説明

電気掃除機

【課題】掃除機本体を大きくせずに、蓄電池の冷却が行えるようにし、かつ冷却に必要な消費電力を低減可能にした電気掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】冷却時に蓄電池13を、電動送風機9からの排気風14を掃除機本体8外部へと排出する風路15内に移動させる蓄電池移動装置16を備えたものである。これによって、蓄電池13の冷却時には蓄電池移動装置16により蓄電池13を風路15に移動させるものであり、蓄電池13の冷却風路を別に設けることなく、つまり掃除機本体8を大きくせずに蓄電池13の冷却が行え、蓄電池13の風路15への移動調整を行うことにより、冷却に必要な消費電力を低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を有する充電式の電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の充電式の電気掃除機としては、塵埃を搬送する集塵風路とは別に蓄電池を冷却するための冷却風を流す風路を設けて蓄電池の冷却に必要な量だけ冷却風を流すようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−290086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、冷却風の風路は蓄電池の温度が最も高い際に蓄電池を冷却するのに十分な冷却風を流すことができる空間が確保されている。このため掃除機本体が大きくなり使い勝手が低下するという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、掃除機本体を大きくせずに、蓄電池の冷却が行えるようにし、かつ冷却に必要な消費電力を低減可能にした電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、冷却時に蓄電池を、電動送風機からの排気風を掃除機本体外部へと排出する風路内に移動させる蓄電池移動装置を備えたものである。
【0006】
これによって、蓄電池の冷却時には蓄電池移動装置により蓄電池を風路に移動させるものであり、蓄電池の冷却風路を別に設けることなく、つまり掃除機本体を大きくせずに蓄電池の冷却が行え、蓄電池の風路への移動調整を行うことにより、冷却に必要な消費電力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、掃除機本体を大きくせずに蓄電池の冷却が行え、かつ冷却に必要な消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、掃除機本体と、前記掃除機本体に内包された電動送風機と、前記掃除機本体に内蔵され前記電動送風機を駆動する蓄電池と、前記電動送風機から排出される排気風を前記掃除機本体の外部へと排出する風路と、前記蓄電池の冷却時に蓄電池を前記風路内に移動させる蓄電池移動装置とを備えた電気掃除機とすることにより、蓄電池の冷却時には蓄電池移動装置により蓄電池を風路に移動させるものであり、蓄電池の冷却風路を別に設けることなく、つまり掃除機本体を大きくせずに蓄電池の冷却が行え、蓄電池の風路への移動調整を行うことにより、冷却に必要な消費電力を低減させることができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、掃除機本体を変形可能とし風路の容積を可変させる構成としたことにより、蓄電池の温度が低く排気風を流す必要が無い場合には風路を狭くすると共に掃除機本体の外形を小さくすることで、使い勝手を向上させることができる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、蓄電池の移動時に蓄電池自体が風路の一部を形成し、排気風が移動された蓄電池に沿って流れ掃除機本体外へと排出されることにより、排気風が蓄電池の周囲を通過する際に排気風の流れに乱れが生じて排気風が流れにくくなり消費電力が増加することを抑えることが可能となり、電気掃除機全体の消費電力を低減することができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、蓄電池の移動は、蓄電池に設けられた冷却装置のみを移動させる構成としたことにより、蓄電池全体を動作させるよりも少ない消費電力で蓄電池移動装置を動作でき、消費電力を低減することができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、蓄電池と蓄電池移動装置を、掃除機本体内に複数配置し、各蓄電池を個別に移動させるようにしたことにより、蓄電池の配置をより様々に設定可能となるため、蓄電池各部の温度に合わせて最低限の抵抗で冷却が可能となるため、消費電力を低減することができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、蓄電池移動装置は、保持していた蓄電池を離すことで自重により蓄電池を移動させる構成としたことにより、蓄電池を少ない動力ですばやく移動させることが可能となり、消費電力を低減することができる。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、蓄電池移動装置は、熱変形部材で構成し、熱変形により蓄電池を移動させる構成としたことにより、蓄電池を少ない動力で移動させることが可能となり、消費電力を低減することができる。
