにより、支持体上に炭素粒子と無機粒子からなる電極膜を形成することができる。前述のとおり、前記支持体として集電体を使用することにより、本発明の電極を直接製造することができる。溶媒を除去する方法としては、通常50〜500℃の温度で溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。中間分散液としてコロイダルシリカを用いる場合、まず50〜80℃の温度で1〜30分の時間乾燥した後、さらに100〜200℃の温度で1〜60分の時間乾燥することが、結着力を高める観点から好ましい。また、塗布法で支持体上に電極膜を形成した後、電極膜の厚さを調整するために支持体上の電極膜をプレスしてもよい。
【0020】
本発明の電極は、例えば、乾電池、一次電池、二次電池、レドックスキャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、電気二重層キャパシタなどの電極として用いることができ、とりわけ電気二重層キャパシタの電極として好適である。
本発明は、一つの面において、前記本発明の電極を備えた電気二重層キャパシタである。具体的には、2枚の電極の間にセパレーターがあり、セパレーターと各電極との間に電解液が充填されたキャパシタや、2枚の電極の間に固体電解質(ゲル電解質)が充填されたキャパシタなどが挙げられる。
電気二重層キャパシタでは、充電することによって、正極と電解質との界面付近において、正に帯電した正極と負に帯電した電解質とによって電気二重層が形成され、同時に負極と電解質との界面付近において、負に帯電した負極と正に帯電した電解質とによって電気二重層が形成されることによって電気エネルギーが蓄えられる。充電を中止しても電気二重層は保持されるが、放電させると、電気二重層は解消されて電気エネルギーが放出される。
電気二重層キャパシタは、2枚の電極、すなわち1対の正極と負極を含むセルを1つだけ有するキャパシタでもよいが、このようなセルを複数有するキャパシタであってもよい。
【0021】
本発明の電極は、電解液が充填された電気二重層キャパシタに好適に用いられる。このような電気二重層キャパシタは、より具体的には、集電体と該集電体上に積層された電極膜とを有する電極2枚が、電極膜同士が対向するように配置され、両電極膜間に更にセパレーターが配置された少なくとも1個のセルと、電解液と、前記少なくとも1個のセルおよび電解質が封入された容器とを有し、前記電極膜は、炭素粒子と無機粒子とからなり、前記炭素粒子同士が前記無機粒子で結着されている膜、すなわち、本発明の電極膜である電気二重層キャパシタである。具体的には、円盤状の電極2枚を電極膜同士が対向するように配置し、両電極膜間に更にセパレーターを配置したセルを、電解液と共にコイン型ケースに封入したコイン型キャパシタや、シート状の電極2枚を電極膜同士が対向するように配置し、両電極膜間に更にセパレーターを配置したセルを巻回し、これを電解液と共に円筒型ケースに封入した円筒型キャパシタや、フィルム状電極とセパレーターとを積層した積層型キャパシタや、蛇腹型キャパシタ等が挙げられる。
【0022】
電解液としては、公知の電解質と溶媒との混合物を用いることができる。電解質は無機系電解質であっても有機系電解質であってもよい。無機系電解質は、通常、水と混合して電解液とされる。有機系電解質は、通常、有機極性溶媒を主成分とする溶媒と混合して電解液とされる。
【0023】
セパレーターとしては、大きなイオン透過度と所定の機械的強度とを持つ絶縁性の膜が用いられる。具体的には、天然セルロースやマニラ麻など天然繊維の抄紙;レーヨン、ビニロン、ポリエステルなどの再生繊維や合成繊維などの抄紙;前記天然繊維と前記再生繊維や前記合成繊維を混合して抄造した混抄紙;ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、ポリブチレンテレフタレー不織布などの不織布;多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエステルなどの多孔質膜;パラ系全芳香族ポリアミド、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂などの樹脂膜が挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下、本件を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限られることではない。
【0025】
[実施例1]
炭素粒子として活性炭およびアセチレンブラックを用いた。活性炭は、クラレケミカル株式会社製のRP−15)をボールミルで18時間粉砕して調製した。粉砕後の活性炭2gを水に分散させて調製した分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-910)を用いて分析したところ、活性炭の平均粒径は8μmであった。アセチレンブラックには、電気化学工業株式会社製のデンカブラック(平均粒径36nm;50%プレス品)を用いた。無機粒子としては、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスST−XS;粒子形状:球状;平均粒径4〜6nm;固形分濃度:20重量%)を用いた。
活性炭5.0gとアセチレンブラック(導電剤)0.625gにコロイダルシリカ12.5gを添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度25重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭5.0g、アセチレンブラック0.625g、シリカ2.5gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は44.4重量部であった。厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)上に、前記スラリーをハンディ・フィルムアプリケーターを用いて塗布しスラリー膜を形成した後、60℃で10分間、さらに150℃で1時間加熱して水を除去することで、集電体上に電極膜が積層されている電極を得た。乾燥後の電極膜の膜厚は60μmであった。
得られた電極から1.5cm×2.0cmの大きさの電極2枚を切り出してこれらを十分に乾燥した後、グローブボックス中(内部は窒素雰囲気下)でステンレス鋼を集電極として用い、図1に示すような電気二重層キャパシタを組み立てた。すなわち、前記電極2枚を、電極膜同士が対向するように配置し、両電極膜間に天然セルロース紙(セパレーター)を配置してセルを形成し、これを電解液(高山薬品工業株式会社のLIPASTE-P/TEMAF14N)と共にアルミニウム製ケースに封入し、電気二重層キャパシタを得た。
得られた電気二重層キャパシタを300mA/gの定電流で電圧が2.8Vに達するまで充電後、300mA/gの定電流で電圧が0Vになるまで放電させることにより、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0026】
[実施例2]
無機粒子としてコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);平均粒径10〜50nm;球状シリカが50〜200nmの長さに結合した鎖状粒子;固形分濃度:20重量%)3.125gを用いた以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭5.0g、アセチレンブラック0.625g、シリカ0.625gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は11.1重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0027】
[実施例3]
