説明

電源装置、画像形成装置、及び制御装置

【課題】簡易な構成かつ低コストで正確に負荷の静電容量を判別し、負荷となる機構のプロセス条件を的確に調整できるようにする。
【解決手段】バイアス用交流電源の交流電圧を昇圧すると共に、負荷と接続されて直列共振回路を構成するACトランス1024と、ACトランス1024の共振周波数を検出する周波数制御部1011と、周波数制御部1011によって検出された共振周波数から、負荷となる現像装置50の静電容量を判別する静電容量判別部1013と、静電容量判別部1013によって判別された静電容量に基づいて、現像装置50の現像バイアスを変更制御する制御部101とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、画像形成装置、及び制御装置に関し、特に、経時変化等に対応させて現像バイアス等の条件を適切な値に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置では、感光体ドラム表面の静電潜像に対して現像装置からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を転写ローラで記録紙に転写させ、定着装置でトナー像が記録紙に定着される。この現像装置による現像プロセスでは、現像装置の経時変化や、周囲環境の変化に応じて、現像バイアス電圧等を適切な値に変更して設定する必要がある。この、現像バイアス電圧等を適切な値に設定する技術としては、例えば、電源装置の負荷となる機構の静電容量の変化に着目し、この静電容量を測定して現像装置のプロセス条件を制御する技術がある。例えば、トナーのトリボ量を測定して現像バイアス電圧を制御する画像形成装置や(下記特許文献1参照)、静電容量を自励発振回路の発振周波数から測定する画像形成装置(下記特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−102181号公報
【特許文献2】特開2001−290349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記各特許文献に示される画像形成装置の場合、何れも静電容量を測定するための構成が複雑になり、コスト高という問題がある。また、交流電圧昇圧用トランスの負荷電流を測定して静電容量を測定する技術も従来から存在するが、この場合、負荷が容量成分のみであれば誤差は少ないが、実際には抵抗成分があるので誤差が発生する。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、簡易な構成かつ低コストで正確に負荷の静電容量を判別し、負荷となる機構のプロセス条件を的確に調整できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、バイアス用交流電源の交流電圧を昇圧すると共に、負荷と接続されて直列共振回路を構成するトランスと、
前記トランスの共振周波数を検出する共振周波数検出手段と、
前記共振周波数検出手段によって検出された共振周波数から、前記負荷の静電容量を判別する静電容量判別手段と、
前記静電容量判別手段によって判別された静電容量に基づいて、前記負荷となる機構のプロセス条件を変更制御する制御手段と
を備えた電源装置である。
【0006】
また、請求項5に記載の発明は、バイアス用交流電源の交流電圧を昇圧すると共に、負荷と接続されて直列共振回路を構成するトランスの共振周波数を検出する共振周波数検出手段と、
前記共振周波数検出手段によって検出された共振周波数から、前記負荷の静電容量を判別する静電容量判別手段と、
前記静電容量判別手段によって判別された静電容量に基づいて、前記負荷となる機構のプロセス条件を変更制御する制御手段と
を備えた制御装置である。
【0007】
これらの構成では、負荷と直列共振回路を構成するトランスの共振周波数を共振周波数検出手段が検出し、この検出された共振周波数から、静電容量判別手段が、上記負荷の静電容量を判別して、制御手段が、当該静電容量に基づいて、負荷となる機構のプロセス条件を変更制御する。ここでは、共振周波数を検出して、共振周波数から静電容量を求める構成を採用するため、簡易な構成かつ低コストで、静電容量を判別することが可能となる。また、上記負荷は、静電容量と抵抗器の並列接続に等価できるが、静電容量が支配的であるため、上記検出した共振周波数から正確に静電容量を判別することが可能である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電源装置であって、前記共振周波数検出手段は、前記交流電圧の周波数を掃引し、前記トランスの一次側電流が最も低い値となる周波数を前記共振周波数として検出するものである。
