説明

電気機器

【課題】本体下部に設けられ側部に向いて開口する凹部の内部に給電部を備える電気機器において、機器本体の大型化および給電部への接続に際して困難を伴う凹部構造の形成を回避しつつ、給電部への水の浸入を確実に防止する。
【解決手段】電気機器は、本体10の下部に、本体10の側部21に向いた開口23を有する凹部16を備える。凹部16は、略水平面の頂壁24と該頂壁24と連続する主側壁25と少なくとも1つの副側壁26,26A,26B,28とを備える。凹部16の主側壁25に入口31,52が設けられた給電部15を設ける。頂壁24に上向きに窪んだ防水溝30を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に関し、特に、水蒸気を発生する炊飯器等の調理家電機器、および、水蒸気を発生するポット、除湿器、加湿器等の日用家電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炊飯器等の調理家電機器やポット、除湿器、加湿器等の日用家電機器は、一部の製品を除いて上部の吹出口から水蒸気を発生する構造になっている。そのため、ポット等の容器内に規定値より多く水を入れてしまった場合、沸騰時に吹出口から水蒸気だけではなく、水が溢れる。加えて、調理家電機器を台所付近で使用した場合や日用家電機器の上方でコップに入った水等をこぼした場合、上方から機器に水がかかることがある。
【0003】
電気機器には開口部分を介して外部に露出した接続端子を有する電気コード接続部が設けられている場合がある。この場合、電気コード接続部は、接触する可能性のある水に対して出来るだけ遠い所に位置させるようにする点や外観を良くする点から機器下部に設けられて側部に向いて開口する凹部の内部に配置されていることが多い。しかしながら、電気コード接続部をそのように配置した場合であっても、開口部分の上端縁を通って水が電気コード接続部内部に浸入することがあり、これを回避する必要がある。特に、電気機器が傾いた場所に置かれている場合、水が浸入しやすい。
【0004】
特許文献1には、電気コード接続部の開口部分の上端縁から下方に延び、電気コード接続部内部への水の浸入を防止する庇部が設けられた電気調理器が開示されている。製品が水平に置かれた状態であれば、吹きこぼれ等により側面を滴る水は庇部から垂直に落下するため、電気コード接続部内部へ浸入するおそれはない。しかし、製品が傾いた状態で置かれ、かつ、庇部の長さが短い場合、水は庇部を伝って、電気コード接続部内部へ浸入するおそれがある。また、水が前記庇部を伝って電気コード接続部内部へ浸入しないように前記庇部の長さを長くすると、電気コードが挿入される前記開口部分の縦方向の長さも前記庇部の長さに応じて長くする必要が生じる。その結果、機器本体の全高が高くなり大型化する。さらに、庇部は電気コード接続部の開口部分の上端縁から下方に突起状に延びているため、使用者が電気コードを挿入する際、挿入し難いという問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−154108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、本体下部に設けられ側部に向いて開口する凹部の内部に給電部を備える電気機器において、機器本体の大型化および給電部への接続に際して困難を伴う凹部構造の形成を回避しつつ、給電部への水の浸入を確実に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する手段として、本発明の電気機器は、本体の下部に設けられ、略水平面の頂壁と該頂壁と連続する主側壁と少なくとも1つの副側壁とを備え、前記本体の側部に向いた開口を有する凹部と、前記主側壁に入口が設けられた給電部とを備える電気機器において、前記頂壁に上向きに窪んだ防水溝を設けるようにした。
【0008】
この構成によれば、本体の上部から側部を伝って下部に流れ、凹部の開口の上側に到達した水のほとんどは重力方向に落下する。そして、それ以外の残りの水は、凹部の開口の上側から頂壁を伝ってさらに給電部側へ向かって流れる。この水を頂壁に設けられた上向きに窪んだ防水溝で遮断もしくは、防水溝に入り込ませることにより、凹部の給電部の入口への水の浸入を確実に防止できる。また、凹部の開口の形状を変更する必要がないので、電気機器本体の大型化を回避できる。さらに、上向きに窪んだ防水溝が補強リブの役割を果たすため、頂壁部の強度を高めることができる。
【0009】
前記防水溝の両端部はそれぞれ、前記給電部の入口以外の主側壁または前記副側壁に位置することが好ましい。この構成によれば、防水溝に入り込んだ水を防水溝内部の内壁を伝わせて給電部の入口から離れた端部に移動させることができるので、主側壁に設けられた給電部の入口への水の浸入を確実に防止できる。
