説明

電磁リレー及びそれを使用した電力量計用開閉ユニット

【課題】動作時において、可動接触子が投入側と開放側の間で中立位置に止まろうとした場合に、可動接触子の停止を回避できると共に需要家側が停電とならないように可動接触子が自動的に投入側に動くようにして需要家へ電源が供給されるようにした電磁リレーを提供する。
【解決手段】電磁リレーは、ケース(10)、自己保持形のソレノイド(13)、ソレノイド(13)の可動子に取り付けられている可動座体(15)、可動座体(15)に付勢力を付与する付勢体(14)、ケース(10)に取り付けられている固定接触子(110,110,110a,110a)、可動座体(15)に取り付けられており固定接触子に接触又は離隔する可動接触子(16,16a)を備えており、付勢体(14)は、ソレノイド(13)の動作時において可動接触子(16,16a)が投入側と開放側の間で中立しようとした場合において、可動座体(15)を常に可動接触子(16,16a)の投入方向へ移動させ、中立位置での停止を回避すると共に電源を投入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁リレー及びそれを使用した電力量計用開閉ユニットに関するものである。更に詳しくは、通信により電源の投入又は開放、検針等の遠隔操作を行うことができるユニット式電力量計に使用する電磁リレー及びそれを使用した開閉ユニットであって、投入側と開放側でそれぞれの状態を自己保持することができ、何らかの原因で可動が投入側と開放側の間で中立位置に止まろうとした場合においても、停電とならないように可動接触子が自動的に投入側に動くようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の計量において、例えば需要側が賃貸住宅等、需要家が頻繁に交代しやすく、加えて何らかの原因で検針作業が困難であるような住宅の場合、通信による遠隔操作が可能な開閉器を備え給電停止及び停止解除と検針作業を容易に行うことができる電力量計が使用されている。特許文献1には、このように遠隔操作による給電停止及び停止解除と検針作業ができるようにしたユニット型電力量計が開示されている。
【0003】
また、電力量計に使用される開閉器としては、特許文献1の明細書に記載されているように電気経路の開閉動作を行わせる遮断回路を備えたもの、単純なメカニカル接点スイッチを装備した手動操作型のもの、電子遮断回路と自動接点スイッチとを装備したもの等を用いることができる。
【0004】
この中で、電子遮断回路と自動接点スイッチとを装備したものには、例えばソレノイドやプランジャ等の駆動手段で可動接触子を固定接触子側へ進退動させて、電源の投入及び開放を行うものがある。この構造では、作動時の磁石の吸引により接触子同士やソレノイドのコアが衝突し、その衝撃で接触子、コアその他の接触部の十分な耐久性が得られない問題がある。この問題を解消するため、作動時における接触子やソレノイドのコアの衝突による衝撃をやわらげるようにしたものとしては、例えば特許文献2及び特許文献3に開示された電磁接触器がある。
【0005】
特許文献2に開示された電磁接触器は、緩衝ばねの駆動前の合成荷重を、戻しばねと接点ばねの導通時の合成荷重よりも低くし、さらに駆動時に固定コアが可動コア側に一旦移動し、交流における吸引力低下時に緩衝ばねの荷重が勝り固定コアが初期の位置に戻ろうとする過程で可動コアと固定コアが衝突することで、相対的な衝突速度が低減でき、これにより可動コア及び固定コアの機械的耐久性の向上を図るというものである。
【0006】
また、特許文献3に開示された電磁接触器は、可動子及び固定子と可動子の移動方向に磁化した永久磁石とその外周に励磁コイルを備え、励磁コイルの交流の印加により可動子側と固定子側の間に構成される主接触、A接点、B接点を開閉する自己保持形電磁接触器において、B接点の開状態における固定接触と可動接触との接触間距離を主接触及びA接点の開状態における固定接触と可動接触の接触間距離よりも小とし、交流通電による主接触の開閉を可能にすると共に、B接点開放時に起こる放電を抑制して寿命を延ばすことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4527515号公報
【0008】
【特許文献2】特開2010−282834号公報
【0009】