【0015】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、蓄電池移動装置は、蓄電池の温度に基づいて動作させる構成としたことにより、使用者が蓄電池の温度を意識することなく最低限の抵抗で冷却を行うため、消費電力を低減することができる。
【0016】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、蓄電池移動装置は、電動送風機の消費電力に基づいて動作させる構成としたことにより、電動送風機の電力消費増加により蓄電池の温度が上昇する前に蓄電池移動装置を動作させるため、電池が高温になることをより確実に防ぐことができる。
【0017】
第10の発明は、特に、第1〜第9のいずれか1つの発明において、蓄電池移動装置は、掃除機本体が充電台において充電が行われる際に蓄電池を移動させる構成としたことにより、電動送風機が動作せず排気風が流れないなど清掃作業時とは異なる状況の充電時において、充電に伴い蓄電池に生じる熱が蓄電池の移動で周囲に放散されやすくなり蓄電池が高温になりにくくなるため、より早く充電を行うことができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1、図2は、本発明の実施の形態1における電気掃除機を示すものである。
【0020】
図1に示すように、掃除機本体8には電動送風機9が内蔵されている。掃除機本体8には可撓性ホース10が接続され、可撓性ホース10のもう一端には延長管11が取付けられ延長管11には床用吸込み具12が取付けられている。掃除機本体8の内部には、電動送風機9を駆動する蓄電池13が配置され、電動送風機9から排出される排気風14を蓄電池13の周囲を通過させ掃除機本体8の外部へと排出する風路15が配置されている。また、掃除機本体8には蓄電池13の冷却時に蓄電池13を風路15へ移動させ排気風14の流れに対する位置や角度を変更させる蓄電池移動装置16を配している。
【0021】
図2(a)に示すように、通常は、掃除機本体8内部の蓄電池13は排気風14の当たらない位置に置かれている。蓄電池移動装置16は、蓄電池支持部17と本体変形装置18と電池温度測定装置19とから構成されている。蓄電池支持部17は、上下動用モータ20と上下動用ラック・ピニオン21とから構成されており、上下動用モータ20は掃除機本体8に固定され上下動用ラック・ピニオン21を通じて蓄電池13と接続されている。本体変形装置18は、変形用モータ22と本体変形機構23と本体弾性変形部24とから構成されている。
【0022】
変形用モータ22は本体変形機構23と接続され、本体変形機構23は本体弾性変形部24と接続されている。本体弾性変形部24は弾性体によって構成されており、本体変形機構23の動作に伴い掃除機本体8との間に隙間が生じないように本体変形機構23と掃除機本体8の間をつないでいる。電池温度測定装置19は蓄電池13に取付けられている。
【0023】
図2(b)に示すように、蓄電池13の冷却時においては、蓄電池移動装置16は蓄電池13を排気風14の流速が早く排気風14によって蓄電池13が冷却されやすい風路15の中心へと移動させている。掃除機本体8は本体変形装置18により変形され、全体の体積が増し、同時に風路15が広くなっている。
【0024】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0025】
まず、電気掃除機を起動すると、蓄電池13から出力を得て電動送風機9が動作される。これによって、床用吸込み具12から延長管11と可撓性ホース10を通じ掃除機本体8へと空気が吸引される。吸引された空気は塵埃を取り除かれた後、電動送風機9内を通過し風路15へ排出される。電気掃除機起動直後は蓄電池13の温度は低いため、排気風14を蓄電池13に当てて冷却する必要は無く、蓄電池13は排気風14の当たらない位置に配置され、排気風14はほとんど抵抗を受けること無く風路15を通じ掃除機本体8の外へと排気される(図2(a))。
【0026】
続いて、清掃作業をしばらく行った後に、電動送風機9の発熱や蓄電池13自体の発熱などにより、蓄電池13の温度が高くなる。蓄電池13の温度が高くなったことを電池温度測定装置19が検知すると、蓄電池移動装置16を動作させる。
【0027】
蓄電池移動装置16では蓄電池支持部17が動作する。蓄電池支持部17では上下動用モータ20が上下動用ラック・ピニオン21を通じて蓄電池13を風路15の排気風14が良く当たる位置に移動させる。蓄電池13の移動に伴い風路15は狭くなり排気風14が流れにくくなるため、風路15を広くする。しかし、掃除機本体8内には風路15を広くする空間が無いため、掃除機本体8内に空間を作るように本体変形装置18によって掃除機本体8を変形させる。本体変形装置18では変形用モータ22が本体変形機構23を動作させ掃除機本体8の上面を持ち上げる。それに伴い弾性体で構成された本体弾性変形部24も本体変形機構23に引っ張られて変形されつつ掃除機本体8が変形される。変形によって風路15は広くなり、より多くの排気風14を流すことができるようになり蓄電池13の冷却が確実に行われる(図2(b))。
