説明

電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法

【課題】OBCとモーターの廃熱を室内暖房とモーターの予熱に活用することで電気自動車の燃費を向上させる電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法を提供する。
【解決手段】冷却水の流れを制御するウォーターポンプ、ウォーターポンプの冷却水ラインの出口側で並列に分岐されたOBC冷却水ラインとモーター冷却水ライン、及び、ウォーターポンプ冷却水ラインの入口側とOBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインの出口側合流地点とにそれぞれ並列に連結されたヒーターコア冷却水ラインとラジエーター冷却水ライン、を含み、ウォーターポンプ冷却水ラインの出口側とOBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインの分岐される入口側とは第1バルブで連結され、OBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインの出口側合流地点とヒーターコア冷却水ライン及びラジエーター冷却水ラインとは第2バルブで連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法に係り、より詳しくは、電気自動車の車載充電器(OBC)やモーターから発生する廃熱を車両の暖房に効果的に用いて、車両の燃費を向上させる電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は電気自動車の車載充電器(OBC:onboard charger)やモーターから発生する廃熱を効果的に用いて車両の全体的な燃費と暖房性能を最適化する廃熱管理システム及び管理方法に関するものである。
本発明で、電気自動車とは、電気を主動力源として使用する車両を意味し、電気をバッテリーに充電して駆動源のモーターに供給するシステムを備えた車両を言う。例えば、充電式電気自動車やハイブリッド車両、燃料電池車両などを挙げることができる。
【0003】
電気自動車には、バッテリーの充電のための車載充電器(以下、OBCと略す)が設置される。OBCは車両のバッテリーを家庭用の110Vまたは220Vなどの電源に接続して緩速で充電するための装備である。また、電気自動車には低電圧直流変換器(LDC:low voltage dc to dc converter;以下、LDCと略す)が設置され、バッテリーの電源で車両の電装品などを作動させ、そして、バッテリーの電源はインバーターを介してモーターを作動させ、車両に駆動力を与える。
電気自動車のOBC、LDC、インバーター、モーターはいずれも動作の際に熱を発生させる装備であり、充電の際にはOBCが発熱し、走行の際にはインバーターとモーターが発熱し、電装品作動の際にはLDCが発熱する。
【0004】
このような発熱機器からの廃熱を適切に活用すると、車両の全体的なエネルギー収支を改善してバッテリーの限界克服に役立てることができ、さらに冬季にインバーターやモーターを予熱することで燃料を節約することができる。
図1に従来の電気自動車の廃熱管理システムを示した。従来の廃熱管理システムは、図1に示したとおり、室内暖房の場合、暖房用のPTCヒーター(セラミックヒーター)10とブロワー12を別途使用しているため電気を多く消費し、一方、モータールームではウォーターポンプ20、LDC30、インバーター40、モーター50、OBC60を単純に直列で連結した水冷手段、及び/または、ラジエーター70を通過した風をファン72の駆動により送風する空冷手段を採用しているため、廃熱を利用することができなかった(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
また、従来構造においては、OBC60の廃熱を利用しようとしても、室内の暖房経路とは別経路となっており、さらに、ラジエーター70によって熱が散失されるため、室内の暖房として廃熱を充分に用いることができなかった。
OBC60の機能は、バッテリーの再充電が必要な場合、専用充電所で急速充電させるか、または、家庭用交流電源を変圧器によって昇圧し整流器によってDC電源に変換させて高電圧バッテリーを充電させることであり、充電の際、過熱防止のために冷却水を循環させるウォーターポンプ20と放熱機能を有するラジエーター70及びファン72を有する冷却設備でOBCが一定温度以上に到逹することがないように制御されている。しかし、従来のOBC60は、モーター50とインバーター40などを冷却する循環サイクル内に配置されているため、走行の際にも無意味な熱交換を行っていた。
【0006】
上記の状況から、OBC60とモーター50からの廃熱をより効果的に活用することにより、電気自動車のバッテリー性能を最大に活用できる廃熱管理システムとその管理方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−022466号公報
【特許文献2】特開2002−187435号公報
