説明

電池用セパレータ、及びその製造方法、並びに電池

【課題】PEとPPとが均一に混合し、しかも安価なセパレータ、PEとPPとが均一に混合したセパレータを簡易に且つ安価に製造できるセパレータの製造方法、及び過昇温に伴う正負極板間の短絡が生じにくく、しかも安価な電池を提供する。
【解決手段】本発明の電池用セパレータの製造方法では、ポリエチレンを主成分として含む多孔質のポリエチレン基材(多孔質PEフィルム57)について、ポリエチレンの一部をメチル化してポリプロピレンとするメチル化処理工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用セパレータの製造方法、及び電池用セパレータ、並びにこの電池用セパレータを用いた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池では、正極板と負極板との電気的な絶縁を確保するために、両極板間にセパレータを介在させている。電池のセパレータとして、様々なセパレータが提案されているが、近年、ポリエチレン(以下、PEともいう)とポリプロピレン(以下、PPともいう)とを含む多孔質セパレータが注目されている(特許文献1〜4参照)。PEとPPとを含む多孔質セパレータを用いることで、異常昇温により、電池温度がPEの融点を超えたときに、PEが溶融する一方でPPは未だ溶融しないので、溶融したPEによりセパレータの孔を閉塞することができる。これにより、正負極板間での反応を抑制して、電池温度の上昇を抑制することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平2−77108号公報
【特許文献2】特開平5−74442号公報
【特許文献3】特開平5−331306号公報
【特許文献4】特開平10−237202号公報
【0004】
特許文献1では、PEからなる層(以下、PE層ともいう)とPPからなる層(以下、PP層ともいう)とを積層したセパレータが開示されている。特に、PE層を2つのPP層で挟んだ3層構造のセパレータが好ましいと記載されている。
特許文献2では、PEとPPとの混合不織布が、電池セパレータとして開示されている。
特許文献3では、PEとPPとを成分として含む多孔質フィルムが、電池用セパレータとして開示されている。
特許文献4では、PEとPPとを成分として含む多孔質フィルム層を、PPからなる2つのPPフィルム層で挟んだ3層構造の多孔質フィルムが、電池用セパレータとして開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のセパレータでは、PE層とPP層とが別々に存在している。このため、このセパレータを用いた電池では、異常昇温により電池温度がPEの融点を超えたとき、溶融したPEで適切にPP層の孔を閉塞することができない場合があり、正負極板間の絶縁性が低下してしまう。従って、電池温度がPEの融点を超えた後、正負極板間での反応を抑制することができず、早期に熱暴走してしまう虞があった。
【0006】
また、特許文献2のセパレータは、PEとPPとの混合不織布である。この混合不織布は、PE繊維とPP繊維とを水中に分散させて、これを抄紙する手法により製造する。しかしながら、PE繊維とPP繊維とは水中で均一に分散させるのは難しく、PEとPPとが不均一なセパレータとなり易い。このため、特許文献2のセパレータを用いた電池では、電池温度がPEの融点を超えたとき、セパレータのうちPPが少ない領域において溶融したPEを保持できず、その部分において正負極板間が短絡してしまう虞があった。従って、電池温度がPEの融点を超えた後、早期に熱暴走してしまう虞があった。なお、PE繊維とPP繊維とを水中で均一に分散させるためには、時間とコストがかかり過ぎてしまう課題があった。
【0007】
また、特許文献3及び特許文献4のセパレータは、PEとPPとを成分として含む多孔質フィルムを有している。特許文献3及び特許文献4では、この多孔質フィルムを、PEとPPとを溶融し、混合して製造している。ところが、PEとPPとは相溶しないので、攪拌等して製造してもPEとPPとが不均一なフィルムとなりがちである。このため、特許文献3または特許文献4のセパレータを用いた電池でも、電池温度がPEの融点を超えたとき、セパレータのうちPPが少ない領域では溶融したPEを保持できないので、その部分において正負極板間の絶縁性が低下し、やがて短絡してしまう虞があった。従って、電池温度がPEの融点を超えた後、早期に熱暴走してしまう虞があった。なお、相溶しないPEとPPとを均一に分散させるためには、時間とコストがかかり過ぎてしまう課題があった。
【0008】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、PEとPPとが均一に混合し、しかも安価なセパレータ、PEとPPとが均一に混合したセパレータを簡易に且つ安価に製造できるセパレータの製造方法、及び過昇温に伴う正負極板間の短絡が生じにくく、しかも安価な電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その解決手段は、電池用セパレータの製造方法であって、ポリエチレンを主成分として含む多孔質のポリエチレン基材について、上記ポリエチレンの一部をメチル化してポリプロピレンとするメチル化処理工程を備える電池用セパレータの製造方法である。
【0010】