【特許文献3】特開平2−23965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来の各電磁接触器は、いずれも作動時のコア等の衝突による耐久性の低下を防止する目的では有用である。しかしながら、前記特許文献1に開示されているような通信により電源の投入又は開放、検針等の遠隔操作を行う電力量計に使用する開閉器としては、次のような課題を生じていた。
【0011】
すなわち、前記のような電力量計の操作においては、管理側(電力会社側)の作業者が電力量計の近くにいない状況であるため、開閉器は、特許文献3に開示されているような可動接触子を投入側と開放側の両方で保持できる、例えば永久磁石を使用した自己保持形のものを採用するのが、作動の確実性や安全性を高める上では望ましい。
【0012】
一方、従来の各電磁接触器は、投入状態を解除して開放する際に、可動接触子を開放側へ移動させるために、投入作動時のコア同士の衝突による衝撃を緩和する機能も併せ持った戻しバネを使用している。
【0013】
このため、可動接触子が投入動作又は開放動作をする動作時において、何らかの原因で可動接触子が投入側と開放側の間で中立位置に止まろうとした場合においても、前記したように戻しバネによる付勢方向は可動接触子が開放側へ移動する方向であるため、可動接触子の中立位置での停止を回避できた場合にも、少なくとも通電状態になることはなく、必然的に停電となってしまう。
【0014】
なお、前記のように停電してしまうと、例えば需要家が一般家庭の場合では、家電品が生活の基盤となっている現代では、電気は生活に欠かせないライフラインのひとつであるために、停電している時間は多くの生活行動に制限を受けることになり、通常の生活ができなくなる。また、需要家が企業、工場の場合においては、企業の業務、工場の生産はストップし、企業は収入が滞るどころか損害賠償にまで発展するおそれがある。
【0015】
これに対し、停電を防止することで、前記問題の発生を回避することができる。すなわち、需要家が一般家庭の場合では、家電品が使用可能な快適な環境が維持でき、需要家が企業、工場の場合では、円滑な業務、製造等が遂行でき、顧客および運営に対し安定した満足を提供できる。このように、需要家への安定した電力の供給は、電力を供給する側にとって最大の責務である。
【0016】
(本発明の目的)
本発明は、電磁リレーの可動接触子が投入動作又は開放動作をする動作時において、何らかの原因で可動接触子が投入側と開放側の間で中立位置に止まろうとした場合においても、可動接触子の中立位置での停止を回避できると共に、少なくとも需要家側が停電とならないように、可動接触子が自動的に投入側に動き、需要家へ電源が供給されるようにした、通信により電源の投入又は開放、検針等の遠隔操作をする電力量計に使用するのに好適な電磁リレー及びそれを使用した電力量計用開閉ユニット、ユニット式電力量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1)本発明は、
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計の開閉ユニットに使用する電磁リレーであって、
ケースと、
可動子を投入側と開放側で自己保持できるソレノイドと、
前記可動子の進退動に伴って進退する可動接触子と、
前記ケース側に取り付けられており前記可動接触子が接触する固定接触子と、
前記可動接触子に常時投入方向へ向かう付勢力を付与して投入側と開放側の間で停止するのを回避する付勢体と、
を備えている、
電磁リレーである。
【0018】
(2)本発明は、
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計の開閉ユニットに使用する電磁リレーであって、
ケースと、
可動子を投入側と開放側で自己保持できるソレノイドと、
該ソレノイドの可動子に取り付けられている可動座体と、
該可動座体に付勢力を付与する付勢体と、
前記ケース側に取り付けられており前記可動接触子が接触する固定接触子と、
前記可動座体に取り付けられており前記固定接触子に接触又は離隔する可動接触子と、
を備えており、
前記付勢体は、
前記ソレノイドの動作時において、可動接触子が投入側と開放側の間で中立しようとした場合において、可動接触子が取り付けられている可動座体を常に可動接触子の投入方向へ移動させ、中立位置での停止を回避すると共に電源を投入することができるようにした、
電磁リレーである。
【0019】
(3)本発明は、
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計に使用する開閉ユニットであって、
ユニットケースと、
