説明

電磁誘導加熱調理器

【課題】被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を向上し得る電磁誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】複数の環状の加熱コイル30が天板の載置面に沿う方向である横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設されたコイル支持台40に、天板の載置面に直交する方向である上下方向に貫通する開口部41が設けられ、平面視において、当該開口部41の少なくとも一部が、排気口22の横方向の両端22eそれぞれと送風手段50の吐出口51の横方向の両端51eそれぞれとを結ぶ2本の線分L1,L2にて囲まれる主通風域Rの外部に位置するように構成され、外周側温度検出手段2が、平面視において、コイル支持台40の開口部41内における主通風域Rの外部に位置する部分に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱容器を載置可能な天板を有するケーシング内に、前記天板の載置面に沿う方向である横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設された複数の環状の加熱コイルと、前記複数の加熱コイルを上面に支持するコイル支持台と、冷却風を吐出口から前記横方向に向けて送風する送風手段と、前記複数の加熱コイルの中心部において前記被加熱容器の底部の温度を検出する中央温度検出手段と、内外に隣り合う前記加熱コイルの間において前記被加熱容器の底部の温度を検出する外周側温度検出手段とが備えられ、前記ケーシングの側部における周方向の一部に、前記送風手段により送風される冷却風を前記ケーシング外に排出する排気口が設けられ、前記送風手段が、前記吐出口を前記排気口に対向させた状態で設けられて、冷却風が前記吐出口から前記排気口に向かって流れるように構成され、前記コイル支持台が、前記複数の加熱コイルの中心部を前記送風手段と前記排気口との間に位置させた状態で設けられた電磁誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる電磁誘導加熱調理器は、被加熱容器を天板に載置した状態で、加熱コイルに高周波電力を印加して高周波磁界を発生させることにより、被加熱容器に誘導電流を発生させて被加熱容器を加熱するものである。
複数の環状の加熱コイルを横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設するのは、発生させる磁束の分布を拡げると共に、径方向での磁束密度のバラツキを抑制することにより、被加熱容器の加熱の均等化を図るためである。
そして、送風手段を作動させて、ケーシング内において冷却風を吐出口から排気口に向かって横方向に通風させて排気口から排出させることにより、ケーシング内に設けられている加熱コイル等を冷却するようになっている。
【0003】
又、複数の加熱コイルの中心部において、中央温度検出手段により被加熱容器の底部の温度が検出され、内外に隣り合う加熱コイルの間において、外周側温度検出手段により被加熱容器の底部の温度が検出され、それら中央及び外周側の各温度検出手段の検出情報が、被加熱容器を加熱する加熱量の調整や、被加熱容器の異常昇温の検知等に用いられる。
被加熱容器の底部の温度を検出する温度検出手段として、中央温度検出手段と外周側温度検出手段とを設けるのは、以下に記載する理由による。
【0004】
即ち、被加熱容器の底部における中央部の温度は、外周側の温度よりも、被加熱容器内の被加熱物の温度を良く反映しているので、一般には、中央温度検出手段が設けられる。
しかしながら、被加熱容器を天板に載置したときに被加熱容器が容易に回転しないようにする等のために、被加熱容器の底部の中央部に上方に向かって膨出する凹みが設けられる場合がある。このように被加熱容器の底部の中央部に凹みがあると、天板と被加熱容器の底部の中央部との間に隙間ができるので、中央温度検出手段による被加熱容器の温度検出精度が悪くなる場合があり、例えば、被加熱容器の異常昇温の検知に遅れが生じる虞がある。
一方、被加熱容器の底部における中央よりも外周側では、天板との間に隙間ができ難いので、中央温度検出手段に加えて、外周側温度検出手段が設けられることになる。
【0005】
このような電磁誘導加熱調理器において、従来は、外周側温度検出手段が、平面視で、排気口の両端それぞれと吐出口の両端それぞれとを結ぶ2本の線分にて囲まれる冷却風の主通風域内に位置する部分に設けられていた(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1では、外周側温度検出手段は、内外に隣り合う加熱コイルの間に設けられ、且つ、主通風域内において、複数の加熱コイルの中心に対して送風手段と対称になる(送風手段とは反対側の)位置に設けられていた。
ちなみに、上記の特許文献1では、排気口が、ケーシングの側部の周方向に間隔を開けて2つ設けられているが、この場合、主通風域は、2つの排気口における両外側の端それぞれと吐出口の両端それぞれとを結ぶ2本の線分にて囲まれる範囲になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−78902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1では、外周側温度検出手段が主通風域内に設けられているため、送風手段からの冷却風が外周側温度検出手段に当たり易いので、外周側温度検出手段による温度検出に送風手段からの冷却風の影響を受け易く、被加熱容器の温度検出精度が悪くなるという問題があった。
特に、外周側温度検出手段が、主通風域内において、複数の加熱コイルの中心に対して送風手段と対称になる位置に設けられているので、加熱コイルの冷却に寄与した冷却風が外周側温度検出手段に当たることになる。そして、加熱コイルは高周波電力が印加されることにより温度上昇し、しかも、印加される電力量に応じて温度上昇量が変動するため、加熱コイルの冷却に寄与した後に外周側温度検出手段に当たる冷却風の温度が変動し易いので、外周側温度検出手段による被加熱容器の温度検出精度が悪くなる。