【0028】
続いて、清掃作業終了後に操作者が電気掃除機を停止すると、蓄電池移動装置16が再び動作し蓄電池13を元の位置に戻す(図2(a))。
【0029】
なお、本実施の形態において、蓄電池移動装置16は動力を用いて動作させる構成としたが、操作者が動作させる構成としても構わない。
【0030】
このように、本実施の形態では、蓄電池移動装置を備えることにより、蓄電池の冷却時には蓄電池移動装置により蓄電池を風路に移動させるものであり、蓄電池の冷却風路を別に設けることなく、つまり掃除機本体を大きくせずに蓄電池の冷却が行え、蓄電池の風路への移動調整を行うことにより、冷却に必要な消費電力を低減させることができる。
【0031】
また、掃除機本体を変形可能とし風路の容積を可変させる構成とすることにより、蓄電池の温度が低く排気風を流す必要が無い場合には風路を狭くすると共に掃除機本体の外形を小さくすることで、使い勝手を向上させることができる。
【0032】
また、蓄電池移動装置は、蓄電池の温度に基づいて動作させる構成とすることにより、使用者が蓄電池の温度を意識することなく最低限の抵抗で冷却を行うため、消費電力を低減することができる。なお、蓄電池移動装置は、電動送風機の消費電力に基づいて動作させる構成とすれば、電動送風機の電力消費増加により蓄電池の温度が上昇する前に蓄電池移動装置を動作させるため、蓄電池が高温になることをより確実に防ぐことができる。
【0033】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における電気掃除機を示すものである。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本実施の形態において、蓄電池移動装置16は、蓄電池保持装置25と蓄電池収納バネ26により構成されている。そして、図3(a)に示すように、通常時には蓄電池13は排気風14の当たらない位置に置かれ、一端が掃除機本体8内に回転可能に固定され、もう一端が蓄電池保持装置25により保持され支えられている。蓄電池収納バネ26は掃除機本体8と蓄電池13の蓄電池保持装置25により保持されている端をつないでおり、蓄電池13が保持された状態で縮んでいる。
【0035】
また、図3(b)に示すように、蓄電池移動装置16が動作すると、蓄電池保持装置25は支えていた蓄電池13を離し、蓄電池13を排気風14の当たる位置に移動させる。この状態では蓄電池13は蓄電池収納バネ26によって支えられている。この蓄電池13の移動時に蓄電池自体が風路15の一部を形成しており、排気風14が蓄電池13に沿って流れ、排気風14は大きな乱れが生じることなく、掃除機本体8の外へ排出されるものである。
【0036】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
まず、電気掃除機を起動すると、蓄電池13から出力を得て電動送風機9が動作される。これによって、掃除機本体8へと空気が吸引され、吸引された空気は電動送風機9内を通り風路15へと流される。電気掃除機起動直後は蓄電池13の温度は低いため、排気風14を蓄電池13に当てて冷却する必要は無く蓄電池13は排気風14の当たらない位置に配置され、排気風14はほとんど抵抗を受けること無く風路15を通じ掃除機本体8の外へと排気される(図3(a))。
【0038】
続いて、より強い吸引力で清掃を行いたい場合などに操作者は電気掃除機の運転モードを切り替え電動送風機9の消費電力を増加させる。運転モードの切り替えにより電動送風機9などの消費電力が増加するため、蓄電池13の温度が上昇する。蓄電池13の温度上昇を防ぐため、運転モードごとに設定されている電動送風機9の消費電力に基づいて蓄電池移動装置16を動作させ蓄電池13を移動させる。
【0039】
蓄電池移動装置16が動作されると、蓄電池保持装置25が支えていた蓄電池13を離す。蓄電池13は自重により下方向に移動し、同時に蓄電池13に取付けられた蓄電池収納バネ26が伸びる。蓄電池収納バネ26がある程度まで伸び、蓄電池13の重さと蓄電池収納バネ26の力が釣り合った位置で蓄電池13は停止する。
【0040】
蓄電池13は風路15の一部となるような位置に移動され、排気風14は蓄電池13に沿って流れることで流れに大きな乱れが生じさせず、小さな抵抗を受けるだけで掃除機本体8の外へ排出される(図3(b))。
【0041】
続いて、清掃終了後に操作者が電気掃除機を収納するため掃除機本体8を立てる。それによって蓄電池収納バネ26にかかっていた蓄電池13の重さがかからなくなるため、蓄電池収納バネ26が縮み蓄電池13が元の位置に戻る。それと同時に蓄電池保持装置25が蓄電池13を再び保持する(図3(a))。
【0042】
このように、本実施の形態では、蓄電池の移動時に蓄電池自体が風路の一部を形成し、排気風が移動された蓄電池に沿って流れ掃除機本体外へと排出されることにより、排気風が蓄電池の周囲を通過する際に排気風の流れに乱れが生じて排気風が流れにくくなり消費電力が増加することを抑えることが可能となり、電気掃除機全体の消費電力を低減することができる。
