説明

電波受信機能付き潜水機器

【課題】 ユーザが受信の可否を設定可能な電波受信機能付き携帯用小型潜水機器においてユーザの設定ミスのより、潜水中受信状態になり、正確な時刻情報等が得られず、重大な潜水障害を引き起こす事があった。
【解決手段】 外部から発信される電波情報を取得する受信手段を有する電波受信機能付き潜水機器において、少なくとも、前記潜水機器が水に濡れたことを検出する水検知手段あるいは潜水による水圧の変化を検出する水圧検知手段とを有し、前記水検知手段によって前記潜水機器が水に濡れたことを検知するか、あるいは水圧検知手段が初期状態からの圧力変化を検知することで前記潜水機器による潜水動作を検知した場合は、前記受信機能による電波受信時間を短縮させるか、あるいは電波受信を禁止させることを特徴とする電波受信機能付き潜水機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波受信機能付き潜水機器において、ユーザである潜水者が潜水活動中であることを検出して機能動作を制御した潜水機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年電波受信機能付き機器は、ユーザの要望により、多種多様な機能が搭載された製品が数多く現れている。但し、電波修正時計などにも見られるように、電波受信機能付き携帯機器は人間が携帯するため非常に小型であり、誤受信を防止するため、受信を開始した時点から、液晶等で構成されているデジタル表示部の一部あるいは、全部を停止するようにしている。又、システムとしてアナログ電子時計が搭載されている場合は、現在時刻表示を行うために指針駆動するモータを停止させている。
しかし、ダイバーにとって、現在時刻、潜水時刻あるいはその他の潜水情報は、安全に潜水を行うためには常に確認出来ることが必要であり、今までの電波受信機能付き機器の様に、現在の表示を一時的に停止することは出来ない。
以上から、その問題を解決するため、電波受信機能を搭載する場合、ユーザーがスイッチ等で、受信禁止を設定出来る様な仕様を設ける事で、潜水中に受信状態になって現在時刻等の表示が停止することを防止した。
【0003】
このような電波受信機能付き携帯用小型潜水機器の一例として、電波修正機能付きダイバー時計を取り上げ、図2、3を用いて回路構成を説明する。図2は従来の電波修正機能付きダイバー時計であり、秒針駆動用モータと、時針、分針駆動用モータを用いた指針式の電子時計である。
【0004】
各図において、1は発振部であり水晶発振器にて構成されており、発振信号XKを出力する。2は分周回路であり、分周信号群SKを出力する。3はモータ制御回路であり、該分周信号群SKを入力し、時刻用モータパルスMPA及び時刻用モータ運針終了信号HRAを出力する。又、該モータ制御回路3は、受信表示用モータパルスMPB及び受信表示用モータ運針終了信号HRBを出力する。4は時計表示部であり、該時刻用モータパルスMPA、及び受信表示用モータパルスMPBを入力し、時計表示及び受信可否表示を行う。
【0005】
40はマイクロコンピュータであり、前記発振部1からの発振信号XKを入力し、システムクロックとして動作を行う。続いて該マイクロコンピュータ40の各ポートの説明をする。OP1は出力ポートであり、時刻用モータ運針許可信号USAを出力する。IP1は入力ポートであり、前記時刻用モータ運針終了信号HRAを入力する。OP2は出力ポートであり、受信用モータ運針許可信号USBを出力する。IP2は入力ポートであり、前記受信表示用モータ運針終了信号HRBを入力する。
OP3は出力ポートであり、後述する受信回路51の受信許可信号RXEを出力する。IP3は入力ポートであり、後述する受信回路51の受信データRXDを入力する。IP10は入力ポートであり、後述する第1のスイッチ60に接続されている。IP20は入力ポートであり、後述第2のスイッチ70に接続されている。
【0006】