前記(1)又は(2)記載の電磁リレーと、
該電磁リレーのソレノイドの動作の制御を行う制御部と、
ユニット式電力量計に組み込むための取付手段と、
を備えている、
電力量計用開閉ユニットである。
【0020】
(4)本発明は、
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計であって、
電力量計の投入又は開放を行う前記(3)の電力量計用開閉ユニットと、
消費電力量の計量を行う計量ユニットと、
管理側と情報又は信号のやり取りを行う通信ユニットと、
を備えている、
ユニット式電力量計である。
【0021】
(作用)
本発明に係る電磁リレー及びそれを使用した電力量計用開閉ユニットの作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0022】
電磁リレー(1)は、ソレノイド(13)により可動座体(15)に取り付けられた可動接触子(16,16a)を動かして、開閉する継電器である。
例えば電磁リレー(1)の可動接触子(16,16a)と固定接触子(110,110,110a,110a)が開放されている状態において、電力量計用開閉ユニット(S)に対して通信ユニット(5)から投入指令の信号が送られると、ソレノイド(13)が動作して、進退軸(130)が投入方向へ動き、可動座体(15)が移動し、可動座体(15)に取り付けられた可動接触子(16,16a)が固定接触子(110,110,110a,110a)に接触して電源が投入される。
【0023】
このとき、何らかの原因で可動接触子(16,16a)が投入側と開放側の間で中立位置に止まろうとした場合においても、付勢体(14)が働いて、可動接触子(16,16a)が取り付けられている可動座体(15)を投入方向へ所定の付勢力で付勢する。これにより、可動接触子(16,16a)の中立位置での停止を回避できると共に、停電とならないように、可動接触子(16,16a)が自動的に投入側に動き、需要家へ電源が供給される。
【0024】
このように、電磁リレー(1)の投入又は開放時において作動が不安定になり可動接触子(16,16a)が中立しそうになっても、可動接触子(16,16a)は必ず投入方向へ動いて中立位置での停止を回避することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、電磁リレーの可動接触子が投入動作又は開放動作をする動作時において、何らかの原因で可動接触子が投入側と開放側の間で中立位置に止まろうとした場合においても、可動接触子の中立位置での停止を回避できると共に、停電とならないように、可動接触子が自動的に投入側に動き、需要家に電源が供給されるように制御できる。
したがって、需要家に対する電源の安定的な供給を行うことができるので、通信により電源の投入又は開放、検針等の遠隔操作を行い、通常は電力量計の近くに管理側の作業者がいない状態で使用されるユニット式電力量計に好適に使用することができる電磁リレー及びそれを使用した電力量計用開閉ユニット、ユニット式電力量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電磁リレーの一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す電磁リレーの正面図。
【図3】図1に示す電磁リレーの側面図。
【図4】電磁リレーの構造を示し、(a)はON状態の図3におけるB−B断面図で、(b)はON状態の(a)におけるA−A断面図。
【図5】電磁リレーの構造を示し、(a)はOFF状態の図3におけるB−B断面図で、(b)はOFF状態の(a)におけるA−A断面図。
【図6】本発明に係る電力量計用開閉ユニットの一実施の形態を示す斜視説明図。
【図7】図6に示す電力量計用開閉ユニットの断面説明図。
【図8】電力量計用開閉ユニットを組み込んだユニット式電力量計の一実施の形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施の形態〕
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
電力量計用開閉ユニットS(図6、図7参照)は、ユニットケース2に電磁リレー1と制御基板3を組み入れた構造である。電力量計用開閉ユニットSは、後述するユニット式電力量計Mを計量ユニット4及び通信ユニット5(いずれも図8参照)と共に構成するユニットである。
【0028】
まず、図1乃至図5を参照して電磁リレー1の構造を説明する。