【0043】
また、蓄電池移動装置は、保持していた蓄電池を離すことで自重により蓄電池を移動させる構成とすることにより、蓄電池を少ない動力ですばやく移動させることが可能となり、消費電力を低減することができる。
【0044】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における電気掃除機を示すものである。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
本実施の形態において、蓄電池13は蓄電池13を冷却する冷却装置27として金属製の放熱板28を有している。放熱板28はそれのみを上下に動かすことが可能で、かつ常に蓄電池13の他の部分と密着しており、上下動を行っても放熱板28から排気風14への放熱性能はほとんど低下しないようにしている。また、蓄電池移動装置16は熱変形部材29により構成され、蓄電池13の冷却装置27のみを移動させるように接続されている。熱変形部材29は形状記憶合金製バネ30で構成されている。形状記憶合金製バネ30は高温になると上下方向に伸びるものである。
【0046】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0047】
まず、電気掃除機を起動すると、蓄電池13から出力を得て電動送風機9が動作される。これによって、掃除機本体8へと空気が吸引され、吸引された空気は電動送風機9内を通り風路15へと流される。電気掃除機起動直後は蓄電池13の温度は低いため、排気風14を蓄電池13に当てて冷却する必要は無く蓄電池13は排気風14の当たらない位置に配置され、排気風14はほとんど抵抗を受けること無く掃除機本体8の外へと排出される(図4(a))。
【0048】
続いて、清掃作業をしばらく行うと、電動送風機9の発熱や蓄電池13自体の発熱などにより、掃除機本体8内部の温度が高くなる。それに伴い形状記憶合金製バネ30の温度も高くなるためその熱により形状記憶合金製バネ30は上下方向に伸びる。それにより、形状記憶合金製バネ30は冷却装置27である放熱板28と接続されているため、放熱板28は排気風14の当たる位置へと移動され、排気風14によって冷却される(図4(b))。
【0049】
このように、本実施の形態では、蓄電池の移動は、蓄電池に設けられた冷却装置のみを移動させる構成としたことにより、蓄電池全体を動作させるよりも少ない消費電力で蓄電池移動装置を動作でき、消費電力を低減することができる。
【0050】
また、蓄電池移動装置は、熱変形部材で構成し、熱変形により蓄電池を移動させる構成としたことにより、蓄電池を少ない動力で移動させることが可能となり、消費電力を低減することができる。なお、熱変形部材29は形状記憶合金製バネ30としたが、バイメタルによって構成しても構わない。
【0051】
(実施の形態4)
図5、図6は、本発明の実施の形態4における電気掃除機を示すものである。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
図5に示すように、本実施の形態においては、蓄電池13と蓄電池移動装置16を、掃除機本体8内に複数配置し、各蓄電池13を個別に移動させるようにした。すなわち、一部の蓄電池移動装置16は蓄電池13を排気風14に当たる位置に配置し、残りの蓄電池移動装置16は蓄電池13を排気風14の当たらない位置に配置するようにしている。
【0053】
また、図6に示すように、本実施の形態においては、蓄電池移動装置16は、掃除機本体8が充電台31において充電が行われる際に、蓄電池13を移動させる構成とした。すなわち、蓄電池13への充電が行われる際には、電動送風機9は動作していないが、蓄電池移動装置16は蓄電池13を移動させ、蓄電池13同士の間隔を広げるようにしている。これにより、電動送風機9が動作せず排気風14が流れないなど清掃作業時とは異なる状況の充電時においては、充電に伴い蓄電池13に生じる熱が蓄電池13の移動で周囲に放散されやすくなり、蓄電池13が高温になりにくくなるため、より早く充電を行うことができる。
【0054】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
まず、電気掃除機を起動すると、蓄電池13から出力を得て電動送風機9が動作される。これによって、掃除機本体8へと空気が吸引され、吸引された空気は電動送風機9内を通り風路15へと流される。電気掃除機起動直後は蓄電池13の温度は低いため、排気風14を蓄電池13に当てて冷却する必要は無い。このため、蓄電池13は排気風14の当たらない位置に配置され、排気風14はほとんど抵抗を受けること無く、掃除機本体8の外へと排気される。
【0056】
続いて、清掃作業をしばらく行った後に、電動送風機9の発熱や蓄電池13自体の発熱などにより、蓄電池13の温度が高くなる。このため、蓄電池移動装置16を動作させ蓄電池13を冷却する。蓄電池移動装置16は一度に多くの蓄電池13を排気風14が当たる位置に配置することで排気風14が流れにくくならないよう、順番に蓄電池13を移動させて排気風14により冷却を行う。図5はその一課程を示している。
【0057】
