説明

電気接続箱

【課題】大型化を招くことなく、簡易な構成で、優れた防水性と排水性を発揮することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供すること。
【解決手段】第一ケース12の周壁部20の開口端部22aと第二ケース14の周壁部40の開口端部42との重ね合わせ部位に対して外周側から隙間を隔てて対向配置されるカバー壁部28と、該カバー壁部28を該第一ケース12の該周壁部20上に一体的に連結する支持壁部32とを設けると共に、該支持壁部32を、前記第二ケース14の開口端部42よりも前記第一ケース12の周壁部20の基端側に設ける一方、該支持壁部32の周上に排水穴36を設けると共に、該支持壁部32における第二ケース14側の面を、該排水穴36に向けて傾斜する傾斜面36とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に設けられる電気接続箱に係り、特に、第一ケースの周壁部の開口端部と第二ケースの周壁部の開口端部が重ね合わせられて相互に組み付けられる電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等において、ジャンクションボックスやリレーボックス等の電気接続箱が用いられている。このような電気接続箱は、例えば第一ケースとしての箱本体と、第二ケースとしてのアッパカバーを、それぞれの周壁部の開口端部側で相互に重ね合わせて箱体を構成するようになっている。
【0003】
ところで、電気接続箱の中には、例えばエンジンルーム等のような、雨天時や洗車時に水が浸入し得る場所に配設されるものがある。そして、第一ケースと第二ケースの周壁部の重ね合わせ部分では、互いの周壁部間の隙間を通じて水が箱体内に浸入するおそれがあった。
【0004】
そこで、実開平5−62125号公報(特許文献1)には、第一ケースと第二ケースのそれぞれの周壁部の開口端部を、多重壁により構成された断面略U字状の溝枠として、該溝枠同士を嵌合した多重壁の重ね合わせ構造とすることにより、水の浸入を困難にした構造が開示されている。
【0005】
ところが、このような構造では、第一ケースと第二ケースのそれぞれの開口端部に多重壁構造を採用することから、樹脂材料の増大や電気接続箱の大型化を招くという問題があった。また、溝の底壁に排水穴を貫設しても、溝内に挿し入れられた壁に覆蓋されて溝内の隙間が小さくなり、十分な排水が実現できない場合があった。更に、このような多重壁構造では、複数の壁が重ね合わせられて壁間の隙間が小さいことから、最外壁から浸入した水が、かえって微小隙間の毛細管現象により内部に浸入し易くなるおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−62125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、大型化を招くことなく、簡易な構成で、優れた防水性と排水性を発揮することの出来る、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、開口形状を有する第一ケースの周壁部の開口端部の外周側に、開口形状を有する第二ケースの周壁部の開口端部が重ね合わせられて相互に組み付けられる電気接続箱において、前記第一ケースの周壁部と前記第二ケースの周壁部との重ね合わせ部位に対して外周側から隙間を隔てて対向配置されるカバー壁部と、該カバー壁部と前記第一ケースの周壁部の間に設けられて、前記カバー壁部を前記第一ケースの周壁部上に一体的に連結支持する支持壁部とが設けられていると共に、前記支持壁部が、前記第一ケースと前記第二ケースとの重ね合わせ方向において、前記第二ケースの周壁部の開口端部よりも前記第一ケースの周壁部の基端側に設けられている一方、前記支持壁部の周上には、前記第一ケースと前記第二ケースとの重ね合わせ方向の両側に開口する排水穴が形成されていると共に、前記支持壁部において、前記第一ケースと前記第二ケースとの重ね合わせ方向で該第二ケース側の面が、前記排水穴に向けて傾斜する傾斜面とされていることを、特徴とする。
【0009】
本発明に従う構造とされた電気接続箱においては、第一ケースの外周側に、第二ケースが重ね合わされて組み付けられる。これにより、第二ケース側からの水の浸入を阻止することが出来る。更に、第一ケースと第二ケースの互いの周壁部の重ね合わせ部位の外周側に、カバー壁部が設けられている。これにより、外周側(側方)からの水の浸入を阻止することが出来る。加えて、第一ケースの周壁部には、カバー壁部を連結する支持壁部が設けられており、該支持壁部が第一ケースと第二ケースの重ね合わせ方向で、第二ケースの開口端部よりも第一ケース側に設けられている。これにより、第一ケース側からの水の浸入も阻止することが出来る。特に、支持壁部が第二ケースの開口端部よりも第一ケース側に設けられていることにより、第一ケース側から高圧の水がかけられた場合でも、支持壁部で第二ケースに水がかかることを阻止出来ることから、水圧で第二ケースが第一ケースから浮き上げられて、水が箱体内に浸入するようなおそれも回避することが出来る。その結果、第一ケース側、第二ケース側、および側方からの何れの方向からの浸水も阻止することが出来て、優れた防水性を得ることが出来る。そして、カバー壁部および支持壁部は第一ケースに設けられることから、第二ケースには特別な加工を要することもなく、電気接続箱の大型化を招くことも無しに、簡易な構成で優れた防水性を得ることが出来る。