50はアンテナであり、外部からの送信電波を受信し、受信信号RXAを出力する。51は受信した電波を復調するための受信回路であり、該受信信号RXAを入力し、受信データRXDを出力する。60は第1のスイッチであり、片側は抵抗を介し電源のVSSレベルに接続され、もう片側はVDDレベルに接続されている。70は第2のスイッチであり、片側は、抵抗を介し電源のVSSレベルに接続され、もう片側はVDDレベルに接続
されている。
【0007】
次に、図3の説明をする。図3は、前記時計表示部4の詳細図であり、4Aは秒針、4Bは分針、4Cは時針であり、それぞれ機械的に連動しており、前記時刻用モータパルスMPAにて駆動する図示しないモータによって現在時刻表示を行う。4Dは受信表示針であり、前記受信表示用モータパルスMPBを入力して駆動する図示しないモータによって、受信が許可状態であるか、あるいは、禁止状態であるかを表示する。前記時計表示部4の文字板に描かれているRXONは受信許可指示位置であり、受信許可状態の場合、該受信表示針4DはRXONを示す。RXOFFは受信禁止指示位置であり、受信禁止状態の場合、該受信表示針4DはRXOFFを示す。以上が、従来の電波修正機能付きダイバー時計の構成である。
【0008】
続いて、従来の電波修正機能付きダイバー時計の動作説明を図2、3を用いて行う。まず通常時計状態の説明をする。マイクロコンピュータ40は、1秒毎に出力ポートOP1から時刻用モータ運針許可信号USAを出力する。モータ制御回路3は、時刻用モータ運針許可信号USAを入力すると、分周信号群SKに基づき、時刻用モータパルスMPAを出力し、秒針4Aは1秒毎に運針を行う。その後モータ制御回路3は、時刻用モータパルスMPAの出力が終了し、時刻用モータ運針終了信号HRAを出力することで、割り込み動作が発生し、マイクロコンピュータ40は、時刻用モータ運針許可信号USAを停止する。同時にモータ制御回路3は、時刻用モータ運針終了信号HRAを停止する。秒針4Aは1秒毎に運針を行う事で、機械的に連動している分針4B、時針4Cも動作し、通常時刻表示を行う。マイクロコンピュータ40は、秒針4Aの運針を制御するとともに、内部メモリに計時時間と指針針位置の関係も保つように管理を行っている。ところで通常時刻表示状態では、受信表示針4Dは、受信許可指示位置RXONを示している。
【0009】
次に、外部から送信された標準時刻情報に基づき内部時計の修正を行うとともに、時計表示部4における、秒針4A、分針4B、時針4Cの修正動作を説明する。標準時刻情報を受信するタイミングは2種類あり、定時刻に行う定時受信動作と、ユーザが任意に行う強制受信動作がある。まず、定時受信動作について説明する。
定時受信動作は、比較的受信状態が良いと考えられる午前2時に行われる。マイクロコンピュータ40は、内部計時時間が午前2時になると、今まで1秒ごとに行っていた時刻用モータ運針許可信号USAの出力を停止するとともに、出力ポートOP3から受信許可信号RXEを出力する。受信回路51は受信信号RXAの入力を開始し、受信した電波に基づいて受信データRXDを出力する。マイクロコンピュータ40は、受信データRXDを基に、正確な時刻を算出するとともに、時刻の算出が終了すると、算出した時刻に基づいて内部計時時間の修正をする。又、秒針4Aの運針を停止していた事から、現在時刻表示に復帰させるため、時刻用モータ運針許可信号USAを連続的に出力する。その結果秒針4Aは高速運針にて現在時刻に復帰する。復帰後は、通常時刻表示状態での動作である1秒毎に秒針4Aの運針を行う。
【0010】
次に、ユーザが任意に行う強制受信動作の説明をする。スイッチ60がONして入力ポートIP10が一定時間“H”レベルになると、マイクロコンピュータ40は、今まで1秒ごとに行っていた時刻用モータ運針許可信号USAを停止するとともに、出力ポートOP3から受信許可信号RXEを出力する。受信回路51は、受信信号RXAの入力を開始し、受信した電波に基づいて受信データRXDを出力する。マイクロコンピュータ40は、受信データRXDを基に、正確な時刻を算出するとともに、時刻の算出が終了すると、算出した時刻に基づいて内部計時の時間を修正する。又、秒針4Aの運針を停止していた事から、現在時刻表示に復帰させるため、時刻用モータ運針許可信号USAを連続的に出力する。その結果秒針4Aは高速運針にて現在時刻に復帰する。復帰後は、通常時刻表示状態での動作である1秒毎に秒針4Aの運針を行う。以上が標準時刻情報に基づき内部時