一方、外周側温度検出手段が、主通風域内において、複数の加熱コイルの中心に対して送風手段と同じ側に設けられる場合は、外周側温度検出手段が送風手段の吐出口に近づくため、冷却風によって冷却され易いので、外周側温度検出手段による被加熱容器の温度検出精度が悪くなる。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を向上し得る電磁誘導加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る電磁誘導加熱調理器は、被加熱容器を載置可能な天板を有するケーシング内に、前記天板の載置面に沿う方向である横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設された複数の環状の加熱コイルと、前記複数の加熱コイルを上面に支持するコイル支持台と、冷却風を吐出口から前記横方向に向けて送風する送風手段と、前記複数の加熱コイルの中心部において前記被加熱容器の底部の温度を検出する中央温度検出手段と、内外に隣り合う前記加熱コイルの間において前記被加熱容器の底部の温度を検出する外周側温度検出手段とが備えられ、前記ケーシングの側部における周方向の一部に、前記送風手段により送風される冷却風を前記ケーシング外に排出する排気口が設けられ、前記送風手段が、前記吐出口を前記排気口に対向させた状態で設けられて、冷却風が前記吐出口から前記排気口に向かって流れるように構成され、前記コイル支持台が、前記複数の加熱コイルの中心部を前記送風手段と前記排気口との間に位置させた状態で設けられた電磁誘導加熱調理器であって、
その特徴構成は、前記コイル支持台に、前記天板の載置面に直交する方向である上下方向に貫通する開口部が設けられ、平面視において、当該開口部の少なくとも一部が、前記排気口の前記横方向の両端それぞれと前記吐出口の前記横方向の両端それぞれとを結ぶ2本の線分にて囲まれる主通風域の外部に位置するように構成され、
前記外周側温度検出手段が、平面視において、前記コイル支持台の前記開口部内における前記主通風域の外部に位置する部分に設けられている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、送風手段の吐出口から送風された冷却風の大部分は、ケーシング内の主通風域におけるコイル支持台の下方、コイル支持台の上方、又は、コイル支持台の上下両方を横方向に通風して、排出口から外部に排出される。
しかも、冷却風の大部分が主通風域におけるコイル支持台の下方を通風する場合は、コイル支持台の下方を通風する冷却風のうちの少量がコイル支持台の開口部を上側に向けて通過する。
あるいは、冷却風の大部分が主通風域におけるコイル支持台の上方を通風する場合は、コイル支持台の上方を通風する冷却風のうちの少量がコイル支持台の開口部を下側に向けて通過する。
あるいは、冷却風の大部分が主通風域におけるコイル支持台の上下両方を通風する場合は、コイル支持台における冷却風の通風量の多い側から少ない側に向けて、少量の冷却風が開口部を通過する。
【0011】
そして、外周側温度検出手段が、平面視において、コイル支持台の開口部内における主通風域外に位置する部分に設けられているため、コイル支持台の下方、上方又は上下両方を横方向に通風する冷却風が外周側温度検出手段に当たるのを抑制することができるので、冷却風が外周側温度検出手段による被加熱容器の温度検出に影響を与えるのを抑制することができる。
しかも、少量であるものの冷却風がコイル支持台の開口部を上側又は下側に向けて通過するので、外周側温度検出手段の両隣の加熱コイルが高周波電力の印加に伴って昇温し、更に、その昇温の程度が印加される電力量に応じて変動しても、両隣の加熱コイルから発せられる熱が外周側温度検出手段による温度検出に影響を与えるのを抑制することができる。
従って、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を向上し得る電磁誘導加熱調理器を提供することができる。
【0012】
本発明に係る電磁誘導加熱調理器の更なる特徴構成は、前記外周側温度検出手段が、平面視で、前記吐出口から前記排気口に向かう冷却風の通風方向において、前記複数の加熱コイルの中心部よりも下流側で、且つ、内外に隣り合う前記加熱コイルの間における径方向の中央よりも内側の前記加熱コイルの側に寄った箇所に設けられている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、外周側温度検出手段に対する外側の加熱コイルの発熱の影響が抑制される。
つまり、吐出口から排気口に向かう冷却風の通風方向において、平面視で、複数の加熱コイルの中心部よりも下流側の領域では、外側の加熱コイルの方が内側の加熱コイルよりも冷却風の風下になるため、内側の加熱コイルの冷却に寄与して昇温した冷却風が外側の加熱コイルに通風されるので、外側の加熱コイルの方が内側の加熱コイルよりも高温になる。そして、主通風域外を少量であるものの冷却風が横方向に通風すると、主通風域外においても、冷却風の通風方向において複数の加熱コイルの中心部よりも下流側の領域では、外側の加熱コイルの方が内側の加熱コイルよりも高温になる。
そこで、外周側温度検出手段を本特徴構成のように設けることにより、外周側温度検出手段に対する高温側である外側の加熱コイルの発熱の影響を抑制することができるので、外周側温度検出手段が内外両側の加熱コイルの発熱の影響を受け難いようにすることができるのである。
従って、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を更に向上することができる。
【0014】
本発明に係る電磁誘導加熱調理器の更なる特徴構成は、前記外周側温度検出手段が、周方向で、前記複数の加熱コイルの巻き数の合計が多い箇所に設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、外周側温度検出手段により、被加熱容器の底部において温度が高くなり易い部分の温度を検出することができる。