本発明の製造方法では、メチル化処理工程において、ポリエチレン基材に含まれるポリエチレンの一部をメチル化してポリプロピレンとする。これにより、ポリエチレン(以下、PEともいう)とポリプロピレン(以下、PPともいう)とが混合した電池用セパレータを得ることができる。ここで、メチル化とは、有機化合物の水素原子をメチル基で置換する反応をいい、本発明の製造方法では、ポリエチレンをポリプロピレンとする反応をいう。また、メチル化処理工程としては、例えば、ポリエチレン基材を、ヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)に浸漬させる工程を挙げることができる。このような手法によれば、ポリエチレン基材の全体にわたって均一に、ポリエチレン基材に含まれるポリエチレンをヨウ化メチルと接触(反応)させることができる。これにより、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを得ることができる。
しかも、本発明の製造方法は、従来(特許文献1〜4)の製造方法と比較して、簡易であり、且つ安価である。
【0011】
以上より、本発明の製造方法によれば、簡易に且つ安価に、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを得ることができる。このセパレータを電池に用いれば、何らかの異常により電池が過昇温し、電池温度がPEの融点(120〜130℃)を超えたときには、セパレータ全体にわたって存在するPPにより溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータの孔(空隙)を閉塞することができる。これにより、セパレータを通じての電解質の移動を抑制し、電池反応を抑制できるので、電池温度の上昇を抑制することができる。このため、電池温度がPPの融点(160〜170℃)にまで達し難くなるので、セパレータが溶融して正負極板間で短絡することを抑制できる。従って、本発明の製造方法によれば、電池の過昇温に伴う正負極板間の短絡が生じ難い(正負極板間の短絡温度を高めることができる)セパレータを、簡易に且つ安価に製造することができるといえる。
なお、ポリエチレン基材は、ポリエチレンを主成分として含む多孔質基材であれば良く、多孔質フィルムや不織布など、いずれの形態であっても良い。
【0012】
さらに、上記の電池用セパレータの製造方法であって、前記メチル化処理工程において、前記ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルに接触させる電池用セパレータの製造方法とすると良い。
【0013】
本発明の製造方法では、メチル化処理工程において、ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルに接触させる。これにより、ポリエチレン基材の全体にわたって均一に、ポリエチレン基材に含まれるポリエチレンをヨウ化メチルと接触(反応)させることができるので、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを得ることができる。
【0014】
なお、ポリエチレン基材を、ヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)に接触させる手法としては、ポリエチレン基材全体(内部まで)にわたりヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)を接触させることができる点で、ポリエチレン基材をヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)に浸漬する手法が好ましい。
【0015】
さらに、上記の電池用セパレータの製造方法であって、前記メチル化処理工程において、前記ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルとK2CO3とを含む第1混合溶液、または硫酸ジメチルとK2CO3とを含む第2混合溶液に接触させる電池用セパレータの製造方法とすると良い。
【0016】
本発明の製造方法では、メチル化処理工程において、ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルとK2CO3とを含む第1混合溶液、または硫酸ジメチルとK2CO3とを含む第2混合溶液に接触させる。K2CO3は、ポリエチレンとヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)との反応(メチル化)を促進させる触媒として機能するので、本発明の製造方法によれば、メチル化処理工程の工程時間(メチル化の反応時間)を短縮することができる。
【0017】
なお、ポリエチレン基材を、第1混合溶液(または第2混合溶液)に接触させる手法としては、ポリエチレン基材全体(内部まで)にわたり第1混合溶液(または第2混合溶液)を接触させることができる点で、ポリエチレン基材を第1混合溶液(または第2混合溶液)に浸漬する手法が好ましい。この場合、ポリエチレン基材を浸漬した第1混合溶液(または第2混合溶液)を加熱(例えば、80℃程度に加熱)すれば、より一層、PEのメチル化を促進させることができる。
【0018】
さらに、上記いずれかの電池用セパレータの製造方法であって、前記メチル化処理工程に先立って、前記ポリエチレン基材をK2CO3水溶液に接触させる工程を備える電池用セパレータの製造方法とすると良い。
【0019】