電磁リレー1は、電気絶縁性の合成樹脂で形成されたケース10を有している。ケース10は、内部形状がほぼ同じで内部側を対向させて合わせられる裏ケース100と表ケース101からなる。なお、以下のケース10の構造の説明においては、裏ケース100と表ケース101を一体にしたものとして説明する。
【0029】
ケース10内の上部側には、ソレノイド取付部102が形成されている。ケース10内の下部側には、固定接触子取付座103、103aが並べて形成されている。また、前記ソレノイド取付部102と固定接触子取付座103、103aの間には、後述する可動接触子16、16aが移動する空間である移動空間部104、104aが形成されている。
なお、固定接触子取付座103、103aは、裏ケース100と表ケース101のそれぞれに設けられている。
【0030】
前記裏ケース100と表ケース101の固定接触子取付座103、103aには、それぞれL字板形状の電流端子11、11、11a、11a(合計四本)がネジ止めにより固定されている。各電流端子11、11、11a、11aの図4、図5において上下方向の長尺側はケース10の外部下方へ所要長さで延出されている。また、電流端子11、11、11a、11aの図4、図5において左右方向の短尺側は固定接触子110、110、110a、110aとなっている。
【0031】
前記ケース10の移動空間部104、104aの間には、補助接触子取付座105が形成されている。補助接触子取付座105の前記裏ケース100と表ケース101側のそれぞれには断面コ字状の補助固定接触子12、12が取り付けられている。補助固定接触子12、12には、後述する制御基板3につながる補助接触子ケーブル18(図4(b)、図5(b)、図7参照)が接続されている。なお、補助接触子とは、開閉器において、主接触子と同期して動作する接触子をいう。
【0032】
前記ソレノイド取付部102には、自己保持形ソレノイド13が可動子を構成する進退軸130を図4、図5で下方へ向けて嵌め込まれ取り付けられている。自己保持形ソレノイド13は、投入側と開放側でそれぞれの状態を永久磁石の磁力によって保持することができ、保持側の切り替えを引外しコイル(電磁石)の励磁により行うものである。なお、自己保持形ソレノイド13は、公知の一般的な構造であるので、構造についての詳細な説明は省略する。
【0033】
自己保持形ソレノイド13の進退軸130の先部には、ダブルナット131が螺合して取り付けてある。また、進退軸130の先部には、可動座体15が取り付けてある。進退軸130に対する可動座体15の取付構造は、後で説明する。なお、符号132は、後述する制御基板3につながる自己保持形ソレノイド13用の電源ケーブルである。
【0034】
可動座体15は、電気絶縁性の合成樹脂で形成されており、図4、図5において左右方向中央には軸取付部150が形成されている。軸取付部150は、進退軸130を横方向(図4、図5において手前側から奥側へ向かう方向)から入れることができると共にダブルナット131より径小(幅小)な挿通部155を有している。軸取付部150の下側には、空間部(符号省略)を有する補助可動接触子取付部151が形成されている。補助可動接触子取付部151の左右方向両側には、補助可動接触子ガイド(符号省略)が形成されている。
【0035】
補助可動接触子取付部151には、補助可動接触子17が補助可動接触子ガイドに沿って空間部内で移動できるように嵌装されている。補助可動接触子17は、弾性を有する金属板で両側がケース10の厚み方向に配された前記各補助固定接触子12、12に接触できる長さに形成されている。また、補助可動接触子17は、接触子用バネ170によって所要の力で進退軸130が進出する方向へ付勢されており、投入時の緩衝効果と補助固定接触子12、12に対する好適な面圧が得られるようにしている。
【0036】
軸取付部150の図4、図5において左右方向両側には、空間部(符号省略)を有する可動接触子取付部153、153aが形成されている。各可動接触子取付部153、153aの左右方向両側には、可動接触子ガイド(符号省略)が形成されている。各可動接触子取付部153、153aには、可動接触子16、16aが可動接触子ガイドに沿って空間部内で移動できるように嵌装されている。
【0037】
可動接触子16、16aは、弾性を有する金属板で両側がケース10の厚み方向に配された前記各固定接触子110、110及び各固定接触子110a、110aに接触できる長さに形成されている。また、可動接触子16、16aは、それぞれ接触子用バネ160によって所要の力で固定接触子12、12方向へ付勢されており、投入時の緩衝効果と固定接触子110、110、110a、110aに対する好適な面圧が得られるようにしている。