【0010】
前記端部と連結された側壁溝を前記主側壁と前記副側壁のうち少なくとも一方に設けることが好ましい。この構成によれば、防水溝の端部に移動させた水を、側壁溝を通して本体から確実に排出できる。
【0011】
前記防水溝の深さは、前記給電部の入口に近い方の端部から遠い方の端部に向かって浅くなることが好ましい。この構成によれば、防水溝に入り込んだ水を、防水溝を伝って給電部の入口に近い方の端部から遠い方の端部へと送ることができる。防水溝の端部に送られた水は、本体から略重力方向に排出される。
【0012】
前記防水溝の深さは、前記開口側の外縁から前記給電部側に向かって深くなることが好ましい。この構成によれば、防水溝は、開口側の外縁から給電部側に向かって登り勾配の傾斜面を形成しているので、開口側の外縁側から防水溝に入り込んだ水が登り勾配の傾斜面を乗り越えて給電部側に浸入するのを確実に防止できる。
【0013】
前記給電部は、一方に前記入口として差込口が形成され、かつ、他方側に端子が装着された端子ケーシングを備えることが好ましい。この構成によれば、頂壁の防水溝が上向きに窪んでいるので、凹部に給電部の差込口を設けても電源コードを差込口に接続する際に、電源コードを凹部に挿入し難くなることを回避できる。
【0014】
前記端子ケーシングの前記差込口側の上面に、前記主側壁に沿って溝を設けることが好ましい。この構成によれば、万一凹部の頂壁を伝う水が防水溝を越えて、さらに頂壁を伝い、主側壁に到達した場合であっても、主側壁を伝う水が給電部に接触する前に、その水を溝に流れ込ませることにより、給電部への水の浸入を確実に防止できる。そして、端子ケーシングの側面を伝わせて電気機器本体から水を排出することができる。
【0015】
前記給電部は、前記本体の内部に収容されたコードリールに巻回された電源コードを備え、前記入口は前記電源コードの挿通口であることが好ましい。この構成によれば、防水溝に頂壁を伝う水を入り込ませることにより給電部に水が浸入することを防止できる。したがって、挿通口から電源コードを伝って本体内部のコードリール側への水の浸入を確実に防止できる。
【0016】
凹部の頂壁の開口側の外縁に複数の防水溝を設けることで、給電部への水の浸入をより確実に防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、凹部の頂壁に上向きに窪んだ防水溝を設けているので、機器本体の大型化および給電部への接続に際して困難を伴う凹部構造の形成を回避しつつ、給電部への水の浸入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の炊飯器を示す上方斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態の炊飯器を示す下方斜視図。
【図3】凹部の給電部を示す部分下方斜視図。
【図4】防水溝が設けられた頂壁を示す部分拡大図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】主側壁と2つの副側壁により形成された凹部を示す部分拡大図。
【図7】防水溝と連結された側壁溝が設けられた凹部を示す模式断面図。
【図8】(a)は深さが変化する防水溝の一例を示す模式図、(b)は深さが変化する防水溝の他の例を示す部分拡大断面図。
【図9】差込口側の上面に溝を備える端子ケーシングを示す部分拡大断面図。
【図10】コードリール型の電源コードを備える本発明にかかる炊飯器を示す底面図。
【図11】2つの防水溝が設けられた頂壁を示す部分拡大図。
【図12】(a)ないし(c)はそれぞれ異なる形状の防水溝を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明の第1実施形態の電気機器の一例である炊飯器を示す。この炊飯器は、炊飯器本体10の上部に蓋体11を開閉可能にヒンジ接続している。炊飯器本体10の内部には、飯米と水をセットした内鍋(図示せず)が着脱可能に装着される。内鍋を誘導加熱コイルなどの加熱手段によって加熱することにより、内鍋内を加熱して飯米を炊飯する。
【0021】
炊飯器本体10は、上下端を開口した筒状をなす胴体12と、胴体12の上端開口のうち閉塞位置の蓋体11を除く部分を閉塞する肩体13と、胴体12の下端開口を閉塞する底体14とを有する。底体14は、給電部15を有する凹部16を備えている。この凹部16付近の構造については、後に詳述する。
【0022】
肩体13には蓋体11を回転可能に取り付けたヒンジ(図示せず)が設けられ、このヒンジはヒンジカバー17で覆われている。胴体12に取り付けられた回動自在のハンドル18を規制するストッパ部19がヒンジカバー17に設けられている。また、肩体13の前面には操作パネル部20が設けられている。
【0023】