つまり、複数の加熱コイルが横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設された状態では、渦巻状に巻回されて内側の加熱コイルを構成する導体が内側の加熱コイルの最外周から先方ほど径方向外方に離れる形態で延び、その導体が再び渦巻状に巻回されて外側の加熱コイルが構成されている。そのため、内外に隣り合う加熱コイルの間において、周方向で、内側の加熱コイルの最外周から外側の加熱コイルの最内周へ延びる形態で導体が存在する部分は、それ以外の部分よりも、複数の加熱コイルの巻き数の合計が少なくなる場合がある。
そして、加熱コイルの巻き数が多いほど磁束密度が高くなって発生する誘導電流が大きくなるので、被加熱容器の底部の温度分布は、周方向において、複数の加熱コイルの巻き数の合計が多い箇所の上方に位置する部分で温度が高くなる分布となる。
従って、外周側温度検出手段により、被加熱容器の底部において温度が高くなり易い部分の温度を検出するので、被加熱容器の異常昇温を的確に検知することができる。
【0016】
本発明に係る電磁誘導加熱調理器の更なる特徴構成は、発熱部材から発せられる熱を放散させるヒートシンクが、前記主通風域内における前記コイル支持台の下方に設けられ、
前記外周側温度検出手段が、前記ヒートシンクから前記横方向に離間させて設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、ヒートシンクが主通風域内におけるコイル支持台の下方に設けられているので、吐出口から横方向に送風される冷却風をコイル支持台の下方に通風させるようにすることにより、冷却風をヒートシンクに効果的に当てながら通風させることができ、コイル支持台に加えて、発熱部材も適切に冷却することができる。
しかも、外周側温度検出手段が、ヒートシンクから横方向に離間させて設けられているので、外周側温度検出手段がヒートシンクから放散される熱の影響を受けるのを極力抑制することができる。つまり、このような外周側温度検出手段の配置位置は、排気口の端と吐出口の端とを結ぶ線分に対して、ヒートシンクとは反対側の位置となる。
従って、コイル支持台に加えて発熱部材も適切に冷却できながら、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を向上することができる。
【0018】
本発明に係る電磁誘導加熱調理器の更なる特徴構成は、導風板が、平面視において、前記送風手段の前記吐出口における前記横方向の端部から、前記ヒートシンクにおける前記横方向の端部を接続する方向に延設されて、前記吐出口から送出された冷却風が前記ヒートシンクに向かって流れるように構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、導風板により、吐出口から送風される冷却風がヒートシンクに向かうように案内されるので、冷却風が主通風域外の外周側温度検出手段側に向かうのを極力抑制することができる。
従って、コイル支持台に加えて発熱部材も適切に冷却できながら、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を更に向上することができる。
【0020】
本発明に係る電磁誘導加熱調理器の更なる特徴構成は、前記送風手段が、平面視で、一部分を前記コイル支持台に重ねた状態で、前記コイル支持台の下方に設けられて、前記吐出口において、前記横方向の両端部のうちの少なくとも前記外周側温度検出手段側の端部を除いた部分が前記コイル支持台に覆われるように構成され、
前記導風板が、前記コイル支持台の下方に延びる状態で設けられ、
平面視で前記導風板における前記コイル支持台の外部に位置する部分が、前記コイル支持台の上面よりも高くなるように構成されている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、吐出口から送風される冷却風は、コイル支持台の上下両方を横方向に通風するので、コイル支持台を上下両側から冷却することができる。
そして、導風板はコイル支持台の下方に延びていて、コイル支持台の下方を通風する冷却風がヒートシンクに向かうように案内されるので、冷却風が主通風域外の外周側温度検出手段側に向かうのを極力抑制することができる。
又、平面視で、導風板におけるコイル支持台の外部に位置する部分がコイル支持台の上面よりも高いので、吐出口から送風されてコイル支持台の上方を通風する冷却風が主通風域外の外周側温度検出手段側に向かって通風するのを極力抑制することができる。
従って、冷却風がコイル支持台の上下両方を通風するようにしてコイル支持台をより適切に冷却できながらも、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電磁誘導加熱調理器の斜視図
【図2】天板の一部を切り欠いた状態での電磁誘導加熱調理器の平面図
【図3】図2のIII−III矢視図
【図4】天板及び上側ケース部材を省略した状態での電磁誘導加熱調理器の平面図
【図5】天板及び上側ケース部材を省略した状態での電磁誘導加熱調理器の分解斜視図
【図6】天板及び上側ケース部材を省略した状態での電磁誘導加熱調理器の斜視図
【図7】図2の要部のVII−VII矢視図
【図8】コイル支持台の平面図
【図9】図2の要部のIX−IX矢視図
【図10】図2の要部のX−X矢視図
【図11】別実施形態に係る天板及び上側ケース部材を省略した状態での電磁誘導加熱調理器の平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、発明をプレート状で可搬型の電磁誘導加熱調理器に適用した場合の実施形態を説明する。