【0038】
そして、前記可動座体15は、挿通部155に自己保持形ソレノイド13の進退軸130を横方向から入れて軸取付部150にダブルナット131を収容し、更に自己保持形ソレノイド13の進退軸130側外面と可動座体15の上面の間に付勢体(圧縮コイルバネ)である反発バネ14を介在させて進退軸130に取り付けてある。ダブルナット131は、進退軸130の軸線方向における可動座体15の位置の微調整を行うものである。
【0039】
また、前記反発バネ14は、開放動作時の自己保持形ソレノイド13の進退軸130の緩衝を行う機能と、可動接触子16、16aが設けられている可動座体15を所要の付勢力で常に投入動作時の移動方向に付勢する機能を備えている。なお、符号19は後述する通信ユニット5につながる通信ケーブルである(図6、図7参照)。
【0040】
前記電磁リレー1は、通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計M(図8参照)を構成する電力量計用開閉ユニットS(図6乃至図8参照)に使用される。
【0041】
電力量計用開閉ユニットSは、ユニットケース2に電磁リレー1と制御基板3を組み入れた構造である。前記補助接触子ケーブル18は、制御基板3の所要のターミナルに接続され、図6、図7では見えないが前記電源ケーブル132も制御基板3の所要のターミナルに接続されている。図6、図7において、ユニットケース2には、二箇所にユニット式電力量計Mに組み込むための取付手段であるユニット取付ネジ20が設けられている。また、符号30は電圧端子である。
【0042】
なお、電圧端子30は電力量計用開閉ユニットSの電源供給用の端子であり、ユニットケース2の開閉ユニット開閉部(電流端子挿入部:図示省略)の電源側に挿入、接続するもので、定格電圧が印加される。また、前記電流端子11、11、11a、11aは、電力量計用開閉ユニットSの開閉部の入力、出力端子であり、ユニットケース2に挿入、接続するもので、定格電流及び定格電圧が通電、印加される。
【0043】
ユニット式電力量計Mは、図8に示すように、前記電力量計用開閉ユニットS、計量ユニット4及び通信ユニット5の各ユニットを電気的に接続し、これらを透明な外部ケース6内に収めて形成されている。通信ユニット5は、各種信号を配電線に重畳する方法や無線による送受信方法にて信号を伝達することができる。
【0044】
(作用)
図1乃至図8(電磁リレー1の内部の動きについては主に図4、図5)を参照して、電磁リレー1の作用及びそれを備えた電力量計用開閉ユニットS、ユニット式電力量計Mについて説明する。
【0045】
電磁リレー1は、例えば電磁リレー1の可動接触子16、16aと固定接触子110、110、110a、110aが開放されている状態(図5参照)において、電力量計用開閉ユニットSに対して通信ユニット5から投入指令の信号が送られると、自己保持形ソレノイド13が動作して、進退軸130が投入方向へ伸張し、可動座体15が移動し、可動座体15に取り付けられた可動接触子16、16aが固定接触子110、110、110a、110aに接触子して電源が投入される。
【0046】
このとき、何らかの原因で、可動接触子16、16aが投入側と開放側の間で均衡して中立位置に止まる可能性がある。例えば自己保持形ソレノイド13が開放状態から投入される場合はコイルが励磁されるが、仮に自己保持形ソレノイド13の故障で印加電圧が低かった場合等は吸引力が弱くなり、更に可動座体15の取付状態の異常等の別の因子が作用する等すると、可動接触子16、16aが前記中立位置に止まってしまうことが考えられる。また、自己保持形ソレノイド13の投入側での保持状態において、外部からの大きな衝撃や振動が加わった場合に、永久磁石から鉄片等の可動子が離れ、同時に主接触子が離れて瞬間的に停電になることも考えられる。
【0047】
電磁リレー1は、このような場合においても、反発バネ14が働いて、可動接触子16、16aが取り付けられている可動座体15を投入方向へ所定の付勢力で付勢することができる(図4参照)。これにより、可動接触子16、16aの中立位置での停止を回避できると共に、停電とならないように、可動接触子16、16aが自動的に投入側に動き、需要家に電源が供給される。
【0048】