【0009】
この構成では、トランスが共振すると、無効電力が減少するために効率が向上し、トランスの一次電流が減少することに基づいて、共振周波数検出手段が、上記交流電圧の周波数掃引にトランスの一次側電流が最も低い値となった周波数を共振周波数として検出することで、正確に共振周波数を検出できる。しかも、複雑な構成を要さず簡単な構成で共振周波数を検出することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置であって、前記静電容量判別手段は、複数の共振周波数に対応する各静電容量を記憶する静電容量記憶部と、前記共振周波数検出手段によって検出された共振周波数に対応する静電容量を当該静電容量記憶部から読み出すことで、前記負荷の静電容量を特定する静電容量特定部とを有するものである。
【0011】
この構成によれば、静電容量特定部が、静電容量記憶部から、共振周波数検出手段によって検出された共振周波数に対応する静電容量を読み出すことで、負荷の静電容量を特定するので、検出された共振周波数に基づく負荷の静電容量の判別を、簡単な構成で実現することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源装置と、
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に現像剤を付着させる現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加手段とを備え、前記トランスの負荷となる現像手段と、
前記制御手段は、前記静電容量測定手段によって判別された静電容量に基づいて、前記現像バイアス印加手段が前記現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧を設定する画像形成装置である。
【0013】
この構成によれば、負荷と直列共振回路を構成するトランスの共振周波数を共振周波数検出手段が検出して、この検出した共振周波数から、静電容量判別手段が、上記現像バイアス印加手段の静電容量を判別し、制御手段が、現像バイアス印加手段の現像バイアス電圧を変更制御する。これにより、簡易な構成かつ低コストで、現像バイアス印加手段の静電容量を正確に判別することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び請求項5に記載の発明によれば、簡易な構成かつ低コストで、負荷の静電容量を正確に判別することが可能である。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、複雑な構成を要さず簡単な構成で、共振周波数を正確に検出することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、検出された共振周波数に基づく負荷の静電容量の判別を簡単な構成で実現することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、簡易な構成かつ低コストで、現像バイアス印加手段の静電容量を正確に判別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る電源装置、画像形成装置、及び制御装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電源装置及び制御装置が適用されたプリンタの概略構成を示す図である。プリンタ(画像形成装置の一例)10は、印刷処理に供する用紙Pを貯留する用紙貯留部12と、この用紙貯留部12に貯留された用紙束P1から繰り出された1枚ずつの用紙(被転写材)Pに対して画像の転写処理を施す画像形成部13と、この画像形成部13で転写処理の施された用紙Pに対して定着処理を施す定着部14とが装置本体11に内装されると共に、定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が装置本体11の頂部に設けられている。
【0019】
用紙貯留部12には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット121が装置本体11に対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット121の上流端(図1の右方)には、用紙束P1から1枚ずつの用紙Pを繰り出させるピックアップローラ122が設けられている。このピックアップローラ122の駆動によって用紙カセット121から繰り出された用紙Pは、給紙搬送路123およびこの給紙搬送路123の下流端に設けられたレジストローラ対124を介して画像形成部13に給紙される。
【0020】