【特許文献3】特開2009−261197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、OBCとモーターの廃熱を室内暖房とモーターの予熱に活用することで電気自動車の燃費を向上させる電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明による電気自動車の廃熱管理システムは、冷却水の流れを制御するウォーターポンプ、ウォーターポンプ冷却水ラインの出口側で並列に分岐されたOBC冷却水ラインとモーター冷却水ライン、及び、ウォーターポンプ冷却水ラインの入口側とOBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインの出口側の合流地点とにそれぞれ並列に連結されたヒーターコア冷却水ラインとラジエーター冷却水ライン、を含むことを特徴とする。
【0010】
OBC冷却水ラインにはOBCとLDCが直列に連結されるか、または、ウォーターポンプ冷却水ラインの出口側にはOBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインとともにLDC冷却水ラインが並列にさらに分岐されることが好ましい。
ウォーターポンプ冷却水ラインの出口側とOBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインの分岐される入口側とは第1バルブで連結されることが好ましく、OBC冷却水ライン及びモーター冷却水ラインの出口側合流地点とヒーターコア冷却水ライン及びラジエーター冷却水ラインとは第2バルブで連結されることが好ましい。
車両に暖房が必要であると確認される場合、バッテリー充電中にはOBC冷却水ライン、モーター冷却水ライン及びヒーターコア冷却水ラインに冷却水が流れるように制御し、バッテリー非充電中にはモーター冷却水ライン及びヒーターコア冷却水ラインに冷却水が流れるように制御する制御部をさらに含むことが好ましい。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の電気自動車の廃熱管理方法は、ウォーターポンプから並列に分岐されたOBC冷却水ラインとモーター冷却水ラインとを用いる電気自動車の廃熱管理方法であって、暖房または冷房が必要であるかを判断する温度判断段階、及び暖房が必要であると判断された場合、バッテリー充電状態を確認し、充電中の場合、OBC冷却水ライン、モーター冷却水ライン及びヒーターコア冷却水ラインに冷却水が流れるように制御し、非充電中の場合、モーター冷却水ライン及びヒーターコア冷却水ラインに冷却水が流れるように制御する暖房段階を含むことを特徴とする。
暖房段階は、冷房が必要であると判断された場合、OBC冷却水ライン、モーター冷却水ライン及びラジエーター冷却水ラインに冷却水が流れるように制御する冷房段階をさらに含むことが好ましい。
温度判断段階は、車両の室外温度または室内温度または空調装置の使用者設定温度に基づいて暖房または冷房が必要であるかを判断することが好ましい。
【0012】
暖房段階は、バッテリー充電中の場合、前もって設定された段階に従ってウォーターポンプの稼動、ヒーターコア側ブロワーの稼動、ラジエーター冷却水ラインへの冷却水放流を順次実行することが好ましい。
暖房段階は、バッテリー非充電の場合、前もって設定された段階に従ってウォーターポンプの稼動、ラジエーター冷却水ラインへの冷却水放流を順次実行することが好ましい。
前もって設定された段階は、冷却水の温度が上昇する程度に基づいて設定されることが好ましい。
暖房段階は、前もって設定された段階に従ってラジエーター冷却水ラインへの冷却水放流を実行した後、エアフラップの開放とラジエーター側ファンの稼動をさらに順次実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法によれば、OBCとモーターの廃熱を室内暖房とモーターの予熱に活用することで電気自動車の燃費を上昇させることができる。
また、段階別に制御することで電気を効率よく使うことができ、各部品の発熱による安全性も確保することができる。
そして、それぞれの状況に適した制御をすることで、夏季と冬季に共にエネルギー消費を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の電気自動車の廃熱管理システムを示す図である。
【図2】本発明の一実施例による電気自動車の廃熱管理システムを示す図である。
【図3】図2に示した電気自動車の廃熱管理システムの多方向バルブを示す図である。
【図4】図2に示した電気自動車の廃熱管理システムを活用した廃熱管理方法のフローチャートである。
【図5】図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち暖房充電制御方法のフローチャートである。
【図6】図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち暖房走行制御方法のフローチャートである。
【図7】図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち冷房充電制御方法のフローチャートである。
【図8】図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち冷房走行制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法の実施例について詳細に説明する。