【0010】
また、カバー壁部と支持壁部によって、第一ケースの外周に、第二ケース側に開口する周溝が形成されており、該周溝に第二ケースの開口端部が挿し込まれるようになっている。そして、周溝の溝底面を構成する支持壁部に排水穴が形成されていると共に、周溝の溝底面が排水穴に向けて傾斜する傾斜面とされている。これにより、周溝内に浸入した水を傾斜面で排水穴に案内して、良好な排水性を発揮することが出来る。
【0011】
さらに、支持壁部によって構成される周溝の溝底面が傾斜面とされていることから、周溝の開口側から周溝内に浸入した水を傾斜面に衝突させることによって、周溝の開口側への跳ね返りを低減することが出来る。これにより、周溝内に高圧の水が入った場合でも、水が支持壁部で跳ね返って第一ケースと第二ケースとの周壁部間に入り込むようなおそれも軽減することが出来て、より優れた防水性を発揮することが出来る。
【0012】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記第一ケースの周壁部には、該第一ケースに対して前記第二ケースと反対側から組み付けられる第三ケースを固定するロック部が形成されていると共に、前記支持壁部が前記ロック部の上方において周方向で分断されて、前記周方向で該ロック部の両端を越えて延出する前記排水穴が形成されているものである。
【0013】
本態様における電気接続箱においては、第一ケースに対して第二ケースと反対側から、第三ケースがロック部を介して組み付けられる。それ故、第一ケースの周壁部において、ロック部の上方には、成形型の型抜きの都合上、支持壁部を形成することが困難となる。そこで、支持壁部が形成困難なロック部の上方で支持壁部を分断して排水穴を設けることで、排水穴をスペース効率良く形成することが出来る。しかも、排水穴は周方向においてロック部の両端を越えて延出していることから、傾斜面を伝って流れる排水が、ロック部の側方に導かれてロック部の側方を通って排出されることにより、ロック部が被水することが防止されている。また、第一ケースの周壁部において、ロック部の上方以外の周上には可及的に支持壁部を形成することによって、より優れた防水性を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、第一ケースの外周側に第二ケースの周壁部を重ね合わせたことにより、第二ケース側からの浸水を阻止することが出来る。また、第一ケースと第二ケースの重ね合わせ部分の外周側にカバー壁部を設けたことにより、第一ケースの外周側からの浸水を阻止することが出来る。更に、カバー壁部を第一ケースと連結する支持壁部を、第一ケースと第二ケースの重ね合わせ方向で第二ケースの開口端部よりも第一ケース側に設けたことにより、第一ケース側からの浸水を阻止することが出来る。その結果、第一ケース側、第二ケース側、および第一ケースの外周側からの三方向何れの方向からの浸水も阻止することが出来、優れた防水性を発揮することが出来る。また、支持壁部に排水穴を設けると共に、支持壁部における第二ケース側の面を排水穴に向けて傾斜する傾斜面としたことにより、カバー壁部と支持壁部で形成される周溝内に浸入した水を傾斜面で排水穴に案内することが出来て、優れた排水性を発揮することが出来る。そして、カバー壁部と支持壁部が第一ケースに設けられていることから、第二ケースには特別な加工を要することもなく、電気接続箱の大型化を回避すると共に、簡易な構成で、優れた防水性と排水性を発揮することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の側面図。
【図2】図1に示した電気接続箱の平面図。
【図3】図2におけるIII−III断面の要部拡大図。
【図4】図2におけるIVーIV断面の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
先ず、図1および図2に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10を示すと共に、図3に、電気接続箱10の要部断面を示す。電気接続箱10は、第一ケースとしての箱本体12と、第二ケースとしてのアッパケース14と、第三ケースとしてのロアケース16を含んで構成されている。そして、箱本体12に対して、一方の側(図1中、上側)からアッパケース14が重ね合わされて組み付けられると共に、アッパケース14と反対側からロアケース16が重ね合わされて組み付けられることにより、箱体18を構成している。これら箱本体12、アッパケース14、ロアケース16は、それぞれ、合成樹脂からなる一体成型品とされている。そして、電気接続箱10は、図1に示すように、アッパケース14が鉛直上方に位置する向きで自動車のエンジンルーム内に配設されるようになっている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、上方とは電気接続箱10のエンジンルーム内での配設状態で鉛直上方となる図1中の上方を言い、下方とは電気接続箱10のエンジンルーム内での配設状態で鉛直下方となる図1中の下方を言うものとする。