本発明の製造方法では、メチル化処理工程に先立って、前記ポリエチレン基材をK2CO3水溶液に接触させる。すなわち、ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルに接触させる前に、K2CO3水溶液に接触させる。前述のように、K2CO3は、ポリエチレンとヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)との反応を促進させる触媒として機能するので、予め、ポリエチレン基材をK2CO3水溶液に接触させておくことで、メチル化処理工程において、ポリエチレンとヨウ化メチル(または硫酸ジメチル)との反応を促進させることができる。
【0020】
なお、ポリエチレン基材をK2CO3水溶液に接触させる手法としては、ポリエチレン基材全体(内部まで)にわたりK2CO3水溶液を接触させることができる点で、ポリエチレン基材をK2CO3水溶液に浸漬する手法が好ましい。
【0021】
さらに、上記いずれかの電池用セパレータの製造方法であって、前記メチル化処理工程において、前記第1混合溶液として、ヨウ化メチルを10wt%以上、K2CO3を5wt%以上含む第1混合溶液を用い、または前記第2混合溶液として、硫酸ジメチルを10wt%以上、K2CO3を5wt%以上含む第2混合溶液を用い、上記第1混合溶液または上記第2混合溶液の温度を60℃以上100℃未満に保持しつつ、前記ポリエチレン基材を、4時間以上72時間未満、上記第1混合溶液または上記第2混合溶液に浸漬する電池用セパレータの製造方法とすると良い。
【0022】
本発明の製造方法では、メチル化処理工程において、第1混合溶液として、ヨウ化メチルを10wt%以上、K2CO3を5wt%以上含む第1混合溶液を用いる。または、第2混合溶液として、硫酸ジメチルを10wt%以上、K2CO3を5wt%以上含む第2混合溶液を用いる。しかも、この第1混合溶液(または第2混合溶液)の温度を60℃以上100℃未満に保持しつつ、ポリエチレン基材を、4時間以上72時間未満、第1混合溶液(または第2混合溶液)に浸漬する。第1混合溶液(または第2混合溶液)の温度を60℃以上100℃未満に保持しつつ、この混合溶液にポリエチレン基材を4時間以上浸漬することで、ポリエチレン基材の全体にわたって、ポリエチレン基材に含まれるポリエチレンとヨウ化メチルとを反応させることができる。これにより、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを得ることができる。
【0023】
また、第1混合溶液または第2混合溶液にポリエチレン基材を浸漬する時間を長くするほど、ポリエチレンのメチル化(メチル基への置換反応)を進行させることはできるが、浸漬時間が72時間を超えると、置換反応速度が極めて遅くなる。従って、72時間を超えて浸漬しても、72時間を経過した後は、浸漬時間に見合うだけのポリエチレンのメチル化が期待できず、生産効率の低下につながる。これに対し、本発明の製造方法では、浸漬時間を72時間未満に制限しているので、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを、効率良く得ることができる。
なお、ポリエチレン基材を浸漬した第1混合溶液または第2混合溶液の温度は、80℃程度に保持するのが好ましい。
【0024】
他の解決手段は、上記いずれかの電池用セパレータの製造方法により製造されてなる電池用セパレータである。
【0025】
本発明の電池用セパレータは、前述の製造方法により製造された電池用セパレータであるため、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合しており、しかも安価である。
本発明のセパレータを電池に用いれば、何らかの異常により電池が過昇温し、電池温度がPEの融点(120〜130℃)を超えたときには、セパレータ全体にわたって存在するPPにより溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータの孔(空隙)を閉塞することができる。
【0026】
これにより、セパレータを通じての電解質の移動を抑制し、電池反応を抑制できるので、電池温度の上昇を抑制することができる。このため、電池温度がPPの融点(160〜170℃)にまで達し難くなるので、セパレータが溶融して正負極板間で短絡することを抑制できる。
【0027】
仮に、電池温度がPEの融点を超えて上昇し続けても、電池温度がPPの融点を超えてセパレータのPPが溶融するまでは、セパレータに含まれるPPにより、溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータの孔(空隙)を閉塞することができる。これにより、電池温度がPPの融点に達するまでは、正負極板間での短絡を防止することができる。なお、この場合、PEの融点を超えてからPPの融点に至るまでの時間を長く稼ぐことができるので、その間に、安全を確保する何らかの処置を講ずることが可能となる。
【0028】
以上より、本発明の電池用セパレータは、安価で、しかも電池の過昇温に伴う正負極板間の短絡を抑制できる(正負極板間の短絡温度を高めることができる)セパレータであるといえる。
【0029】
他の解決手段は、正極板と負極板とを、上記の電池用セパレータを介して積層してなる電極体を備える電池である。
【0030】