凹部16付近の構造について説明する。以下の説明では、特に指定しない限り前後左右は炊飯器を正面から見た場合(操作パネル部20に正対した場合)を基準にする。
【0024】
図3及び図4を参照すると、炊飯器本体(以下、本体とする。)10の右側後方の側部21と背面部22が交わる隅領域には、底体14に凹部16が形成されている。凹部16は、本体10の側部21、背面部22、及び下方の3方向に向いた開口23を有する。凹部16の上方の境界を画定する頂壁24から、互いに隣接する主側壁25と副側壁26が下向きに延びている。主側壁25と副側壁26は底面視でL字状を呈している。主側壁25の後端には給電部側壁27と別の副側壁28とにより底面視でL字状の段部が形成されている。給電部側壁27は、主側壁25に隣接している。別の副側壁28は、給電部側壁27に隣接している。これら給電部側壁27と別の副側壁28も、頂壁24から下向きに延びている。主側壁25、副側壁26、給電部側壁27、および別の副側壁28の縁により開口23が画定されている。本実施形態では、頂壁24は実質的に水平面(法線が鉛直方向を向いた面)であり、主側壁25、副側壁26、給電部側壁27、および別の副側壁28はいずれも実質的に鉛直面(法線が水平方向を向いた面)である。
【0025】
頂壁24の底面視での輪郭は、一つの円弧(側部21と背面部22の隅領域に対応する)である外縁29と、外縁29の両端から延びて互いに直交する2本の直線部分とからなる略扇形である。
【0026】
また、図4および図5に示すように、頂壁24には、外縁29に沿って上向きに窪んだ防水溝30が設けられている。防水溝30は底面視で円弧状である。防水溝30の一端30aは、副側壁26と隣接するように位置している。他端30bは、別の副側壁28と隣接するように位置している。すなわち、防水溝30の両端部30a,30bは、底面視で給電部15の差込口(入口)31を越えた所に位置している。そして、上向きに窪んだ防水溝30は補強リブの役割を果たしている。防水溝30の幅は、2〜5mmであり、好ましくは、3mmである。防水溝30の深さは、2〜5mmであり、好ましくは、3mmである。本実施形態では、防水溝30の断面形状は矩形であるが三角形、五角形、半円、半だ円等、他の形状でもよい。
【0027】
主側壁25は、底面視で前後に延びており、凹部16の本体10左方向の境界を画定する。主側壁25は略矩形である。主側壁25は、上端が頂壁24と連続し、下端が底体14の底面37と連続している。
【0028】
本体10は給電のための電源コードのコネクタを接続するための給電部15を備える。給電部15の差込口31は、主側壁25の給電部側壁27に隣接した位置に設けられている。本実施形態における差込口31は概ね矩形状の開口である。給電部15の端子ケーシング33は、底体14の底面37に形成された概ね矩形状の窪み32に収容されている。この窪み32は底面37の一部を構成するように底体14にねじ止めされた蓋35によって閉鎖されている。蓋35を取り外せば、窪み32に対して端子ケーシング33を着脱できる。端子ケーシング33は、一端側に前述した差込口31を備え、他端側に内部機器(図示せず)と電気的接続された3本の端子34が装着されている。
【0029】
主側壁25には、差込口31の副側壁26に近い側の縁上に位置するガイド部36が設けられている。ガイド部36は、頂壁24に対して略直交するように突起状に形成されている。ガイド部36は、電源コードのコネクタ(図示せず)を差込口31に確実に挿入できるように案内する。
【0030】
副側壁26は、底面視で左右に延びており、凹部16の本体10前方向の境界を画定する。図3を参照すると、副側壁26の後方から見た輪郭は、1つの円弧(底体14の曲面に相当)と、円弧の両端から延びて互いに直交する2本の直線部分とにより囲まれて形成された略扇形である。
【0031】
図3を参照すると、給電部側壁27の後方から見た輪郭は略矩形である。給電部側壁27は、主側壁25から本体10の中心側に延びている。
【0032】
図3を参照すると、別の副側壁28の側方から見た輪郭は、略直角三角形である。差込口31を正面視した場合において、別の副側壁28は、差込口31よりも奥に位置している。
【0033】
底体14の底面37には、本体10を支持する脚部38が複数設けられている。そのうちの1つは、主側壁25と副側壁26の交点付近に配置されている。
【0034】
次に、本発明の第1実施形態の電気機器の一例である炊飯器本体10の凹部16の上方の側部21または背面部22に付着した水の移動経路について説明する。
【0035】
本体10の凹部16の上方の側部21または背面部22に付着した水は、側部21上および/または背面部22上を下方に移動する。そして、その水は凹部16の開口23、すなわち、頂壁24の外縁29に到達する。
【0036】