画像形成部13は、コンピュータ等から電送されてくる画像情報に基づき用紙Pに転写処理を施すものであり、感光体ドラム(像担持体)20の周面に沿うように、帯電ローラ30、露光装置40、現像装置50、転写ローラ60及びドラムクリーニング装置70が配設されている。
【0021】
感光体ドラム20は、周面に静電潜像及びこの静電潜像に沿ったトナー像(可視像)を形成させるためのものであり、周面には例えばアモルファスシリコン層が積層されている。
【0022】
帯電ローラ30は、感光体ドラム20の周面に一様な電荷を形成させるものであり、周面が感光体ドラム20の周面と当接しながら従動回転しつつ当該感光体ドラム20へ電荷を付与する。本発明に係る帯電バイアス用電源装置は、この帯電ローラ30に帯電用のバイアス電圧を供給するために、プリンタ10に備えられている。
【0023】
露光装置40は、コンピュータ等の外部の機器から電送されてきた画像データに基づき、強弱の付与されたレーザ光を、回転している感光体ドラム20の周面に照射し、感光体ドラム20周面におけるレーザ光照射部分の電荷を消去することによって、当該感光体ドラム20の周面に静電潜像を形成させる。
【0024】
現像装置(現像手段)50は、感光体ドラム20の周面にトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム20の周面にトナー像を形成させる。現像装置50は、感光体ドラム20に現像剤を付着させるマグローラ501(現像剤担持体)と、マグローラ501に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加部(現像バイアス印加手段)502とを備える。この現像装置50(現像バイアス印加部502)に、本発明の一実施形態に係る電源装置(詳細は後述)からの交流電圧が印加される。
【0025】
転写ローラ60は、感光体ドラム20の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して当該感光体ドラム20の周面に形成されているプラスに帯電したトナー像を用紙Pに転写させるものであり、トナー像の電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙Pに付与する。
【0026】
従って、感光体ドラム20の直下位置に到達した用紙Pは、転写ローラ60と感光体ドラム20とによって押圧挟持されつつ、プラスに帯電した感光体ドラム20周面のトナー像がマイナスに帯電した用紙Pの表面に向けて引き剥がされ、これによって用紙Pに対し転写処理が施される。
【0027】
定着部14は、画像形成部13によって転写処理の施された用紙Pのトナー像に加熱に
よる定着処理を施すものであり、内部に通電発熱体が装着されたヒートローラ141と、このヒートローラ141の下部で周面同士が対向配置された加圧ローラ142とを備えて構成されている。そして、転写処理後の用紙Pは、ローラ心回りに時計方向に向けて駆動回転しているヒートローラ141と、ローラ心回りに反時計方向に向けて従動回転している加圧ローラ142との間のニップ部を通過することによって、ヒートローラ141からの熱を得て定着処理が施される。定着処理の施された用紙Pは、排紙搬送路143を通って排紙部15へ排出される。
【0028】
排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0029】
次に、本発明の一実施形態に係る電源装置100の構成を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る電源装置を示す回路図である。本発明の一実施形態に係る電源装置100は、バイアス用交流電源の交流電圧を昇圧し、現像バイアスとして現像装置50に供給するものである。なお、電源装置100の負荷である現像装置50は、コンデンサと抵抗とを並列接続とした等価回路で示す。また、現像装置50は、後述するACトランス1024と直列に接続して直列共振回路を構成する。
【0030】
電源装置100は、制御部101、AC(交流)電圧発生回路102、DC(直流)電圧発生回路103、及び電圧検出回路104を備える。
【0031】
制御部101は、現像バイアスの生成及び補正に必要な制御を行うものである。制御部101は、周波数制御部1011と、電圧検出部1012と、静電容量判別部1013とを備える。
【0032】
周波数制御部(共振周波数検出手段)1011は、現像バイアス電圧の交流成分の周波数を定めるクロック信号(HVCLK)を生成して出力する。周波数制御部1011は、直列に接続されるACトランス1024と現像装置50とでなる直列共振回路の共振周波数を検出する際に、現像バイアス電圧の交流成分の周波数を掃引する制御を行う。さらに、周波数制御部1011が備える共振周波数検出部1015は、上記現像バイアス電圧の交流成分の周波数の掃引時に、電圧検出部1012が共振を示す最低値となる電圧を検出したときの周波数を、共振周波数として記憶し、当該共振周波数の値を静電容量記憶部1016に送出する。