本発明の電池は、正極板と負極板とを、前述の製造方法により製造された電池用セパレータを介して積層してなる電極体を備えている。すなわち、本発明の電池では、正極板と負極板との電気的絶縁を確保するために、ポリエチレンとポリプロピレンとがセパレータ全体にわたって均一に混合したセパレータを用いている。このため、何らかの異常により電池が過昇温し、電池温度がPEの融点を超えたときには、セパレータ全体にわたって存在するPPにより溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータの孔(空隙)を閉塞することができる。
【0031】
これにより、セパレータを通じての電解質の移動を抑制し、電池反応を抑制できるので、電池温度の上昇を抑制することができる。このため、電池温度がPPの融点(160〜170℃)にまで達し難くなるので、セパレータが溶融して正負極板間で短絡することを抑制できる。
【0032】
仮に、電池温度がPEの融点を超えて上昇し続けても、電池温度がPPの融点を超えてセパレータのPPが溶融するまでは、セパレータに含まれるPPにより、溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータの孔(空隙)を閉塞することができる。これにより、電池温度がPPの融点に達するまでは、正負極板間での短絡を防止することができる。なお、この場合、PEの融点を超えてからPPの融点に至るまでの時間を長く稼ぐことができるので、その間に、安全を確保する何らかの処置を講ずることが可能となる。
【0033】
以上より、本発明の電池は、電池の過昇温に伴う正負極板間の短絡が生じ難い(正負極板間での短絡温度が高い)電池であるといえる。さらに、前述の製造方法により製造された電池用セパレータは安価であることから、これを用いた本発明の電池も安価となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態にかかる電池100について説明する。本実施形態の電池100は、図1に示すように、直方体形状のケース110と、安全弁140と、正極端子120と、負極端子130と、電極体150とを備える角形密閉式のリチウムイオン二次電池である。
【0035】
ケース110は、金属からなり、直方体形状の収容空間をなす角形収容部111と、金属製の蓋部112とを有している。ケース110(角形収容部111)の内部には、電極体150、正極集電部材122、負極集電部材132、図示しない電解液などが収容されている。正極集電部材122及び負極集電部材132は、細長板形状の金属部材であり、それぞれ、正極端子120及び負極端子130に接続されている。電解液は、EC(エチレンカーボネート)とDEC(ジエチルカーボネート)との混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加した電解液である。
【0036】
蓋部112には、貫通孔112bが形成されている。この貫通孔112bは、円盤状をなす金属製の安全弁140により、ケース110の外側から封止されている。具体的には、安全弁140が、貫通孔112bを封止するように、蓋部112の外側面112f上に溶接されている。これにより、ケース110の内圧が開弁圧(本実施形態では、約0.6MPa)を超えると、安全弁140が開裂することでケース110の封止が開放され、ケース110内のガスを外部に排出することができる。
【0037】
電極体150は、断面長円状をなし、帯状の正極板155、負極板156、及びセパレータ157を捲回してなる扁平型の捲回体である。具体的には、正極板155と負極板156とをセパレータ157を介して積層した帯状の積層体を、断面扁平型に捲回して、電極体150を形成している。この電極体150は、その軸線方向(図1において左右方向)の一方端部(図1において右端部)に位置し、正極板155の一部のみが渦巻状に重なる正極捲回部155bと、他方端部(図1において左端部)に位置し、負極板156の一部のみが渦巻状に重なる負極捲回部156bとを有している。
【0038】
ここで、正極板155、負極板156、及びセパレータ157について、詳細に説明する。正極板155は、アルミニウム箔からなる正極基材と、この正極基材の表面のうち正極捲回部155bを除く部位に塗布された正極合材とを有している。正極合材は、正極活物質(本実施形態では、LiCoO2)と、導電化材(本実施形態では、アセチレンブラック)と、バインダ樹脂(本実施形態では、PVDF)とを含んでなる。なお、図1に示すように、正極板155のうち正極合材が塗布されていない正極捲回部155bに、正極集電部材122が溶接されている。
【0039】
負極板156は、銅箔からなる負極基材と、この負極基材の表面のうち負極捲回部156bを除く部位に塗布された負極合材とを有している。負極合材は、負極活物質(本実施形態では、黒鉛)と、バインダ樹脂(本実施形態では、PVDF)とを含んでなる。なお、図1に示すように、負極板156のうち負極合材が塗布されていない負極捲回部156bに、負極集電部材132が溶接されている。
【0040】
セパレータ157は、図2に示すように、帯状の樹脂フィルムである。具体的には、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とからなり、多数の微細な孔(空隙)が三次元に連結した多孔質フィルムである。特に、本実施形態のセパレータ157では、PEとPPとがフィルム(セパレータ157)の全体にわたり均一に混合している。このため、何らかの異常により電池100が過昇温し、電池温度がPEの融点(120〜130℃)を超えたときには、セパレータ157全体にわたって存在するPPにより溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりフィルム(セパレータ157)の孔(空隙)を閉塞することができる。