計及び各指針位置の修正を行う動作である。
【0011】
さて、強制的に受信を禁止する動作について説明する。スイッチ70がONして入力ポートIP20が一定時間“H”レベルになり、且つその後スイッチ60がONして入力ポートIP10が一定時間“H”レベルになると、マイクロコンピュータ40は、内部のメモリに受信禁止フラッグを書き込む。又マイクロコンピュータ40は、出力ポートOP2から受信用モータ運針許可信号USBを出力すると、モータ制御回路3は受信表示用モータパルスMPBを出力することで、受信表示針4Dは運針する。モータ制御回路3は、受信表示用モータパルスMPBの出力終了後、受信表示用モータ運針終了信号HRBを出力することで、マイクロコンピュータ40は、受信用モータ運針許可信号USBを停止する。よってモータ制御回路3は、受信表示用モータ運針終了信号HRBを停止する。前記動作を繰り返すことで、受信表示針4Dは、高速運針状態で時計表示部4に描かれている受信許可指示位置RXONから受信禁止指示位置RXOFFへ移動する。
【0012】
その後、マイクロコンピュータ40は、内部のメモリに受信禁止フラッグがあるため、時刻が午前2時に至っても、定受信動作は行わないし、スイッチ60がONして入力ポートIP10が一定時間“H”レベルになっても、強制受信は行わない。
【0013】
受信禁止の解除は、次の通りである。スイッチ70がONして入力ポートIP20が一定時間“Hレベルになり、且つその後スイッチ60がONして入力ポートIP10が一定時間“H”レベルになると、マイクロコンピュータ40は、内部のメモリに記録した受信禁止フラッグを消去する。又マイクロコンピュータ40は、出力ポートOP2から受信用モータ運針許可信号USBを出力し、モータ制御回路3は受信表示用モータパルスMPBを出力することで、受信表示針4Dは運針する。モータ制御回路3は、受信表示用モータパルスMPBの出力終了後、受信表示用モータ運針終了信号HRBを出力することで、マイクロコンピュータ40は、受信用モータ運針許可信号USBを停止する。よってモータ制御回路3は、受信表示用モータ運針終了信号HRBを停止する。前記動作を繰り返すことで、受信表示針4Dは、高速運針状態で時計表示部4に描かれている受信禁止指示位置RXOFFから受信許可指示位置RXONへ移動する。以上が従来における電波修正機能付きダイバー時計の動作説明である。
【0014】
また上述した従来技術とは別に、水深計測機能と電波受信機能を有する電子時計が特許文献1に記載されている。この特許文献1では、潜水活動中にアラームなどの重負荷が動作する場合は、一時的に照明の点灯動作や電波受信動作を禁止させるように制御することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−214981号公報(段落0028、0040〜0043、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来における電波受信機能付き潜水機器では重大な問題を持っていた。(1)経験の少ないダイバーの場合
特に経験の少ないダイバーは、潜水前の準備が不慣れな為、充分に注意が回らず、受信禁止を設定せずに、そのまま潜水を行ってしまう。
(2)ダイバー指導員の場合
同行している潜水者の指導に追われ、指導員自身が受信禁止に設定せずに、そのまま潜水を行ってしまう。
(3)緊急事態の場合
人命救助等で一刻を争う緊急事態では、受信禁止を設定せずに、そのまま潜水を行ってしまう。
以上のケースから、ユーザーがダイバー時計を受信禁止状態に設定せず潜水を行うことで、潜水中に受信状態になり、正確な時刻情報等が得られず、安全潜水の対処が出来ないあるいは不十分な為、重大な潜水障害を引き起こす事があった。
【0016】