頂壁24の外縁29に到達した水の一部は、外縁29からそのまま下方に落下し、本体10から離れる。
【0037】
頂壁24の外縁29に到達した水の残りの一部は、頂壁24を伝ってさらに給電部15側へ向かって流れる。しかし、この水は、外縁29に沿って設けられた防水溝30に入り込む。
【0038】
そして、防水溝30に入り込んだ水の一部は、防水溝30から下方に落下し、本体10から離れる。
【0039】
また、防水溝30に入り込んだ水の残りの一部は、内壁を伝って端部30a,30bへと移動する。端部30a,30bに移動した水は、端部30a,30bから副側壁26や別の副側壁28を伝って下方に落下し、本体10から離れる。
【0040】
このようにして、凹部16の給電部15への水の浸入を確実に防止できる。
【0041】
特に、防水溝30に入り込んだ水を防水溝30内部の内壁を伝わせて給電部15の差込口31を越えた端部30a,30bに移動させることができるので、主側壁25に設けられた給電部15への水の浸入を確実に防止できる。本実施形態では、給電部15と別の副側壁28との間に給電部側壁27を介在させているので、給電部15の差込口31に近い方の端部30bからの水が別の副側壁28を伝う場合であっても、給電部側壁27によって給電部15の差込口31側への移動が阻止され、給電部15への水の浸入を確実に防止できる。
【0042】
防水のために庇のような下向きに突出する部分を頂壁24に設ける必要がなく、凹部16の開口23の高さは電源コードのコネクタの進入を許容する必要最小限の寸法に設定できるので、本体10の高さ方向の大型化を回避できる。また、頂壁24の防水溝30が上向きに窪んでいるので、凹部16に給電部15の差込口31を設けても電源コードを差込口31に接続する際に、電源コードを凹部16に挿入し難くなることを回避できる。さらに、上向きに窪んだ防水溝30が補強リブの役割を果たすため、頂壁24の強度を高めることができる。なお、折れ曲がった形状の断面を有する突起状の庇部を形成する場合、製造工程が複雑になるばかりでなく、強度を確保することも困難になるのに対し、異なる方向に延びる複数の防水溝が連続するように接続された折れ曲がった形状の防水溝を形成する場合には、製造工程は相対的に容易であり、強度の面においては、さらに向上させることができるという点で有利である。
【0043】
本発明によれば、本体10下部に設けられ側部21に向いて開口する凹部16の内部に給電部15を備える電気機器10において、機器本体10の大型化および給電部15への接続に際して困難を伴う凹部16構造の形成を回避しつつ、給電部15への水の浸入を確実に防止することができる。
【0044】
図6は、本発明の第2実施形態の電気機器の一例である炊飯器本体10の給電部15の部分拡大図である。本実施形態において、底体14を除いて第1実施形態と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0045】
本体10の背面部22の下部中央の領域には、底体14に凹部16が形成されている。凹部16は、本体10の背面部22、および、下方の2方向に向いた開口23を有する。凹部16の上方の境界を画定する頂壁24から、主側壁25と主側壁25にそれぞれ隣接する副側壁26A,26Bとが下向きに延びている。頂壁24の底面視での輪郭は、略矩形である。主側壁25と副側壁26A,26Bは底面視でコの字状を呈している。頂壁24,主側壁25、副側壁26A,26Bの縁により開口23が画定されている。本実施形態では、頂壁24は実質的に水平面(法線が鉛直方向を向いた面)であり、主側壁25、副側壁26A,26Bはいずれも実質的に鉛直面(法線が水平方向を向いた面)である。本実施形態では、凹部16を背面部22の底体14の中央に設けたが、これだけに限定されず、例えば底体14の側部21等に設けてもよい。
【0046】
頂壁24には、外縁29に沿って上向きに窪んだ防水溝30が設けられている。防水溝30は底面視で直線状である。防水溝30の一端30cは、副側壁26Aと隣接するように位置している。他端30dは、副側壁26Bと隣接するように位置している。すなわち、防水溝30の両端部30c,30dは、底面視で給電部15の差込口(入口)31を越えた所に位置している。そして、上向きに窪んだ防水溝30は補強リブの役割を果たしている。防水溝30の幅は、2〜5mmであり、好ましくは、3mmである。防水溝30の深さは、2〜5mmであり、好ましくは、3mmである。本実施形態では、防水溝30の断面形状は矩形であるが三角形、五角形、半円、半だ円等、他の形状でもよい。
【0047】
主側壁25は、底面視で左右に延びており、凹部16の本体10前方向の境界を画定する。主側壁25は略矩形である。主側壁25は、上端が頂壁24と連続し、下端が底体14の底面37と連続している。
【0048】