【0041】
これにより、セパレータ157を通じての電解質の移動を抑制し、電池反応を抑制できるので、電池100の温度上昇を抑制することができる。このため、電池温度がPPの融点(160〜170℃)にまで達し難くなるので、セパレータ157が溶融して正負極板間(正極基板155と負極基板156との間)で短絡することを抑制できる。
【0042】
仮に、電池温度がPEの融点を超えて上昇し続けても、電池温度がPPの融点を超えてセパレータ157のPPが溶融するまでは、セパレータ157に含まれるPPにより、溶融したPEを保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータ157の孔(空隙)を閉塞することができる。これにより、電池温度がPPの融点に達するまでは、正負極板間での短絡を防止することができる。なお、この場合、PEの融点を超えてからPPの融点に至るまでの時間を長く稼ぐことができるので、その間に、安全を確保する何らかの処置を講ずることが可能となる。
【0043】
次に、本実施形態のセパレータ157の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、厚さ25μm、幅90mm、長さ20mの帯状で、ポリエチレンからなる公知の多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)を用意する。次いで、図4に示すように、この多孔質PEフィルム57を、水3000mLにK2CO3(和光純薬製)を400g加えたK2CO3水溶液L1に、12時間浸漬する。詳細には、多孔質PEフィルム57を浸漬したK2CO3水溶液L1を、30℃の温度に保持しつつ、12時間攪拌し続けた。
【0044】
次いで、メチル化処理工程に進み、図5に示すように、K2CO3水溶液L1にヨウ化メチル(和光純薬製)を600g加えた第1混合溶液L2に、多孔質PEフィルム57を8時間浸漬した。詳細には、多孔質PEフィルム57を浸漬した第1混合溶液L2を、80℃の温度に保持しつつ、8時間攪拌し続けた。これにより、多孔質PEフィルム57をなすポリエチレンの一部を、メチル化してポリプロピレンとすることができる。すなわち、PE(ポリエチレン)とPP(ポリプロピレン)とからなる多孔質フィルム(セパレータ157に相当する)を得ることができる。その後、この多孔質フィルムを第1混合溶液L2中から取り出し、蒸留水で洗浄し、乾燥させることで、セパレータ157を得た。
なお、本実施形態では、第1混合溶液L2は、ヨウ化メチルを15wt%、K2CO3を10wt%含む水溶液となっている。
【0045】
次に、本実施形態の電池100の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
まず、正極活物質(LiCoO2)と、導電化材(アセチレンブラック)と、バインダ樹脂(PVDF)と、溶剤(N−メチルピロドリン)とを混合して、正極ペーストを作製する。次いで、この正極ペーストを正極基材(アルミニウム箔)の表面に塗布し、乾燥硬化させて、正極板155を得る。また、負極活物質(黒鉛粉末)と、バインダ樹脂(PVDF)と、溶剤(N−メチルピロドリン)とを混合して、負極ペーストを作製する。この負極ペーストを、負極基材(銅箔)の表面に塗布し、乾燥硬化させて、負極板156を得る。
【0046】
次に、正極板155と負極板156とセパレータ157とを積層し、これを捲回して断面長円状の電極体150を作製した。次いで、この電極体150を外部端子(正極端子120と負極端子130)と接続させると共に、角形収容部111内に収容した。その後、図1に示すように、角形収容部111と蓋部112とを溶接して、ケース110を形成した。
【0047】
また、これとは別に、EC(エチレンカーボネート)とDEC(ジエチルカーボネート)との混合有機溶媒に、LiPF6を溶解させた電解液を用意した。次いで、蓋部112の貫通孔112bを通じて、ケース110内に電解液を注液した。その後、図1に示すように、安全弁140を蓋部112の外側面112f上に溶接して、貫通孔112bを封止した。これにより、本実施形態の電池100が完成する。
【0048】
次に、実施形態にかかるセパレータ157の性能を評価するために、比較形態として、2つのセパレータを用意した。
(比較形態1)
比較形態1のセパレータとして、ポリエチレンからなる公知の多孔質PEフィルム57を用意した。
(比較形態2)
比較形態2のセパレータとして、PEからなる公知の多孔質PEフィルム57を、PPからなる公知の多孔質PPフィルムの間に挟んで積層した、3層積層型セパレータを用意した。
【0049】
次に、実施形態にかかるセパレータ157と比較形態1,2にかかるセパレータとの性能を比較するために、各々のセパレータを用いた3つのサンプル電池(サンプル1〜3とする)を用意した。
サンプル1にかかるサンプル電池200は、正極板155と負極板156との間を絶縁するセパレータとして、実施形態にかかるセパレータ157を用いた電池である。具体的には、図6に示すように、実施形態の電池100(図1参照)と比較して、安全弁のみが異なり、他の部位は全て同様である。
