説明

電気掃除機

【課題】省スペース化および製造コストの抑制が可能な電気掃除機を提供する。
【解決手段】二次電池15から電動送風機2への給電を制御して電動送風機2の駆動を制御する制御手段16が一対のFET17,17を並列に備えることで、損失を各FET17,17に分散できるので、FET17,17の放熱板を大きくする必要がなく、省スペース化できるとともに、各FET17,17はオン抵抗が大きく比較的安価なものを使用することが可能となるため、製造コストを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風機に給電する二次電池を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体には、電動送風機の吸込側に連通して、ホース体、延長管および床ブラシが順次連通接続される。また、掃除機本体内には、電動送風機に給電する二次電池と、この二次電池から電動送風機への電力を制御して電動送風機の駆動を制御する制御手段が設けられている。この制御手段は、電動送風機に電気的に接続された単独のトライアックにより電動送風機の駆動を制御する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公平1−40613号公報(第2頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、二次電池を電源とする電気掃除機は、その消費電力が300W〜500Wであり、吸い込み性能を表す吸込仕事率が100W程度である。これに対して、商用(交流)電源を用いる電気掃除機では、消費電力が1000Wであり、吸込仕事率が500W〜600Wである。すなわち、二次電池を電源とする電気掃除機は、吸込力が比較的弱いことが欠点である。
【0004】
このため、二次電池を電源とする電気掃除機で商用電源を用いる電気掃除機と同等の吸い込み性能を出すためには、消費電力が1000W程度必要となる。
【0005】
そのためには、電池容量が限られた二次電池においては、放電電流を従来に比べ非常に大きくしなければならない。
【0006】
しかしながら、上述の電気掃除機では、単独のトライアックにより電動送風機の駆動を制御しているので、電動送風機の放電電流が大きくなると、トライアックの損失が大きくなり、このトライアックの放熱用の放熱板を大きくしたり、トライアックに代えて低損失で単価が高い制御素子を使用したりしなければならず、スペースの確保および製造コストの抑制が容易でないという問題点を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、省スペース化および製造コストの抑制が可能な電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電動送風機に給電する二次電池と、この二次電池から電動送風機への給電を制御して電動送風機の駆動を制御する制御手段とを具備し、制御手段が、並列に接続された複数の制御素子を備えているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、二次電池から電動送風機への給電を制御して電動送風機の駆動を制御する制御手段が複数の制御素子を並列に備えることで、損失を複数の制御素子に分散できるので、例えば制御素子の放熱用の放熱板などを大きくする必要がなく、省スペース化できるとともに、それぞれの制御素子は安価なものを使用することが可能となるため、製造コストを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態の電気掃除機の構成を図面を参照して説明する。
【0011】
図2において、1は掃除機本体で、この掃除機本体1は、内部に収容された直流の電動送風機2の駆動にて生じる吸気風とともに吸い込んだ塵埃を集塵部3にてサイクロン分離して集塵する電気掃除機である。また、この掃除機本体1には、図示しない旋回輪および走行輪が設けられ、掃除機本体1が被掃除面としての床面上を走行可能となっている。
【0012】
さらに、掃除機本体1の前部には、外部から空気を吸引する本体吸込口4が開口されている。この本体吸込口4には、可撓性を有し湾曲可能な細長略円筒状のホース体5が連通接続されている。このホース体5の先端には、電動送風機2の動作モードなどが選択可能な手元操作部6が設けられている。この手元操作部6には、電動送風機2などを複数の駆動モードに設定する複数の設定ボタン7が設けられているとともに、掃除する際に作業者が把持する把持部8が基端側に向けて突設されている。
【0013】
さらに、この手元操作部6の先端には、伸縮可能な細長略円筒状の延長管9が着脱可能に連通接続されている。またさらに、この延長管9の先端には、例えば室内の床面の絨毯などの上に載置させて、この絨毯上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ10が着脱可能に連通接続されている。
【0014】
次に、上記一実施の形態の内部構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、掃除機本体1内には、電動送風機2と、この電動送風機2に給電する二次電池15と、この二次電池15から電動送風機2への給電を制御してこの電動送風機2の駆動を制御する制御手段16との直列回路が設けられている。
【0016】
二次電池15は、複数本のセルを直列に接続した電池パックであり、負極側が接地されている。
【0017】