本体10は給電のための電源コードのコネクタを接続するための給電部15を備える。給電部15の差込口31は、主側壁25の左右方向の中央に設けられている。
【0049】
副側壁26A,26Bは、それぞれ、底面視で前後に延びている。副側壁26Aは、凹部16の本体10左方向の境界を画定する。副側壁26Bは、凹部16の本体10右方向の境界を画定する。
【0050】
本実施形態においても、凹部16の上方の背面部22に付着した水の移動経路については、第1実施形態と同様である。
【0051】
したがって、凹部16の給電部15への水の浸入を確実に防止できる。
【0052】
特に、防水溝30に入り込んだ水を防水溝30内部の内壁を伝わせて給電部15の差込口31を越えた端部30c,30dに移動させ、副側壁26Aおよび/または副側壁26Bを伝わせて本体10から排出できるので、主側壁25に設けられた給電部15への水の浸入を確実に防止できる。
【0053】
防水のために庇のような下向きに突出する部分を頂壁24に設ける必要がなく、凹部16の開口23の高さは電源コードのコネクタの進入を許容する必要最小限の寸法に設定できるので、本体10の高さ方向の大型化を回避できる。さらに、上向きに窪んだ防水溝30が補強リブの役割を果たすため、頂壁24の強度を高めることができる。
【0054】
本発明によれば、本体10下部に設けられ側部21に向いて開口する凹部16の内部に給電部15を備える電気機器10において、機器本体10の大型化および給電部15への接続に際して困難を伴う凹部16構造の形成を回避しつつ、給電部15への水の浸入を確実に防止することができる。
【0055】
本発明は実施形態のものに限定されず、以下に例示するように種々の変形が可能である。
【0056】
図6および図7中の二点鎖線により示すように、防水溝30の端部30a,30b,30c,30dと連続するように、副側壁26,26A,26B,28に側壁溝41を設けてもよい。また、後述の防水溝30A,30Bの端部30h,30j,30k,30mにおいても同様である。この構成によれば、防水溝30の端部30a,30b,30c,30dに移動させた水を、防水溝30の端部30a,30b,30c,30dと接する側壁26,26A,26B,28の側壁溝41を通して本体10から確実に排出できる。
【0057】
図8(a)に示すように、防水溝30の深さは、給電部15の差込口31に近い方の端部から遠い方の端部に向かって浅くなるように形成してもよい。具体的には、副側壁26の端部30aの深さd1よりも別の副側壁28の端部30bの深さd2が大きくなり、かつ、端部30aから端部30bへ向けて深くなるように防水溝30の底壁に傾斜を持たせる。この構成によれば、防水溝30に入り込んだ水を、防水溝30を伝って給電部15の差込口31に近い方の端部30bから遠い方の端部30aへと送ることができる。防水溝30の端部30aに送られた水は、本体10から略重力方向に排出することができる。また、図8(b)に示すように、防水溝30の深さは、開口23側の外縁29から給電部15側に向かって深くなるように形成してもよい。具体的には、外縁29側の端部30eの深さd3よりも給電部15側の端部30fの深さd4が大きくなり、かつ、端部30eから端部30fへ向けて深くなるような傾斜面30gを防水溝30の底壁に形成する。この構成によれば、防水溝30は、開口23側の外縁29から給電部15側に向かって登り勾配の傾斜面30gを形成しているので、開口23側の外縁29側から防水溝30に入り込んだ水が登り勾配の傾斜面30gを乗り越えて給電部15側に浸入するのを確実に防止できる。
【0058】
図9に示すように、端子ケーシング33の差込口31側の先端は、主側壁25を側面視した場合、主側壁25に対して本体10の外側に向かって出っ張っている。端子ケーシング33の差込口31側の外周縁に突出したあご部43が設けられている。端子ケーシング33の上面には、差込口31を正面視した場合における幅方向全体にあご部43から間隔をあけて壁47が設けられている。壁47の背面は主側壁25と当接している。あご部43と壁47の間には、溝44が形成されている。すなわち、端子ケーシング33の差込口31側の上面に、主側壁25に沿って溝44が設けられている。この構成によれば、凹部16の頂壁24を伝う水が万一防水溝30を越えて、さらに頂壁24を伝い、主側壁25に到達した場合であっても、主側壁25を伝う水が給電部15に接触する前に、その水を溝44に流れ込ませることにより、給電部15への水の浸入を確実に防止できる。そして、溝44から端子ケーシング33の側面を伝わせて電気機器本体10から水を排出することができる。
【0059】
図10に示すように、給電部15は、本体10の内部に収容されたコードリール45に巻回された電源コード46を備えていてもよい。電源コード46は、入口として形成された挿通口52から取り出し、または、挿通口52を通して本体10内部へ収納することができる。