又、電波修正機能付きダイバー時計においては、スイッチ操作にて受信の許可、禁止の設定が出来るものは、ダイバーが潜水中、無意識のうちに簡単に設定変更されない様に、竜頭が首引き状態で設定変更出来るような複雑な仕様になっており、ダイバーが潜水直前に受信禁止に設定していないことに気が付き、あわてて水に濡れたまま操作したり、あるいは竜頭の首引き状態から充分通常位置に戻さずそのまま潜水することで、時計内部に水が浸入し、機能にダメージを受けるケースがあった。
【0017】
また特許文献1の時計では、潜水活動中にアラームなどの重負荷が動作する場合は、一時的に照明の点灯動作や電波受信動作を禁止させるように制御することで、重負荷が複数動作して電池電圧が急激に低下するのを防止しているが、その制御は一時的なものなので、上記のような問題点を解決するには至らなかった。
【0018】
上記で説明したように、携帯用小型潜水機器に電波受信機能を搭載し、ユーザの操作により、受信の可否の設定させることは、ユーザの負担になるばかりか、多くの問題があることは明らかである。そのことから、ユーザの操作に頼ることなく、安全な電波受信機能付き携帯用小型潜水機器を提供する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の電波受信機能付き携帯用小型潜水機器は下記記載の構成を採用する。
【0020】
外部から発信される電波情報を取得する受信手段を有する電波受信機能付き潜水機器において、少なくとも、前記潜水機器が水に濡れたことを検出する水検知手段あるいは潜水による水圧の変化を検出する水圧検知手段とを有し、前記水検知手段によって前記潜水機器が水に濡れたことを検知するか、あるいは水圧検知手段が初期状態からの圧力変化を検知することで前記潜水機器による潜水動作を検知した場合は、前記受信機能による電波受信時間を短縮させるか、あるいは電波受信を禁止させることを特徴とする。
【0021】
また、前記水圧検知手段による前記圧力が初期状態に回復したことを検知してから、あるいは、前記水検知手段が水に濡れたことをを検知しなくなってから一定時間は、前記受信手段による受信動作の禁止を継続することを特徴とする。
【0022】
また、前記潜水機器は、通常時刻、あるいはその他の表示を行う為の複数の指針と、前記指針を動作させる為の少なくとも1つ以上のステップモータを有することを特徴とする。
【0023】
また、前記潜水機器は、通常時刻、あるいはその他の表示を行う為のデジタル表示部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明を実施する事により、電波受信機能付き潜水機器自体が、ダイバーのおかれている環境を判断し、電波受信の可否を決定するため、潜水中受信状態に移行して、ダイバーが時間経過などの潜水情報を確認できない様な危険な状況は発生しない。又、電波受信の可否を決定するための操作をする必要が無いため、初心者でも安心して使用できるし、機器の内部に水が浸入し機能にダメージを合えることも無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面に基づいて本発明の最良の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0026】
本実施例は電波受信機能付き潜水機器の一例として、電波修正機能付きダイバー時計を取り上げ、図1を用いて回路構成を説明する。図1は本発明の電波修正機能付きダイバー時計であり、秒針駆動用モータと、時分針を動作させる駆動用モータを用いた指針式の電子時計である。
【0027】
続いて実施例の構成を説明する。但し、本実施例を説明において、従来例と同一の素子及び信号に関しては、従来例と同一番号、同一記号を用い、その説明を省略する。
5は圧力センサであり、外部からの圧力が加わると、圧力電圧PVを発生する。6はA/D変換機であり、該圧力電圧PVを入力し、圧力データPDを出力する。7は水感知センサであり、電子時計が水に濡れたことを感知すると水感知信号SSを出力する。
【0028】