図2は本発明の一実施例による電気自動車の廃熱管理システムを示す図である。この廃熱管理システムは、冷却水の流れを制御するウォーターポンプ100、ウォーターポンプ100が連結されたウォーターポンプ冷却水ラインAの出口側で並列に分岐されたOBC300を冷却するOBC冷却水ラインCとモーター200を冷却するモーター冷却水ラインB、及び、ウォーターポンプ冷却水ラインAの入口側と、OBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBの出口側の合流地点とにそれぞれ並列に連結されたヒーターコア400周囲を流れるヒーターコア冷却水ラインDとラジエーター500周囲を流れるラジエーター冷却水ラインE、を含んでなる。
【0016】
具体的に、車両は大別して室内側とモータールームに分けられる。室内側には室内を暖房するヒーターコア400が配置され、モータールームには冷却水の流れを制御するウォーターポンプ100、車両駆動源のモーター200、車載充電器であるOBC300及び放熱機能を有するラジエーター500が配置される。そして、このようなそれぞれの構成はいずれも冷却水ラインで連結されることにより、一側で発生した廃熱を他側に伝送することができる。この廃熱の伝送は制御部でウォーターポンプ100と多方向バルブ600、700の開閉によって制御される。
このシステムにより、電気自動車はPTCヒーター440でないヒーターコア400を活用することができ、OBC300を始めその他の発熱部品の廃熱を活用して室内の暖房をすることができる。
【0017】
ウォーターポンプ100が連結された冷却水ラインはウォーターポンプ冷却水ラインAであり、そのウォーターポンプ冷却水ラインAの出口側は分岐され、並列にOBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBが備えられる。
ウォーターポンプ冷却水ラインAの出口側には、OBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBとともにLDC冷却水ラインを並列にさらに分岐結合してもよい。LDC320は車両の電装品を作動するときに発熱するもので、OBC300に並列に連結して構成することもOBC300に直列で連結して構成することもできる。図2には直列連結の実施例を示した。OBC300とLDC320は車両駆動部のモーター200とは異なる発熱時間帯を有するため、モーター200から分離して並列に連結されことが好ましい。
【0018】
また、ウォーターポンプ冷却水ラインAの入口側とOBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBの出口側の合流地点にはヒーターコア冷却水ラインD及びラジエーター冷却水ラインEがそれぞれ並列に連結される。すなわち、ヒーターコア冷却水ラインD及びラジエーター冷却水ラインEは、図2に示したとおり、出口側がウォーターポンプ冷却水ラインAの入口側に連結され、入口側がOBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBの出口側の合流地点に連結される。これらの冷却ラインD、Eは、上記部品の発熱の際、熱を室内または室外に放出する必要がある場合に選択的に冷却水の流路となる。
【0019】
ウォーターポンプ冷却水ラインAの出口側とOBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBの分岐される入口側は多方向バルブ600(以下、第1バルブという)で連結される。この連結により、OBC300の廃熱を用いる必要がある場合には、ウォーターポンプ冷却水ラインAとOBC冷却水ラインCを連結し、モーター200の廃熱を用いる必要がある場合には、ウォーターポンプ冷却水ラインAとモーター冷却水ラインBを連結する。両者の廃熱を用いる必要があるか、あるいはOBC300の廃熱をモーター200にも送る必要がある場合には、多方向バルブ600、700を用い、両者を共に連結する。
【0020】
図3に多方向バルブの例として、第1バルブ600の構造を示した。第1バルブ600はウォーターポンプ冷却水ラインA、OBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBにそれぞれ連結される分岐が形成され、第1バルブ600の内部には複数の通孔が形成された開閉ドア630が位置し、外部には開閉ドア630を回転させるバルブ駆動部Mが設置される。第1バルブ600は開閉ドア630の回転によって流路を自由に変えることができる。
また、OBC冷却水ラインC及びモーター冷却水ラインBの出口側合流地点とヒーターコア冷却水ラインD及びラジエーター冷却水ラインEも多方向バルブ700(以下、第2バルブという)で連結される。第2バルブ700は、第1バルブ600と同様の作動様式により、ヒーターコア冷却水ラインDまたはラジエーター冷却水ラインEを選択的に連結し、廃熱を室内に送るかまたは外部に送るかを選択することができる。
【0021】
車両に暖房が必要であると判断される場合、バッテリー充電中にはOBC冷却水ラインC、モーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるようにし、バッテリー非充電中にはモーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるように制御する制御部をさらに含む。