【0060】
図11に示すように、防水溝30を互いに間隔をあけて複数設けてもよい。この構成によれば、頂壁24を伝う水が仮に1つの防水溝30を乗り越えても次の防水溝30に捕捉されるので、給電部15への水の浸入をより確実に防止できる。
【0061】
図7中の二点鎖線に概念的に示すように、防水溝30Aは、一端30hが副側壁26上に位置し、他端30jが給電部15の差込口31より主側壁25上で後ろ側に位置するように外縁29から離れて直線状に形成してもよい。また、防水溝30Bのように、端部30k,30mが主側壁25上で差込口31の前後に位置するように外縁29から離れて円弧状に形成してもよい。
【0062】
防水溝30は図12(a)に示すように断面が矩形状に形成されているものを説明したが、特にこれだけに限定されない。例えば、図12(b)に示すように、防水溝30を、底壁がない溝孔状に本体10と連通するように形成してもよい。また、図12(c)に示すように、防水溝30の一方(好ましくは、給電部15側)の略垂直壁48の頂部49において、略水平壁50との間に隙間51をあけて本体10内部と連通するように防水溝30を形成してもよい。このような形状にすることにより、頂壁24の強度を高めることはできないものの、本体10内部の水を防水溝30を通して外部へ排出することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 炊飯器本体(本体)
11 蓋体
12 胴体
13 肩体
14 底体
15 給電部
16 凹部
17 ヒンジカバー
18 ハンドル
19 ストッパ部
20 操作パネル部
21 側部
22 背面部
23 開口
24 頂壁
25 主側壁
26,28 副側壁
26A,26B 副側壁
27 給電部側壁
29 外縁
30,30A,30B 防水溝
30a,30b,30c,30d,30e,30f 端部
30g 傾斜面
30h,30j,30k,30m 端部
31 差込口(入口)
32 窪み
33 端子ケーシング
34 端子
35 蓋
36 ガイド部
37 底面
38 脚部
41 側壁溝
43 あご部
44 溝
45 コードリール
46 電源コード
47 壁
48 垂直壁
49 頂部
50 水平壁
51 隙間
52 挿通口(入口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の下部に設けられ、略水平面の頂壁と該頂壁と連続する主側壁と少なくとも1つの副側壁とを備え、前記本体の側部に向いた開口を有する凹部と、
前記主側壁に入口が設けられた給電部と
を備える電気機器において、
前記頂壁に上向きに窪んだ防水溝を設けたことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記防水溝の両端部はそれぞれ、前記給電部の入口以外の主側壁または前記副側壁に位置することを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記端部と連結された側壁溝を前記主側壁と前記副側壁のうち少なくとも一方に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記防水溝の深さは、前記給電部の入口に近い方の端部から遠い方の端部に向かって浅くなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項5】
前記防水溝の深さは、前記開口側の外縁から前記給電部側に向かって深くなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記給電部は、一方に前記入口として差込口が形成され、かつ、他方側に端子が装着された端子ケーシングを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記端子ケーシングの前記差込口側の上面に、前記主側壁に沿って溝を設けたことを特徴とする請求項6に記載の電気機器。
【請求項8】
前記給電部は、前記本体の内部に収容されたコードリールに巻回された電源コードを備え、前記入口は前記電源コードの挿通口であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項9】
前記防水溝を互いに間隔をあけて複数設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−61227(P2012−61227A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209392(P2010−209392)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】