次に、マイクロコンピュータ40のポートについて説明する。OP4は出力ポートであり、A/D変換許可信号PEを出力する。IP4は入力ポートであり、前記A/D変換機6からの圧力データPDを入力する。OP5は出力ポートであり、水感知許可信号SEを出力する。IP5は入力ポートであり、前記水感知センサ7からの水感知信号SSを入力する。OP30は出力ポートであり、LCD制御信号LEを出力する。OP40は出力ポートであり、LCDデータLDを出力する。80はLCD駆動回路であり、該LCD制御信号LE及びLCDデータLDを入力し、表示データLCを出力する。81はLCD表示部であり、該表示データLCを入力し、所望の情報表示を行う。以上が実施例の構成である。
【0029】
次に、本実施例の動作を図1、及び図3を用いて説明をする。まず水感知も、圧力を検出されない、通常状態を説明する。なお、電子時計の表示は従来と同じなので、ここでも図3を用いて説明する。マイクロコンピュータ40は、内部で計時した1秒信号に基づいて、出力ポートOP4からA/D変換許可信号PEを定期的に出力し、入力ポートIP4から圧力データPDを取得するが、潜水活動をしていない状態では水圧値の変化は検出されない。又、出力ポートOP5から水感知許可信号SEを定期的に出力するが、入力ポートIP5にて水感知信号SSも検出されない。よってマイクロコンユータ40は、従来例と同様に、秒針4Aを1秒毎に運針する。又、前述の状態においては、定時受信時間である午前2時に至った場合、あるいは強制受信であるスイッチ60がONして入力ポートIP10が一定時間“H”レベルになった場合、マイクロコンピュータ40は、今まで1秒ごとに行っていた時刻用モータ運針許可信号USAを停止するとともに、出力ポートOP3から受信許可信号RXEを出力する。受信回路51は受信信号RXAの入力を開始し、受信した電波に基づいて受信データRXDを出力する。マイクロコンピュータ40は、受信データRXDを基に、正確な時刻を算出するとともに、時刻の算出が終了すると、算出した時刻に基づいて内部計時の時間を修正する。又、秒針4Aの運針を停止していた事から、現在時刻表示に復帰させるため、時刻用モータ運針許可信号USAを連続的に出力する。その結果秒針4Aは高速運針にて現在時刻に復帰する。復帰後は、通常時刻表示状態での動作である1秒毎に秒針4Aの運針を行う。以上が、水感知も、圧力も検出されない通常状態の場合である。
【0030】
次にダイバーが潜水動作を行うことで、水感知し、その後圧力を検出した場合について説明する。
電子時計を携帯した状態で潜水活動を開始して水面に待機している場合、電子時計は水に濡れるので、マイクロコンピュータ40は出力ポートOP5から水感知許可信号SEを出力すると、入力ポートIP5にて水感知信号SSが検出され、内部のメモリに受信禁止
フラッグを書き込む。この時点でマイクロコンピュータ40はA/D変換許可信号PEを出力しても、未だ圧力センサ5は、圧力電圧PVを出力していないため、A/D変換機6は、入力ポートIP4に非加圧状態である圧力データPDを出力する。よってマイクロコンピュータ40は、非加圧状態である圧力データPDに基づきOP30からLCD制御信号LEを出力し、LCDデータLDとして“0”値を排出する。よってLCD駆動回路80は表示データLCを発生し、LCD表示部81には“0m”という文字が表示される。
【0031】
又マイクロコンピュータ40が出力ポートOP2から受信用モータ運針許可信号USBを出力すると、モータ制御回路3は受信表示用モータパルスMPBを出力することで、受信表示針4Dを運針する。モータ制御回路3は、受信表示用モータパルスMPBの出力終了後、受信表示用モータ運針終了信号HRBを出力することで、マイクロコンピュータ40は、受信用モータ運針許可信号USBを停止する。よってモータ制御回路3は、受信表示用モータ運針終了信号HRBを停止する。前記動作を繰り返すことで、受信表示針4Dは、高速運針状態で時計表示部4に描かれている受信許可指示位置RXONから受信禁止指示位置RXOFFへ移動する。その後、マイクロコンピュータ40は、定受信時刻である午前2時に至っても、内部のメモリの受信禁止フラッグが立っているため、受信動作を行わない。つまり、通常の1秒運振動を継続する。
【0032】