【0033】
電圧検出部(周波数検出手段)1012は、上記共振周波数検出時における周波数制御部1011の周波数掃引時に、各周波数での電圧値を電圧検出回路104から逐次取得する。電圧検出部1012は、取得する電圧値が最低値となったときに、共振周波数検出部1015に指示信号を送り、共振周波数検出部1015に、最低電圧値の時点における周波数を共振周波数として検出させる。
【0034】
静電容量判別部(静電容量判別手段)1013は、共振周波数検出部1015によって検出された共振周波数に基づいて、現像装置50の静電容量を判別する。静電容量判別部1013は、静電容量記憶部1016と静電容量特定部1017とを備える。静電容量記憶部1016は、複数の共振周波数に対応する各静電容量との関係を示すテーブルを記憶している。静電容量特定部1017は、共振周波数検出部1015によって検出された共振周波数に対応する静電容量を静電容量記憶部1016から読み出すことで、現像装置50の静電容量を特定する。
【0035】
なお、ACトランス1024の負荷となる現像装置50は、そのマグローラが感光体ドラムと接触、或いは非接触状態で結合している。この負荷となる現像装置50は、コンデンサ(静電容量)と抵抗器(抵抗)の並列接続に等価できるが、静電容量が支配的である。この静電容量は、感光体ドラムの膜厚、トナーの誘電率、トリボ量、ローラと感光体とのギャップ等で変動するため、当該静電容量を正確に把握できれば、バイアス電圧等の設定値を最適値に補正することが可能になる。
【0036】
このように特定された静電容量に基づいて、制御部(制御手段)101は、AC振幅制御回路1021に出力するAC電圧制御信号を変更することで、バイアス用交流電源の交流電圧の振幅を変更し、これにより、現像バイアスを、上記特定された静電容量に応じた値に制御する。
【0037】
AC(交流)電圧発生回路102は、AC振幅制御回路1021、周波数制御回路1022、ACトランス駆動回路1023、ACトランス(トランス)1024とを有する。AC振幅制御回路1021は、バイアス用交流電源の交流電圧の振幅を制御する回路であり、制御部101からのAC電圧制御信号に基づいて上記振幅を制御する。周波数制御回路1022は、AC振幅制御回路1021からのAC電圧制御信号を、周波数制御部1011から出力される上述のクロック信号で矩形波とするものである。ACトランス駆動回路1023は、上記矩形波とされた信号を増幅回路U1で増幅し、交流電圧昇圧用のACトランス1024に出力する。このようにACトランス1024を駆動すれば、OUTPUT端に例えば約1.6KVp-pの交流電圧が発生するようになっている。この交流電圧は現像装置50のマグローラ或いはスリーブローラに印加される。
【0038】
DC電圧発生回路103は、DC電圧制御回路1031と、DC電圧供給部1032とを備える。DC電圧制御回路1031は、制御部101から出力されるアナログのDC電圧制御信号に基づいて、DC電圧供給部1032による直流電圧の出力をオン・オフさせる。DC電圧供給部1032は、交流成分を発生させるACトランス1024の二次側に接続されている。
【0039】
電圧検出回路(周波数検出手段)104は、ACトランス1024を駆動するACトランス駆動回路1023の増幅回路の電圧を検出する回路である。ACトランス1024が現像装置50を負荷として共振すると、無効電力が減少するために効率が向上し、ACトランス1024の一次電流(駆動電流)が減少する。従って、周波数制御部1011の周波数掃引時に、駆動電流が最も減少する周波数が共振周波数となる。これに基づいて、電圧検出回路104は、ACトランス1024の駆動電流を、ACトランス1024の電圧の変動に基づいて検出するために設けられている。
【0040】
電圧検出回路104が検出した電圧値は、演算増幅器U2を通して、制御部101の電圧検出部1012に出力される。上述したように、上記共振周波数を検出する際に、周波数制御部1011が現像バイアス電圧の交流成分の周波数を掃引すると、この掃引時におけるACトランス駆動回路1023の増幅回路U1の電圧が、電圧検出回路104によって逐次検出される。電圧検出部1012は、最低電圧値を検出すると、共振周波数検出部1015に対して、最低電圧値を検出した時点における周波数を共振周波数として検出させる指示信号を出力する。
【0041】