【0050】
詳細には、サンプル電池200は、実施形態にかかる電池100の安全弁140に比べて、厚みが厚く強固な安全弁240を有している。このため、サンプル電池200の開弁圧は、実施形態の電池100の開弁圧(約0.6MPa)よりも高く、約3.0MPaとされている。これにより、サンプル電池200では、後述する加熱試験において、セパレータを溶融させることで正負極板間を短絡させ、熱暴走に起因して多量のガスが発生したときに開弁することとなる。換言すれば、安全弁240が開弁するときには、正負極板間が短絡して熱暴走が生じ、これに起因して多量のガスが発生していると考えることができる。
【0051】
サンプル2は、サンプル1(サンプル電池200)と比較して、セパレータのみが異なり、その他の部位は同様である。具体的には、セパレータとして、比較形態1にかかるセパレータ(多孔質PEフィルム57)を用いている。このサンプル2の開弁圧も、サンプル1と同様に、約3.0MPaとなる。
サンプル3は、サンプル1(サンプル電池200)と比較して、セパレータのみが異なり、その他の部位は同様である。具体的には、セパレータとして、比較形態2にかかるセパレータ(3層積層型セパレータ)を用いている。このサンプル3の開弁圧も、サンプル1と同様に、約3.0MPaとなる。
【0052】
(加熱試験)
次に、実施形態にかかるセパレータ157と比較形態1,2にかかるセパレータとの性能を比較するために、サンプル1〜3について、それぞれ加熱試験を行った。具体的には、各サンプルをホットプレート上に配置し、毎分15℃の昇温速度で、各サンプルを加熱していった。各サンプルのケース110の表面に電熱対を貼付しておき、各サンプルの安全弁240が開弁したときの温度(以下、開弁温度ともいう)を測定した。この結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
ところで、各サンプルの安全弁240が開弁したとき、いずれのサンプルのケース110内からも、蓋部112の貫通孔112bを通じて、多量の黒煙が排出された。このことから、いずれのサンプルにおいても、開弁時に、セパレータの溶融により正負極板間が短絡して、熱暴走が生じていたと考えることができる。なお、排出された黒煙は、COなどを主成分として含んだガスであり、セパレータをなす樹脂(PE、PP)や、電解液に含まれている有機溶媒(EC、DEC)や、正極合材及び負極合材に含まれているバインダ樹脂(PVDF)などが燃焼して生じたガスと考えられる。
【0055】
ここで、加熱試験の結果について検討する。表1に示すように、比較形態1のセパレータを用いたサンプル2では、開弁温度が143℃であった。このサンプル2では、セパレータとして、ポリエチレンからなる多孔質PEフィルム57を用いている。従って、電池温度がPEの融点(120〜130℃)を超えたときには、セパレータ全体が溶融してしまい、早期に正負極板間が短絡してしまったといえる。
【0056】
また、比較形態2のセパレータを用いたサンプル3では、開弁温度は、サンプル2よりも高く、152℃であった。このサンプル3では、セパレータとして、多孔質PEフィルム57をPPからなる2枚の多孔質PPフィルムの間に挟んで積層した、3層積層型セパレータを用いている。このため、電池温度が電池温度がPEの融点(120〜130℃)を超えたとき、PP層(多孔質PPフィルム)の表面において、溶融したPEによりPP層の孔が一旦閉塞される。しかしながら、その後電池温度が上昇してPEの粘度が低下すると、2つのPP層の層間から溶融したPEが外部に流出してしまうと考えられる。
【0057】
従って、サンプル3では、その電池温度がサンプル2の開弁温度(143℃)に達したときでも、溶融したPEによりPP層の孔が閉塞されていたため、正負極板間において短絡が生じなかったと考えられる。しかしながら、その後、電池温度がさらに上昇して152℃に達するまでに、PEの粘度の低下に起因して、2つのPP層の層間から溶融したPEが外部に流出し、正負極板間において短絡が生じたと考えられる。
【0058】
これに対し、実施形態にかかるセパレータ157を用いたサンプル1では、開弁温度が177℃となり、サンプル2,3に比べて極めて高くなった。PPの融点が160〜170℃であることから、サンプル1では、電池温度がPPの融点を超えた後に、正負極板間において短絡が生じたことになる。換言すれば、電池温度がPPの融点を超えるまでは、セパレータ157によって、正極板155と負極板156との間の電気的絶縁が確保されていたといえる。
【0059】
すなわち、電池温度がPEの融点(120〜130℃)を超えた後は、セパレータ157に含まれるPPにより、溶融したPEを確実に保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータ157の孔(空隙)を確実に閉塞することができたといえる。さらに、電池温度がPEの融点を超えて上昇し続けても、電池温度がPPの融点を超えてセパレータ157のPPが溶融するまでは、セパレータ157に含まれるPPにより、溶融したPEを確実に保持することができ、しかも、溶融したPEによりセパレータ157の孔(空隙)を確実に閉塞することができたといえる。
【0060】