図2に示すように、電磁誘導加熱調理器は、被加熱容器Y(図1及び図10参照)を載置可能な天板21を有するケーシング20内に、天板21の載置面21sに沿う方向である横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設された複数の環状の加熱コイル30と、複数の加熱コイル30を上面に支持するコイル支持台40と、冷却風Aを吐出口51から横方向に向けて送風する送風手段としての送風機50と、複数の加熱コイル30の中心部30cにおいて被加熱容器Yの底部の温度を検出する中央温度検出手段としての中央温度センサ1と、内外に隣り合う加熱コイル30の間において被加熱容器Yの底部の温度を検出する外周側温度検出手段としての外周側温度センサ2とを備えて構成されている。
ケーシング20の側部における周方向の一部に、送風機50により送風される冷却風Aをケーシング20外に排出する排気口22(図4参照)が設けられ、送風機50が、吐出口51を排気口22に対向させた状態で設けられて、冷却風Aが吐出口51から排気口22に向かって流れるように構成されている。
又、コイル支持台40が、複数の加熱コイル30の中心部30cを送風機50と排気口22との間に位置させた状態で設けられている。
【0024】
本発明では、図4に示すように、コイル支持台40に、天板21の載置面21sに直交する方向である上下方向に貫通する6個の開口部41が周方向に等間隔で並べて設けられ、平面視において、当該開口部41の少なくとも一部が、排気口22の横方向の両端22e,22eそれぞれと吐出口51の横方向の両端51e,51eそれぞれとを結ぶ2本の線分L1,L2にて囲まれる主通風域Rの外部に位置するように構成されている。外周側温度センサ2が、平面視において、コイル支持台40の開口部41内で、しかも、主通風域Rの外部に位置する部分に設けられている。尚、図4において、複数の加熱コイル30、中央温度センサ1及び外周側温度センサ2は、仮想線で示している。
【0025】
以下、電磁誘導加熱調理器の各部について、説明を加える。
図1〜図3に示すように、この実施形態では、ケーシング20が、平面視で矩形状に構成されると共に、上面の前方側が下向きに傾斜する傾斜部とされ、その上面の傾斜部に、各種制御指令を指令するスイッチ及び各種情報を表示する表示器等を備えた操作部60が設けられている。
ケーシング20は、下側ケース部材23と、上面の傾斜部を除いた箇所に矩形の開口部を有する上側ケース部材24と、その上側ケース部材24の開口部を上方から閉塞する矩形状の天板21等を備えて構成されている。
天板21は、四角枠状の磁気シールド部材(図示省略)を介在させた状態で接着剤(図示省略)にて上側ケース部材24の開口部の縁部に固着され、そのように天板21が固着された上側ケース部材24と下側ケース部材23とは、複数のネジ(図示省略)により一体的に組み付けられる。
ちなみに、天板21は、透磁性が高く且つ熱伝導率が低い耐熱性材料、例えば、ガラスやセラミックにより構成され、接着剤としては、天板21と上側ケース部材24との間を気密封止するために、接着性能を有するシリコンシーラントが用いられる。
【0026】
図3〜図6に示すように、下側ケース部材23の後側の壁部には、その横方向の略全長にわたって、排気口22を構成する複数のスリット22sが並設されている。つまり、排気口22が、平面視で矩形状のケーシング20の後側の壁部(側部における周方向の一部に相当する)に、横方向の略全長にわたって設けられていることになる。尚、図5及び図6において、複数の加熱コイル30、中央温度センサ1及び外周側温度センサ2は、仮想線で示している。
そして、横方向に並ぶ複数のスリット22sのうちの両端のスリット22sそれぞれにおける横方向外側の端22eが、排気口22の横方向の端22eに相当する。
【0027】
図4〜図6に示すように、下側ケース部材23の底板において平面視で左前方側に寄った位置に、放射状に並ぶ複数のスリット25sから成る吸気口25が設けられている。
又、下側ケース部材23の底板には、送風機50の外郭を構成する外郭板52が、板面を上下方向に向けた状態で、平面視で、吸気口25の外周部における前方側の部分に沿う半円よりもやや大きい概円弧状に設けられている。但し、概円弧状の外郭板52の長手方向の両端部は、後述する送風機50のモータ53を支持するために立設された一対のボス部3(図5参照)をそれぞれ囲むように、外方側に膨出した形状に構成されている。
この概円弧状の外郭板52の長手方向の両端縁(図上で51e,51e)は、平面視で、右側の端縁(図上で51e)が左側の端縁(図上で51e)よりも前方側に位置するように構成されている(図4参照)。
そして、この概円弧状の外郭板52の長手方向の両端縁(図上で51e,51e)にて区画されて、平面視で吸気口25の外周部に沿う円弧状の開口部を送風機50の吐出口51として機能させるように構成され、外郭板52の長手方向の両端縁(図上で51e,51e)が吐出口51の横方向の両端51e,51eとなる。
つまり、送風機50の吐出口51が、平面視で、右上方に向いて開口するように設けられていることになる。
【0028】
図4〜図6に示すように、更に、概円弧状の外郭板52における平面視で右側の端縁(図上で51e)からは、後述する導風板4が概ね接線方向に向かって延設され、平面視で左側の端縁(図上で51e)からは、ケーシング20の左側壁、後壁及び右側壁の内側にそれらと間隔を隔てて沿うように、内壁体5が延設されている。
尚、下側ケース部材23は上側ケース部材24と同様に、樹脂による成形加工により製作されるものであり、外郭板52、導風板4及び内壁体5は、下側ケース部材23の成形加工の際に一体的に形成されるものであるが、夫々機能が異なるので、異なる符号を付している。
【0029】
図4〜図6に示すように、出力軸(図示省略)に羽根体54が連結されたモータ53が、羽根体54が概円弧状の外郭板52内に位置する状態で、一対のボス部3にネジ6により取り付けられている。
つまり、羽根体54、その羽根体54を駆動回転するモータ53、及び、送風機50の外郭を構成すると共に送風機50の吐出口51を形成する概円弧状の外郭板52等を備えて、送風機50が構成され、その送風機50が、上述したように、吐出口51を排気口22に対向させた状態で設けられていることになる。
【0030】