【0018】
箱本体12は、略矩形箱体形状を有している。図3に部分的に示すように、箱本体12には、アッパケース14側とロアケース16側の上下両側に突出する周壁部20が、全周に亘って形成されている。周壁部20において、アッパケース14側の突出端部は、アッパケース14側に開口する開口端部22aとされている。一方、ロアケース16側の突出端部は、ロアケース16側に開口する開口端部22bとされている。これにより、箱本体12は、アッパケース14側とロアケース16側の上下両側に開口する開口形状を有している。更に、周壁部20におけるアッパケース14側は、段差部24を有する段付形状とされており、アッパケース14側の開口端部22aは、箱本体12の内方(図3における右方)に窪んで位置されている。
【0019】
また、図1に一面を例示するように、周壁部20における周上の適宜の位置には、後述するロアケース16の係合枠52と係合する複数の係合突起26が、周壁部20の周方向で適当な距離を隔てて形成されている。図1に示す面上には、2つの係合突起26,26が形成されている。係合突起26は、周壁部20における開口端部22bにおいて、周壁部20の周方向(図1における左右方向)で所定の幅寸法をもって、箱本体12の外方(図3における左方)に突出する突起形状とされている。
【0020】
さらに、箱本体12の外周には、カバー壁部28が形成されている。カバー壁部28は、周壁部20の外周側(図3における左側)に離隔して、箱本体12の全周に亘って連続して形成されている。カバー壁部28は、上端縁部が周壁部20の段差部24と略等しく位置されていると共に、下端縁部が周壁部20におけるロアケース16側の開口端部22bよりも上方に位置される上下方向寸法を有する長手矩形の断面形状をもって形成されている。なお、詳細な図示は省略するが、図2に示すように、カバー壁部28において後述するアッパケース14の係合枠46と対応する位置には、外周側(図2における右側)に突出する係合突起30が一体形成されている。
【0021】
図3に示すように、カバー壁部28は、カバー壁部28と周壁部20の間に形成された支持壁部32によって周壁部20上に一体的に連結支持されている。これにより、カバー壁部28と支持壁部32は、箱本体12に一体形成されている。支持壁部32は、周壁部20から箱本体12の外方(図3における左方)に突出して形成されており、周壁部20からの突出端部において、カバー壁部28と連結されている。なお、支持壁部32は、アッパケース14の組付状態において、後述するアッパケース14の開口端部42よりも周壁部20の基端側(図3中、下側)に形成されている。また、カバー壁部28は、支持壁部32よりも上方に突出されている。これにより、カバー壁部28と支持壁部32によって、箱本体12の外周には、上方に開口する周溝34が、箱本体12の全周に亘って形成されている。また、支持壁部32の厚さ寸法(図3における左右方向寸法)は、後述するアッパケース14の開口端部42の厚さ寸法よりも僅かに大きくされている。これにより、カバー壁部28と周壁部20との離隔距離となる、周溝34の開口幅寸法(図3における左右方向寸法)が、アッパケース14の開口端部42の厚さ寸法よりも僅かに大きくされている。
【0022】
図4に示すように、支持壁部32は、箱本体12の周方向で断続的に形成されている。本実施形態における支持壁部32は、箱本体12の係合突起26の上方において周方向で分断されている。これにより、支持壁部32の周上には、各係合突起26の上方に、上下方向の両側に開口する複数の排水穴36が形成されている。なお、排水穴36の支持壁部32の周方向での幅寸法(図4における左右方向寸法)は、後述するロアケース16の係合枠52と干渉しないように、係合枠52よりも僅かに大きくされている。即ち、排水穴36は、箱本体12の周方向(図4における左右方向)において、係合枠52(後述するロック部54)の両端を越えて延出している。
【0023】
さらに、支持壁部32において、周溝34の溝底面を形成する、アッパケース14側の上端面は、排水穴36に向けて下方に傾斜する傾斜面38とされている。特に本実施形態においては、支持壁部32の全周に亘って傾斜面38が形成されており、支持壁部32の上面は、支持壁部32の全周に亘って水平面を有することなく形成されている。なお、図4において、支持壁部32の上端面の左右両端縁部は水平面に見受けられるが、これら左右両端縁部は、図4における右方向視および左方向視において傾斜されている。