このことから、セパレータ157は、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータであるといえる。仮に、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合していなければ、電池温度がPEの融点を超えた後、セパレータのうちPPが少ない領域において溶融したPEを保持できず、電池温度がPPの融点に達する前に、その領域において正負極板間に短絡が生じると考えられるからである。
従って、実施形態にかかるセパレータの製造方法によれば、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを製造できるといえる。これは、以下のような理由によるものと考えることができる。
【0061】
前述のように、実施形態では、PEとPPとが混合した多孔質フィルム(セパレータ157)を作製する手法として、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)を、ヨウ化メチルを含む第1混合溶液L2に浸漬する手法(メチル化処理工程)を用いた。これにより、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)の全体にわたって均一に、多孔質PEフィルム57に含まれるポリエチレンをヨウ化メチルと接触(反応)させることができたと考えられる。このため、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合した多孔質フィルム(セパレータ157)を得ることができたと考えられる。
【0062】
特に、実施形態では、メチル化処理工程において、第1混合溶液L2として、ヨウ化メチルを10wt%以上(具体的には15wt%)、K2CO3を5wt%以上(具体的には10wt%)含む水溶液を用いた。しかも、この第1混合溶液L2の温度を60℃以上100℃未満(具体的には80℃)に保持しつつ、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)を、4時間以上(具体的には8時間)、第1混合溶液L2に浸漬した。このような条件でメチル化を行うことで、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)の全体にわたって、多孔質PEフィルム57に含まれるポリエチレンとヨウ化メチルとを反応させることができたと考えられる。このため、得られたセパレータ157は、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータとなったと考えられる。
【0063】
ところで、実施形態では、メチル化処理工程において、K2CO3水溶液L1にヨウ化メチルを加えた第1混合溶液L2に、多孔質PEフィルム57を浸漬している。すなわち、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)を、ヨウ化メチルとK2CO3とを含む第1混合溶液L2に浸漬している。K2CO3は、ポリエチレンとヨウ化メチルとの反応(メチル化)を促進させる触媒として機能するので、メチル化処理工程の工程時間(メチル化の反応時間)を短縮することができる。
【0064】
しかも、実施形態では、メチル化処理工程に先立って、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)をK2CO3水溶液L1に浸漬している。すなわち、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)を、ヨウ化メチルに接触させる(本実施形態では、ヨウ化メチルを含む第1混合溶液L2に浸漬する)前に、K2CO3水溶液L1に接触(浸漬)させている。
【0065】
前述のように、K2CO3は、ポリエチレンとヨウ化メチルとの反応を促進させる触媒として機能するので、予め、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)をK2CO3水溶液L1に接触(浸漬)させておくことで、後のメチル化処理工程において、ポリエチレンとヨウ化メチルとの反応をより一層促進させることができると考えられる。
従って、実施形態では、第1混合溶液L2に、多孔質PEフィルム57(ポリエチレン基材)を8時間だけ浸漬することで、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータ157を得ることができたと考えられる。
【0066】
なお、電池用セパレータとして、PEとPPとを均一に混合させた混合不織布を用いた場合でも、本実施形態のセパレータ157と同等の性能を得ることが可能であると考えられる。しかしながら、PEとPPとが均一に混合した混合不織布を製造するには、多大な時間とコストがかかってしまう問題がある。具体的には、混合不織布は、PE繊維とPP繊維とを水中に分散させて、これを抄紙する手法により製造することから、PE繊維とPP繊維とを水中で均一に分散させるためには、時間とコストがかかり過ぎてしまう。
【0067】
また、電池用セパレータとして、PEとPPとを溶融し、均一に混合して製造した多孔質フィルムを用いた場合でも、本実施形態のセパレータ157と同等の性能を得ることが可能であると考えられる。しかしながら、PEとPPとは相溶しないので、相溶しないPEとPPとを均一に分散させるためには、時間とコストがかかり過ぎてしまう問題があった。
【0068】