図3〜図6に示すように、制御基板11が、平面視で、ケーシング20の内壁体5の内部における後方側の概ね半分の範囲を占める状態で、下側ケース部材23の底板の上方に支持されている。
この制御基板11には、発熱部材(図示省略)から発せられる熱を放散させるヒートシンク10、各種回路部品、複数の加熱コイル30を励磁する高周波電力量を調整するインバータ(図示省略)、及び、電磁誘導加熱調理器の運転を制御する制御部(図示省略)等が搭載されている。
ヒートシンク10は、複数のフィン10fを互いに平行状態で備え、そのヒートシンク10に、インバータを構成する半導体スイッチング素子(図示省略)等が発熱部材として取り付けられて、その半導体スイッチング素子を冷却するように構成されている。
そして、このヒートシンク10は、各放熱フィン10fをケーシング20の前後方向(送風機50の吐出口51から排気口22に向けて送風される冷却風Aの通風方向)に沿わせた姿勢で、送風機50と排気口22の間に位置させて制御基板11に搭載されている。
つまり、送風機50の吐出口51から送風される冷却風Aを複数の放熱フィン10fに沿わせて流すことにより、ヒートシンク10全体から効果的に放熱されるように構成されている。
【0031】
ところで、各種回路部品のうち、整流器(図示省略)の出力を平滑するための平滑回路(図示省略)を構成するチョークコイル7、及び、コンデンサ8,9は、比較的発熱量が多い。
そこで、それらの比較的発熱量が多いチョークコイル7及び2個のコンデンサ8,9は、ヒートシンク10に対して冷却風Aの風下に位置させて制御基板11に搭載されており、ヒートシンク10の複数のフィン10fに沿って流れた冷却風Aがチョークコイル7及びコンデンサ8,9に当たり易いように構成されている。
更に、2個のコンデンサ8,9のうち形状が大きい方のコンデンサ8は、細長状の直方体形状であるが、その直方体形状のコンデンサ8は、平面視で、その長手方向を冷却風Aの通風方向に対して傾斜させた姿勢で設けることにより、冷却風Aが当たる面積を大きくして、効果的に冷却されるように構成されている。
【0032】
図4、図8及び図9に示すように、コイル支持台40は、外形が概ね円状で、6個の扇形状の開口部41を周方向に等間隔で並べて備えた概ね車輪形状に絶縁材料にて構成されている。
コイル支持台40における開口部41の間に相当する部分42(車輪のスポークに相当するので、以下、スポーク状部分と記載する場合がある)のそれぞれには、下方に凹む凹部43(図9参照)が設けられ、各凹部43には、フェライトコア44がコイル支持台40の径方向に延びる形態で設けられている。
コイル支持台40の凹部43に設けられたフェライトコア44の上面は、コイル支持台40の上面よりも低くなるように構成され、凹部43内におけるフェライトコア44の上部には、コイル支持台40の上面と概ね同一面となるようにシリコンシーラント45が充填されている。
【0033】
そして、そのコイル支持台40の上面には、複数の加熱コイル30として、環状の内側加熱コイル31とその内側加熱コイル31よりも大径の環状の外側加熱コイル32とが、互いに直列接続され、且つ、内側加熱コイル31の外側に同心状に外側加熱コイル32が並ぶ形態で設けられている。
図8に示すように、内側加熱コイル31は、導体33が内周側の始点S1からコイル支持台40の上面方向に密接又は近接させた状態で渦巻状に複数回(この実施形態では14回)巻回されて構成され、最外周は、周方向において始点S1よりもの手前の終点E1で終了させている。
内側加熱コイル31を構成する導体33は、内側加熱コイル31の終点E1から先方ほど径方向外方に離れる形態で延び、外側加熱コイル32は、内側加熱コイル31の終点E1から延びる導体33が、内周側の始点S2からコイル支持台40の上面方向に密接又は近接させた状態で渦巻状に複数回(この実施形態では10回)巻回されて構成され、最外周は、周方向において始点S2と同位置の終点E2で巻回を終了させている。
従って、内側加熱コイル31と外側加熱コイル32の巻き数の合計は、周方向において内側加熱コイル31の始点S1から巻き方向に内側加熱コイル31の終点E1に至るまでの範囲D1は24回であり、周方向において内側加熱コイル31の終点E1から巻き方向に内側加熱コイル31の始点S1に至るまでの範囲D2は23回となる。
【0034】
図8及び図10に示すように、外周側温度センサ2を保持するセンサホルダ46が、周方向で、内側加熱コイル31と外側加熱コイル32との巻き数の合計が24回となる範囲D1(内側加熱コイル31と外側加熱コイル32との巻き数の合計が多い範囲)に存在する開口部41の両側のスポーク状部分42に跨った状態で、内側加熱コイル31と外側加熱コイル32との間に位置させて設けられている。
そして、そのセンサホルダ46に、外周側温度センサ2が弾性体(図示省略)により上方に付勢された状態で設けられている。
又、コイル支持台40の中央部には、センサ取付孔47が設けられ、そのセンサ取付孔47に、中央温度センサ1が弾性体(図示省略)により上方に付勢された状態で設けられている。
【0035】
図8及び図10に基づいて、外周側温度センサ2の取付位置について、更に説明を加える。
尚、加熱コイル30の径方向での外周側温度センサ2の位置は、外周側温度センサ2における加熱コイル30の径方向での中央に相当する部分にて示すものとする。
内側加熱コイル31の外周縁と外側加熱コイル32の内周縁との間における径方向の中央(以下、内外コイル間中央と記載する場合がある)をPcとすると、外周側温度センサ2は、平面視で、内外コイル間中央Pcよりも内側加熱コイル31の側に寄った箇所に設けられている。
つまり、外周側温度センサ2は、平面視で、内外に隣り合う加熱コイル30の間における径方向の中央よりも内側の加熱コイル30(具体的には内側加熱コイル31)の側に寄った箇所に設けられていることになる。
しかも、外周側温度センサ2は、内側加熱コイル31の外周縁と内外コイル間中央Pcとの間において、内側加熱コイル31の外周縁との距離Wiが内外コイル間中央Pcとの距離Woよりも大きくなる箇所(内外コイル間中央Pcの側に寄った箇所)に配置されている。