このように、電磁リレー1の投入又は開放時において作動が不安定になり可動接触子16、16aが中立しそうになっても、可動接触子16、16aは必ず投入方向へ動いて中立位置での停止を回避することができ、電磁リレー1の状態が中途半端に収まることを防止できる。したがって、需要家に対する電源の安定的な供給を行うことができるので、通信により電源の投入又は開放、検針等の遠隔操作を行い、通常は電力量計の近くに管理側の作業者がいない状態で使用されるユニット式電力量計に好適に使用することができる。
【0049】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
S 電力量計用開閉ユニット
1 電磁リレー
10 ケース
100 裏ケース
101 表ケース
102 ソレノイド取付部
103、103a 固定接触子取付座
104、104a 移動空間部
105 補助接触子取付座
11、11a 電流端子
110、110a 固定接触子
12 補助固定接触子
13 自己保持形ソレノイド
130 進退軸
131 ダブルナット
132 電源ケーブル
14 反発バネ
15 可動座体
150 軸取付部
151 補助可動接触子取付部
153、153a 可動接触子取付部
155 挿通部
16、16a 可動接触子
160 接触子用バネ
17 補助可動接触子
170 接触子用バネ
18 補助接触子ケーブル
19 通信ケーブル
2 ユニットケース
20 ユニット取付ネジ
3 制御基板
30 電圧端子
M ユニット式電力量計
4 計量ユニット
5 通信ユニット
6 外部ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計の開閉ユニットに使用する電磁リレーであって、
ケース(10)と、
可動子を投入側と開放側で自己保持できるソレノイド(13)と、
前記可動子の進退動に伴って進退する可動接触子(16,16a)と、
前記ケース(10)側に取り付けられており前記可動接触子(16,16a)が接触する固定接触子(110,110,110a,110a)と、
前記可動接触子(16,16a)に常時投入方向へ向かう付勢力を付与して投入側と開放側の間で停止するのを回避する付勢体(14)と、
を備えている、
電磁リレー。
【請求項2】
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計の開閉ユニットに使用する電磁リレーであって、
ケース(10)と、
可動子を投入側と開放側で自己保持できるソレノイド(13)と、
該ソレノイド(13)の可動子に取り付けられている可動座体(15)と、
該可動座体(15)に付勢力を付与する付勢体(14)と、
前記ケース(10)側に取り付けられており前記可動接触子(16,16a)が接触する固定接触子(110,110,110a,110a)と、
前記可動座体(15)に取り付けられており前記固定接触子(110,110,110a,110a)に接触又は離隔する可動接触子(16,16a)と、
を備えており、
前記付勢体(14)は、
前記ソレノイド(13)の動作時において、可動接触子(16,16a)が投入側と開放側の間で中立しようとした場合において、可動接触子(16,16a)が取り付けられている可動座体(15)を常に可動接触子(16,16a)の投入方向へ移動させ、中立位置での停止を回避すると共に電源を投入することができるようにした、
電磁リレー。
【請求項3】
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計に使用する開閉ユニットであって、
ユニットケース(2)と、
請求項1又は2記載の電磁リレー(1)と、
該電磁リレー(1)のソレノイド(13)の動作の制御を行う制御部(3)と、
ユニット式電力量計に組み込むための取付手段(20)と、
を備えている、
電力量計用開閉ユニット。
【請求項4】
通信による遠隔操作ができるユニット型電力量計であって、
電力量計の投入又は開放を行う請求項3記載の電力量計用開閉ユニット(S)と、
消費電力量の計量を行う計量ユニット(4)と、
管理側と情報又は信号のやり取りを行う通信ユニット(5)と、
を備えている、
ユニット式電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248481(P2012−248481A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120849(P2011−120849)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003171)株式会社戸上電機製作所 (29)