これに対し、本実施形態では、K2CO3水溶液L1にヨウ化メチルを加えた第1混合溶液L2に、多孔質PEフィルム57を浸漬するだけで、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータ157を得ることができた。この製造方法は、上述の混合不織布等を製造する方法に比べれば、極めて簡易であり、且つ低コストな製法である。
【0069】
以上より、本実施形態の製造方法によれば、簡易に且つ安価に、ポリエチレンとポリプロピレンとが均一に混合したセパレータを得ることができるといえる。また、本実施形態のセパレータ157は、安価で、しかも電池の過昇温に伴う正負極板間の短絡を抑制できる(正負極板間の短絡温度を高めることができる)セパレータであるといえる。従って、本実施形態のセパレータ157を用いた電池100は、電池の過昇温に伴う正負極板間での短絡が生じ難く(正負極板間での短絡温度が高く)、しかも安価な電池といえる。
【0070】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施例形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態では、ヨウ化メチルにより、多孔質PEフィルム57のPEをメチル化したが、硫酸ジメチルを用いても良い。具体的には、メチル化処理工程において、多孔質PEフィルム57を、硫酸ジメチルとK2CO3とを含む第2混合溶液L3(図5参照)に浸漬するようにしても良い。
【0071】
また、実施形態の電池100では、電極体として、正極板155と負極板156とをセパレータ157を介して積層した帯状の積層体を捲回した、捲回型の電極体150を用いた。しかしながら、電極体の形態はいずれの形態でも良く、例えば、複数の正極板155と負極板156とセパレータ157とを交互に積層した積層型の電極体としても良い。
また、実施形態のセパレータ157は、リチウムイオン二次電池である電池100に用いたが、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる電極体を備える電池であれば、いずれの種類の電池にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施形態にかかる電池100の断面図である。
【図2】実施形態にかかるセパレータ157の斜視図である。
【図3】実施形態にかかるポリエチレン基材57の斜視図である。
【図4】実施形態にかかるセパレータ157の製造方法を説明する説明図である。
【図5】実施形態にかかるセパレータ157の製造方法を説明する説明図である。
【図6】加熱試験用のサンプル電池200の断面図である。
【符号の説明】
【0073】
57 多孔質PEフィルム(ポリエチレン基材)
100 電池
150 電極体
155 正極板
156 負極板
157 セパレータ(電池用セパレータ)
L1 K2CO3水溶液
L2 第1混合溶液
L3 第2混合溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用セパレータの製造方法であって、
ポリエチレンを主成分として含む多孔質のポリエチレン基材について、上記ポリエチレンの一部をメチル化してポリプロピレンとするメチル化処理工程を備える
電池用セパレータの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電池用セパレータの製造方法であって、
前記メチル化処理工程において、
前記ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチルに接触させる
電池用セパレータの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電池用セパレータの製造方法であって、
前記メチル化処理工程において、
前記ポリエチレン基材を、ヨウ化メチルとK2CO3とを含む第1混合溶液、または硫酸ジメチルとK2CO3とを含む第2混合溶液に接触させる
電池用セパレータの製造方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電池用セパレータの製造方法であって、
前記メチル化処理工程に先立って、
前記ポリエチレン基材をK2CO3水溶液に接触させる工程を備える
電池用セパレータの製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の電池用セパレータの製造方法であって、
前記メチル化処理工程において、
前記第1混合溶液として、ヨウ化メチルを10wt%以上、K2CO3を5wt%以上含む第1混合溶液を用い、または
前記第2混合溶液として、硫酸ジメチルを10wt%以上、K2CO3を5wt%以上含む第2混合溶液を用い、
上記第1混合溶液または上記第2混合溶液の温度を60℃以上100℃未満に保持しつつ、前記ポリエチレン基材を、4時間以上72時間未満、上記第1混合溶液または上記第2混合溶液に浸漬する
電池用セパレータの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電池用セパレータの製造方法により製造されてなる
電池用セパレータ。
【請求項7】
正極板と負極板とを、請求項6に記載の電池用セパレータを介して積層してなる電極体を備える
電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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