また、制御手段16は、並列に接続された制御素子としての複数、例えば一対のFET17,17と、これらFET17,17に接続された制御部としてのCPU18とを有している。
【0018】
FET17は、例えばパワーMOSFETなどであり、それぞれのゲートがCPU18に電気的に接続されている。さらに、各FET17は、互いに同一定格のものであり、略等しいオン抵抗を有している。なお、このオン抵抗は、各FET17,17での損失を決定するものであり、本実施の形態では、一対のFET17,17を並列に接続しているので、FETなどの制御素子を一つ使用する場合と比較して、それぞれのFET17,17に流れる電流値が半分となるから、各FET17,17としては、一つの制御素子を使用する場合の2倍未満のオン抵抗を有するものを選択する。
【0019】
そして、CPU18は、設定ボタン7により設定された電動送風機2の動作モードに応じてFET17,17のゲート電圧を制御し、各FET17,17のオン時間を制御することで、電動送風機2の駆動を制御している。
【0020】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0021】
まず、作業者は、掃除機本体1の本体吸込口4に、ホース体5、延長管9および床ブラシ10を順次連通接続する。
【0022】
この状態で、作業者が把持部8を把持して所定の設定ボタン7を操作すると、この設定ボタン7により設定された動作モードに応じてCPU18がFET17,17のゲート電圧を制御し、各FET17,17のオン時間を制御して二次電池15から電動送風機2へと供給される電力を制御して、電動送風機2を駆動する。
【0023】
このとき、二次電池15から電動送風機2に供給された電流は、各FET17,17のそれぞれに半分ずつ分流し、それぞれのFET17で損失が発生する。
【0024】
さらに、作業者は、把持部8を把持して床面上で床ブラシ10を前後に走行させ、床ブラシ10の吸込口から床面の塵埃を吸い込む。
【0025】
そして、床ブラシ10の吸込口から空気とともに吸い込まれた塵埃は、床ブラシ10から延長管9およびホース体5を順次通過した後、掃除機本体1の本体吸込口4へと導かれて、集塵部3内に捕集される。
【0026】
上述したように、上記一実施の形態によれば、二次電池15から電動送風機2への給電を制御して電動送風機2の駆動を制御する制御手段16がFET17,17を並列に備えることで、損失を各FET17,17に分散できるので、FET17,17の放熱用の放熱板などを大きくする必要がなく、省スペース化できるとともに、それぞれのFET17,17は、一つの制御素子を使用する場合と比較してオン抵抗が大きく安価なものを使用することが可能となるため、製造コストを抑制できる。
【0027】
具体的には、各FET17,17のオン抵抗を、一つの制御素子を使用する場合の2倍未満とすることで、分流により電流値が半分となった各FET17,17での損失が1/2未満となるから、両FET17,17での損失を合わせても一つの制御素子での損失より小さくすることができる。
【0028】
特に、二次電池15から電動送風機2に給電する場合は、商用交流電源にて同程度の出力の電動送風機を駆動させる場合と比較して電圧が小さくなる分、電流を大きくする必要があるから、上記のように構成することで、省スペース化および低コスト化が確実に可能になるとともに、電動送風機2に大きい電流を流す場合でも、各FET17,17に流れる電流はその半分程度となるので、FET17,17の耐久性をも確保できる。
【0029】
また、二次電池15は、その電池容量が限られているため、上記のように構成することで、損失を抑制して効率を高くし、二次電池15の限られた電池容量を効率よく利用できる。
【0030】
なお、上記一実施の形態において、制御素子の個数は、それぞれの単価を考慮して製造コストを抑制できるように適宜設定すればよく、例えば3つ以上とすることも可能である。この場合には、制御素子のオン抵抗が一つの制御素子で制御する場合よりも大きくならないように選択する。
【0031】
また、電気掃除機としては、キャニスタ型の電気掃除機に限らず、床ブラシ10が掃除機本体1の下面に直接形成されたアップライト型、その他、掃除機本体1と床ブラシ10とが一体化された自走式の電気掃除機あるいはハンディ型などであっても対応させて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態の電気掃除機を示す回路図である。
【図2】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 掃除機本体
2 電動送風機
15 二次電池
16 制御手段
17 制御素子としてのFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機に給電する二次電池と、
この二次電池から前記電動送風機への給電を制御して前記電動送風機の駆動を制御する制御手段とを具備し、
前記制御手段は、並列に接続された複数の制御素子を備えている
ことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−110088(P2006−110088A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300470(P2004−300470)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】