無機粒子としてコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);固形分濃度:20重量%)12.5gを用いた以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭5.0g、アセチレンブラック0.625g、シリカ2.5gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は44.4重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0028】
[実施例4]
活性炭16.0gとアセチレンブラック(導電剤)2.0gにコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);固形分濃度:20重量%)20.0gを添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度25重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭16.0g、アセチレンブラック2.0g、シリカ4.0gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は22.2重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0029】
[実施例5]
活性炭8.0gとアセチレンブラック(導電剤)1.0gにコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);固形分濃度:20重量%)15.0gを添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度25重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭8.0g、アセチレンブラック1.0g、シリカ3.0gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は33.3重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0030】
[実施例6]
活性炭32.0gとアセチレンブラック(導電剤)4.0gにコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスPS−S(商品名);固形分濃度:20重量%)100.0gを添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度25重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭32.0g、アセチレンブラック4.0g、シリカ20.0gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は55.5重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0031】
[実施例7]
活性炭16.0gとアセチレンブラック(導電剤)2.0gにコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製のスノーテックスST−XS(商品名);粒子形状:球状;固形分濃度:20重量%)30.0gを添加し、さらに純水を添加して混合し、固形分濃度25重量%のスラリーを調製した。該スラリーは、活性炭16.0g、アセチレンブラック2.0g、シリカ6.0gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりの無機粒子の量は33.3重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0032】
[比較例1]
コロイダルシリカの代わりにフッ素樹脂粒子の水性分散液(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製のPTFE テフロン(登録商標)30−J(商品名);粒径:0.146μm;固形分濃度:63重量%)1.0gを用いた以外は実施例1と同様にしてスラリーを調製した。該スラリーは活性炭5.0g、アセチレンブラック0.625g、PTFE0.625gを含有していた。すなわち、炭素粒子100重量部当たりのフッ素樹脂粒子の量は11.1重量部であった。次に、実施例1と同様に電極を作製し、電気二重層キャパシタを組み立て、静電容量を測定した。結果を表1に示した。
【0033】
【表1】

【0034】
[密着性評価]
実施例1〜7および比較例1で得られた電極の、電極膜と集電体との密着性を評価した。電極膜の表面をワイピングクロス(日本製紙クレシア株式会社製 キムワイプS−200(商品名)でこすり、擦った面を目視観察した。また、電極を水中に沈めて水を含浸させた後、同様の密着性評価を行った。その結果、両方の試験において、実施例3の電極が最も電極膜の剥がれが少なく、次いで実施例1、実施例2、実施例5、実施例7、実施例6、実施例4、実施例2、比較例1の順に電極膜の剥がれが多くなった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例及び比較例で作製した積層型電気二重層キャパシタの概略図
【符号の説明】
【0036】
1:加圧板
2:集電極
3:電極
4:セパレーター
5:絶縁材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素粒子と無機粒子とからなり、前記炭素粒子同士が前記無機粒子で結着されている電極膜。
【請求項2】
前記無機粒子の粒径が1nm〜100nmである請求項1に記載の電極膜。
【請求項3】
前記無機粒子の含有量が、前記炭素粒子100重量部に対して10〜70重量部の範囲内にある請求項1または2に記載の電極膜。
【請求項4】
前記無機粒子が球状である請求項1〜3のいずれかに記載の電極膜。
【請求項5】
前記球状無機粒子が結合して鎖状になっている請求項4に記載の電極膜。
【請求項6】
前記無機粒子がシリカ粒子である請求項1〜5いずれかに記載の電極膜。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電極膜が、集電体上に積層されている電極。
【請求項8】
請求項7に記載の電極の製造方法であって、
液体媒体中に分散された炭素粒子と無機粒子とを含有する分散液を集電体に塗布して分散液膜を形成すること、および
前記分散液膜から前記液体媒体を除去して前記炭素粒子と無機粒子からなる電極膜を形成すること
を含む方法。
【請求項9】
前記分散液は、液体媒体中に分散された無機粒子を含有する中間分散液に、炭素粒子を添加して分散させて調製された分散液である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中間分散液が、コロイダルシリカである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項7に記載の電極を有する電気二重層キャパシタであって、
前記電極2枚が、電極膜同士が対向するように配置され、両電極膜間に更にセパレーターが配置された少なくとも1個のセルと、電解液と、前記少なくとも1個のセルおよび電解質が封入された容器とを有する電気二重層キャパシタ。

【図1】
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【公開番号】特開2008−141184(P2008−141184A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284853(P2007−284853)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】