【0024】
一方、アッパケース14は、略矩形箱体形状を有している。図3に部分的に示すように、アッパケース14には、箱本体12側に突出する周壁部40が、全周に亘って形成されている。周壁部40において、箱本体12側の突出端部は、箱本体12側に開口する開口端部42とされている。これにより、アッパケース14は、箱本体12側に開口する開口形状を有している。更に、周壁部40における箱本体12側は、段差部44を有する段付形状とされており、開口端部42は、アッパケース14の外方(図3における左方)に突出して位置されている。また、図1および図2に示すように、周壁部40において、箱本体12の係合突起30と対応する位置には、係合枠46が周壁部40から箱本体12側に突出して形成されている。
【0025】
また、ロアケース16は、略矩形箱体形状を有している。図3に部分的に示すように、ロアケース16には、箱本体12側に突出する周壁部48が、全周に亘って形成されている。周壁部48において、箱本体12側の突出端部は、箱本体12側に開口する開口端部50とされている。これにより、ロアケース16は、箱本体12側に開口する開口形状を有している。また、周壁部48において、箱本体12の係合突起26と対応する位置には、係合枠52が形成されている。
【0026】
そして、これらアッパケース14とロアケース16が、箱本体12の上下方向から重ね合わされて箱本体12に組み付けられる。アッパケース14は、箱本体12の上方から重ね合わされて、係合枠46が箱本体12の係合突起30(図2参照)と係合されることで箱本体12に固定される。箱本体12への組付状態において、アッパケース14の周壁部40の開口端部42が、箱本体12の周溝34内に嵌め入れられる。そして、アッパケース14の周壁部40の開口端部42が箱本体12の周壁部20の開口端部22aの外周側(図3中、左側)に重ね合わされる。また、アッパケース14の周壁部40の段差部44が、箱本体12の周壁部20の段差部24に上下方向で重ね合わされる。その結果、周壁部40の開口端部42が、周溝34内において、傾斜面38の上方に位置されて、箱本体12の周壁部20の段差部24と、カバー壁部28との間に位置される。これにより、カバー壁部28は、アッパケース14の周壁部40の開口端部42と箱本体12の周壁部20の重ね合わせ部位に対して外周側(図3中、左側)から対向配置されると共に、支持壁部32の厚さ寸法(図3中、左右方向寸法)がアッパケース14の周壁部40の厚さ寸法(図3中、左右方向寸法)よりも僅かに大きくされていることにより、僅かな隙間を隔てて対向位置される。
【0027】
一方、ロアケース16は、箱本体12の下方から重ね合わされて、係合枠52が箱本体12の係合突起26と係合されることで箱本体12に固定される。これにより、係合枠52と係合突起26によって、第三ケースとしてのロアケース16を箱本体12に固定するロック部54が構成されている。箱本体12への組付状態において、ロアケース16の周壁部48の開口端部50が、箱本体12の周壁部20の開口端部22bの内周側(図3中、右側)に重ね合わされる。また、図4に示したように、ロアケース16の係合枠52は、箱本体12の係合突起26との係合状態で、箱本体12の排水穴36内に位置されるようになっている。
【0028】
このような構造とされた電気接続箱10によれば、アッパケース14の周壁部40の開口端部42が、箱本体12の周壁部20の開口端部22aの外周側に重ね合わされている。これにより、図3中に矢印D1で示す上方からの水は、アッパケース14の周壁部40によって、アッパケース14と箱本体12の隙間からの浸入が阻止される。また、アッパケース14の周壁部40と箱本体12の周壁部20の重ね合わせ部位の外周側にカバー壁部28が設けられていることから、図3中に矢印D2で示す側方からの水は、カバー壁部28によってアッパケース14と箱本体12の隙間からの浸入が阻止される。更に、図3中に矢印D3で示す下方からの水は、支持壁部32によって、アッパケース14と箱本体12の隙間からの浸入が阻止される。このように、本実施形態に従う構造とされた電気接続箱10によれば、上方、側方、および下方の何れの方向からの水も箱体18内に浸入することを阻止して、優れた防水性を発揮することが出来る。特に、支持壁部32がアッパケース14の開口端部42よりも箱本体12の周壁部20の基端側に形成されており、支持壁部32でアッパケース14の周壁部40と箱本体12の周壁部20の重ね合わせ部位の下方が覆われていることから、図3中に矢印D3で示した下方から高圧の水がかけられた場合でも、水がアッパケース14に下方からかかることを支持壁部32で阻止することが出来て、水圧でアッパケース14が浮き上げられて水が浸入するようなおそれも回避することが出来る。
【0029】