【0036】
図4〜図6に示すように、上述のように上面に内側加熱コイル31及び外側加熱コイル32が同心状に配設されると共に中央温度センサ1及び外周側温度センサ2が設けられたコイル支持台40が、平面視で、一部分を送風機50及びヒートシンク10に重ね、且つ、複数の加熱コイル30の中心部30cを送風機50と排気口22との間に位置させた状態で、送風機50及びヒートシンク10の上方に配設される。
このようにコイル支持台40を配設するに当たって、外周側温度センサ2の位置は、図4に示すように、平面視で、主通風域Rにおける右側の外部で、且つ、送風機50の吐出口51から排気口22に向かう冷却風Aの通風方向において複数の加熱コイル30の中心部30cよりも下流側の位置に設定される。
尚、コイル支持台40は、下側ケース部材23の底板に立設された3本のボス部12(図5参照)にネジ13により取り付けられる。
このようにコイル支持台40が配設された状態では、図4に示すように、送風機50の吐出口51において横方向の両端51e,51e側の部分を除いた部分が、コイル支持台40により覆われる状態となるように構成されている。
【0037】
更に、下側ケース部材23の上部に上側ケース部材24が組み付けられると共に、その上側ケース部材24に天板21が取り付けられて、ケーシング20が一体的に組み付けられる。
図10に示すように、このようにコイル支持台40がケーシング20内に設けられた状態では、中央温度センサ1及び外周側温度センサ2は夫々の弾性体の付勢力により天板21の裏面に当接する状態となり、天板21に載置された被加熱容器Yの温度がその天板21を介して中央温度センサ1及び外周側温度センサ2夫々により検出される。
【0038】
図4〜図6に示すように、前述した導風板4は、平面視で、吐出口51の横方向の端部51eから、ヒートシンク10における横方向の端部を接続する方向に延設されて、吐出口51から送出された冷却風Aがヒートシンク10に向かって流れるように構成されている。
又、導風板4は、コイル支持台40における凹部43の形成箇所の下方に延びる状態で設けられ、更に、図7に示すように、平面視で導風板4におけるコイル支持台40の外部に位置する部分は、側面視で、コイル支持台40の上面よりも高くなるように構成されている。
なお、図示しないが、導風板4を、コイル支持台40の下方に延びる状態で、かつ、側面視で、コイル支持台40における凹部43に重ねた状態で、凹部43の側方に設けることもできる。この場合、冷却風Aが導風板4の外側に漏れるのを抑制でき、冷却風Aを効果的にヒートシンク10に導くことができる。
【0039】
上述のような配置形態で、送風機50、コイル支持台40及び制御基板11がケーシング20内に設けられることにより、外周側温度センサ2が、平面視で、吐出口51から排気口22に向かう冷却風Aの通風方向において、複数の加熱コイル30の中心部30cよりも下流側で、且つ、内外に隣り合う加熱コイル30の間における径方向の中央よりも内側の加熱コイル30(具体的には、内側加熱コイル31)の側に寄った箇所に設けられていることになる。
又、外周側温度センサ2が、周方向で、複数の加熱コイル30の巻き数の合計が多い箇所に設けられていることになる。
【0040】
又、発熱部材から発せられる熱を放散させるヒートシンク10が、主通風域内Rにおけるコイル支持台40の下方に設けられ、外周側温度センサ2が、ヒートシンク10から横方向に離間させて設けられていることになる。
更に、送風機50が、平面視で、一部分をコイル支持台40に重ねた状態で、コイル支持台40の下方に設けられて、吐出口51において、横方向の両端部のうちの少なくとも外周側温度センサ2側の端部を除いた部分がコイル支持台40に覆われるように構成されていることになる。
【0041】
以下、図4に基づいて、送風機50による通風作用について、説明を加える。
尚、図4において、冷却風Aの流動状態を矢印にて示す。但し、平面視において、コイル支持台40が存在しない範囲及びコイル支持台40の下方に向けて送風された冷却風Aにおける流動状態を、太線の矢印で示し、コイル支持台40の上方に向けて送風された冷却風Aにおける流動状態を、細線の矢印で示す。
天板21により送風機50の羽根体54の上方が覆われることから、羽根体54の上方の圧力が高くなるので、ケーシング20の底板の吸気口25から吸い込まれた冷却風Aの大部分は吐出口51から送風される。
そして、吐出口51から送風される冷却風Aは、コイル支持台40の下方の方が多くなる条件でコイル支持台40の上下に分かれて、コイル支持台40の上方及び下方を通風して排気口22からケーシング20外に排出される。ちなみに、コイル支持台40の下方での冷却風Aの通風量とコイル支持台40の上方での冷却風Aの通風量との比率は、この実施形態では、例えば、70:30程度に設定されている。
又、図示していないが、コイル支持台40の下方を通風する冷却風Aのうちの少量がコイル支持台40の各開口部41を上側に向けて通過し、コイル支持台40の上方を通風して排気口22からケーシング20外に排出される。
つまり、吐出口51から送風される冷却風Aは、コイル支持台40の上下両方を横方向に通風するので、コイル支持台40を上下両側から冷却することができ、複数の加熱コイル30を効果的に冷却することができる。
【0042】
そして、外周側温度センサ2が、平面視において、コイル支持台40の開口部41内における主通風域R外に位置する部分に設けられているため、コイル支持台40の上下両側を横方向に通風する冷却風Aが外周側温度センサ2に当たるのを極力少なくすることができるので、冷却風Aが外周側温度センサ2による温度検出に影響を与えるのを抑制することができる。
しかも、少量であるものの冷却風Aがコイル支持台40の開口部41を上側に向けて通過するので、外周側温度センサ2の両隣の内側加熱コイル31及び外側加熱コイル32が高周波電力の印加に伴って昇温し、更に、その昇温の程度が印加される電力量の変動に応じて変動しても、両隣の内側加熱コイル31及び外側加熱コイル32から発せられる熱が外周側温度センサ2による温度検出に影響を与えるのを極力抑制することができる。
