説明

電気二重層コンデンサ

【課題】大きなエネルギ密度を有しながら、優れた短時間出力特性を有する電気二重層コンデンサを提供する。
【解決手段】一方の側に圧延型電極12を形成し他方の側に塗布型電極13を形成して正極とした第1集電極11と、一方の側に圧延型電極22を形成し他方の側に塗布型電極23を形成して負極とした第2集電極21と、上記第1集電極11と第2集電極21との間に介挿されたセパレータ1とを具備する。各圧延型電極12、22の厚さは、各塗布型電極13、23の厚さよりも大きい。第1集電極11の塗布型電極13と第2集電極21の塗布型電極23とは、セパレータ1を挟んで相対向して配置されている。圧延型電極12、22の効果によってエネルギ密度の大なる特性が得られ、また、塗布型電極13、23の効果によって優れた出力性能が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気二重層コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気二重層コンデンサ用の分極性電極は、圧延法で電極シートを作成し、アルミ箔の集電極の両面に貼り付けた圧延型電極と称するものと、溶剤に電極材料を分散させたスラリーを作成した後、アルミ集電極に塗布して乾燥させて電極膜を形成した塗布型電極と称するものとがあり、どちらかの方法で製造された電極シートを用いて電気二重層コンデンサが製造される。上記圧延型電極に関しては、特許文献1を、また塗布型電極に関しては、特許文献2を参照されたい。この内、圧延型電極は比較的厚い膜厚に適しており、塗布型電極は比較的薄い膜厚に適している。
【特許文献1】特開2002−170748号公報
【特許文献2】特開2007−080844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、電気二重層コンデンサは、蓄電するエネルギを重視したエネルギタイプと、放電できる出力を重視したパワータイプとに大別されるが、両者はトレードオフの関係があり、両者を両立させた性能を有する電気二重層コンデンサを実現することは基本的に困難であるとされている。
【0004】
この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、大きなエネルギ密度を有しながら、優れた短時間出力特性を有する電気二重層コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、この発明の電気二重層コンデンサは、一方の側に圧延型電極12を形成し他方の側に塗布型電極13を形成して正極とした第1集電極11と、一方の側に圧延型電極22を形成し他方の側に塗布型電極23を形成して負極とした第2集電極21と、上記第1集電極11と第2集電極21との間に介挿されたセパレータ1とを具備することを特徴としている。
【0006】
また、各圧延型電極12、22の厚さは、各塗布型電極13、23の厚さよりも大きいことを特徴としている。さらに、第1集電極11の塗布型電極13と第2集電極21の塗布型電極23とは、セパレータ1を挟んで相対向して配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記電気二重層コンデンサによれば、圧延型電極の効果によってエネルギ密度の大なる特性が得られ、また、塗布型電極の効果によって優れた出力性能が得られる。この結果、大きなエネルギ密度を有しながら、短時間出力特性も優れた電気二重層コンデンサが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、この発明の電気二重層コンデンサの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、この発明の実施形態である電気二重層コンデンサを説明するための断面図である。同図において、11は第1集電極であって、この第1集電極11の一方の側(図において上面側)には、圧延型電極12が形成されており、他方の側(図において下面側)には、塗布型電極13が形成され、これにより正極が構成されている。また、第2集電極21の一方の側(図において上面側)には、塗布型電極23が形成されており、他方の側(図において下面側)には、圧延型電極22が形成され、これにより負極が構成されている。そして、第1集電極11と第2集電極21との間には、セパレータ1が介挿されている。この場合、図のように、第1集電極11の塗布型電極13と第2集電極21の塗布型電極23とは、セパレータ1を挟んで相対向して配置されている。そして、上記各圧延型電極12、22の厚さは、70〜500μm、各塗布型電極13、23の厚さは、20〜100μmであり、各圧延型電極12、22の厚さが各塗布型電極13、23の厚さよりも大きく設定されている。
【0009】
上記圧延型電極12、22の製造方法は、以下の通りである。まず、賦活処理を施された活性炭を粉砕し、粉砕した活性炭に結着剤(PTFE粉末)を混合して混練する。これにより、活性炭どうしが繋がり、電極材料が形成される。その後、ドクターブレード法、ロールプレス法などにより、形成した電極材料を所定厚さになるまで圧延して、所定形状に切断することによって、上記圧延型電極12、22を製造する。
【0010】
また、上記塗布型電極13、23の製造方法は、以下の通りである。まず、賦活処理を施した活性炭とバインダーと導電助剤とから成る配合物を適当な溶媒中に加え、混練することによって塗布液を調製する。そして、この塗布液を、各集電極11、21に塗布すると共に、その後、これを乾燥する。さらに、塗膜の密着性を向上するために、カレンダーロールなどを用いて圧延することによって、各集電極11、21の片面に塗布型電極13、23を形成する。なお、各集電極11、21としては、アルミニウム箔を用いる。そして、各塗布型電極13、23が向かい合うように直接的に相対向させ、再生セルロース不織布などから成るセパレータ1を両者間に配置し、これらを熱圧着することでセルを構成する。
【0011】
そして、上記のように構成されたセルの上下両面(各集電極11、21の外側面)に圧延型電極12、22を配置すると共に、容器(図示せず)に収納し、容器内に電解液を充填することで電気二重層コンデンサを構成する。
【0012】
上記電気二重層コンデンサによれば、圧延型電極12、22の効果によってエネルギ密度の大なる特性が得られ、また、塗布型電極13、23の効果によって優れた出力性能が得られる。この結果、大きなエネルギ密度を有しながら、優れた短時間出力特性を有する電気二重層コンデンサが得られる。
【0013】
以上にこの発明の電気二重層コンデンサの具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、単一セルを用いた例を示しているが、図2に示すように実施することもある。すなわち、正極と負極との配置形態を、図1の場合とは異なり、交互に逆(図において左右逆)となるように配置し、屏風状に折り畳んだセパレータ1の間に、交互に第1集電極11と第2集電極21とを配置していくのである。このように構成すれば、大容量の電気二重層コンデンサが得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態の電気二重層コンデンサ電極構造を示す断面図である。
【図2】他の実施形態における電極構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1・・セパレータ、11・・第1集電極、12・・圧延型電極、13・・塗布型電極、21・・第1集電極、22・・圧延型電極、23・・塗布型電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側に圧延型電極(12)を形成し他方の側に塗布型電極(13)を形成して正極とした第1集電極(11)と、一方の側に圧延型電極(22)を形成し他方の側に塗布型電極(23)を形成して負極とした第2集電極(21)と、上記第1集電極(11)と第2集電極(21)との間に介挿されたセパレータ(1)とを具備することを特徴とする電気二重層コンデンサ。
【請求項2】
上記各圧延型電極(12)(22)の厚さは、各塗布型電極(13)(23)の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1の電気二重層コンデンサ。
【請求項3】
上記第1集電極(11)の塗布型電極(13)と、第2集電極(21)の塗布型電極(23)とは、セパレータ(1)を挟んで相対向して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2の電気二重層コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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