説明

電気ストーブ

【課題】本体背面を冷却しつつ異常状態を検知して暖房運転を停止する電気ストーブを提供する。
【解決手段】
背面パネル7下端の下部通気孔51から空気が本体ケース部3の下部空間52に流入しドラフト通気路54を通過して上部空間53から本体ケース部3へ流出し、異常時は高温となった空気が遮熱板20の連通部56を通過して最上部空間55に流入し、残りは背面パネル7上端の上部通気孔50を通過して本体ケース部3外へ流出するので、背面パネル7や前面パネル6が冷却されて触っても火傷等することがなく、又、異常時は流入した高温の空気が抜けていくところがない最上部空間55の温度が上昇し、サーミスタ46が動作する温度まで達すると異常検知して暖房運転を停止することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具本体が高温になるのを防止しつつ、異常時の器具内温度上昇を検知できる電気ストーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の電気ストーブにおいては、器具本体背面下部に設けた給気孔から空気を流入し、反射板の背面側を経て器具本体正面上部に設けた通風孔より流出させる通風路を形成することで、器具本体の上部空間を温度上昇を防止するものがあった。(例えば特許文献1)。
【0003】
また、所定の温度以上になると発熱体への電力供給を遮断する過熱保護素子をヒ器具本体内部における上端部付近に配置することで、布等が電気ストーブ前面を覆ってしまうと空間に放出されるはずの熱がストーブ内にこもって布等が発火するものがあった。(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−310932号公報
【特許文献2】特開2006−23033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、所定の温度以上になると発熱体への電力供給を遮断する過熱保護素子をヒータ本体部の内部における上端部付近に配置しつつ、器具本体内部に通風路を形成して器具本体の上部空間を温度上昇を防止する電気ストーブでは、異常により器具本体内部の温度が上昇しても、通風路によって排熱されてしまい、過熱保護素子が正確に異常による温度上昇を検知できないということがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、請求項1では、ヒータと、該ヒータを覆う反射板と、該ヒータの前面を覆うガードが取り付けられる前面パネルと、該前面パネルと係合し上部と下部には上部通気孔と下部通気孔が複数形成された背面パネルと、係合した前面パネルと背面パネルの上部に取り付けられる操作部本体からなる本体ケース部を備え、該本体ケース部内の上部には上部空間が形成され、本体ケース部内の下部には下部空間が形成され、更に前記上部空間の上方にはサーミスタが設けられた最上部空間が形成され、前記上部空間と下部空間は、背面パネルと反射板により形成されるドラフト通気路により連通されると共に、最上部空間と上部空間はその境に設けた遮熱板の連通部により連通されたものである。
【0007】
また、請求項2では、請求項1記載の電気ストーブに於いて、前記前面パネルの上部に、上部空間と連通する放熱孔が複数形成された上部放熱板を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、暖房運転を開始すると、通電されてヒータの温度が上昇し、それにより、本体ケース部の上部空間の温度が上昇するが、背面パネル下端の下部通気孔から、空気が本体ケース部の下部空間に流入しその流入した空気がドラフトされてドラフト通気路を通過して上部空間に流れ、流れ込んだ上部空間から背面パネル上端の上部通気孔を通過して本体ケース部へ流出するので、背面パネルは常に冷却されるので背面パネルを触っても火傷等することがなく、又、上部空間に熱がこもらないので、最上部空間も温度が著しく上昇することがなく、上部前面パネルも高温にならず触っても火傷等することがないと共に、最上部空間内のサーミスタの正常暖房運転時の雰囲気温度を低くすることが出来、異常高温時の温度上昇率を大きくできることで室温変化のように緩やかな温度変化による誤作動を防止できるものである。
【0009】
又、電気ストーブの本体にタオル等が落ちて被ってしまったような状態になると、高温となった空気が遮熱板の連通部を通過して最上部空間に流入し、残りは背面パネル上端の上部通気孔を通過して本体ケース部外へ流出するので、この時、最上部空間は流入した高温の空気が抜けていくところがないので、最上部空間の温度が上昇し、サーミスタが動作する温度まで達すると、サーミスタが異常検知してヒータへの通電を停止し、暖房運転を停止することができるものである。
【0010】