続いて、清掃終了後に操作者が掃除機本体8を充電台31に接続し蓄電池13に充電を行う。充電時には電動送風機9は動作しておらず排気風14が流れていない。また、蓄電池13は充電時に伴って発熱するため、蓄電池移動装置16は、蓄電池13同士の間隔を開けるように蓄電池13を風路15内の全体に広げて移動させ、図6に示すように、周囲に放散されやすくる。充電終了後は再び蓄電池13を排気風14の当たらない位置へと移動させる。
【0058】
このように、本実施の形態では、各蓄電池を個別に移動させるようにしたことにより、蓄電池の配置をより様々に設定可能となるため、蓄電池各部の温度に合わせて最低限の抵抗で冷却が可能となるため、消費電力を低減することができる。
【0059】
また、蓄電池移動装置は、掃除機本体が充電台において充電が行われる際に蓄電池を移動させる構成とすることにより、電動送風機が動作せず排気風が流れないなど清掃作業時とは異なる状況の充電時において、充電に伴い蓄電池に生じる熱が蓄電池の移動で周囲に放散されやすくなり蓄電池が高温になりにくくなるため、より早く充電を行うことができる。
【0060】
なお、上記した各実施の形態1〜4における構成は、必要に応じて適宜組み合わせて使用することができるものであり、実施の形態そのものの構成に限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、掃除機本体を大きくせずに蓄電池の冷却が行え、かつ冷却に必要な消費電力を低減させることができるので、充電式の各種掃除機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体構成図
【図2】(a)同電気掃除機の通常時の掃除機本体を示す断面図(b)同冷却時の掃除機本体の断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における電気掃除機の通常時の掃除機本体を示す断面図(b)同冷却時の掃除機本体の断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態3における電気掃除機の通常時の掃除機本体を示す断面図(b)同冷却時の掃除機本体の断面図
【図5】本発明の実施の形態4における電気掃除機の掃除機本体を示す断面図
【図6】同電気掃除機の充電時の掃除機本体を示す断面図
【符号の説明】
【0063】
8 掃除機本体
9 電動送風機
13 蓄電池
14 排気風
15 風路
16 蓄電池移動装置
18 本体変形装置
19 電池温度測定装置
25 蓄電池保持装置
27 冷却装置
31 充電台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体と、前記掃除機本体に内包された電動送風機と、前記掃除機本体に内蔵され前記電動送風機を駆動する蓄電池と、前記電動送風機から排出される排気風を前記掃除機本体の外部へと排出する風路と、前記蓄電池の冷却時に蓄電池を前記風路内に移動させる蓄電池移動装置とを備えた電気掃除機。
【請求項2】
掃除機本体を変形可能とし風路の容積を可変させる構成とした請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
蓄電池の移動時に蓄電池自体が風路の一部を形成し、排気風が移動された蓄電池に沿って流れ掃除機本体外へと排出される請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
蓄電池の移動は、蓄電池に設けられた冷却装置のみを移動させる構成とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
蓄電池と蓄電池移動装置を、掃除機本体内に複数配置し、各蓄電池を個別に移動させるようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
蓄電池移動装置は、保持していた蓄電池を離すことで自重により蓄電池を移動させる構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
蓄電池移動装置は、熱変形部材で構成し、熱変形により蓄電池を移動させる構成とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
蓄電池移動装置は、蓄電池の温度に基づいて動作させる構成とした請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
蓄電池移動装置は、電動送風機の消費電力に基づいて動作させる構成とした請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
蓄電池移動装置は、掃除機本体が充電台において充電が行われる際に蓄電池を移動させる構成とした請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−117134(P2007−117134A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309351(P2005−309351)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】