制御部は、ウォーターポンプ100のオン/オフまたは回転数を制御することにより冷却水の流速を決定し、多方向バルブ600、700を制御することにより必要な方向に冷却水の流路を形成する。
具体的に、制御部は、車両に暖房が必要であると判断される場合、バッテリー充電中にはOBC冷却水ラインC、モーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるように制御することにより、冬季の充電中に発生するOBC300の廃熱を暖房に活用するとともにモーター200の予熱にも活用するように制御するので、モーターの初期電気消費を画期的に減少させることができる。
また、制御部は、車両に暖房が必要であると判断される場合、バッテリー非充電中にはモーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるように制御することにより、走行の際にモーター200で発生する廃熱を用いて室内の暖房を行う。この場合にはOBC300及びラジエーター500に冷却水が流れないように制御することで廃熱の散失を防止して暖房効率を極大化する。
【0022】
図4は図2に示した電気自動車の廃熱管理システムを活用した廃熱管理方法のフローチャートである。本発明の廃熱管理方法は、ウォーターポンプ100から並列に分岐されたOBC冷却水ラインCとモーター冷却水ラインBを用いる電気自動車の廃熱管理方法であって、暖房または冷房が必要であるかを判断する温度判断段階(S100)、及び暖房が必要であると判断された場合、バッテリー充電状態を確認し、充電中の場合にはOBC冷却水ラインCとモーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるように制御し(S200)、非充電中の場合にはモーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるように制御する暖房段階(S300)、を含む。
【0023】
まず、暖房または冷房が必要であるかを判断する温度判断段階(S100)を実行する。ここで、温度判断段階(S100)は車両の室外温度または室内温度あるいは空調装置の使用者設定温度に基づいて暖房または冷房が必要であるかを判断する。
暖房が必要であると判断された場合には、バッテリー充電状態を確認し(S140)、充電中の場合、OBC冷却水ラインCとモーター冷却水ラインB及びヒーターコア冷却水ラインDに冷却水が流れるように制御する。すなわち、暖房充電制御(S200)を開始する。また、走行中の場合には、暖房走行制御(S300)を実行し、充電でもなくて走行でもない場合は電装品のみを稼動した場合であり、別途の制御(S400)を実行する。
別途制御(S400、S700)の場合には多様に構成可能であるが、代表的にはウォーターポンプを稼動せずに伝導による熱伝逹のみを具現する場合を想定することができる。
一方、冷房が必要であると判断された場合には、OBC冷却水ラインC、モーター冷却水ラインB及びラジエーター冷却水ラインEに冷却水が流れるように制御する冷房段階(S500、S600)、を実行する。そして、冷房段階も暖房段階と同様に、冷房充電制御、冷房走行制御及び別途制御に区分される。
【0024】
図5は図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち暖房充電制御方法のフローチャートである。暖房段階(S200、S300)は、バッテリー充電中の場合、前もって設定された段階に従ってウォーターポンプ100の稼動、ヒーターコア側ブロワー420の稼動、ラジエーター冷却水ラインEへの冷却水放流を順次行う。そして、前もって設定された段階は冷却水の温度が上昇する程度によって設定され、暖房段階(S200、S300)は前もって設定された段階によってラジエーター冷却水ラインEへの冷却水放流を行った後、エアフラップ540の開放とラジエーター側ファン520の稼動をさらに順次実行する。
【0025】
具体的に、図5を参照して説明すると、制御が開始されると、まずウォーターポンプ100を稼動し、第1バルブ600を両方向に開放することで、OBC300とモーター200の両者に冷却水が流れる。そして、第2バルブ700はヒーターコア側だけ開放することで室内を暖房する(S210)。
その後、充電が進むにつれて冷却水の温度が60度以上になれば(S220)、室内側ヒーターコア400のブロワー420を作動させることで、より多い廃熱が室内に放出される(S230)。そして、冷却水の温度が65度以上になれば(S240)、室外のエアフラップ540を開放することで外部に放熱し、第2バルブ700を両方向に開放する(S250)。冷却温度が70度以上になれば(S260)、異常過熱と判断し、OBC300の保護のために、ラジエーター500のファン520を稼動してより多い熱を室外に排出する(S270)。
このような制御に使用された温度区間は多様に変えることができる。また、制御中にOBC300またはLDC320の自体温度異常有無を検出する場合、冷却水温度に先立ちこのような異常有無を見つけて過多発熱に対処することも可能である。これは熱効率の向上だけでなく、バッテリー充電時の安全性確保の確保になる。