【0043】
更に、外周側温度センサ2が、平面視で、冷却風Aの通風方向において、内側加熱コイル31及び外側加熱コイル32の中心部30cよりも下流側で、且つ、内外に隣り合う内側加熱コイル31と外側加熱コイル32との間における径方向の中央Pcよりも内側加熱コイル31の側に寄った箇所に設けられている。
これにより、冷却風Aの通風方向において、平面視で、内側加熱コイル31及び外側加熱コイル32の中心部30cよりも下流側の領域では、外側加熱コイル32の方が内側加熱コイル31よりも高温になる場合があるが、外周側温度センサ2に対する外側加熱コイル32の発熱の影響を抑制することができるので、外周側温度センサ2は外側加熱コイル32の発熱の影響を受け難い。
しかも、外周側温度センサ2が、内側加熱コイル31の外周縁と内外コイル間中央Pcとの間において、内外コイル間中央Pcの側に寄った箇所に配置されていて、外周側温度センサ2が内側加熱コイル31からも極力離されているので、外周側温度センサ2は内側加熱コイル31の発熱の影響も受け難い。
【0044】
又、図4において太線矢印にて示すように、吐出口51からコイル支持台40の下方に向けて送風された冷却風Aは、導風板4によりヒートシンク10に向かうように案内されて、主通風域R外に向かうのが抑制されるので、ヒートシンク10に搭載された発熱部品を効果的に冷却できながら、冷却風Aが主通風域R外の外周側温度センサ2の方に向かって通風するのを極力抑制することができる。
更に、平面視で、導風板4におけるコイル支持台40の外部に位置する部分がコイル支持台40の上面よりも高いので、図4において細線矢印にて示すように、吐出口51からコイル支持台40の上方に向けて送風された冷却風Aが、主通風域R外に向けて通風するのが抑制されることになり、コイル支持台40の上方を通風する冷却風Aも外周側温度センサ2の方に向かって通風するのを極力抑制することができる。
しかも、導風板4は、コイル支持台40における凹部43の形成箇所の下方にまで延びていて、コイル支持台40の下面と導風板4の上端との隙間を極力狭くすることができるので、冷却風Aが導風板4の外側に漏れるのを抑制することができて、冷却風Aを効果的にヒートシンク10に向けて導くことができる。
なお、図示しないが、導風板4を、コイル支持台40の下方に延びる状態で、かつ、側面視で、コイル支持台40における凹部43に重ねた状態で、凹部43の側方に設けると、冷却風Aが導風板4の外側に漏れるのを抑制でき、冷却風Aを効果的にヒートシンク10に導くことができる。
【0045】
以上説明したように、外周側温度センサ2を主通風域R外に設けたことに加えて、上記の配置形態で外周側温度センサ2を内外に隣り合う加熱コイル30の間に配置したこと、及び、上記のように導風板4を設けたことの相乗効果により、外周側温度センサ2による温度検出に対する冷却風Aの影響及び内外の加熱コイル30の発熱の影響を可及的に抑制することができるので、被加熱容器Yの底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を可及的に向上することができる。
【0046】
〔別実施形態〕
(A) コイル支持台40と送風機50の配置形態は、上記の実施形態において例示した形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、送風機50を、平面視で一部分をコイル支持台40に重ねた状態で、コイル支持台40の下方に設けたが、逆に、送風機50を、平面視で一部分をコイル支持台40に重ねた状態で、コイル支持台40の上方に設けても良い。
又、送風機50及びコイル支持台40を重ねることなく並設しても良い。
【0047】
(B) 上記の実施形態では、複数の環状の加熱コイル30として、内側加熱コイル31と外側加熱コイル32の2つを設けたが、3個以上の環状の加熱コイル30を横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設しても良い。この場合、内外に隣り合う加熱コイル30の間(以下、加熱コイル間と記載する場合がある)が2つ以上形成されるが、外周側温度センサ2は、1つの加熱コイル間に設けても良いし、複数の加熱コイル間の夫々に設けても良い。
【0048】
(C) 外周側温度センサ2を、平面視において、コイル支持台40の開口部41内における主通風域Rの外部に位置する部分に設けるように構成するに当たって、上記の実施形態では、主通風域Rにおける横方向の一方の側(線分L2の側)の外部に設けるように構成したが、主通風域Rにおける横方向の両側(線分L1,L2夫々の側)の外部夫々に設けるように構成しても良い。
【0049】
(D) 上記の実施形態では、外周側温度センサ2を、平面視で、吐出口51から排気口22に向かう冷却風Aの通風方向において、複数の加熱コイル30の中心部30cよりも下流側に設けたが、複数の加熱コイル30の中心部30cよりも上流側に設けても良い。
【0050】
(E) 図11に示すように、排気口22を、ケーシング20の側部の周方向に間隔を開けて2つ設けてもよい。ちなみに、図11に示す例では、2個の排気口22が下側ケース部材23の後側の壁部と右側の壁部とに振り分けて設けられている。
この場合、図11に示すように、主通風域Rは、2つの排気口22における両外側の端22e,22eそれぞれと吐出口51の両端51eそれぞれとを結ぶ2本の線分L1,L2にて囲まれる範囲になる。
そして、上記の実施形態と同様に、外周側温度センサ2が、平面視において、コイル支持台40の開口部41内で、しかも、主通風域Rの外部に位置する部分に設けられている。
又、外周側温度センサ2が、平面視で、吐出口51から排気口22に向かう冷却風Aの通風方向において、複数の加熱コイル30の中心部30cよりも下流側で、且つ、内外に隣り合う加熱コイル30の間における径方向の中央よりも内側の加熱コイル30(具体的には内側加熱コイル31)の側に寄った箇所に設けられている。