さらに、周溝34の溝底面を構成する支持壁部32の周上に排水穴36が形成されていることから、周溝34内に入り込んだ水を排水穴36を通じて排水することが出来て、良好な排水性も発揮することが出来る。特に、周溝34の溝底面が排水穴36に向けて傾斜する傾斜面38とされていることから、周溝34内の水を排水穴36に案内することが出来ると共に、アッパケース14の開口端部42と傾斜面38との隙間が大きく確保されて周溝34内の水の流動性が高められることから、より良好な排水性を発揮することが出来る。また、溝底面が傾斜面38とされて下方に傾斜されていることから、図4中に矢印D1で示した上方から周溝34内に浸入した水が傾斜面38に衝突した場合には、水の上方への跳ね返りを軽減することが出来る。これにより、周溝34の溝底面で水が上方に跳ね返ってアッパケース14と箱本体12との隙間に入り込むおそれも軽減することが出来て、より優れた防水性を発揮することが出来る。
【0030】
加えて、支持壁部32が、係合突起26の上方で係合突起26の形成部位と箱本体12の上下方向でオーバーラップしないように分断されることによって、排水穴36が形成されている。係合突起26を形成する成形型を上方に型抜きするために、係合突起26の上方には支持壁部32を形成することが困難である。そこで、係合突起26の上方で支持壁部32を分断して排水穴36を形成することで、排水穴36をスペース効率良く形成することが出来る。更に、排水穴36が、箱本体12の周方向でロック部54の両端を越えて延出されていることから、箱本体12の周方向で、ロック部54(より具体的には、係合枠52)の側方に支持壁部32との隙間が形成される。これにより、傾斜面38からの排水をロック部54の側方に導いて、ロック部54の側方の隙間を通じて排出することが可能であり、ロック部54が被水することが有利に防止されている。更に、箱本体12の周上で、係合突起26上以外の周上には可及的に支持壁部32を形成することによって、優れた防水性を確保することも出来る。
【0031】
そして、カバー壁部28および支持壁部32が、箱本体12に一体形成されている。従って、アッパケース14には特別な加工を要することも無く、簡易な構成で、電気接続箱10の大型化等を招くことも無しに、防水性と排水性を高度に両立することが出来る。
【0032】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、排水穴36は、必ずしもロック部54の上方に形成されている必要はなく、ロック部54の形成部位以外の部位に形成されていても良い。また、排水穴36の個数も限定されることはなく、要求される排水性能等を考慮して適宜に設定可能である。更に、支持壁部の上端面は、必ずしも全周に亘って傾斜面とされている必要はなく、支持壁部の周上で、部分的に水平面が形成されていても良い。
【符号の説明】
【0033】
10:電気接続箱、12:箱本体(第一ケース)、14:アッパケース(第二ケース)、16:ロアケース(第三ケース)、20:周壁部(第一ケース)、22a:開口端部(第一ケース)、28:カバー壁部、32:支持壁部、34:周溝、36:排水穴、38:傾斜面、40:周壁部(第二ケース)、42:開口端部(第二ケース)、54:ロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口形状を有する第一ケースの周壁部の開口端部の外周側に、開口形状を有する第二ケースの周壁部の開口端部が重ね合わせられて相互に組み付けられる電気接続箱において、
前記第一ケースの周壁部と前記第二ケースの周壁部との重ね合わせ部位に対して外周側から隙間を隔てて対向配置されるカバー壁部と、
該カバー壁部と前記第一ケースの周壁部の間に設けられて、前記カバー壁部を前記第一ケースの周壁部上に一体的に連結支持する支持壁部とが設けられていると共に、
前記支持壁部が、前記第一ケースと前記第二ケースとの重ね合わせ方向において、前記第二ケースの周壁部の開口端部よりも前記第一ケースの周壁部の基端側に設けられている一方、
前記支持壁部の周上には、前記第一ケースと前記第二ケースとの重ね合わせ方向の両側に開口する排水穴が形成されていると共に、
前記支持壁部において、前記第一ケースと前記第二ケースとの重ね合わせ方向で該第二ケース側の面が、前記排水穴に向けて傾斜する傾斜面とされている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記第一ケースの周壁部には、該第一ケースに対して前記第二ケースと反対側から組み付けられる第三ケースを固定するロック部が形成されていると共に、前記支持壁部が前記ロック部の上方において周方向で分断されて、前記周方向で該ロック部の両端を越えて延出する前記排水穴が形成されている
請求項1に記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−70560(P2013−70560A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208645(P2011−208645)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】