【0026】
図6は電気自動車の廃熱管理方法のうち暖房走行制御方法のフローチャートである。暖房段階(S300)は、バッテリー非充電またはモーター走行中であると判断される場合、前もって設定された段階に従ってウォーターポンプ100の稼動、ラジエーター冷却水ラインEへの冷却水放流を順次行う。そして、前もって設定された段階は冷却水の温度が上昇する程度によって設定する。また、暖房段階(S300)は、前もって設定された段階に従ってラジエーター冷却水ラインEへの冷却水放流を行った後、エアフラップ540の開放とラジエーター側ファン520の稼動をさらに順次実行する。
具体的に、図6に基づいて説明すると、暖房が必要で走行中の場合には、まずウォーターポンプ100を稼動し、第1バルブ600をモーター200方向にだけで開放し、第2バルブ700はヒーターコア400側にだけ開放し、室内のブロワー420を稼動する(S310)。これにより、走行中に発生するモーター200の廃熱を効果的に室内に熱の散失なしに伝達する。
【0027】
その後、冷却水の温度が65度以上になった場合(S320)、室外のエアフラップ540を開放し、第2バルブ700を両方向に開放して外部へ熱伝逹により放熱をする(S330)。これにより、モーター200を安定した温度区間に維持することができる。
その後、冷却水が70度以上である場合(S340)、ラジエーター側のファン520を稼動して熱をさらに排出する(S350)。一方、LDC320やOBC300の自体温度も持続的にチェックすることで、これら部品が管理温度以上であるかを判断し(S360)、過熱の場合には、第1バルブ600を両方向に開放し、廃熱をモーター200と同時に室内側に送って暖房を実行し、室外に熱を排出する(S370)。
【0028】
図7は図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち冷房充電制御方法のフローチャート、図8は図4に示した電気自動車の廃熱管理方法のうち冷房走行制御方法のフローチャートである。
冷房充電制御の場合には、まずエアフラップ540を開放し、第1バルブ600を両方向に開放することで、OBC300の廃熱をモーター200でも吸収させ、第2バルブ700をラジエーター500の方向にだけ開放することで、室内に暖かい空気が流入しないようにする(S510)。
その後、冷却水の温度が60度以上になる場合(S520)、ウォーターポンプ100を稼動して熱を強力に排出し(S530)、65度以上になる場合(S540)、ラジエーターのファン520を稼動して熱を外部にさらに排出する(S550)。
【0029】
冷房走行制御の場合は冷房充電制御に近似しているが、初期段階(S610)で第2バルブ700を両方向に開放することで、モーター200の発熱量を室内でも伝導によって吸収させてモーター200の性能を一層向上させる。そして、冷却水が60度以上の場合(S620)、第2バルブ700をラジエーター500の方向にだけ開放することで、室内に熱い空気が流入しないようにする(S630)。これはモーター200の走行性能よりは室内の快適性及び冷房性能を重視した場合である。そして、これ以降の段階は冷房充電制御と同様である。
【0030】
本発明の電気自動車の廃熱管理システム及び管理方法によれば、OBC300とモーター200の廃熱を室内暖房とモーター200の予熱に活用することにより電気自動車の燃費を向上させることができる。また、段階別に制御することで電気を効率よく使うことができ、各部品の発熱による安全性も確保することができる。そして、それぞれの状況によって適正の制御することができるので、夏季と冬季に共にエネルギーを効率よく利用することができる。
【0031】
以上、本発明の特定の実施例について説明したが、本発明の権利は、上述した実施例に限定されず、請求の範囲に記載の内容によって定義され、本発明の分野における通常の知識を有する者が、請求の範囲に記載された権利範囲内で様々な変形と改作を行うことができることは自明である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、電気自動車のOBC300やモーター200から発生する廃熱を車両の暖房に効果的に用いて、車両の燃費を向上させるため、OBC及びモーターを搭載する電気自動車に適用が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10、440 PTCヒーター(セラミックヒーター)
12、420 ブロワー
20、100 ウォーターポンプ
30、320 低電圧直流変換器(LDC)
40、220 インバーター
50、200 モーター
60、300 車載充電器(ОBC)
70、500 ラジエーター
72、520 ファン
400 ヒーターコア
540 エアフラップ
600 第1バルブ(多方向バルブ)
630 開閉ドア
700 第2バルブ(多方向バルブ)
A ウォーターポンプ冷却水ライン
B モーター冷却水ライン
C OBC冷却水ライン
D ヒーターコア冷却水ライン
E ラジエーター冷却水ライン
M バルブ駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水の流れを制御するウォーターポンプ、
ウォーターポンプ冷却水ライン(A)の出口側で並列に分岐されたOBC冷却水ライン(C)とモーター冷却水ライン(B)、及び、