又、電気ストーブの本体にタオル等が落ちて被ってしまったような異常状態を単位時間での温度上昇率で検知する本電気ストーブでは、正常時ではサーミスタの雰囲気温度を低くし、異常時には素早くサーミスタの雰囲気温度を上昇させて確実に異常状態を検知して安全に暖房運転を停止することができるものである。
【0011】
又、異常状態時でも上部空間に流入した高温の空気の一部を背面パネル上端の上部通気孔を通過して本体ケース部外へ流出するので、異常状態時に於いても背面パネルや上部空間が極端な高温になるのを防止できるものである。
【0012】
又本発明の請求項2に記載の電気ストーブによれば、請求項1の電気ストーブにおいて、暖房運転を開始すると、通電されてヒータの温度が上昇し、それにより、本体ケース部の上部空間の温度が上昇するが、背面パネル下端の下部通気孔から、空気が本体ケース部の下部空間に流入しその流入した空気がドラフトされてドラフト通気路を通過して上部空間に流れ、流れ込んだ上部空間から背面パネル上端の上部通気孔と上部放熱板の放熱孔を通過して本体ケース部へ流出するので、背面パネルは常に冷却されるので背面パネルを触っても火傷等することがなく、又、上部空間に熱がこもらないので、最上部空間も温度が著しく上昇することがなく、上部前面パネルも高温にならず触っても火傷等することがないと共に、最上部空間内のサーミスタの正常暖房運転時の雰囲気温度を低くすることが出来、異常高温時の温度上昇率を大きくできることで室温変化のように緩やかな温度変化による誤作動を防止できるものである。
【0013】
又、電気ストーブの本体にタオル等が落ちて被ってしまったような状態になると、タオルとガードとの間に高温となった空気が上昇し、上部放熱板の放熱孔から上部空間に流入し、上部空間に流入した高温の空気の一部は、遮熱板の連通部を通過して最上部空間に流入し、残りは背面パネル上端の上部通気孔を通過して本体ケース部外へ流出するので、この時、最上部空間は流入した高温の空気が抜けていくところがないので、最上部空間の温度が上昇し、サーミスタが動作する温度まで達すると、サーミスタが異常検知してヒータへの通電を停止し、暖房運転を停止することができるものである。
【0014】
又、電気ストーブの本体にタオル等が落ちて被ってしまったような異常状態を単位時間での温度上昇率で検知する本電気ストーブでは、正常時ではサーミスタの雰囲気温度を低くし、異常時には素早くサーミスタの雰囲気温度を上昇させて確実に異常状態を検知して安全に暖房運転を停止することができるものである。
【0015】
又、異常状態時でも上部空間に流入した高温の空気の一部を背面パネル上端の上部通気孔を通過して本体ケース部外へ流出するので、異常状態時に於いても背面パネルや上部空間が極端な高温になるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例を付した電気ストーブの斜視図。
【図2】同側面図。
【図3】同部品構成図。
【図4】同正常運転状態を示す説明図。
【図5】同異常運転状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
【0018】
1は平面視楕円形で円筒型の通常タワー型と言われる電気ストーブで、1本のヒータ2を備えた円筒型の本体ケース部3と、該本体ケース部3より大径で本体ケース部3底部で安定した倒立状態を保持するベース部4とからなり、前記本体ケース部3は、ヒータ2を備え該ヒータ2の前面を覆うガード5が取り付けられる前面パネル6と、該前面パネル6と係合する背面パネル7と、係合した前面パネル6と背面パネル7の上部に取り付けられる操作部本体8からなるものである。
【0019】
前記ヒータ2は、ステンレスシーズヒータ管にブラックセラミックコーティングが施されており、多量の3〜20ミクロンの遠赤外線を放射して身体のしんから暖めるものであり、しかも衝撃に強く、抜群の耐久性を有し、熱を反射する反射板9及びガード5と共に発熱部10を構成するものである。
【0020】
前記操作部本体8には、正面上部に暖房能力を表示する表示部11を設けると共に、上面には操作部12を設け、該操作部12は暖房運転のオンオフ及び暖房能力を設定する回転式の運転つまみ13と、暖房能力をある幅で高低させるゆらぎ運転スイッチ14と、30分から1〜3時間まで運転時間を設定できる切りタイマースイッチ15と、本体ケース部3を首振り運転させる首振りスイッチ16を有するものである。
【0021】
又前記操作部本体8内には、表示部11を制御する表示部基板17や操作部12の制御や各種モード制御するマイコンを有する操作部基板18が取り付けられた操作部補強板19が取り付けられており、該操作部補強板19と背面パネル7上部との境には断面略クランク状の遮熱板20が設けられているものである。
【0022】