その後、ダイバーが海等に潜水を行うと、圧力センサ5は、圧力電圧PVを発生する。よってマイクロコンピュータ40が、A/D変換許可信号PEを出力すると、A/D変換機6は、加圧された圧力データPDを出力する。つまり、圧力センサ5は潜水による水圧の変化を検出し、圧力センサ5が初期状態からの圧力変化を検知する。マイクロコンピュータ40は、入力ポートIP4に発生した圧力データPDに基づき水深値の表示を行うためOP30からLCD制御信号LEを出力し、続けてLCDデータLDとして水深値データを発生する。よってLCD駆動回路80は表示データLCを発生し、LCD表示部81には例えば“10m”という文字が表示される。
その後、ダイバーが潜水中、無意識のうちにスイッチ60がONしてIP10が一定時間“H”レベルになった場合でも、マイクロコンピュータ40は、既に内部のメモリには受信禁止フラッグが立っているため、強制受信は行わない。
【0033】
次にダイバーが潜水動作を終了し、その後“圧力”及び“水ぬれ”の両方を検出しなくなっても、この電子時計は一定期間非受信状態を継続し、その後通常状態に移行する動作を説明する。
本動作の説明に入る前に、本件に纏わるダイビングの安全潜水の規定に関し説明する。ダイバーが潜水するケースは、連続的に数回に渡り潜水する事があり、その場合前回の潜水と次回の潜水までの休憩時間(水面休息時間)が定められた時間より短い場合、前回の潜水と次回潜水を同一の1本の潜水と規定し、休憩時間(水面休息時間)が定められた時間より長い場合は前回の潜水を1本目の潜水、次回の潜水を2本目の潜水と規定している。
前記休憩時間(水面休息時間)は、非常に細かな時間が規定されておりダイバーは留意する必要がある。又研究機関や各国の基準も異なるため一旦本説明では、US.NAVY.DIVING MANUALを一例として、休憩時間(水面休息時間)は、10分の場合で説明をする。
【0034】
ダイバーが海等から退水すると、圧力センサ5は、圧力電圧PVを停止する。よってマイクロコンピュータ40が、A/D変換許可信号PEを出力すると、A/D変換機6は、入力ポートIP4に非加圧状態(大気圧)である圧力データPDを出力する。 マイクロコンピュータ40は、非加圧状態である圧力データPDに基づき出力ポートOP30からLCD制御信号LEを出力すると共に、LCDデータLDとして“0”値を発生する。よってLCD駆動回路80は表示データLCを発生し、LCD表示部81には“0m”とい
う文字が表示される。又その後、水感知センサ7も乾いた状態になるため、マイクロコンピュータ40が出力ポートOP5から水感知許可信号を出力するが、入力ポートIP5にて水感知信号SSも検出されない。
しかし、ダイバーが海等から退水してから休憩時間(水面休息時間)10分経過していない場合、つまりマイクロコンピュータ40が非加圧状態である圧力データPDを検出してから10分経過していないときは、その間に、定時受信時刻の午前2時になってもマイクロコンピュータ40は、内部のメモリの受信禁止フラッグが立っているため、定時受信は行わないし、又スイッチ60がONして入力ポートIP10が一定時間“H”レベルになった場合でも強制受信は行わない。よって、受信表示針4Dも、受信禁止指示位置RXOFFを表示したままでいる。つまり、圧力センサ5による検出圧力が初期状態に回復したことを検知してから、あるいは、水感知センサ7が水に濡れたことをを検知しなくなってから一定時間は、受信手段による受信動作の禁止を継続するようになっている。
【0035】
その後、ダイバーが海等から退水してから休憩時間(水面休息時間)10分経過すると、つまりマイクロコンピュータ40は、この状態が10分経過したことを検出すると、内部のメモリ受信禁止フラッグを消去する。同時に出力ポートOP2から受信用モータ運針許可信号USBを発生するため、モータ制御回路3は受信表示用モータパルスMPBを出力する。よって受信表示針4Dは運針する。モータ制御回路3は、受信表示用モータパルスMPBの出力終了後、受信表示用モータ運針終了信号HRBを出力することで、マイクロコンピュータ40は、受信用モータ運針許可信号USBを停止する。よってモータ制御回路3は、受信表示用モータ運針終了信号HRBを停止する。前記動作を繰り返すことで、受信表示針4Dは、高速運針状態で時計表示部4に描かれている受信禁止指示位置RXOFFから受信許可指示位置RXONへ移動する。復帰後は、通常時刻表示状態での動作である1秒毎に秒針4Aの運針を行う。以上が、本実施例の説明である。