前記ウォーターポンプ冷却水ライン(A)の入口側と、前記OBC冷却水ライン(C)及び前記モーター冷却水ライン(B)の出口側の合流地点とにそれぞれ並列に連結されたヒーターコア冷却水ライン(D)とラジエーター冷却水ライン(E)、を含むことを特徴とする電気自動車の廃熱管理システム。
【請求項2】
前記OBC冷却水ライン(C)にはOBCとLDCが直列に連結されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の廃熱管理システム。
【請求項3】
前記ウォーターポンプ冷却水ライン(A)の出口側にはOBC冷却水ライン(C)及びモーター冷却水ライン(B)とともにLDC冷却水ラインが並列にさらに分岐されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の廃熱管理システム。
【請求項4】
前記ウォーターポンプ冷却水ライン(A)の出口側と前記OBC冷却水ライン(C)及び前記モーター冷却水ライン(B)の分岐される入口側とは第1バルブで連結されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の廃熱管理システム。
【請求項5】
前記OBC冷却水ライン(C)及び前記モーター冷却水ライン(B)の出口側合流地点と前記ヒーターコア冷却水ライン(D)及び前記ラジエーター冷却水ライン(E)とは第2バルブで連結されることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の廃熱管理システム。
【請求項6】
車両に暖房が必要であると確認される場合、バッテリー充電中には前記OBC冷却水ライン(C)、前記モーター冷却水ライン(B)及び前記ヒーターコア冷却水ライン(D)に冷却水が流れるように制御し、バッテリー非充電中には前記モーター冷却水ライン(B)及び前記ヒーターコア冷却水ライン(D)に冷却水が流れるように制御する制御部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の廃熱管理システム。
【請求項7】
ウォーターポンプから並列に分岐されたOBC冷却水ライン(C)とモーター冷却水ライン(B)とを用いる電気自動車の廃熱管理方法であって、
暖房または冷房が必要であるかを判断する温度判断段階(S100)、及び
暖房が必要であると判断された場合、バッテリー充電状態を確認し、充電中の場合、前記OBC冷却水ライン(C)、前記モーター冷却水ライン(B)及びヒーターコア冷却水ライン(D)に冷却水が流れるように制御し、非充電中の場合、前記モーター冷却水ライン(B)及び前記ヒーターコア冷却水ライン(D)に冷却水が流れるように制御する暖房段階(S200、S300)、を含むことを特徴とする電気自動車の廃熱管理方法。
【請求項8】
前記暖房段階(S200、S300)は、冷房が必要であると判断された場合、前記OBC冷却水ライン(C)、前記モーター冷却水ライン(B)及びラジエーター冷却水ライン(E)に冷却水が流れるように制御する冷房段階(S500、S600)をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の電気自動車の廃熱管理方法。
【請求項9】
前記温度判断段階(S100)は、車両の室外温度または室内温度または空調装置の使用者設定温度に基づいて暖房または冷房が必要であるかを判断することを特徴とする請求項7に記載の電気自動車の廃熱管理方法。
【請求項10】
前記暖房段階(S200、S300)は、バッテリー充電中の場合、前もって設定された段階に従ってウォーターポンプの稼動、ヒーターコア側ブロワーの稼動、ラジエーター冷却水ライン(E)への冷却水放流を順次実行することを特徴とする請求項7に記載の電気自動車の廃熱管理方法。
【請求項11】
前記暖房段階(S200、S300)は、バッテリー非充電の場合、前もって設定された段階に従ってウォーターポンプの稼動、ラジエーター冷却水ライン(E)への冷却水放流を順次実行することを特徴とする請求項7に記載の電気自動車の廃熱管理方法。
【請求項12】
前記前もって設定された段階は、冷却水の温度が上昇する程度に基づいて設定されることを特徴とする請求項10または11に記載の電気自動車の廃熱管理方法。
【請求項13】
前記暖房段階(S200、S300)は、前期前もって設定された段階に従ってラジエーター冷却水ライン(E)への冷却水放流を実行した後、エアフラップの開放とラジエーター側ファンの稼動をさらに順次実行することを特徴とする請求項10または11に記載の電気自動車の廃熱管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28323(P2013−28323A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237513(P2011−237513)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【出願人】(511156450)株式会社斗源空調 (2)
【出願人】(598078735)漢拏空調株式会社 (23)
【住所又は居所原語表記】1689−1 Sinil−dong, Daedeok−gu, Daejeon−si 306−230 KR
【Fターム(参考)】