前記操作部基板18には、ボール(図示せず)と接点を有する容器からなる転倒スイッチ21が固定され、電気ストーブ1がどの方向でも45℃以上傾斜すると転倒すると判断して電源を遮断して安全を確保するものである。
【0023】
前記前面パネル6と背面パネル7で囲われた本体ケース部3内の下部には、ベース部4にネジにて固定され、本体ケース部3が首振り動作する際の首振り軸22の一端を回転自在に支持する首振り軸支え23がベース部4にネジにて固定され、首振り軸支え23には本体ケース部3が載置され該本体ケース部3を首振り動作させるリンク部24と、該リンク部24を動作させる首振モータ25が取り付けられたモータ取り付け台26が回動自在に取り付けられているものである。
【0024】
前記前面パネル6と背面パネル7で囲われた本体ケース部3内の下部には更に、温度検知手段27が備えられており、この温度検知手段27は倒立状態の通常時には、室温を検知しこの室温が10℃未満では通常340W〜900Wの出力を170W〜680Wに低下させ、又室温が10℃〜20℃未満では120W〜630Wに低下させ、又室温が20℃以上では120W〜520Wに低下させる省エネモードの運転時の室温センサも兼用するものであり、そして器具である電気ストーブ1が通電状態で発熱部10を床面側として転倒した場合で、転倒スイッチ21が故障などの作動不良を起こした時には、大径のベース部4が本体ケース部3の少なくとも正面は突出しているので、本体ケース部3はベース部4に向かって登り傾斜した状態となっているから、発熱部10よりの熱気は、温度検知手段27が備えられている前面パネル6と背面パネル7で囲われた本体ケース部3の下部に集中し、又背面パネル7内方の熱も登り傾斜に沿って前面パネル6側に流通することで、温度検知手段27が瞬時に所定温度ここでは50℃以上を検知して、器具である電気ストーブ1の電源を遮断するものである。
【0025】
28は略箱状の基板ホルダで、首振モータ25の上部に位置するように背面パネル7の下部に固定され、メイン基板29が収納される基板収納部30と、該基板収納部30の上部に電源コード31が案内されるコード差し込み部32からなり、前記コード差し込み部32は、奥から正面に向かって下り勾配となっている上部差し込み部33と、正面の手前部分が下方向にテーパー状に形成された下部差し込み部34と、前記上部差し込み部32と下部差し込み部34との間に設けられ、正面よりも奥側に電源コード31が差し込まれる横長穴状の差し込み口35より構成されているものである。
【0026】
前記首振り軸支え23は有底円筒状で、側面には電源コード31と係合する電源コード係合部36が形成され、上面には首振り軸22の一端が差し込まれる首振り軸受け部37と、リンク部24のラチェットピン38が差し込まれるラチェットピン受け部39と、前記電源コード係合部36で係合した電源コード31が、首振り軸支え23を通って本体ケース部3の正面側から立ち上がって首振り軸支え23から上方に突出し、その上方に突出する電源コード31を支持する電源コード支持部40が形成されているものである。
【0027】
前記電源コード31は、首振り軸支え23の背面側から首振り軸支え23内に入って、首振り軸支え23の正面側上面に突出して形成されている電源コード支持部40から上方に突出するが、その突出位置は本体ケース部3の幅の中心と同じであり、そこから首振り軸支え23の上方に位置する基板ホルダ28の差し込み口35に差し込まれ、更に差し込み口35を貫通して基板ホルダ28の反対側に出た電源コード31の先端は、基板ホルダ28内のメイン基板29で本体ケース部3が首振り運転した時の回転中心近傍にあるコネクタに接続されているものである。
【0028】
前記前面パネル6は、断面略コの字状の上部前面パネル41と下部前面パネル42とからなり、更に前記上部前面パネル41の下方には断面略コの字状の上部放熱板43が設けられると共に、前記下部前面パネル42の上方には断面略コの字状の下部放熱板44が設けられており、前記上部放熱板43の正面部分には長穴状の放熱孔45が複数形成されているものである。
【0029】
又、異常温度を検知するサーミスタ46が取り付けられた上部補強板47が、操作部補強板19下部に組み付けられ、又、前記上部放熱板43の下部にはヒータ2の上端部分を固定する上部ヒータ取付板48が設けられ、前記下部放熱板44の上部にはヒータ2の下端部分を固定する下部ヒータ取付板49が設けられている。
【0030】
又、背面パネル7の上端と下端には、長穴状の上部通気孔50と下部通気孔51が複数形成され、背面パネル7と下部前面パネル42と下部放熱板44と下部ヒータ取付板49とにより下部空間52が形成され、背面パネル7と遮熱板20と上部放熱板43と上部ヒータ取付板48とにより上部空間53が形成され、該上部空間53と下部空間52は、背面パネル7と反射板9とにより形成されるドラフト通気路54により連通されており、下部通気孔51より本体ケース部3内に流れた空気は、ドラフト通気路52を上昇して通過し、背面パネル7上端の上部通気孔50から本体ケース部3外に流れるものである。