すなわち、電源装置100が駆動される場合、最初に制御部101からのDC電圧制御信号でQ3がオンとされ、出力端子OUTPUTに発生する現像バイアスDC電圧が0とされる。次にAC電圧制御信号で、バイアス用交流電源の交流電圧の振幅が設定される。そして、制御部101からのトランス駆動用交流信号信号HVCLKがQ2のベースに入り、上記交流電圧が矩形波とされて増幅回路U1で増幅される。この増幅された交流電圧によるACトランス1024の駆動で、OUTPUT端に例えば約1.6KVp-pの交流電圧が発生するようになっている。この交流電圧は現像装置50のマグローラ或いはスリーブローラに印加される。
【0042】
一方、前記マグローラ或いはスリーブローラに印加された交流電圧で負荷電流が流れると、交流電圧昇圧用のACトランス1024の一次側の駆動電流も変動する。従って、増幅回路U1に内蔵されているトランジスタの電流を測定すれば、ACトランス1024の駆動電流を検出することが可能である。
【0043】
図2に示した電圧検出回路104のR1は、上記ACトランス1024の駆動電流を検出する抵抗器である。R1の両端に発生する電圧は当該駆動電流に比例するので、R1両端に発生する電圧降下分を演算増幅器U2で増幅して、制御部101でA/D変換すれば、上記駆動電流の増減をデジタル値として読みとることが可能になる。
【0044】
なお、本発明に係る制御装置は、電圧検出回路104と、電圧検出部1012と、周波数制御部1011と、静電容量判別部1013と、制御部101とから構成される。
【0045】
次に、上記図2と、更に図3乃至図5を参照して、電源装置100による現像バイアス変更制御を説明する。図3は電源装置100による現像バイアス変更制御を示すフローチャート、図4は掃引周波数と検知電圧との関係をグラフで示す図、図5は共振周波数と静電容量の関係をグラフで示す図である。
【0046】
まず、制御部101は、操作者による設定で現像バイアス変更モード(静電容量測定モード)とされているか否かを判断する(S1)。ここで、現像バイアス変更モードとされている場合(S1でYES)、S2以降の現像バイアス変更制御に入る。現像バイアス変更モードとされていない場合は(S1でNO)、通常の画像形成時に現像装置50を駆動場合における電源装置100の駆動制御を行う(S8)。なお、ここでは、制御部101が、現像バイアス変更モードとされているか否かに応じて、現像バイアス変更制御に入るか否かを判断しているが、プリンタ10の電源投入時には、現像バイアス変更モードとされているか否かに拘わらず、現像バイアス変更制御に入ることが好ましい。電源投入時における現像装置50の状態及び周囲環境に応じて、最適な現像バイアスでの現像処理を可能にするためである。
【0047】
現像バイアス変更制御に入った場合、現像装置50を負荷とするACトランス1024の共振周波数を検出するために、周波数制御部1011は、現像バイアス電圧の交流成分の周波数を掃引する(S2)。この周波数掃引時、電圧検出回路104は、ACトランス1024を駆動するACトランス駆動回路1023の増幅回路の電圧を逐次検出し、電圧検出部1012に出力する。電圧検出部1012は、電圧検出回路104から送られてくる、ACトランス駆動回路1023の増幅回路の電圧が、最低電圧値になったか否かを検出する(S3)。ここで、電圧検出部1012は、検出する電圧を、絶対値ではなく、最も低くなるポイントとして捉える。すなわち、検出する電圧値が予め定められた値に達したかを判断するのではなく、周波数掃引時に得られた各電圧値の中で最も低い値の電圧値を検出する。
【0048】
電圧検出部1012は、ACトランス駆動回路1023の増幅回路の電圧が最低電圧値になったことを検出すると(S3でYES)、共振周波数検出部1015に共振周波数を取得させるための指示信号を送る(S4)。この電圧検出部1012からの指示信号を受けて、共振周波数検出部1015が、電圧検出部1012によって最低電圧値が検出された時点における周波数を共振周波数として検出する(S5)。
【0049】
現像バイアス電圧の交流成分の周波数を掃引すると、例えば、図4に示すように、ACトランス駆動回路1023の増幅回路U1の電圧は、周波数に応じて変化する。上述したように、ACトランス1024が現像装置50を負荷として共振すると、無効電力が減少して効率が向上し、ACトランス1024の一次電流が減少するためである。従って、図4で最低電圧値となった時の周波数が、共振周波数となる。
【0050】
静電容量判別部1013は、共振周波数検出部1015によって検出された上記共振周波数に対応する静電容量を静電容量記憶部1016から読み出す(S6)。静電容量は、例えば、図5に示すように、共振周波数に応じて変化するため、静電容量記憶部1016には、複数の共振周波数と、それぞれの共振周波数に対応する各静電容量とが関係付けられてなるテーブルが記憶されている。
【0051】