【0036】
本実施例において、非受信状態の継続をダイバーの潜水終了後の休憩時間(水面休息時間)として説明したが、更にダイバーの安全を考慮し、非受信状態の継続を規定された休憩時間(水面休息時間)より長く設定しても良いし、あるいは、潜水後にダイバーが航空機搭乗可能時間までの延長、つまりダイバーが潜水後、通常大気圧より更に低圧環境に移動することが可能な時間まで延長してもかまわない。
【0037】
本実施例において、定時受信動作は、標準時刻電波受信の最も良好な時間として受信午前2時と説明してきたが、本発明はそれに限定されるものではなく、他の時間でも複数回受信を行ってもかまわないし、ユーザーが定時受信時間を任意に設定できる仕様にしてもかまわない。
【0038】
本実施例において、非受信状態は全停止した形で説明したが、時計表示あるいは潜水情報を表示する時に影響ない範囲で、受信時間を短縮した形の仕様にしてもかまわない。
【0039】
以上の説明で明らかなように、電波受信機能を搭載することで、外部からの送信情報に基づき、正確な時刻情報等の入手が出来るとともに、ダイバーがまったく意識しなくとも安全に潜水ができる電波受信機能付き潜水機器が提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における実施形態の電波受信機能付き携帯用小型潜水機器システム構成図である。
【図2】従来の電波受信機能付き携帯用小型潜水機器システム構成図である。
【図3】電波受信機能付き時計の時計表示部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0041】
40 マイクロコンピュータ
50 アンテナ
51 受信回路
5 圧力センサ
6 A/D変換機
7 水感知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から発信される電波情報を取得する受信手段を有する電波受信機能付き潜水機器において、少なくとも、前記潜水機器が水に濡れたことを検出する水検知手段あるいは潜水による水圧の変化を検出する水圧検知手段とを有し、前記水検知手段によって前記潜水機器が水に濡れたことを検知するか、あるいは水圧検知手段が初期状態からの圧力変化を検知することで前記潜水機器による潜水動作を検知した場合は、前記受信機能による電波受信時間を短縮させるか、あるいは電波受信を禁止させることを特徴とする電波受信機能付き潜水機器。
【請求項2】
前記水圧検知手段による前記圧力が初期状態に回復したことを検知してから、あるいは、前記水検知手段が水に濡れたことをを検知しなくなってから一定時間は、前記受信手段による受信動作の禁止を継続することを特徴とする請求項1記載の電波受信機能付き潜水機器。
【請求項3】
前記潜水機器は、通常時刻、あるいはその他の表示を行う為の複数の指針と、前記指針を動作させる為の少なくとも1つ以上のステップモータを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電波受信機能付き潜水機器。
【請求項4】
前記潜水機器は、通常時刻、あるいはその他の表示を行う為のデジタル表示部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電波受信機能付き潜水機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−241541(P2008−241541A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84165(P2007−84165)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】