【0031】
又、前記上部空間53の上方には、遮熱板20と上部前面パネル41とサーミスタ46が取り付けられた上部補強板47とにより、最上部空間55が形成され、更に遮熱板20の略中央には、上部空間53と最上部空間55とを連通する連通部56が形成され、該連通部56の近傍にヒータ2の上端が位置しているものである。
【0032】
次に、正常な状態での暖房運転の作動について説明する。
図4に示すように、操作部12の運転つまみ13を回転させて暖房運転を開始すると、ヒータ2に通電されてヒータ2より遠赤外線が放射されると共に、ヒータ2の温度が上昇する。
【0033】
それにより、本体ケース部3の上部空間53の温度が上昇すると共に、背面パネル7下端の下部通気孔51から、空気が実線で示すように本体ケース部3の下部空間52に流入し、その流入した空気がドラフトされてドラフト通気路54を通過して上部空間53に流れ、流れ込んだ上部空間53から背面パネル7上端の上部通気孔50と上部放熱板43の放熱孔45を通過して本体ケース部3外へ流出するものである。
【0034】
それにより、背面パネル7は常に冷却されるので背面パネル7を触っても火傷等することがなく、又、上部空間53に熱がこもらないので、最上部空間55も温度が著しく上昇することがなく、上部前面パネル41も高温にならず触っても火傷等することがないと共に、最上部空間55内のサーミスタ46の正常暖房運転時の雰囲気温度を低くすることが出来、異常高温時の温度上昇率を大きくできることで室温変化のように緩やかな温度変化による誤作動を防止できるものである。
【0035】
次に、異常な状態での暖房運転の停止について説明する。
図5に示すように、電気ストーブの本体にタオル57が落ちて被ってしまったような状態になると、タオル57とガード5との間に高温となった空気が点線で示したように上昇し、上部放熱板43の放熱孔45から上部空間53に流入する。
【0036】
上部空間53に流入した高温の空気の一部は、遮熱板20の連通部56を通過して最上部空間55に流入し、残りは背面パネル7上端の上部通気孔50を通過して本体ケース部3外へ流出するものである。
【0037】
この時、最上部空間55は流入した高温の空気が抜けていくところがないので、最上部空間55の温度が上昇し、サーミスタ46が動作する温度まで達すると、サーミスタ46が異常検知してヒータ2への通電を停止し、暖房運転を停止するものである。
【0038】
これにより電気ストーブの本体にタオル57が落ちて被ってしまったような異常状態を単位時間での温度上昇率で検知する本電気ストーブでは、正常時ではサーミスタ46の雰囲気温度を低くし、異常時には素早くサーミスタ46の雰囲気温度を上昇させて確実に異常状態を検知して安全に暖房運転を停止することができるものである。
【0039】
又、異常状態時でも上部空間53に流入した高温の空気の一部を背面パネル7上端の上部通気孔50を通過して本体ケース部3外へ流出するので、異常状態時に於いても背面パネル7や上部空間53が極端な高温になるのを防止できるものである。
【符号の説明】
【0040】
2 ヒータ
3 本体ケース部
5 ガード
6 前面パネル
7 背面パネル
8 操作部本体
9 反射板
20 遮蔽板
46 サーミスタ
50 上部通気孔
51 下部通気孔
52 下部空間
53 上部空間
54 ドラフト通気路
55 最上部空間
56 連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータと、該ヒータを覆う反射板と、該ヒータの前面を覆うガードが取り付けられる前面パネルと、該前面パネルと係合し上部と下部には上部通気孔と下部通気孔が複数形成された背面パネルと、係合した前面パネルと背面パネルの上部に取り付けられる操作部本体からなる本体ケース部を備え、該本体ケース部内の上部には上部空間が形成され、本体ケース部内の下部には下部空間が形成され、更に前記上部空間の上方にはサーミスタが設けられた最上部空間が形成され、前記上部空間と下部空間は、背面パネルと反射板により形成されるドラフト通気路により連通されると共に、最上部空間と上部空間はその境に設けた遮熱板の連通部により連通されたことを特徴とする電気ストーブ。
【請求項2】
前記前面パネルの上部に、上部空間と連通する放熱孔が複数形成された上部放熱板を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気ストーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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