このように特定された静電容量に基づいて、制御部101は、AC振幅制御回路1021に出力するAC電圧制御信号を変更することで、バイアス用交流電源の交流電圧の振幅を変更し、現像装置50の現像バイアスを、当該受け取った静電容量に適した値に設定する(S7)。
【0052】
このような現像バイアスの変更制御を行うことで、簡易な構成かつ低コストで、正確に静電容量を判別することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、図2には、本発明の一実施形態に係る電源装置100を現像バイアス用の電源装置として示したが、本発明の一実施形態に係る電源装置100を、他の用途、例えば、帯電バイアス用の電源装置として適用し、上記静電容量に応じて帯電バイアスを適切な値に変更制御することも可能である。
【0054】
さらに、電源装置100によって検出される静電容量の変動に基づいて、現像装置50内のトナー有無やトナー残量等を検出することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る電源装置及び制御装置が適用されたプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電源装置を示す回路図である。
【図3】電源装置による現像バイアス変更制御を示すフローチャートである。
【図4】掃引周波数と検知電圧との関係をグラフで示す図である。
【図5】共振周波数と静電容量の関係をグラフで示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 プリンタ
100 電源装置
20 感光体ドラム
30 帯電ローラ
40 露光装置
50 現像装置
501 マグローラ
502 現像バイアス印加部
101 制御部
1011 周波数制御部
1012 電圧検出部
1013 静電容量判別部
1015 共振周波数検出部
1016 静電容量記憶部
1017 静電容量特定部
102 AC電圧発生回路
1021 振幅制御回路
1022 周波数制御回路
1023 トランス駆動回路
1024 ACトランス
103 DC電圧発生回路
1031 DC電圧制御回路
1032 DC電圧供給部
104 電圧検出回路
U1 増幅回路
U2 演算増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス用交流電源の交流電圧を昇圧すると共に、負荷と接続されて直列共振回路を構成するトランスと、
前記トランスの共振周波数を検出する共振周波数検出手段と、
前記共振周波数検出手段によって検出された共振周波数から、前記負荷の静電容量を判別する静電容量判別手段と、
前記静電容量判別手段によって判別された静電容量に基づいて、前記負荷となる機構のプロセス条件を変更制御する制御手段と
を備えた電源装置。
【請求項2】
前記共振周波数検出手段は、前記交流電圧の周波数を掃引し、前記トランスの一次側電流が最も低い値となる周波数を前記共振周波数として検出する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記静電容量判別手段は、複数の共振周波数に対応する各静電容量を記憶する静電容量記憶部と、前記共振周波数検出手段によって検出された共振周波数に対応する静電容量を当該静電容量記憶部から読み出すことで、前記負荷の静電容量を特定する静電容量特定部とを有する請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源装置と、
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体に現像剤を付着させる現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加手段とを備え、前記トランスの負荷となる現像手段と、
前記制御手段は、前記静電容量測定手段によって判別された静電容量に基づいて、前記現像バイアス印加手段が前記現像剤担持体に印加する現像バイアス電圧を設定する画像形成装置。
【請求項5】
バイアス用交流電源の交流電圧を昇圧すると共に、負荷と接続されて直列共振回路を構成するトランスの共振周波数を検出する共振周波数検出手段と、
前記共振周波数検出手段によって検出された共振周波数から、前記負荷の静電容量を判別する静電容量判別手段と、
前記静電容量判別手段によって判別された静電容量に基づいて、前記負荷となる機構のプロセス条件を変更制御する制御手段と
を備えた制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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