尚、図11において、複数の加熱コイル30、中央温度センサ1及び外周側温度センサ2は、仮想線で示している。又、平面視において、コイル支持台40が存在しない範囲及びコイル支持台40の下方に向けて送風された冷却風Aにおける流動状態を、太線の矢印で示し、コイル支持台40の上方に向けて送風された冷却風Aにおける流動状態を、細線の矢印で示す。
【0051】
(F) 外周側温度センサ2の配設位置は、上記の実施形態において例示した位置、即ち、平面視で、内外に隣り合う加熱コイル30の間における径方向の中央よりも内側の加熱コイル30(具体的には内側加熱コイル31)の側に寄った箇所に限定されるものではない。例えば、平面視で、内外に隣り合う加熱コイル30の間における径方向の中央でも良いし、平面視で、内外に隣り合う加熱コイル30の間における外側の加熱コイル30(具体的には外側加熱コイル32)の側に寄った箇所でも良い。
【0052】
(G) 上記の実施形態では、内側加熱コイル31と外側加熱コイル32とを直列接続したが、並列接続しても良い。
【0053】
(H) ケーシング20の平面視での形状は、上記の実施形態において例示した矩形状に限定されるものではなく、例えば円形状でも良い。
【0054】
(I) 本発明を適用可能な電磁誘導加熱調理器は、上記の実施形態において例示したタイプ、即ち、プレート状で可搬型の電磁誘導加熱調理器に限定されるものではない。
例えば、複数の加熱コイル30とそれを励磁するインバータ等から成る加熱部を複数備えた、所謂、二口や三口の据え置き型の電磁誘導加熱調理器でも良い
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、被加熱容器の底部における中央よりも外周側での温度の検出精度を向上し得る電磁誘導加熱調理器を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 中央温度センサ(中央温度検出手段)
2 外周側温度センサ(外周側温度検出手段)
4 導風板
10 ヒートシンク
20 ケーシング
21 天板
21s 載置面
22 排気口
22e 排気口の横方向の端
30 加熱コイル
30c 加熱コイルの中心部
40 コイル支持台
41 開口部
50 送風機(送風手段)
51 吐出口
51e 吐出口の横方向の端
A 冷却風
L1,L2 線分
R 主通風域
Y 被加熱容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱容器を載置可能な天板を有するケーシング内に、前記天板の載置面に沿う方向である横方向に間隔を隔てた状態で同心状に配設された複数の環状の加熱コイルと、前記複数の加熱コイルを上面に支持するコイル支持台と、冷却風を吐出口から前記横方向に向けて送風する送風手段と、前記複数の加熱コイルの中心部において前記被加熱容器の底部の温度を検出する中央温度検出手段と、内外に隣り合う前記加熱コイルの間において前記被加熱容器の底部の温度を検出する外周側温度検出手段とが備えられ、
前記ケーシングの側部における周方向の一部に、前記送風手段により送風される冷却風を前記ケーシング外に排出する排気口が設けられ、
前記送風手段が、前記吐出口を前記排気口に対向させた状態で設けられて、冷却風が前記吐出口から前記排気口に向かって流れるように構成され、
前記コイル支持台が、前記複数の加熱コイルの中心部を前記送風手段と前記排気口との間に位置させた状態で設けられた電磁誘導加熱調理器であって、
前記コイル支持台に、前記天板の載置面に直交する方向である上下方向に貫通する開口部が設けられ、平面視において、当該開口部の少なくとも一部が、前記排気口の前記横方向の両端それぞれと前記吐出口の前記横方向の両端それぞれとを結ぶ2本の線分にて囲まれる主通風域の外部に位置するように構成され、
前記外周側温度検出手段が、平面視において、前記コイル支持台の前記開口部内における前記主通風域の外部に位置する部分に設けられている電磁誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記外周側温度検出手段が、平面視で、前記吐出口から前記排気口に向かう冷却風の通風方向において、前記複数の加熱コイルの中心部よりも下流側で、且つ、内外に隣り合う前記加熱コイルの間における径方向の中央よりも内側の前記加熱コイルの側に寄った箇所に設けられている請求項1に記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記外周側温度検出手段が、周方向で、前記複数の加熱コイルの巻き数の合計が多い箇所に設けられている請求項1又は2に記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項4】
発熱部材から発せられる熱を放散させるヒートシンクが、前記主通風域内における前記コイル支持台の下方に設けられ、
前記外周側温度検出手段が、前記ヒートシンクから前記横方向に離間させて設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項5】
導風板が、平面視において、前記送風手段の前記吐出口における前記横方向の端部から、前記ヒートシンクにおける前記横方向の端部を接続する方向に延設されて、前記吐出口から送出された冷却風が前記ヒートシンクに向かって流れるように構成されている請求項4に記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記送風手段が、平面視で、一部分を前記コイル支持台に重ねた状態で、前記コイル支持台の下方に設けられて、前記吐出口において、前記横方向の両端部のうちの少なくとも前記外周側温度検出手段側の端部を除いた部分が前記コイル支持台に覆われるように構成され、
前記導風板が、前記コイル支持台の下方に延びる状態で設けられ、
平面視で前記導風板における前記コイル支持台の外部に位置する部分が、前記コイル支持台の上面よりも高くなるように構成されている請求項5に記載の電磁誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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